説明

配線作業用のホット支持具

【課題】配線作業具への装着部にて分割して、軸直角方向に着脱でき、この分割によって装着部や可動部を有したホット支持部を分割境界両側に振り分けメンテナンス対象域を半減させられるようにする。
【解決手段】配線作業具1の軸部11への装着部33を有した本体24、34を備え、装着部33まわりに一側に開放する開口部12を有したほぼコ字型、C字型の少なくとも1つのホット支持部21、22、31を一体に形成し、その開口部12にこれを開閉する閉止具10を、遠隔操作を伴い閉じ位置と開き位置とに選択的に位置保持できるように設けてあり、本体24、34は、装着部33にて連結、連結解除できるように分割し、耐久予想に従い設定したメンテナンス候補部14を、分割境界15の両側に振り分けて配置し、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線作業用の垂直ホット支持具に関し、詳しくは、例えば、配線が複数平行に張られていても、配線を活線状態のまま切り分けて工事区間を停電区間とする作業をするような場合に、切り分け位置の両側をホット支持具で支持しておくことで、切り分けによって切り分け端が跳ねてまわりの活線に接触するようなことを防止し、さらに、切り分け端の一方を別のホット支持具に移して他方の切り分け端から離れた位置に支持することで、切り分け端どうしが接触することもを防止するといった、配線作業時に活線を所定位置に支持しておくことで電気的安全を図る配線作業用のホット支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような配線作業に用いる活線切り分け工具およびそれに用いるホット支持具は、下記の特許文献1などで知られている。この活線切り分け工具は、架線の2点を掴持する2つの掴線器と、これらの掴線器間に接続されて遠隔に収縮操作されることにより、各掴線器が掴持している掴持点を互いに引き付けて架線を弛ませるホットスティックと言われる棒状張線器とを備え、緩んだ掴持点間で架線を切り分けても、架線の緊張状態を保つことができる。そこで、一方の切り離し端側を停電させた工事区間とし、他方の切り離し端側を活線状態に復帰させて非工事区間とする配線作業を行うことになる。
【0003】
この配線作業時の電気的安全を図るために、図1に示す本発明の実施の形態に係る棒状張線器1およびそれに装着した2つのホット支持具2、3を参照して説明すると、ホット支持具2、3は棒状張線器1の途中2箇所に装着される。一方のホット支持具2は棒状張線器1の上下にホット支持部21、22を持ち、他方のホット支持具3は棒状張線器1の上だけにホット支持部31を持っている。
【0004】
当初、棒状張線器1の上にある両側のホット支持部21、31に切り分け対象の架線4の途中2箇所を支持させる。この途中支持のために各ホット支持部21、22、31は、一側に開口部を持ったほぼC型の環状形をなし、開口部を閉じている閉止具を開くことで架線の途中を受入れられ、受入れ後に閉止具を閉じることで架線を保持できる。架線の2点を上側両ホット支持部21、31で支持した後、架線4を配線作業域の両側で掴持している両掴線器5、6間を棒状張線器1の収縮操作によって引き寄せ、架線1を仮想線のように弛ませる。
【0005】
この状態で、上側両ホット支持部21、31により支持した2点間にて架線4の切り分けを行うが、各ホット支持部21、31は架線4を支持したままであるため両切り分け端が跳ねてまわりの架線と接触するのを防止する。次いで、一方のホット支持具2側で、上下のホット支持部21、31の開口部にある閉止具を開いて、上側ホット支持部21に支持されていた一方の切り分け端4a側を下側ホット支持部22に移して閉止具を閉じ、他方の切り分け端4bから離れた位置に支持する。これにより、切り分け端4a、4bどうしが接触し合うのを防止する。
【0006】
特許文献1が開示しているホット支持具は、取り付け穴を棒状張線器の途中に軸線方向に嵌め合わせ、所定位置にねじ止めなどして固定するようにしている。また、閉止具は開口部をその両側に跨って閉じる閉じ位置と、開口部を開くよう片側に位置ずれた開き位置との間でスライドするスライド方式のものを採用している。閉止具の閉じ位置はホット支持部側に設けたクリック機構との弾性係合によって保持され、開き操作は遠隔操作部を介しクリック機構の弾性係合に抗して開き操作されるようにしている。
【0007】
一方、特許文献1に記載のホット支持具は、取り付け穴を棒状張線器に軸線方向に通して装着するので、装着後メンテナンスなどのために取り外すのは、棒状張線器の両端に連結した掴線器ないしは掴線器との接続具など装備物が邪魔になり作業が煩雑になる。これに対応するのに、本出願人は、図4に示すようなホット支持具aを開発し採用している。このホット支持具aは、棒状張線器への装着部bを、ホット支持部cの無い側に開放し、開放した開口部dを通じ軸直角方向に棒状張線器に嵌め合わせた後、開口部dをねじ締結具eにより締結することで開口部dを狭め、棒状張線器に固定できるようにしている。なお、本例のホット支持具aは、ホット支持部cの開口部dにスライド式の閉止具fを設けてあり、直進およびストローク規制を行うガイドgに嵌め合わせて装着し、円環状の遠隔操作部hを設けると共に、閉止位置にはクリック機構jによって弾性係止されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−331723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、図4に示すホット支持具aのような棒状張線器への装着構造では、装着部bの棒状張線器への締結圧を十分確保して、強風時の架線の揺れや、このような状況下での遠隔操作上の遠隔操作具との衝突や絡みによって不用意に動いてしまうことを防止する必要がある。このため、棒状張線器やホット支持具aの成形誤差などに対応して、締結代を十分に設定しておくことになるが、時には、締結圧が過剰になって装着部bが破損することもときとしてある。しかし、いずれも本体の一部に位置しているため、1箇所のメンテナンスであっても本体全体がメンテナンス対象になってしまう不利がある。
【0010】
本発明は、そのような問題点に鑑み、配線作業具への装着部にて分割して、軸直角方向に着脱でき、この分割によって装着部や可動部を有したホット支持部を分割境界両側に振り分け、万一の場合の、メンテナンスの対象を半減させられるホット支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するために、本発明のホット支持具は、配線作業具の軸部への装着部を有した本体を備え、この本体の装着部まわりに一側に開放する開口部を有したほぼコ字型、C字型の少なくとも1つのホット支持部を一体に形成し、ホット支持部の開口部にこれを開閉する閉止具を、遠隔操作を伴い閉じ位置と開き位置とに選択的に位置保持できるように設けたホット支持具において、本体は、装着部にて装着部を連結、連結解除できるように分割し、耐久予想に従い設定したメンテナンス候補部を、分割境界の両側に振り分けて配置したことを特徴とする。
【0012】
このような構成では、ホット支持具はその本体の配線作業具への装着部で分割されているので、その連結を解除することにより、装着部は配線作業具の軸部を両側から挟むようにして沿わせ、相互を連結することにより装着でき、連結を外せば取り外せる。また、本体は、分割された装着部が締結構造上過剰な負荷を受けやすかったり、取り扱い上や使用上の不用意な外力に対し強度が不足しがちな可動部材である閉止具、その取り付け構造部、その他装備部材、付帯部材を有し、それらが必ず損傷するとは限らないものの、メンテナンス対象になる確率が高いことにつき、これらをメンテナンス候補部とし装着部での分割境界の両側に振り分け配置していることで、本体が装着部で分割された各本体分割片の双方でメンテナンス候補部が同時に損傷する確率を半減させられる。
【0013】
上記において、さらに、本体は、分割された上側の装着部半体に、上端に開口部を有したホット支持部を、その反開口部となる下側で一体成形して備え、下側の装着部は単体で、前記一方の装着部半体へのねじ締結部を、装着部の軸線を跨ぐ両端部に持ち、これら両ねじ締結部の間に装着部が装着される配線作業具の軸部に対するねじ止め部を持ったものとすることができる。
【0014】
このような構成では、上記に加え、さらに、ホット支持部が上端に開口部を有しているので、閉止具を開けば架線を上方から嵌め入れれば下部および両側から受けられて、閉止具が閉じられるまでに不用意に外れず、閉止具を閉じることによって開口部が塞がれるので、架線を切り分けた際に架線がどの方向に跳ねても受止められる。また、単体の装着部半体は、両側のねじ締結部がホット支持部と一体の装着部半体へのねじ締結力を受け、これらねじ締結部の間が配電作業具の軸部に対するねじ止めの反力を、前記締結力とは相反した方向に受け、ねじ締結部が単体の装着部半体の両端に位置してボリューム制限上、過剰な強度を持たせにくく、万一の場合の損傷に対するメンテナンス候補部となり、ホット支持部の閉止具やその取り付け部、閉止具に対する付勢ばねや弾性係止具といった付帯装備部もメンテナンス候補部となる。しかし、これらメンテナンス候補部が装着部の分割境界の両側に振り分け配置されて、分割境界両側のメンテナンス候補部双方が同時に損傷する確率を半減させられる。
【0015】
上記において、さらに、本体は、装着部の両側に、一対のホット支持部がそれらの開口部を避けた部分で繋がり、かつ、一方のホット支持部の閉止具を取り付けた閉止具取り付け部が他方のホット支持部の閉止具を閉じ位置に受け止める閉止具受部に繋がる本体分割片と、一方のホット支持部の他方のホット支持部の閉止具を閉止位置に受け止める閉止具受部が他方の閉止具を取り付けた閉止具取り付け部につながる本体分割片とに、装着部で分割され、一方の装着部半体の装着部の軸線を跨ぐ両側に他方の装着部半体へのねじ締結部を持ち、他方の装着部半体に装着部が装着される配線作業具の軸部に対するねじ止め部を持ったものとすることができる。
【0016】
このような構成では、上記に加え、さらに、各装着部半体は共に、分割された2つの領域に繋がっていて、過剰な外力に耐えるボリュームが得られるのでメンテナンス候補部とする必要は無いが、閉止具やその取り付け部、閉止具に対する付勢ばねや弾性係止具といった付帯装備部もメンテナンス候補部となるところ、これらが、本体の装着部での分割境界の両側の本体分割片に振り分け配置されて、両領域のメンテナンス候補が同時に損傷する確率を半減させられる。
【0017】
上記において、さらに、一方のホット支持部は、装着部の上に位置して開口部が上端にあり、一方の開口端に、軸回りに開閉する閉止具と、この閉止具を軸回りに開き方向に付勢するばねと、閉止具とその閉じ位置で弾性的に係合して閉じ位置に係止する係止具とを装備し、他方の開口端に、閉止具の自由端を閉じ位置に受止める閉止具受を設け、他方のホット支持部は、装着部の下に位置して開口部が側部にあり、下方開口端に軸回りに開閉する閉止具と、この閉止具を軸回りに開き方向に付勢するばねと、閉止具とその閉じ位置で弾性的に係合して閉じ位置に係止する係止具とを装備し、上方の開口端に、閉止具の自由端を閉じ位置に受止める閉止具受を設けたものとすることができる。
【0018】
上記に加え、さらに、上側のホット支持部が上端に開口部を有しているので、閉止具を開けば架線を上方から嵌め入れれば下部および両側から受けられて、閉止具が閉じられるまでに不用意に外れず、閉止具が閉じることによって開口部が塞がれるので、架線を切り分けた際に架線がどの方向に跳ねても受止められる。また、下側のホット支持部が側方に開口部を有しているので、上側のホット支持部から架線を移し入れるのに、架線を下側のホット支持部を下方に潜らせること無く移し入れられる。同時に、下側のホット支持部の開口部の下方開口端の軸まわりに閉止具を開閉させるので、その開き位置が側方への張り出し側になり、上側のホット支持部から移してくる架線を下方から受止めて脱落させず、かつ下側のホット支持部への移し入れの案内をすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のホット支持具によれば、本体がその配線作業具への装着部で分割されていて、互いの連結解除状態で配線作業具の軸部に装着部半体どうしを両側から沿わせてから互いを連結することにより簡易に装着し、また連結解除により簡易に取り外せる。同時に、この装着部の分割による着脱構造を特異に利用した、メンテナンス対象になる確率が高いことに対応して設定したメンテナンス候補部を、装着部での分割境界両側の本体分割片への振り分け配置により、各本体分割片双方でメンテナンス候補部が同時に損傷する確率を半減させられ、メンテナンスを行うにも各本体分割片の一方のみが対象となり、メンテナンス対象側を交換するにも手間が掛からないし物品費用が半減し、部分補修するにもメンテナンス非対象側は対象側を手間無く交換するだけで継続して使用に供することができる。
【0020】
上記に加え、さらに、ホット支持部が上端に開口部を有して架線を上方から嵌め入れれば下部、両側から受けられて不用意に外れず、閉止具を閉じると、架線を切り分けた際に架線がどの方向に跳ねても受止めて電気的安全を図りやすい。また、単体となる装着部半体が両側ねじ締結部とそれらの間のねじ止め部に真逆の力が働き、ボリューム制限上メンテナンス候補部となり、ホット支持部の閉止具やその取り付け部、閉止具に対する付勢ばねや弾性係止具といった付帯装備部もメンテナンス候補部となるのを、これらの装着部の分割境界の両側への振り分け配置により、両振り分け側のメンテナンス候補部双方が同時に損傷する確率を半減させられ、メンテナンスを行うにも各本体分割片の一方のみが対象となり、メンテナンス対象側を交換するにも手間が掛からないし物品費用が半減し、部分補修するにもメンテナンス非対象側は対象側を手間無く交換して継続使用に供することができる。
【0021】
上記に加え、さらに、各装着部半体が分割された各本体分割片に繋げてメンテナンス候補部とする必要をなくすことができ、閉止具やその取り付け部、閉止具に対する付勢ばねや弾性係止具といった付帯装備部もメンテナンス候補部となるのを、これを両側の本体分割片に振り分け配置して、双方のメンテナンス候補が同時に損傷する確率を半減させられ、メンテナンスを行うにも各本体分割片の一方のみが対象となり、対象側を交換するにも手間が掛からないし物品費用が半減し、部分補修するにも非対象側は対象側を手間無く交換して継続使用に供することができる。
【0022】
上記に加え、さらに、上側のホット支持部が上端に開口部を有して架線を上方から嵌め入れれば下部、両側から受けられて不用意に外れず、閉止具を閉じると架線を切り分けた際に架線がどの方向に跳ねても受止め電気的安全が図りやすい。また、下側のホット支持部が側方に開口部を有し上側のホット支持部からの架線の移し入れが、下側のホット支持部を下方に潜らない小さな引き回し径路で簡易に達成できる。同時に、下側のホット支持部の閉止具の閉じ位置が下方開口端から側方への張り出し側になって、上側から移してくる架線を下方から受止めて脱落させず、かつ下側のホット支持部への移し入れの案内をするので、前記移し入れが容易かつ迅速に失敗なく達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係るホット支持具を装備した配線作業具を示す側面図である。
【図2】同作業具の軸部への装着部の両側にホット支持部を持ったホット支持具の1つの例を示す、正面図、側面図、平面図である。
【図3】同作業具の軸部への装着部の片側にホット支持部を持ったホット支持具の1つの例を示す、正面図、平面図である。
【図4】従来の配線作業具の軸部への装着部の片側にホット支持部を持ったホット支持具の1つの例を示す、正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態に係るホット支持具の幾つかの具体例につき、図1〜図3を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。
【0025】
図1〜図3に示す本実施の形態のホット支持具2、3は、共通して、配線作業具としての記述した棒状張線器1の軸部11への装着部23、33を有した本体24、34を備え、この本体24、34の装着部23、33まわりに、図2、図3に示すように一側に開放する開口部12を有したほぼコ字型、C字型の少なくとも1つのホット支持部を一体に形成する。図示例では、架線4の切り分けを既述の手順で行う棒状張線器1に装着して用いるために、一方のホット支持具2は装着部23の上下にホット支持部21、22を持ち、他方のホット支持具3は装着部33の上だけにホット支持部31を持ったものとしている。しかし、これに限られることはなく、手順の違いや切り分け以外の配線作業などに応じてホット支持部の数や形態を種々に変更することができる。また、それらホット支持部21、22、31の開口部12には、これを開閉する閉止具10を、遠隔操作を伴い図2、図3に実線で示す閉じ位置と図2で代表して仮想線で示す開き位置とに選択的に位置保持できるように設けている。
【0026】
いずれにしても、記述の目的を達成するために、ホット支持具2やホット支持具3など各種のものにおいて、本体24、34などには、装着部23、33にて装着部を連結、連結解除できるように分割し、耐久予想に従い設定したメンテナンス候補部14を、分割境界15の両側に振り分けて配置している。
【0027】
以上により、ホット支持具2、3はその本体24、34の配線作業具としての棒状張線器1への装着部23、33で分割されているので、その連結を解除することにより、装着部23、33は棒状張線器1の軸部11を図2、図3に示すように両側から挟むようにして沿わせ、相互を連結することにより装着でき、連結を外せば取り外せる。また、本体24、34は、分割された装着部23、33が締結構造上過剰な負荷を受けやすかったり、取り扱い上や使用上の不用意な外力に対し強度が不足しがちな可動部材である閉止具10、その取り付け構造部、その他装備部材、付帯部材を有し、それらが必ず損傷するとは限らないものの、メンテナンス対象になる確率が高いことにつき、これらをメンテナンス候補部14とし装着部23、33での分割境界15の両側に振り分け配置していることで、本体24、34が装着部23、33で分割された各本体分割片24a、24bの双方、および各本体分割片34a、34bの双方で、メンテナンス候補部14が同時に損傷する確率を半減させられる。
【0028】
この結果、本体24、34がその配線作業具としての棒状張線器1への装着部23、33で分割されていて、互いの連結解除状態で棒状張線器1の軸部11に装着部半体23a、23bどうし、および33a、33bどうしを両側から沿わせてから互いを連結することにより簡易に装着し、また連結解除により簡易に取り外せる。同時に、この装着部23、33の分割による着脱構造を特異に利用した、メンテナンス対象になる確率が高いことに対応して設定したメンテナンス候補部14を、装着部23、33での分割境界15両側の本体分割片24a、24bどうし、本体分割片34a、34bどうし、への振り分け配置により、各本体分割片24a、24b双方、本体分割片34a、34b双方、でメンテナンス候補部14が同時に損傷する確率を半減させられ、メンテナンスを行うにも各本体分割片24a、34aの一方のみが対象となり、対象側を交換するにも手間が掛からないし物品費用が半減し、部分補修するにも非対象側は対象側を手間無く交換するだけで継続して使用に供することができる。
【0029】
図2に示す例のホット支持具2では、本体24は、装着部23の両側に、一対のホット支持部21、22がそれらの開口部12を避けた部分で繋がり、かつ、一方のホット支持部21の閉止具10を取り付けた閉止具取り付け部16が他方のホット支持部22の閉止具10を閉じ位置に受け止める閉止具受部17に繋がる本体分割片24aと、一方のホット支持部21の他方のホット支持部22の閉止具10を閉止位置に受け止める閉止具受部17が他方の閉止具10を取り付けた閉止具取り付け部16につながる本体分割片24bとに、装着部23で分割され、一方の装着部半体23aの装着部23の軸線を跨ぐ両側に他方の装着部半体23bへのねじ18aによるねじ締結部18、18を持ち、他方の装着部半体23bに装着部23が装着される棒状張線器1の軸部11に対するねじ19aによるねじ止め部19を持ったものとしている。
【0030】
これにより、各装着部半体23a、23bは共に、本体24が分割された2つの本体分割片24a、24bに繋がっていて、過剰な外力に耐えるボリュームが得られるのでメンテナンス候補部14とする必要は無い。しかし、閉止具10やその取り付け部、閉止具10に対する付勢ばねや弾性係止具といった付帯装備部もメンテナンス候補部14となるところ、これらが、本体24の装着部23での分割境界15の両側の本体分割片24a、24bに振り分け配置されて、両本体分割片24a、24bのメンテナンス候補部14が同時に損傷する確率を半減させられる。
【0031】
したがって、各装着部半体23a、23bが分割された各本体分割片24a、24bに繋げてメンテナンス候補部14とする必要をなくすことができ、閉止具10やその閉止具取り付け部16、閉止具10に対する付勢ばねや弾性係止具といった付帯装備部もメンテナンス候補部14となるのを、これを両側の本体分割片24a、24bに振り分け配置して、双方のメンテナンス候補部14が同時に損傷する確率を半減させられ、メンテナンスを行うにも各本体分割片24a、24bの一方のみが対象となり、メンテナンス対象側を交換するにも手間が掛からないし物品費用が半減し、部分補修するにもメンテナンス非対象側は対象側を手間無く交換して継続使用に供することができる。
【0032】
さらに、一方のホット支持部21は、装着部23の上に位置して開口部12が上端にあり、一方の開口端12aを閉止具取り付け部16として、軸25回りに開閉する閉止具10と、この閉止具10を軸25回りに開き方向に付勢するばね26と、閉止具10とその閉じ位置で弾性的に係合して閉じ位置に係止する弾性係止具27とを装備し、他方の開口端12bに、閉止具10の自由端10aを閉じ位置に受止める閉止具受部17を設け、他方のホット支持部22は、装着部23の下に位置して開口部12が側部にあり、下方開口端12cを閉止具取り付け部16として、軸25回りに開閉する閉止具10と、この閉止具10を軸25回りに開き方向に付勢するばね26と、閉止具10とその閉じ位置で弾性的に係合して閉じ位置に係止する弾性係止具27とを装備し、上方の開口端12dに、閉止具10の自由端10aを閉じ位置に受止める閉止具受部17を設けたものとしている。
【0033】
これにより、上側のホット支持部21が上端に開口部12を有しているので、閉止具10を開けば架線4を上方から嵌め入れれば下部および両側から受けられて、閉止具10が閉じられるまでに不用意に外れず、閉止具10が閉じることによって開口部12が塞がれるので、架線4を切り分けた際に架線4がどの方向に跳ねても受止められる。また、下側のホット支持部22が側方に開口部12を有しているので、上側のホット支持部21から架線4を移し入れるのに、架線4を下側のホット支持部22を下方に潜らせること無く移し入れられる。同時に、下側のホット支持部22の開口部12の下方開口端12dの軸25まわりに閉止具10を開閉させるので、その開き位置が図1に仮想線で示す側方への張り出し側になり、上側のホット支持部21から移してくる架線4を下方から受止めて脱落させず、かつ下側のホット支持部22への移し入れの案内をすることができる。
【0034】
したがって、上側のホット支持部21が上端に開口部12を有して架線4を上方から嵌め入れれば下部、両側から受けられて不用意に外れず、閉止具10を閉じると架線4を切り分けた際に架線4がどの方向に跳ねても受止め電気的安全が図りやすい。また、下側のホット支持部22が側方に開口部12を有し上側のホット支持部21からの架線4の移し入れが、下側のホット支持部22を下方に潜らない小さな引き回し径路で簡易に達成できる。同時に、下側のホット支持部22の閉止具10の閉じ位置が下方開口端12から側方への張り出し側になって、上側から移してくる架線4を下方から受止めて脱落させず、かつ下側のホット支持部22への移し入れの案内をするので、前記移し入れが容易かつ迅速に失敗なく達成できる。
【0035】
さらに詳述すると、閉止具取り付け部16は、開口端12a、12cに、開口端12b、12d側に開放した凹部16a内に閉止具10の基部を受け入れて軸25により開閉できるように取り付けている。ばね26は、ブリッジ部26aで繋がった両側蔓巻き部26b、26cを有し、ブリッジ部26aが図2(a)に示すように閉止具10の自由端10a側に掛けられて、両側蔓巻き部26b、26cが閉止具10の基部両側で軸25まわりに位置して、それらの端部26d、26eが開口端12a、12dに掛けられて閉止具10を開き方向に付勢している。
【0036】
弾性係止具27は、開口端12a、12cの凹部16aの背部からねじ込んで固定した本体27aに、これを外部から凹部16a内に貫通し、外端側への抜け止めと図示しないばねによる凹部16a側への突出習性を付与されたロックピン27bとを有し、閉止具10が実線で示す閉じ位置とされたとき、その基部外周に設けられた係合凹部10bにロックピン27bが弾性係合することで、閉止具10を閉じ位置に係止する。従って、開口端12b、12dの閉止具受部17側に係止具が不要となる。つまり、閉止具取り付け部16にメンテナンス候補部14となる閉止具10およびそれに必要な付帯装備物品を集約配置でき、閉止具受部17側がメンテナンス候補部14になるのを回避できる。ロックピン27bの後端には操作リング27cが設けられており、この操作リング27cによりロックピン27bをばねに抗して外方へ引くことで、閉止具10に対する係止を解き、閉止具10がばね26の付勢によって自動的に開かせられる。閉止具10の閉じるには閉止具10自体をばね26に抗して閉じ側に回動させればよく、閉じ位置になると弾性係止具27によって自動的に弾性係止される。
【0037】
これに対応して、閉止具受部17は閉止具10の自由端10aを振れなく閉じ位置に受止められるだけの形態を満足すればよく、図示例では二股形態として閉止具10の自由端10aを受け入れ閉じ位置に受止めるようにしている。閉止具10は軸25による取り付けにおいて、閉止具10基部両側で軸25まわりに嵌め合わせたスペーサ29、29を閉止具10基部の両面に圧接させることで閉止具10の振れを抑えるようにしている。一方、閉止具受部17の二股形態は、閉止具10の自由端10aをスムーズに受け入れるために図2(c)に示すような小さな隙間Sができる間隔に設定され、自由端10aが隙間Sを超えた振れ位置で閉じられてきても受け入れられるように二股形態の受入れ口両側に面取り部17aを形成している。
【0038】
また、図3に示すホット支持具3は、本体34が、分割された上側の装着部半体33aに、上端に開口部12を有したホット支持部31を、その反開口部となる下側で一体成形して備え、下側の装着部半体33bは単体で、前記一方の装着部半体33aへのねじ35aによるねじ締結部35、35を、装着部33の軸線を跨ぐ両端部に持ち、これら両ねじ締結部35、35の間に装着部33が装着される棒状張線器1の軸部11に対するねじ36aによるねじ止め部36を持ったものとしてある。
【0039】
これにより、ホット支持部31が上端に開口部12を有しているので、前記ホット支持部21と同様に、閉止具10を開けば架線4を上方から嵌め入れれば下部および両側から受けられて、閉止具10が閉じられるまでに不用意に外れず、閉止具10を閉じることによって開口部12が塞がれるので、架線4を切り分けた際に架線4がどの方向に跳ねても受止められる。また、単体の装着部半体33bは、両側のねじ締結部35、35がホット支持部31と一体の装着部半体33aへのねじ締結力を受け、これらねじ締結部35、35の間が棒状張線器1の軸部11に対するねじ止めの反力を、前記締結力とは相反した方向に受け、ねじ締結部35、35が単体の装着部半体33aの両端に位置してボリューム制限上、過剰な強度を持たせにくく、万一の場合の損傷に対するメンテナンス候補部14となり、ホット支持部31の閉止具10やその閉止具取り付け部16、この閉止具10に対する既述のホット支持部21、22の場合と同一符号を付して示す全く同様の付勢ばねや弾性係止具といった付帯装備部もメンテナンス候補部14となる。しかし、この場合も、これらメンテナンス候補部14が装着部33の分割境界15の両側に振り分け配置されて、分割境界15両側のメンテナンス候補部14双方が同時に損傷する確率を半減させられる。
【0040】
したがって、ホット支持部31が上端に開口部12を有して架線4を上方から嵌め入れれば下部、両側から受けられて不用意に外れず、閉止具10を閉じると、架線4を切り分けた際に架線4がどの方向に跳ねても受止めて電気的安全を図りやすい。また、単体となる装着部半体33aが両側ねじ締結部35、35とそれらの間のねじ36aによるねじ止め部36に真逆の力が働き、ボリューム制限上メンテナンス候補部14となり、ホット支持部31の閉止具10やその閉止具取り付け部16、閉止具10に対する付勢ばねや弾性係止具といった付帯装備部もメンテナンス候補部14となるのを、これらの装着部33の分割境界15の両側への振り分け配置により、両振り分け側のメンテナンス候補部14双方が同時に損傷する確率を半減させられ、メンテナンスを行うにも各本体分割片34a、34bの一方のみが対象となり、メンテナンス対象側を交換するにも手間が掛からないし物品費用が半減し、部分補修するにもメンテナンス非対象側はメンテナンス対象側を手間無く交換して継続使用に供することができる。
【0041】
さらに、ねじ止め部36は、軸部11に対し二方向からねじ止めするようにしてある。具体的には、二方向間の角度は45°としてある。しかし、これに限られることは無く、角度は自由であるし、ねじ止めは一方向からでもよい。二箇所のねじ締結部35、ねじ止め部36は、装着部33の分割境界15線上の装着部33中心位置に対して等距離の位置としてそれらの締結力およびねじ止め力がバランスよく働き合えるようにするのがよい。同じ理由でねじ止め部36が一箇所であれば、分割境界15線上の装着部33中心位置とするのが好適となる。
【0042】
なお、軸部11は樹脂、例えばFRP製で、ねじ19a、36aの端面が軸直角の平面であっても軸部11に押圧させれば、軸部11側が幾分なじんで面圧状態となるので、回り止め効果が発揮される。因みに、本体24、34はアルミニウム製、閉止具10やねじ18a、19a、35a、36a、弾性係止具27はステンレス鋼製として防錆性を持たせている。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、配電作業上活線状態の架線をホット支持するのに実用されるホット支持具に適用して、メンテナンス候補部が複数あっても、メンテナンスの手間、部品費用を低減できる。
【符号の説明】
【0044】
1 棒状張線器
2、3 ホット支持具
21、22、31 ホット支持部
23、33 装着部
23a、23b、33a、33b 装着部半体
24、34 本体
24a、24b、34a、34b 本体分割片
10 閉止具
11 軸部
12 開口部
12a、12b、12c、12d 開口端
14 メンテナンス候補部
15 分割境界
16 閉止具取り付け部
17 閉止具受部
18、35 ねじ締結部
19、36 ねじ止め部
25 軸
26 ばね
27 弾性係止具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線作業具の軸部への装着部を有した本体を備え、この本体の装着部まわりに一側に開放する開口部を有したほぼコ字型、C字型の少なくとも1つのホット支持部を一体に形成し、ホット支持部の開口部にこれを開閉する閉止具を、遠隔操作を伴い閉じ位置と開き位置とに選択的に位置保持できるように設けたホット支持具において、本体は、装着部にて装着部を連結、連結解除できるように分割し、耐久予想に従い設定したメンテナンス候補部を、分割境界の両側に振り分けて配置したことを特徴とするホット支持具。
【請求項2】
本体は、分割された上側の装着部半体に、上端に開口部を有したホット支持部を、その反開口部となる下側で一体成形して備え、下側の装着部は単体で、前記一方の装着部半体へのねじ締結部を、装着部の軸線を跨ぐ両端部に持ち、これら両ねじ締結部の間に装着部が装着される配線作業具の軸部に対するねじ止め部を持った請求項1に記載のホット支持具。
【請求項3】
本体は、装着部の両側に、一対のホット支持部がそれらの開口部を避けた部分で繋がり、かつ、一方のホット支持部の閉止具を取り付けた閉止具取り付け部が他方のホット支持部の閉止具を閉じ位置に受け止める閉止具受部に繋がる本体分割片と、一方のホット支持部の他方のホット支持部の閉止具を閉止位置に受け止める閉止具受部が他方の閉止具を取り付けた閉止具取り付け部につながる本体分割片とに、装着部で分割され、一方の装着部半体の装着部の軸線を跨ぐ両側に他方の装着部半体へのねじ締結部を持ち、他方の装着部半体に装着部が装着される配線作業具の軸部に対するねじ止め部を持った請求項1に記載のホット支持具。
【請求項4】
一方のホット支持部は、装着部の上に位置して開口部が上端にあり、一方の開口端に、軸回りに開閉する閉止具と、この閉止具を軸回りに開き方向に付勢するばねと、閉止具とその閉じ位置で弾性的に係合して閉じ位置に係止する係止具とを装備し、他方の開口端に、閉止具の自由端を閉じ位置に受止める閉止具受を設け、他方のホット支持部は、装着部の下に位置して開口部が側部にあり、下方開口端に軸回りに開閉する閉止具と、この閉止具を軸回りに開き方向に付勢するばねと、閉止具とその閉じ位置で弾性的に係合して閉じ位置に係止する係止具とを装備し、上方の開口端に、閉止具の自由端を閉じ位置に受止める閉止具受を設けた請求項3に記載のホット支持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−239565(P2011−239565A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108781(P2010−108781)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(591083772)株式会社永木精機 (65)