説明

配管ジョイント付スチームトラップ

【課題】 配管ジョイント部材に複数のトラップケーシングを着脱する。
【解決手段】 入口通路9を一側面に有し入口通路9に連通する入口室11を有するトラップケーシング5,6,7と、第2入口通路49を一側面に有し第2入口通路49に連通する第2入口室51を有する第2トラップケーシング45,46,47と、入口通路9に連通する入口連結路25を一側面に有するとともに第2入口通路49に連通する第2入口連結路65を他側面に有しトラップケーシング5,6,7及び第2トラップケーシング45,46,47に回動自在に着脱される配管ジョイント部材2と、入口23と入口連結路25及び第2入口連結路65の間に回動自在に配置され入口23を入口連結路25あるいは第2入口連結路65に切換えてあるいは入口連結路25と第2入口連結路65の両方に連通せしめる切替弁としてのボール弁36を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気輸送管や蒸気使用機器等の蒸気配管系に発生する復水を自動的に排出するスチームトラップに関し、特に種々の配管取り付け状態に応じて取り付けることのできる配管ジョイント付スチームトラップに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気配管系においては復水の発生は不可避であり、適宜発生した復水を系外に排出する必要がある。この復水を自動的に排出する装置がスチームトラップと呼ばれる特殊なバルブであり、弁部材の駆動原理によって、蒸気と復水の比重差を利用したメカニカルタイプ、蒸気と復水の熱力学的特性差を利用したサーモダイナミックタイプ、蒸気と復水の温度差を利用したサーモスタチックタイプ等に分類される。このスチームトラップは、蒸気配管や蒸気使用装置の下部末端に取り付けられる場合が多く、スチームトラップの取り付けスペースや取り付け方向が、その他の配管や装置により限定されたものとなってしまうことが多かった。そこでトラップの取り付けスペースや方向が限定されたものになっていたとしても、比較的広範囲の対象に取り付けることができるトラップとして、配管ジョイント付スチームトラップが用いられている。従来の配管ジョイント付スチームトラップは、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。これは、入口通路と出口通路を形成した接続部を一側面に有し入口通路に連通する入口室と出口通路に連通する連通路とを内部に有するトラップケーシングと、入口通路に連通する入口連結路及び出口通路に連通する出口連結路を一側面に有するとともに入口連結路に連通する入口と出口連結路に連通する出口を有しトラップケーシングに回動自在に着脱される配管ジョイント部材と、接続部と一体にあるいは別体に形成されトラップケーシングと配管ジョイント部材を連結する固定部材と、出口通路と出口連結路の連結部の少なくとも一方側に設けられ入口通路あるいは入口連結路を囲む環状溝と、入口室と連通路との間に形成された弁口を開閉する弁部材とを具備するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−159592号公報
【特許文献2】特開2001−99396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の配管ジョイント付スチームトラップは、配管ジョイント部材に単一のトラップケーシングが着脱されるだけであり、配管ジョイント部材に複数のトラップケーシングを着脱することができないという問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、配管ジョイント部材に複数のトラップケーシングを着脱することができる配管ジョイント付スチームトラップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の配管ジョイント付スチームトラップは、入口通路と出口通路を形成した接続部を一側面に有し入口通路に連通する入口室と出口通路に連通する連通路とを内部に有するトラップケーシングと、第2入口通路と第2出口通路を形成した第2接続部を一側面に有し第2入口通路に連通する第2入口室と第2出口通路に連通する第2連通路とを内部に有する第2トラップケーシングと、入口通路に連通する入口連結路及び出口通路に連通する出口連結路を一側面に有するとともに第2入口通路に連通する第2入口連結路及び第2出口通路に連通する第2出口連結路を他側面に有し入口連結路及び第2入口連結路に連通する入口と出口連結路及び第2出口連結路に連通する出口を有しトラップケーシング及び第2トラップケーシングに回動自在に着脱される配管ジョイント部材と、入口と入口連結路及び第2入口連結路の間に回動自在に配置され入口を入口連結路あるいは第2入口連結路に切換えてあるいは入口連結路と第2入口連結路の両方に連通せしめる切替弁と、接続部と一体にあるいは別体に形成されトラップケーシングと配管ジョイント部材を連結する固定部材と、第2接続部と一体にあるいは別体に形成され第2トラップケーシングと配管ジョイント部材を連結する第2固定部材と、出口通路と出口連結路の連結部の少なくとも一方側に設けられ入口通路あるいは入口連結路を囲む環状溝と、第2出口通路と第2出口連結路の連結部の少なくとも一方側に設けられ第2入口通路あるいは第2入口連結路を囲む第2環状溝と、入口室と連通路との間に形成された弁口を開閉する弁部材と、第2入口室と第2連通路との間に形成された第2弁口を開閉する第2弁部材とを具備することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配管ジョイント部材の一側面にトラップケーシングが回動自在に着脱され配管ジョイント部材の他側面に第2トラップケーシングが回動自在に着脱されるものであるので、配管ジョイント部材に複数のトラップケーシングを着脱することができる配管ジョイント付スチームトラップを提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる配管ジョイント付スチームトラップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。配管ジョイント付スチームトラップはスチームトラップ1と配管ジョイント部材2とを固定部材3を介して図示しないボルトで固着するとともに、第2スチームトラップ41と配管ジョイント部材2とを第2固定部材43を介して図示しないボルトで固着して構成する。スチームトラップ1のトラップケーシングは、本体5,6と仕切り部材7と接続部8とで構成する。接続部8は中心部に入口通路9を有し、入口通路9の上方と下方に出口通路10を有する。出口通路10は少なくとも一つ設けることができる。接続部8を仕切り部材7と本体6に溶接し、本体6と仕切り部材7を溶接し、本体5と本体6を溶接して、トラップケーシング内を入口通路9に連通する入口室11と、出口通路10に連通する連通路12に仕切る。仕切り部材7の下部に弁座部材13を溶接する。弁座部材13は基台部分と基台部分に圧入された先端部分とから成り、先端部分に入口室11と連通路12の間の弁口14を有する。入口室11に弁部材としての中空球形のフロート15を自由状態で収容する。フロート15は入口室11の液面にしたがって浮上降下し、外表面が弁座部材13に直接離着座して弁口14を開閉する。弁座部材13の基台部分にフロート座部材16を溶接する。フロート座部材16は弁口14の軸からフロート15の半径の長さ離れた、当該軸に平行の二本の足を有する。第2スチームトラップ41の第2トラップケーシングは、第2本体45,46と第2仕切り部材47と第2接続部48とで構成する。第2接続部48は中心部に第2入口通路49を有し、第2入口通路49の上方と下方に第2出口通路50を有する。第2出口通路50は少なくとも一つ設けることができる。第2接続部48を第2仕切り部材47と第2本体46に溶接し、第2本体46と第2仕切り部材47を溶接し、第2本体45と第2本体46を溶接して、第2トラップケーシング内を第2入口通路49に連通する第2入口室51と、第2出口通路50に連通する第2連通路52に仕切る。第2仕切り部材47の下部に第2弁座部材53を溶接する。第2弁座部材53は第2基台部分と第2基台部分に圧入された第2先端部分とから成り、第2先端部分に第2入口室51と第2連通路52の間の第2弁口54を有する。第2入口室51に第2弁部材としての中空球形の第2フロート55を自由状態で収容する。第2フロート55は第2入口室51の液面にしたがって浮上降下し、外表面が第2弁座部材53に直接離着座して第2弁口54を開閉する。第2弁座部材53の基台部分に第2フロート座部材56を溶接する。第2フロート座部材56は第2弁口54の軸から第2フロート55の半径の長さ離れた、当該軸に平行の二本の足を有する。
【0010】
配管ジョイント部材2は、同軸上に上部に入口23と下部に出口24を有し、その中央部に入口通路9に連通する入口連結路25と第2入口通路49に連通する第2入口連結路65を有し、入口連結路25と第2入口連結路65の下方に出口通路10に連通する出口連結路26と第2出口通路50に連通する第2出口連結路66を有する。出口通路10と出口連結路26は、入口通路9を囲む環状溝28と入口連結路25を囲む環状溝29を介して連通し、第2出口通路50と第2出口連結路66は、第2入口通路49を囲む第2環状溝68と第2入口連結路65を囲む第2環状溝69を介して連通する。環状溝は出口通路10と出口連結路26の少なくとも一方側に設けることができ、第2環状溝は第2出口通路50と第2出口連結路66の少なくとも一方側に設けることができる。配管ジョイント部材2と接続部8の間には気密を維持するためのガスケット30,31を介在させ、配管ジョイント部材2と第2接続部48の間には気密を維持するための第2ガスケット70,71を介在させる。入口23と入口連結路25及び第2入口連結路65の間に球形の切替弁としてのボール弁35を配置する。ボール弁35は図面の手前側に設けたハンドルにより時計方向あるいは反時計方向へ回動自在に配置し、内部にT字状の通路36を有し、入口23を入口連結路25あるいは第2入口連結路65に切換えてあるいは入口連結路25と第2入口連結路65の両方に連通せしめる。固定部材3は接続部8と別体の平板リング状に形成して内面に段部を設け、段部を接続部8に取り付けた固定リング32と嵌め合わせ、配管ジョイント部材2に設けたフランジ部33と対向して配置する。固定部材3と配管ジョイント部材2を図示しないボルトで固着することにより、スチームトラップ1と配管ジョイント部材2を連結する。固定部材3は接続部8と一体に設けることもできる。第2固定部材43は第2接続部48と別体の平板リング状に形成して内面に段部を設け、段部を第2接続部48に取り付けた第2固定リング72と嵌め合わせ、配管ジョイント部材2に設けた第2フランジ部73と対向して配置する。第2固定部材43と配管ジョイント部材2を図示しないボルトで固着することにより、第2スチームトラップ1と配管ジョイント部材2を連結する。第2固定部材43は第2接続部48と一体に設けることもできる。
【0011】
入口23は蒸気使用機器等の復水発生個所に接続する。ボール弁35を図示の状態とした場合、入口23から流入してくる流体は、入口連結路25から入口通路9を経て入口室11に流入するとともに、第2入口連結路65から第2入口通路49を経て第2入口室51に流入する。入口室11の液面の上昇によってフロート15が浮上して弁口14を開口する。これにより、入口室11の復水が弁口14から連通路12、出口通路10、環状溝28,29、出口連結路26を経て出口24に排出される。復水の排出によって入口室11の液面が下がると、フロート15が降下してフロート座部材16に乗った位置で弁口14を閉口する。第2入口室51の液面の上昇によって第2フロート55が浮上して第2弁口54を開口する。これにより、第2入口室51の復水が第2弁口54から第2連通路52、第2出口通路50、第2環状溝68,69、第2出口連結路66を経て出口24に排出される。復水の排出によって第2入口室51の液面が下がると、第2フロート55が降下して第2フロート座部材56に乗った位置で第2弁口54を閉口する。ボール弁35を図示の状態から90度だけ反時計方向へ回転した場合、入口23から流入してくる流体は、入口連結路25から入口通路9を経て入口室11に流入する。入口室11の液面の上昇によってフロート15が浮上して弁口14を開口する。これにより、入口室11の復水が弁口14から連通路12、出口通路10、環状溝28,29、出口連結路26を経て出口24に排出される。復水の排出によって入口室11の液面が下がると、フロート15が降下してフロート座部材16に乗った位置で弁口14を閉口する。ボール弁35を図示の状態から90度だけ時計方向へ回転した場合、入口23から流入してくる流体は、第2入口連結路65から第2入口通路49を経て第2入口室51に流入する。第2入口室51の液面の上昇によって第2フロート55が浮上して第2弁口54を開口する。これにより、第2入口室51の復水が第2弁口54から第2連通路52、第2出口通路50、第2環状溝68,69、第2出口連結路66を経て出口24に排出される。復水の排出によって第2入口室51の液面が下がると、第2フロート55が降下して第2フロート座部材56に乗った位置で第2弁口54を閉口する。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、蒸気輸送管や蒸気使用機器等の蒸気配管系に発生する復水を自動的に排出する配管ジョイント付スチームトラップに利用することができる。
【符号の説明】
【0013】
1 スチームトラップ
2 配管ジョイント部材
3 固定部材
5,6 本体
7 仕切り部材
8 接続部
9 入口通路
10 出口通路
11 入口室
12 連通路
14 弁口
15 フロート
23 入口
24 出口
25 入口連結路
26 出口連結路
28,29 環状溝
35 ボール弁
36 T字状の通路
41 第2スチームトラップ
43 第2固定部材
45,46 第2本体
47 第2仕切り部材
48 第2接続部
49 第2入口通路
50 第2出口通路
51 第2入口室
52 第2連通路
54 第2弁口
55 第2フロート
65 第2入口連結路
66 第2出口連結路
68,69 第2環状溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口通路と出口通路を形成した接続部を一側面に有し入口通路に連通する入口室と出口通路に連通する連通路とを内部に有するトラップケーシングと、第2入口通路と第2出口通路を形成した第2接続部を一側面に有し第2入口通路に連通する第2入口室と第2出口通路に連通する第2連通路とを内部に有する第2トラップケーシングと、入口通路に連通する入口連結路及び出口通路に連通する出口連結路を一側面に有するとともに第2入口通路に連通する第2入口連結路及び第2出口通路に連通する第2出口連結路を他側面に有し入口連結路及び第2入口連結路に連通する入口と出口連結路及び第2出口連結路に連通する出口を有しトラップケーシング及び第2トラップケーシングに回動自在に着脱される配管ジョイント部材と、入口と入口連結路及び第2入口連結路の間に回動自在に配置され入口を入口連結路あるいは第2入口連結路に切換えてあるいは入口連結路と第2入口連結路の両方に連通せしめる切替弁と、接続部と一体にあるいは別体に形成されトラップケーシングと配管ジョイント部材を連結する固定部材と、第2接続部と一体にあるいは別体に形成され第2トラップケーシングと配管ジョイント部材を連結する第2固定部材と、出口通路と出口連結路の連結部の少なくとも一方側に設けられ入口通路あるいは入口連結路を囲む環状溝と、第2出口通路と第2出口連結路の連結部の少なくとも一方側に設けられ第2入口通路あるいは第2入口連結路を囲む第2環状溝と、入口室と連通路との間に形成された弁口を開閉する弁部材と、第2入口室と第2連通路との間に形成された第2弁口を開閉する第2弁部材とを具備することを特徴とする配管ジョイント付スチームトラップ。

【図1】
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