説明

酸素発生装置

【課題】酸素発生量を増やすために、強制的・人工的な手段を必要とせず、効率的に光合成のための制御を行い、CO削減効果が高い酸素発生装置を提供する。
【解決手段】少なくとも赤色のスペクトルを有する発光光源104と、発光光源104を駆動する光源駆動回路105と、光源駆動回路105を制御することで発光光源104を点灯または消灯させるマイコン制御部106と、発光光源104、光源駆動回路105およびマイコン制御部106を有する光源駆動装置102に電力を供給する電源供給源107と、少なくとも発光光源104により照射される光合成体115を有することで二酸化炭素を吸収し酸素を放出する光合成装置103とを備え、マイコン制御部106は光合成体115の光合成が放出する酸素量が一定の範囲になるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高濃度の酸素を発生させて快適な居住空間を実現する酸素発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
研究結果より酸素濃度を高めることで、心理的肉体的リフレッシュ効果、集中力の維持などの効果があることが知られている(非特許文献1,2参照)。
【0003】
酸素濃度を高めるため、酸素エアチャージャーなどを用いて、人工的に酸素を強制的に発生させ、発生させた酸素を人体に供給する、または、エアコンなどで、人工的に酸素濃度を高めた空気を住空間へ供給する手段もある。
【0004】
一方、食物としての植物を生産目的のために効率的に育てる装置が存在している。例えば、精製されたCOガスの供給、発光光源の照射、水の供給、栄養素の供給をコントロールする装置などである(特許文献3参照)。
【0005】
図3および図4に特許文献3の方法を示す。図3は断熱壁で囲まれたキャビネット本体2の上面5aまたは適宜の側面に照明窓6を設けるとともに、前記照明窓6には、図4に示すLED照明具16を前記照明窓6と対面するように設置する。また前記LED照明具16を制御するLED制御手段を備える。この方法は、LEDを植物の光合成用光源として用いているため、植物の光合成反応属性に合わせ、最適光量の制御が容易に行える。
【非特許文献1】日本建築学会2004年度学術講演会(2004.8) P.895
【非特許文献2】日本建築学会大会学術講演梗概集(関東)2006年9月 P.791
【特許文献3】特開2003−79254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の方法は全て、酸素発生量を増やすために、強制的・人工的な手段(化学物質の使用と電力の使用)が必要であり、単純に酸素のみを発生させるだけであるため、CO濃度は見た目下がっているようではあるが、COガス量に変化はなく、化学物質の生成やAC電源からの電力供給によるCOガス発生分を考慮すると、COガス量は増えることになる。
【0007】
また、特許文献3に開示されているような方法は、LEDを植物の光合成用光源として用いているため、植物の光合成反応属性に合わせ、最適光量の制御が容易に行える。しかしながら、図3の30,31に示されている供給口から光合成をさせるための精製COガスの供給が必要という課題がある。つまり、精製COガスの生成装置が別途必要となり、全体のコストが上昇する上、CO生成のための電力を余分に消費することになる。
【0008】
また、赤色のスペクトルを有するLED光を植物に照射して、光合成をさせるという装置はあるが、効率的な光合成のための制御はなく、AC電源から装置への電力供給のために、CO削減効果は低い。
【0009】
したがって、本発明の目的は、酸素発生量を増やすために、強制的・人工的な手段を必要とせず、効率的に光合成のための制御を行い、CO削減効果が高い酸素発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の発明の酸素発生装置は、少なくとも赤色のスペクトルを有する発光光源と、発光光源を駆動する光源駆動回路と、光源駆動回路を制御することで発光光源を点灯または消灯させるマイコン制御部と、発光光源、光源駆動回路およびマイコン制御部を有する光源駆動装置に電力を供給する電源供給源と、少なくとも発光光源により照射される光合成体を有することで二酸化炭素を吸収し酸素を放出する光合成装置とを備え、マイコン制御部は光合成体の光合成が放出する酸素量が一定の範囲になるように制御することを特徴とする。
【0011】
上記のように光合成装置は少なくとも発光光源により照射される光合成体を有することで二酸化炭素を吸収し酸素を放出し、マイコン制御部は光合成体の光合成が放出する酸素量が一定の範囲になるように制御するので、昼夜を問わない光合成を実現しCO削減とO発生を同時に実現する。発光光源および太陽光を用いることで、従来よりも低消費電力で酸素濃度が高い空気を住環境に供給することが可能となる。また、酸素濃度は高ければ高いほど脳が活性化される効果や疲労回復の効果に良いわけではなく、光合成体の光合成が放出する酸素量を一定の範囲に制御することで、快適な環境を創造できる。
【0012】
第2の発明の酸素発生装置は、第1の発明において、発光光源がLEDである。第3の発明の酸素発生装置は、第1の発明において、発光光源は無機ELである。第4の発明の酸素発生装置は、第1の発明において、発光光源は有機ELである。
【0013】
上記のように発光光源に、LED、無機ELまたは有機ELを使用することにより、低消費電力化を実現できる。
【0014】
第5の発明の酸素発生装置は、第1から4のいずれかの発明において、電力供給源は複数の電源により構成され、光源駆動装置は複数の電源を切り替える切り替え手段を有する。第6の発明の酸素発生装置は、第5の発明において、複数の電源のうち、少なくとも一つは太陽電池である。
【0015】
上記のように電力供給源は複数の電源により構成され、光源駆動装置は複数の電源を切り替える切り替え手段を有し、複数の電源のうち、少なくとも一つは太陽電池であるので、商用電源から電力を供給することを極力抑え、太陽電池から電力を供給し、結果として省エネルギーを実現する。
【0016】
第7の発明の酸素発生装置は、第1から6のいずれかの発明において、光源駆動装置は、マイコン制御部に対し発光光源を発光させるかどうかの発光命令を指示する発光命令手段を備える。
【0017】
上記のように光源駆動装置は、マイコン制御部に対し発光光源を発光させるかどうかの発光命令を指示する発光命令手段を備えるので、例えば、酸素濃度が所定の範囲になるように発光光源の発光を制御することができる。
【0018】
第8の発明の酸素発生装置は、第7の発明において、発光命令手段はタイマを備え、タイマの値に応じて発光命令を切り替える。第9の発明の酸素発生装置は、第7の発明において、発光命令手段は周囲の光度を検知する光センサを備え、光センサの出力値に応じて発光命令を切り替える。
【0019】
上記のようにタイマの値あるいは光センサの出力値に応じて発光命令を切り替えるので、昼間は発光光源を消灯し、夜間に発光光源を点灯させることができる。
【0020】
第10の発明の酸素発生装置は、第7の発明において、発光命令手段は光合成体の光合成が放出する酸素の酸素濃度センサを備え、酸素濃度センサが検出する酸素濃度に応じて発光命令を切り替える。
【0021】
上記のように酸素濃度センサが検出する酸素濃度に応じて発光命令を切り替えるので、例えば酸素濃度センサで検出した酸素濃度が所定値を超えた場合、発光命令をOFFし、光合成が行われないように制御し、逆に、酸素濃度が所定値を下回った場合に発光命令をONすることで光合成を促進させることができる。
【0022】
第11の発明の酸素発生装置は、第7から10のいずれかの発明において、光合成体の光合成速度および発光光源の消費電力の値に基づいて、光合成体の光合成効率が高くなるように制御する光合成効率調整手段を備えた。
【0023】
上記のように光合成体の光合成速度および発光光源の消費電力の値に基づいて、光合成体の光合成効率が高くなるように制御する光合成効率調整手段を備えたので、発光光源による発光を強めていくと光合成速度は促進されるが、強めすぎると光合成速度は徐々に飽和し、一定以上に進まなくなるため、光合成効率が高くなるように調整することで、電力の使用効率を向上させることができる。
【0024】
第12の発明の酸素発生装置は、第7から10のいずれかの発明において、光合成体が植物からなる。
【0025】
上記のように光合成体に植物を用いていることで、COの削減効果があるため、より快適な住空間が得られる。
【0026】
第13の発明の酸素発生装置は、第1から12のいずれかの発明において、光合成体に近接して空気を拡散するファンを備えた。
【0027】
上記のように光合成体に近接して空気を拡散するファンを備えたので、ファンを回転させることで、空気を対流させ短い時間で光合成体が発したOを部屋に拡散させることができる。これにより、部屋全体のO濃度のばらつきを抑えて均一化させ、部屋全体を快適な環境にすることができる。
【0028】
第14の発明の酸素発生装置は、第1から13のいずれかの発明において、光合成体への紫外線照射を低減させる手段を備えた。
【0029】
上記のように光合成体への紫外線照射を低減させる手段を備えたので、光合成にとって害となる紫外線から光合成体を保護することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の酸素発生装置によれば、太陽光とLED発光の併用により、昼夜を問わない光合成を実現しCO削減とO発生を同時に実現する。太陽光及びLED光源を用いることで、従来よりも低消費電力で酸素濃度が高い空気を住環境に供給することが可能となる。さらに、植物を用いていることで、COの削減効果もあるため、より快適な住空間が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施形態に係る酸素発生装置の構成図を示す。この酸素発生装置は、LED駆動装置102と、光合成装置103と拡散用ファン116から構成される。
【0033】
LED駆動装置102は、発光光源としてLED104と、LED104を駆動するためのLED駆動回路105と、マイコン制御部106とを持つ。LED駆動回路105はマイコン制御部106から制御されLED104の点灯、消灯を制御する。LED104の発光する光は、光度センサ118及び光合成装置103へと届くように構成する。光度センサ118は太陽の光とLED104の光とを検知する。光合成装置103は、少なくともLED104により照射される光合成体115を有することで二酸化炭素を吸収し酸素を放出する。すなわち、光合成装置103に届いた光は光合成体115に届き、光合成体115は光合成を起こす。LED104から発光される光は600nm〜700nmを含むスペクトルすなわち赤色スペクトルと、400nm〜500nmを含むスペクトルすなわち青色スペクトルとを、含むように構成される。赤色の波長は光合成に必要不可欠な波長であり、青色の波長は植物の形状を決めるために必要不可欠な波長である。このシステムにおいて発光光源に電球を使用することもできるが、LEDを使用することで、低消費電力化が実現できる。なお、LEDではなく無機ELや有機ELを使うことも有効である。
【0034】
光合成装置103の構成要素である光合成体115としては、植物を使う。光合成体115はLED104からの光を受けて光合成を起こす。これにより、COを吸収しOを発生させる。この結果、空気中のO濃度が向上し、快適な住空間を創造することができる。さらに、CO濃度を下げることも同時に実現する。光合成体115として、植物を使用することで、植物を食用に利用したり、鑑賞用の植物を使用して、環境の向上にも貢献できる。また、この植物は光合成の速度が速い植物を用いるとより有効である。
【0035】
一方、LED駆動装置102はLED駆動装置に電力を供給する電力供給源107を持つ。電力供給源107は、商用電源110と蓄電システム111と太陽電池112と切り替え手段109とを持つ。太陽の光が利用できるときには太陽電池112にて発電し、蓄電システム111に蓄電する。蓄電システム111が十分な電力を保持している場合は切り替え手段109が蓄電システム111を選択し、蓄電システム111からLED駆動回路105に電力を供給する。一方、蓄電システム111が十分な電力を保持していない場合、商用電源110から電力を供給する。切り替え手段109は可能な限り蓄電システム111側を選択するよう制御する。これにより、商用電源110から電力を供給することを極力抑え、太陽電池112から電力を供給し、結果として省エネルギーを実現する。ここでは、商用電源と切り替えて使用する電源として、太陽電池を用いる例で説明したが、風力発電などの自然エネルギーを用いた発電装置を用いても同様の省エネルギー効果が得られることは明らかである。
【0036】
また、太陽の光が利用できる時間は、太陽の光を光合成装置に取り込み、光合成を行う。このときに、十分な光合成が行える場合は、マイコン制御部106がLED104を消灯する。つまり、太陽が出ているときにはLED104を止めて、電力の消費を抑える。
【0037】
マイコン制御部106の一例を図2に示す。マイコン制御部106は、タイマ204を備える。タイマ204により昼間はLEDを消灯し、夜間にLEDを点灯させることができる。この場合、タイマ204を用いて昼の時間、例えば、午前6時から午後6時まではLED発光命令をONし、それ以外の時間を夜の時間としてLED発光命令をOFFする。もちろん、季節などに応じて昼夜の判定時刻を切り替えても良い。あるいは、光センサ210(図1に示す光度センサ118)を備え、周囲の光度に応じてLED発光命令を切り替えることもできる。この場合、A/D207に接続された光センサ210からの入力値が一定の値を超えた場合、LED発光命令をONし、一定の値を下回った場合、LED発光命令をOFFする。
【0038】
図2のマイコンは、CPU201、ROM202、RAM203、タイマ204、シリアル205、汎用I/Oポート206などから構成される。マイコン制御部106は前述のとおり、時間や光度などに応じてLED104の発光命令を切り替える。切り替えるための手順やアルゴリズムを予めROM202に格納して制御を行う。マイコン制御部106からLED駆動回路105へのLED発光制御は汎用I/Oポート206からの出力に応じて決定される。例えば、LED104を発光させる場合汎用I/Oポート206からHレベルの出力を、消灯させるときはLレベルの出力をするなどである。また、マイコンにはブザー出力回路208が搭載されている機種がある。このようなマイコンを使用する場合、LED発光タイミングなどをブザー211によりブザー音で知らせることができる。また、同様に音声出力回路209を搭載する機種もあり、スピーカ212から音声によるガイダンス機能を追加することで、目の不自由な方でも使いやすい酸素発生装置にすることが可能である。
【0039】
また、LED駆動装置102は、マイコン制御部106に対しLED104を発光させるかどうかの発光命令を指示する発光命令手段113を備えている。上記タイマ、光センサは、発光命令手段113に備えていてもよい。すなわち、発光命令手段113はタイマを備え、タイマの値に応じて発光命令を切り替える、または発光命令手段113は周囲の光度を検知する光センサを備え、光センサの出力値に応じて発光命令を切り替えるように構成してもよい。
【0040】
また、酸素濃度が高くなれば、脳が活性化される効果や、疲労回復の効果があることがいくつかの研究で示されている。しかしながら、酸素濃度が高ければ高いほど良いわけではない。ある研究では、酸素濃度30%程度が最も快適であることが示されている(非特許文献1,2)。本実施の形態の酸素発生装置は、酸素濃度センサ117(図2に示す濃度センサ213)を用いて、酸素濃度を検出することができる。検出した酸素濃度を元に発光命令手段113は、酸素濃度が30%程度になるようにLED104の発光を制御する。具体的には発光命令手段113はマイコン制御部106のソフトウェアとして実現される。酸素濃度センサ117からの出力は図2に示したマイコンのA/D207に入力され、A/D207により酸素濃度が検出できる。ROM202に格納されたプログラムはCPU201によって次のような動作を行い制御する。例えば酸素濃度センサ117で検出した酸素濃度が30%を超えた場合、LED発光命令をOFFし、光合成が行われないように制御し、逆に、酸素濃度が30%を下回った場合にLED発光命令をONすることで光合成を促進させる。LED発光命令をON/OFFさせるための閾値はここでは30%で説明したが、微調整してもよい。また、ONさせる酸素濃度の閾値と、OFFさせるための閾値を異なる値に設定してヒステリシスを持たせることで、より正確に酸素濃度を制御することも可能である。このような構成により、酸素濃度を30%程度に制御することが可能となり、最適な環境を創造できる。
【0041】
また、マイコン制御部106は光合成効率調整手段108と連携し、光合成体115の光合成が放出する酸素量が一定の範囲になるように制御することで光合成効率を調整する。具体的には、光合成効率つまり光の量に対する光合成の効率が高くなるように調整し、電力の使用効率を向上させることができる。
【0042】
図1の光合成効率調整手段108は、光合成効率(LEDの消費電力に対する光合成速度)が高くなるように制御を行う。光合成速度は、一般的に、光(正確には、少なくとも赤色と青色のスペクトルを含む光)の強度により促進されるが、光の強度に比例するのではなく、徐々に飽和することが知られている。そのため、同様に、LEDによる発光を強めていくと光合成速度は促進されるが、強めすぎると光合成速度は徐々に飽和し、一定以上に進まなくなる。LEDの発光を強めるとより多くの電力を消費するため、強めすぎると光合成効率が悪くなる。光合成効率調整手段108は、光合成速度とLEDの消費電力とを調整し、制御を行う。このとき、光合成効率調整手段108による制御は、光合成速度とLEDの消費電力の関係を予め取得したデータをベースにした制御、又は、定期的或いはある規定された期間の光合成速度とLEDの消費電力のデータから高い光合成効率が期待される条件を導き出す学習機能を持たせた制御のどちらでも良いが、光合成体の変更が必要な場合(例えば、食用植物とした場合)への対応を考慮すると、後者の学習機能を持たせた制御の方が良いと考える。
【0043】
具体的には光合成効率調整手段108はマイコンのプログラムとして実現される。プログラムはROM202に予め格納され、CPU201によって実行される。すなわち、予め取得したデータをベースにした制御の場合、例えば、植物の種類毎で葉の単位面積当たり(又は葉1枚当たり)の酸素発生量を予め取得したデータをメモリしておき、大よその植物の葉の表面積(又は葉の枚数)を入力することで、期待される酸素発生量を割り出し、これをベースに、酸素濃度センサ117から得られた酸素濃度比較することで、LED駆動回路105への指令をON/OFFさせる。
【0044】
また、学習機能を有する制御の場合、植物の切り替え時や、植物の成長により葉の表面積が変化した場合等に対応するために、一端リセットさせる機能を持たせる。リセット機能の動作により、LED光の強度は初期状態に戻される。基本的には予め取得したデータをベースにした制御の場合と同様にメモリ機能を持たせて、リセット後、タイマ機能により、ある一定期間の定期的なLED光の強度に対する酸素発生量をサンプリングによりデータをメモリされたデータと比較し、LED光の強度に対する酸素発生量の割合が高ければ、メモリされたデータを書き換えるようにし、繰り返すことで、一番良い条件に収束させていく。このとき、リセット後の一定期間と定期的なサンプリング頻度は外部から変更可能としても良い。
【0045】
ここでは、光合成体115として植物を例に説明を行ったが、光合成体は植物以外の人工的に生成された物質でもよい。光合成を行う人工的な物質は広く研究が行われており、例えば、二酸化マンガンをベースとした物質を用いた例が報告されている。このような物質を用いることで、植物を用いるよりもより効率よく光合成を促進させることが可能となる。
【0046】
また、本酸素発生装置は拡散用ファン116を備える。光合成体115から発生されるOは光合成体115の周囲に滞留する。そこで、ファン116を回転させることで、空気を対流させ短い時間で光合成体115が発したOを部屋に拡散させる。これにより、部屋全体のO濃度のばらつきを抑えて均一化させ、部屋全体を快適な環境にすることができる。
【0047】
また、図1の114は紫外線を低減させるフィルタである。太陽の光はフィルタ114を通して光合成体に到達する。フィルタ114を透過した光は紫外線が減少している。紫外線は光合成にとって害となるため、フィルタ114を用いて紫外線を低減することで、光合成効率を高めることができる。
【0048】
以上のような構成により、電力の消費をできるだけ抑えながらも酸素濃度を向上させ、快適な住環境を創造できる。尚、本発明の酸素発生装置は、屋内のみならず、屋外での利用も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明にかかる酸素発生装置は、酸素濃度が高く、二酸化炭素濃度が低い空気を有する居住空間を実現する。更に、本発明の酸素発生装置を屋外で活用することにより、より広い範囲での住環境の改善や地球温暖化防止への貢献が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態の酸素発生装置の構成図である。
【図2】本発明の実施形態のマイコン制御部の構成図である。
【図3】従来技術の斜視図である。
【図4】従来技術の部分断面図である。
【符号の説明】
【0051】
102 LED駆動装置
103 光合成装置
104 LED
105 LED駆動回路
106 マイコン制御部
107 電力供給源
108 光合成効率調整手段
109 切り替え手段
110 商用電源
111 蓄電システム
112 太陽電池
113 発光命令手段
114 フィルタ
115 光合成体
116 拡散用ファン
117 酸素濃度センサ
118 光度センサ
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 タイマ
206 汎用I/Oポート
208 ブザー出力回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも赤色のスペクトルを有する発光光源と、前記発光光源を駆動する光源駆動回路と、前記光源駆動回路を制御することで前記発光光源を点灯または消灯させるマイコン制御部と、前記発光光源、前記光源駆動回路および前記マイコン制御部を有する光源駆動装置に電力を供給する電源供給源と、少なくとも前記発光光源により照射される光合成体を有することで二酸化炭素を吸収し酸素を放出する光合成装置とを備え、
前記マイコン制御部は前記光合成体の光合成が放出する酸素量が一定の範囲になるように制御することを特徴とする酸素発生装置。
【請求項2】
前記発光光源がLEDである請求項1に記載の酸素発生装置。
【請求項3】
前記発光光源は無機ELである請求項1に記載の酸素発生装置。
【請求項4】
前記発光光源は有機ELである請求項1に記載の酸素発生装置。
【請求項5】
前記電力供給源は複数の電源により構成され、前記光源駆動装置は前記複数の電源を切り替える切り替え手段を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の酸素発生装置。
【請求項6】
前記複数の電源のうち、少なくとも一つは太陽電池である請求項5に記載の酸素発生装置。
【請求項7】
前記光源駆動装置は、前記マイコン制御部に対し前記発光光源を発光させるかどうかの発光命令を指示する発光命令手段を備える請求項1から6のいずれか1項に記載の酸素発生装置。
【請求項8】
前記発光命令手段はタイマを備え、前記タイマの値に応じて発光命令を切り替える請求項7に記載の酸素発生装置。
【請求項9】
前記発光命令手段は周囲の光度を検知する光センサを備え、前記光センサの出力値に応じて発光命令を切り替える請求項7に記載の酸素発生装置。
【請求項10】
前記発光命令手段は前記光合成体の光合成が放出する酸素の酸素濃度センサを備え、前記酸素濃度センサが検出する酸素濃度に応じて発光命令を切り替える請求項7に記載の酸素発生装置。
【請求項11】
前記光合成体の光合成速度および前記発光光源の消費電力の値に基づいて、前記光合成体の光合成効率が高くなるように制御する光合成効率調整手段を備えた請求項7から10のいずれか1項に記載の酸素発生装置。
【請求項12】
前記光合成体が植物からなる請求項7から10のいずれか1項に記載の酸素発生装置。
【請求項13】
前記光合成体に近接して空気を拡散するファンを備えた請求項1から12のいずれか1項に記載の酸素発生装置。
【請求項14】
前記光合成体への紫外線照射を低減させる手段を備えた請求項1から13のいずれか1項に記載の酸素発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−46357(P2009−46357A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214881(P2007−214881)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】