配線カバーの開閉支持装置
【課題】天板後端に設けた配線機構部の上部開口部に複数の配線カバーを設け、各配線カバーの両端部を支承具で支持して開閉可能に設けてなり、配線カバーを分割した場合にも、それぞれの配線カバーの端部を同様な回動支持機構にて着脱可能且つ開閉可能に独立して支持でき、配線カバーの装着作業も容易である配線カバーの開閉支持装置を提供する。
【解決手段】配線機構部の両端部に端部支承具10を設け、その中間部に配線カバー9の前部下端を当止する機能を備えた単数又は複数の中間支持部材11を天板の後端に着脱可能に取付け、配線カバー両端部の端部材17と端部支承具10との間を回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、中間支持部材11に着脱可能に取付けた中間支承具12の両側と端部材17との間を同様の回動支持機構で支持し、端部支承具10と中間支承具11との間に配線カバー9を開閉可能に装着した。
【解決手段】配線機構部の両端部に端部支承具10を設け、その中間部に配線カバー9の前部下端を当止する機能を備えた単数又は複数の中間支持部材11を天板の後端に着脱可能に取付け、配線カバー両端部の端部材17と端部支承具10との間を回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、中間支持部材11に着脱可能に取付けた中間支承具12の両側と端部材17との間を同様の回動支持機構で支持し、端部支承具10と中間支承具11との間に配線カバー9を開閉可能に装着した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線カバーの開閉支持装置に係わり、更に詳しくは机の後部に沿って設けた配線機構部の上部開口部を開閉する配線カバーの開閉支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から天板の後部に配線機構部を設け、その上部開口部に開閉可能な配線カバーを設けた配線機能を備えた机は各種提供されている。前記配線カバーは、配線機構部内に配線する作業中に開放状態を維持する必要があるとともに、配線作業の都合で取り外す必要がある場合があり、着脱可能であることが要請されている。勿論、上部開口部を閉じた閉止状態を維持することも重要な機能である。また、配線カバー若しくはダクトカバーは、複数に分割してそれぞれ独立して開閉できるようにすることもある。
【0003】
特許文献1には、カバー体を略水平に支持し得る閉止姿勢と前記カバー体を前記支持体から起立させた起立姿勢との間で回動し得るように支持させるための回動機構を備えてなり、当該回動機構が、前記カバー体及び前記支持体の何れか一方に設けた支軸と、他方に設けられ前記支軸を着脱可能に枢支する軸受けとを具備してなるものであって、前記カバー体を前記起立姿勢で維持し得る起立維持手段と、当該起立姿勢において前記支軸の前記軸受けからの脱落を防止する脱落防止手段とを具備しているカバー体の支持構造が開示されている。しかし、カバー体は両端部の支持体で受けただけであるので、机の横幅が広い場合には、カバー体がそれに応じて長くなって中央部の撓みの問題も有している。カバー体が撓まないようにするには、曲げ剛性を大きくしなければならないが、重量が増し、コスト高となる。また、特許文献1には、カバー体を複数に分割して、それらが独立して開閉する機構については全く記載されてない。
【0004】
また、特許文献2には、前記天板の後端縁と所定距離を隔てた位置に、該後端縁と略平行に前記天板の左右方向の略全長にわたって設けられる支持部材と、該支持部材により、前記後端縁と略平行な水平軸まわりに回動可能に支持され、前記天板の左右方向の略全長にわたって設けられるカバー体と、該カバー体の前記天板の後端縁方向の両側端の少なくともどちらかに装着されたサイドキャップに設けた凸部が、前記支持部材に設けた凹部に弾性的に係合することにより、前記カバー体を開いて該カバー体が上方に略垂直となった状態において、該カバー体の位置を保持する保持手段とを備えた構造が開示されている。しかし、机の天板の後部に設けた配線機構部用開口部の左右両側に一対の受け具を設け、両受け具にアルミ押出し型材からなる支持部材を保持し、該支持部材の前縁に形成した係合部に、同じくアルミ押出し型材からなる配線カバーの第1カバー体を左右方向にスライド係合させて、全長にわたって回転可能に係合する構造であるので、両部材が撓んで変形すると、回動動作がスムーズにできなくなるので、前記両受け具の間に中間受け具を天板後端と幕板間に渡設し、前記支持部材を保持する構造を採用している。しかし、この中間受け具は、配線カバーを直接受けるものではないので、配線カバーの前部を押せば若干の撓みが発生することは避けられない。尚、特許文献2のものは、中間受け具の存否に関係なく、配線カバー(カバー体)を分割し、それぞれの端部にサイドキャップを装着して、前記支持部材の係合部にスライド係合させれば、複数の配線カバーを独立して開閉することは可能であるが、配線カバーを簡単に外せる構造ではない。
【0005】
また、特許文献3には、配線機構部の上部開口部に面した端面であって、左右中間部に取付孔を形成し、ブロック状のカバー支持具の対応する面の上部に設けた上向きフックを前記取付孔に係止して装着し、該カバー支持具でダクトカバーを当止する構造が開示されている。しかし、この特許文献3に記載のものは、ダクトカバーを単に上方から載支するものであり、回動して開閉する機構ではない。
【0006】
因みに、特許文献1に記載のものは、前記軸受けに、支軸を弾性的に係合するように弾性爪を設けた構造を採用している。また、起立維持手段が、前記カバー体を前記起立姿勢で係止し得る当接部を具備し、該当接部を前記支持体における前記カバー体が自重で前記起立姿勢を保持し得る位置に配しているというものである。更に、脱落防止手段が、前記起立姿勢にある前記カバー体が前記当接部の何れかの部位を傾動支点にした前記閉止姿勢とは逆方向への傾倒を阻止し得る干渉部を前記回動機構に設けたものである。支軸が軸受けに弾性的に係合しているだけであるので、弾性爪の弾性力が弱ければ簡単に外れてしまい、また弾性力が強ければ着脱の際に強い力を要する。また、弾性爪の経年劣化による耐久性の問題もある。更に、カバー体の起立維持手段は、カバー体の重心が回動上死点を通過した位置で保持するというものであるので、配線作業中に不意にカバー体に接触すれば簡単に閉止方向に回転してしまうといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−239013号公報
【特許文献2】特許第4360287号公報
【特許文献3】実用新案登録第2554486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、天板後端と幕板の上端との間に配線機構部を設け、該配線機構部の上部開口部に複数の配線カバーを設けるとともに、各配線カバーの両端部を支承具で支持して開閉可能に設けてなる配線カバーの開閉支持装置において、配線カバーを分割した場合にも、それぞれの配線カバーの端部を同様な回動支持機構にて着脱可能且つ開閉可能に独立して支持することができ、また配線カバーの装着作業も容易である配線カバーの開閉支持装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題解決のために、天板後端と幕板の上端との間に配線機構部を設け、該配線機構部の上部開口部に複数の配線カバーを設けるとともに、各配線カバーの両端部を支承具で支持して開閉可能に設けてなる配線カバーの開閉支持装置であって、前記配線機構部の両端部に端部支承具を設けるとともに、その中間部に前記配線カバーの前部下端を当止する機能を備えた単数又は複数の中間支持部材を前記天板の後端に着脱可能に取付け、前記配線カバーの両端部に取付けた端部材と前記端部支承具との間を回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、そして前記中間支持部材に着脱可能に取付けた中間支承具の両側と前記端部材との間を前記回動支持機構と同様の回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、前記端部支承具と中間支承具との間、あるいは両中間支承具の間に配線カバーを開閉可能に装着したことを特徴とする配線カバーの開閉支持装置を構成した(請求項1)。
【0010】
ここで、前記中間支持部材の上面には前記配線カバーの下端を当止する当止部を設け、該中間支持部材の後部と、前記中間支承具の本体部の前部の一方に、連結用凹部を形成し、他方に前記連結用凹部に側方からスライド係合する連結用凸部を突設してなるのである(請求項2)。
【0011】
具体的には、前記中間支持部材の後部に形成した連結用凹部は、側面視倒L字形の溝で、左右一側が開放され、他側は閉鎖されたものであり、更に溝の開放部分に係合爪を形成してあり、また前記中間支承具の本体部の前部に形成した連結用凸部は、前記連結用凹部に側方から係合し得る側面視倒L字形であり、前記連結用凸部の一側端が前記連結用凹部の奥部に当止するとともに、他側端に前記係合爪が係合してなることが好ましい(請求項3)。
【0012】
そして、前記配線カバーの両側端に取付けた端部材の外側面の後部には、下方斜め後方に解放した傾斜溝を形成するとともに、該傾斜溝の下方開放側の下側に第1係合凹部と上側に弾性的な第2係合凹部を形成し、更に端部材の外側面の前後中央部には、下方へ向いた弾性的なリップ片を形成し、一方、前記端部支承具の内側面後部及び前記中間支承具の本体部から後方に延設した支持板の両側面後部には、上側に前記傾斜溝に係合して配線カバーを回動可能に支持する軸部を突設するとともに、その下方に前記第1係合凹部又は第2係合凹部に係合する規制ピンを突設し、更に前記端部支承具の内側面中央部及び前記中間支承具の支持板の両側面前部には、配線カバーの閉止時に前記リップ片の先端部を係止する突部と、該リップ片を突部まで案内する円弧状の案内部を形成したことがより好ましい(請求項4)。
【発明の効果】
【0013】
以上にしてなる請求項1に係る発明の配線カバーの開閉支持装置は、天板後端と幕板の上端との間に配線機構部を設け、該配線機構部の上部開口部に複数の配線カバーを設けるとともに、各配線カバーの両端部を支承具で支持して開閉可能に設けてなる配線カバーの開閉支持装置であって、前記配線機構部の両端部に端部支承具を設けるとともに、その中間部に前記配線カバーの前部下端を当止する機能を備えた単数又は複数の中間支持部材を前記天板の後端に着脱可能に取付け、前記配線カバーの両端部に取付けた端部材と前記端部支承具との間を回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、そして前記中間支持部材に着脱可能に取付けた中間支承具の両側と前記端部材との間を前記回動支持機構と同様の回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、前記端部支承具と中間支承具との間、あるいは両中間支承具の間に配線カバーを開閉可能に装着したので、机の横幅が広く、配線機構部が長尺になっても、配線カバーを複数に分割して装着し、それらを独立して開閉することができ、配線カバーの撓みの問題を解決できるとともに、必要な箇所のみ該当する配線カバーを開いて配線できるので、使用勝手も良くなるのである。また、前記中間支承具は、配線カバーの前部下端を当止する機能を備えた中間支持部材に着脱可能に設けるので、不必要の場合には中間支承具を省略して、配線カバーの前部下端を中間支持部材で当止して撓みを防止すれば良く、コスト的にも有利である。
【0014】
請求項2によれば、前記中間支持部材の上面には前記配線カバーの下端を当止する当止部を設け、該中間支持部材の後部と、前記中間支承具の本体部の前部の一方に、連結用凹部を形成し、他方に前記連結用凹部に側方からスライド係合する連結用凸部を突設してなるので、机の後端部上位にバックパネルが存在していても、該バックパネルに邪魔されずに配線機構部内で、前記中間支持部材に中間支承具を側方からスライド係合させるだけで簡単に連結することができる。
【0015】
請求項3によれば、前記中間支持部材の後部に形成した連結用凹部は、側面視倒L字形の溝で、左右一側が開放され、他側は閉鎖されたものであり、更に溝の開放部分に係合爪を形成してあり、また前記中間支承具の本体部の前部に形成した連結用凸部は、前記連結用凹部に側方から係合し得る側面視倒L字形であり、前記連結用凸部の一側端が前記連結用凹部の奥部に当止するとともに、他側端に前記係合爪が係合してなるので、中間支持部材に対する中間支承具の係合作業が簡単であり、また強固な係合状態を実現できるとともに、係合状態を維持することができる。
【0016】
請求項4によれば、前記傾斜溝の方向を略垂直に向けた状態で、配線カバーの後部を上部開口部内に落とし込むことによって、前記傾斜溝に端部支承具の軸部と規制ピンを受け入れ、該軸部を傾斜溝の上端部に回動可能に係合させるだけで、配線カバーを両側の端部支承具に開閉可能に装着することができ、また前記配線カバーを、前記軸部を中心に下方へ回動させて略水平状態に閉止すると、前記規制ピンが第1係合凹部に係合して回転規制をするとともに、規制ピンに第1係合凹部が係合しているので、配線カバーの後部を持ち上げても外れることは全くなく、そして配線カバーを、前記軸部を中心に上方へ回動させて、前記規制ピンを傾斜溝が通過して該配線カバーを略垂直状態にすると、前記規制ピンに第2係合凹部が弾性的に係合して開放状態を維持することができ、この開放状態で前記配線カバーを持ち上げても、前記規制ピンに第2係合凹部が係合しているので外れることはないのである。更に、前記配線カバーの端部材の外側面の前後中央部には、下方へ向いた弾性的なリップ片を形成し、前記端部支承具の内側面中央部には、配線カバーの閉止時に前記リップ片の先端部を係止する突部と、該リップ片を突部まで案内する円弧状の案内部を形成したので、前記リップ片の先端部が案内部で案内され、該リップ片が弾性変形しながら突部を超えて該突部の下側に係止して、前記配線カバーの閉止状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の配線カバーの開閉支持装置を適用した机の正面図である。
【図2】同じく机の側面図である。
【図3】配線カバーの部分分解斜視図である。
【図4】配線カバーの開閉機構部を示す分解斜視図である。
【図5】スパンが長い配線カバーを左右に分割配置する場合の中間開閉機構部を示す分解斜視図である。
【図6】配線カバーの端部材と端部支承具の関係を示す拡大説明図である。
【図7】配線カバーの端部材と中間支持部材及び中間支承具の関係を示す拡大説明図である。
【図8】配線カバーの端部材を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図である。
【図9】端部支承具を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図である。
【図10】中間支持部材を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図である。
【図11】中間支承具を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図である。
【図12】端部支承具に配線カバーを装着する状態を示す部分分解断面図である。
【図13】端部支承具に対して配線カバーを閉じた使用状態を示す部分断面図である。
【図14】端部支承具に対して配線カバーを開いた使用状態を示す部分断面図である。
【図15】端部支承具に対して配線カバーを閉じる途中の状態を示す部分断面図である。
【図16】中間支承具に配線カバーを装着する状態を示す部分分解断面図である。
【図17】中間支承具に対して配線カバーを閉じた使用状態を示す部分断面図である。
【図18】中間支承具に対して配線カバーを開いた使用状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1及び図2は本発明の配線カバーの開閉支持装置を適用した机を示し、図3〜図8は本発明の第1実施形態を示し、図3〜図5は配線カバー及びその開閉機構部を示し、図中符号1は机、2は脚部材、3は袖キャビネット、4は幕板、5は天板、6は配線機構部、7はバックパネル、8はサイドパネル、9は配線カバー、10は端部支承具、11は中間支持部材、12は中間支承具をそれぞれ示している。
【0019】
本発明に係る机1は、片袖タイプを示し、一側に脚部材2を配し、他側に袖キャビネット3を配し、脚部材2と袖キャビネット3の後端部側面間に幕板4を連結し、そして脚部材2と袖キャビネット3の上面に天板5を連結したものである。平机タイプでは、両側に脚部材2,2を配設し、両袖タイプでは両側に袖キャビネット3,3を配置する。また、前記天板5の後端と、該天板5の下面よりも低い位置に取付けた前記幕板4の間には配線機構部6が設けられている。更に、机1の天板5の後端部にはバックパネル7を設けたり、一側又は両側にサイドパネル8を設けることもある。
【0020】
本実施形態の前記机1は、図1、図2及び図12に示すように、天板5後端と幕板4の上端との間に配線機構部6を設け、該配線機構部6の上部開口部13に配線カバー9の両端部を端部支承具10,10で支持して開閉可能に設け、あるいは端部支承具10と中間支承具12で支持して開閉可能に設けるとともに、配線機構部6内で前記幕板4の上縁に取付けたエッジ部材14に配線受け具15を設けている。前記端部支承具10は、前記脚部材2の上面後端部及び前記袖キャビネット3の上面の後外側角部に取付け、また前記中間支持部材11は、前記天板5の後端の左右中間部の適所に取付け、前記配線カバー9の遊端部、即ち前端部を当止して撓みを防止している。また、後述のように、前記中間支持部材11には、分割した前記配線カバー9,9の中間部を開閉可能に支持する中間支承具12を着脱可能に取付けることができるようになっている。
【0021】
前記配線カバー9は、図3〜図5に示すように、前記配線機構部6の上部開口部13を開閉すべく、両端部を端部支承具10,10で回転可能に支持するとともに、該端部支承具10に対して着脱を容易にした構造である。また、前記配線カバー9は、水平な閉止状態と略垂直な開放状態とに弾性的に状態保持できるようになっている。ここで、前記配線カバー9の端部と端部支承具10との間には回動支持機構が設けられ、この回動支持機構には、前記配線カバー9を着脱可能且つ開閉可能に支持する機能と、配線カバー9を閉止状態と開放状態とに維持する手段を備えている。
【0022】
図3に示すように、前記配線カバー9は、金属製の板金加工品あるいはアルミニウム又は合成樹脂の押出し成形品からなるカバー本体16の両端に、合成樹脂製の端部材17,17を取付けて構成している。本実施形態のカバー本体16は、板金加工品であり、前記配線機構部6の上部開口部13を塞ぐ閉塞板18の後端部に下方斜め前方に向いた傾斜板19を形成するとともに、該傾斜板19の前縁に立上片20を形成し、閉塞板18の前縁に断面略Z字形に折曲した前片21を形成し、曲げ強度を高めた構造としている。そして、前記カバー本体16の前片21には合成樹脂製の縁部材22を嵌着し、また前記立上片20の切断縁を隠蔽するように合成樹脂製の保護部材23を嵌着している。前記縁部材22は、前方へ張り出した軟質片24を二色成形によって一体形成している。前記配線カバー9を閉じた状態でも、前記軟質片24が変形して前記天板5の後端との間に配線コードを引き出せるようにしている。
【0023】
前記カバー本体16の端部に嵌着する端部材17は、図3、図4、図6〜図8に示すように、前記閉塞板18、傾斜板19及び前片21で形成される空間内に嵌合する嵌合部25と、カバー本体16の側端縁を覆う鍔部26を形成している。そして、前記端部材17の外側面の後部には、下方斜め後方に解放した傾斜溝27を形成するとともに、該傾斜溝27の下方開放側の下側に第1係合凹部28と上側に弾性的な第2係合凹部29を形成し、更に外側面の前後中央部には下方へ向いた弾性的なリップ片30を形成している。ここで、前記傾斜溝27の深さは、前記第1係合凹部28及び第2係合凹部29よりも深く設定し、前記第1係合凹部28及び第2係合凹部29は傾斜溝27に連通している。具体的には、前記傾斜溝27の上端部を中心とした円弧溝を該傾斜溝27に交差するように形成し、その円弧溝の傾斜溝27より下方部分を前記第1係合凹部28とし、円弧溝の傾斜溝27より上方部分を前記第2係合凹部29としたのである。また、前記第2係合凹部29の一部を内外へ弾性変形可能な弾性片31で構成している。そして、両側の端部材17,17は、反対称形である。
【0024】
一方、前記端部支承具10は、前記脚部材2の上面後端部あるいは前記袖キャビネット3の上面の外側後端部に取付けて、両側の端部支承具10,10間に配置した前記配線カバー9を開閉可能に支持する。具体的には、図4〜図6及び図9に示すように、前記端部支承具10の内側面後部には、上側に前記傾斜溝27に係合して配線カバー9を回動可能に支持する軸部32を突設するとともに、その下方に前記第1係合凹部28又は第2係合凹部29に係合する規制ピン33を突設し、更に内側面中央部には配線カバー9の閉止時に前記リップ片30の先端部を係止する突部34と、該リップ片30を突部34まで案内する円弧状の案内部35を形成している。ここで、前記軸部32の突出高さは、前記規制ピン33の突出高さよりも高く設定し、前記軸部32が、前記第1係合凹部28又は第2係合凹部29に進入しないようにしている。また、前記案内部35の円弧面に対する前記軸部32の中心までの距離は、下方になるにつれて短くなるように設定している。そして、前記突部34の先端と前記軸部32の中心までの距離が最短となっている。
【0025】
そして、図12に示すように、前記配線カバー9の両側の端部材17,17に形成した傾斜溝27,27の方向を略垂直に向けた状態で、後部を上部開口部13内に落とし込むことによって、前記傾斜溝27,27に、両側に取付けた前記端部支承具10,10のそれぞれの軸部32と規制ピン33を受け入れ、該軸部32を傾斜溝27の上端部に回動可能に係合させる。この際に、前記傾斜溝27は前記第1係合凹部28及び第2係合凹部29よりも深く形成し、前記軸部32を規制ピン33よりも突出高さを高く設定しているので、前記軸部32が不意に第2係合凹部29や第1係合凹部28に進入することがなく、スムーズに傾斜溝27の上端部まで係合させることができる。その後、前記配線カバー9を、前記軸部32を中心に下方へ回動させて略水平状態にすると、前記規制ピン33が第1係合凹部28に係合するとともに、前記リップ片30の先端部が案内部35で案内され、該リップ片30が弾性変形しながら突部34を超えて該突部34の下側に係止する。この状態で、前記配線カバー9が配線機構部6の上部開口部13を閉止した状態を維持する(図13参照)。この閉止状態では、前記規制ピン33に第1係合凹部28が係合しているので、配線カバー9の後部を持ち上げても外れることは全くない。また、前記リップ片30の先端が突部34に弾性係合しているので、配線カバー9をガタつきなく保持できる。
【0026】
そして、前記配線カバー9の前片21と縁部材22の間の段部に指をかけて持ち上げ、前記リップ片30の先端と突部34の係合を解除すると、該リップ片30の先端は案内部35に弾性圧接された状態となるので、該リップ片30の弾性復元力によって案内部35を摺動して配線カバー9の前部を上方へ若干持ち上げる。その状態になると、前記縁部材22に指を掛けることができ、前記配線カバー9を、前記軸部32を中心に上方へ回動させて、前記規制ピン33を傾斜溝27が通過して該配線カバー9を略垂直状態にすると、前記規制ピン33に第2係合凹部29が弾性的に係合して開放状態を維持する(図14参照)。この開放状態で前記配線カバー9を持ち上げても、前記規制ピン33に第2係合凹部29が係合しているので外れることはない。
【0027】
また、前記配線カバー9を開放状態から下方へ押し下げると、前記規制ピン33と第2係合凹部29との弾性係合状態が解除されて自由回転するが、図15に示すように、前記リップ片30の先端が前記案内部35に当接し、当該配線カバー9の下方への回転が弱まり、やがて釣り合って停止する。その状態から、前記配線カバー9の手前側を強制的に押し下げると、前記リップ片30の先端が前記突部34を乗り越えてその下方側に弾性的に係止するのである(図13参照)。
【0028】
図4、図10、図16及び図17に示すように、前記配線カバー9が閉止状態で、前縁部を当止して撓みを防止するために、前記天板5の後端部の左右中間部にブロック状の中間支持部材11を取付けて、その上面の当止部36に前記縁部材22を当止するようにしている。前記中間支持部材11を天板5の後端に取付ける構造は任意であるが、本実施形態では中間支持部材11の前側上部に前記天板5の後端下部に係合する凹陥部37を形成し、該凹陥部37の上部両側に上向きフック38,38を突設するとともに、該凹陥部37の下部中央部に上向き係合爪39を突設している。一方、前記天板5の後端面の適所には、前記中間支持部材11の上向きフック38,38を挿入する角孔40,40を形成するとともに、前記天板5の下面後端部に前記上向き係合爪39を係合する係合孔41を形成している。前記中間支持部材11を取付ける個数は任意であり、天板5の横幅の広狭に応じて決定する。
【0029】
また、前記天板5の横幅が広く、両側の端部支承具10,10のスパンが広い場合には、前記配線カバー9が長くなり過ぎるので、複数の配線カバー9,9に分割する。その場合、図5、図7、図11、図16及び図17に示すように、各配線カバー9,9の内側を回転可能に支持するために、前記中間支持部材11に中間支承具12を着脱可能に連結する。この中間支承具12には、前記中間支持部材11に連結する本体部42の中央部から両配線カバー9,9を回動可能に支持する支持板43が後方に延設されている。この中間支承具12には、前記配線カバー9の端部材17と端部支承具10との間に設けられた回動支持機構と同様な回動支持機構が前記支持板43に設けられている。つまり、前記支持板43の両側面には、前記軸部32、規制ピン33、突部34及び案内部35と同じ機能を有する軸部44、規制ピン45、突部46及び案内部47をそれぞれ形成している。
【0030】
また、前記中間支持部材11に中間支承具12を着脱可能に連結する構造は、図5、図7、図10及び図11に示すように、前記天板5の後端部上方に前記バックパネル7が存在していても連結できるように、側方から互いに係合する構造とした。前記バックパネル7は板厚の半分が机1の後部上位に重なった状態で、しかも前後の透視ができないようにするため、机1の上面との隙間がなくなるように接触若しくは僅かの隙間しか生じないように立設されている。このような状況で幕板4の上方にも連続して形成された配線機構部6の上部開口部13を全体的に塞ぐようにするには、前記配線カバー9の後端部は前記バックパネル7の下方まで侵入する必要がある。勿論、前記バックパネル7を使用しない場合もあるので、机1の後端部まで前記配線カバー9で覆う必要性は存在している。そこで、前記中間支持部材11に中間支承具12を側方からの係合作業で連結できるようにするため、前記中間支持部材11の後部には連結用凹部48を形成するとともに、前記中間支承具12の本体部42の前部には、前記連結用凹部48に側方からスライド係合する連結用凸部49を突設している。更に詳しくは、前記中間支持部材11の連結用凹部48は、側面視倒L字形の溝で、左右一側が開放され、他側は閉鎖されたものであり、溝の開放部分に係合爪50を形成している。そして、前記中間支承具12の連結用凸部49は、側面視倒L字形であり、前記連結用凹部48に側方から係合し、完全に係合した際に、前記連結用凸部49の一側端が連結用凹部48の奥部に当止するとともに、他側端に前記係合爪50が係合し、容易には外れないようにしている。尚、前記中間支持部材11の後部に連結用凸部49を形成し、前記中間支承具12の本体部42の前部に連結用凹部48を形成しても良いが、前記中間支承具12を連結しない使用形態では、前記中間支持部材11の後部に連結用凸部49が突出していない方が、配線機構部6を使用する上で好ましい。
【0031】
前記バックパネル7の下枠51は、下方に開口溝52を形成し、該開口溝52を形成する両側壁板が下方になるにつれて直線状に狭まるように傾斜板53,53となっている。従って、図12に示すように、前記配線カバー9を両側の端部支承具10,10に装着する際に、あるいは端部支承具10と中間支承具12に装着する際に、前記カバー本体16の閉塞板18を前記傾斜板53に略平行にして上部開口部13内に挿入することができ、前記端部支承具10の軸部32と規制ピン33が、あるいは前記中間支承具12の軸部44と規制ピン45が、前記バックパネル7の前面の直下近傍に位置していても、傾斜溝27に軸部32と規制ピン33を、あるいは軸部44と規制ピン45を受け入れることができる。つまり、前記軸部32を最も後方に設定できるので、図14及び図18に示すように、前記配線カバー9を略垂直に開放した状態では、該配線カバー9をバックパネル7の表面に最接近状態にすることができ、それによって配線機構部6の上部開口部13を大きく開放して、配線作業を容易に行うことができるのである。
【0032】
次に、前記配線機構部6の内部の構造について簡単に説明する。図12及び図13に示すように、前記幕板4の上端に前方へ折曲して上縁補強枠54を形成するとともに、該幕板4の上縁補強枠54と配線カバー9の間に空間55を設け、前記上縁補強枠54に係合する係合部56と前記空間55を塞ぐ軟質部57とを有するとともに、前記係合部56の前面側にフック片58を形成したエッジ部材14を幕板4の上縁補強枠54の全長にわたり装着し、前記配線受け具15は下部にコード受け部59と上端部に前記フック片58に係止する係止部60を設け、該配線受け具15の係止部60を前記エッジ部材14のフック片58に係脱可能に係止した構造である。
【0033】
更に、前記配線受け具15の係止部60の上方に突出部61を設け、該配線受け具15の係止部60を前記エッジ部材14のフック片58に係止した状態で、前記突出部61で前記配線カバー9の下端を間接的又は直接的に当止するようにしている。前記配線受け具15を複数に分割して前記エッジ部材14に係止して設ける場合には、外した配線受け具15の上端部の突出部61を、他の配線受け具15のコード受け部59の下面に形成した係合溝62に側方からスライド係合させて上下に連結する。前記突出部61の先端と、前記係合溝62は、断面略T字形に形成している。
【0034】
前記エッジ部材14は、硬質合成樹脂からなる係合部56には、後方へ開放した凹溝部63と、該凹溝部63の内部で下側面に前記幕板4の上縁補強枠54の下側折り返し片64に係止する係止段部65とを備え、該係合部56の上部に軟質合成樹脂からなる中空状の軟質部57を二色成形によって一体形成している。前記軟質部57は、断面が倒コ字形、あるいはΠ字形の保形部66と、該保形部66の上端から前方へ延びた舌片67とからなり、前記保形部66と係合部56の上面とで断面四角筒状となっている。本実施形態では、図13及び図17に示すように、前記軟質部57の舌片67を介して間接的に前記配線カバー9の下端を当止し、該配線カバー9の撓みを防止している。
【0035】
前記配線受け具15は、前記係止部60を、前記エッジ部材14のフック片58に係止した状態で姿勢を保つために、コード受け部59の背面に突設した当止部68を前記幕板4の表面板69の前側に当止するようになっている。前記上縁補強枠54は、前記表面板69の上縁を前側へ直角に折曲し、その前縁を下方へ直角に折曲し、更にその下縁を後方へ直角に折曲して前記折り返し片64を形成して構成している。
【符号の説明】
【0036】
1 机、 2 脚部材、
3 袖キャビネット、 4 幕板、
5 天板、 6 配線機構部、
7 バックパネル、 8 サイドパネル、
9 配線カバー、 10 端部支承具、
11 中間支持部材、 12 中間支承具、
13 上部開口部、 14 エッジ部材、
15 配線受け具、 16 カバー本体、
17 端部材、 18 閉塞板、
19 傾斜板、 20 立上片、
21 前片、 22 縁部材、
23 保護部材、 24 軟質片、
25 嵌合部、 26 鍔部、
27 傾斜溝、 28 第1係合凹部、
29 第2係合凹部、 30 リップ片、
31 弾性片、 32 軸部、
33 規制ピン、 34 突部、
35 案内部、 36 当止部、
37 凹陥部、 38 上向きフック、
39 係合爪、 40 角孔、
41 係合孔、 42 本体部、
43 支持板、 44 軸部、
45 規制ピン、 46 突部、
47 案内部、 48 連結用凹部、
49 連結用凸部、 50 係合爪、
51 下枠、 52 開口溝、
53 傾斜板、 54 上縁補強枠、
55 空間、 56 係合部、
57 軟質部、 58 フック片、
59 コード受け部、 60 係止部、
61 突出部、 62 係合溝、
63 凹溝部、 64 折り返し片、
65 係止段部、 66 保形部、
67 舌片、 68 当止部、
69 表面板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線カバーの開閉支持装置に係わり、更に詳しくは机の後部に沿って設けた配線機構部の上部開口部を開閉する配線カバーの開閉支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から天板の後部に配線機構部を設け、その上部開口部に開閉可能な配線カバーを設けた配線機能を備えた机は各種提供されている。前記配線カバーは、配線機構部内に配線する作業中に開放状態を維持する必要があるとともに、配線作業の都合で取り外す必要がある場合があり、着脱可能であることが要請されている。勿論、上部開口部を閉じた閉止状態を維持することも重要な機能である。また、配線カバー若しくはダクトカバーは、複数に分割してそれぞれ独立して開閉できるようにすることもある。
【0003】
特許文献1には、カバー体を略水平に支持し得る閉止姿勢と前記カバー体を前記支持体から起立させた起立姿勢との間で回動し得るように支持させるための回動機構を備えてなり、当該回動機構が、前記カバー体及び前記支持体の何れか一方に設けた支軸と、他方に設けられ前記支軸を着脱可能に枢支する軸受けとを具備してなるものであって、前記カバー体を前記起立姿勢で維持し得る起立維持手段と、当該起立姿勢において前記支軸の前記軸受けからの脱落を防止する脱落防止手段とを具備しているカバー体の支持構造が開示されている。しかし、カバー体は両端部の支持体で受けただけであるので、机の横幅が広い場合には、カバー体がそれに応じて長くなって中央部の撓みの問題も有している。カバー体が撓まないようにするには、曲げ剛性を大きくしなければならないが、重量が増し、コスト高となる。また、特許文献1には、カバー体を複数に分割して、それらが独立して開閉する機構については全く記載されてない。
【0004】
また、特許文献2には、前記天板の後端縁と所定距離を隔てた位置に、該後端縁と略平行に前記天板の左右方向の略全長にわたって設けられる支持部材と、該支持部材により、前記後端縁と略平行な水平軸まわりに回動可能に支持され、前記天板の左右方向の略全長にわたって設けられるカバー体と、該カバー体の前記天板の後端縁方向の両側端の少なくともどちらかに装着されたサイドキャップに設けた凸部が、前記支持部材に設けた凹部に弾性的に係合することにより、前記カバー体を開いて該カバー体が上方に略垂直となった状態において、該カバー体の位置を保持する保持手段とを備えた構造が開示されている。しかし、机の天板の後部に設けた配線機構部用開口部の左右両側に一対の受け具を設け、両受け具にアルミ押出し型材からなる支持部材を保持し、該支持部材の前縁に形成した係合部に、同じくアルミ押出し型材からなる配線カバーの第1カバー体を左右方向にスライド係合させて、全長にわたって回転可能に係合する構造であるので、両部材が撓んで変形すると、回動動作がスムーズにできなくなるので、前記両受け具の間に中間受け具を天板後端と幕板間に渡設し、前記支持部材を保持する構造を採用している。しかし、この中間受け具は、配線カバーを直接受けるものではないので、配線カバーの前部を押せば若干の撓みが発生することは避けられない。尚、特許文献2のものは、中間受け具の存否に関係なく、配線カバー(カバー体)を分割し、それぞれの端部にサイドキャップを装着して、前記支持部材の係合部にスライド係合させれば、複数の配線カバーを独立して開閉することは可能であるが、配線カバーを簡単に外せる構造ではない。
【0005】
また、特許文献3には、配線機構部の上部開口部に面した端面であって、左右中間部に取付孔を形成し、ブロック状のカバー支持具の対応する面の上部に設けた上向きフックを前記取付孔に係止して装着し、該カバー支持具でダクトカバーを当止する構造が開示されている。しかし、この特許文献3に記載のものは、ダクトカバーを単に上方から載支するものであり、回動して開閉する機構ではない。
【0006】
因みに、特許文献1に記載のものは、前記軸受けに、支軸を弾性的に係合するように弾性爪を設けた構造を採用している。また、起立維持手段が、前記カバー体を前記起立姿勢で係止し得る当接部を具備し、該当接部を前記支持体における前記カバー体が自重で前記起立姿勢を保持し得る位置に配しているというものである。更に、脱落防止手段が、前記起立姿勢にある前記カバー体が前記当接部の何れかの部位を傾動支点にした前記閉止姿勢とは逆方向への傾倒を阻止し得る干渉部を前記回動機構に設けたものである。支軸が軸受けに弾性的に係合しているだけであるので、弾性爪の弾性力が弱ければ簡単に外れてしまい、また弾性力が強ければ着脱の際に強い力を要する。また、弾性爪の経年劣化による耐久性の問題もある。更に、カバー体の起立維持手段は、カバー体の重心が回動上死点を通過した位置で保持するというものであるので、配線作業中に不意にカバー体に接触すれば簡単に閉止方向に回転してしまうといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−239013号公報
【特許文献2】特許第4360287号公報
【特許文献3】実用新案登録第2554486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、天板後端と幕板の上端との間に配線機構部を設け、該配線機構部の上部開口部に複数の配線カバーを設けるとともに、各配線カバーの両端部を支承具で支持して開閉可能に設けてなる配線カバーの開閉支持装置において、配線カバーを分割した場合にも、それぞれの配線カバーの端部を同様な回動支持機構にて着脱可能且つ開閉可能に独立して支持することができ、また配線カバーの装着作業も容易である配線カバーの開閉支持装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題解決のために、天板後端と幕板の上端との間に配線機構部を設け、該配線機構部の上部開口部に複数の配線カバーを設けるとともに、各配線カバーの両端部を支承具で支持して開閉可能に設けてなる配線カバーの開閉支持装置であって、前記配線機構部の両端部に端部支承具を設けるとともに、その中間部に前記配線カバーの前部下端を当止する機能を備えた単数又は複数の中間支持部材を前記天板の後端に着脱可能に取付け、前記配線カバーの両端部に取付けた端部材と前記端部支承具との間を回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、そして前記中間支持部材に着脱可能に取付けた中間支承具の両側と前記端部材との間を前記回動支持機構と同様の回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、前記端部支承具と中間支承具との間、あるいは両中間支承具の間に配線カバーを開閉可能に装着したことを特徴とする配線カバーの開閉支持装置を構成した(請求項1)。
【0010】
ここで、前記中間支持部材の上面には前記配線カバーの下端を当止する当止部を設け、該中間支持部材の後部と、前記中間支承具の本体部の前部の一方に、連結用凹部を形成し、他方に前記連結用凹部に側方からスライド係合する連結用凸部を突設してなるのである(請求項2)。
【0011】
具体的には、前記中間支持部材の後部に形成した連結用凹部は、側面視倒L字形の溝で、左右一側が開放され、他側は閉鎖されたものであり、更に溝の開放部分に係合爪を形成してあり、また前記中間支承具の本体部の前部に形成した連結用凸部は、前記連結用凹部に側方から係合し得る側面視倒L字形であり、前記連結用凸部の一側端が前記連結用凹部の奥部に当止するとともに、他側端に前記係合爪が係合してなることが好ましい(請求項3)。
【0012】
そして、前記配線カバーの両側端に取付けた端部材の外側面の後部には、下方斜め後方に解放した傾斜溝を形成するとともに、該傾斜溝の下方開放側の下側に第1係合凹部と上側に弾性的な第2係合凹部を形成し、更に端部材の外側面の前後中央部には、下方へ向いた弾性的なリップ片を形成し、一方、前記端部支承具の内側面後部及び前記中間支承具の本体部から後方に延設した支持板の両側面後部には、上側に前記傾斜溝に係合して配線カバーを回動可能に支持する軸部を突設するとともに、その下方に前記第1係合凹部又は第2係合凹部に係合する規制ピンを突設し、更に前記端部支承具の内側面中央部及び前記中間支承具の支持板の両側面前部には、配線カバーの閉止時に前記リップ片の先端部を係止する突部と、該リップ片を突部まで案内する円弧状の案内部を形成したことがより好ましい(請求項4)。
【発明の効果】
【0013】
以上にしてなる請求項1に係る発明の配線カバーの開閉支持装置は、天板後端と幕板の上端との間に配線機構部を設け、該配線機構部の上部開口部に複数の配線カバーを設けるとともに、各配線カバーの両端部を支承具で支持して開閉可能に設けてなる配線カバーの開閉支持装置であって、前記配線機構部の両端部に端部支承具を設けるとともに、その中間部に前記配線カバーの前部下端を当止する機能を備えた単数又は複数の中間支持部材を前記天板の後端に着脱可能に取付け、前記配線カバーの両端部に取付けた端部材と前記端部支承具との間を回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、そして前記中間支持部材に着脱可能に取付けた中間支承具の両側と前記端部材との間を前記回動支持機構と同様の回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、前記端部支承具と中間支承具との間、あるいは両中間支承具の間に配線カバーを開閉可能に装着したので、机の横幅が広く、配線機構部が長尺になっても、配線カバーを複数に分割して装着し、それらを独立して開閉することができ、配線カバーの撓みの問題を解決できるとともに、必要な箇所のみ該当する配線カバーを開いて配線できるので、使用勝手も良くなるのである。また、前記中間支承具は、配線カバーの前部下端を当止する機能を備えた中間支持部材に着脱可能に設けるので、不必要の場合には中間支承具を省略して、配線カバーの前部下端を中間支持部材で当止して撓みを防止すれば良く、コスト的にも有利である。
【0014】
請求項2によれば、前記中間支持部材の上面には前記配線カバーの下端を当止する当止部を設け、該中間支持部材の後部と、前記中間支承具の本体部の前部の一方に、連結用凹部を形成し、他方に前記連結用凹部に側方からスライド係合する連結用凸部を突設してなるので、机の後端部上位にバックパネルが存在していても、該バックパネルに邪魔されずに配線機構部内で、前記中間支持部材に中間支承具を側方からスライド係合させるだけで簡単に連結することができる。
【0015】
請求項3によれば、前記中間支持部材の後部に形成した連結用凹部は、側面視倒L字形の溝で、左右一側が開放され、他側は閉鎖されたものであり、更に溝の開放部分に係合爪を形成してあり、また前記中間支承具の本体部の前部に形成した連結用凸部は、前記連結用凹部に側方から係合し得る側面視倒L字形であり、前記連結用凸部の一側端が前記連結用凹部の奥部に当止するとともに、他側端に前記係合爪が係合してなるので、中間支持部材に対する中間支承具の係合作業が簡単であり、また強固な係合状態を実現できるとともに、係合状態を維持することができる。
【0016】
請求項4によれば、前記傾斜溝の方向を略垂直に向けた状態で、配線カバーの後部を上部開口部内に落とし込むことによって、前記傾斜溝に端部支承具の軸部と規制ピンを受け入れ、該軸部を傾斜溝の上端部に回動可能に係合させるだけで、配線カバーを両側の端部支承具に開閉可能に装着することができ、また前記配線カバーを、前記軸部を中心に下方へ回動させて略水平状態に閉止すると、前記規制ピンが第1係合凹部に係合して回転規制をするとともに、規制ピンに第1係合凹部が係合しているので、配線カバーの後部を持ち上げても外れることは全くなく、そして配線カバーを、前記軸部を中心に上方へ回動させて、前記規制ピンを傾斜溝が通過して該配線カバーを略垂直状態にすると、前記規制ピンに第2係合凹部が弾性的に係合して開放状態を維持することができ、この開放状態で前記配線カバーを持ち上げても、前記規制ピンに第2係合凹部が係合しているので外れることはないのである。更に、前記配線カバーの端部材の外側面の前後中央部には、下方へ向いた弾性的なリップ片を形成し、前記端部支承具の内側面中央部には、配線カバーの閉止時に前記リップ片の先端部を係止する突部と、該リップ片を突部まで案内する円弧状の案内部を形成したので、前記リップ片の先端部が案内部で案内され、該リップ片が弾性変形しながら突部を超えて該突部の下側に係止して、前記配線カバーの閉止状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の配線カバーの開閉支持装置を適用した机の正面図である。
【図2】同じく机の側面図である。
【図3】配線カバーの部分分解斜視図である。
【図4】配線カバーの開閉機構部を示す分解斜視図である。
【図5】スパンが長い配線カバーを左右に分割配置する場合の中間開閉機構部を示す分解斜視図である。
【図6】配線カバーの端部材と端部支承具の関係を示す拡大説明図である。
【図7】配線カバーの端部材と中間支持部材及び中間支承具の関係を示す拡大説明図である。
【図8】配線カバーの端部材を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図である。
【図9】端部支承具を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図である。
【図10】中間支持部材を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図である。
【図11】中間支承具を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図である。
【図12】端部支承具に配線カバーを装着する状態を示す部分分解断面図である。
【図13】端部支承具に対して配線カバーを閉じた使用状態を示す部分断面図である。
【図14】端部支承具に対して配線カバーを開いた使用状態を示す部分断面図である。
【図15】端部支承具に対して配線カバーを閉じる途中の状態を示す部分断面図である。
【図16】中間支承具に配線カバーを装着する状態を示す部分分解断面図である。
【図17】中間支承具に対して配線カバーを閉じた使用状態を示す部分断面図である。
【図18】中間支承具に対して配線カバーを開いた使用状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1及び図2は本発明の配線カバーの開閉支持装置を適用した机を示し、図3〜図8は本発明の第1実施形態を示し、図3〜図5は配線カバー及びその開閉機構部を示し、図中符号1は机、2は脚部材、3は袖キャビネット、4は幕板、5は天板、6は配線機構部、7はバックパネル、8はサイドパネル、9は配線カバー、10は端部支承具、11は中間支持部材、12は中間支承具をそれぞれ示している。
【0019】
本発明に係る机1は、片袖タイプを示し、一側に脚部材2を配し、他側に袖キャビネット3を配し、脚部材2と袖キャビネット3の後端部側面間に幕板4を連結し、そして脚部材2と袖キャビネット3の上面に天板5を連結したものである。平机タイプでは、両側に脚部材2,2を配設し、両袖タイプでは両側に袖キャビネット3,3を配置する。また、前記天板5の後端と、該天板5の下面よりも低い位置に取付けた前記幕板4の間には配線機構部6が設けられている。更に、机1の天板5の後端部にはバックパネル7を設けたり、一側又は両側にサイドパネル8を設けることもある。
【0020】
本実施形態の前記机1は、図1、図2及び図12に示すように、天板5後端と幕板4の上端との間に配線機構部6を設け、該配線機構部6の上部開口部13に配線カバー9の両端部を端部支承具10,10で支持して開閉可能に設け、あるいは端部支承具10と中間支承具12で支持して開閉可能に設けるとともに、配線機構部6内で前記幕板4の上縁に取付けたエッジ部材14に配線受け具15を設けている。前記端部支承具10は、前記脚部材2の上面後端部及び前記袖キャビネット3の上面の後外側角部に取付け、また前記中間支持部材11は、前記天板5の後端の左右中間部の適所に取付け、前記配線カバー9の遊端部、即ち前端部を当止して撓みを防止している。また、後述のように、前記中間支持部材11には、分割した前記配線カバー9,9の中間部を開閉可能に支持する中間支承具12を着脱可能に取付けることができるようになっている。
【0021】
前記配線カバー9は、図3〜図5に示すように、前記配線機構部6の上部開口部13を開閉すべく、両端部を端部支承具10,10で回転可能に支持するとともに、該端部支承具10に対して着脱を容易にした構造である。また、前記配線カバー9は、水平な閉止状態と略垂直な開放状態とに弾性的に状態保持できるようになっている。ここで、前記配線カバー9の端部と端部支承具10との間には回動支持機構が設けられ、この回動支持機構には、前記配線カバー9を着脱可能且つ開閉可能に支持する機能と、配線カバー9を閉止状態と開放状態とに維持する手段を備えている。
【0022】
図3に示すように、前記配線カバー9は、金属製の板金加工品あるいはアルミニウム又は合成樹脂の押出し成形品からなるカバー本体16の両端に、合成樹脂製の端部材17,17を取付けて構成している。本実施形態のカバー本体16は、板金加工品であり、前記配線機構部6の上部開口部13を塞ぐ閉塞板18の後端部に下方斜め前方に向いた傾斜板19を形成するとともに、該傾斜板19の前縁に立上片20を形成し、閉塞板18の前縁に断面略Z字形に折曲した前片21を形成し、曲げ強度を高めた構造としている。そして、前記カバー本体16の前片21には合成樹脂製の縁部材22を嵌着し、また前記立上片20の切断縁を隠蔽するように合成樹脂製の保護部材23を嵌着している。前記縁部材22は、前方へ張り出した軟質片24を二色成形によって一体形成している。前記配線カバー9を閉じた状態でも、前記軟質片24が変形して前記天板5の後端との間に配線コードを引き出せるようにしている。
【0023】
前記カバー本体16の端部に嵌着する端部材17は、図3、図4、図6〜図8に示すように、前記閉塞板18、傾斜板19及び前片21で形成される空間内に嵌合する嵌合部25と、カバー本体16の側端縁を覆う鍔部26を形成している。そして、前記端部材17の外側面の後部には、下方斜め後方に解放した傾斜溝27を形成するとともに、該傾斜溝27の下方開放側の下側に第1係合凹部28と上側に弾性的な第2係合凹部29を形成し、更に外側面の前後中央部には下方へ向いた弾性的なリップ片30を形成している。ここで、前記傾斜溝27の深さは、前記第1係合凹部28及び第2係合凹部29よりも深く設定し、前記第1係合凹部28及び第2係合凹部29は傾斜溝27に連通している。具体的には、前記傾斜溝27の上端部を中心とした円弧溝を該傾斜溝27に交差するように形成し、その円弧溝の傾斜溝27より下方部分を前記第1係合凹部28とし、円弧溝の傾斜溝27より上方部分を前記第2係合凹部29としたのである。また、前記第2係合凹部29の一部を内外へ弾性変形可能な弾性片31で構成している。そして、両側の端部材17,17は、反対称形である。
【0024】
一方、前記端部支承具10は、前記脚部材2の上面後端部あるいは前記袖キャビネット3の上面の外側後端部に取付けて、両側の端部支承具10,10間に配置した前記配線カバー9を開閉可能に支持する。具体的には、図4〜図6及び図9に示すように、前記端部支承具10の内側面後部には、上側に前記傾斜溝27に係合して配線カバー9を回動可能に支持する軸部32を突設するとともに、その下方に前記第1係合凹部28又は第2係合凹部29に係合する規制ピン33を突設し、更に内側面中央部には配線カバー9の閉止時に前記リップ片30の先端部を係止する突部34と、該リップ片30を突部34まで案内する円弧状の案内部35を形成している。ここで、前記軸部32の突出高さは、前記規制ピン33の突出高さよりも高く設定し、前記軸部32が、前記第1係合凹部28又は第2係合凹部29に進入しないようにしている。また、前記案内部35の円弧面に対する前記軸部32の中心までの距離は、下方になるにつれて短くなるように設定している。そして、前記突部34の先端と前記軸部32の中心までの距離が最短となっている。
【0025】
そして、図12に示すように、前記配線カバー9の両側の端部材17,17に形成した傾斜溝27,27の方向を略垂直に向けた状態で、後部を上部開口部13内に落とし込むことによって、前記傾斜溝27,27に、両側に取付けた前記端部支承具10,10のそれぞれの軸部32と規制ピン33を受け入れ、該軸部32を傾斜溝27の上端部に回動可能に係合させる。この際に、前記傾斜溝27は前記第1係合凹部28及び第2係合凹部29よりも深く形成し、前記軸部32を規制ピン33よりも突出高さを高く設定しているので、前記軸部32が不意に第2係合凹部29や第1係合凹部28に進入することがなく、スムーズに傾斜溝27の上端部まで係合させることができる。その後、前記配線カバー9を、前記軸部32を中心に下方へ回動させて略水平状態にすると、前記規制ピン33が第1係合凹部28に係合するとともに、前記リップ片30の先端部が案内部35で案内され、該リップ片30が弾性変形しながら突部34を超えて該突部34の下側に係止する。この状態で、前記配線カバー9が配線機構部6の上部開口部13を閉止した状態を維持する(図13参照)。この閉止状態では、前記規制ピン33に第1係合凹部28が係合しているので、配線カバー9の後部を持ち上げても外れることは全くない。また、前記リップ片30の先端が突部34に弾性係合しているので、配線カバー9をガタつきなく保持できる。
【0026】
そして、前記配線カバー9の前片21と縁部材22の間の段部に指をかけて持ち上げ、前記リップ片30の先端と突部34の係合を解除すると、該リップ片30の先端は案内部35に弾性圧接された状態となるので、該リップ片30の弾性復元力によって案内部35を摺動して配線カバー9の前部を上方へ若干持ち上げる。その状態になると、前記縁部材22に指を掛けることができ、前記配線カバー9を、前記軸部32を中心に上方へ回動させて、前記規制ピン33を傾斜溝27が通過して該配線カバー9を略垂直状態にすると、前記規制ピン33に第2係合凹部29が弾性的に係合して開放状態を維持する(図14参照)。この開放状態で前記配線カバー9を持ち上げても、前記規制ピン33に第2係合凹部29が係合しているので外れることはない。
【0027】
また、前記配線カバー9を開放状態から下方へ押し下げると、前記規制ピン33と第2係合凹部29との弾性係合状態が解除されて自由回転するが、図15に示すように、前記リップ片30の先端が前記案内部35に当接し、当該配線カバー9の下方への回転が弱まり、やがて釣り合って停止する。その状態から、前記配線カバー9の手前側を強制的に押し下げると、前記リップ片30の先端が前記突部34を乗り越えてその下方側に弾性的に係止するのである(図13参照)。
【0028】
図4、図10、図16及び図17に示すように、前記配線カバー9が閉止状態で、前縁部を当止して撓みを防止するために、前記天板5の後端部の左右中間部にブロック状の中間支持部材11を取付けて、その上面の当止部36に前記縁部材22を当止するようにしている。前記中間支持部材11を天板5の後端に取付ける構造は任意であるが、本実施形態では中間支持部材11の前側上部に前記天板5の後端下部に係合する凹陥部37を形成し、該凹陥部37の上部両側に上向きフック38,38を突設するとともに、該凹陥部37の下部中央部に上向き係合爪39を突設している。一方、前記天板5の後端面の適所には、前記中間支持部材11の上向きフック38,38を挿入する角孔40,40を形成するとともに、前記天板5の下面後端部に前記上向き係合爪39を係合する係合孔41を形成している。前記中間支持部材11を取付ける個数は任意であり、天板5の横幅の広狭に応じて決定する。
【0029】
また、前記天板5の横幅が広く、両側の端部支承具10,10のスパンが広い場合には、前記配線カバー9が長くなり過ぎるので、複数の配線カバー9,9に分割する。その場合、図5、図7、図11、図16及び図17に示すように、各配線カバー9,9の内側を回転可能に支持するために、前記中間支持部材11に中間支承具12を着脱可能に連結する。この中間支承具12には、前記中間支持部材11に連結する本体部42の中央部から両配線カバー9,9を回動可能に支持する支持板43が後方に延設されている。この中間支承具12には、前記配線カバー9の端部材17と端部支承具10との間に設けられた回動支持機構と同様な回動支持機構が前記支持板43に設けられている。つまり、前記支持板43の両側面には、前記軸部32、規制ピン33、突部34及び案内部35と同じ機能を有する軸部44、規制ピン45、突部46及び案内部47をそれぞれ形成している。
【0030】
また、前記中間支持部材11に中間支承具12を着脱可能に連結する構造は、図5、図7、図10及び図11に示すように、前記天板5の後端部上方に前記バックパネル7が存在していても連結できるように、側方から互いに係合する構造とした。前記バックパネル7は板厚の半分が机1の後部上位に重なった状態で、しかも前後の透視ができないようにするため、机1の上面との隙間がなくなるように接触若しくは僅かの隙間しか生じないように立設されている。このような状況で幕板4の上方にも連続して形成された配線機構部6の上部開口部13を全体的に塞ぐようにするには、前記配線カバー9の後端部は前記バックパネル7の下方まで侵入する必要がある。勿論、前記バックパネル7を使用しない場合もあるので、机1の後端部まで前記配線カバー9で覆う必要性は存在している。そこで、前記中間支持部材11に中間支承具12を側方からの係合作業で連結できるようにするため、前記中間支持部材11の後部には連結用凹部48を形成するとともに、前記中間支承具12の本体部42の前部には、前記連結用凹部48に側方からスライド係合する連結用凸部49を突設している。更に詳しくは、前記中間支持部材11の連結用凹部48は、側面視倒L字形の溝で、左右一側が開放され、他側は閉鎖されたものであり、溝の開放部分に係合爪50を形成している。そして、前記中間支承具12の連結用凸部49は、側面視倒L字形であり、前記連結用凹部48に側方から係合し、完全に係合した際に、前記連結用凸部49の一側端が連結用凹部48の奥部に当止するとともに、他側端に前記係合爪50が係合し、容易には外れないようにしている。尚、前記中間支持部材11の後部に連結用凸部49を形成し、前記中間支承具12の本体部42の前部に連結用凹部48を形成しても良いが、前記中間支承具12を連結しない使用形態では、前記中間支持部材11の後部に連結用凸部49が突出していない方が、配線機構部6を使用する上で好ましい。
【0031】
前記バックパネル7の下枠51は、下方に開口溝52を形成し、該開口溝52を形成する両側壁板が下方になるにつれて直線状に狭まるように傾斜板53,53となっている。従って、図12に示すように、前記配線カバー9を両側の端部支承具10,10に装着する際に、あるいは端部支承具10と中間支承具12に装着する際に、前記カバー本体16の閉塞板18を前記傾斜板53に略平行にして上部開口部13内に挿入することができ、前記端部支承具10の軸部32と規制ピン33が、あるいは前記中間支承具12の軸部44と規制ピン45が、前記バックパネル7の前面の直下近傍に位置していても、傾斜溝27に軸部32と規制ピン33を、あるいは軸部44と規制ピン45を受け入れることができる。つまり、前記軸部32を最も後方に設定できるので、図14及び図18に示すように、前記配線カバー9を略垂直に開放した状態では、該配線カバー9をバックパネル7の表面に最接近状態にすることができ、それによって配線機構部6の上部開口部13を大きく開放して、配線作業を容易に行うことができるのである。
【0032】
次に、前記配線機構部6の内部の構造について簡単に説明する。図12及び図13に示すように、前記幕板4の上端に前方へ折曲して上縁補強枠54を形成するとともに、該幕板4の上縁補強枠54と配線カバー9の間に空間55を設け、前記上縁補強枠54に係合する係合部56と前記空間55を塞ぐ軟質部57とを有するとともに、前記係合部56の前面側にフック片58を形成したエッジ部材14を幕板4の上縁補強枠54の全長にわたり装着し、前記配線受け具15は下部にコード受け部59と上端部に前記フック片58に係止する係止部60を設け、該配線受け具15の係止部60を前記エッジ部材14のフック片58に係脱可能に係止した構造である。
【0033】
更に、前記配線受け具15の係止部60の上方に突出部61を設け、該配線受け具15の係止部60を前記エッジ部材14のフック片58に係止した状態で、前記突出部61で前記配線カバー9の下端を間接的又は直接的に当止するようにしている。前記配線受け具15を複数に分割して前記エッジ部材14に係止して設ける場合には、外した配線受け具15の上端部の突出部61を、他の配線受け具15のコード受け部59の下面に形成した係合溝62に側方からスライド係合させて上下に連結する。前記突出部61の先端と、前記係合溝62は、断面略T字形に形成している。
【0034】
前記エッジ部材14は、硬質合成樹脂からなる係合部56には、後方へ開放した凹溝部63と、該凹溝部63の内部で下側面に前記幕板4の上縁補強枠54の下側折り返し片64に係止する係止段部65とを備え、該係合部56の上部に軟質合成樹脂からなる中空状の軟質部57を二色成形によって一体形成している。前記軟質部57は、断面が倒コ字形、あるいはΠ字形の保形部66と、該保形部66の上端から前方へ延びた舌片67とからなり、前記保形部66と係合部56の上面とで断面四角筒状となっている。本実施形態では、図13及び図17に示すように、前記軟質部57の舌片67を介して間接的に前記配線カバー9の下端を当止し、該配線カバー9の撓みを防止している。
【0035】
前記配線受け具15は、前記係止部60を、前記エッジ部材14のフック片58に係止した状態で姿勢を保つために、コード受け部59の背面に突設した当止部68を前記幕板4の表面板69の前側に当止するようになっている。前記上縁補強枠54は、前記表面板69の上縁を前側へ直角に折曲し、その前縁を下方へ直角に折曲し、更にその下縁を後方へ直角に折曲して前記折り返し片64を形成して構成している。
【符号の説明】
【0036】
1 机、 2 脚部材、
3 袖キャビネット、 4 幕板、
5 天板、 6 配線機構部、
7 バックパネル、 8 サイドパネル、
9 配線カバー、 10 端部支承具、
11 中間支持部材、 12 中間支承具、
13 上部開口部、 14 エッジ部材、
15 配線受け具、 16 カバー本体、
17 端部材、 18 閉塞板、
19 傾斜板、 20 立上片、
21 前片、 22 縁部材、
23 保護部材、 24 軟質片、
25 嵌合部、 26 鍔部、
27 傾斜溝、 28 第1係合凹部、
29 第2係合凹部、 30 リップ片、
31 弾性片、 32 軸部、
33 規制ピン、 34 突部、
35 案内部、 36 当止部、
37 凹陥部、 38 上向きフック、
39 係合爪、 40 角孔、
41 係合孔、 42 本体部、
43 支持板、 44 軸部、
45 規制ピン、 46 突部、
47 案内部、 48 連結用凹部、
49 連結用凸部、 50 係合爪、
51 下枠、 52 開口溝、
53 傾斜板、 54 上縁補強枠、
55 空間、 56 係合部、
57 軟質部、 58 フック片、
59 コード受け部、 60 係止部、
61 突出部、 62 係合溝、
63 凹溝部、 64 折り返し片、
65 係止段部、 66 保形部、
67 舌片、 68 当止部、
69 表面板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板後端と幕板の上端との間に配線機構部を設け、該配線機構部の上部開口部に複数の配線カバーを設けるとともに、各配線カバーの両端部を支承具で支持して開閉可能に設けてなる配線カバーの開閉支持装置であって、前記配線機構部の両端部に端部支承具を設けるとともに、その中間部に前記配線カバーの前部下端を当止する機能を備えた単数又は複数の中間支持部材を前記天板の後端に着脱可能に取付け、前記配線カバーの両端部に取付けた端部材と前記端部支承具との間を回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、そして前記中間支持部材に着脱可能に取付けた中間支承具の両側と前記端部材との間を前記回動支持機構と同様の回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、前記端部支承具と中間支承具との間、あるいは両中間支承具の間に配線カバーを開閉可能に装着したことを特徴とする配線カバーの開閉支持装置。
【請求項2】
前記中間支持部材の上面には前記配線カバーの下端を当止する当止部を設け、該中間支持部材の後部と、前記中間支承具の本体部の前部の一方に、連結用凹部を形成し、他方に前記連結用凹部に側方からスライド係合する連結用凸部を突設してなる請求項1記載の配線カバーの開閉支持装置。
【請求項3】
前記中間支持部材の後部に形成した連結用凹部は、側面視倒L字形の溝で、左右一側が開放され、他側は閉鎖されたものであり、更に溝の開放部分に係合爪を形成してあり、また前記中間支承具の本体部の前部に形成した連結用凸部は、前記連結用凹部に側方から係合し得る側面視倒L字形であり、前記連結用凸部の一側端が前記連結用凹部の奥部に当止するとともに、他側端に前記係合爪が係合してなる請求項2記載の配線カバーの開閉支持装置。
【請求項4】
前記配線カバーの両側端に取付けた端部材の外側面の後部には、下方斜め後方に解放した傾斜溝を形成するとともに、該傾斜溝の下方開放側の下側に第1係合凹部と上側に弾性的な第2係合凹部を形成し、更に端部材の外側面の前後中央部には、下方へ向いた弾性的なリップ片を形成し、一方、前記端部支承具の内側面後部及び前記中間支承具の本体部から後方に延設した支持板の両側面後部には、上側に前記傾斜溝に係合して配線カバーを回動可能に支持する軸部を突設するとともに、その下方に前記第1係合凹部又は第2係合凹部に係合する規制ピンを突設し、更に前記端部支承具の内側面中央部及び前記中間支承具の支持板の両側面前部には、配線カバーの閉止時に前記リップ片の先端部を係止する突部と、該リップ片を突部まで案内する円弧状の案内部を形成した請求項1〜3何れか1項に記載の配線カバーの開閉支持装置。
【請求項1】
天板後端と幕板の上端との間に配線機構部を設け、該配線機構部の上部開口部に複数の配線カバーを設けるとともに、各配線カバーの両端部を支承具で支持して開閉可能に設けてなる配線カバーの開閉支持装置であって、前記配線機構部の両端部に端部支承具を設けるとともに、その中間部に前記配線カバーの前部下端を当止する機能を備えた単数又は複数の中間支持部材を前記天板の後端に着脱可能に取付け、前記配線カバーの両端部に取付けた端部材と前記端部支承具との間を回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、そして前記中間支持部材に着脱可能に取付けた中間支承具の両側と前記端部材との間を前記回動支持機構と同様の回動支持機構で着脱可能且つ開閉可能に支持し、前記端部支承具と中間支承具との間、あるいは両中間支承具の間に配線カバーを開閉可能に装着したことを特徴とする配線カバーの開閉支持装置。
【請求項2】
前記中間支持部材の上面には前記配線カバーの下端を当止する当止部を設け、該中間支持部材の後部と、前記中間支承具の本体部の前部の一方に、連結用凹部を形成し、他方に前記連結用凹部に側方からスライド係合する連結用凸部を突設してなる請求項1記載の配線カバーの開閉支持装置。
【請求項3】
前記中間支持部材の後部に形成した連結用凹部は、側面視倒L字形の溝で、左右一側が開放され、他側は閉鎖されたものであり、更に溝の開放部分に係合爪を形成してあり、また前記中間支承具の本体部の前部に形成した連結用凸部は、前記連結用凹部に側方から係合し得る側面視倒L字形であり、前記連結用凸部の一側端が前記連結用凹部の奥部に当止するとともに、他側端に前記係合爪が係合してなる請求項2記載の配線カバーの開閉支持装置。
【請求項4】
前記配線カバーの両側端に取付けた端部材の外側面の後部には、下方斜め後方に解放した傾斜溝を形成するとともに、該傾斜溝の下方開放側の下側に第1係合凹部と上側に弾性的な第2係合凹部を形成し、更に端部材の外側面の前後中央部には、下方へ向いた弾性的なリップ片を形成し、一方、前記端部支承具の内側面後部及び前記中間支承具の本体部から後方に延設した支持板の両側面後部には、上側に前記傾斜溝に係合して配線カバーを回動可能に支持する軸部を突設するとともに、その下方に前記第1係合凹部又は第2係合凹部に係合する規制ピンを突設し、更に前記端部支承具の内側面中央部及び前記中間支承具の支持板の両側面前部には、配線カバーの閉止時に前記リップ片の先端部を係止する突部と、該リップ片を突部まで案内する円弧状の案内部を形成した請求項1〜3何れか1項に記載の配線カバーの開閉支持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−45115(P2012−45115A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188880(P2010−188880)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】
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