説明

部品供給設備

【課題】外部から納入された部品を、所定のクリーンレベルを維持した状態で組付けラインに供給することのできる部品供給設備を低コストに提供する。
【解決手段】組付けライン50を備えた組付け工程設備への部品供給設備は、外部から納入された複数種類の部品Pを仕分ける仕分けルーム20と、仕分けた部品P’を組付けライン50で組付ける組付けルーム40とを備える。仕分けルーム20の側壁部20bには搬出口29が設けられ、組付けルーム40の側壁部40bには搬入口44が設けられ、それぞれの下方には仕切り23,43が立設され、床面が周囲の床面と区画されている。仕分けルーム20には、仕分け後の部品P’を収容して仕切り23に干渉することなく搬出口29から仕分けルーム20外に搬出することのできる収容体27が配設され、仕分けルーム20と組付けルーム40との間に、収容体27を載置して搬送する搬送台車30が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給設備に関し、特に組付けラインに部品を供給するための設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場内の製造ラインにおいて要求されるクリーンレベルが、要求される製品の品質向上に伴って高まっており、当該要求されるクリーンレベルを達成するための対策が必要となってきている。
【0003】
例えば、自動車組立て工場においては、自動車を構成する部品の一部が外部(別の工場)で製造され、上記組立工場に納入されるようになっている。この際、高いクリーンレベルが要求される部品については、納入された部品の仕分け作業を行うエリアや、仕分け後の部品を組付けライン上に供給して組付け作業を行うエリアをクリーンルーム化することで、部品の手扱い作業を行う際にダスト等が付着する事態を極力避けて、クリーンレベルの維持を図るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−219537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4を参照してその一例を詳述すると、外部から届いた複数の部品Pは、パレット101上に載置された状態で工場内に納入される。具体的には、工場内の受け入れスペース102への部品Pの受れ入れが行なわれる。こうして工場内に納入された部品Pは、作業者W1の手で1個ずつばらされて隣接するシュート103に投入されることで、仕分けルーム104内に搬入される。そして、仕分けルーム104内では別の作業者W2の手により細かな荷ほどき作業や、各部品Pを供給場所ごとにまとめ直す(仕分ける)作業が行われ、仕分け作業を完了した部品P’がシュート105を通じて仕分けルーム104外に搬出される。このようにして搬出された仕分け後の部品P’は、また別の作業者W3の手によって1個ずつ台車106上に移載され、所定の組付けルーム107に向けて搬送される。こうして目的の場所(組付けルーム107)に到着した部品P’は、台車106ごとゲート108を通過して組付けルーム107の内部に搬入される。搬入された部品P’はさらに別の作業者W4の手でシュート109に投入される等して組付けライン110に供給可能な状態にセットされ、然る後、組付け作業者W5によって部品P’が組付けライン110上に供給され、所定の組付け作業が行われる。
【0006】
従って、上記設備の場合には、仕分けルーム104や組付けルーム107内を所定のクリーンレベルに管理することで、クリーンに保たれた状態の部品Pを組付け作業に供給できるようにしている。
【0007】
ところで、上記の設備では、仕分けされた部品P’が台車106ごと組付けルーム107内に搬入される一方で、台車106は所定のクリーンレベルに管理された場所(仕分けルーム104、組付けルーム107)以外のエリアを走行することになる。そのため、台車106ごと部品P’を組付けルーム107内に搬入したのでは、台車106の車輪に付着したダスト等の異物が組付けルーム107内に侵入し、これが部品P’に転着するおそれがある。また、仕分けルーム104の外で部品P’を台車106に移載するためのシュート105を設けたり、組付けルーム107内に台車106を搬入するためのゲート108を設けたりすることで、仕分けルーム104や組付けルーム107と周囲のエリアとが地続きになる部分がどうしても生じてしまう。そのため、これらクリーン化したルーム104,107にダスト等が侵入し、部品P’に付着する事態を招来し得る。さらには、台車106への移載にシュート105を用いた上記の設備では、仕分けルーム104の外で作業者W3が部品P’を1個ずつ台車106に移載することになるため、移載時に床面のダスト等が舞い上がって部品P’に付着する事態も懸念される。
【0008】
ここで、上記特許文献1には、取出部と、圧縮空気を送り出すノズルとを備えた取出装置を用いて、組付用小物部品を取出部に移動させることで小物部品の提供を行う方法が提案されている。しかし、自動車部品等の組付けラインに、上記特許文献1の如き組付け部品への異物付着防止手段を採用するとなると、組付け作業に供給される全ての部品に対して上記異物付着防止手段(取出装置)を設ける必要が生じ、莫大な設備投資を要する。
【0009】
以上の事情に鑑み、外部から納入された部品を、所定のクリーンレベルを維持した状態で組付けラインに供給することのできる部品供給設備を低コストに提供することを、本発明により解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題の解決は、本発明に係る部品供給設備により達成される。すなわち、この部品供給設備は、外部から納入された複数種類の部品を搬入して所定の仕分け作業を行う仕分けルームと、仕分けルームで仕分けた部品を組付けラインに供給して組付け作業を行う組付けルームとを備え、仕分けルームの側壁部には部品の搬出口が設けられると共に、組付けルームの側壁部には部品の搬入口が設けられ、搬出口および搬入口の下方には、各ルームの床面を周囲の床面と区画する仕切りが立設しており、仕分けルームには、仕分け後の部品を収容して仕切りに干渉することなく搬出口から仕分けルーム外に搬出することのできる収容体が配設され、仕分けルームと組付けルームとの間に、仕分けルームから搬出された収容体を載置して組付けルームへ搬送する搬送台車が配設されている点をもって特徴付けられる。
【0011】
このように、本発明では、仕分けルームの搬出口と組付けルームの搬入口の下方に立設した仕切りにより上記各ルームの床面を周囲の床面と区画するようにしたので、床面を伝って仕分けルームや組付けルーム内にダスト等の異物が侵入するのを防止することができる。また、搬出口および搬入口の下方に立設した仕切りにより、上記各ルーム内外への作業者の出入り(例えば図4に示す組付けルーム107のゲート108を介して作業者W3,W4が組付けルーム107を出入りする行為)を規制できるので、作業者を介してダスト等が侵入する事態を防止することもできる。加えて、本発明では、部品を収容体に収容した状態で搬出口から仕分けルーム外に搬出し、搬出した収容体を台車に載置して組付けルームまで搬送するようにしたので、組付けルームに到着した部品を収容体ごと搬入口から組付けルーム内に搬入することができる。従って、台車の車輪に付着したダスト等の組付けルーム内への侵入を防ぎつつ、上記部品を仕分けルームから組付けルームに搬送することができる。また、上記設備によれば、部品搬出のための移載作業(収容体への収容作業)は仕分けルーム内で実施でき、かつ、収容体からの部品の荷下ろし作業は組付けルーム内で実施できる。そのため、これによっても上記移載作業時にダスト等が部品に付着する事態を防止することができる。また、収容体に部品を収容した状態で搬送すれば、仕分けルームからの部品の搬出作業や、組付けルーム内への部品の搬入作業も1回で済むため、搬入出作業によりダスト等が部品又は収容体に付着することもほとんどない。加えて、上記の構成とするのであれば、仕分けルームおよび組付けルーム内のクリーンレベルさえ所定のレベルに管理しておけば足りるので、組付けルーム等を含む工場全体のクリーンレベルを管理する(例えば工場全体をクリーンルーム化する)場合や、組付けラインに提供する全ての部品をエア洗浄等する場合に比べてコスト面で大幅に優位となる。
【0012】
ところで、上記組付けラインに供給される複数種類の部品は、外箱(複数の箱状体に梱包されている場合に最も外側の箱状体を指す、程度の意であり、部品本体が1重の箱状体のみで梱包される場合を排除するものではない。)に収容された状態で納入されることがある。この外箱は、別の工場で製造された上記部品を組立てラインを備えた工場まで輸送する間、上記部品を包装ないし梱包していることから、その表面にはダスト等を含む多くの異物が付着していることが多い。この点に鑑み、例えば本発明に係る部品供給設備であれば、複数種類の部品(本体)が外箱に収容された状態で納入される場合、仕分けルームや組付けルームの他に、納入時の外箱を新たな外箱に交換する外箱交換ルームを設けることが可能である。あるいは、この外箱交換ルームを仕分けルーム内に設けることも可能である。これによれば、一旦清潔な外箱に入れ替えた状態の部品を組付けルームまで搬送することができるので、各ルームを外部から納入した外箱により汚さずに済む。また、後者のように、仕分けルーム内に外箱交換エリアを設けるようにすれば、外箱の交換(いわゆる荷姿転換)と併せて、簡易仕分け(複数の部品を供給場所ごとにまとめ直す作業)を行うことができる。よって、外箱の交換と、簡易仕分けとを別々に行う場合と比べて部品の手扱いの回数を減らすことができ、これによってもダスト等の付着を抑制することができる。また、作業効率を高めつつ作業に要する人員を減らせるので、製造コストを下げることもできる。
【0013】
また、外箱交換エリアを仕分けルーム内に設ける場合、外箱交換エリアの床面に仕切りを立設することにより、外箱交換エリアが、納入時の外箱を搬入するスペースと、新たな外箱を取扱うスペースとに区画されていてもよい。このように外箱交換エリアを区画することで、納入時の外箱を取り扱う作業者の、新しい清潔な外箱の取扱いスペースへの立ち入りが規制されるため、納入時の外箱が、上記清潔な外箱の取扱いスペースに持ち込まれる事態を確実に回避することができる。これにより、同一ルーム内で外箱の交換作業を行う場合においても、納入時の外箱に付着したダスト等の異物が交換後の清潔な外箱に付着する事態を防止して、組付けルームに搬入した際の部品のダストレベルをより良好に保つことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係る部品供給設備によれば、外部から納入された部品を、所定のクリーンレベルを維持した状態でかつ低コストに組付けラインに供給することができる。そのため、組付け完了品の品質を良好に保つすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る組付け工程設備の主要部を概略的に示す平面図である。
【図2】本発明に係る部品供給設備を、図1の一点鎖線で示すラインAに沿って側面視した図である。
【図3】収容体を載置した状態の搬送台車の側面図である。
【図4】従来の部品供給設備の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る部品供給設備の一実施形態を図面に基づき説明する。この実施形態では、自動車エンジンの部品組付け工程に本発明に係る部品供給設備を適用した場合を例にとって説明する。なお、これ以降の説明においては、特に断りのない限り、鉛直方向を単に上下方向というものとする。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る組付け工程設備の要部平面図を示している。同図に示すように、この組付け工程設備は、別の工場等で製造され、本組立て工場に納入された部品Pを受け入れる受け入れスペース10と、この受け入れスペース10に受け入れた部品Pを搬入して、所定の仕分け作業を行う仕分けルーム20と、仕分け後の部品(図1では省略)を、組付けメインライン50もしくは組付けサブライン60に供給して、所定の組付け作業を行う組付けルーム40とを主に具備する。また、詳細は後述するが、仕分けルーム20と組付けルーム40との間には、搬送台車30が配設されており、仕分けルーム20から搬出された部品を組付けルーム40内に搬入できるように構成されている。
【0018】
本発明に係る部品供給設備は、上記組付け工程設備の一部を構成するもので、仕分けルーム20と搬送台車30、および組付けルーム40を備える。図2を参照して詳述すると、まず、仕分けルーム20の受れ入れスペース10側の側部には、シュート12が配設されており、パレット11に載置された状態の部品Pを投入することで、当該部品Pを仕分けルーム20内に搬入できるようになっている。
【0019】
仕分けルーム20は、図2に示すように、天部20aと、床面から立設した側壁部20bとを有する。側壁部20bには、後述するシュート台車27の搬出口29が床面から所定の高さ位置に開口形成されると共に、この搬出口29の直下には仕切り23が立設されている。この仕切り23は、仕分けルーム20内の床面と、搬送台車30が移送可能な床面領域とを区画している(図1を参照)。ここで、仕分けルーム20は、機能的な面から見ると、シュート12を介して搬入された部品Pの外箱B1を新しい清潔な外箱B2に交換する作業を行うための外箱交換エリアと、外箱の交換が終了した部品Pに対して所定の仕分け作業を行うための仕分け作業エリアとに大別される。一方、構造的な面から見ると、仕分けルーム20は、外箱交換エリア内の床面に設けた仕切り24により、交換前の納入時の外箱B1を搬入するスペース21と、交換すべき新たな外箱B2を取扱うスペース22とに区画されている。この実施形態では、仕切り24を介して、納入時の外箱B1の搬入スペース21側には、納入時の外箱B1を載置し、中身となる部品本体p(袋状体に包装されているか否かは問わない。)を取出すための作業台25が設置されると共に、仕切り24の、新たな外箱B2の取扱いスペース22側には、新たな外箱B2を載置し、この外箱B2に部品本体pを収納するための作業台26が設置される。よって、仕切り24は、少なくとも納入時の外箱B1が、作業台25に載置した状態で、新たな外箱B2の取扱いスペース22に侵入するのを規制できる程度の高さに形成される。また、この仕切り24は、図1に示すように、仕分けルーム20の外箱交換エリアを全域にわたって納入時の外箱B1の搬入スペース21と、新たな外箱B2の取扱いスペース22とに区画している。そのため、納入時の外箱B1の搬入スペース21で作業を行う作業者W2、および新たな外箱B2の取扱いスペース22で作業を行う作業者W3は、上記仕切り24により、互いに相手方のスペース21,22への侵入を規制されている。
【0020】
以上のように区画された仕分けルーム20の内部空間は、所定のクリーンレベルに管理されている。ここでは、外箱B2の取扱いスペース22におけるクリールレベル(所定の容積に含まれる塵埃の個数)が、外箱B1の搬入スペース21におけるクリーンレベルよりも高くなる(上記塵埃の個数が少なくなる)ように仕分けルーム20内のクリーンレベルが管理される。なお、クリーンレベルの管理手段(制御手段)には公知の手段を用いることができ、例えばエアフィルタによる送風排気手段や気圧調整手段などを用ることができる。
【0021】
仕分け作業エリアは、図示は省略するが、仕切り24によって区画された新たな外箱B2の取扱いスペース22内に形成されている。そして、この仕分け作業エリアの部品搬出側には、上記仕分け後の部品P’を収容し、搬出するための収容体が載置されている。この実施形態では、収容体は、シュート部を一体に有するシュート台車27であって、後述する搬出口29側がシュート出口側となるように仕分け作業エリア内に配設される。そして、このシュート台車27は、仕分け作業エリアの床面上を部品P’を収容した状態で搬送できると共に、搬出口29の近傍に設置した架台28上に乗り上げできるようになっている。また、この実施形態では、シュート台車27は所定のカバー部で覆われており、内部に収容した部品P’と外気との接触が防止される。なお、このカバー部はシュート台車27と一体に設けてもよく、別体に設けてもよい。仕分けルーム20の側壁部20bのうち部品Pの搬出側には、部品P’の搬出口29が開口して形成されている(図1および図2を参照)。この搬出口29は、部品P’を収容したシュート台車27を仕分けルーム20の外に搬出できる位置及び大きさに形成されている。この実施形態では、側壁部20bのうち搬出口29の下部を構成する部分が、上記仕切り23を構成している。また、この搬出口29には開閉自在なシャッター(図示は省略)を設けてもよく、その場合、シュート台車27の搬出時にはシャッターを開くと共に、非搬出時にはシャッターを閉じるように制御することができる。
【0022】
仕分けルーム20と組付けルーム40との間に配設された搬送台車30は、仕分けルーム20の搬出口29から搬出されたシュート台車27を載置し、シュート台車27に収容された複数の部品P’を組付けルーム40の搬入口44まで搬送できるように構成される。図3を参照して詳述すると、この搬送台車30は、シュート台車27を載置する載置面31と、載置面31の搬送方向両端(図3では左右方向端部)に設けられ、平伏状態から立設状態に可動する鍔部32とを一体に有する。この鍔部32は、水平方向に開いた状態(図3中、2点鎖線で示す状態)では、仕分けルーム20の架台28の上面と略面一となる高さに位置し、鉛直方向に立設した状態(図3中、実線で示す状態)では、載置したシュート台車27のストッパとして機能する。この実施形態では、後述する組付けルーム40の架台45の上面とも略面一となるように、左右双方の鍔部32が所定の高さに形成されている。
【0023】
組付けルーム40は、図1に示すように、仕分けルーム20と所定の距離だけ離れた位置に配設されており、天部40aと、床面から立設した側壁部40bとを有する(図2を参照)。側壁部40bには、後述するシュート台車27の搬入口44が床面から所定の高さ位置に開口形成されると共に、搬入口44の直下に仕切り43が立設されてている(図2および図3を参照)。この仕切り43は、組付けルーム40内の床面と、搬送台車30が移送可能な床面領域とを区画している。
【0024】
また、組付けルーム40は、この実施形態では、組付けルーム40内の床面に設けた仕切り46により、部品P’の組付け作業を実施する準備を行うための組付け準備エリア41と、組付け準備エリア41で組付け準備を完了した部品P’’を組付けメインライン50に供給して組付け作業を行う組付け作業エリア42とに区画されている。また、この仕切り46は、図1に示すように、組付け準備エリア41と組付け作業エリア42とを組付けメインライン50の略全長にわたって区画している。そのため、組付け準備エリア41で作業を行う作業者W4,W5と、組付け作業エリア42で作業を行う作業者W6は、上記仕切り46により、互いに相手方のエリア41,42への侵入を規制されている。
【0025】
以上のように区画された組付けルーム40の内部空間は、仕分けルーム20と同様に、所定のクリーンレベルに管理されている。この実施形態では、少なくとも仕分けルーム20の搬入スペース21および取扱いスペース22に比べて、組付けルーム40の組付け準備エリア41および組付け作業エリア42のクリーンレベルが高くなるように、各スペース21,22および各エリア41,42のクリーンレベルを上記手段で管理できるようになっている。
【0026】
組付けルーム40の側壁部40bのうち部品P’の搬入側(図1の左側)には、部品P’の搬入口44が側壁部40bに開口して形成されている。この搬入口44は、部品P’を収容したシュート台車27を組付けルーム40内に搬入できる位置及び大きさに形成されている。搬入口44の近傍には架台45が設置されており、搬送台車30で搬送されてきた部品P’をシュート台車27ごと組付けルーム40内に搬入できるようになっている(図3を参照)。なお、この搬入口44についても、開閉自在なシャッター(図示は省略)を設けることができ、その場合、シュート台車27の搬入時にはシャッターを開くと共に、非搬入時にはシャッターを閉じるように制御することができる。
【0027】
上記のように構成した部品供給設備において、別の工場で製造され、本組立て工場に納入された(受け入れスペース10に受け入れた)複数種類の部品Pは、まず、第1の作業者W1の手でパレット11上に整列された状態から1個ずつばらされて、隣接するシュート12に投入される。これにより、部品Pが、仕分けルーム20の搬入スペース21に搬入される(図2を参照)。そして、搬入スペース21内で別の作業者W2の手により搬入された部品Pを作業台25に載置すると共に、この部品Pの外箱(納入時の外箱B1)の上部を開いておく。また、この際、仕切り24を挟んで向かい合うスペース(新たな外箱B2の取扱いスペース22)には、別の作業者W3が待機しており、少なくとも納入時の外箱B1に比べて清潔な新しい外箱B2を取扱いスペース22側の作業台26に載置して、この外箱B2の上部を開いておく。こうして、双方の作業台25,26上に外箱B1,B2を載置した後、外箱B2の取扱いスペース22側の作業者W3により、仕切り24の上方に設けた間口を介して搬入スペース21側の外箱B1から部品本体pを取出すと共に、取出した部品本体pを取扱いスペース22側の外箱B2に収納する(図2を参照)。
【0028】
このようにして、外箱の交換作業、言い換えると、部品本体pの移し変え作業が所定のクリーンレベルを維持した状態で実施される。そして、同じ作業者W3の手により、外箱の交換を終えた部品Pについて所定の仕分け作業が行われ、仕分け作業を受けた部品P’は、供給場所単位で複数設置されたシュート台車27のうち対応するシュート台車27に収容される(投入される)。このようにして部品P’を収容したシュート台車27を架台28上まで移動させると共に、搬出口29の外側に隣接させた搬送台車30に移載することで、仕分け後の部品P’が、シュート台車27に収容された状態で搬送台車30上に載置される。よって、この搬送台車30を所定のルートに沿って対応する搬入口44の正面まで移送し(図1を参照)、シュート台車27のみ搬入口44を通過させることで、部品P’がシュート台車27ごと組付けルーム40の組付け準備エリア41に搬入される(図2を参照)。なお、クリーンレベル維持の観点からは、シュート台車27の搬出作業は、仕分けルーム20内の作業者W3によって行なわれるのがよく、また、搬出されたシュート台車27の手扱い作業(組付けルーム40内への搬入作業を含む)は、上記各ルーム20,40外の作業者(図示は省略)によって行なわれるのがよい。また、同様の観点から、シュート台車27からの部品P’の荷下ろし作業は、組付けルーム40内の作業者W4によって行なわれるのがよい。
【0029】
上記のようにして、組付け準備エリア41に搬入された部品P’は、このエリア41内に待機していた別の作業者W4の手でシュート47に投入等されると共に、さらに別の作業者W5の手によって、組み付けメインライン50に供給可能な状態にセットされる。ここでは、組立てメインライン50上で行なわれる1回の組付け作業に使用される複数の部品P’が1まとめにセットされる(SPS工程)。このように組付け準備を完了した部品(群)P’’は、組付け作業エリア42に搬送されると共に、該組付け作業エリア42で待機していた組付け作業者W6によって組付けライン110上に供給され、所定の組付け作業が行われる。
【0030】
このように、仕分けルーム20の搬出口29と組付けルーム40の搬入口44の直下に立設した仕切り23,43により上記各ルーム20,40の床面を周囲の床面と区画することで、床面を伝って仕分けルーム20や組付けルーム40内にダスト等の異物が侵入するのを防止することができる。また、搬出口29および搬入口44の直下に立設した仕切り23,43により、上記各ルーム20,40内外への作業者W3〜W5の出入りを規制できるので、作業者W3〜W5を介してダスト等が侵入する事態を防止することもできる。また、部品P’搬出のための移載作業(シュート台車27への収容作業)は仕分けルーム20内で実施でき、かつ、シュート台車27からの部品P’の荷下ろし作業は組付けルーム40内で実施できる。そのため、上記移載作業時にダスト等が部品P’に付着する事態を防止することができる。また、上記の構成を採る場合、仕分けルーム20と組付けルーム40内のクリーンレベルを管理しておくだけで、組付け作業エリア42のクリーンレベルを所要のレベルに保つことができるので、組立て工場全体をクリーンルーム化したり、組付けメインライン50に提供する全ての部品P’,P’’をエア洗浄等する場合に比べて低コストにクリーンレベルの管理を行なうことができる。
【0031】
また、仕分けを終えた複数の部品P’を収容体としてのシュート台車27に収容した状態で仕分けルーム20から搬出し、搬出したシュート台車27を搬送台車30に載置して組付けルーム40まで搬送するようにしたので、組付けルーム40に到着した部品P’をシュート台車27ごと組付けルーム40内に搬入することができる。従って、従来のように、搬送台車30の車輪に付着したダスト等が組付けルーム40内に侵入する事態を回避して、部品P’を仕分けルーム20から組付けルーム40まで搬送することができる。また、この実施形態では、収容体にシュート台車27を採用し、作業者W1〜W5への部品P(P’)の受渡しを、全てシュート台車27を介して実施するようにしたので、部品P(P’)の搬送効率を高めつつも、当該部品P(P’)の先入れ先出しが可能となる。よって、各作業者(特に、シュート出口側に位置する作業者W2,W4,W5)の作業効率を高めることができる。
【0032】
また、この実施形態では、仕分けルーム40内に外箱交換エリアを設けるようにしたので、外箱B1,B2の交換と共に、簡易仕分け(複数の部品Pを組付けメインライン50上の供給場所ごとにまとめ直す作業)を行うことができる。よって、外箱B1,B2の交換と、上記簡易仕分けとを別々に行う場合と比べて部品P(P’)の手扱いの回数を減らすことができ、これによってもダスト等の付着を抑制することができる。また、作業効率を高めつつ作業に要する人員を減らせるので、コストダウンにもつながる。
【0033】
さらに、この実施形態では、仕分けルーム20内に設けた外箱交換エリアの床面に仕切り24を立てて、外箱交換エリア(仕分けルーム20)を、納入時の外箱B1を搬入するスペース21と、新たな外箱B2を取扱うスペース22とに区画するようにしたので、納入時の外箱B1を取り扱う作業者W2の、清潔な新しい外箱B2の取扱いスペース22への立ち入りが規制される。これにより、仕分けルーム20内に搬入された納入時の外箱B1が、新しい清潔な外箱B2の取扱いスペース22に持ち込まれる事態を防止できる。よって、同一ルーム20内で外箱B1,B2の交換作業を行う場合においても、納入時の外箱B1に付着したダスト等の異物が交換後の清潔な外箱B2に付着する事態を防止して、組付けルーム40のクリーンレベルをより良好に保つことができる。
【0034】
さらに、この実施形態では、組付け作業を行う組付けメインライン50に近づくにつれて、各仕切り23,24,43,46によって区画されたエリア(外箱B1の搬入スペース21、外箱B2の取扱いスペース22、組付け準備エリア41,組付け作業エリア42)のクリーンレベルを高めるようにした。このようにクリーンレベルを段階的に高めることで、最終的に組付け作業スペースに要求されるクリーンレベルを全ての区画エリアで満足させずに済む。そのため、組立てラインに要求されるクリーンレベルを満足しつつも、設備コスト、クリーンレベル管理コストの双方を下げることが可能となる。
【0035】
以上、本発明に係る部品供給設備の一実施形態を説明したが、この部品供給設備は、上記例示の形態に限定されることなく、本発明の範囲内において任意の形態を採ることが可能である。
【0036】
例えば仕分けルーム20は、搬出口29の下方に立設した仕切り23により周囲の床面と区画可能な限りにおいて、任意の形態を採ることが可能である。例えば、納入時の外箱B1からのダスト等の脱落、周囲への転着をそれほど考慮せずともよい場合であれば、外箱交換エリア内に仕切り24を必ずしも設ける必要はない。また、図示は省略するが、外箱交換エリアを、仕分けルーム20と独立した別個のルームとして設けてもよい。この場合、外箱交換ルームと仕分けルーム20との間についても、上記のように、部品Pを収容したシュート台車27を搬送台車30で搬送する形態を採るのがよい。また、納入時の外箱B1が所定の清浄度(ダストレベル)を満足しているのであれば、外箱交換エリア(ルーム)を設けずともよい。
【0037】
また、上記実施形態では、部品P’のクリーンルーム外での搬送作業にシュート台車27を用いた場合を説明したが、これは例示に過ぎない。部品P(P’)を収容可能であって、搬送台車30に載置可能な限りにおいて、シュート台車27以外の収容体を使用することができる。上記各ルーム20,40と搬送台車30との間で移載作業が滞りなく行えるのであれば、車輪の有無も問わない。
【0038】
また、組付けルーム40は、組付け作業エリア42を有し、搬入口44の下方に立設した仕切り43により周囲の床面と区画されている限りにおいて任意の形態を採ることができる。例えば、組付け準備エリア41で行われる準備には、上記例示の形態(SPS)の他、複数の部品P’をサブアセンブリ化した状態で組立てメインライン50に供給する場合には、サブアセンブリ化する作業などが含まれる。もちろん、組付け準備エリア41を組付け作業エリア42(組付けルーム40)と別ルームとして設けることもでき、あるいは省略することも可能である。また、組付け作業エリア42内に設置される組付けラインは組付けメインライン50に限らず、組付けサブライン60であってもよい(図1を参照)。すなわち、組付けサブライン60を有する組付け作業エリア42に部品P’を供給する設備にも、本発明に係る部品供給設備を適用することができる。
【0039】
また、上記実施形態では、自動車エンジンの部品組付け工程に本発明に係る部品供給設備を適用した場合を例にとって説明を行ったが、本発明は、自動車エンジン以外の部品組付け工程にも当然に適用することが可能である。
【0040】
また、上記以外の事項についても、本発明の技術的意義を没却しない限りにおいて他の具体的形態を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0041】
10 受け入れスペース
11 パレット
12 シュート
20 仕分けルーム
20b 側壁部
21 納入時の外箱の搬入スペース
22 新たな外箱の取扱いスペース
23,24 仕切り
25,26 作業台
27 シュート台車
28 架台
29 搬出口
30 搬送台車
31 載置面
32 鍔部
40 組付け ルーム
40b 側壁部
41 組付け準備エリア
42 組付け作業エリア
43 仕切り
44 搬入口
45 架台
46 仕切り
47 シュート
50 組付けメインライン
60 組付けサブライン
101 パレット
102 受け入れスペース
103 シュート(搬入用)
104 仕分けルーム
105 シュート(搬出用)
106 台車
107 組付けルーム
108 ゲート
109 シュート
110 組付けライン
1 納入時の外箱
2 新たな外箱
P,P’ 部品
p 部品本体
1,W2,W3,W4,W5,W6 作業者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から納入された複数種類の部品を搬入して所定の仕分け作業を行う仕分けルームと、該仕分けルームで仕分けた部品を組付けラインに供給して組付け作業を行う組付けルームとを備え、
前記仕分けルームの側壁部には前記部品の搬出口が設けられると共に、前記組付けルームの側壁部には前記部品の搬入口が設けられ、前記搬出口および搬入口の下方には、前記各ルームの床面を周囲の床面と区画する仕切りが立設されており、
前記仕分けルームには、前記仕分け後の部品を収容して前記仕切りに干渉することなく前記搬出口から前記仕分けルーム外に搬出することのできる収容体が配設され、
前記仕分けルームと前記組付けルームとの間に、前記仕分けルームから搬出された前記収容体を載置して前記組付けルームへ搬送する搬送台車が配設されている部品供給設備。
【請求項2】
前記複数種類の部品は、外箱に収容された状態で納入され、
前記仕分けルームは、前記仕分け作業の前に、前記納入時の外箱を新たな外箱に交換する外箱交換エリアを有している請求項1に記載の部品供給設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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