部品内蔵基板の製造方法、および部品内蔵基板製造用支持台
【課題】 電子部品が搭載された回路基板上に、樹脂層を設けてなる部品内蔵基板の製造方法において、熱処理工程において回路基板に反りが発生するのを抑制する。
【解決手段】 一方主面に複数の突起物が設けられた支持台を準備し、この支持台上に回路基板を設置したうえで、回路基板および突起物を覆うように、支持台上に樹脂層を設置するようにした。突起物のアンカー効果により、樹脂層が支持台に確実に拘束されるため、回路基板が反るのを抑制することができる。
【解決手段】 一方主面に複数の突起物が設けられた支持台を準備し、この支持台上に回路基板を設置したうえで、回路基板および突起物を覆うように、支持台上に樹脂層を設置するようにした。突起物のアンカー効果により、樹脂層が支持台に確実に拘束されるため、回路基板が反るのを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品内蔵基板の製造方法に関し、さらに詳しくは、熱処理工程において回路基板に反りが発生するのを抑制した部品内蔵基板の製造方法に関する。また、本発明は、部品内蔵基板製造用支持台に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、電子機器分野において、電子部品の高密度実装の要求から、電子部品を内蔵した部品内蔵基板が広く利用されている。この部品内蔵基板は、例えば、電子部品が搭載されたガラスエポキシやセラミックなどからなる回路基板上に、樹脂層を設け、さらに樹脂層上に配線パターンを形成した構造からなる。樹脂層上に形成された配線パターンにも電子部品を実装することにより、多数の電子部品を実装することができる。
【0003】
しかしながら、このような部品内蔵基板においては、製造中の熱処理工程、たとえば樹脂層を硬化させる工程や、樹脂層上に配線パターン用の金属箔を加熱プレスする工程などにおいて、回路基板が反ってしまう場合があった。この回路基板の反りは、回路基板と樹脂層の線膨張差に起因するものであり、回路基板が反ってしまうと、樹脂層に形成されるビア用の孔の形状が斜めになったり、いびつになったりしてしまい、ビアとランド電極との導通が取れなくなったり、接触面積の減少により接触抵抗が増大してしまうという問題があった。
【0004】
そのため、従来、部品内蔵基板の製造においては、回路基板の反り抑制に何らかの対策を講じなければならなかった。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2006−49762号公報)に開示された樹脂内蔵基板の製造方法では、所定の厚みを有する金属板上に電子部品(半導体部品)を接着剤によって固定し、その上に層間絶縁層(半硬化状態の樹脂)、および配線層を順次積層し、加熱プレスし、さらにビアを形成するなどした後、最後に金属板をエッチングや研磨により薄く加工して、配線層に利用している。
【0006】
すなわち、特許文献1に開示された樹脂内蔵基板の製造方法では、所定の厚みを有し硬性を備えた金属板を、製造工程では、反りを抑制し、層間絶縁層や配線層の平坦性を確保するための冶具として利用し、完成した樹脂内蔵基板においては、薄く加工して配線層に利用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−49762号公報
【発明の概要】
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の樹脂内蔵基板の製造方法では、金属板をエッチングや研磨により薄く加工しなければならず、製造が煩雑であり、コストが高くなってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した従来の樹脂内蔵基板の製造方法の問題を解決するためになされたものであり、その手段として、本発明の樹脂内蔵基板の製造方法は、電子部品が搭載された回路基板を準備する工程と、平板状で、一方主面に複数の突起物が設けられた支持台を準備する工程と、支持台の一方主面および突起物に、離型剤を塗布する工程と、支持台の一方主面の突起物が設けられていない部分に、回路基板を設置する工程と、回路基板および突起物を覆うように、支持台上に、液状または半硬化状の樹脂層を設置する工程と、樹脂層を硬化させる工程と、硬化した樹脂に覆われた回路基板を、支持台から分離する工程と、を備えるようにした。
【0011】
なお、突起物は、支持基板の一方主面の外周内、かつ外周近傍に設けるようにしても良い。また、突起物は、支持台の他方主面側から取り外し可能にしても良い。さらに、突起物は、ネジやピンとしても良い。
【発明の効果】
【0012】
上記の内容からなる、本発明の樹脂内蔵基板の製造方法によれば、煩雑な工程を経ることなく、回路基板の反りを確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す斜視図であり、
【図3】図2の鎖線A−A部分を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1〜12に、本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法の各工程を示す。なお、図1は一つの工程を示す断面図である。また、図2は他の一つの工程を示す斜視図であり、図3は図2の鎖線A−A部分を示す断面図である。さらに、図4〜12はそれぞれ、他の一つの工程を示す断面図である。なお、図1、図5〜12の各断面図において、回路基板に搭載された電子部品については、その内部の断面は示さずに側面を示した。
【0015】
本実施形態の樹脂内蔵基板の製造方法においては、まず、図1に示すように、電子部品2が実装された回路基板1を準備する。回路基板1は、例えば、平板状、四角形状からなり、ガラスエポキシやセラミックなどからなる。回路基板1の一方主面には、図示しないが、ランド電極や配線電極が形成され、ランド電極に電子部品2の端子電極が半田や導電性接着剤を用いて接続固定されている。電子部品2としては、半導体、コンデンサ、抵抗、コイルなどが、回路構成の必要に応じて適宜実装されている。
【0016】
次に、図2および3に示すように、一方主面に複数の突起物4が設けられた支持台3を準備する。支持台3は、例えば、平板状、四角形状からなり、ステンレスやアルミニウムなどからなる。突起物4は、円柱状の本体の外周にネジ山を有するネジ、またはネジ山を有さないピンであり、ステンレスやアルミニウムなどからなる。突起物4は、支持台3を貫通して形成された孔に、支持台3の他方主面側から、取り外しが可能な状態で取り付けられている。図2は、支持台3の外周内、かつ外周近傍に、8個の突起物4を設けた例である。なお、設けられる突起物4の数は任意であり、8個には限定されない。また、突起物4を構成するネジは、円柱状のものに限定されず、テーパーを有する円錐状のものであっても良い。また、突起物4を構成するピンは、円柱状のものに限定されず、テーパーを有する円錐状のものであっても良いし、さらには、三角柱状、三角錐状、四角柱状、四角錐状などのものであっても良い。
【0017】
次に、図4に示すように、支持台3の一方主面および突起物4に、離型剤5を塗布する。離型剤5としては、例えば、フッ素系のものや、シリコン系のものを用いることができる。
【0018】
次に、図5に示すように、支持台3の一方主面の突起物4が設けられていない部分に、電子部品2が実装された回路基板1を設置する。
【0019】
次に、図6に示すように、電子部品2が実装された回路基板1および突起物4を覆うように、支持台3上に、加熱されて半硬化状(半溶融状)になった樹脂層6を設置する。樹脂層6としては、例えば、エポキシ樹脂を用いることができる。
【0020】
次に、図7に示すように、樹脂層6上に金属箔7を設置したうえで、樹脂層6を加熱して硬化させる。金属箔7としては、例えば、銅箔を用いることができる。
【0021】
次に、図8に示すように、例えば、フォトリソ、エッチングにより金属箔7のビアが形成される位置に孔を形成した後、硬化した樹脂層6にレーザーを照射して、回路基板1の一方主面に形成されたランド電極(図示せず)に至るビア用の孔8を形成する。なお、孔8の形成方法はレーザーの照射には限定されず、ドリル加工する方法などを用いることもできる。
【0022】
次に、図9に示すように、孔8に、回路基板1のランド電極(図示せず)に導通するビア9を形成する。ビア9は、例えば、孔8に無電解めっきでシード層を形成したうえで、電解めっきおこなう方法や、孔8に導電性ペーストを充填し、硬化させる方法などにより形成することができる。なお、ビア9を構成する金属としては、例えば、銅や銀を用いることができる。
【0023】
次に、図10に示すように、樹脂層6上に設置された金属箔7を、例えば、エッチングなどの方法によりパターニングして、配線パターン7aを形成する。
【0024】
次に、突起物4を支持台3から取り外すことにより、図11に示すように、樹脂層6に覆われた回路基板1を、支持台3から分離する。なお、支持台3や突起物4は、再利用が可能である。
【0025】
樹脂層6に覆われた回路基板1が、単体の部品内蔵基板である場合には、以上の工程により、部品内蔵基板10は完成する。しかしながら、実際の製造工程においては、回路基板1を複数の部品内蔵基板を製造するためのマザー基板としておき、一度に多数の製品を製造することが多い。この場合には、図12に示すように、樹脂層6に覆われた回路基板1を、個々の樹脂層6aに覆われた回路基板1aに切断し、部品内蔵基板10Aを完成させる。なお、切断は、例えば、ダイサーを用いておこなうことができる。
【0026】
以上の工程からなる、本発明の第1の実施形態にかかる部品内蔵基板の製造方法によれば、回路基板1を設置した支持台3上に樹脂層6を設置した際に、支持台3に設けられた突起物4のアンカー効果により、樹脂層6が支持台3に確実に拘束されるため、その後、樹脂層6を加熱して硬化させる際などに、回路基板1が反るのを抑制することができる。この結果、従来、回路基板1の反りが原因となって生じていた、ビア9の導通不良や接触抵抗の増加といった不都合も抑制することができる。
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法においては、支持台3の一方主面に複数の突起物4を設けた後に、支持台3および突起物4に離型剤5を塗布している(図4参照)。
【0027】
本発明の第2の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法においては、これを変更し、予め、支持台3の一方主面に離型剤5を塗布し、また別途、突起物4にも離型剤5を塗布したうえで、支持台3の一方主面に突起物4を設けるようにした。
【0028】
その他の工程は、第1の実施形態と同様とした。
[第3の実施形態]
上述した第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法においては、支持台3の一方主面の突起物4が設けられていない部分に、電子部品2が実装された回路基板1を設置し(図5参照)、続いて、電子部品2が実装された回路基板1および突起物4を覆うように、支持台3上に、加熱されて半硬化状(半溶融状)の樹脂層6を設置している(図6参照)。
【0029】
本発明の第3の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法においては、これを変更し、加熱されて半硬化状(半溶融状)の樹脂層6ではなく、液状の樹脂層6を、電子部品2が実装された回路基板1および突起物4を覆うように、支持台3上に設置するようにした。
【0030】
なお、液状の樹脂層6が外部に流れないように、支持台3の外周に堰を設けても良い。
【0031】
支持台3上に、液状の樹脂6を設置した段階では、突起物4は樹脂6に対するアンカー効果を奏さないが、その後、樹脂6を加熱して硬化させる際に、徐々にアンカー効果を奏し、樹脂層6を支持台3に確実に拘束し、回路基板1が反るのを抑制することができる。
【0032】
第3の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法においては、その他の工程は、第1の実施形態と同様とした。
【符号の説明】
【0033】
1:回路基板
2:電子部品
3:支持台
4:突起物
5:離型剤
6:樹脂層
7:金属箔
7a:配線パターン
8:ビア用の孔
9:ビア
10、10A:部品内蔵基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品内蔵基板の製造方法に関し、さらに詳しくは、熱処理工程において回路基板に反りが発生するのを抑制した部品内蔵基板の製造方法に関する。また、本発明は、部品内蔵基板製造用支持台に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、電子機器分野において、電子部品の高密度実装の要求から、電子部品を内蔵した部品内蔵基板が広く利用されている。この部品内蔵基板は、例えば、電子部品が搭載されたガラスエポキシやセラミックなどからなる回路基板上に、樹脂層を設け、さらに樹脂層上に配線パターンを形成した構造からなる。樹脂層上に形成された配線パターンにも電子部品を実装することにより、多数の電子部品を実装することができる。
【0003】
しかしながら、このような部品内蔵基板においては、製造中の熱処理工程、たとえば樹脂層を硬化させる工程や、樹脂層上に配線パターン用の金属箔を加熱プレスする工程などにおいて、回路基板が反ってしまう場合があった。この回路基板の反りは、回路基板と樹脂層の線膨張差に起因するものであり、回路基板が反ってしまうと、樹脂層に形成されるビア用の孔の形状が斜めになったり、いびつになったりしてしまい、ビアとランド電極との導通が取れなくなったり、接触面積の減少により接触抵抗が増大してしまうという問題があった。
【0004】
そのため、従来、部品内蔵基板の製造においては、回路基板の反り抑制に何らかの対策を講じなければならなかった。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2006−49762号公報)に開示された樹脂内蔵基板の製造方法では、所定の厚みを有する金属板上に電子部品(半導体部品)を接着剤によって固定し、その上に層間絶縁層(半硬化状態の樹脂)、および配線層を順次積層し、加熱プレスし、さらにビアを形成するなどした後、最後に金属板をエッチングや研磨により薄く加工して、配線層に利用している。
【0006】
すなわち、特許文献1に開示された樹脂内蔵基板の製造方法では、所定の厚みを有し硬性を備えた金属板を、製造工程では、反りを抑制し、層間絶縁層や配線層の平坦性を確保するための冶具として利用し、完成した樹脂内蔵基板においては、薄く加工して配線層に利用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−49762号公報
【発明の概要】
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の樹脂内蔵基板の製造方法では、金属板をエッチングや研磨により薄く加工しなければならず、製造が煩雑であり、コストが高くなってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した従来の樹脂内蔵基板の製造方法の問題を解決するためになされたものであり、その手段として、本発明の樹脂内蔵基板の製造方法は、電子部品が搭載された回路基板を準備する工程と、平板状で、一方主面に複数の突起物が設けられた支持台を準備する工程と、支持台の一方主面および突起物に、離型剤を塗布する工程と、支持台の一方主面の突起物が設けられていない部分に、回路基板を設置する工程と、回路基板および突起物を覆うように、支持台上に、液状または半硬化状の樹脂層を設置する工程と、樹脂層を硬化させる工程と、硬化した樹脂に覆われた回路基板を、支持台から分離する工程と、を備えるようにした。
【0011】
なお、突起物は、支持基板の一方主面の外周内、かつ外周近傍に設けるようにしても良い。また、突起物は、支持台の他方主面側から取り外し可能にしても良い。さらに、突起物は、ネジやピンとしても良い。
【発明の効果】
【0012】
上記の内容からなる、本発明の樹脂内蔵基板の製造方法によれば、煩雑な工程を経ることなく、回路基板の反りを確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す斜視図であり、
【図3】図2の鎖線A−A部分を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法における一つの工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1〜12に、本発明の第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法の各工程を示す。なお、図1は一つの工程を示す断面図である。また、図2は他の一つの工程を示す斜視図であり、図3は図2の鎖線A−A部分を示す断面図である。さらに、図4〜12はそれぞれ、他の一つの工程を示す断面図である。なお、図1、図5〜12の各断面図において、回路基板に搭載された電子部品については、その内部の断面は示さずに側面を示した。
【0015】
本実施形態の樹脂内蔵基板の製造方法においては、まず、図1に示すように、電子部品2が実装された回路基板1を準備する。回路基板1は、例えば、平板状、四角形状からなり、ガラスエポキシやセラミックなどからなる。回路基板1の一方主面には、図示しないが、ランド電極や配線電極が形成され、ランド電極に電子部品2の端子電極が半田や導電性接着剤を用いて接続固定されている。電子部品2としては、半導体、コンデンサ、抵抗、コイルなどが、回路構成の必要に応じて適宜実装されている。
【0016】
次に、図2および3に示すように、一方主面に複数の突起物4が設けられた支持台3を準備する。支持台3は、例えば、平板状、四角形状からなり、ステンレスやアルミニウムなどからなる。突起物4は、円柱状の本体の外周にネジ山を有するネジ、またはネジ山を有さないピンであり、ステンレスやアルミニウムなどからなる。突起物4は、支持台3を貫通して形成された孔に、支持台3の他方主面側から、取り外しが可能な状態で取り付けられている。図2は、支持台3の外周内、かつ外周近傍に、8個の突起物4を設けた例である。なお、設けられる突起物4の数は任意であり、8個には限定されない。また、突起物4を構成するネジは、円柱状のものに限定されず、テーパーを有する円錐状のものであっても良い。また、突起物4を構成するピンは、円柱状のものに限定されず、テーパーを有する円錐状のものであっても良いし、さらには、三角柱状、三角錐状、四角柱状、四角錐状などのものであっても良い。
【0017】
次に、図4に示すように、支持台3の一方主面および突起物4に、離型剤5を塗布する。離型剤5としては、例えば、フッ素系のものや、シリコン系のものを用いることができる。
【0018】
次に、図5に示すように、支持台3の一方主面の突起物4が設けられていない部分に、電子部品2が実装された回路基板1を設置する。
【0019】
次に、図6に示すように、電子部品2が実装された回路基板1および突起物4を覆うように、支持台3上に、加熱されて半硬化状(半溶融状)になった樹脂層6を設置する。樹脂層6としては、例えば、エポキシ樹脂を用いることができる。
【0020】
次に、図7に示すように、樹脂層6上に金属箔7を設置したうえで、樹脂層6を加熱して硬化させる。金属箔7としては、例えば、銅箔を用いることができる。
【0021】
次に、図8に示すように、例えば、フォトリソ、エッチングにより金属箔7のビアが形成される位置に孔を形成した後、硬化した樹脂層6にレーザーを照射して、回路基板1の一方主面に形成されたランド電極(図示せず)に至るビア用の孔8を形成する。なお、孔8の形成方法はレーザーの照射には限定されず、ドリル加工する方法などを用いることもできる。
【0022】
次に、図9に示すように、孔8に、回路基板1のランド電極(図示せず)に導通するビア9を形成する。ビア9は、例えば、孔8に無電解めっきでシード層を形成したうえで、電解めっきおこなう方法や、孔8に導電性ペーストを充填し、硬化させる方法などにより形成することができる。なお、ビア9を構成する金属としては、例えば、銅や銀を用いることができる。
【0023】
次に、図10に示すように、樹脂層6上に設置された金属箔7を、例えば、エッチングなどの方法によりパターニングして、配線パターン7aを形成する。
【0024】
次に、突起物4を支持台3から取り外すことにより、図11に示すように、樹脂層6に覆われた回路基板1を、支持台3から分離する。なお、支持台3や突起物4は、再利用が可能である。
【0025】
樹脂層6に覆われた回路基板1が、単体の部品内蔵基板である場合には、以上の工程により、部品内蔵基板10は完成する。しかしながら、実際の製造工程においては、回路基板1を複数の部品内蔵基板を製造するためのマザー基板としておき、一度に多数の製品を製造することが多い。この場合には、図12に示すように、樹脂層6に覆われた回路基板1を、個々の樹脂層6aに覆われた回路基板1aに切断し、部品内蔵基板10Aを完成させる。なお、切断は、例えば、ダイサーを用いておこなうことができる。
【0026】
以上の工程からなる、本発明の第1の実施形態にかかる部品内蔵基板の製造方法によれば、回路基板1を設置した支持台3上に樹脂層6を設置した際に、支持台3に設けられた突起物4のアンカー効果により、樹脂層6が支持台3に確実に拘束されるため、その後、樹脂層6を加熱して硬化させる際などに、回路基板1が反るのを抑制することができる。この結果、従来、回路基板1の反りが原因となって生じていた、ビア9の導通不良や接触抵抗の増加といった不都合も抑制することができる。
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法においては、支持台3の一方主面に複数の突起物4を設けた後に、支持台3および突起物4に離型剤5を塗布している(図4参照)。
【0027】
本発明の第2の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法においては、これを変更し、予め、支持台3の一方主面に離型剤5を塗布し、また別途、突起物4にも離型剤5を塗布したうえで、支持台3の一方主面に突起物4を設けるようにした。
【0028】
その他の工程は、第1の実施形態と同様とした。
[第3の実施形態]
上述した第1の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法においては、支持台3の一方主面の突起物4が設けられていない部分に、電子部品2が実装された回路基板1を設置し(図5参照)、続いて、電子部品2が実装された回路基板1および突起物4を覆うように、支持台3上に、加熱されて半硬化状(半溶融状)の樹脂層6を設置している(図6参照)。
【0029】
本発明の第3の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法においては、これを変更し、加熱されて半硬化状(半溶融状)の樹脂層6ではなく、液状の樹脂層6を、電子部品2が実装された回路基板1および突起物4を覆うように、支持台3上に設置するようにした。
【0030】
なお、液状の樹脂層6が外部に流れないように、支持台3の外周に堰を設けても良い。
【0031】
支持台3上に、液状の樹脂6を設置した段階では、突起物4は樹脂6に対するアンカー効果を奏さないが、その後、樹脂6を加熱して硬化させる際に、徐々にアンカー効果を奏し、樹脂層6を支持台3に確実に拘束し、回路基板1が反るのを抑制することができる。
【0032】
第3の実施形態にかかる樹脂内蔵基板の製造方法においては、その他の工程は、第1の実施形態と同様とした。
【符号の説明】
【0033】
1:回路基板
2:電子部品
3:支持台
4:突起物
5:離型剤
6:樹脂層
7:金属箔
7a:配線パターン
8:ビア用の孔
9:ビア
10、10A:部品内蔵基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が搭載された回路基板を準備する工程と、
平板状で、一方主面に複数の突起物が設けられた支持台を準備する工程と、
前記支持台の一方主面および前記突起物に、離型剤を塗布する工程と、
前記支持台の一方主面の前記突起物が設けられていない部分に、前記回路基板を設置する工程と、
前記回路基板および前記突起物を覆うように、前記支持台上に、液状または半硬化状の樹脂層を設置する工程と、
前記樹脂層を硬化させる工程と、
前記硬化した樹脂に覆われた前記回路基板を、前記支持台から分離する工程と、を備えたことを特徴とする部品内蔵基板の製造方法。
【請求項2】
前記突起物が、前記支持基板の一方主面の外周内、かつ外周近傍に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載された部品内蔵基板の製造方法。
【請求項3】
前記突起物が、前記支持台の他方主面側から取り外し可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載された部品内蔵基板の製造方法。
【請求項4】
前記突起物が、ネジであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された部品内蔵基板の製造方法。
【請求項5】
前記突起物が、ピンであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された部品内蔵基板の製造方法。
【請求項6】
平板状で、一方主面に、他方主面側に取り外し可能な複数の突起物が設けられたことを特徴とする部品内蔵基板製造用支持台。
【請求項1】
電子部品が搭載された回路基板を準備する工程と、
平板状で、一方主面に複数の突起物が設けられた支持台を準備する工程と、
前記支持台の一方主面および前記突起物に、離型剤を塗布する工程と、
前記支持台の一方主面の前記突起物が設けられていない部分に、前記回路基板を設置する工程と、
前記回路基板および前記突起物を覆うように、前記支持台上に、液状または半硬化状の樹脂層を設置する工程と、
前記樹脂層を硬化させる工程と、
前記硬化した樹脂に覆われた前記回路基板を、前記支持台から分離する工程と、を備えたことを特徴とする部品内蔵基板の製造方法。
【請求項2】
前記突起物が、前記支持基板の一方主面の外周内、かつ外周近傍に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載された部品内蔵基板の製造方法。
【請求項3】
前記突起物が、前記支持台の他方主面側から取り外し可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載された部品内蔵基板の製造方法。
【請求項4】
前記突起物が、ネジであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された部品内蔵基板の製造方法。
【請求項5】
前記突起物が、ピンであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された部品内蔵基板の製造方法。
【請求項6】
平板状で、一方主面に、他方主面側に取り外し可能な複数の突起物が設けられたことを特徴とする部品内蔵基板製造用支持台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−82300(P2011−82300A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232463(P2009−232463)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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