説明

配線板測定装置及び配線板測定方法

【課題】簡易な構成でプリント配線板の温度変化に影響されずにプリント配線板を測定する。
【解決手段】配線板測定装置1は、押さえ板載せ部4によって押さえ板40を、載置台2に載置されたプリント配線板PCB上に載せる。そして、プリント配線板PCB上に押さえ板40が載置された状態で、プリアライメント用カメラ51a,51b及び測定用カメラ52a,52bによりプリント配線板PCBのガイドマークMを測定する。これにより、プリント配線板PCBの歪みや変形を抑制してプリント配線板PCBを測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線板測定装置及び配線板測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICチップ、抵抗、コンデンサ等の電子部品を実装するために、多層プリント配線板が利用されている。このような多層プリント配線板は、各層のプリント配線板をそれぞれに形成し、最終的に、形成したプリント配線板を積層させることによって得られる。
【0003】
プリント配線板を積層するときには、各プリント配線板の配線パターン同士が正確な位置関係にないと不良品になってしまうため、プリント配線板に形成されている配線パターンの位置を正確に測定することが望まれる。特に、多層プリント配線板を大量に生産する場合には、配線パターンの位置(ずれ)毎に分別してプリント配線板を積層することにより、効率よく多層プリント配線板を製造することができる。
【0004】
プリント配線板に形成されている配線パターンの位置を検出するために、プリント配線板を載置台に載置して、プリント配線板に形成されたアライメントマークを鉛直上方から撮像するものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置では、アライメントマークをX線カメラで撮像した画像に基づいてプリント配線板の仮の穿孔位置を求め、温度計で測定した載置台およびプリント配線板の温度に基づいて仮の穿孔位置を補正することにより、プリント配線板の温度変化にも対応してプリント配線板の穿孔位置を定めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−227422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子機器が高密度化した現状においては、高い加工精度や測定精度が要求され、プリント配線板の歪みや温度による変形は無視することができない。特許文献1に記載の装置では、検出温度に基づいてコンピュータにより撮像データを補正しているため、温度を検出するセンサやコンピュータの精度が求められる。このため、他の手法によっても温度変化に影響されずにプリント配線板を測定することが望まれる。
【0007】
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成でプリント配線板の温度変化に影響されずにプリント配線板を測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る配線板測定装置は、
少なくとも2つの位置検出用のマークが設けられたプリント配線板の前記マークの位置を測定する配線板測定装置であって、
前記プリント配線板が載置される載置台と、
前記プリント配線板を押さえる押さえ板と、
前記載置台に載置したプリント配線板上に前記押さえ板を載せる押さえ板載せ機構と、
前記押さえ板載せ機構により前記押さえ板が載せられた状態で、鉛直上方から前記プリント配線板のマークを検出するマーク検出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記載置台を所定の移動方向に移動する移動手段を更に備え、
前記マーク検出手段は、前記移動手段によって前記載置台が所定位置に移動したときに前記プリント配線板のマークを検出してもよい。
【0010】
また、前記押さえ板載せ機構は、前記移動手段による前記プリント配線板の移動方向に沿って前記押さえ板を前記載置台上に移動させてもよい。
【0011】
また、前記押さえ板載せ機構は、前記移動手段による前記載置台の前記所定位置への移動を伴って、前記プリント配線板上に前記押さえ板を載せてもよい。
【0012】
また、前記プリント配線板上に前記押さえ板を載せるときには、前記移動手段は前記載置台を第1の距離だけ移動させ、前記押さえ板載せ機構は前記押さえ板を前記第1の距離より短い第2の距離だけ移動させてもよい。
【0013】
また、前記載置台を水平に回転させる回転手段を更に備え、
前記マーク検出手段は、鉛直上方から第1の範囲を撮像する第1の撮像手段と、鉛直上方から前記第1の撮像手段に比して小さい範囲を精密に撮像する第2の撮像手段とを有し、
前記配線板測定装置は、前記第1の撮像手段により前記プリント配線板のマークを撮像し、該撮像したデータに基づいて、前記プリント配線板の少なくとも2つのマークが所定の基準マークの関係に等しくなるように前記回転手段により前記載置台を回転し、前記第2の撮像手段により前記プリント配線板のマークを撮像してもよい。
【0014】
また、前記マーク検出手段は、前記第2の撮像手段、前記第1の撮像手段の順に、前記載置台の初期位置から近い位置に設けられてもよい。
【0015】
また、前記押さえ板載せ機構は、前記第1の撮像手段により前記プリント配線板のマークが撮像されると想定される第1撮像位置への前記載置台の移動を伴って、前記プリント配線板上に前記押さえ板を載せてもよい。
【0016】
本発明の第2の観点に係る配線板測定方法は、
印刷によって導体層と少なくとも2つの位置検出用のマークとが設けられたプリント配線板の前記マークの位置を測定する配線板測定方法であって、
載置台に前記プリント配線板を載置する工程と、
前記載置台に載置したプリント配線板上に該プリント配線板の板面より大きい板面を有する押さえ板を載せる工程と、
前記押さえ板が載せられた状態で、鉛直上方から前記プリント配線板のマークを検出する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0017】
前記配線板のマークを検出する工程では、前記載置台を所定方向に移動する移動手段によって前記載置台が所定位置に移動したときに前記プリント配線板のマークを検出し、
前記押さえ板を載せる工程では、前記移動手段による前記載置台の前記所定位置への移動を伴って前記プリント配線板上に前記押さえ板を載せてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の配線板測定装置及び配線板測定方法によれば、簡易な構成でプリント配線板の温度変化に影響されずにプリント配線板を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る配線板測定装置の構成の概要を示す側面図である。
【図2】配線板測定装置の構成の概要を示す上面図である。
【図3】制御部の構成の概要を示す図である。
【図4】プリント配線板に印刷されたガイドマークの一例を示す図である。
【図5】配線板測定処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】プリント配線板上に押さえ板を載せるときの動作を説明するための模式図であり、(a)は本実施形態に係る配線板測定装置の動作を示し、(b)は比較例に係る配線板測定装置の動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態に係る配線板測定装置について図を用いて説明する。配線板測定装置1は、図1及び図2に示すように、フレーム10と、ワークであるプリント配線板PCBを載置するための載置台2と、載置台2を移動する搬送部3と、載置台2上に押さえ板40を載せる押さえ板載せ部4と、載置台2を鉛直上方から撮像する撮像部5と、装置全体を制御する制御部6(図2では不図示)を備えている。以下、搬送部3によって載置台2が移動する方向をY方向、Y方向に垂直で水平な方向をX方向、鉛直方向をZ方向とする。なお、図1及び図2では、載置台2上のプリント配線板PCBを破線で示し、押さえ板40を一点鎖線で示している。
【0021】
図1及び図2の白抜きの矢印は作業者の定位置であり、作業者は矢の方向(Y軸の正方向)に向かって立ち、プリント配線板PCBを配線板測定装置1に投入し、測定が終わればプリント配線板PCBを配線板測定装置1から取り出す。プリント配線板PCBの投入と取り出しは、搬送装置によって行ってもよい。搬送装置は、例えばエアによって吸着する吸着器を備えたロボットアームで構成することができる。
【0022】
載置台2は、上部の載置面にプリント配線板PCBを載置するものであり、搬送部3によってY軸方向に移動する。載置台2は、搬送部3によって、所定の高さで支持され、載置面が水平になっている。載置台2の中央部には、吸着孔2aが形成され、吸着孔2aを負圧にする図示しない吸着装置が連結されている。載置台2にプリント配線板PCBが載置された状態で吸着孔2aが負圧にされることにより、プリント配線板PCBは載置台2に吸着されて固定される。
【0023】
搬送部3は、載置台2をY方向に移動させるとともに載置台2をZ方向回りに回転させて、載置台2の配置を調整することができる。搬送部3は、移動台31と、フレーム10に固定されてY方向に伸びる一組のガイドレール32a、32bと、Y方向に伸びるボールねじ33と、ボールねじ33を回転する移動用モータ34と、移動台31に対して載置台2を回転させる回転テーブル35とを備える。移動台31は、載置台2を支持し、移動台31に設けられた図示しないボールナットがボールねじ33と係合する。こうした構成により、移動用モータ34によってボールねじ33が回転すると、移動台31がガイドレール32a,32bに沿ってY方向に移動し、移動台31に支持される載置台2が移動台31と共にY方向に移動する。また、載置台2は、回転テーブル35によって、移動台31に対してZ方向回りに回転する。回転テーブル35は、載置台2を回転させる図示しない駆動機構を有する。
【0024】
押さえ板載せ部4は、載置台2に載置されたプリント配線板PCB上に押さえ板40を載せる。押さえ板40は、プリント配線板PCBの板面より大きい板面を有し、透明な樹脂などによって矩形状に形成されている。押さえ板40は、プリント配線板PCBの歪みや温度による変形を除去できるように十分な重さを有することが望ましく、また、温度による変形が小さく、且つ、撮像部5によるプリント配線板PCBの撮像を妨げないような材料、形状で形成される必要がある。こうした条件に基づいて押さえ板40の材料や形状は適宜定めることができる。
【0025】
押さえ板載せ部4は、押さえ板40を昇降するアクチュエータ41と、押さえ板40をY方向に移動する押さえ板移動部43とを備える。アクチュエータ41は、押さえ板40の四隅に位置する昇降台42を同時に昇降させて、押さえ板40を載置台2の載置面より上方に持ち上げたり、載置台2上に下ろしたりする。押さえ板移動部43は、昇降台42をY方向に移動させることにより、昇降台42で持ち上げられている押さえ板40をY方向に移動させる。押さえ板移動部43は、載置台2や撮像部5に比して移動の精度が要求されないため、本実施形態では、ボールねじではなく、モータによってベルト44を回転させることにより、ベルトに連動させて昇降台42を移動させるものとした。
【0026】
撮像部5は、1組のプリアライメント用カメラ51a,51bと、1組の測定用カメラ52a,52bと、プリアライメント用カメラ51a及び測定用カメラ52aを移動する左カメラ移動部53Lと、プリアライメント用カメラ51b及び測定用カメラ52bを移動する右カメラ移動部53Rとを備える。
【0027】
プリアライメント用カメラ51a,51bは、鉛直上方からプリント配線板PCBの後述するガイドマークMを撮像するものであり、比較的広い範囲(例えば、100mm×100mmの範囲)を撮像する。また、測定用カメラ52a,52bは、鉛直上方からプリント配線板PCBのガイドマークMを撮像するものであり、プリアライメント用カメラ51a,51bに比して狭い範囲(例えば、数十mm×数十mmの範囲)を精密に撮像することができる。プリアライメント用カメラ51a,51bは、操作者から遠い側(図2中右側)において架台54L,54Rに固定され、測定用カメラ52a,52bは、操作者から近い側(図2中左側)において架台54L,54Rに固定されている。
【0028】
プリアライメント用カメラ51a及び測定用カメラ52aは、架台54Lに固定され、左カメラ移動部53LによってX方向に移動する。左カメラ移動部53Lは、X方向に伸びるボールねじ55Lと、架台54Lに固定されてボールねじ55Lに係合する図示しないボールナットと、ボールねじ55Lを回転する左カメラ用モータ56Lとを備える。左カメラ移動部53Lでは、左カメラ用モータ56Lによってボールねじ55Lを回転させることにより架台54LがX方向に移動し、プリアライメント用カメラ51a及び測定用カメラ52aがX方向に移動する。
【0029】
プリアライメント用カメラ51b及び測定用カメラ52bは、架台54Rに固定され、右カメラ移動部53RによってX方向に移動する。右カメラ移動部53Rは、X方向に伸びるボールねじ55Rと、架台54Rに固定されてボールねじ55Rに係合する図示しないボールナットと、ボールねじ55Rを回転する左カメラ用モータ56Rとを備える。右カメラ移動部53Rでは、右カメラ用モータ56Rによってボールねじ55Rを回転させることにより架台54RがX方向に移動し、プリアライメント用カメラ51b及び測定用カメラ52bがX方向に移動する。
【0030】
制御部6は、図3に示すように、制御ユニット61、主記憶部62、外部記憶部63、操作部64、表示部65及び入出力部66を備える。主記憶部62、外部記憶部63、操作部64、表示部65及び入出力部66はいずれも内部バス68を介して制御ユニット61に接続されている。
【0031】
制御ユニット61はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部63に記憶されているプログラムに従って、後述する測定のための処理を実行する。
【0032】
主記憶部62は、RAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部63に記憶されているプログラムをロードし、制御ユニット61の作業領域として用いられる。
【0033】
外部記憶部63は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc Rewritable)等の不揮発性メモリから構成され、前記の処理を制御ユニット61に行わせるためのプログラムを予め記憶し、また、制御ユニット61の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御ユニット61に供給し、制御ユニット61から供給されたデータを記憶する。
【0034】
操作部64はキーボードおよびマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボードおよびポインティングデバイス等を内部バス68に接続するインターフェース装置から構成されている。操作部64を介して、処理の開始または終了の指令などが入力され、制御ユニット61に供給される。
【0035】
表示部65は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、プリアライメント用カメラ51a,51bや測定用カメラ52a,52bの撮像や、測定したプリント配線板PCBの後述するガイドマークMの座標、警告、作業者への指示等を表示する。
【0036】
入出力部66は、シリアルインタフェース又はLAN(Local Area Network)インターフェースから構成されている。入出力部66を介して、プリアライメント用カメラ51a,51bや測定用カメラ52a,52bのから撮像した画像信号等を入力する。また、載置台2の図示しない吸着部や搬送部3、押さえ板載せ部4、撮像部5を駆動する信号を出力する。
【0037】
以上の構成の配線板測定装置1は、プリント配線板PCBを測定することが可能である。本実施形態におけるプリント配線板PCBは、図4に示すように、4カ所のガイドマークM1〜M4(以下、まとめて「ガイドマークM」ともいう)が印刷される。ガイドマークM1〜M4は、プリント配線板PCBの4頂点の近傍に配置され、矩形のプリント配線板PCBの4辺から等距離の位置に印刷される。
【0038】
次に、配線板測定装置1の動作を説明する。配線板測定装置1の制御ユニット61は、例えば起動時に、各種アクチュエータを駆動して初期処理を行う。初期処理では、載置台2、押さえ板40、プリアライメント用カメラ51a,51b及び測定用カメラ52a,52bを所定の初期位置に移動する。本実施形態では、載置台2は、操作者から近い位置に配置され、押さえ板40は載置台2上から外れた位置に配置される(図1及び図2参照)。
【0039】
そして、制御ユニット61は、例えば、操作者によって図示しない測定スイッチがONされることを契機として、図5に示す配線板測定処理を実行する。制御ユニット61は、まず、測定対象であるプリント配線板PCBを載置台2上に載置して固定する(ステップS1)。このときには、制御ユニット61は、例えば表示部65にメッセージを表示してプリント配線板PCBの投入を促し、作業者がワークとしてのプリント配線板PCBを載置台2の上に載置する。
【0040】
配線板測定装置1がプリント配線板PCBの供給と取り出しを行う搬送装置を備える場合には、搬送装置にプリント配線板PCBの投入を指示してプリント配線板PCBを載置台2上に投入させ、搬送装置からプリント配線板PCBの載置が終了したことを示す信号を受信する。
【0041】
制御ユニット61は、図示しない感圧センサや作業者からのスイッチの操作、搬送装置からの信号などによって載置台2上にプリント配線板PCBが載置されたと判断すると、載置台2の吸着孔2aを負圧にしてプリント配線板PCBを載置台2に固定する。
【0042】
続いて、制御ユニット61は、載置台2の移動を伴ってプリント配線板PCB上に押さえ板40を載せる(ステップS2)。このときには、図6に示すように、搬送部3はプリント配線板PCBのガイドマークM1がプリアライメント用カメラ51aの視野の範囲内に収まるとともにガイドマークM2がプリアライメント用カメラ51bの視野内に収まると想定される位置に載置台2を移動させる。それと同時に押さえ板載せ部4は、押さえ板40を載置台2に近づくように移動させる。このときの押さえ板40の移動距離をLw1とする。そして、押さえ板40が載置台2上に移動したら、押さえ板載せ部4によって押さえ板40を載置台2上に下ろす。本実施形態では、このようにプリント配線板PCB上に押さえ板40が載せられるときに、移動機構による載置台2の移動距離Lbより、押さえ板載せ部4による押さえ板40の移動距離Lw1の方が小さくなるものとした(Lb>Lw1)。
【0043】
こうして押さえ板40がプリント配線板PCB上に載せられると、プリント配線板PCBの歪みや温度変化に伴う変形が押さえ板40によって押さえられて抑制される。
【0044】
続いて、制御ユニット61は、押さえ板40がプリント配線板PCB上に載せられた状態で、プリアライメント用カメラ51a,51bによってプリント配線板PCBのガイドマークM1,M2を撮像する(ステップS3)。このときには、制御ユニット61は、プリアライメント用カメラ51a,51b同士の距離がガイドマークM1,M2のX方向の距離Lxに等しくなるように架台54L,54Rを移動させて、プリアライメント用カメラ51a,51bによりガイドマークMを撮像する。プリアライメント用カメラ51a,51bは、上述したように、比較的広い範囲を撮像することができるため、容易にガイドマークM1,M2を撮像することができる。
【0045】
続いて、制御ユニット61は、プリアライメント用カメラ51a,51bで撮像した画像データに基づいて、ガイドマークMがX方向及びY方向に沿って配置されるように、回転テーブル35によって載置台2を回転させてプリント配線板PCBの向きを調整する(ステップS4)。なお、回転テーブル35による載置台2の回転に伴ってプリント配線板PCTや押さえ板40も回転する。
【0046】
作業者又は搬送装置による載置位置のずれや、プリント配線板PCBに形成された配線パターンの製造誤差などによって、載置台2に載置されるプリント配線板PCBのガイドマークM1〜M4は、設計上配置されるべき位置に対してX方向及びY方向にずれて配置される。このため、本実施形態では、比較的広い撮像範囲を有するプリアライメント用カメラ51a,51bによってガイドマークM1,M2を撮像し、撮像した画像データに基づいてガイドマークMの位置が所定の関係(例えば、ガイドマークM1〜M4がX方向及びY方向に沿う関係)となるようにプリント配線板PCBの向きを調整する。
【0047】
続いて、制御ユニット61は、測定用カメラ52a,52bによってプリント配線板PCBのガイドマークMを撮像する(ステップS5)。このときには、制御ユニット61は、例えば、まず、測定用カメラ52a,52bによってガイドマークM3,M4が撮像可能な位置に載置台2を移動させ、測定用カメラ52a,52bの互いの距離がガイドマークMのX方向の距離Lxに等しくなるように架台54L,54Rを移動させて、測定用カメラ52a,52bによってガイドマークM3,M4を撮像する。次に、測定用カメラ52a,52bによってガイドマークM1,M2が撮像可能な位置に載置台2を移動させ、測定用カメラ52a,52bによってガイドマークM1,M2を撮像する。なお、測定用カメラ52a,52bによる撮像を行うときには、プリアライメント用カメラ51a,51bで撮像したデータに基づいて測定用カメラ52a,52bのX方向の中心位置を移動させてもよい。
【0048】
測定用カメラ52a,52bでは、プリント配線板PCBにおける配線パターンの位置が測定されるように、ガイドマークMと共にプリント配線板PCBの特徴点を撮像する。例えば、プリント配線板PCBに予め設けられている図示しない基準マークや、プリント配線板PCBの縁をプリント配線板PCBの特徴点とすることができる。測定用カメラ52a,52bは、上述したように、プリアライメント用カメラ51a,51bに比して精密に撮像することができるため、測定用カメラ52a,52bによってプリント配線板PCBを精密に測定することができる。また、プリアライメント用カメラ51a,51b及び回転テーブル35によってガイドマークM1〜M4がX方向及びY方向に沿うようにプリント配線板PCBの向きを調整しているので、ガイドマークMを容易に撮像中心付近で撮像することができ、プリント配線板PCBを迅速且つ精密に測定することができる。
【0049】
このように、本実施形態では測定用カメラ52a,52bがプリアライメント用カメラ51a,51bに比して載置台2の初期位置近くに配置されている。これに対して図6(b)に示すように測定用カメラ52a,52bとプリアライメント用カメラ51a,51bとの配置が逆に配置されている場合の押さえ板40の移動距離をLw2とするとLw1<Lw2となる。
【0050】
従って図6(a)に示す構成と図6(b)に示す構成とにおいて、プリント配線板PCBを投入してから押さえ板40を載置台2上に下ろすまでの時間を一定とすると、図6(a)に示す構成では、図6(b)に示す構成よりも押さえ板載せ部4の移動速度を遅くすることができる。また、押さえ板載せ部4の可動範囲を小さく設計することもできる。
【0051】
測定用カメラ52a,52bによってプリント配線板PCBのガイドマークMを撮像したら、制御ユニット61は、測定対象であるプリント配線板PCBの識別番号に関連づけて、撮像したデータに基づく測定データを主記憶部62に記憶させる(ステップS6)。プリント配線板PCBの識別番号は、例えばその日初めて測定するプリント配線板であればナンバー1などとする。その他にも、ロット番号と関連づけるなどしてもよい。制御ユニット61は、測定データとして、測定用カメラ52a,52bで撮像した画像データに基づいて、プリント配線板PCBにおける配線パターンの位置を算出して主記憶部62に記憶させる。例えば、測定データとして、ガイドマークM1〜M4の中心からプリント配線板PCBの縁(特徴点)までのX方向およびY方向の距離をそれぞれに記憶することが考えられる。
【0052】
こうしてプリント配線板PCBの測定データが記憶されると、制御ユニット61は、搬送部3によって載置台2を所定の持ち上げ位置に移動させるとともに、押さえ板移動部43によって昇降台42を移動させ、押さえ板40の下方に昇降台42を位置させる。次に、昇降台42によって押さえ板40を載置台2及びプリント配線板PCB上から持ち上げた後に載置台2を初期位置に移動させ(ステップS7)、載置台2が初期位置に移動した後、プリント配線板PCBと載置台2の固定を解除して(ステップS8)、配線板測定処理を終了する。押さえ板40は、その後の作業に備えて、その場に留めてもよいし、プリント配線板PCBの取り出し作業に支障があるようならば、押さえ板載せ部4の押さえ板移動部43によってプリント配線板PCBの取り出しに支障のない位置まで移動させればよい。制御ユニット61は、載置台2の吸着穴2aの負圧を解除して載置台2の固定を解除した後には、例えば表示部65にメッセージを表示してプリント配線板PCBの取り外しを促し、作業者にプリント配線板PCBを取り外させる。また、図示しない搬送装置を備えるときには、搬送装置を駆動してプリント配線板PCBを載置台2から取り外す。
【0053】
以上のように、本実施形態の配線板測定装置1は、プリント配線板PCBの板面より大きい板面を有する押さえ板40をプリント配線板PCB上に載せて、プリアライメント用カメラ51a,51b及び測定用カメラ52a,52bによりガイドマークMを測定するため、プリント配線板PCBの歪みや変形を抑制してプリント配線板PCBを測定することができ、温度変化に影響されずプリント配線板PCBを測定することができる。
【0054】
また、搬送部3による載置台2の移動を伴って、押さえ板40をプリント配線板PCB上に載せるため、押さえ板載せ部4による押さえ板40の移動距離を少なくすることができるので、押さえ板載せ部4の可動範囲を小さくしたり、迅速に押さえ板40をプリント配線板PCB上に載せたり、押さえ板載せ部4の移動速度を遅くすることができる。また、載置台2上に押さえ板40を載置した後は押さえ板40は搬送部3によって移動が行われる。従って本実施形態に記載のように押さえ板載せ部4を高価なボールねじではなく安価なベルトで駆動するような構成を採用することが可能となり、配線板測定装置1のコストを低くすることができる。
【0055】
以上、一実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されず、その応用及び変形等は任意である。例えば、上記実施の形態では、プリアライメント用カメラ51a,51bや測定用カメラ52a,52bとしてCCDカメラを使用したが、プリント配線板PCBのガイドマークMを測定できるものであれば、例えばX線カメラなど如何なるものを用いてもよい。この場合、押さえ板40として、プリント配線板のマークの検出を妨げないものを用いればよい。また、プリアライメント用カメラ51a,51bと測定用カメラ52a,52bとで、異なる種類のカメラを用いてもよい。また、プリアライメント用カメラ51a,51b及び測定用カメラ52a,52bは、載置台2の下側または上側と下側との両側に配置されるものであってもよい。
【0056】
上記実施の形態では、押さえ板40の重みによってプリント配線板PCBの変形を抑制するものとしたが、押さえ板40を載置台2の載置面に押しつける機構を備えてもよい。また、押さえ板40を載置台2に押しつけることによって、吸着装置と共に、又は吸着装置に代えて、プリント配線板PCBが載置台2に固定されてもよい。
【0057】
上記実施の形態では、搬送部3による載置台2の移動を伴って押さえ板40がプリント配線板PCB上に載せられるものとしたが、搬送部3による載置台2の移動を伴うことなく押さえ板載せ部4によって押さえ板40がプリント配線板PCB上に載せられてもよい。
【0058】
上記実施の形態では、プリアライメント用カメラ51a,51bと測定用カメラ52a,52bとを備えるものとしたが、プリアライメント用カメラ51a,51bを備えなくてもよい。また、測定用カメラ52a,52bを上下させることで測定用カメラとプリアライメント用カメラとを兼用させてもよい。また、載置台2を回転させる回転テーブル35を備えなくてもよいし、回転テーブル35に代えて又は加えて載置台2をX方向に移動させる機構を備えてもよい。
【0059】
上記実施の形態では、プリント配線板PCBには、四隅にガイドマークM1〜M4が設けられるものとしたが、こうした例に限定されるものではなく、ガイドマークが少なくとも2つ設けられていればよい。また、ガイドマークは、印刷されたものに限定されず、穴などでもよい。
【0060】
また、配線板測定装置1には、例えばプリント配線板PCBに穴を開けるための穴開け機構など、他の構成が搭載されていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 配線板測定装置
2 載置台
2a 吸着穴
3 搬送部
4 押さえ板載せ部
5 撮像部
6 制御部
10 フレーム
30 移動部
31 移動台
32a,32b ガイドレール
33 ボールねじ
34 移動用モータ
35 回転テーブル
40 押さえ板
41 アクチュエータ
42 昇降台
43 押さえ板移動部
51a,51b プリアライメント用カメラ
52a,52b 測定用カメラ
53L 左カメラ移動部
53R 右カメラ移動部
61 制御ユニット
62 主記憶部
63 外部記憶部63
64 操作部
65 表示部
66 入出力部
68 内部バス
M1〜M4 ガイドマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの位置検出用のマークが設けられたプリント配線板の前記マークの位置を測定する配線板測定装置であって、
前記プリント配線板が載置される載置台と、
前記プリント配線板を押さえる押さえ板と、
前記載置台に載置したプリント配線板上に前記押さえ板を載せる押さえ板載せ機構と、
前記押さえ板載せ機構により前記押さえ板が載せられた状態で、鉛直上方から前記プリント配線板のマークを検出するマーク検出手段と、
を備えることを特徴とする配線板測定装置。
【請求項2】
前記載置台を所定の移動方向に移動する移動手段を更に備え、
前記マーク検出手段は、前記移動手段によって前記載置台が所定位置に移動したときに前記プリント配線板のマークを検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の配線板測定装置。
【請求項3】
前記押さえ板載せ機構は、前記移動手段による前記プリント配線板の移動方向に沿って前記押さえ板を前記載置台上に移動させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の配線板測定装置。
【請求項4】
前記押さえ板載せ機構は、前記移動手段による前記載置台の前記所定位置への移動を伴って、前記プリント配線板上に前記押さえ板を載せる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の配線板測定装置。
【請求項5】
前記プリント配線板上に前記押さえ板を載せるときには、前記移動手段は前記載置台を第1の距離だけ移動させ、前記押さえ板載せ機構は前記押さえ板を前記第1の距離より短い第2の距離だけ移動させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の配線板測定装置。
【請求項6】
前記載置台を水平に回転させる回転手段を更に備え、
前記マーク検出手段は、鉛直上方から第1の範囲を撮像する第1の撮像手段と、鉛直上方から前記第1の撮像手段に比して小さい範囲を精密に撮像する第2の撮像手段とを有し、
前記配線板測定装置は、前記第1の撮像手段により前記プリント配線板のマークを撮像し、該撮像したデータに基づいて、前記プリント配線板の少なくとも2つのマークが所定の基準マークの関係に等しくなるように前記回転手段により前記載置台を回転し、前記第2の撮像手段により前記プリント配線板のマークを撮像する、
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の配線板測定装置。
【請求項7】
前記マーク検出手段は、前記第2の撮像手段、前記第1の撮像手段の順に、前記載置台の初期位置から近い位置に設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の配線板測定装置。
【請求項8】
前記押さえ板載せ機構は、前記第1の撮像手段により前記プリント配線板のマークが撮像されると想定される第1撮像位置への前記載置台の移動を伴って、前記プリント配線板上に前記押さえ板を載せる、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の配線板測定装置。
【請求項9】
印刷によって導体層と少なくとも2つの位置検出用のマークとが設けられたプリント配線板の前記マークの位置を測定する配線板測定方法であって、
載置台に前記プリント配線板を載置する工程と、
前記載置台に載置したプリント配線板上に該プリント配線板の板面より大きい板面を有する押さえ板を載せる工程と、
前記押さえ板が載せられた状態で、鉛直上方から前記プリント配線板のマークを検出する工程と、
を含むことを特徴とする配線板測定方法。
【請求項10】
前記配線板のマークを検出する工程では、前記載置台を所定方向に移動する移動手段によって前記載置台が所定位置に移動したときに前記プリント配線板のマークを検出し、
前記押さえ板を載せる工程では、前記移動手段による前記載置台の前記所定位置への移動を伴って前記プリント配線板上に前記押さえ板を載せる、
ことを特徴とする請求項8に記載の配線板測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−98500(P2013−98500A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242850(P2011−242850)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)