説明

酸化タングステン管状体およびこれを用いた光触媒

【課題】安価で大量合成可能な可能であり、しかも可視光照射下で高度な光触媒活性を有する酸化タングステンの管状体及びこれを用いた光触媒を提供する。
【解決手段】式WOで示される酸化タングステンの微粒子の集合体からなる酸化タングステン管状体。好ましくは、微粒子の粒径が10nm〜200nmであり、外径が100nm〜2μm、内径が20nm〜1μm、長さが1μm〜50μmで、かつ比表面積が5m2/g以上である上記酸化タングステン管状体。これらの管状体を用いた可視光応答性光触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タングステン化合物の微粒子の集合体から形成された管状体およびこれを用いた殊に可視光での光触媒活性に優れた光触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な光触媒材料として酸化チタンが良く知られ、励起光の照射により有機物を分解し、また表面の濡れ性が向上する光誘起親水化反応を発現することが知られている。光触媒反応を起こすためにはその光触媒のバンドギャップ以上のエネルギーをもった光子(フォトン)が必要である。酸化チタンを光触媒として使用した場合、光触媒反応を起こすために必要なフォトンのエネルギーは酸化チタンのバンドギャップに相当する3.0eV以上、すなわち、光の波長に換算すると400nm以下の紫外線が必要となる。蛍光灯や白熱電灯等の室内の照明装置から照射される紫外線強度は微弱なため、酸化チタンの室内の照明装置による親水化は充分でなかった。
近年、酸化チタンに窒素等のアニオンをドーピングすることで可視光の照射でも光触媒反応が発現する材料が報告されている(非特許文献1)。しかしながら、非特許文献2に開示されているように、窒素等のドーパントの準位は酸化チタンの価電子帯の上に孤立準位として存在するために光励起によって生成した正孔の移動度が低く、アニオンドープ酸化チタンの可視光での量子効率は紫外線での効率よりも著しく低いことが報告されている。
【0003】
一方、不純物をドーピングした材料ではなく、単純酸化物を用いる方が電子正孔対の高い移動度が期待できる。単純酸化物の中でも酸化タングステンはバンドギャップが2.6eV〜2.8eVで可視光を吸収することが知られている。酸化タングステンの価電子帯のレベルは深く、光励起で生成した正孔は強い酸化力を持つ。しかしながら、酸化タングステンの伝導帯のレベルは酸化チタンに比べると低く、電子の還元力が弱いため、必ずしも大気中における有機物の分解活性が高いとは言えない。近年、酸化タングステンに助触媒を添加することで高度な有機物の光触媒分解反応が報告されている。例えば、非特許文献3では白金、非特許文献4では銅ビスマス酸化物を助触媒として使用した場合、可視光照射下でアセトアルデヒド等のガス状の有機物が光触媒反応によって二酸化炭素まで分解しうることが報告されている。
【0004】
特に光触媒を空気浄化や水処理へ応用する場合、光触媒粒子のサイズは小さく、大きな表面積を持つことが好ましい。酸化タングステン微粒子の合成は、タングステン酸塩を出発源とする焼成法などが知られているが、こうした方法で合成した酸化タングステン粒子の大きさは数μmと大きくなる。また、酸化タングステンの出発原料として使用されるタングステン酸塩や金属タングステン塩は不安定なため、ナノ構造を制御するのは困難であり、こうした原料を利用した酸化タングステンの合成例は乏しい。粒子径の小さい微粒子状の酸化タングステンを得る方法として、例えば非特許文献3に開示されているように、遠心分離によって粒径の小さい粒子を選択的に回収する方法が提案されているが、こうした方法では大きな粒子は廃棄することになり、微粒子状の酸化タングステンを得る収率が非常に悪いことが予想される。
【0005】
また、最近、式W18O49で示される単結晶酸化タングステンナノチューブが報告されている(特許文献1)。しかし、このナノチューブは単結晶からなるものであって、たとえばミクロ孔とメソ孔が共存するような複数の細孔系分布を有するものではなかった。また、このナノチューブは、酸素欠陥型であり、優位な電子正孔対の再結合点を持ち導電性であるので電子放出素子としては有用なものであるが、高い電荷分離効率を備えることを必要とする光触媒、特に可視光応答性光触媒として適用することには困難性があるものであった。また、このナノチューブは、タングステン箔をタンタル基板に真空加熱(1000℃以上)下で成長させるといった過酷な条件を必要とするものであった。
【0006】
一方、光触媒材料をナノチューブ化することで、大表面積化、光の散乱効果等が一般には期待できるが、前述のように酸化タングステン(WO3)の出発原料は極めて不安定なため、ナノ構造を精密に制御するのは困難であった。
【0007】
【特許文献1】特開2005−75654号公報
【非特許文献1】R. Asahi et al. Science, 293, 269 (2001)
【非特許文献2】H. Irie et al. J. Phys. Chem. B, 107, 5483 (2003)
【非特許文献3】阿部、大谷、第26回 「光がかかわる触媒化学シンポジウム」、予稿集、東京 (2007)
【非特許文献4】K. Sayama et al. J. Phys. Chem. C, 111, 7574 (2007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、安価で大量合成可能な可能であり、しかも可視光照射下で高度な光触媒活性を有する酸化タングステンの管状体及びこれを用いた光触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この出願によれば、以下の発明が提供される。
〈1〉式WOで示される酸化タングステンの微粒子の集合体からなる酸化タングステン管状体。
〈2〉微粒子の粒径が10nm〜200nmであり、外径が100nm〜2μm、内径が20nm〜1μm、長さが1μm〜50μmで、かつ比表面積が5m2/g以上であることを特徴とする〈1〉に記載の酸化タングステン管状体。
〈3〉窒素吸着法により測定した細孔径分布が複数存在することを特徴とする〈1〉又は〈2〉に記載の酸化タングステン管状体。
〈4〉前記複数存在する細孔径分布の範囲が、1nm〜5nmのミクロ孔と、20nm〜100nmのメソ孔として存在することを特徴とする〈1〉から〈3〉3のいずれかに記載の酸化タングステン管状体。
〈5〉前記タングステン化合物のバンドギャップが2.8eV以下であることを特徴とする〈1〉から〈4〉のいずれかに記載の酸化タングステン管状体。
〈6〉前記管状体の表面に、助触媒が分散されていることを特徴とする〈1〉から〈5〉のいずれかに記載の酸化タングステン管状体。
〈7〉助触媒が、白金、銀、金、パラジウム、ニッケル、銅、鉄、クロム、ルテニウム、鉛、チタンからなる群から選択される少なくとも一種の金属もしくは該金属を含む化合物であることを特徴とする〈6〉に記載の酸化タングステン管状体。
〈8〉助触媒である、金属もしくは金属化合物の割合が、前記管状体に対して0.05wt%〜10wt%であることを特徴とする〈6〉または〈7〉に記載の酸化タングステン管状体。
〈9〉〈1〉から〈8〉のいずれかに記載の管状体を含む分散液。
〈10〉〈1〉から〈9〉のいずれかに記載の管状体またはその分散液を用いた可視光応答性光触媒。
〈11〉前記管状体0.1gを500mLの密閉容器に入れ、前記容器に500ppmのアセトアルデヒドを含む相対湿度30%の空気を満たし、波長410nm以上で、エネルギー20mW/cm2の可視光を照射した際の二酸化炭素の発生速度が250ppm/hour以上であることを特徴とする〈10〉に記載の光触媒。
〈12〉タングステン水酸化物の微粒子の集合体からなる、〈1〉から〈8〉のいずれかに記載の管状体を製造するための前駆体。
〈13〉微粒子の粒径が10nm〜200nmであり、外径が100nm〜2μm、内径が20nm〜1μm、長さが1μm〜50μmであることを特徴とする〈12〉に記載の前駆体。
〈14〉密閉容器中でタングステン塩、アミノ基を持つ化合物および有機溶媒を混合し加熱処理することを特徴とする〈12〉または〈13〉に記載の前駆体の製造方法。
〈15〉前記アミノ基をもつ化合物が尿素であることを特徴とする〈12〉から〈14〉のいずれかに記載の前駆体の製造方法。
〈16〉前記有機溶媒がアルコールであることを特徴とする〈12〉から〈15〉いずれかに前駆体の製造方法。
〈17〉前記加熱処理の温度が100℃以上であることを特徴とする〈12〉から〈16〉のいずれかに記載の前駆体の製造方法。
〈18〉〈12〉から〈17〉のいずれかに記載の前駆体を大気中で300℃以上の温度で加熱することを特徴とする〈1〉から〈8〉のいずれかに記載の酸化タングステン管状体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の式WOで示される管状体は表面積が大きく光触媒活性が高いため、空気浄化や水浄化用の光触媒として使用することができる。特に、可視光での活性を有するため、紫外線の少ない室内照明で使用する用途への応用が可能となる。また、微粒子の集合体から形成されるので、その内壁にはミクロ孔とメソ孔の少なくとも複数の細孔径分布が存在し、前者のミクロ細孔によりガス状物質の拡散が可能で、ガス吸着分解に適したものとなり、一方、後者の細孔により水や溶媒などの液体物質の拡散に有利で、分子量の大きい物質の拡散が可能となり、こうした分子の吸着分解に対して優れた特性を有する。
また、このような光触媒の応用に限らず、フォトクロミック素子、エレクトロクロミック素子、色素増感型太陽電池、表示素子等のデバイスへの応用が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の管状体(中空の棒状体)の特徴は、式WOで示される酸化タングステンの微粒子の集合体から形成されている点にある。
本発明の管状体の代表例を図1に示す模式図によって説明する。図1の部分拡大図から明らかなように、本発明の管状体は、式WOで示されるタングステン化合物の微粒子の集合体から形成されている。式WOで示されるタングステン化合物の結晶構造は三斜晶ないし単斜晶の少なくともいずれか一方からなり、基本となる結晶構造が三斜晶ないし単斜晶から変わらない範囲であれば、酸素欠陥を若干含んでいても構わない。
この微粒子の粒径は特に制限はないが、好適な大きさの範囲は10nm〜200nmである。微粒子の大きさをこの範囲にすることで、5m2/g以上の大きな表面積が得られる。
本発明の管状体の表面積はこのように従来の酸化タングステン粒子よりも大きく、気相や液相中の拡散物質との接触確率が高まるため、高度な光触媒活性を発現する。比表面積の測定は窒素吸着等温線を測定し、BET法による解析によって算出することができる。
前記タングステン化合物の微粒子はエネルギーギャップが2.8eV以下のため、可視光を吸収することが可能となる。
【0012】
また、本発明の管状体は、図1に示されるように、内部が中空で一定の長さを有する。外径および内径に特に制限はないが、外径を100nm〜2μm、内径を20nm〜1μm、長さを1μm〜50μmとすることが好ましい。このような外径の大きさはほぼ可視光の波長に相当するので、可視光を散乱する効果が期待でき、光触媒として励起光を有効に使うことができる。
また、前記管状体の断面の形状は円形や楕円形でも構わないし、多角形であっても構わない。
【0013】
さらに、本発明の管状体には、微粒子の集合体から形成されるので、その内壁には複数の細孔径分布が存在する。前記細孔径分布の測定は、窒素吸着等温線を利用したBJH法等の解析から評価することができる(参考文献:E.P. Barrett et al. J. Am. Chem. Soc.
73, 373 (1951))。
本発明の管状体において複数存在する細孔径分布の範囲は、1nm〜5nmのミクロ孔と、20nm〜100nmのメソ孔に分類される。前者のミクロ細孔は微粒子内に存在する小さな細孔で、後者のメソ孔は前記微粒子間の空壁からなる壁細孔であると推測される。前者の細孔はガス状物質の拡散が可能で、ガス吸着分解に適している。一方、後者の細孔は水や溶媒などの液体物質の拡散に有利で、分子量の大きい物質の拡散が可能となり、こうした分子の吸着分解に対して優れた特性を有する。
【0014】
本発明に係る酸化タングステンのバンドギャップは2.8eV以下で可視光を吸収することができる。バンドギャップは粉末のUV-Vis拡散反射スペクトルを計測することで測定することができる。酸化タングステンのバンド間遷移は間接遷移であるため、吸収係数の平方根と光のエネルギーの間に比例関係がある。Kubelka-Munk法によって吸収係数αを算出し、光のエネルギーに対してαの平方根をプロットし、X軸との切片をバンドギャップとして見積もることが可能である(参考文献:P. Kubelka et al. Z. Tek. Fiz. 12, 593 (1931).)。拡散反射率をRとした場合、Kubelka-Munk法によってα=(1−R)2/2Rの式で算出される。
【0015】
本発明の管状体に対して、助触媒として、その表面に白金、銀、金、パラジウム、ニッケル、銅、鉄、クロム、ルテニウム、鉛、チタンからなる群から選択される少なくとも一種の金属もしくは該金属を含む化合物を分散したものは、前記管状体に比し更にその光触媒活性を高められる。
これらの助触媒の作用機構は定かではないが、白金等の貴金属粒子を分散させた場合、本発明のタングステン化合物の伝導帯にある電子が貴金属粒子に移動し、多電子還元を起こすことが期待できる。一方、鉄、銅、クロム等の金属塩を分散させた場合、これらの金属塩も可視光を吸収することが可能となり、こうした金属塩の増感効果によって、より多くの可視光を吸収することが可能となる。
前記金属もしくは該金属を含む化合物(金属塩や金属酸化物など)の割合は前記管状体に対して0.05wt%〜10wt%であることが好ましい。その割合が0.05wt%以下の場合には顕著な触媒効果は見られず、10wt%以上の場合、管状体に届くべき光を遮蔽してしまう。また、前記金属、金属塩、ないし金属酸化物は本発明にかかる棒状体の表面に小さなサイズで高分散していることが好ましく、好適な粒子径は20nm以下である。
【0016】
前記金属もしくはこれを含む化合物は、上記管状体内孔および外壁の表面の少なくともどちらか一方に分散している。特に、これらが内孔に選択的に分散固定された場合、管状体に届く光を遮蔽することがなく、効率的に光吸収することができる。
【0017】
これらの本発明の管状体は波長410nm以上の可視光の照射において光触媒活性を有する。
本発明の管状体を励起するための光源として、例えば、ブラックライト、殺菌ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、LED(白色、青、緑、赤)、レーザー光、太陽光等が好適に使用できる。
本発明の管状体は、特に、紫外線の少ない室内照明の照射でも高度な光触媒活性を示す。例えば、本発明の管状体0.1gを500mLの密閉容器に入れ、前記容器に500ppmのアセトアルデヒドを含む相対湿度30%の空気を満たし、波長410nm以上で、エネルギー20mW/cm2の可視光を照射した際の二酸化炭素の発生速度が250ppm/hour以上を示す。
【0018】
このため、本発明の管状体は、揮発性有害物質の分解機能や抗ウイルス機能を持つ室内の住宅部材に応用することが可能である。また、空気清浄機や水浄化のための装置に応用することもできる。更に、表面の高い水濡れ性を利用して曇りや水滴形成を防止する防曇部材や雨水によるセルフクリーニング機能を持つ部材へと応用することができる。
【0019】
本発明の管状体は、これを水や有機溶媒へ分散させ、その分散液とすることもできる。分散液をコーティング施工する際の人体への悪影響を低減するため、前記分散液の溶媒は水であることが好ましい。酸化タングステンの表面の等電点でのpHは1〜2程度であるので、分散性を高めるため、前記分散液の溶媒のpHは3以上であることが好ましい。分散液中には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ成分や、硝酸、塩酸、硫酸、過塩素酸、フッ酸、臭素酸、沃素酸、亜硝酸、酢酸、蓚酸、リンゴ酸、硝酸、塩酸、硫酸などの酸成分が含まれていても構わない。前記分散液の好ましい固形分濃度の範囲は10%以下である。この範囲であれば、分散性が高く、沈殿を生じることなく、室温で長期間安定である。
【0020】
本発明においては、前記分散液の分散性を高めるために、前記管状体の表面に、更に、アルミニウム、ケイ素、チタニウム、ジルコニウム、スズ、アンチモン、亜鉛からなる群より選択される少なくとも一種の金属の水酸化物もしくは酸化物を被覆しておくことが好ましい。
また、管状体の表面を、カルボン酸、アミン、ポリオール、シロキサンやシランカップリング剤等の有機物の少なくとも一種により修飾しておいても構わない。
更に、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソトリデシル、ステアリン酸、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン等の有機物で表面処理しても構わない。表面修飾物は物理的に接触していても化学的に結合していても構わない。
【0021】
前記分散液には更にバインダー成分が含まれていてもよい。バインダー成分を加えることで、塗膜の強度や基材との密着性を向上させることができる。バインダーとして、例えば、シロキサン結合を有する物質を好適に使用することができる。シロキサン結合は化学的な安定性や耐候性も高い。前記シロキサン結合を有する物質としては水ガラス等のアルカリシリケート、コロイダルシリカ、アルミノシリケート化合物を使用することもできる。アルミノシリケート化合物はシリケート化合物のSiの一部をAlで置換した化合物であって、更に電荷を補償するためにH+やLi+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+などのアルカリ金属イオンやBe2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+などのアルカリ土類金属イオンが含有されていてもよい。前記シリケート結合を有する化合物のSiの一部をAlで置換した物や、ゼオライトなどを使用することができる。また、前記シロキサン結合を有する物質として、更に好ましい態様において、シリコーンエマルジョンを用いることができる。
【0022】
シリコーンエマルジョンとしては、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン;n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン;β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランの部分加水分解物、脱水宿重合物を好適に使用することができる。
【0023】
前記分散液のバインダー成分として、フッ素樹脂エマルジョンを使用することもできる。フッ素樹脂を含む塗膜は化学的安定性が高く、また、耐候性も高く、柔軟性にも優れている。フッ素樹脂エマルジョンとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、パーフルオロシクロポリマー、ビニルエーテル−フルオロオレフィンコポリマー、ビニルエステル−フルオロオレフィンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、クロロトリフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレンウレタン架橋体、テトラフルオロエチレンエポキシ架橋体、テトラフルオロエチレンアクリル架橋体、テトラフルオロエチレンメラミン架橋体等フルオロ基を含有するポリマーのエマルジョン等から選択される少なくとも一つが好適に利用できる。
【0024】
前記分散液を基材に塗布することによって容易に被膜を形成することができる。塗布方法としては、スピンコート法、ローラ法、ディップ法、スプレー法、エアーナイフ法、ブレード法、LB法等を用いることができる。また、前記分散液と、カチオン性ポリマーを含む溶液に対し、基材を交互に浸漬することによって製造する方法も用いることができる。
本発明に係る被膜の機械的強度を高めるため、前記被膜にバインダー成分が含まれていても構わない。バインダー成分として、アモルファスシリカ、アルミナ、ジルコニア、アルカリシリケート等の無機物やフッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の有機物の少なくともいずれか一項を含んでいても構わない。また、前記基材として、例えば、ガラス、セラミックス等の無機多結晶体や単結晶基板、金属などの導電性基板、プラスチック、フィルムやそれらの組み合わせ、ないし、それらの積層体などが利用できる。また、色素増感型太陽電池として使用する場合、インジウム−スズ酸化物(ITO)やフッ素ドープした酸化スズ(FTO)等をコートしたガラス基材を好適に使用する。
【0025】
つぎに、本発明の管状体を製造する方法について述べる。
本発明の管状体は、タングステン水酸化物からなる前駆体を経由して好適に製造することができる。前記タングステン水酸化物からなる前駆体は好ましくは、外径が100nm〜2μm、内径が20nm〜1μm、長さが1μm〜50μmの管状体である。
前記前駆体は、出発原料としてタングステン塩、構造制御剤としてアミノ基を持つ化合物、溶媒として有機溶媒を用い、密閉容器中で加熱することによって、好適に製造することができる。前記容器中での加熱温度は100℃〜250℃の範囲である。更に好ましい範囲として150℃〜180℃の加熱によって収率良く、管状の前駆体を製造することができる。
【0026】
前記前駆体を製造する際に使用するタングステン塩として、塩化タングステン、炭化タングステン、硫化タングステン、ホウ化タングステン、タングステン酸、タングステンカルボニル、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステンを含有するアルコキシドからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を好適に使用することができる。特に、六塩化タングステンを利用した場合、管状の前駆体を製造する収率が高い。また、前記金属ないし金属塩の助触媒を複合する場合、有機溶媒中での加熱処理にこれらの金属や金属塩を含む物質を含めて合成することができる。
【0027】
前記前駆体を製造する際に使用する構造制御剤となるアミノ基を持つ化合物は、尿素、チオ尿素、ヘキサメチレンテトラミン、テトラメチルアンモニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物、テトラブチルアンモニウム水酸化物からなる群より選択する少なくとも一つの化合物を使用することで好適に製造することができる。特に、前記アミノ基を持つ化合物として尿素を用いた場合、尿素間の強い水素結合により高い収率で本発明に係る管状体を合成することができる。
【0028】
前記前駆体を製造する際に使用する有機溶媒としてアルコール類を使用することができる。出発原料である前記タングステン塩はアルコール中では加水分解が抑制され安定であり、かつ、尿素等のアミノ基を持つ化合物を溶解させることができる。アルコール類の中でも、特にエチルアルコールは安価で、かつ、高い収率で管状体を製造することが可能である。
【0029】
前記タングステンの水酸化物からなる前駆体を大気中で加熱処理することより、後記の実施例でいう本発明の酸化タングステン管状体が得られる。前記大気中での加熱処理は300℃以上であることが好ましい。より好ましくは、400℃以上の加熱処理によって、結晶性が高く、可視光での高い光触媒活性を示す管状体が得られる。
【0030】
また、本発明において、前記管状体の表面に助触媒が分散された管状体を得るには、前記した管状体の表面に、前記白金、銀、金、パラジウム、ニッケル、銅、鉄、クロム、ルテニウム、鉛、チタンからなる群から選択される少なくとも一種の金属もしくは該金属を含む化合物を表面に分散させることにより製造することができる。
この場合、助触媒として、白金等の貴金属粒子を使用する場合、出発原料として貴金属の微粒子が分散したコロイドを用いることができる。また、前記助触媒は前駆体を製造するための有機溶媒中での加熱処理の後に複合し、その後大気中で焼成してもよいし、また、前駆体を大気中で加熱し、酸化タングステンの管状体を製造した後に複合しても構わない。
また、前記貴金属粒子の別の態様として、本発明の管状体の光触媒還元力を利用した光電着法によって、貴金属粒子を表面に固定化することもできる。光電着法の具体的な方法として、本発明の管状体を貴金属イオン水溶液に含浸させ、励起光を照射することによって、管状体の表面に貴金属粒子を析出させることができる。また、前記貴金属粒子の別の態様として、貴金属イオンを含む前駆体や管状体を水素や真空の雰囲気で加熱することによって貴金属粒子を管状体の表面に析出させることもできる。
【0031】
本発明の前記管状体は高い可視光活性を有するため、特に、板ガラス、壁材、壁紙、タイル等の建築内装材に適用した場合、室内照明によって揮発性有害物質を分解することができ、また抗ウイルス効果が発揮する。また、本発明の管状体は、大気浄化や水質浄化に使用することもできる。更に、本発明の管状体は大表面積を有しているため、フォトクロミック素子、エレクトロクロミック素子、光学薄膜、センサ電極等、広範な用途への応用が期待できる。
【0032】
つぎに、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0033】
[管状体の合成]
六塩化タングステン0.397g、尿素0.6g、40mLのエチルアルコールを容量100mlのフッ素樹脂製の耐圧反応容器に入れて密閉し、180℃で12時間保持した。反応終了後、室温まで自然放冷させた。沈殿物を含む溶液から、上澄み液をまずスポイトにて除去し、残った沈殿物に純水を添加し、攪拌後、遠心分離によって上澄み液を除去した。前記純水の添加と遠心分離の洗浄工程2回繰り返した。これらの洗浄工程の後、沈殿物を60℃で12時間乾燥し、粉末状物質を得た(#1試料:前駆体)。また、この粉末状物質に対し、大気中で450℃の焼成をおこない黄色の粉末を得た(#2試料:本発明の管状体)。焼成の温度プロファイルは、450℃までの昇温に6時間かけ、450℃で3時間維持し、その後室温まで自然放冷した。
一方、白金微粒子と複合するため、乾燥して得られた#1試料と白金粒子を含むコロイド水溶液を一時間混合し、60℃で12時間乾燥した後、大気中で450℃の焼成をおこなった。焼成の温度プロファイルは、前記と同様である。前記白金コロイドの作製は非特許文献7と同様におこなった。また、白金の添加量は粉末に対して0.1wt%、0.5wt%、1.0wt%とした。比較例として、高純度化学社製の酸化タングステン粒子に対し、前記と同様に白金を複合した。
【0034】
【非特許文献5】F. A. Henglein et al. J. Phys. Chem. B, 101, 5889 (1997)
【0035】
[管状体のキャラクタリゼーション]
上記で得た乾燥粉末と白金微粒子を担持後に焼成した粉末に対し、X線回折(XRD:リガク社製、Rint Ultima-X)で結晶構造を解析した。この結果を図2に示すが、#1試料の結晶構造はタングステン酸水酸化物である一方、#2試料は三斜晶の酸化タングステンであった。
【0036】
また、#1試料、#2試料を走査型電子顕微鏡(SEM:日立製作所(株)、S-4800)、透過型電子顕微鏡(TEM:日本電子(株)、JEM 2010F)で観察した結果を図3に示す。(a)、(b)のSEM像からも明らかなように、#1試料は管状体(中空の棒状物質)であり、(c)の結果から管状体は大きさが10〜200nmの微粒子の集合体であることが明らかとなった。
また、#1試料を大気中で加熱処理した#2試料も#1試料と同様に管状体で、大きさが10〜200nmの微粒子からなる集合体であることが、(d)、(e)のSEM像わかった。(f)に#2試料のTEM像を示したが、酸化タングステンの(112)面に相当する格子縞が観測でき、中空構造であることも確認できた。
【0037】
#2試料の細孔径分布を測定するため、窒素の吸脱着等温線を測定した(Micrometrics社、ASAP2010)。比表面積はBET法、細孔径分布はBJH法により算出した。試料の前処理として、真空中で90℃の加熱処理をおこなった。結果を図4に示したが、#2試料には複数の細孔径分布が存在した。細孔径は、1nm〜5nm、20nm〜100nm、100nm以上に存在した。#2試料の比表面積は9.8m2/gであった。
【0038】
#2の光吸収特性を測定するため、粉末のUV-Visスペクトルを拡散反射法で測定した(島津製作所、UV-2100)。また、バンドギャップを見積もるため、拡散反射法で得られた反射率からKubelka-Munk法を用いて吸収係数αを算出し、αの平方根を光子のエネルギーに対してプロットした。結果を図5に示したが、#2試料のバンドギャップは2.6eVで、波長400nm以上の可視光を吸収することが可能であることがわかった。この実施例では#1、#2とも白金を複合しないサンプルの結果を示したが、白金を複合したサンプルについても、#1、#2と同様の形態、結晶性を示した。
【0039】
実施例2
[管状体の光触媒特性]
実施例1で得た粉末状のサンプル(#2試料)、および、比較例となる粉末(市販のWO:高純度化学社製)0.1gをガラスシャーレに載せ、500mLのガラス製の密閉容器に設置した。密閉容器を相対湿度30%の合成空気で置換し、高濃度のアセトアルデヒドをシリンジで注入して初期濃度500ppmになるようにした。暗所にて吸着飽和になったことを確認した後、可視光の照射をおこなった。可視光の照射は300Wのキセノンランプ(林時計工業)を用い、UVカットフィルター(旭テクノグラス、Y-43)、長波長カットフィルター(旭テクノグラス、C-50S)を介して照射した。この照射条件で、波長は410nm以上、照射エネルギーはスペクトロラディオメータ(ウシオ電機)で計測した値で20mW/cm2となった。密閉容器内のアセトアルデヒドと二酸化炭素の濃度をガスクロマトグラフ(島津製作所、GC-2014)を用いて測定した。
白金を担持していない管状体である#2試料粉末と白金を担持していない比較例の粉末を触媒とした、アセトアルデヒドの減少(a)と二酸化炭素の発生(b)を測定した結果を図6に示す。アセトアルデヒドの酸化分解生成物である二酸化炭素の発生速度が速いほど、光触媒活性が高い。この結果、管状体である#2試料は比較例よりも二酸化炭素の生成速度が速く、250ppm/hourであった。
一方、白金を担持したサンプルを測定した結果を図7に示す。(a)はアセトアルデヒド、(b)は二酸化炭素の濃度変化を示し、(c)は各白金担持量における二酸化炭素の生成速度を示す。
この結果、本発明の管状体は市販の酸化タングステンの粉末よりも高い可視光活性を示し、白金の添加量が0.5wt%で最も高い活性を示した。本発明の管状体の二酸化炭素生成速度は、いずれも、250ppm/hour以上であった。また、最も高い活性を示すサンプルにおいて、可視光照射下でのアセトアルデヒドの完全分解、すなわち、1000ppmの濃度まで二酸化炭素が発生することを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、タングステン化合物の微粒子からなる、可視光応答性に光触媒能に優れた管状体を提供することができる。本発明の管状体は従来の酸化タングステン粒子よりも高い光触媒活性を有し、可視光の照射下でも高度な光触媒作用が発現する。また、本発明の管状体は安価で大量合成できるため、光触媒機能を有する様々な部材への応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の管状体の構造の説明図
【図2】本発明の管状体のXRDパターンを示す図
【図3】本発明の管状体のSEM像とTEM像を示す図
【図4】本発明の管状体の窒素吸着等温線と細孔径分布を示す図
【図5】本発明の管状体の拡散反射スペクトルと吸収係数の平方根を示す図
【図6】本発明の管状体の気相アセトアルデヒドの分解活性を評価したグラフ
【図7】本発明の管状体の気相アセトアルデヒドの分解活性を評価したグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式WOで示される酸化タングステンの微粒子の集合体からなる酸化タングステン管状体。
【請求項2】
微粒子の粒径が10nm〜200nmであり、外径が100nm〜2μm、内径が20nm〜1μm、長さが1μm〜50μmで、かつ比表面積が5m2/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の酸化タングステン管状体。
【請求項3】
窒素吸着法により測定した細孔径分布が複数存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化タングステン管状体。
【請求項4】
前記複数存在する細孔径分布の範囲が、1nm〜5nmのミクロ孔と、20nm〜100nmのメソ孔として存在することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の酸化タングステン管状体。
【請求項5】
前記タングステン化合物のバンドギャップが2.8eV以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の酸化タングステン管状体。
【請求項6】
前記管状体の表面に、助触媒が分散されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の酸化タングステン管状体。
【請求項7】
助触媒が、白金、銀、金、パラジウム、ニッケル、銅、鉄、クロム、ルテニウム、鉛、チタンからなる群から選択される少なくとも一種の金属もしくは該金属を含む化合物であることを特徴とする請求項6に記載の酸化タングステン管状体。
【請求項8】
前記助触媒である、金属もしくは金属化合物の割合が、前記管状体に対して0.05wt%〜10wt%であることを特徴とする請求項6または7に記載の酸化タングステン管状体。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の管状体を含む分散液。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の管状体またはその分散液を用いた可視光応答性光触媒。
【請求項11】
前記管状体0.1gを500mLの密閉容器に入れ、前記容器に500ppmのアセトアルデヒドを含む相対湿度30%の空気を満たし、波長410nm以上で、エネルギー20mW/cm2の可視光を照射した際の二酸化炭素の発生速度が250ppm/hour以上であることを特徴とする請求項10に記載の光触媒。
【請求項12】
タングステン水酸化物の微粒子の集合体からなる、請求項1から8のいずれかに記載の管状体を製造するための前駆体。
【請求項13】
微粒子の粒径が10nm〜200nmであり、外径が100nm〜2μm、内径が20nm〜1μm、長さが1μm〜50μmであることを特徴とする請求項12に記載の前駆体。
【請求項14】
密閉容器中でタングステン塩、アミノ基を持つ化合物および有機溶媒を混合し加熱処理することを特徴とする請求項12または13に記載の前駆体の製造方法。
【請求項15】
前記アミノ基をもつ化合物が尿素であることを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の前駆体の製造方法。
【請求項16】
前記有機溶媒がアルコールであることを特徴とする請求項12から15のいずれかに前駆体の製造方法。
【請求項17】
前記加熱処理の温度が100℃以上であることを特徴とする請求項12から16のいずれかに記載の前駆体の製造方法。
【請求項18】
請求項12から17のいずれかに記載の前駆体を大気中で300℃以上の温度で加熱することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の酸化タングステン管状体の製造方法。

【図2】
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【図6】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−233575(P2009−233575A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83032(P2008−83032)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「循環社会構築型光触媒産業創成プロジェクト 光触媒関連基礎技術の開発ならびに新環境科学領域の創成事業」産業技術力強化法第19条の適用をうける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】