説明

郵便物区分装置の郵便物方向変換機構

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は異なる多数の郵便物を配達区域毎に自動で区分けする郵便物区分装置の郵便物方向変換機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、異なる多数の郵便物を配達区域毎に自動で区分けする郵便物区分装置としては、特開昭62−266186号公報で開示される郵便物自動区分機が知られている。
【0003】同公報に開示される郵便物自動区分機をはじめとする従来の郵便物区分装置は、一般に、郵便物を導入する郵便物導入系と、この郵便物導入系から供給される郵便物を目標の区分ボックスまで搬送する郵便物区分系を備え、郵便物導入系において郵便物の郵便番号が入力(読取り)されるとともに、郵便物はこの郵便番号に基づいて郵便物区分系に備える目標の区分ボックスまで搬送される。
【0004】一方、搬送された郵便物を目標の区分ボックスに取り込む取込機構としては、実開昭64−39356号公報で知られている。この取込機構は、水平方向に順次配列し、かつスイング式に取付けた複数の搬送コンベアを備えるとともに、各搬送コンベアの下方にそれぞれ区分ボックスを配し、郵便物を区分ボックスに取り込む際は、当該区分ボックスの手前に位置する搬送コンベアを前下がりに傾斜させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来の郵便物区分装置では、搬送コンベアをスイングさせて郵便物を取込み又は通過させるため、郵便物の長手方向を搬送方向に対して直角にして搬送することが、区分処理の高速化と円滑化を図る上で有利である。
【0006】したがって、郵便物導入系における搬送経路の構成等により、郵便物の長手方向が搬送方向に対して平行となる場合には、郵便物の方向を90゜変換する必要がある。
【0007】しかし、従来は、例えば、吸着機構等により郵便物を一旦持上げて90゜回転させるなどの複雑な機構により方向変換を行っていたため、装置全体のコストアップや大型化を招くとともに、郵便物の方向変換処理に時間がかかる問題があった。
【0008】本発明はこのような従来の技術に存在する課題を解決したものであり、構造の著しい単純化により低コスト化及び小型化を図れるとともに、郵便物の方向変換処理を迅速に行うことができる郵便物区分装置の郵便物方向変換機構の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び実施の形態】本発明は、搬送される郵便物M…の方向を略直角方向に変換する郵便物区分装置Dの郵便物方向変換機構1を構成するに際して、郵便物M…の搬送経路内に、正方向又は逆方向に回転移動して郵便物M…を二方向に振り分ける振分コンベア部7を兼ねる第一コンベア4と第二コンベア5を搬送方向に順次配設し、かつ第一コンベア4と第二コンベア5間にオフセット部6を設けるとともに、このオフセット部6により生じた第一コンベア4の搬送方向前方の空間6sに、搬送される郵便物M…の一端寄りが当接する当接部3を配設したことを特徴とする。
【0010】この場合、好適な実施の形態により、当接部3は、板材3bをL形に折曲して形成し、望ましくは郵便物M…の端部Msが最初に当接する傾斜面3fsを有する当接面部3fを利用してもよいし、或いは起立した当接ピン部3pを利用してもよい。
【0011】これにより、第一コンベア4上の郵便物Mが第二コンベア5側に搬送されれば、郵便物Mの一端寄りが当接部3に当接し、その移動が阻止されるとともに、郵便物Mの他端側は、第二コンベア5により搬送されるため、郵便物Mは当接部3を支点として回動し、搬送されるに従って略直角方向に変換される。この際、第一コンベア4と第二コンベア5間にオフセット部6を設けたため、郵便物Mの一端側は第一コンベア5との接触(摩擦)が無くなる。また、第一コンベア4を逆方向に回転移動させることにより、第一コンベア4に搬送された郵便物Mを方向変換することなく、他方向に搬送することができ、郵便物Mに対して二方向への振り分けと方向変換の選択が可能になる。なお、当接部3として、板材3bをL形に折曲して形成し、郵便物Mの端部Msが当接する傾斜面3fsを設ければ、最初に当該端部Msを支点として郵便物Mが回動するため、郵便物Mの方向変換が円滑かつ確実に行われる。
【0012】
【実施例】次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0013】まず、本実施例に係る郵便物方向変換機構1を備える郵便物区分装置Dの構成について、図1〜図8R>8を参照して説明する。
【0014】郵便物区分装置Dは図2及び図3に示すように、大別して、郵便物M…を導入する郵便物導入系Siと、この郵便物導入系Siから供給される郵便物M…を目標の区分ボックスB…まで搬送する郵便物区分系Sdからなり、郵便物区分系Sdは、さらに、第一郵便物区分系Sdxと第二郵便物区分系Sdyからなる。
【0015】また、郵便物導入系Siは複数(実施例は三台)の導入ユニット20a,20b,20cを備える。この場合、一台の導入ユニット20aは基本ユニットであり、他の二台の導入ユニット20b,20cは増設ユニットとなる。増設ユニットとなる導入ユニット20b(20cも同じ)は、第一供給コンベアユニット9xuを備えるユニット本体21と第二供給コンベアユニット9yuからなる。これにより、増設時には、図2に示すように、各第一供給コンベアユニット9xu…同士を順次連結することにより一体化して第一供給コンベア部9xを構成するとともに、各第二供給コンベアユニット9yu…を各ユニット本体21…に組付け、さらに、各第二供給コンベアユニット9yu…同士を順次連結することにより一体化して第二供給コンベア部9yを構成する。
【0016】そして、第一供給コンベア部9xの搬送方向先端は、第一郵便物区分系Sdxにおける垂直方向区分ユニット60に備える搬送コンベア22に接続する。この場合、搬送コンベア22とこの搬送コンベア22に接続する第一供給コンベア部9xに備える搬送コンベア9xdは直角搬送部23を構成する。この直角搬送部23は、図7に示すように、搬送コンベア22を搬送コンベア9xdに対して段差を介して下方に配設するとともに、直角方向に組み合わせる。一方、第二供給コンベア部9yの搬送方向先端は、第二郵便物区分系Sdyにおける垂直方向区分ユニット61に備える搬送コンベア24に接続する。この場合、搬送コンベア24と第二供給コンベア部9yは直線上に接続する。
【0017】次に、導入ユニット20aの具体的構成について、図4〜図6を参照して説明する。なお、他の導入ユニット20b,20cも基本的な構成は導入ユニット20aと同じである。
【0018】ユニット本体21は機体26を備え、この機体26には導入機構部25を備える。導入機構部25は導入コンベア部2を備え、この導入コンベア部2は搬送方向後側に配設したフィードコンベア部27と、同前側に配設した投入コンベア部8からなるとともに、このフィードコンベア部27は、さらに、第一フィードコンベア27aと第二フィードコンベア27bからなる。また、フィードコンベア部27と投入コンベア部8の間には、昇降により郵便物Mの通過を遮断し又は通過を許容するシャッタ機構部29を設ける。なお、第一フィードコンベア27aの側方に位置する機体26の内壁面26aは、第二フィードコンベア27b及び投入コンベア部8の側方に位置する機体26の内壁面26bよりもコンベア側にオフセットさせる。これにより、郵便物Mが内壁面26bに接触するのを回避できる。
【0019】一方、第一フィードコンベア27aの搬送方向右方に位置する機体26にはテーブル29を配設する。作業者Hはこのテーブル29の手前で作業を行うことができる。また、第一フィードコンベア27aの搬送方向左方に位置する機体26上にはディスプレイ30を配設する。なお、31は郵便物M…を収容するスタッカであり、ユニット本体21の隣にセットする。31Lはスタッカ31の内部に収容した郵便物M…を順次上昇させるリフト機構部である。
【0020】また、導入機構部25は郵便物Mに関する情報を入力する情報入力部32を備える。情報入力部32は、テーブル29上に設けた郵便番号等を入力するキーボード33をはじめ、投入コンベア部8の上方に支持フレーム35を介して支持されるバーコードリーダ36、第一フィードコンベア27aの近傍に付設して郵便物Mがセットされたことを検出する第一センサ37、郵便物Mのサイズを検出する第二センサ38、郵便物Mの高さを検出する第三センサ39、郵便物Mが第二フィードコンベア27bに到達したことを検出する第四センサ40、第二フィードコンベア27bを駆動する駆動モータのトルクに基づいて郵便物Mの重量を検出する第五センサ42等の各種センサを含む。
【0021】なお、図5中、43は第一フィードコンベア27aを駆動する駆動モータ及び伝達機構を含む駆動部、44は第二フィードコンベア27bを駆動する駆動モータ及び伝達機構を含む駆動部、45は投入コンベア部8を駆動する駆動モータ及び伝達機構を含む駆動部をそれぞれ示す。
【0022】一方、投入コンベア部8の搬送方向前方には、振分コンベア部7を配設する。振分コンベア部7は投入コンベア部8に対して段差を介して下方に配設する。振分コンベア部7は図1に示すように、順次配設した第一コンベア4と第二コンベア5を備える。また、第二コンベア5の横方における郵便物Mの搬送経路内には、郵便物Mの一端寄りが当接する当接部3を固定した状態で配設する。この場合、第一コンベア4と第二コンベア5間にはオフセット部6を設けるとともに、オフセット部6により生じた第一コンベア4の搬送方向前方の空間6sに当接部3を配設する。当接部3は、板材3bをL形に折曲して形成した当接面部3fを有するとともに、郵便物Mの端部Msが最初に当接する傾斜面3fsを有する。これにより、当接部3,第一コンベア4及び第二コンベア5は、郵便物Mの方向を略直角方向に変換する郵便物方向変換機構1を構成する。なお、第一コンベア4及び第二コンベア5は駆動モータ及び伝達機構を含む駆動部48により、正方向又は逆方向に回転移動する。
【0023】そして、振分コンベア部7の搬送方向前方及び後方には、第一供給コンベアユニット9xu及び第二供給コンベアユニット9yuをそれぞれ配する。この場合、第一供給コンベアユニット9xu及び第二供給コンベアユニット9yuは振分コンベア部7よりも下方に位置する。また、第一供給コンベアユニット9xuは四つの独立した搬送コンベア9xa,9xb,9xc,9xdを連結して構成し、搬送方向最後端の搬送コンベア9xaの上方には待機コンベア9xsを設ける。なお、待機コンベア9xsは振分コンベア部7よりも下方に位置し、郵便物Mは振分コンベア部7から待機コンベア9xs上に投入される。
【0024】また、第二供給コンベアユニット9yuも四つの独立した搬送コンベア9ya,9yb,9yc,9ydを連結して構成し、搬送方向最後端の搬送コンベア9yaの上方には待機コンベア9ysを設ける。待機コンベア9ysは振分コンベア部7よりも下方に位置し、郵便物Mは振分コンベア部7から待機コンベア9ys上に投入される。
【0025】この場合、第一供給コンベアユニット9xuにより搬送される郵便物Mの長手方向は搬送方向に一致するため、第一供給コンベアユニット9xuの幅寸法は、第二供給コンベアユニット9yuの幅寸法よりも小さくできる。なお、図6中、51,52,53,54,55は搬送コンベア9ya,9yb,9yc,9yd,9ysを駆動する駆動モータ及び伝達機構を含む駆動部をそれぞれ示す。
【0026】次に、第一郵便物区分系Sdxの具体的構成について、図7及び図8を参照して説明する。なお、第二郵便物区分系Sdyは第一郵便物区分系Sdxに対して対称的に構成する点を除き、基本的な構成は第一郵便物区分系Sdxと同じである。
【0027】第一郵便物区分系Sdxは図2及び図3に示すように、垂直方向区分ユニット60と、この垂直方向区分ユニット60の後端に順次連結する複数の水平方向区分ユニット90a,90b,90c…からなる。この水平方向区分ユニット90a,90b,90c…は任意に拡張又は縮小可能である。
【0028】垂直方向区分ユニット60は、下部に水平方向の主コンベア部72を有する。主コンベア部72は、固定した搬送コンベア73…と、搬送方向後側を回動支点として前側が昇降するスイング式の切換コンベア74…を交互に配列させて構成する。また、垂直方向区分ユニット60における水平方向区分ユニット90aに結合する部位には、上下方向に計五段に配した水平な搬送コンベア75…を配設する。各搬送コンベア75…は搬送方向後側を回動支点として前側が昇降するスイング式に取付ける。これにより、水平となる通過位置又は前下がりとなる取込位置に選択的に変位する。そして、二段目の搬送コンベア75と搬送方向最前部の切換コンベア74間、三段目の搬送コンベア75と搬送方向における前から二番目の切換コンベア74間、四段目の搬送コンベア75と同三番目の切換コンベア74間、最上段の搬送コンベア75と搬送方向最後部の切換コンベア74間には、それぞれ斜めに配した傾斜コンベア76…を架設する。この場合、各傾斜コンベア76…の上端は対応する各搬送コンベア75…に接続するとともに、各傾斜コンベア76…の下端は対応する各切換コンベア74…の上方に位置させる。これにより、各切換コンベア74…の前側を前上がりの取込位置に変位させれば、各切換コンベア74…は各傾斜コンベア76…の下端に接続されるとともに、各切換コンベア74…の前側を水平となる通過位置に変位させれば、各切換コンベア74…は搬送方向前方の搬送コンベア73…に接続される。なお、切換コンベア74…を前方の搬送コンベア73…に接続した際は、傾斜コンベア76…の下端と主コンベア部72間に郵便物M…が通過する隙間が生ずる。
【0029】図中、77は搬送コンベア73及び切換コンベア74を駆動する駆動モータ及び伝達機構を含む駆動部、78は回転するクランク軸により切換コンベア74の前側を昇降させる昇降機構、79は傾斜コンベア76及び搬送コンベア75を駆動する駆動モータ及び伝達機構を含む駆動部をそれぞれ示す。各駆動部77,79及び昇降機構78は便宜上一組だけを図示した。なお、傾斜コンベア76は必要により複数のコンベアを組合わせて構成してもよい。また、最上段に位置する傾斜コンベア76の上方には正面視三角形状のデッドスペースが生ずるため、このデッドスペースを利用して、各種周辺機器80や制御盤81等を配設する。
【0030】他方、水平方向区分ユニット90a…は、図3に示すように、縦五段,横四列の計二十の区分ボックスB…を備える。図8に、水平方向区分ユニット90aにおける最上段の原理構成を示す。なお、一段目から四段目までは図示しないが、当該最上段の構成と同じである。最上段の構成は着脱式の四個の区分ボックスB…が水平方向に順次配されるとともに、各区分ボックスB…の上方には四つの搬送コンベア91…をそれぞれ配設する。各搬送コンベア91…は垂直方向区分ユニット60に設けた搬送コンベア75と同一の水平面上に配列する。また、各搬送コンベア91…は搬送方向後側を回動支点として前側が昇降するスイング式に取付ける。これにより、実線で示した水平の通過位置又は仮想線で示した前下がりの取込位置に選択的に変位する。なお、92は各搬送コンベア91…を駆動する駆動モータ及び伝達機構を含む駆動部、93は回転するクランク軸により搬送コンベア91の前側を昇降させる昇降機構を示す。この昇降機構93は便宜上一組だけを図示した。
【0031】次に、本実施例に係る郵便物方向変換機構1を備える郵便物区分装置Dの全体の動作について、図1R>1〜図8を参照して説明する。なお、郵便物M…を収容したスタッカ31…は導入ユニット20a…の隣にセッティングする。
【0032】まず、作業者Hはスタッカ31から郵便物Mを取り出し、キーボード33により郵便番号を入力するとともに、郵便物Mを第一フィードコンベア27a上の定位置に載せる。この場合、郵便物Mの短辺は内壁面26aに当接させる。なお、郵便番号は数字読取装置により自動で読取らせてもよい。
【0033】第一フィードコンベア27a上の郵便物Mは、第一センサ37により検出され、第一フィードコンベア27a及び第二フィードコンベア27bが回転移動する。これにより、郵便物Mは第一フィードコンベア27aから第二フィードコンベア27bに搬送される。第二フィードコンベア27bに搬送された郵便物Mはシャッタ機構部29に係止して搬送が遮断されるとともに、第四センサ40によりその到達が検出され、第一フィードコンベア27a及び第二フィードコンベア27bの回転移動が停止する。そして、第二センサ38により郵便物Mのサイズが検出され、大型郵便物の場合にはその旨がランプやブザー等で報知される。また、第三センサ39により郵便物Mの高さが検出されるとともに、第五センサ42により郵便物Mの重量が検出され、規定値を越えている場合には、ランプやブザー等で報知される。これにより、いずれの場合も作業者Hは当該郵便物Mを取り去ることができる。
【0034】一方、郵便物Mが規定を満たしている場合には、シャッタ機構部29が下降して郵便物Mの搬送が許容される。したがって、作業者Hが次の郵便物Mを第一フィードコンベア27a上に載せれば、第一フィードコンベア27a及び第二フィードコンベア27bが回転移動するため、第二フィードコンベア27b上の郵便物Mは投入コンベア部8に搬送される。投入コンベア部8は常時回転移動しており、第二フィードコンベア27bから搬送された郵便物Mは、投入コンベア部8を介して振分コンベア部7に搬送される。この場合、投入コンベア部8と振分コンベア部7の相対高さ及び投入コンベア部8の移動速度の設定により、郵便物Mを第一コンベア4上の定位置に投入できる。なお、郵便物M(書留郵便物)のバーコードは投入コンベア部8により搬送される際に、バーコードリーダ36によって読取られる。
【0035】そして、郵便物Mが振分コンベア部7に搬送されれば、不図示のセンサにより検出され、キーボード33から入力した郵便番号に基づいて、振分コンベア部7(第一コンベア4及び第二コンベア5)は正方向又は逆方向に回転移動し、郵便物M…は第一供給コンベア部9x又は第二供給コンベア部9yにそれぞれ振り分けられる。
【0036】即ち、郵便物Mを第一郵便物区分系Sdxに供給する場合には、振分コンベア部7が正方向に回転移動し、第一コンベア4上の郵便物Mは、そのまま第一供給コンベア部9xの待機コンベア9xs上に投入される。他方、郵便物Mを第二郵便物区分系Sdyに供給する場合には、振分コンベア部7が逆方向に回転移動し、第一コンベア4上の郵便物Mは、郵便物方向変換機構1を介して第二供給コンベア部9yの待機コンベア9ys上に投入される。郵便物方向変換機構1では郵便物Mの一端寄りが当接部3に当接し、その移動が阻止されるとともに、郵便物Mの他端側は、第二コンベア5により搬送されるため、郵便物Mは当接部3を支点として回動し、搬送されるに従って略直角方向に変換される。
【0037】この際、第一コンベア4と第二コンベア5間にはオフセット部6を有するため、郵便物Mの一端側は第一コンベア5との接触(摩擦)が無くなるとともに、当接部3は、板材3bをL形に折曲して形成し、郵便物Mの端部Msが当接する傾斜面3fsを有するため、最初に当該端部Msを支点として郵便物Mが回動し、郵便物Mの方向変換が円滑かつ確実に行われる。よって、郵便物Mの方向は図1に仮想線で示すように、搬送されるに従って略直角方向に変換される。
【0038】なお、振分コンベア部7と待機コンベア9xs,9ysの相対高さ及び振分コンベア部7の移動速度の設定により、郵便物Mを待機コンベア9xs,9ys上の定位置に投入できる。
【0039】一方、待機コンベア9xs,9ys上の郵便物Mは、当該待機コンベア9xs,9ysの回転移動により、搬送コンベア9xb,9yb上に投入される。なお、通常は複数の導入ユニット20a…により同時に作業が行われるため、他の導入ユニットから搬送される郵便物Mは、搬送コンベア9xa,9yaを通って搬送される。したがって、待機コンベア9xs,9ys上の郵便物Mは、搬送コンベア9xb,9ybが空くのを待って搬送される。また、各搬送コンベア9xa…,9ya…は間欠搬送を行う。即ち、各搬送コンベア9xa…,9ya…におけるコンベアベルトが半回転移動した後に一旦停止する動作を繰り返す。
【0040】そして、郵便物M…は第一供給コンベア部9xを介して第一郵便物区分系Sdxに、また、第二供給コンベア部9yを介して第二郵便物区分系Sdyにそれぞれ供給される。この場合、第一供給コンベア部9xには直角搬送部23を含むため、搬送コンベア9xd及び22を介して直角方向に搬送される。なお、搬送コンベア9xdと22の相対高さ及び搬送コンベア9xdの移動速度の設定により、郵便物Mを搬送コンベア22上の定位置に投入できる。この搬送コンベア9xd及び22は常時回転移動する。
【0041】ところで、郵便物Mを第一郵便物区分系Sdx及び第二郵便物区分系Sdyに供給する場合、搬送方向に対して郵便物Mの長辺を直角方向にすることが、高速化及び円滑な動作を確保する上で望ましい。このため、直角搬送部を構成する場合、通常は円弧形に湾曲した曲線コンベア等を用いることによって、郵便物Mの方向が変更されないようにしているが、本実施例では段差を介して直角方向に組み合わせた一対のコンベアにより直角搬送部を構成するとともに、振分コンベア部7に付設した郵便物方向変換機構1により郵便物Mの方向を修正し、これにより、構造の簡略化と郵便物Mの方向性維持を図った。
【0042】他方、第一郵便物区分系Sdx(第二郵便物区分系Sdyも同じ)に供給された郵便物Mは、主コンベア部72により搬送されるとともに、切換コンベア74の切換えにより傾斜コンベア76に搬送される。図7R>7は、一例として水平方向区分ユニット90aの三段目に搬送する場合を示す。この場合には、搬送方向における前から二番目の切換コンベア74を前上がりの取込位置に変位させる。これにより、郵便物Mは矢印Fに沿って傾斜コンベア76に取込まれる。なお、切換コンベア74の切換タイミングは、各搬送コンベア73…に郵便物Mの通過を検出するセンサを付設し、予め設定したN個(例えば、二個)手前における搬送コンベア73のセンサが検出したことに基づいて、対応する切換コンベア74を取込位置に変位させる。また、切換コンベア74に付設したセンサにより、郵便物Mが傾斜コンベア76に搬送したことを検出して切換コンベア74を水平となる通過位置に変位させる。
【0043】そして、郵便物Mが目標の区分ボックスBに近付いたなら、当該区分ボックスBの手前の搬送コンベア91を前下がりの取込位置に変位させ、郵便物Mを区分ボックスBに投入させる。図8は、一例として搬送方向最前部に位置する区分ボックスBに取込む場合を示す。この場合、搬送方向における前から二番目の搬送コンベア91を仮想線で示す前下がりの取込位置に変位させて郵便物Mを取込むとともに、郵便物Mの取込みが終了したなら、実線で示す水平となる通過位置に変位させる。なお、搬送コンベア91を取込位置に変位させるタイミングは、各搬送コンベア91…に郵便物Mの通過を検出するセンサを付設し、予め設定したN個(例えば、二個)手前における搬送コンベア91のセンサが検出したことに基づいて、対応する搬送コンベア91を取込位置に変位させる。また、搬送コンベア91に付設したセンサにより郵便物Mの取込みが終了したことを検出し、搬送コンベア91を水平となる通過位置に変位させる。
【0044】以上、実施例について詳細に説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではない。
【0045】例えば、当接部3は図9に示すように、起立した当接ピン部3pを利用してもよい。また、郵便物方向変換機構1は第一コンベア4側及び第二コンベア5側の双方に設けてもよい。さらにまた、各コンベアは駆動ローラと空転ローラ間に単一又は複数の無端ベルトを架設したベルトコンベアを例示したが、他形式のコンベアの使用を妨げるものではない。その他、細部の構成,形状,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更できる。
【0046】
【発明の効果】このように、本発明に係る郵便物区分装置の郵便物方向変換機構は、郵便物の搬送経路内に、正方向又は逆方向に回転移動して郵便物を二方向に振り分ける振分コンベア部を兼ねる第一コンベアと第二コンベアを搬送方向に順次配設し、かつ第一コンベアと第二コンベア間にオフセット部を設けるとともに、オフセット部により生じた第一コンベアの搬送方向前方の空間に、搬送される郵便物の一端寄りが当接する当接部を配設することにより、郵便物の方向を略直角方向に変換するようにしたため、構造の著しい単純化により低コスト化及び小型化を図れるとともに、郵便物の方向変換処理を迅速に行うことができることに加え、郵便物の一端側は第一コンベアとの接触(摩擦)が無くなるため、郵便物の方向変換が円滑かつ確実に行われるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る郵便物方向変換機構の平面図、
【図2】同郵便物方向変換機構を備える郵便物区分装置の全体平面図、
【図3】同郵便物区分装置の全体斜視図、
【図4】同郵便物区分装置における導入ユニットの平面図、
【図5】同郵便物区分装置における導入ユニットの正面図、
【図6】同郵便物区分装置における導入ユニットの側面図、
【図7】同郵便物区分装置における垂直方向区分ユニットの正面図、
【図8】同郵便物区分装置における水平方向区分ユニットの一部を示す原理構成図、
【図9】本発明の変更実施例に係る郵便物方向変換機構の平面図、
【符号の説明】
D 郵便物区分装置
1 郵便物方向変換機構
3 当接部
3b 板材
3fs 傾斜面
3f 当接面部
3p 当接ピン部
4 第一コンベア
5 第二コンベア
6 オフセット部
6s 空間
7 振分コンベア部
M… 郵便物
Ms 郵便物の端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 搬送される郵便物の方向を略直角方向に変換する郵便物区分装置の郵便物方向変換機構において、郵便物の搬送経路内に、正方向又は逆方向に回転移動して郵便物を二方向に振り分ける振分コンベア部を兼ねる第一コンベアと第二コンベアを搬送方向に順次配設し、かつ第一コンベアと第二コンベア間にオフセット部を設けるとともに、前記オフセット部により生じた前記第一コンベアの搬送方向前方の空間に、搬送される郵便物の一端寄りが当接する当接部を配設したことを特徴とする郵便物区分装置の郵便物方向変換機構。
【請求項2】 前記当接部は板材をL形に折曲して形成した当接面部であることを特徴とする請求項1記載の郵便物区分装置の郵便物方向変換機構。
【請求項3】 前記当接面部は郵便物の端部が最初に当接する傾斜面を有することを特徴とする請求項2記載の郵便物区分装置の郵便物方向変換機構。
【請求項4】 前記当接部は起立した当接ピン部であることを特徴とする請求項1記載の郵便物区分装置の郵便物方向変換機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【特許番号】第2946301号
【登録日】平成11年(1999)7月2日
【発行日】平成11年(1999)9月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−139135
【出願日】平成8年(1996)5月31日
【公開番号】特開平9−314066
【公開日】平成9年(1997)12月9日
【審査請求日】平成8年(1996)12月26日
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000214836)長野日本無線株式会社 (140)
【参考文献】
【文献】特開 平6−286855(JP,A)
【文献】実開 昭50−106872(JP,U)