説明

酸素水製造装置

【課題】常温での単純な圧力制御だけでも高い酸素溶解度を持つ良質の酸素水を製造可能とする簡単な構造の酸素水製造装置の提供。
【解決手段】酸素水製造装置(10)は、液体状態の水と気体状態の酸素を混合流入させ、内部空間上でランダムに混合して水と酸素の混合物として流出する第1容器(15)と、第1容器(15)から流出された水と酸素の混合物が通過する通路を提供する連結管(16)と、連結管(16)の間に設置され、普段は閉じているが、上記の水と酸素の混合物の流動圧が既に決定された最小圧力より上回る場合のみ、当該連結管(16)を通過できるように動作する通過圧力調節部(17)と、連結管(16)を通過した水と酸素の混合物が流入した後、この混合物から酸素が部分的に脱気され、気体状態の酸素と液体状態の酸素水として分離され、この液体状態の酸素水が流出される第2容器(18)を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸素水製造装置に関するもので、より詳細には、冷却手段、または電気化学的触媒や添加剤を使用せずに、常温での単純な圧力制御だけでも高い酸素溶解度を有する良質の酸素水を、簡単な構造の装置により、連続的に一定速度と圧力によって製造を可能とした新しい酸素水製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、純粋な水に比べて多くの酸素を溶解させた水を酸素水と呼んでいる。酸素は、好気性生物の生長を促進し、嫌気性微生物、バクテリア、汚染を引き起こす有機物質の生分解を促進するため、化学工場、製紙工場、好気性微生物の培養、養魚場、水族館、清涼飲料の製造などに広く活用されている。
【0003】
また、溶存酸素が豊富な酸素水を飲むと、人体の血中酸素濃度を直接向上させることができ、人体代謝に活力を与え、及び心肺機能が改善され、疲労回復も促進されることが知られており、酸素水は飲料水としても利用されている。
【0004】
このような酸素水において、溶存酸素量は、水の中に溶解されている酸素の量を示すもので、溶解される酸素は、多くの場合、空気中の酸素が供給され、その溶解量は温度や気圧によって左右される。酸素は温度が低いほど水によく溶解され、大気圧(760 mmHg)で、25℃での純粋な溶存酸素量は約8 mg / L、20℃での純粋な溶存酸素量は、約9 mg / L、8℃の純粋な溶存酸素量は約12 mg / L、2℃の純粋な溶存酸素量は約14 mg / Lである。
【0005】
酸素水の従来の製造方法は、P.S.A.方式の酸素発生器や酸素タンクを酸素供給源にし、散気管(air diffuser)を通し、中のタンク内の酸素を直接流入させ、酸素と水の間の接触面を増加させる方法が知られている。この方法は、溶解率が非常に低いため、高濃度の溶存酸素水を製造しようとするには、現実的に適用が難しいという欠点がある。
【0006】
また、従来の製造方法のもう1つの方法としては、液化酸素を水に配合する方法がある。しかし、この方法は、高価な液化酸素容器と、極めて低い温度まで維持することができる冷凍装置などを準備・使用しなければならないことから、酸素水製造装置の体積が大きく、重く、酸素水の単位生産コストが高く、液化酸素の処理が非常に厳しいという課題がある。
【0007】
一方、酸素溶解管の先端にT型の接続構造により、水と酸素を同時に投入させ、複数の構造になっている空の円型の溶解管に水と酸素を流入し、酸素を溶解させる方法が大韓民国実用新案公報20 - 305788で公開されている。しかし、この方法は、酸素投入の圧力調整が容易ではなく、水の流れの圧力と酸素の流入圧力の調整ができない場合、つまり、酸素の流入圧が水の流入圧よりも低い場合には、酸素が水に適切に混合されないという課題がある。そして酸素の流入圧が水の流入圧よりも大きい場合には、キャビテーション現象(流体の流れ上の管にガスが充満され、空になる現象)が発生し、酸素の溶解が正常に行われない問題があり、循環ポンプが空回転する場合には、ポンプに損傷を与え、酸素水製造装置の故障発生の危険性が大きくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国実用新案公報20 - 305788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した従来の酸素水製造技術を改善し、さらなる様々なメリットを追加提供することを課題として鋭意創作されたものである。
【0010】
本発明は、常温において単純な圧力の制御だけでも、高い酸素溶解度を有する良質の酸素水を、簡単構造の装置によって、連続的に、また一定的な速度と圧力を受けて製造を可能にした新しい酸素水の製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題は、本発明により提供される酸素水製造装置によって解決される。
本発明により提供される酸素水の製造装置は、液体状態の水と気体状態の酸素を混合流入させた後、内部空間でランダムに混合し、その後、水と酸素の混合物として流出させる第1容器と、上記第1容器から流出された水と酸素の混合物が通過する通路を提供する連結管と、上記の連結管の間に設置され、普段は閉じているが、上記の水と酸素の混合物の流動圧が決められた最小圧力以上の場合にのみ上記の連結管を通過するように動作する通過圧力調節部と、上記の連結管を通過した水と酸素の混合物が流入した後、これらの混合物から酸素が部分的に脱気され、気体状態の酸素と液体状態の酸素水として分離され、この液体状態の酸素水が流出される第2の容器が含まれている。
【0012】
1つの実施形態において、上記の通過圧力調節部に決められた最小圧力は4〜12 kg /cm2であり、適切に設定された最小圧力は5〜7 kg / cm2である。
【0013】
他の実施形態においては、上記の第2容器内で分離されている気体状態の酸素は、上記第2容器の内部空間の3分の2を一定に保持するように調整されている。
【0014】
もう一つの実施形態においては、上記の通過圧力調整部の上記の連結管から流動する水と酸素の混合物が通過するための調節管と、調節管の内部を開いたり閉じたりする位置を、移動可能な圧力調整ディスクと、この圧力調整ディスクの開く位置を外部で調整可能なディスク調整ハンドルを含む構成が可能である。
【発明の効果】
【0015】
上述の構成を備える本発明の装置は、常温では単純な圧力制御だけで、例えば、100〜170 ppmの高い酸素溶解度を有する良質の酸素水を、簡単な構造の装置によって、連続的にまたは一定の速度と圧力を受けて製造できるなどの著しい効果で提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】1つの実施の形態にかかる酸素水製造装置の全体的な構造を示す概略図。
【図2】1つの実施の形態にかかる酸素水製造装置の全体的な構造を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明にかかる酸素水製造装置の1つの実施の形態を具体的に説明する。
【0018】
図1及び2は、本発明の実施の形態にかかる酸素水製造装置の全体的な構造を示す概略図である。
【0019】
この図1及び2に示すように、本実施の形態にかかる酸素水の製造装置(10)は、別段の電気化学的手段を使用せず、圧力の調整のみを利用して酸素水を製造できるという特徴を有する。さらに、この酸素水製造装置(10)は、水と酸素が接触する通路を長く延長する必要がないため、装置全体の規模を比較的に小型で製造することができるという利点がある。また、この酸素水製造装置(10)は、特に連続的に又は一定圧力で動作する点がメリットであり、よって、例えば飲料水として使用可能な酸素水を連続して製造する生産ラインなどに好適に使用することができる。ただし、必ずしもこれらの用途に限る必要はなく、工業用途など様々な用途に使用される酸素水の製造に用いることができる。
【0020】
この実施の形態にかかる酸素水製造装置(10)を構成する主な構成は、第1容器(15)、通過圧力調節部(17)および第2容器(18)である。
【0021】
第1容器(15)は、液体状態の水と気体状態の酸素が混合して流入される内部空間を持つ容器である。液体状態の水は流入管(11)を通じて、ポンプ(12)により高圧で流入される。酸素ガスは、別の酸素ガス流入管(13)により、一定圧力で流入される。水の流入管(11)と酸素ガスの流入管(13)は、第1容器(15)と外側で会える流入管(14)内に混合された状態で、第1容器(15)の内部に流入される。
【0022】
第1容器(15)の内部に流入された水と酸素の混合物は、この内部空間内でランダムに流動し、さらに混合されている。その結果、酸素ガスが細かく潰され、水の中に酸素気体の微細粒すなわち、気泡が捕執された状態で流出乃至は溶け込ませることができる。
【0023】
そのため、第1容器(15)への流入口すなわち、混合流入管(14)と開口の外側に流出する流出口すなわち、連結管(16)が接続される開口は、図1に示したように、同じ側面で、より望ましくは、重力の方向とは逆になる第1容器(15)の上部に位置することが望ましい。第1容器(15)の上部に位置する混合流入管(14)から水と酸素の混合物が流入された後、これらは混合物の圧力と重力によって第1容器(15)の下部に向けて噴射され、これは、第1容器(15)内に入れられた混合物が対流を作り出しながら、水の中にある酸素ガスの気泡をさらに細かくする役割を果たす。
【0024】
細かくなった気泡の状態で捕執された酸素ガスと水の混合物は、第1容器(15)の上部に形成された連結管(16)の入口によって流出することができる。
【0025】
連結管(16)は、第1容器(15)から流出された水と酸素の混合物が、第2容器(18)までに通過する通路である。連結管(16)には、内部を通過する混合物の流動圧力を測定するための圧力計(162)を設置することができる。連結管(16)の中央には、通過圧力調節部(17)を設けている。
【0026】
通過圧力調節部(17)は、一種の圧力制御弁として、普段は閉じているが、水と酸素の混合物の流動圧力が事前に決められた'最小の圧力'を超える場合にのみ、当該混合物が連結管(16)を通過するように開く構造にしている。これらの通過圧力調節部(17)を開かせる最小の圧力は、第1容器(15)内の流動と第2容器(18)内の流動を同時に決定することができ、最終的に生産される酸素水の溶存酸素量と酸素水の生産量を同時に定めることができる。具体的には通過圧力調節部(17)の「最小圧力」は、4〜12 kg / cm2に設定することができる。より望ましくは、例えば、120〜170 ppmの溶存酸素濃度の酸素水を生産するためには、通過圧力調節部(17)を開くための最小限の圧力は5〜7 kg / cm2に設定することができる。
【0027】
本実施の形態では、通過圧力調節部(17)は、図面例のように、連結管(16)に流動乃至は流入する水と酸素の混合物が通過する調節管(172)とこの調節管(172)の内部を開いたり、閉じたりする位置を移動可能な圧力調整ディスク(174)と、この圧力調整ディスク(174)が開く位置を外部で調整可能なディスクの調整ハンドル(176)を含む構成にしてもよい。作業者は、外側に突出されているディスクの調整ハンドル(176)を回転させることにより圧力調整ディスク(174)の位置を調整することができ、この圧力調整ディスク(174)の位置に応じて、この圧力調整ディスク(174)が調整管(172)を開放する最低の圧力を決定することができ、簡単な構造で、圧力調整が非常に容易に行うことができるという利点がある。
【0028】
第2容器(18)は、連結管(16)を通過した水と酸素の混合物が流入される内部空間を持つ容器である。第2容器(18)では、酸素ガスを細かくした気泡が水と混ざっている状態の液体の混合物から、酸素が部分的に脱気され、気体状態の酸素と液体状態の酸素水として分離されている。連結管(16)は、第2容器(18)の上部に接続されていることが望ましい。連結管(16)から流入する水と酸素の混合物は、第2容器(18)の内部空間に向かって噴出されながら脱気され、酸素ガスが分離され、残りの液体は酸素水になる。
【0029】
第2容器(18)では、酸素ガスが占める空間は、第2容器(18)の約2 / 3程度を占め、下部溜まった酸素水は、第2容器(18)の約1 / 3を占めるように調節することができるが、これは、又通過圧力調節部(17)を開くための最小限の圧力によって調整することができる。図面では、均一な幅を持つ形の第2容器(18)の高さHの酸素水が入れられている高さx1と酸素気体が占める高さx2を示している。この場合、x1:x2 = 1:2の比率が理想的である。
【0030】
第2容器(18)の内部空間の下部を満たしている酸素水は上から押し込まれ、脱気された酸素ガスにより、押し込まれた酸素水は流出管(19)を通して外部に流出した後、瓶詰めのプロセスに入ることができる。脱気された酸素ガスが下部の酸素水を押しながら、溶解させるために、酸素水流出管(19)の流出口は図1および2の例で示したように、第2容器(18)の最上部の側面に設置されているのが望ましい。
【0031】
以上は、本発明の具体的な実施例による説明をしたが、当事者の場合は、本明細書に記載され、いくつかの特徴を参照し合わせて、さまざまな変形が可能である。したがって、本発明の範囲が説明された実施例に限定されるものではなく、添付された請求の範囲によって解釈されるべきことを指摘している。
【0032】
また、他の実施の形態として、以下の更に以下の酸素水製造装置とすることができる。
特に本実施の形態にかかる酸素水製造装置は、酸素水を生産するための装置であり、装置の構造を単純化するために提供される。高濃度の酸素水が安定して生産されるこの装置は、酸素が放出(脱気)される比率を最小限にし、容易に酸素と水の流入を調節し、酸素水の生産費を縮小し、高い溶存酸素濃度を備えた酸素水を生産可能である。
【0033】
即ち、図1及び2に示すように、この実施の形態にかかる酸素水製造装置は、酸素溶解ユニット(100)を含んで構成される。この酸素溶解ユニット(100)は、それぞれの独立したチャンネルを通って酸素源および水源から酸素と水を受け取り、酸素と水を撹拌するための動揺タンク(40)と、水と酸素の混合物を動揺タンクの中で動揺した水の中に溶かすための溶解タンクを含んで構成される。この溶解タンクは、動揺タンクの中で動揺した水の中に、水と酸素の混合物を溶かすための第1溶解タンク(50)を含む。
【0034】
第1溶解タンクは、注入ポート(54)、第1溶解パイプ(51)、第2溶解パイプ(52)、第3溶解パイプ(53)および第1溶解タンク出口(56)を含む。また、第1溶解タンクは、多数のパイプの形で形成されている。即ち、第2溶解パイプは第1溶解パイプの中に収容され、そして第3溶解パイプは、第2溶解パイプの中に収容される。
【0035】
溶解タンクは、更に第2溶解タンク(60)を含んでいる。この第2溶解タンク(60)は、第2のステップ酸素水を生産する為に、第1溶解タンクで製造された第一ステップの酸素水を安定させる。ここで、第2溶解タンクはインジェクションポート(64)、第1溶解パイプ(61)と第2溶解パイプ(62)、および第2溶解タンクの出口(66)を含んでおり、そしてこの第2溶解タンクは、第2溶解パイプが第1溶解パイプの中に収容されているように、多数のパイプの形で形成されている。
【0036】
酸素溶解ユニットは、更に給水管(14a、14b)を含む第1ウォーター・タンク(10)、水インジェクションポート(15)、水吐出ポート(13)、水位センサ(11)、エグゾースト・ポート(12)および酸素水入り口(16)を含んでいる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上、説明したように本発明による酸素水製造装置は、酸素水を必要とする様々な分野、例えば化学工場、製紙工場、好気性微生物培養、養魚場、水族館、清涼飲料の製造部門などの家庭用浄水器から大規模な酸素水製造装置などの分野で広く利用することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
10:酸素水製造装置
11:水の流入管
12:ポンプ
13:酸素ガス 流入管
14:混合 流入管
15:第1容器
16:連結管
162:圧力計
17:通過圧力調節部
172:調整管
174:圧力調整ディスク
176:ディスクの調整ハンドル
18:第2容器
19:酸素水流入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状態の水と気体状態の酸素を混合流入させて、内部空間でランダムに混合して水と酸素の混合物として流出させる第1容器(15)と;
前記の第1容器(15)から流出された水と酸素の混合物が通過する通路を提供する連結管(16)と;
前記の連結管(16)の中間に設置され、普段は閉じているが前記の水と酸素の混合物の流動圧力が予め設定された最小圧力以上の場合にのみ、前記水と酸素の混合物が連結管(16)を通過するようにする通過圧力調節部(17)と;
前記の連結管(16)を通過して流入した水と酸素の混合物から分離された、部分的に脱気した気体状態の酸素と液体状態の酸素水とから、当該液体の状態の酸素水を流出させる第2容器(18)と
が含まれていることを特徴とする酸素水製造装置。
【請求項2】
前記の通過圧力調節部(17)は、予め設定された最小圧力が4〜12 kg / cm2であることを特徴とする、請求項1に記載の酸素水製造装置。
【請求項3】
前記の通過圧力調節部(17)は、予め設定された最小圧力が5〜7 kg /cm2であることを特徴とする請求項1に記載の酸素水製造装置。
【請求項4】
前記第2容器(18)中に存在する気体状態の酸素は、当該第2容器(18)の内部空間の3分の2の容積又は高さを一定に維持するように調節されることを特徴とする請求項1に記載の酸素水製造装置。
【請求項5】
前記の通過圧力調節部(17)は、前記の連結管(16)に流動する水と酸素の混合物が通過する調整管(172)と、この調節管(172)の内部を開いたり閉じたりする位置を移動可能な圧力調整ディスク(174)と、この圧力調整ディスク(174)が開かれる場所を外部で調整可能なディスクの調整ハンドル(176)で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の酸素水製造装置。


【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−224478(P2011−224478A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97429(P2010−97429)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(510059790)株式会社ジェーピーテック (1)
【出願人】(510110699)ネオ・テクノ・パイオニア カンパニーリミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Neo Techno PIONEER CO.,LTD
【Fターム(参考)】