説明

重ね録音装置、重ね録音方法およびプログラム

【課題】入力音声と再生音声とを重ねて記録する重ね録音において、再生レベルを適切に設定できるようにする。
【解決手段】設定された再生レベルに従って音源データを再生する再生処理部と、入力音声信号と再生処理部が出力する再生音声信号とを重ね合わせた信号に基づいた録音データを生成し、生成した録音データを記録媒体に記録させる録音処理部と、重ね録音の重ね回数を判定する重ね回数判定部と、判定された重ね回数が多いほど、再生レベルが大きくなるように、再生処理部における再生レベルを設定するレベル設定部と、を備えた重ね録音装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生音声に入力音声を重ねて録音する重ね録音に関し、特に、再生音声の再生レベルを適正に設定する重ね録音に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽制作現場等において、複数の音声を重ね合わせる(ミックスする)ミキシング作業が広く行なわれている。商用音楽等の高品位の楽曲制作を目的とするミキシング作業では、一般に、図8(a)に示すような構成のマルチトラックレコーダ(MTR:Multi Track Recorder)が用いられる。マルチトラックレコーダでは、複数のトラックに対応させて、あらかじめ楽曲のパートを個別に録音しておき、それぞれの音量レベルを調整しながらミキシングを行なう。この際に、音色加工や音響効果を施したり、多チャンネル処理、定位処理等を行なう場合もある。
【0003】
これに対し、マルチトラックレコーダを使用するほど高度なミキシングが要求されない場合には、重ね録音という手法が用いられることが多い。重ね録音は、個別のパートを独立したトラックに割り当ててミキシングするのではなく、再生音声に入力音声を重ねて録音するものである。そして、重ね録音された音声を再生音声として、さらに入力音声を重ねて録音することで、多声部の楽曲ファイルを生成することができる。なお、「声部」は1回の重ね録音で録音する楽器、歌等の音声を意味するものとする。
【0004】
重ね録音はミキシング作業を簡易に行なうことができ、特許文献1に記載されているように、重ね録音を行なうための重ね録音装置も実用化されている。図8(b)は、従来の重ね録音装置の概略構成を示すブロック図である。
【0005】
本図に示すように、重ね録音装置は、マイクロフォン等の入力装置310からの入力音声と、再生音源ファイル320の再生音声とを重ねて(ミックスして)記録することで重ね録音ファイル330を生成する。重ね録音ファイル330を再生音源ファイル320として用いて、さらに入力音声を重ねていくことができる。
【0006】
重ね録音装置において、入力音声は可変アッテネータ等の入力レベル設定部340においてレベル調整され、再生音声も可変アッテネータ等の再生レベル設定部350においてレベル調整された上で加算器360により重ね合わせられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−15461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
重ね録音は、音声を1つずつ重ねて録音していくため、録音の結果、各声部の音量バランスが適正でなかったとしても、後から個々の音声のレベルを調整することはできない。このため、録音時において入力レベルと再生レベルとを適正に設定しておく必要がある。
【0009】
しかしながら、入力レベルと再生レベルとを適正に設定することは容易でない。特に、入力レベル(録音レベル)の設定は通常の録音においても行なわれるものであるのに対し、再生レベルは重ね録音に特有の設定であるため、ユーザは不慣れであることが多い。このため、再生レベルの設定をユーザに委ねるとすると、試行錯誤しながら重ね録音を行なうことになりかねず、ユーザの負担が大きくなる。一方で、単純に再生レベルを固定とすると、重ね録音を繰り返す過程で、各声部の音量バランスに問題が生じていくおそれがある。これは、始めに録音された声部ほど、再録音が繰り返され埋もれていくためである。
【0010】
そこで、本発明は、入力音声と再生音声とを重ねて記録する重ね録音において、再生レベルを適切に設定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である重ね録音装置は、設定された再生レベルに従って音源データを再生する再生処理部と、入力音声信号と前記再生処理部が出力する再生音声信号とを重ね合わせた信号に基づいた録音データを生成し、生成した録音データを記録媒体に記録させる録音処理部と、重ね録音の重ね回数を判定する重ね回数判定部と、判定された重ね回数が多いほど、再生レベルが大きくなるように、前記再生処理部における再生レベルを設定するレベル設定部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記録音処理部によって生成された前記録音データに対して、重ね回数を示す情報を付加する重ね回数情報付加部をさらに備え、前記重ね回数判定部は、前記音源データに付加された重ね回数を示す情報に基づいて重ね録音の重ね回数を判定するようにしてもよい。
【0013】
また、設定された入力レベルに従って前記入力音声信号の入力レベルを調整する入力レベル調整部をさらに備え、前記レベル設定部は、判定された重ね回数が多いほど、入力レベルが小さくなるように、前記入力レベル調整部における入力レベルを設定することができる。
【0014】
このとき、前記レベル設定部は、元の信号レベルに対する比率で前記再生レベルおよび前記入力レベルを設定し、重ね回数がK+1回目の場合、K+1回目までの再生レベルの積と、K+1回目の入力レベルとが等しくなるように、前記再生レベルおよび前記入力レベルを設定することができる。
【0015】
また、前記入力音声信号が基準値を超えないように入力レベルを調整する自動レベル調整部をさらに備え、前記レベル設定部は、判定された重ね回数が多いほど小さくなるように、前記自動レベル調整部における基準値を設定するようにしてもよい。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である録音装置における重ね録音方法は、設定された再生レベルに従って音源データを再生する再生ステップと、入力音声信号と前記再生処理部が出力する再生音声信号とを重ね合わせた信号に基づいた録音データを生成し、生成した録音データを記録媒体に記録させる録音ステップと、重ね録音の重ね回数を判定する重ね回数判定ステップと、判定された重ね回数が多いほど、再生レベルが大きくなるように、前記再生ステップにおける再生レベルを設定するレベル設定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の第3の態様であるコンピュータプログラムは、設定された再生レベルに従って音源データを再生する再生処理部と、入力音声信号と前記再生処理部が出力する再生音声信号とを重ね合わせた信号に基づいた録音データを生成し、生成した録音データを記録媒体に記録させる録音処理部と、重ね録音の重ね回数を判定する重ね回数判定部と、判定された重ね回数が多いほど、再生レベルが大きくなるように、前記再生処理部における再生レベルを設定するレベル設定部として、情報処理装置を機能させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、入力音声と再生音声とを重ねて記録する重ね録音において、再生レベルを適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る重ね録音装置の構成を示すブロック図である。
【図2】再生レベル設定部における再生レベルの設定処理について説明する図である。
【図3】第1実施形態における重ね録音装置の重ね録音動作について説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係る重ね録音装置の構成を示すブロック図である。
【図5】入力・再生レベル設定部における入力レベルおよび再生レベルの設定処理について説明する図である。
【図6】第1実施形態における重ね録音装置の重ね録音動作について説明するフローチャートである。
【図7】入力レベル調整部に代え、ALCを用いた場合の構成を示すブロック図である。
【図8】マルチトラックレコーダおよび従来の重ね録音装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る重ね録音装置の構成を示すブロック図である。本図に示すように、重ね録音装置10は、音声入力部110、入力レベル設定部120、入力レベル調整部130、再生処理部140、重ね回数判定部150、再生レベル設定部160、録音処理部170、重ね回数情報付加部180、記録媒体190を備えている。
【0021】
重ね録音装置10は、ICレコーダ等の専用装置として構成したり、CPU、メモリ、入出力インタフェース、デコーダ/エンコーダ、表示装置、操作キー、電源等を備えた情報処理装置を用いて構成することができる。この場合、CPUがメモリに記録されたプログラムを実行することで、第1実施形態および第2実施形態で説明する種々の処理の制御を行なう。
【0022】
記録媒体190は、重ね録音ファイル192と再生音源ファイル191とを格納するための記憶領域である。再生音源ファイル191は、重ね録音に用いる音源ファイルであり、再生音源ファイル191に基づいて再生される音声に、入力音声を重ねた音声が、重ね録音ファイル192として記録される。記録媒体190は、重ね録音装置10内蔵の固定式としてもよいし、メモリカードのように着脱可能としてもよい。また、重ね録音ファイル192および再生音源ファイル191の音源のフォーマットは任意の形式を用いることができ、例えば、リニアPCM等の非圧縮形式、mp3等の圧縮形式を用いることができる。また、アナログ音声データとしてもよい。
【0023】
音声入力部110は、新規に録音する音声を入力するブロックであり、本実施形態では、マイクロフォン111と、マイクロフォン111が出力する音声信号を適正なレンジに増幅するマイクロフォンアンプ112とを備えて構成される。音声入力部110は、重ね録音装置10に内蔵してもよいし、外部装置を接続して音声入力部110を構成するようにしてもよい。
【0024】
入力レベル調整部130は、可変アッテネータ等を用いて構成することができ、入力レベル設定部120の設定に従って、音声入力部110から入力された音声信号を減衰して出力する。
【0025】
本実施形態では、入力レベル調整部130が減衰して出力する信号のレベルを、入力レベル調整部130に入力される信号のレベルを基準に表わすものとする。具体的には、入力レベル調整部130が出力する信号のレベルを、入力レベル調整部130に入力される信号のレベルを100%(=1)とした割合(入出力比)で表わすようにする。したがって、例えば、入力レベルとして入力レベル調整部130における入出力比が70%に設定されると、元の信号レベルが70%に減衰することになり、入力レベルとして入力レベル調整部130における入出力比が50%に設定されると、元の信号レベルが50%に減衰することになる。ただし、入力レベル調整部130が減衰して出力する信号のレベルの表し方は入力レベル調整部130における入出力比に限られず、減衰率、減衰量、その他の指標を用いるようにしてもよい。
【0026】
入力レベル設定部120は、入力レベル、すなわち入力レベル調整部130の入出力比を設定する。第1実施形態では、ユーザの操作により入力レベルが設定されるものとする。すなわち、ユーザは重ね録音に際し、入力する音声が適正なレンジで録音されるように入力レベルを調整することができる。
【0027】
ユーザによる入力レベルの設定は、例えば、不図示の表示装置に表示される入力レベル値とレベルメータとを参照して、カーソルボタンを操作することで入力レベル値を上下させるようにする。一般に、入力する音声が大きいほど入力レベルを小さく設定し、入力する音声が小さいほど入力レベルを大きく設定し、入力音声がオーバーフローしない範囲で、なるべく大きなレベルで録音できるようにする。なお、重ね録音装置10に、自動レベルコントローラ(ALC)機能を備えさせ、ユーザの選択により、自動的に入力ベルを調整するようにしてもよい。この場合、入力音声の最大音量が、オーバーフローレベルを超えないように入力レベルを自動調整する。
【0028】
再生処理部140は、再生音源ファイル191を音声信号へと再生する。この再生音声信号は、録音処理部170に出力されるとともに、イヤフォン等から音声出力することができ、ユーザは再生音を聴きながら重ね合わせる音声を入力することができるようになっている。
【0029】
また、再生処理部140は、再生レベル調整部141を備えている。再生レベル調整部141は、可変アッテネータ、デジタル音声処理装置等を用いて構成することができ、再生レベル設定部160の設定に従って、再生処理部140が再生音源ファイル191に基づいて再生する音声信号を、減衰して出力する。
【0030】
本実施形態では、再生レベル調整部141が減衰して出力する信号のレベルを、再生音源ファイル191に記録された信号のレベルを基準に表わすものとする.具体的には、再生音源ファイル191に記録された信号のレベルを100%(=1)とした割合(入出力比)で表わすようにする。したがって、例えば、再生レベルとして再生レベル調整部141における入出力比が70%に設定されると、元の信号レベルが70%に減衰することになり、再生レベルとして再生レベル調整部141における入出力比が50%に設定されると、元の信号レベルが50%に減衰することになる。ただし、再生レベル調整部141が減衰して出力する信号のレベルの表し方は再生レベル調整部141における入出力比に限られず、減衰率、減衰量、その他の指標を用いるようにしてもよい。
【0031】
再生レベル設定部160は、再生レベル、すなわち再生レベル調整部141の入出力比を設定する。第1実施形態では、重ね合わせ録音における重ね合わせ回数に応じて、適切な再生レベル値を再生レベル設定部160が自動設定する。このように、本実施形態では、重ね合わせ回数に応じて再生レベルを変化させるようにする。再生レベル設定部160の再生レベル設定の詳細について後述する。なお、再生レベル設定部160が再生レベルを自動設定した後に、ユーザによる再生レベル調整を受け付け可能としてもよい。
【0032】
なお、入力レベル設定部120と再生レベル設定部160とは、別個のブロックとせずに、1つのブロックで入力レベル設定と再生レベル設定とを行なうようにしてもよい。
【0033】
録音処理部170は、加算器等によって構成された音声合成部171を備えており、入力レベル調整部130によってレベル調整された入力音声信号と、再生レベル調整部141によってレベル調整された再生音声信号とを重ね合わせて(加算して)出力し、重ね録音ファイル192を生成する。つまり、録音処理部170は、重ね合わせた信号に基づいた録音データを生成し、重ね録音ファイル192として記録媒体190に記憶させる。
【0034】
なお、入力レベル調整部130、再生レベル調整部141、音声合成部171等における各処理は、デジタル音声信号、アナログ音声信号のいずれを用いてもよい。ここでは、音声入力部110からのアナログ音声信号を入力レベル調整部130でレベル調整した後、録音処理部170でデジタル変換して、デジタル音声信号のまま再生レベル調整部141でレベル調整されたデジタル再生信号と、音声合成部171で合成するものとする。
【0035】
重ね回数情報付加部180は、録音処理部170が生成する重ね録音ファイル192に重ね回数を示す情報を付加する。重ね回数は、重ね録音に用いる再生音源ファイル191の重ね回数に1を加えた回数である。
【0036】
重ね回数を示す情報は、例えば、重ね録音ファイル192に重ね回数を含んだファイル名を付すことで付加することができる。あるいは、重ね回数をタグ情報として重ね録音ファイル192に記録するようにしてもよい。
【0037】
重ね回数判定部150は、再生音源ファイル191に付加された重ね回数を示す情報に基づいて、重ね回数を判定する。重ね録音の際には、重ね回数は、上述のように再生音源ファイル191に付加された重ね回数に1を加えた回数となる。また、再生音源ファイル191に重ね回数を示す情報が含まれていない場合には、その重ね録音が、1回目の重ね回数と判定する。判定した重ね回数は、再生レベル設定部160に出力する。再生レベル設定部160は、重ね回数に基づいて再生音源ファイル191の再生レベル、すなわち再生レベル調整部141における入出力比を設定する。
【0038】
ここで、第1実施形態における、再生レベル設定部160が行なう再生レベルの設定処理の詳細について図2を参照して説明する。本例では、「元音声0」に対して、4回の重ね録音を行なうものとする。簡単のため、入力音量は、各回ともほぼ一定であり、「元音声0」と同程度であるとする。そして、ユーザによる入力レベルの設定も一定であるものとする。一般に、同じ音量の声部を重ねて録音していく場合は、入力レベルは変化させないからである。
【0039】
まず、再生音声と入力音声とを同じ割合で重ねるようにするために、再生レベルの設定として再生レベル調整部141における入出力比を50%で固定した場合を考える。入力レベルも入力レベル調整部130における入出力比を50%で固定とする。すなわち、再生レベル調整部141は、再生音源ファイル191に基づく音声信号のレベルを50%に減衰して出力し、入力レベル調整部130は、音声入力部110から入力された音声信号のレベルを50%に減衰して出力することになる。
【0040】
この結果、図2(a)に示すように、1回目の重ね録音では、「元音声0」と「新規録音1(音声1)」とが、録音結果に対して同じ割合で録音されることになる。このため、「元音声0」と「音声1」とは同じ音量となる。
【0041】
しかしながら、2回目の重ね録音では、1回目の重ね録音結果に対して「新規録音2(音声2)」を重ねて録音するため、「新規録音2(音声2)」は、録音結果に対して50%の割合で録音されるのに対し、「元音声0」と「音声1」とは、それぞれ1/4(=25%:以下では、必要に応じてパーセントと分数の簡易な方で記載する)の割合となる。このため、「音声2」に対して「元音声0」と「音声1」とは小さい音量となる。
【0042】
さらに、3回目の重ね録音では、「新規録音3(音声3)」は、録音結果に対して50%の割合で録音されるのに対し、「音声2」は、1/4の割合となり、「元音声0」と「音声1」とは1/8の割合まで小さく録音される。このため、「音声3」に対して「音声2」は小さい音量となり、「元音声0」と「音声1」とはさらに小さい音量となる。
【0043】
4回目の重ね録音についても同様であり、重ね回数が増えるにつれて前に録音された音声ほど小さくなっていき、声部間の音量バランスが悪くなってしまう。この結果、1回の重ね録音につき1つの楽器の演奏を録音していく場合等において、各楽器間の音量バランスに歪みが生じることになる。
【0044】
そこで、第1実施形態の再生レベル設定部160は、図2(b)に示すように、重ね回数が増えるほど、再生レベルが大きくなるように、すなわち、再生レベル調整部141における入出力比を大きくして、減衰させる量が少なくなるように設定する。この結果、図2(c)に示すように、入力レベルが変化しない場合であっても、前に録音した音声の録音結果に対する割合を相対的に大きくすることができる。このため、重ね回数が増えるにつれて声部間の音量バランスが悪くなることを防ぐことができる。なお、重ね回数が増えるにつれて再生レベルが大きくなるため、入力レベルが変化しない場合、録音結果全体としての音量は増加していくことになる。
【0045】
また、ユーザによって入力レベルが変更された場合にも、重ね回数が増えるほど、再生レベルが大きく設定されるため、前に録音した音声が小さくなり過ぎることを防ぐことができ、重ね回数が増えるにつれて声部間の音量バランスが悪くなることを防ぐことができる。
【0046】
重ね回数に応じて再生レベル調整部141における入出力比をどの程度大きくするかは、重ね録音装置10のダイナミックレンジ等の特性、使用目的等に応じて柔軟に定めることができる。再生レベル調整部141における入出力比は無限に大きくすることはできないので、ある重ね回数を超えると固定値になるようにしてもよい。
【0047】
次に、第1実施形態における重ね録音装置10の重ね録音動作について図3のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
重ね録音動作開始に際して、重ね録音装置10は、重ね録音に用いる再生音源ファイル191を特定する(S101)。再生音源ファイルの特定は、例えば、記録媒体190に記録されている音源ファイルの中から、ユーザの選択を受け付けることによって行なうことができる。
【0049】
そして、選択された再生音源ファイルに付加されている重ね回数情報を参照して、重ね回数判定部150が、今回の重ね録音における重ね回数を判定する(S102)。上述のように、今回の重ね録音における重ね回数は、再生音源ファイル191に付加されている重ね回数情報が示す重ね回数に1を加えたものである。
【0050】
重ね回数を判定すると、重ね回数に基づいて再生レベルを設定する(S103)。再生レベルは、再生レベル設定部160によって、重ね回数が多いほど、再生レベル調整部141における入出力比が大きくなるように設定される。この際に、再生レベル設定部160は、あらかじめ定められた関係式に従って入出力比を設定するようにしてもよいし、事前に作成したテーブルに従って入出力比を設定するようにしてもよい。
【0051】
また、ユーザからは入力レベルの設定を受け付ける(S104)。入力レベルの設定は、重ね録音中を含め、任意のタイミングで受け付けることができ、リアルタイムに入力レベル値に反映することができる。また、ALC機能を備えている場合は、入力音声がオーバーフローしないように入力レベルを自動的に設定するようにしてもよい。この場合、ユーザは、入力レベルの自動設定、手動設定を選択できることになる。
【0052】
再生レベル設定部160によって再生レベルが設定されると、再生・録音を開始する(S105)。再生音声は、イヤフォン等に出力され、音声入力を行なうユーザが聴くことができる。また、録音処理部170は、重ね録音ファイル192を新規作成する(S106)。この際に、重ね回数情報付加部180が、重ね録音ファイル192に重ね回数情報を付加する。
【0053】
その後は、重ね録音の終了指示をユーザから受け付けるまで(S109:Yes)、音声入力部110を介した音声入力(S107)を行ない、録音処理部170による、入力音声と再生音声との合成処理および合成音声の重ね録音ファイル192への記録(S108)を繰り返す(S109:No)。
【0054】
この際に、入力音声に対しては、ユーザによって設定された入力レベルに従って入力レベル調整部130がレベル調整を行ない、再生音声に対しては、再生レベル設定部160によって設定された再生レベルに従った入出力比で再生レベル調整部141がレベル調整を行なう。
【0055】
以上説明したように、第1実施形態によれば、重ね回数が増えるほど、再生レベルが大きくなるように設定するため、重ね回数が増えるにつれて声部間の音量バランスが悪くなることを防ぐことができる。したがって、再生レベルが適切に設定された重ね録音を行なうことができる。なお、本実施形態においては、再生レベル設定部160が、重ね回数が多いほど入出力比が大きくなるように、再生レベル調整部141における入出力比を設定している。これによって、重ね回数が増えるほど、再生レベルが大きくなるように設定されることとなる。
【0056】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る重ね録音装置の構成を示すブロック図である。第1実施形態と同じブロックについては同じ符号を付して、説明を簡略化する。また、第2実施形態においても、再生レベルの調整は、再生レベル調整部141における入出力比を変更することで行ない、入力レベルの調整は、入力レベル調整部130における入出力比を変更することで行なうものとする。
【0057】
本図に示すように、重ね録音装置10aは、音声入力部110、入力レベル調整部130、再生処理部140、重ね回数判定部150、録音処理部170、重ね回数情報付加部180、記録媒体190、入力・再生レベル設定部200を備えている。
【0058】
第2実施形態に係る重ね録音装置10aの、第1実施形態に係る重ね録音装置10との相違点は、入力レベル設定部120、再生レベル設定部160に代え、入力・再生レベル設定部200を備えている点である。すなわち、第2実施形態に係る重ね録音装置10aは、重ね回数に応じて、再生レベルのみならず入力レベルの設定も行なう。ただし、再生レベル、入力レベルの設定を行なった後、ユーザからレベル値の変更を受け付け可能なようにしてもよい。また、入力・再生レベル設定部200を、入力レベルを設定するブロックと再生レベルを設定するブロックとに分割してもよい。
【0059】
第2実施形態における、入力・再生レベル設定部200が行なう再生レベルと入力レベルの設定処理、すなわち再生レベル調整部141における入出力比と入力レベル調整部130における入出力比の設定処理について図5を参照して説明する。本例でも「元音声0」に対して、4回の重ね録音を行なうものとし、入力音声の音量が毎回ほぼ同じであり、「元音声0」と同程度であると仮定する。
【0060】
また、適正レベルの再生音声と適正レベルの入力音声との合成音声がオーバーフローしてしまうことを確実に避けるために、再生レベルと入力レベルに対応する入出力比の合計値が100%(=1)となるように設定するものとする。
【0061】
再生音声信号、入力音声信号ともオーバーフロー限界までの音量となっている場合は、再生レベルと入力レベルに対応する入出力比の合計値を100%超とすると、重ね合わせ加算によりオーバーフローが生じることとなるが、実際は、入力音声信号と再生音声信号とが同時にオーバーフロー限界までの音量となることはまれである。このため、再生レベルと入力レベルに対応する入出力比の合計値を100%超としても加算後の信号レベルがオーバーフローしないことが多いと考えられるが、理解を容易にするため、まず、再生レベルと入力レベルに対応する入出力比の合計値が100%となるように設定する場合を例にして説明する。
【0062】
ここでは、重ね録音の結果、各声部がほぼ同じ音量バランスで録音されている状態を理想と考える。このような状態を実現するためには、図5(a)に示すように、入力・再生レベル設定部200は、1回目の重ね録音結果では、「元音声0」と「新規録音1(音声1)」とがそれぞれ1/2の割合となるように再生レベルと入力レベルとを設定すればよい。すなわち、再生レベル、入力レベルとも入出力比を50%に設定する。
【0063】
2回目の重ね録音結果では、「元音声0」と「音声1」と「新規録音2(音声2)」とがそれぞれ1/3の割合となるように再生レベルと入力レベルとを設定すればよい。すなわち、入力・再生レベル設定部200は、再生レベル調整部141における入出力比を2/3(=66%)に設定し、入力レベル調整部130における入出力比を1/3(=33%)に設定する。
【0064】
さらに、3回目の重ね録音結果では、「元音声0」と「音声1」と「音声2」と「新規録音3(音声3)」とがそれぞれ1/4の割合となるように再生レベルと入力レベルとに対応する入出力比を設定し、4回目の重ね録音結果では、「元音声0」と「音声1」と「音声2」と「音声3」と「新規録音4」とがそれぞれ1/5の割合となるように再生レベルと入力レベルとに対応する入出力比を設定すればよい。
【0065】
このようなレベル設定を行なうため、入力・再生レベル設定部200は、図5(b)に示すような入出力比となるように再生レベルと入力レベルとを設定する。すなわち、1回目の重ね録音では再生レベル、入力レベルとも元信号が50%(=1/2)に減衰するようにし、以降は、重ね回数が増えるにつれて、再生レベルが大きくなるように、入力レベルが小さくなるように、再生レベル調整部141における入出力比と入力レベル調整部130における入出力比とを設定する。
【0066】
ここでは、再生レベルと入力レベルに対応する入出力比の合計値が100%(=1)となるように設定しているため、重ね回数が増えるにつれて、再生レベルは、再生レベル調整部141における入出力比が、1/2、2/3、3/4、4/5と大きくなり、入力レベルは、入力レベル調整部130における入出力比が、1/2、1/3、1/4、1/5と小さくなるように設定しているが、必ずしも再生レベルと入力レベルに対応する入出力比の合計値が100%(=1)となる必要はない。
【0067】
入力・再生レベル設定部200は、再生レベルと入力レベルに対応する入出力比の合計値が100%(=1)よりも大きくなるように、入力レベル調整部130および再生レベル調整部141に対するレベル設定を行なってもよい。これは、上述のように、入力音声信号と再生音声信号とが同時にオーバーフロー限界までの音量となることはまれであり、再生レベルと入力レベルに対応する入出力比の合計値を100%超としても加算後の信号レベルはオーバーフローしないことが多いと考えられるからである。
【0068】
また、最大音量がダイナミックレンジの最大値に対して余裕がある場合には、オーバーフローを起こさない範囲で、再生レベルと入力レベルに対応する入出力比の合計値が100%超となるように設定することで、重ね録音結果のダイナミックレンジを拡大させることができる。
【0069】
ここでは、例えば、再生レベルと入力レベルに対応する入出力比の合計値が、100%(=1)に対して+3dB(=141.4%)となるように設定する場合を例にする。この場合は、図5(c)に示すような値を再生レベルと入力レベルに対応する入出力比に設定すればよい。この場合も、重ね回数が増えるにつれて、再生レベルが大きくなるように、入力レベルが小さくなるように設定される。
【0070】
さらに、再生レベルと入力レベルに対応する入出力比の合計値は、重ね回数毎に変化させるようにしてもよい。この場合は、図5(d)に示すように一般化することができる。ここでは、k+1回目(kは自然数)の重ね録音時の再生レベルに対応する入出力比をa、入力レベルに対応する入出力比をb、再生レベルに対応する入出力比と入力レベルに対応する入出力比の合計をAとしている。
【0071】
良好な音量バランスを得るためには、k+1回目までの再生レベルに対応する入出力比の積と、k+1回目の入力レベルに対応する入出力比とが等しくなればよいことから、[数1]が得られる。
【数1】

【0072】
また、再生レベルに対応する入出力比a、入力レベルに対応する入出力比b、合計Aは、[数2]の関係を満たす。
【数2】

【0073】
以上から、再生レベルに対応する入出力比a、入力レベルに対応する入出力比bは、[数3]で求めることができる。
【数3】

【0074】
[数3]を用いることで、重ね回数に応じて再生レベルと入力レベルに対応する入出力比の合計値を柔軟に設定することが可能となる。図5(c)に示した値は、再生レベルと入力レベルに対応する入出力比の合計値が毎回141.4%(=+3dB)となるように定め、[数3]から得ることができる。
【0075】
重ね回数に応じて合計値を変動させる場合には、例えば、重ね回数が少ないときは、オーバーフローを極力避けるために、入出力比の合計を100%(=1)付近とし、重ね回数が多くなったときは、入出力比の合計を大きくすることで、音量の低下を避けることができる。入力レベル、再生レベルに対応する入出力比の設定は、ユーザから合計値の入力を重ね録音毎に受け付けて毎回計算するようにしてもよいし、あらかじめテーブルを作成しておくようにしてもよい。
【0076】
次に、第2実施形態における重ね録音装置10aの重ね録音動作について図6のフローチャートを参照して説明する。第2実施形態における重ね録音装置10と同じ動作については説明を簡略化する。
【0077】
重ね録音装置10aは、重ね録音に用いる再生音源ファイル191を特定する(S201)。そして、選択された再生音源ファイルに付加されている重ね回数情報を参照して、重ね回数判定部150が、今回の重ね録音における重ね回数を判定する(S202)。
【0078】
重ね回数を判定すると、重ね回数に基づいて再生レベルと入力レベルとを設定する(S203)。再生レベルと入力レベルは、入力・再生レベル設定部200によって、重ね回数が多いほど、再生レベルが大きくなるように、入力レベルが小さくなるように、すなわち再生レベル調整部141における入出力比が大きくなるように、入力レベル調整部120における入出力比が小さくなるように設定される。
【0079】
再生レベル、入力レベルとも、自動設定後にユーザによる変更を受け付けるようにしてもよい。これにより、入力音声の音量に対応したり、ユーザの楽曲制作意図に従った重ね録音を行なうことができるようになる。例えば、新規に録音する入力音声が、比較的大きい音量であれば、入力レベルを下げることで、他の声部との均整を保つことができる。また、新規に録音する入力音声が、ソロパートであれば、入力レベルを上げることで、ソロを際立たせることができる。このように、自動設定後にユーザによる変更を受け付けるようにした場合でも、先に入力レベル設定部120および再生レベル設定部160によって、重ね録音するのに適切なレベルに自動設定されているため、ユーザは容易に所望のレベルに変更することができる。
【0080】
入力・再生レベル設定部200によって入力レベルおよび再生レベルが設定されると、再生・録音を開始する(S204)。また、録音処理部170は、重ね録音ファイル192を新規作成する(S205)。この際に、重ね回数情報付加部180が、重ね録音ファイル192に重ね回数情報を付加する。
【0081】
その後は、重ね録音の終了指示をユーザから受け付けるまで(S208:Yes)、音声入力部110を介した音声入力(S206)を行ない、録音処理部170による、入力音声と再生音声との合成処理および合成音声の重ね録音ファイル192への記録(S207)を繰り返す(S208:No)。
【0082】
以上説明したように、第2実施形態によれば、重ね回数が増えるほど、再生レベルが大きくなるように、入力レベルが小さくなるように設定するため、重ね回数が増えるにつれて声部間の音量バランスが悪くなることを防ぐことができるのに加え、各声部の音量が均一化される。したがって、再生レベルが適切に設定された重ね録音を行なうことができる。
【0083】
なお、図7のブロック図に示すように、入力レベル調整部130に代え、ALC(オート・レベル・コントロール)部(自動レベル調整部)132を用いたり、ユーザの選択に従って入力レベル調整部130とALC部132とを切替えるようにしてもよい。
【0084】
ALC部132は、入力音声の最大音量が、ターゲットレベルと呼ばれる音量レベルを超えないように入力レベルを自動調整する。ターゲットレベルは、通常、オーバーフローレベルよりも少し小さい値が設定されるが、本実施形態のALC部132は、入力・再生レベル設定部200が設定する入力レベルに連動したターゲットレベルでオード・レベル・コントロールを行なう。
【0085】
すなわち、図5(b)に示す入力レベルを例にすると、ALC部132は、1回目の重ね録音では、通常のターゲットレベルの1/2をターゲットレベルとして設定し、2回目の重ね録音では、通常のターゲットレベルの1/3をターゲットレベルとして設定し、3回目の重ね録音では、通常のターゲットレベルの1/4をターゲットレベルとして設定して、オート・レベル・コントロールを行なう。以降の回数についても同様である。
【0086】
このように、重ね回数が増えるほど、ターゲットレベルが小さくなるように設定することで、再生レベルを適切に設定できるのに加え、入力音声が再生音声に比べて大きくなり過ぎることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0087】
10…重ね録音装置
10a…重ね録音装置
110…音声入力部
111…マイクロフォン
112…マイクロフォンアンプ
120…入力レベル設定部
130…入力レベル調整部
132…ALC部
140…再生処理部
141…再生レベル調整部
150…重ね回数判定部
160…再生レベル設定部
170…録音処理部
171…音声合成部
180…重ね回数情報付加部
190…記録媒体
191…再生音源ファイル
192…重ね録音ファイル
200…入力・再生レベル設定部
310…入力装置
320…再生音源ファイル
330…重ね録音ファイル
340…入力レベル設定部
350…再生レベル設定部
360…加算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された再生レベルに従って音源データを再生する再生処理部と、
入力音声信号と前記再生処理部が出力する再生音声信号とを重ね合わせた信号に基づいた録音データを生成し、生成した録音データを記録媒体に記録させる録音処理部と、
重ね録音の重ね回数を判定する重ね回数判定部と、
判定された重ね回数が多いほど、再生レベルが大きくなるように、前記再生処理部における再生レベルを設定するレベル設定部と、
を備えたことを特徴とする重ね録音装置。
【請求項2】
前記録音処理部によって生成された前記録音データに対して、重ね回数を示す情報を付加する重ね回数情報付加部をさらに備え、
前記重ね回数判定部は、前記音源データに付加された重ね回数を示す情報に基づいて重ね録音の重ね回数を判定することを特徴とする請求項1に記載の重ね録音装置。
【請求項3】
設定された入力レベルに従って前記入力音声信号の入力レベルを調整する入力レベル調整部をさらに備え、
前記レベル設定部は、判定された重ね回数が多いほど、入力レベルが小さくなるように、前記入力レベル調整部における入力レベルを設定することを特徴とする請求項1または2に記載の重ね録音装置。
【請求項4】
前記レベル設定部は、
元の信号レベルに対する比率で前記再生レベルおよび前記入力レベルを設定し、
重ね回数がK+1回目の場合、K+1回目までの再生レベルの積と、K+1回目の入力レベルとが等しくなるように、前記再生レベルおよび前記入力レベルを設定することを特徴とする請求項3に記載の重ね録音装置。
【請求項5】
前記入力音声信号が基準値を超えないように入力レベルを調整する自動レベル調整部をさらに備え、
前記レベル設定部は、判定された重ね回数が多いほど小さくなるように、前記自動レベル調整部における基準値を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の重ね録音装置。
【請求項6】
設定された再生レベルに従って音源データを再生する再生ステップと、
入力音声信号と前記再生処理部が出力する再生音声信号とを重ね合わせた信号に基づいた録音データを生成し、生成した録音データを記録媒体に記録させる録音ステップと、
重ね録音の重ね回数を判定する重ね回数判定ステップと、
判定された重ね回数が多いほど、再生レベルが大きくなるように、前記再生ステップにおける再生レベルを設定するレベル設定ステップと、
を含むことを特徴とする録音装置における重ね録音方法。
【請求項7】
設定された再生レベルに従って音源データを再生する再生処理部と、
入力音声信号と前記再生処理部が出力する再生音声信号とを重ね合わせた信号に基づいた録音データを生成し、生成した録音データを記録媒体に記録させる録音処理部と、
重ね録音の重ね回数を判定する重ね回数判定部と、
判定された重ね回数が多いほど、再生レベルが大きくなるように、前記再生処理部における再生レベルを設定するレベル設定部として、情報処理装置を機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−48089(P2012−48089A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191724(P2010−191724)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)