説明

部品供給機における塵回収装置

【課題】簡単な構成で且つ部品と塵とを部品供給中に確実に分離し、しかも、迅速に塵を回収することを可能にした部品供給機における塵回収装置を得る。
【解決手段】部品2を一定方向に供給するベルトコンベア10の部品供給端側の上方に部品2を排出ゲート30に案内する供給方向変更部材20を設け、部品供給端の下方に塵3を受ける第1塵回収ケース53を配置し、一方、排出ゲート30に接続されている供給路51の底面に塵排出溝52を形成し、この塵排出溝52の下方にも第2塵回収ケース54を配置し、ベルトコンベア10上の塵3を第1塵回収ケース53に、供給路51上の塵3を第2塵回収ケース54に夫々回収するようにした塵回収装置であるので、特別に塵除去装置を設ける必要がないため、装置全体の構造が簡単で且つそれに要する費用も低減され、自動機器への普及も促進される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベアやフィーダ等から供給される部品を整列させて供給する部品供給機において、この部品に混ざっている切り粉、部品以外の屑片等の塵を部品の供給中にできるだけ除去し、これを回収するようにした塵回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、部品を整列供給する場合、振動式のパーツフィーダ(図示せず)が使用されている。このフィーダは螺旋状の軌道が形成されたボウルと本体とを備え、振動により部品を軌道に沿って供給しつつ整列させるようにしたものである。しかしながら、このようなパーツフィーダで部品を整列供給する場合、部品に混入している塵も一緒に投入されることが多いため、部品の供給中に塵も混ざって送られることになり、金属製の塵が混ざっていると、これが部品に傷を付けたりして部品の不良品を発生させる要因になっている。
【0003】
これを解消するためにはできるだけ部品と屑とを分離する必要があり、このため、特開平2−305710号公報に示すような整列搬送方法が採用されつつある。これは図6及び図7に示すようなものであり、主にチップ部品102を搬送するものであって、ベルトコンベア110でチップ部品102を搬送し、このベルトコンベア110上に搬送方向とは斜めに設けたガイド120に沿ってチップ部品102を移動させ、ベルトコンベア110上においてチップ部品102の向きを一定方向に揃えつつ搬送するものである。このような部品を蛇行させながら搬送するという搬送方法を採用して、金属部品を搬送するものである。
【特許文献1】特開平2−305710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこのようにベルトコンベア上に搬送方向に対して斜めにガイドを交互に設けて部品の向きを一定方向に揃えて部品を蛇行させながら搬送する装置においては、部品及び塵は解されながら搬送されるが、このガイドを交互に複数設けねばならず、ベルトコンベアが比較的長くなり、装置全体を長くする必要があった。このため、これの設置場所を十分に広くする必要があった。しかも、塵はある程度、この搬送中に部品から解されるが、依然として部品とともに搬送されることから、この塵を除去するための装置を特別に設ける必要があった。また、このような装置を設けた場合、その構造が複雑になるとともに費用が高価になり、自動化された搬送機械における普及が阻害されていた。更に、部品にある程度の重さがある場合は塵をエア等で吹き飛ばす方法も考えられるが、このように塵を吹き飛ばすと、この塵が飛散することになり、これの回収が難しくなる等の課題が生じている。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解消するとともに簡単な構成で且つ部品と塵とを部品供給中に確実に分離し、しかも、迅速に塵を回収することを可能にした部品供給機における塵回収装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、所定形状の部品2を一定方向に供給するベルトコンベア10を配置し、このベルトコンベア10の部品供給端側の上方にベルトコンベア10との間に隙間を設けて前記部品2の供給方向を規制して部品2を排出ゲート30に案内する供給方向変更部材20を設け、排出ゲート30に接続されている供給路51上に前記部品2を供給するようにした部品供給機において、前記ベルトコンベア10の部品供給端の下方にベルトコンベア10上から落下する塵3を受ける第1塵回収ケース53をベルトコンベア10の幅に等しい長さだけ配置し、一方、前記排出ゲート30に接続されている供給路51の底面に供給方向に沿って長く且つ幅の狭い塵排出溝52を形成し、この塵排出溝52の下方にも第2塵回収ケース54を配置し、前記供給方向変更部材20により供給方向が変更されて供給される部品2を除くベルトコンベア10上の塵3を第1塵回収ケース53に、供給路51上の塵3を第2塵回収ケース54に夫々落下させ回収するようにした塵回収装置を提供することで達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、貯留されている部品に塵が混入し、この塵と部品とがベルトコンベア上を供給されてきても、部品は供給方向変更部材の傾斜面によりベルトコンベアの一側面側にある排出ゲートに向かって斜め供給されるとともに揺動自在な整列操作部材により部品とこれに付着している塵とは解されることで部品と塵は分離され、部品は常時一列に整列供給される。一方、部品と分離された塵はベルトコンベア上をベルトコンベアの供給方向に供給されるから、この塵はベルトコンベアの供給端から下方に落下することになり、塵は第1塵回収ケースに貯留されて確実に回収される。また、整列操作部材と供給方向変更部材の傾斜面による作用だけで部品を一列に整列させることができるから、部品は排出ゲートに正確に供給されることが可能になる。更に、この装置は特別に塵除去装置を設ける必要がないため、装置全体の構造が簡単で且つそれに要する費用も低減され、自動機器への普及も促進される。しかも、整列されて供給路上に供給される部品に完全に塵が除去されていなくても、この供給路を通過中に供給路の塵排出溝から塵は落下排出され、その直下の第2塵回収ケースに入るようになっているので、最終的に部品とともに塵が供給されることがほとんど解消される。その上、塵はエアにより吹き飛ばすといったことがなく、塵の飛散もない等の特有の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図5に基づき説明する。図2及び図3は部品整列供給機の全体を示す平面図及び正面図であり、1は架台である。この架台1上には回転駆動源11により一定方向に常時無端ベルト12が循環移動して所定形状の部品2を供給するベルトコンベア10が設けてあり、この無端ベルト12はベルトコンベア10の前端及び後端に配置されたローラ13、13間を循環移動するようになっている。これらローラ13、13はベルトコンベア10の無端ベルト12を案内する両側のフレーム14、14により回転自在に支持されている。一方、この無端ベルト12には部品2が多数載置されて貯留されるようになっており、ベルトコンベア10の前端部に位置する部品供給端側の上方には一方のフレーム側へ傾斜して供給方向に対して部品2を斜め横方向へ斜め供給する傾斜面21がベルトコンベア10の上流側に向かって形成されているとともに無端ベルト12の搬送面との間に、供給される部品2が入らない程度の所定の隙間をあけた供給方向変更部材20が設けられている。
【0009】
この供給方向変更部材20の傾斜面21の端には図1に示すように、ベルトコンベア10を横断する方向、即ち、前記フレーム14に向かって出没自在でこのフレーム14との間隔を拡狭調整可能な幅調整部材31が設けてあり、この幅調整部材31及びフレ−ム14から構成されるベルトコンベア10の排出ゲート30において、無端ベルト12との高さ間隔は無端ベルト12に対して上下動自在なスライド部材32により設定されている。このスライド部材32は図4に示すように、これを排出ゲート30上の支持ガイド33に取り付けている設定ねじ34を緩めることで上下移動可能となり、部品2の高さに合わせた位置に調整してこれを締め付けることで固定可能となっている。
【0010】
一方、前記ベルトコンベア10の無端ベルト12の平坦な搬送面には図2に示すように、一端が前記フレーム14に回動自在に軸止された整列操作部材40が所定の周期で水平揺動自在に配置してあり、この整列操作部材40はその先端が出入調整自在となっている。この整列操作部材40の先端は、これが揺動して前記供給方向変更部材20の傾斜面21に最接近したときの間隔が部品の幅より僅かに広くなるように設定されている。また、この設定量はベルトコンベア10上に載置貯留され供給される部品2が変更されても簡単に調整対応可能になっており、この整列操作部材40はフレーム14に固定されているモータ、あるいはシリンダ等の揺動駆動源41により連結杆42を介して水平揺動する構成であり、この整列操作部材40の揺動は無端ベルト12の循環移動と同時に開始動作を行うように設定されている。
【0011】
更に、前記排出ゲート30は図4に示すように、これの前方に配置されている振動直進フィーダ50の供給路51に接続してあり、一列に整列されて排出された部品2はこのフィーダ50に作用されて前方へ送られるようになっている。この時、部品2が連なっていても、振動直進フィーダ50により解される。しかも、このフィーダ50の供給路51は断面がV字形状となっており、この供給路51の底面には図5に示すように、供給方向に沿って長く且つ幅の狭い塵排出溝52が切除されて、部品2とともに流れてくる塵3を排出するようになっている。尚、これらベルトコンベア10の前端部に位置する部品供給端及びフィーダ50の塵排出溝52の下方にはこれらから落下排出された塵3を受けるように前記ベルトコンベア10の幅に等しい長さの第1塵回収ケース53、前記塵排出溝52の長さに等しいかこれより長い長さの第2塵回収ケース54が夫々設置されている。
【0012】
このような部品整列供給機において、ベルトコンベア10の無端ベルト12上に例えば、比較的短い長さで円柱形状の部品2を所定量貯留し、これをあらかじめ無端ベルト12上に立てた状態にする。このようにしているのは、整列を容易にするためであるが、部品2を寝かせた状態であっても特に支障はない。そして、あらかじめ整列操作部材40の先端と傾斜面21との間隔を整列操作部材40が傾斜面21に再接近した状態で部品2の幅に合わせた広さ、即ち、一個の部品2は通過するが、二個を合わせた幅の部品2は通過しない程度の間隔に調整されているので、スタート信号を入れると、図2に示すように、無端ベルト12が一定速度で前方へ循環移動を開始し、整列操作部材40は前記無端ベルト12上において揺動する。これにより、複列状態で供給されてきた部品2が供給方向変更部材20の傾斜面21に衝突するまで無端ベルト12により供給されるが、部品2がこの傾斜面21に衝突すると、前方への供給が阻止され、部品2は前記傾斜面21に沿い傾斜面21の下流端側のフレーム14に向かって斜め横方向へ移動する。
【0013】
このとき、整列操作部材40は一定周期で揺動しているため、傾斜面21と整列操作部材40により多くの部品2は無端ベルト12に載置された状態での移動が阻止されて塊となるが、この揺動動作により部品2の塊は解される。そして、無端ベルト12上に部品2とともに混在している塵3は前記供給方向変更部材と無端ベルト12の搬送面との間の隙間を通過して更に前方へ送られ、部品供給端から下方の第1塵回収ケース53内に落下する。一方、部品2は傾斜面12に沿って一列状態に整列して排出ゲート30の方向へ移動し、図4に示すように、排出ゲート30に達した部品2は排出ゲート30から1個宛振動直進フィーダ50の供給路51上に排出される。
【0014】
このようにして供給路51上に排出された部品2は図5に示すように、この供給路51上を更に前方へ供給され、前記部品2とともに無端コンベア12上から供給された僅かの塵3がこの供給路51上に送られてきても、供給路51の塵排出溝52から落下し、第2塵回収ケース54に回収されることになる。これら無端ベルト12の部品供給端及び振動直進フィーダ50の供給路51の塵排出溝52の下方にある第1、第2塵回収ケース53、54に回収された塵3は飛散することなく確実に回収除去されることになる。
【0015】
尚、既に説明したように、この実施の形態では、部品2をあらかじめ無端ベルト12上に立てた状態で供給するようにしているが、何もこれに限定されるものではなく、部品2の大きさあるいは形状によっては特に立てる必要はない。また、振動直進フィーダ50に代えて傾斜型のフィーダ等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を示す要部拡大平面図である。
【図2】本発明の概要を示す平面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】本発明に係る第1塵回収ケースを示す部分拡大正面図である。
【図5】本発明に係る第2塵回収ケースを示す部分拡大平面図である。
【図6】本発明の従来例を示す概略平面図である。
【図7】図6の概略正面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 架台
2 部品
3 塵
10 ベルトコンベア
11 回転駆動源
12 無端ベルト
13 ローラ
14 フレーム
20 供給方向変更部材
21 傾斜面
30 排出ゲート
31 幅調整部材
32 スライド部材
33 支持ガイド
34 設定ねじ
40 整列操作部材
41 揺動駆動源
42 連結杆
50 振動直進フィーダ
51 供給路
52 塵排出溝
53 第1塵回収ケース
54 第2塵回収ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状の部品(2)を一定方向に供給するベルトコンベア(10)を配置し、このベルトコンベアの部品供給端側の上方にベルトコンベアとの間に隙間を設けて前記部品の供給方向を規制して部品を排出ゲート(30)に案内する供給方向変更部材(20)を設け、排出ゲートに接続されている供給路(51)上に前記部品を供給するようにした部品供給機において、
前記ベルトコンベアの部品供給端の下方にベルトコンベア上から落下する塵(3)を受ける第1塵回収ケース(53)をベルトコンベアの幅に等しい長さだけ配置し、一方、前記排出ゲートに接続されている供給路の底面に供給方向に沿って長く且つ幅の狭い塵排出溝(52)を形成し、この塵排出溝の下方にも第2塵回収ケース(54)を配置し、前記供給方向変更部材により供給方向が変更されて供給される部品を除くベルトコンベア上の塵を第1塵回収ケースに、供給路上の塵を第2塵回収ケースに夫々落下させ回収するようにしたことを特徴とする塵回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−204190(P2007−204190A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23264(P2006−23264)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)