説明

酸素濃縮器およびその制御方法

【課題】圧縮機のモータが磁極位置検出器付きブラシレスDCモータであり、磁極位置検出器の配置誤差が大きい場合でも駆動位相を調整し、最適駆動位相で圧縮機の回転数制御を行うことができる酸素濃縮器を提供する。
【解決手段】モータ21aによって駆動されて空気の圧縮を行う空気圧縮部21と、空気圧縮部21から送り出された圧縮空気の流量を調整する流量調整部23と、流量調整部23によって流量調整された圧縮空気が送られて酸素を濃縮する吸着部22と、モータを駆動制御するインバータ27と、を備えた酸素濃縮器20において、インバータ27が所定周期におけるインバータ27の積算出力電流値が最小になるようにモータ21aの駆動位相を調整する駆動位相調整部27fを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータで空気の圧縮を行う空気圧縮部と、そのモータを駆動制御するインバータと、を備えた酸素濃縮器およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の圧縮機を備えた酸素濃縮器の低消費電力化の方法として、特許文献1に開示されているように、酸素濃縮器の設定流量と製品タンク出口の流量との差、または圧縮機への負荷量を監視し、圧縮機モータの回転数をインバータを用いて制御することにより、供給する酸素流量を一定に確保し、圧縮機モータへの負荷電流増大を抑えることで効率的運転し消費電力の増大を防止している。
図3は特許文献1に開示された従来例のブロック図である。
この酸素濃縮器において、1は圧縮機で、空気取り入れ口に除塵フィルタ2と除湿器3を通して外気を取り込み、取り込んだ空気を圧縮機1により一定圧に加圧して酸素濃縮部4へ送り、酸素を濃縮した空気を製品タンク5に蓄える。
酸素を濃縮した空気を供給する際は、圧力調整器6と通して所定の圧力に調整し、流量設定器7を通してその流量を調整する。製品タンク5の入口側と出口側に差圧センサ8の圧力検出端8a、8bを取付け、差圧センサ8の検出値を流量算出部Aにより算出し、供給する流量と設定流量を比較部Bにより比較し、その差を圧縮機制御部9の回転数制御部Cにより圧縮機1の回転数をインバータを用い制御することにより、供給する酸素流量を設定流量に確保しつつ、効率的運転をも実現するというものである。
【特許文献1】特開2000−60973(第2−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示されている従来の低消費電力化方法では、供給する酸素流量と設定流量の差より圧縮機モータの回転数をインバータを用い制御し効率運転を行っている。このとき、圧縮機モータが磁極位置検出器を備えたブラシレスDCモータであり、前記ブラシレスDCモータを制御するインバータが前記磁極位置検出器の磁極位置検出信号から得られる位置情報により駆動位相を制御するものである場合、前記磁極位置検出器の配置誤差などにより、磁極位置検出信号により得られる位置情報が最適位相と離れている場合、制御する駆動位相と最適駆動位相とのずれが生じ、結果モータ駆動時の無効電流が増大し、従来方法の回転数制御部Cによる回転数制御を実施しても効率的運転とならないという問題があった。
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、圧縮機モータが磁極位置検出器付きブラシレスDCモータであり、磁極位置検出器の配置誤差などにより磁極位相検出信号から得られる位置情報が最適位相から離れている場合でも、圧縮機の効率化運転を行う部を備えた酸素濃縮器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するため、請求項1記載の酸素濃縮器の発明は、モータによって駆動されて空気の圧縮を行う空気圧縮部と、前記空気圧縮部から送り出された圧縮空気の流量を開閉制御する流量調整部と、前記流量調整部によって流量調整された圧縮空気が送られて酸素を濃縮する酸素濃縮部と、前記モータを駆動制御するインバータと、を備えた酸素濃縮器において、前記インバータが、所定周期における前記インバータの積算出力電流値が最小になるように前記モータの駆動位相を調整する駆動位相調整部を備えたことを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の酸素濃縮器において、前記所定周期が前記流量調整部の制御周期であることを特徴とすることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の酸素濃縮器において、前記流量調整部が電磁弁であることを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の酸素濃縮器において、前記酸素濃縮部が酸素よりも窒素を選択的に吸着する窒素吸着剤を備えたことを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項1記載の酸素濃縮器において、前記駆動位相調整部が前記モータの駆動位相を前記積算出力電流値が減少する方向に所定量ずつ変化させ、前記積算出力電流値が減少から増加に転じる前の駆動位相を最適位相とする駆動位相調整処理を実行することを特徴としている。
【0006】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の酸素濃縮器において、前記駆動位相調整部が前記駆動位相調整処理が、所定回数実施された後、各実施における最適位相の平均値を駆動位相とすることを特徴としている。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の酸素濃縮器において、前記駆動位相調整処理が前記モータの加減速中以外のときに行われることを特徴としている。
請求項8記載の発明は、請求項6記載の酸素濃縮器において、前記駆動位相調整処理が前記空気圧縮部の起動から前記空気圧縮部の圧縮効率安定期までの間および前記空気圧縮部の圧縮効率安定後に、所定回数実施されることを特徴としている。
請求項9記載の発明は、請求項1記載の酸素濃縮器において、前記酸素濃縮部で濃縮された酸素を蓄えるチャンバ部と、前記チャンバ部の酸素の監視をする酸素監視部と、前記酸素監視部の出力が入力されて前記インバータへの回転数指令を出力する制御部と、を備え、前記酸素監視部は酸素流量、ガス温度、酸素濃度の少なくとも1つを検出することを特徴としている。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の酸素濃縮器において、前記酸素濃縮部の圧力を検出する圧力センサを備え、前記圧力センサの出力が前記制御部へ入力されることを特徴としている。
請求項11記載の酸素濃縮器の発明は、モータによって駆動されて空気の圧縮を行う空気圧縮部と、前記空気圧縮部から送り出された圧縮空気の流量を開閉制御する流量調整部と、前記流量調整部によって流量調整された圧縮空気が送られて酸素を濃縮する酸素濃縮部と、前記モータを駆動制御するインバータと、を備えた酸素濃縮器において、前記インバータが、前記空気圧縮部の起動から前記空気圧縮部の圧縮効率安定期までの間および前記空気圧縮部の圧縮効率安定後に、所定周期における前記インバータの積算出力電流値が最小になるように前記モータの駆動位相を調整する駆動位相調整部を備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項12記載の酸素濃縮器の制御方法の発明は、モータによって駆動されて空気の圧縮を行う空気圧縮ステップと、前記空気圧縮ステップから送り出された圧縮空気の流量を開閉制御する流量調整ステップと、前記流量調整ステップによって流量調整された圧縮空気が送られて酸素を濃縮する酸素濃縮ステップと、前記モータを駆動制御するモータ駆動制御ステップと、を備えた酸素濃縮器の制御方法において、前記空気圧縮ステップの起動から前記空気圧縮ステップの圧縮効率安定期までの間および前記空気圧縮ステップの圧縮効率安定後に、所定周期における前記インバータの積算出力電流値が最小になるように前記モータの駆動位相を調整する駆動位相調整ステップを備えたことを特徴としている。
請求項13記載の発明は、請求項12記載の酸素濃縮器の制御方法において、前記所定周期が前記流量調整ステップの制御周期であることを特徴とすることを特徴としている。
請求項14記載の発明は、請求項13記載の酸素濃縮器の制御方法において、前記流量調整ステップでは電磁弁を用いて実施することを特徴としている。
請求項15記載の発明は、請求項12記載の酸素濃縮器の制御方法において、前記酸素濃縮ステップでは酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤を用いることを特徴としている。
請求項16記載の発明は、請求項12または13記載の酸素濃縮器の制御方法において、前記駆動位相調整ステップでは、前記モータの駆動位相を前記積算出力電流値が減少する方向に所定量ずつ変化させ、前記積算出力電流値が減少から増加に転じる前の駆動位相を最適位相とする処理をすることを特徴としている。
請求項17記載の発明は、請求項16記載の酸素濃縮器の制御方法において、前記駆動位相調整ステップでは、所定回数実施された後、各実施における最適位相の平均値を駆動位相とする処理をすることを特徴としている。
請求項18記載の発明は、請求項17記載の酸素濃縮器の制御方法において、前記駆動位相調整ステップが、前記モータの加減速中以外のときに行われることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1、4、5、6、9、10記載の発明によると、モータの磁極位置検出器の配置誤差等による磁極位置検出信号に誤差がある場合において、インバータの制御駆動位相ずれによる無効電流の増大を抑えることができる。
また、請求項2、3記載の発明によると、モータ付圧縮機の負荷変動周期を基準としてインバータの出力電流を積算するため、駆動位相調整処理が同一条件で行われる。
また、請求項7記載の発明によると、加減速中以外のときに駆動位相調整処理が行われるためより最適な駆動位相調整処理をすることができる。
また、請求項8、11記載の発明によると、運転初期と圧縮効率安定期で圧縮機の特性が変化するが、それぞれの領域において最適な駆動位相調整処理をすることができる。
また、請求項12、15、16、17記載の発明によると、モータの磁極位置検出器の配置誤差等による磁極位置検出信号に誤差がある場合において、インバータ27の制御駆動位相ずれによる無効電流の増大を抑えることができる。
また、請求項13、14記載の発明によると、圧縮機21(モータ21a)の負荷変動周期を基準としてインバータの出力電流を積算するため、駆動位相調整処理が同一条件で行われる。
また、請求項18に記載の発明によると、運転初期と圧縮効率安定期で圧縮機の特性が変化するが、それぞれの領域において最適な駆動位相調整処理をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の酸素濃縮器の構成を示すブロック図である。
図1において、20は本発明の酸素濃縮器、21は空気圧縮部(圧縮機)、21aはブラシレスDCモータ、21bは磁極位置検出器、22は酸素濃縮部(窒素吸着剤)、23は流量調整部(電磁弁)、24はチャンバ部、25は酸素監視部、26は制御部、27はインバータ部、27aは回転数検出部、27bは回転数制御部、27cはPWMを増幅するインバータ部、27dは電流検出部、27eは出力電流信号積算部、27fは駆動位相調整部、28は酸素流量設定部、29は圧力センサである。
電磁弁23は、制御部26によって、周期的に開閉(所定の制御周期でオンオフ)制御される。制御周期は、空気圧縮部21を構成する圧縮機(モータ21a)の負荷変動周期で決定される。
空気圧縮部21は外気を取り込んで圧縮し、酸素濃縮部22へ加圧した空気を送り出す。酸素濃縮部22は加圧された空気の酸素濃度を上昇させて、酸素を濃縮した空気をチャンバ部24に送り込み、チャンバ部24にて濃縮酸素を蓄える。
制御部26は酸素流量設定部28からの設定を参照し、流量調整部23を構成する電磁弁を切替え、酸素濃縮部22への空気圧縮/引込みを制御し、酸素監視部25により検出される酸素流量、酸素濃度およびガス温度、ならびに圧力センサ29により検出される酸素濃縮部22の圧力のいずれか1つ以上の計測値を基に、圧縮機を構成するモータ(ブラシレスDCモータ)21aの回転数指令をインバータ27内の回転数制御部27bへ与える。
インバータ部27は、制御部26からの回転数指令に対し、圧縮機21を構成するブラシレスDCモータ21a(以後、「圧縮機モータ21a」と言う。)の回転数制御を行う。また、前記ブラシレスDCモータ21a回転数制御中、制御部26による電磁弁23への切替え周期で、圧縮機モータ21aへの駆動位相を微小に調整し、調整した駆動位相毎に、電流検出部27dにて検出した出力電流信号を出力電流信号積算部27eにて積算し、調整した駆動位相毎の電流積算結果を比較することにより、圧縮機モータ21aへの出力電流が最小となる駆動位相調整を行うことにより、圧縮機21の高効率運転を実現している。
【0011】
本発明を実施するため、圧縮機21を運転するシーケンスを運転初期および圧縮効率安定期に区分し、それぞれに応じた周期で駆動位相を変化させ、運転を継続する。各駆動位相変化の周期に応じた駆動電流の積算値を比較することにより、最小となる駆動電流位相に調整することとしている。この動作を運転初期および圧縮効率安定期それぞれの領域で実施した結果の平均値を最適値として調整を行うこととしている。
すなわち、高効率運転処理として、(1)圧縮機21の起動から圧縮機21の圧縮効率安定期までの初期駆動位相調整と、(2)圧縮機21の圧縮効率安定後の安定駆動位相調整の2段階の処理にて実現している。このように(1)の運転初期および(2)の圧縮効率安定期でそれぞれ位相調整を行うのは、運転初期と圧縮効率安定期では、それぞれ圧縮機の特性(電流特性)が変化するためである。
【0012】
図2は、本発明の酸素濃縮器20の効率運転を実施するためのフローチャートである。
なお、運転初期の駆動位相調整は運転初期調整モードとして、圧縮効率安定期の駆動位相調整は安定調整モードとして、ソフトウェア上のフラグを管理している。また、後述するステップS19〜S22は、運転初期調整モードでないとき、すなわち、安定運転調整モード時のみ実行される処理である。
【0013】
ステップS1では、駆動位相調整が完了したかどうかを確認し、駆動位相調整が完了している場合には処理は実行せず終了し、完了していない場合はステップS2に進む。
次にステップS2では、圧縮機安定運転待ちフラグを確認し、圧縮機安定待ちでない場合はステップS3に進み、圧縮機安定待ちであればステップS24へ進む。
【0014】
〈ステップS3〜S5:モータが加減速中は調整をしないためのステップ〉
次にステップS3では、制御部26(図1)からの回転数指令に対し圧縮機モータ21aの回転数が到達しているかを確認し、指令回転数に到達すると、ステップS4に進む。
次にステップS4は駆動位相調整開始ステップで、次のステップS5にて制御部26からの回転数指令が変更されていないかを確認する。回転数指令が変更されている場合、それまでの出力電流の積算値をクリアしてステップS3に戻り、変更されていない場合はステップS6へ進む。
すなわち、ステップS3〜S5は、モータ21aが加減速中は調整を行わないための判断ステップである。
【0015】
次にステップS6ではインバータ27の出力電流値を積算する。
ステップS7では予め得た制御部26の電磁弁23切替え周期であるかを確認し、電磁弁23の切替え周期時間が経過すると、ステップS8へ進み、今回の駆動位相での出力電流積算値と前回の駆動位相での出力電流積算値との比較を行う。なお、電磁弁23の切替え周期で比較をするのは、この周期が、圧縮機21(モータ21a)の負荷変動周期と一致するからである。
【0016】
〈ステップS9〜S11:インバータ出力電流積算値が前回値よりも大きい場合と小さい場合の各位相調整ステップ〉
ステップS9では、インバータ出力電流積算値の比較結果で、今回の出力電流積算値が大きい場合ステップS10へ進み、今回の電流積算値が小さい場合はステップS11へ進む。
ステップS10では、駆動位相調整方向を切替えるステップで、ステップS12へ進む。
一方、ステップS11では、駆動位相調整値をさらに加える。
すなわち、ステップS9から11は、インバータ出力電流積算値が前回値よりも大きい場合は、位相調整が過大であるので元に戻す方向に調整し(S10)、小さい場合は、さらに調整が不足しているので、さらに調整する(S11)ステップである。
【0017】
ステップS12では、駆動位相調整方向切替え点が前回の駆動位相調整方向切替え点かを確認し、前回切替え点でない場合ステップS14へ進む。前回の切替え点の場合は、ステップS13へ進み、後述するステップS15、S19の電流比較が規定回数を満たしていなくても最適調整と判断し調整を終了したものとみなす。この判断ステップは、位相調整に要する時間を短縮するのである。
【0018】
次にステップS14では、圧縮機運転初期での駆動位相調整モードであるかを確認し、運転初期調整モードの場合、ステップS15へ進み、運転初期調整モードでない場合、ステップS19へ進む。ステップS15では、運転初期調整モードの出力電流比較を規定回数実施しているかを確認し、規定回数実施の場合、ステップS16へ進み、規定回数実施に満たない場合、ステップS23へ進む。
【0019】
ステップS13では、運転初期調整モードであるかを確認し、運転初期調整モードである場合ステップS16へ進み、運転初期調整モードでない場合ステップS20へ進む。
【0020】
ステップS16では、駆動位相調整を実施した際の駆動位相切替え点の平均値計算結果を駆動位相調整値へ反映し、1回の駆動位相調整の完了として、ステップS17へ進む。次にステップS17では、運転初期調整実施回数を確認し、運転初期調整実施規定回数である場合、ステップS18へ進み、運転初期調整実施規定回数に満たない場合はステップS23へ進む。
ステップS18では、運転初期調整モードを完了とし、圧縮機21の圧縮効率安定待ちフラグをセットし、ステップS23へ進む。
ステップS23では、磁極位置検出信号から得られた位置情報に前記までに調整した駆動位相調整値を加算する。
【0021】
〈ステップS19〜S22:安定運転調整モード時のみ実行される処理〉
また、ステップS19では、安定運転調整モードの出力電流比較規定回数を実施しているかを確認し、規定回数実施の場合、ステップS20へ進み、規定回数実施に満たない場合、ステップS23へ進む。
ステップS20では、駆動位相調整を実施した際の駆動位相切替え点の平均値計算結果を駆動位相調整値へ格納し、今回の駆動位相調整を完了とし、ステップS21へ進む。
次にステップS21では、安定運転調整実施回数を確認し、安定運転調整実施規定回数である場合、ステップS22へ進み、安定運転調整実施規定回数に満たない場合はステップS23へ進む。
ステップS22では、駆動位相調整の完了処理を行う。
【0022】
一方、図2の右上へ戻って、ステップS24では、圧縮機21の圧縮効率安定待ちカウンタをカウントアップしステップS25へ進む。
ステップS25では、圧縮機21の圧縮効率安定待ち時間経過であるかを確認し、待ち時間経過である場合ステップS26へ進み、待ち時間経過に満たない場合はステップS1へ戻る。
ステップS26では、圧縮機21圧縮効率安定待ちモードおよび、初期運転調整モードのフラグをリセットし安定運転調整モードとする。
【0023】
以降、酸素濃縮器20に備えた圧縮機21の運転において、駆動位相の調整目的が圧縮機モータ21aに搭載されている磁極位置検出器21bの配置ずれ調整であることから、圧縮機モータ21aと酸素濃縮器20に搭載されているインバータ27との組み合せが変更されたと判定されるまでは、駆動位相調整完了ステップS22にて決定された駆動位相調整量を適用することができる。
【0024】
本発明が特許文献1と異なる部分は以下の通りである。
特許文献1では、圧縮機を搭載した酸素濃縮器の低消費電力化を行う方法として、設定流量と製品タンクの流量比較結果または、圧縮機への負荷に応じて、圧縮機モータの回転数をインバータを用い制御することにより、低消費電力化を実現しているが、本発明では、圧縮機モータが磁極位置検出器付きブラシレスDCモータの場合において、圧縮機モータの駆動位相を酸素濃縮周期に同期し変化させ、各駆動位相における出力電流をサンプリング、積算、比較することにより、圧縮機モータへの出力電流を最低限に抑えることで、酸素濃縮器の低消費電力化を図っている部分である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、本発明によれば、磁極位置検出器付きブラシレスDCモータの磁極位置検出器の配置ずれ量を調整できるため、ホールIC等の磁極位置検出器付きブラシレスDCモータを搭載した圧縮機搭載の装置に対しての低消費電力化に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の酸素濃縮器の構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の酸素濃縮器の効率運転を実施するためのフローチャートである。
【図3】従来例の酸素濃縮器の構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
【0027】
21 空気圧縮部(圧縮機)
21a ブラシレスDCモータ
21b 磁極位置検出器
22 酸素濃縮部(窒素吸着剤入り)
23 流量調整部(電磁弁)
24 チャンバ部
25 酸素監視部
26 制御部
27 インバータ
27a 回転数検出部
27b 回転数制御部
27c インバータ部
27d 電流検出部
27e 電流積算部
27f 駆動位相調整部
28 酸素流量設定部
29 圧力センサ
S1 駆動位相調整完了確認ステップ
S2 安定調整待ち確認ステップ
S3 回転数到達確認ステップ
S4 駆動位相調整開始ステップ
S5 指令回転数変更確認ステップ
S6 検出電流積算ステップ
S7 電磁弁切替え周期確認ステップ
S8 積算電流値比較ステップ
S9 積算電流値比較結果確認ステップ
S10 駆動位相調整方向切替えステップ
S11 駆動位相調整値加算ステップ
S12 駆動位相調整切替え点確認ステップ
S13 運転初期調整モード確認ステップ
S14 運転初期調整モード確認ステップ
S15 電流比較回数確認ステップ
S16 駆動位相調整結果平均化ステップ
S17 初期調整実施回数確認ステップ
S18 安定調整待ちフラグ設定フテップ
S19 電流比較回数確認ステップ
S20 駆動位相調整結果平均化ステップ
S21 安定調整実施回数確認ステップ
S22 駆動位相調整完了ステップ
S23 駆動調整位相加算ステップ
S24 安定調整待ちカウントステップ
S25 安定調整待ち時間確認ステップ
S26 安定調整モード切替えステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによって駆動されて空気の圧縮を行う空気圧縮部と、前記空気圧縮部から送り出された圧縮空気の流量を開閉制御する流量調整部と、前記流量調整部によって流量調整された圧縮空気が送られて酸素を濃縮する酸素濃縮部と、前記モータを駆動制御するインバータと、を備えた酸素濃縮器において、
前記インバータは、所定周期における前記インバータの積算出力電流値が最小になるように前記モータの駆動位相を調整する駆動位相調整部を備えたことを特徴とする酸素濃縮器。
【請求項2】
前記所定周期は前記流量調整部の制御周期であることを特徴とすることを特徴とする請求項1記載の酸素濃縮器。
【請求項3】
前記流量調整部は電磁弁であることを特徴とする請求項1記載の酸素濃縮器。
【請求項4】
前記酸素濃縮部は酸素よりも窒素を選択的に吸着する窒素吸着剤を備えたことを特徴とする請求項1記載の酸素濃縮器。
【請求項5】
前記駆動位相調整部は、前記モータの駆動位相を前記積算出力電流値が減少する方向に所定量ずつ変化させ、前記積算出力電流値が減少から増加に転じる前の駆動位相を最適位相とする駆動位相調整処理を実行することを特徴とする請求項1記載の酸素濃縮器。
【請求項6】
前記駆動位相調整部は、前記駆動位相調整処理が、所定回数実施された後、各実施における最適位相の平均値を駆動位相とすることを特徴とする請求項5記載の酸素濃縮器。
【請求項7】
前記駆動位相調整処理は、前記モータの加減速中以外のときに行われることを特徴とする請求項6記載の酸素濃縮器。
【請求項8】
前記駆動位相調整処理は、前記空気圧縮部の起動から前記空気圧縮部の圧縮効率安定期までの間および前記空気圧縮部の圧縮効率安定後に、所定回数実施されることを特徴とする請求項6記載の酸素濃縮器。
【請求項9】
前記酸素濃縮部で濃縮された酸素を蓄えるチャンバ部と、前記チャンバ部の酸素の監視をする酸素監視部と、前記酸素監視部の出力が入力されて前記インバータへの回転数指令を出力する制御部と、を備え、前記酸素監視部は酸素流量、ガス温度、酸素濃度の少なくとも1つを検出することを特徴とする請求項1記載の酸素濃縮器。
【請求項10】
前記酸素濃縮部の圧力を検出する圧力センサを備え、前記圧力センサの出力が前記制御部へ入力されることを特徴とする請求項9記載の酸素濃縮器。
【請求項11】
モータによって駆動されて空気の圧縮を行う空気圧縮部と、前記空気圧縮部から送り出された圧縮空気の流量を開閉制御する流量調整部と、前記流量調整部によって流量調整された圧縮空気が送られて酸素を濃縮する酸素濃縮部と、前記モータを駆動制御するインバータと、を備えた酸素濃縮器において、
前記インバータは、前記空気圧縮部の起動から前記空気圧縮部の圧縮効率安定期までの間および前記空気圧縮部の圧縮効率安定後に、所定周期における前記インバータの積算出力電流値が最小になるように前記モータの駆動位相を調整する駆動位相調整部を備えたことを特徴とする酸素濃縮器。
【請求項12】
モータによって駆動されて空気の圧縮を行う空気圧縮ステップと、前記空気圧縮ステップから送り出された圧縮空気の流量を開閉制御する流量調整ステップと、前記流量調整ステップによって流量調整された圧縮空気が送られて酸素を濃縮する酸素濃縮ステップと、前記モータを駆動制御するモータ駆動制御ステップと、を備えた酸素濃縮器の制御方法において、
前記空気圧縮ステップの起動から前記空気圧縮ステップの圧縮効率安定期までの間および前記空気圧縮ステップの圧縮効率安定後に、所定周期における前記インバータの積算出力電流値が最小になるように前記モータの駆動位相を調整する駆動位相調整ステップを備えたことを特徴とする酸素濃縮器の制御方法。
【請求項13】
前記所定周期は前記流量調整ステップの制御周期であることを特徴とすることを特徴とする請求項12記載の酸素濃縮器の制御方法。
【請求項14】
前記流量調整ステップでは電磁弁を用いて実施することを特徴とする請求項13記載の酸素濃縮器の制御方法。
【請求項15】
前記酸素濃縮ステップでは酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤を用いることを特徴とする請求項12記載の酸素濃縮器の制御方法。
【請求項16】
前記駆動位相調整ステップでは、前記モータの駆動位相を前記積算出力電流値が減少する方向に所定量ずつ変化させ、前記積算出力電流値が減少から増加に転じる前の駆動位相を最適位相とする処理をすることを特徴とする請求項12または13に記載の酸素濃縮器の制御方法。
【請求項17】
前記駆動位相調整ステップでは、所定回数実施された後、各実施における最適位相の平均値を駆動位相とする処理をすることを特徴とする請求項16記載の酸素濃縮器の制御方法。
【請求項18】
前記駆動位相調整ステップは、前記モータの加減速中以外のときに行われることを特徴とする請求項17記載の酸素濃縮器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−237543(P2008−237543A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82150(P2007−82150)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(391049574)安川コントロール株式会社 (3)
【出願人】(503369495)帝人ファーマ株式会社 (159)