説明

配向性ストランドボード

コア層と2つの表層とを含み、表層が接着剤組成物を含み、表層の少なくとも1つの接着剤組成物が、メラミンと、ホルムアルデヒドと、任意でウレアと、芳香族ヒドロキシル化合物とを含む樹脂組成物を含み、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:0.8〜4.0であり、メラミン対ウレアのモル比が1:0〜2.0であり、メラミン対芳香族ヒドロキシル化合物のモル比が1:0〜2.0である配向性ストランドボード(OSB)。好ましい実施形態において、表層とコア層の両方が接着剤組成物を含む。本発明によるOSBは、EN300規格において、OSB/3およびOSB/4の要件に適合し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア層と、2つの表層とを含み、少なくとも表層が接着剤組成物を含む、配向性ストランドボード(OSB)に関する。
【背景技術】
【0002】
現在市販の配向性ストランドボードは、接着組成物と組み合わせた木材ストランドのコア層と、これをカバーする他の接着剤組成物と組み合わせた木材ストランドの2つの表層とを含む。通常、OSB中のストランドの寸法は、長さ5〜150mm、幅1〜50mm、厚さ0.1〜2mmである。コアはOSBの10〜90wt.%を構成し、好ましくはOSBの40〜70%である。公知のOSBのコア層の接着組成物は、2〜8wt%(乾燥樹脂/乾燥木材)のポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)またはフェノールホルムアルデヒド(PF)樹脂を含む。表層の接着剤組成物は、メラミン−ウレア−ホルムアルデヒド(MUF)樹脂を含み、また剥離剤が添加された少量のフェノールまたはフェノールホルムアルデヒド樹脂またはpMDI樹脂を含んでいてもよい。表層の樹脂含量は、MUFについては通常9〜12wt%乾燥樹脂/乾燥木材であり、PFについては通常2〜6wt%乾燥樹脂/乾燥木材である。一般的に、製造されたOSB中の接着剤は、少なくとも部分硬化、好ましくは完全硬化している。これらの公知のOSBは、EN300規格においてOSB/3またはOSB/4の要件に適合し得るものである。
【0003】
公知のOSBの欠点は、OSB/3またはOSB/4規格に確実に適合するためには、比較的大量の樹脂が、特に、表層に必要なことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的はこの欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、表層の少なくとも1つの接着組成物が、メラミンと、ホルムアルデヒドと、任意でウレアと、任意で芳香族ヒドロキシル化合物とを含む樹脂組成物を含み、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:0.8〜1:4.0であり、メラミン対ウレアのモル比が1:0〜1:2.0であり、メラミン対芳香族ヒドロキシル化合物のモル比が1:0〜1:2.0であるという点で達成される。両表層の接着剤組成物が本発明による樹脂を含むのが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によるOSBの利点は、OSB/3またはOSB/4規格に適合するOSBを、この用途に公知の種類の樹脂を用いて、表層に低量の樹脂で作製できることである。OSBの少なくとも1つの表層の製造について上述した樹脂を適用することによって、OSB/3またはOSB/4規格に適合するOSBを作製するために表層に用いるべき樹脂の量を2.5〜8wt%の乾燥樹脂/乾燥木材まで減少させることができる。この結果、OSBの原価は、上述した公知のOSBよりも低くなる。あるいは、本発明によるOSBが、少なくとも1つの表層に同じ量の樹脂を含む場合は、公知のOSBに比べて、特に、沸騰水と接触した後の内部接着強度および膨潤に関して優れた特性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明によるOSBとは、製造したOSBのことを意味し、すなわち、周知のように樹脂および/または接着剤組成物が少なくとも部分硬化していることを意味する。完全に硬化しているのが好ましい。
【0008】
本発明による樹脂組成物は、メラミンとホルムアルデヒドを含む。メラミンとホルムアルデヒドは、1:0.8〜1:4.0のモル比で樹脂組成物中に存在し、好ましくは、このメラミン対ホルムアルデヒドのモル比は1:0.85から1:3.5、より好ましくは1:0.9から1:3.25、さらに好ましくは1:1.0から1:3.0、特に1:1.05から1:2.8、最も好ましくは1:1.1から1:2.6である。一般的に知られているように、最終特性を得るために樹脂は硬化させる。本発明において「樹脂」という文言は、製造したOSBの一部のとき、最終製品において未硬化の状態と、部分硬化または完全硬化状態の両方における樹脂に関する。
【0009】
樹脂は、通常、乾燥メラミン粉末をホルムアルデヒドの水溶液と混合することにより作製する。この溶液は、例えば、30〜55wt%のホルムアルデヒドの濃度でホルムアルデヒドを含んでいる。
【0010】
さらに、樹脂組成物は、ウレアおよび/または芳香族ヒドロキシル化合物を含有することができる。
【0011】
ウレアが樹脂組成物中に存在するときは、メラミン対ウレアのモル比は1:0〜2.0、好ましくはこのメラミン対ウレアのモル比は1:0.05から1:1.8、より好ましくは、1:0.1から1:1.6、特に1:0.15から1:1.4または1:0.25から1:1.2である。意外なことに、本発明による樹脂組成物中にウレアが存在すると、メラミンに比べてウレア自身は特性が劣るものと一般に考えられているが、本発明によるOSBの最終特性に有益な効果をもたらすということを知見した。従って、好ましい実施形態において、樹脂中のメラミン対ウレアのモル比は1:0.25から1:0.9である。芳香族ヒドロキシル化合物が樹脂組成物中に存在するときは、メラミン対芳香族ヒドロキシル化合物のモル比は1:0〜2.0、好ましくは1:0.05〜1.0である。
【0012】
芳香族ヒドロキシル化合物としては、レゾルシノール、ヒドロチノンまたはビスフェノールAが挙げられる。しかしながら、フェノールを芳香族ヒドロキシル化合物として用いるのが好ましい。
【0013】
ウレアは、固体ウレアまたはウレア溶液を水に加え、メラミンおよびホルムアルデヒド溶液と混合することにより樹脂組成物に導入することができる。同様に、ホルムアルデヒドとウレアの水溶液をメラミン粉末と組み合わせて用いることができる。
【0014】
フェノールは、樹脂組成物を製造するときはそのまま添加したり、またはホルムアルデヒド/フェノール予備縮合物として添加することができる。
【0015】
本発明によるOSBの好ましい実施形態において、少なくとも1つの表層は、ポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)樹脂を含まず、より好ましくは表層のどれもpMDI樹脂を含まない。本発明による他の好ましい実施形態において、コア層はpMDI樹脂を含まない。さらにより好ましくは、OSBは全体としてpMDI樹脂を含まない。このことは、アミノプラスト含有接着剤組成物が、一般的に、pMDI系接着剤組成物よりもより早い硬化速度を有しているため、OSBをより迅速に製造することができるという利点がある。
【0016】
本発明によるOSBを製造するのに用いる樹脂の製造の例としては、樹脂組成物を作製する成分を互いに添加して、20〜40℃の温度で混合することが挙げられるがこれに限定されるものではない。その後、温度を70〜100℃まで上げる。混合物のpH値は7.0〜10.0であるのが好ましい。これらの条件下で、樹脂組成物の粘度が10から1000mPa、好ましくは200〜900mPaになるまで、混合物は反応する、すなわち、縮合がなされる。その後、樹脂組成物を20〜75℃、好ましくは室温まで冷却する。冷却した樹脂組成物のpHは一般的に7〜10である。
【0017】
本発明によるOSBの一部である樹脂組成物の製造方法の他の例としては、成分を段階的に投入する方法が挙げられるがこれに限定されるものではない。例えば、ウレアは縮合中または縮合後に添加することができる。
【0018】
樹脂組成物のpHを調整するのに、好ましくは水溶液の形態にあるアルカリまたは土類アルカリ水酸化物、例えば、トリブチルアミンまたはトリエチルアミンのような第三級アミン、例えば、トリエタノールアミンおよびメチルジエタノールアミンのような第三級アルカノールアミンといったアルカリ条件を作成するための通常の添加剤を用いることができる。
【0019】
水性樹脂組成物の粘度は、一般的に、20℃で10〜900mPa、固形分は50から80%である。
【0020】
製品は、通常、20℃で数週間保管することができる。周知のように、少量のその他の添加剤も樹脂に添加することができる。
【0021】
本発明による樹脂組成物は、配向性ストランドボード(OSB)の表層の樹脂として適用すると、極めて良好な特性を有している。そのプロセスについて以下に説明する。
【0022】
表層に適用するために、樹脂は、通常、触媒または硬化剤と混合して、接着剤組成物を形成する。硬化剤としては、例えば、5wt%乾燥硬化剤/乾燥樹脂までの量の硫酸アンモニウムが一般的に用いられる。しかしながら、例えば、塩化アンモニウムや硝酸アンモニウムのようなその他の硬化剤も用いることができる。本発明による接着剤組成物は、任意で1種類以上のその他の樹脂を含んでいてもよい。接着剤組成物の製造中、ワックスを添加することもでき、これは、OSBの耐湿性を向上させるために一般的に行われていることである。本発明によるOSBの好ましい実施形態において、接着剤組成物を構成する樹脂(メラミン対ホルムアルデヒド、メラミン対ウレアおよびメラミン対芳香族ヒドロキシル化合物)について上に挙げた3つのモル比はまた、接着剤組成物全体として適用される。接着剤組成物は、上に挙げた樹脂組成物以外のその他の樹脂を含まないのが好ましい。
【0023】
触媒の添加後、接着剤組成物は、通常、OSB製造の数時間の時間枠内に用いられ、接着剤組成物は、木材ストランドを被覆するために木材ストランドにスプレーされる。木材ストランドの長さは、通常、5から200mm、好ましくは20から150mm、より好ましくは40から140mm、特に60から130mm、最も好ましくは80から120mmである。木材ストランドの幅は、通常、1から60mm、好ましくは5から50mm、より好ましくは10から40mm、特に14から30mm、最も好ましくは18から25mmである。木材ストランドの厚さは、通常、0.1から2mm、好ましくは0.2から1.5mm、より好ましくは0.3から1.2mm、特に0.4から1mm、最も好ましくは0.5から0.8mmである。接着剤組成物は加熱により硬化して、木材ストランドが互いに結合する。加熱および硬化は、最終OSB材料をプレスするときになされる。
【0024】
OSBの製造方法は一般に知られており、例えば、「木工製品と接着剤(Holzwerkstoffe und Leime)M.ダンキーおよびP.ニーム(M.Dunky and P. Niemz)、133−135頁、スプリンガーフェアラーク(Springer−Verlag)2002年」および「チップボード技術ハンドブック(Taschenbuch der Spanplatten Technik)デッペ&エルンスト(Deppe&Ernst)258−266頁、1991年、DRWフェアラーク(DRW Verlag)」に記載されている。
【0025】
本発明による配向性ストランドボードの作製方法は、本発明による接着剤組成物を、OSBの表層の少なくとも1つについて、好ましくは両表層について木材ストランドにスプレーすることを含む。OSB/3またはOSB/4規格に従った品質を得るためには、この表層の樹脂の量は2.5から8wt%乾燥樹脂/乾燥木材とすることができる。表層の樹脂の量は好ましくは少なくとも2.75%、より好ましくは少なくとも3.0%であり、これには、樹脂の量が増大するにつれて、OSBの特性も増大するという利点があり、特に、表層の樹脂の量は少なくとも3.25%、最も好ましくは少なくとも3.5wt.%乾燥樹脂/乾燥木材である。本発明によるOSBが価格競争力を維持するようにするためには、表層の樹脂の量は最大で7.5%、より好ましくは最大で7.0%、特に、最大で6.5%、最も好ましくは最大で6wt.%乾燥樹脂/乾燥木材とするのが好ましい。
【0026】
コア材料は木材ストランドをコーティングすることにより製造される。通常、コア層の木材ストランドは、表層の木材ストランドより小さい。公知のOSBにおいて、木材ストランドのコーティング(処理とも呼ばれる)は、一般的に、ポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート(pMDI)またはフェノールホルムアルデヒド(PF)樹脂から本質的になる接着剤組成物により行われる。本発明によるOSBにおいてもこれを行ってもよい。しかしながら、本発明によるOSBの好ましい実施形態において、コア層の木材ストランドは、主に、メラミンと、ホルムアルデヒドと、任意でウレアと、任意で芳香族ヒドロキシル化合物とを含み、または本質的にこれらからなる樹脂組成物を含む接着剤組成物を含む。コア中の接着剤組成物の樹脂のモル比はメラミン対ホルムアルデヒド1:0.8〜1:9、メラミン対ウレア1:0〜1:6、メラミン対芳香族ヒドロキシル化合物1:0〜1:2であるのが好ましい。コア層の接着剤組成物の樹脂のモル比はメラミン対ホルムアルデヒド1:0.8〜1:4、メラミン対ウレア1:0.1〜1:1.5であるのがより好ましい。これには、表層と同様に、pMDIまたは純粋なPF樹脂に基づく公知の接着剤組成物に比べて低量の接着剤組成物をコア層に用いながらも、OSB/3またはOSB/4規格に必要とされる特性のような所望の最終特性が依然として得られるという利点がある。本実施形態において、本発明によるOSBは、pMDI(未硬化、部分硬化または完全硬化)を含まないのが好ましい。上述したモル比はまた、接着剤組成物全体にも適用され、接着剤組成物はその他の樹脂を含まないのが好ましい。
【0027】
本発明による接着剤組成物に用いる樹脂組成物は固形分を含有している。当業者に周知のように、樹脂の固形分は、少量の樹脂(例えば、1または2グラム)を120℃のオーブンに2時間入れることにより求められる。固形分は、残りの材料の相対重量として定義され、オーブンに入れた樹脂の重量のパーセンテージで表される。本発明による方法の好ましい実施形態において、コア層の木材ストランドを処理するのに用いる樹脂組成物の固形分は少なくとも60%または62%である。固形分は少なくとも64%または66%であるのがより好ましい。固形分が増えると、コア層に導入される水の量が減じる。この水は後のプレス工程中に除去しなければならないため、できる限り少ない水を導入するのが有利である。従って、特に、樹脂の固形分は少なくとも68%である。固形分は少なくとも70%であるのが最も好ましい。固形分が増えると、樹脂の粘度も上がる。樹脂の固形分が80%未満、より好ましくは78%未満、特に76%未満、最も好ましくは75%未満のままである場合、接着剤組成物を木材ストランドに平滑に分配するのが有利であるとされている。接着剤組成物の粘度は、前述した通り、700から900mPaであるのが好ましく、接着剤組成物の粘度はまた、生じた縮合度にも影響される。
【0028】
OSBのコア層の接着剤組成物にメラミンと、ホルムアルデヒドと、任意でウレアと、任意で芳香族ヒドロキシル化合物とを含む樹脂組成物を用いることは、表層に関する検討事項は別にして、それ自身で有利である。従って、本発明はまた、コア層と2つの表層とを含み、少なくともコア層が接着剤組成物を含み、コア層の接着剤組成物が、メラミンと、ホルムアルデヒドと、任意でウレアと、任意で芳香族ヒドロキシル化合物とを含む樹脂組成物を含み、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:0.8〜1:9であり、メラミン対ウレアのモル比が1:0〜1:6であり、メラミン対芳香族ヒドロキシル化合物のモル比が1:0〜1:2であるOSBにも関する。コア層の接着剤組成物中の樹脂のモル比はメラミン対ホルムアルデヒド1:0.8〜1:4、メラミン対ウレア1:0.1〜1:2であるのが好ましい。コア層の樹脂の量は、上述した本発明のこの態様にある。従って、コア層のウレアの量は好ましくは0〜0.025kg/kgコア層、より好ましくは1kgコア層当たり0.005〜0.015kgのウレアである。コア層に用いる樹脂の固形分は、上述した制限内であるのが好ましい。
【0029】
本発明によるこのOSBの表層は、公知の接着剤組成物、すなわち、pMDI系樹脂またはPF樹脂を含む接着剤組成物を含んでいてもよい。しかしながら、少なくとも1つの表層、好ましくは両表層とも、接着剤組成物を含むのが好ましく、樹脂は、上述した通り、本発明による化合物を含む、または本質的にこれからなる。同じ接着剤組成物を表層とコア層の両方に用いるのが好ましい。これには、OSBの製造について1種類のみの樹脂と接着剤組成物を取り扱えばよいという利点がある。
【0030】
OSBは、一般的に、通常は、配向させながら、まず、表層材料、その後、コア層材料、再び表層材料の層を散乱させた後、これをOSBにホットプレスすることにより製造される。ホットプレス中に硬化がなされる。プレスは連続またはバッチ式とすることができる。コア層および表層において異なるサイズおよび配向の木材ストランドを用いることができる。一般的に、コア層の木材ストランドは、表層の木材ストランドより寸法が小さく、配向が少ない。
【0031】
上述した通り、OSBはコアと2層の表層の3層を有している。4つ以上の層を有するOSBは、例えば、少なくとも1層をコア層と少なくとも1つの表層の間に導入することにより製造されることも公知である。本発明においては、表層でない層は全てコア層とみなして、本発明により処理されるのが好ましい。
【0032】
一般的に公知のプレス条件は1〜7MPa、150〜270℃で3〜12秒/mm、好ましくは5〜10秒/mmである。当業者に周知のように、プレス時間は、OBSの厚さ1mm当たりの秒数で与えられる。
【0033】
まとめると、本発明による配向性ストランドボード(OSB)を製造する方法は、a)メラミンと、ホルムアルデヒドと、任意でウレアと、芳香族ヒドロキシル化合物とを含む樹脂組成物を含み、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:0.8〜1:4.0であり、メラミン対ウレアのモル比が1:0〜2.0であり、メラミン対芳香族ヒドロキシル化合物のモル比が1:0〜2.0である接着組成物を製造する工程と、b)接着剤組成物で木材ストランドを処理する工程と、c)接着剤処理した木材ストランドを、表層、表層の上部のコア層、再びコア層の上部の表層について散乱して、少なくとも1つの表層の木材ストランドがa)で製造した接着剤組成物で処理される工程と、d)木材ストランドをプレスして、接着剤組成物を少なくとも部分的に硬化してOSBを形成する工程とを含むのが好ましい。
【0034】
両表層の木材ストランドは、工程a)で製造した接着剤組成物で処理するのが好ましい。工程a)で製造した接着剤組成物の樹脂の固形分は好ましくは67%〜77%、より好ましくは70%〜75%である。コア層もまた、工程a)で製造した接着剤組成物で処理するのが好ましい。
【0035】
本発明によるOSBは、少なくとも表層にある量、通常は大半が接着した形態にあるウレアを含む。この量は、表層1kg当たりのウレアのキログラム数で表現できる。本発明による仕上がりOSBの少なくとも1つの表層は、好ましくは0.001〜0.025kg/kg表層、より好ましくは0.005〜0.015kg/kg表層の量のウレアを含む。表層のウレアの量は、例えば、ラマン分光法または固体NMRのような公知の方法により求めることができる。本発明において、OSB表層のウレアとは、ウレアそのもの、および樹脂中で接着形態にあるものを意味している。コア層のウレア含量もまた上述した範囲内にあるのが好ましい。
【0036】
本発明による仕上げOSBは、EN300要件に定められているOSB/3またはOSB/4材料の要件に適合し得る。一般的な要件は、沸騰後の厚さ膨潤および内部接着についての要件である。
【0037】
厚さ膨潤は、EN317に従って求められ、OSB/3またはOSB/4規格に適合するOSBについてそれぞれ15または12%未満でなければならない。沸騰後の内部接着は、EN321およびEN319に従って求める。最低値は、OSB厚さとは異なり、次の通りである。
【0038】
【表1】



【0039】
本発明を以下の実施例によりさらに説明する。
【実施例】
【0040】
実施例1
樹脂の製造
水とフェノールホルムアルデヒド予備縮合物中50wt.%溶液のホルムアルデヒド溶液を互いに添加して攪拌した。混合物をNaOHによりpH9まで調整した。メラミンを室温で添加した。
【0041】
その後、温度を90℃まで上げた。水巾が1.5〜2になるまで、メラミンの溶解と縮合を行った。水巾を20℃で求めた。
【0042】
その後、混合物を冷却した。60℃で、ウレアを添加した後、攪拌中に、混合物をさらに室温まで冷却した。
【0043】
樹脂組成物は、メラミン1モル当たり2.2モルのホルムアルデヒド、0.26モルのウレア、0.16モルのフェノールを含有していた。
樹脂特性は次の通りであった。
−粘度300mPa(20℃で)
−pH=10
−固形分=62.5%
−ゲル時間=50秒
−水巾=1.5
【0044】
OSBの製造
硬化剤として硫酸アンモニウムを樹脂に、および1wt.%(「湿潤」樹脂に基づいて)のワックスエマルジョンを添加することにより、OSBの2つの表層についての接着剤組成物を作製した。次に、接着剤組成物を木材ストランドにスプレーした。
【0045】
OSBのための表層は5.8%乾燥樹脂/乾燥木材および1%乾燥硬化剤/乾燥樹脂を含有していた。
【0046】
コア層についての接着剤組成物も木材ストランドにスプレーした。OSBについてのコア層は3.0%乾燥pMDI/乾燥木材を含有していた。その後、表層についての木材ストランドの層を拡散し、コア層についての木材ストランドの層を拡散し、その後、第2の表層についての木材ストランドの層を再び拡散することにより、OSBを作製した。
【0047】
コア層対表層の重量比は50/50であった。OSBを9.4秒/mmのプレス係数、平均温度235℃および圧力5MPaでプレスした。
【0048】
厚さ膨潤が8.9%、沸騰後の内部接着値が0.155N/mmの厚さ22mmのOSBを作製した。
【0049】
実施例2
実施例1に記載したのと同じ方法で、厚さ18mmのOSBを作製した。このOSBのための表層は6.0%乾燥樹脂/乾燥木材および1.5%乾燥硬化剤/乾燥樹脂を含有していた。
【0050】
OSBを9.2秒/mmのプレス係数、平均温度235℃および圧力5MPaでプレスした。
【0051】
厚さ膨潤が11.0%、沸騰後の内部接着値が0.15N/mmのOSBを作製した。
【0052】
比較実験
樹脂の製造
水とフェノールホルムアルデヒド予備縮合物中50wt.%溶液のホルムアルデヒド溶液を互いに添加して攪拌した。混合物をNaOHによりpH9まで調整した。メラミンを室温で添加した。
【0053】
その後、温度を90℃まで上げた。この段階で、温度が82℃に達したら、ウレアを添加した。水巾が3になるまで、メラミン(およびウレア)の溶解および縮合を行った。水巾を20℃で求めた。縮合中、NaOHの添加によりpHを9に保ち、水巾が3に達したらpHを10に上げた。その後、混合物を室温まで冷却した。
【0054】
樹脂組成物は、メラミン1モル当たり4.17モルのホルムアルデヒド、2.27モルのウレア、0.2モルのフェノールを含有していた。
【0055】
樹脂特性は次の通りであった。
−粘度300mPa(20℃で)
−pH=10
−固形分=62.5%
−ゲル時間=50秒
−水巾=3
【0056】
OSBの製造
硬化剤として硫酸アンモニウムを樹脂に、および1wt.%(「湿潤」樹脂に基づいて)のワックスエマルジョンを添加することにより、OSBの2つの表層についての接着剤組成物を作製した。次に、接着剤組成物を木材ストランドにスプレーした。
【0057】
OSBのための表層は11wt.%乾燥樹脂/乾燥木材および1%乾燥硬化剤/乾燥樹脂を含有していた。
【0058】
コア層についての接着剤組成物も木材ストランドにスプレーした。OSBについてのコア層は3.0%乾燥pMDI/乾燥木材を含有していた。その後、表層についての木材ストランドの層を拡散し、コア層についての木材ストランドの層を拡散し、その後、第2の表層についての木材ストランドの層を再び拡散することにより、OSBを作製した。
【0059】
コア層対表層の重量比は50/50であった。OSBを9.4秒/mmのプレス係数、平均温度235℃および圧力5MPaでプレスした。
【0060】
厚さ膨潤が10%、沸騰後の内部接着値が0.14N/mmの厚さ22mmのOSBを作製した。
【0061】
実施例3
樹脂Aの製造−表層用の樹脂
実施例1で製造したのと同じ樹脂を用いた。
【0062】
樹脂Bの製造−コア層用の樹脂
水とフェノールホルムアルデヒド予備縮合物中50wt.%溶液のホルムアルデヒド溶液を互いに添加して攪拌した。混合物をNaOHによりpH9まで調整した。メラミンを室温で添加した。
【0063】
その後、温度を90℃まで上げた。この段階で、温度が82℃に達したら、ウレアを添加した。水巾が3になるまで、メラミン(およびウレア)の溶解および縮合を行った。水巾を20℃で求めた。縮合中、NaOHの添加によりpHを9に保ち、水巾が3に達したらpHを10に上げた。その後、混合物を室温まで冷却した。
【0064】
樹脂組成物は、メラミン1モル当たり2.6モルのホルムアルデヒド、0.9モルのウレア、0.16モルのフェノールを含有していた。
【0065】
樹脂特性は次の通りであった。
−粘度300mPa(20℃で)
−pH=9.6
−固形分=62%
−ゲル時間=55秒
−水巾=1
【0066】
OSBの製造
硬化剤として硫酸アンモニウムを樹脂Aに、および1wt.%(「湿潤」樹脂に基づいて)のワックスエマルジョンを添加することにより、OSBの2つの表層についての接着剤組成物を作製した。次に、接着剤組成物を木材ストランドにスプレーした。
【0067】
OSBのための表層は5.8%乾燥樹脂/乾燥木材および1%乾燥硬化剤/乾燥樹脂を含有していた。
【0068】
硬化剤として硝酸アンモニウムを樹脂Bに、および1wt.%(「湿潤」樹脂に基づいて)のワックスエマルジョンを添加することにより、OSBのコア層についての接着剤組成物を作製した。次に、接着剤組成物を木材ストランドにスプレーした。
【0069】
OSBのコア層は4%乾燥樹脂/乾燥木材および2%乾燥硬化剤/乾燥樹脂を含有していた。
【0070】
その後、表層についての木材ストランドの層を拡散し、コア層についての木材ストランドの層を拡散し、その後、第2の表層についての木材ストランドの層を再び拡散することにより、OSBを作製した。
【0071】
コア層対表層の重量比は50/50であった。OSBを8秒/mmのプレス係数、平均温度200℃および圧力5MPaでプレスした。
【0072】
沸騰後の内部接着値が0.13N/mmの厚さ16mmのOSBを作製した。
【0073】
実施例4
樹脂Aの製造−表層用の樹脂
実施例3で製造したのと同じ樹脂Aを用いた。
【0074】
樹脂Bの製造−コア層用の樹脂
実施例3で製造したのと同じ樹脂Bを用いた。
【0075】
OSBの製造
コア層が5%乾燥樹脂/乾燥木材を含有していた以外は実施例3と同じやり方で接着剤組成物および16mmのOSBを製造した。OSBの沸騰後の内部接着値は0.25N/mmであった。
【0076】
追加データ
実施例2および実施例4で製造したOSBは表層が完全に剥がれた。後に、コア層自体の沸騰後の内部接着値を測定した。両コア層とも値は0.25N/mmであった。
【0077】
実施例1および比較実験から明らかな通り、本発明によるOSBは、この目的で公知のアミノプラスト樹脂で製造したOSBよりも表層におけるアミノプラスト樹脂の量が遥かに少ないながらも本発明によるOSBの特性は、公知のOSBと少なくとも同じ程度に良好である。実施例2、3および4によれば、表層とコア層の両方がアミノプラスト樹脂から本発明に従って製造された接着剤を含むときは、満足いく特性を示す薄いOSBを本発明により作製できることも示している。さらに、追加データによれば、表層とコア層の両方の接着剤組成物は、アミノプラスト樹脂から本発明に従って製造した接着剤を含む、または本質的にこれからなるとき、高い内部接着値を有するOSBが得られることから、有利であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア層と2つの表層とを含み、少なくとも前記表層が接着剤組成物を含む配向性ストランドボード(OSB)であって、
前記表層の少なくとも1つの接着剤組成物が、メラミンと、ホルムアルデヒドと、任意でウレアと、任意で芳香族ヒドロキシル化合物とを含む樹脂組成物を含み、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:0.8〜1:4.0であり、メラミン対ウレアのモル比が1:0〜1:2.0であり、メラミン対芳香族ヒドロキシル化合物のモル比が1:0〜1:2.0であることを特徴とする配向性ストランドボード(OSB)。
【請求項2】
前記樹脂組成物のメラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:1〜1:3.0、メラミン対ウレアのモル比が1:0.05〜1:1.5、メラミン対芳香族ヒドロキシル化合物のモル比が1:0〜1:1.0である請求項1に記載の配向性ストランドボード。
【請求項3】
前記芳香族ヒドロキシル化合物がフェノールを含む請求項1または2に記載の配向性ストランドボード。
【請求項4】
前記コア層が接着剤組成物を含み、前記コア層の前記接着剤組成物が、メラミンと、ホルムアルデヒドと、任意でウレアと、任意で芳香族ヒドロキシル化合物とを含む樹脂組成物を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のOSB。
【請求項5】
前記コア層の前記接着剤組成物の前記樹脂のメラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:0.8〜1:9、メラミン対ウレアのモル比が1:0〜1:6、メラミン対芳香族ヒドロキシル化合物のモル比が1:0〜1:2である請求項4に記載のOSB。
【請求項6】
前記コア層の前記接着剤組成物の前記樹脂のメラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:0.8〜1:4、およびメラミン対ウレアのモル比が1:0〜1:2である請求項5に記載のOSB。
【請求項7】
前記コア層の前記接着剤組成物中の前記樹脂が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の少なくとも1つの表層の前記接着剤組成物中の前記樹脂と同じである請求項1〜3のいずれか一項に記載の配向性ストランドボード。
【請求項8】
前記少なくとも1つの表層の前記樹脂の量が2.5〜8wt%乾燥樹脂/乾燥木材である請求項1〜7のいずれか一項に記載の配向性ストランドボード。
【請求項9】
前記コア層の前記樹脂の量が2.5〜8wt%乾燥樹脂/乾燥木材である請求項4〜7のいずれか一項に記載の配向性ストランドボード。
【請求項10】
表層の前記ウレアの量が0〜0.025kg/kg表層である請求項1〜9のいずれか一項に記載の配向性ストランドボード。
【請求項11】
表層の前記ウレアの量が0.005〜0.015kg/kg表層である請求項10に記載の配向性ストランドボード。
【請求項12】
コア層と2つの表層とを含み、少なくとも前記コア層が接着剤組成物を含む配向性ストランドボード(OSB)であって、
前記コア層の前記接着剤組成物が、メラミンと、ホルムアルデヒドと、任意でウレアと、任意で芳香族ヒドロキシル化合物とを含む樹脂組成物を含み、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:0.8〜1:9であり、メラミン対ウレアのモル比が1:0〜1:6であり、メラミン対芳香族ヒドロキシル化合物のモル比が1:0〜1:2であることを特徴とする配向性ストランドボード(OSB)。
【請求項13】
前記コア層の前記接着剤組成物中の前記樹脂のメラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:0.8〜1:4、およびメラミン対ウレアのモル比が1:0〜1:2である請求項12に記載のOSB。
【請求項14】
前記コア層の前記樹脂の量が2.5〜8wt%乾燥樹脂/乾燥木材である請求項12〜13のいずれか一項に記載のOSB。
【請求項15】
前記コア層の前記ウレアの量が0〜0.025kg/kgコア層である請求項12〜14のいずれか一項に記載のOSB。
【請求項16】
前記OSBの厚さ膨潤が、OSB/3またはOSB/4規格に従ってそれぞれ15または12%未満である請求項1〜15のいずれか一項に記載の配向性ストランドボード。
【請求項17】
前記OSBが、OSB/3またはOSB/4規格に従った沸騰後の内部接着値を有する請求項1〜15のいずれか一項に記載の配向性ストランドボード。
【請求項18】
a)メラミンと、ホルムアルデヒドと、任意でウレアと、任意で芳香族ヒドロキシル化合物とを含む樹脂組成物を含み、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:0.8〜4.0であり、メラミン対ウレアのモル比が1:0〜2.0であり、メラミン対芳香族ヒドロキシル化合物のモル比が1:0〜2.0である接着組成物を製造する工程と、
b)前記接着剤組成物で木材ストランドを処理する工程と、
c)接着剤処理した木材ストランドを、表層、前記表層の上部のコア層、再び前記コア層の上部の表層について散乱して、少なくとも1つの表層の木材ストランドがa)で製造した前記接着剤組成物で処理された工程と、
d)前記木材ストランドをプレスして、前記接着剤組成物を少なくとも部分的に硬化してOSBを形成する工程とを含む配向性ストランドボード(OSB)の製造方法。
【請求項19】
前記表層および前記コア層の前記木材ストランドが工程a)で製造した接着剤組成物で処理された請求項18記載のOSBの製造方法。
【請求項20】
a)メラミンと、ホルムアルデヒドと、任意でウレアと、芳香族ヒドロキシル化合物とを含む樹脂組成物を含み、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:0.8〜1:9であり、メラミン対ウレアのモル比が1:0〜1:6であり、メラミン対芳香族ヒドロキシル化合物のモル比が1:0〜2.0である接着組成物を製造する工程と、
b)前記接着剤組成物で木材ストランドを処理する工程と、
c)接着剤処理した木材ストランドを、表層、前記表層の上部のコア層、再び前記コア層の上部の表層について散乱して、少なくとも1つの前記コア層の木材ストランドがa)で製造した前記接着剤組成物で処理された工程と、
d)前記木材ストランドをプレスして、前記接着剤組成物を少なくとも部分的に硬化してOSBを形成する工程とを含む配向性ストランドボード(OSB)の製造方法。
【請求項21】
工程a)で用いた前記樹脂組成物のメラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:0.8〜1:4であり、メラミン対ウレアのモル比が1:0〜1:2である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程a)で用いた前記樹脂組成物の固形分が65〜75%である請求項18〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記表層および前記コア層の前記木材ストランドが工程a)で製造した前記接着剤組成物で処理された請求項20〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
請求項22または23に記載の方法により得られるOSB。

【公表番号】特表2007−521163(P2007−521163A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518557(P2006−518557)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000456
【国際公開番号】WO2005/000982
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【出願人】(506006278)
【Fターム(参考)】