説明

酸素富化給湯装置

【課題】酸素供給配管内の結露水の凍結を防止し、快適な酸素富化運転のできる給湯装置を提供する。
【解決手段】燃焼部10と、熱交換部12と、器具内の温度を検出する温度検出器29と、循環ポンプ18により浴槽の湯が循環する追い焚き循環回路20と、浴槽21に設けた追い焚きアダプター22と、高濃度の酸素を供給する酸素富化装置26と、酸素冨化装置26に空気を供給する酸素ファン25と、高濃度の酸素を追い焚きアダプター22に混入させる混入手段27とを有し、追焚きアダプター22の噴出口より循環水と一緒に高濃度の酸素を噴出させる構成とし、器具が所定時間以上燃焼した場合、燃焼中の温度検出器29の検出温度の最低値が所定のしきい値を下回ると制御フラグを立て、酸素ファン25の作動を停止した状態で酸素冨化運転を行なうようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追焚き循環回路を有する給湯器の追焚き配管を利用して、浴槽内の浴水中に酸素を供給する機能を有する給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の酸素供給装置は、ジェットバス等の浴槽水を循環させる管路に気体を供給する供給部を設け、この供給部に酸素富化空気を供給するための酸素富化装置を設けたものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、前記特許文献1に記載された従来の浴槽内への酸素供給装置を示すものである。図4において、1は浴槽、2は管路、3は供給部、4は吸入口、5は吐出口、6は酸素富化装置、7はポンプである。
【特許文献1】特開平4−2347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、ジェット配管の管路の途中に酸素供給部を設け、この供給部に酸素富化空気を供給するものであるため、酸素を浴槽に供給するためには、ジェットバスのシステムを有することが必要であり、簡単に家庭に設置できるものではなかった。また、酸素冨化空気と共に、大量の水蒸気も供給するため、この水蒸気が外気温度によっては凍結し配管の閉塞や破損に繋がる恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の酸素富化給湯装置は、燃焼部と、前記燃焼部により加熱され給水または浴槽水を加熱する熱交換部と、器具内の温度を検出する温度検出器と、循環ポンプにより浴槽の湯が循環する追い焚き循環回路と、前記浴槽に設けた追い焚きアダプタと、高濃度の酸素を供給する酸素富化装置と、酸素冨化装置に新鮮空気を供給する酸素ファンと、前記酸素富化装置からの高濃度の酸素を追い焚きアダプタに混入させる混入手段とを有し、前記追焚きアダプタの噴出口より循環水と一緒に高濃度の酸素を噴出させる構成とし、器具が所定時間以上燃焼した場合、燃焼中の温度検出器の検出温度の最低値が所定のしきい値を下回ると制御フラグを立て、前記酸素ファンの作動を停止した状態で酸素冨化運転を行なうようにしたもので、酸素富化運転時の新鮮空気の導入により器具内温度が低下した場合は、酸素冨化装置への新鮮空気の供給を抑制した状態で酸素冨化装置を作動させることにより、外気温度が低い場合においても、酸素冨化空気の通路が凍結、閉塞、破損することなく、酸素冨化空気を浴槽に供給することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の酸素富化給湯装置によれば、酸素富化運転時の新鮮空気の導入により器具内温度が低下した場合は、酸素冨化装置への新鮮空気の供給を抑制した状態で酸素冨化装置を作動させることにより、外気温度が低い場合においても、酸素冨化空気の通路が凍結、閉塞、破損することなく、酸素冨化空気を浴槽に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、バーナーとガス供給ブロックからなる燃焼部と、前記燃焼部に空気を供給する燃焼ファンと、器具内の温度を検出する温度検出器と、給水と浴槽水を加熱する熱交換部と、循環ポンプにより浴槽の湯が循環する追い焚き循環回路と、前記浴槽に設けた追い焚きアダプタと、減圧手段により薄い膜の間に空気を通過させることにより高濃度の酸素を供給する酸素富化装置と、酸素冨化装置に新鮮空気を供給する酸素ファンと、前記酸素富化装置からの高濃度の酸素を追い焚きアダプタに混入させる混入手段とを有し、前記追焚きアダプタの噴出口より循環水と一緒に高濃度の酸素を噴出させる構成とし、器具が所定時間以上燃焼した場合、燃焼中の温度検出器の検出温度の最低値が所定のしきい値を下回ると制御フラグを立て、前記酸素ファンの作動を停止した状態で酸素冨化運転を行なうようにしたことを特徴とするもので、酸素富化運転時の新鮮空気の導入により器具内温度が低下した場合は、酸素冨化装置への新鮮空気の供給を抑制した状態で酸素冨化装置を作動させることにより、外気温度が低い場合においても、酸素冨化空気の通路が凍結、閉塞、破損することなく、酸素冨化空気を浴槽に供給することができる。
【0008】
第2の発明は、温度検出器の検出温度が所定のしきい値を下回った場合、酸素ファンを所定の周期でオン/オフさせながら酸素冨化運転を行なうようにしたことを特徴とするもので、外気温度が低下した場合の酸素冨化空気通路の凍結と高濃度酸素の供給量のバランスを容易に調節することが可能となり、安全で快適な酸素富化運転を提供することができる。
【0009】
第3の発明は、温度検出器の検出温度に対して、複数段のしきい値を設け、各しきい値毎に酸素ファンのオン/オフ周期を変えながら酸素冨化運転を行なうようにしたことを特徴とするもので、外気温度が低下した場合の酸素冨化空気通路の凍結と高濃度酸素の供給量のバランスを外気温度に応じて自動的に設定することが可能となり、より安全で快適な酸素富化運転を提供することができる。
【0010】
第4の発明は、温度検出器の検出温度が所定のしきい値を下回った場合、酸素ファンへの電力供給量を抑制した状態で酸素冨化運転を行なうようにしたことを特徴とするもので、外気温度が低下した場合の酸素冨化空気通路の凍結と高濃度酸素の供給量のバランスを酸素ファンへの電力供給量、例えば、印加電圧を制御することで、容易に調節することが可能となり、安全で快適な酸素富化運転を提供することができる。
【0011】
第5の発明は、温度検出器の検出温度に対して、複数段のしきい値を設け、各しきい値毎に酸素ファンへの電力供給量を変えながら酸素冨化運転を行なうようにしたことを特徴とするもので、外気温度が低下した場合の酸素冨化空気通路の凍結と高濃度酸素の供給量のバランスを外気温度に応じて酸素ファンへの電力供給量、例えば、印加電圧を制御することで、自動的に設定することが可能となり、より安全で快適な酸素富化運転を提供することができる。
【0012】
第6の発明は、酸素ファンに開閉ダンパーを組み合わせ、温度検出器の検出温度が、所定のしきい値を下回った場合、前記開閉ダンパーを閉の状態で酸素冨化運転を行なうようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
第7の発明は、温度検出器の検出温度が所定のしきい値を下回った場合、開閉ダンパーを所定の周期で開閉しながら酸素ファンを駆動させ酸素冨化運転を行なうようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
第8の発明は、温度検出器の検出温度が所定のしきい値を下回った場合、開閉ダンパーを半開状態で酸素ファンを駆動させ酸素冨化運転を行なうようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
第9の発明は、温度検出器の検出温度に対して、複数段のしきい値を設け、各しきい値毎に開閉ダンパーの開度を変えながら酸素ファンを駆動させ酸素冨化運転を行なうようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
そして、第6〜9の発明は、酸素富化運転時に外気温度が低下した場合、酸素ファンへの空気供給経路に設けた開閉ダンパーの開度を制御することで、外気温度が低下した場合の酸素冨化空気通路の凍結と高濃度酸素の供給量のバランスを調節し、安全で快適な酸素富化運転を提供することができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の形態における酸素富化給湯装置の全体構成図である。
【0019】
9は給湯装置本体であり、10は熱交換器12を加熱するバーナ、11はバーナ12に燃焼空気を送るバーナファン、13は燃焼空気の排気口、29は器具内の気温を検知する温度検出器(以下、気中thという)である。18は追焚き循環回路20に設けられた風呂ポンプで、これから出た循環水はパイプ19を通りながら熱交換器12で加熱された後、追い焚き循環回路20を通り、図1に記載の混入手段27で酸素富化空気を混入される。酸素冨化装置26と酸素ファン25を動作することにより、酸素冨化空気とともに、多量の水蒸気の混入もあるため、酸素配管内で結露する恐れがあり、特に外気温度が低温状態の場合、凍結閉塞や破損の要因になる。
【0020】
外気温度が低い場合は、酸素冨化装置への新鮮空気の供給を行う酸素ファンを停止、もしくは酸素ファンを所定比率でオン/オフ、もしくは酸素ファンへの電力供給量、例えば印加電圧を調整した状態で酸素冨化装置26を作動させることにより、酸素冨化していない通常の空気を一定時間、もしくは常時酸素配管内に通すことになり、結露水を生成しない、もしくは結露水を排出、乾燥することが可能である。
【0021】
図2は、外気温度取り込みのメカニズムを示す。多くの給湯機での各種センサー類は、給湯器具内に収まっているが、外気温を取りむためには、気温を検知するセンサーに、大量の外気を取り込む必要がある。燃焼ファンを有する給湯機では、燃焼時に大量の新鮮空気を取り込む必要があるため、燃焼中に外気温度を検知することができる。
【0022】
燃焼時は、外気温度取り込みによるセンサー部での温度低下と共に、燃焼による器具自体の温度上昇もあるため、検出した最低温度を外気温度とする必要がある。
【0023】
また、燃焼時間が短い場合は充分な外気温度の検出ができない。これらを踏まえ、所定時間燃焼が続いた場合(例えば、2分以上が望ましい)のみ、それ以降の燃焼中の気中thの最低温度をもって、外気温度の判定を行う。
【0024】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2の構成図であり、新鮮空気供給手段である酸素ファン25に開閉ダンパー29を組み合わせたものである。
【0025】
酸素ファン25を駆動させた状態にして、開閉ダンパー29を閉、若しくは所定の比率で開閉、若しくは開度を可変とした状態で酸素冨化装置26を動作させることにより、酸素冨化していない通常の空気を所定時間、もしくは常時酸素配管内に通すことになり、結露水を生成しない、もしくは結露水を排出、乾燥することが可能である。
【0026】
図4は、酸素ファン25を駆動させない、または開閉ダンパー29を閉とした場合の、酸素冨化空気中の経時酸素濃度と水蒸気濃度と配管内の結露水量の模式図である。
【0027】
図5は、酸素ファン25を一定の比率でオン/オフ、または開閉ダンパー29を一定の比率で開閉した場合の、酸素冨化空気中の経時酸素濃度と水蒸気濃度と配管内の結露水量の模式図である。
【0028】
図6は、酸素ファン25への電力供給を抑制した状態、または開閉ダンパー29の開度を一定の状態にした場合の酸素冨化空気中の経時酸素濃度と水蒸気濃度と配管内の結露水量の模式図である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1〜5における酸素富化給湯装置の全体構成図
【図2】同酸素富化給湯装置の器具内の温度と外気温の関係を示す図
【図3】本発明の実施の形態6〜9のにおける酸素富化給湯装置の外観図
【図4】酸素冨化空気中の経時酸素濃度と水蒸気濃度と配管内の結露水量の模式図
【図5】酸素冨化空気中の経時酸素濃度と水蒸気濃度と配管内の結露水量の模式図
【図6】酸素冨化空気中の経時酸素濃度と水蒸気濃度と配管内の結露水量の模式図
【図7】従来の給湯装置の構成図
【符号の説明】
【0030】
10 燃焼部
12 熱交換器
18 ポンプ
20 追焚き循環回路
21 浴槽
22 追焚きアダプター
25 酸素ファン
26 酸素富化装置
27 混入手段
29 気中th(温度検出器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナーとガス供給ブロックからなる燃焼部と、前記燃焼部に空気を供給する燃焼ファンと、器具内の温度を検出する温度検出器と、給水と浴槽水を加熱する熱交換部と、循環ポンプにより浴槽の湯が循環する追い焚き循環回路と、前記浴槽に設けた追い焚きアダプタと、減圧手段により薄い膜の間に空気を通過させることにより高濃度の酸素を供給する酸素富化装置と、酸素冨化装置に新鮮空気を供給する酸素ファンと、前記酸素富化装置からの高濃度の酸素を追い焚きアダプタに混入させる混入手段とを有し、前記追焚きアダプタの噴出口より循環水と一緒に高濃度の酸素を噴出させる構成とし、器具が所定時間以上燃焼した場合、燃焼中の温度検出器の検出温度の最低値が所定のしきい値を下回ると制御フラグを立て、前記酸素ファンの作動を停止した状態で酸素冨化運転を行なうようにした酸素富化給湯装置。
【請求項2】
温度検出器の検出温度が所定のしきい値を下回った場合、酸素ファンを所定の周期でオン/オフさせながら酸素冨化運転を行なうようにした請求項1記載の酸素富化給湯装置。
【請求項3】
温度検出器の検出温度に対して、複数段のしきい値を設け、各しきい値毎に酸素ファンのオン/オフ周期を変えながら酸素冨化運転を行なうようにした請求項1または2記載の酸素富化給湯装置。
【請求項4】
温度検出器の検出温度が所定のしきい値を下回った場合、酸素ファンへの電力供給量を抑制した状態で酸素冨化運転を行なうようにした請求項1記載の酸素富化給湯装置。
【請求項5】
温度検出器の検出温度に対して、複数段のしきい値を設け、各しきい値毎に酸素ファンへの電力供給量を変えながら酸素冨化運転を行なうようにした請求項1または4記載の酸素富化給湯装置。
【請求項6】
酸素ファンに開閉ダンパーを組み合わせ、温度検出器の検出温度が、所定のしきい値を下回った場合、前記開閉ダンパーを閉の状態で酸素冨化運転を行なうようにした請求項1記載の酸素冨化給湯装置。
【請求項7】
温度検出器の検出温度が所定のしきい値を下回った場合、開閉ダンパーを所定の周期で開閉しながら酸素ファンを駆動させ酸素冨化運転を行なうようにした請求項1または6記載の酸素冨化給湯装置。
【請求項8】
温度検出器の検出温度が所定のしきい値を下回った場合、開閉ダンパーを半開状態で酸素ファンを駆動させ酸素冨化運転を行なうようにした請求項1記載の酸素冨化給湯装置。
【請求項9】
温度検出器の検出温度に対して、複数段のしきい値を設け、各しきい値毎に開閉ダンパーの開度を変えながら酸素ファンを駆動させ酸素冨化運転を行なうようにした請求項1または6記載の酸素冨化給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−55565(P2006−55565A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243367(P2004−243367)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】