説明

重力式搬送装置

【課題】製作及びメンテナンス性の良い重力式搬送装置を提供する。
【解決手段】各筒体ユニット2は、滑落傾斜板4が、円筒体3の中心軸線に対して傾斜状であって、平面視で1つの円筒体3の内径を通る半円であり、且つ滑落傾斜板4の外周辺が1つの円筒体3の内周壁に連接するように、円筒体3と一体的に形成されている。また、滑落傾斜板4における下部には、円筒体3の中心軸線に沿って下向きに延び垂直線状の縦縁と、円筒体3の中心軸線Oから当該円筒体3の内周壁に向かって延びる半径方向の下端縁5bとを有するスカート部5が一体的に形成されている。複数の筒体ユニット2を、平面視で、上段側の円筒体3内の滑落傾斜板4の下端部が下段側円筒体3内の滑落傾斜板4の上端部の直上に位置するように、上下に連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状に形成された錠剤、ドッグフード、漁業用飼料などの粉粒体を重力のみの作用により上部の供給部から落下搬送路を介して下部の収納部などに搬送するための重力式搬送装置の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の粉粒体を重力の作用のみで落下搬送路を通して収納袋などの収納部に導く重力式搬送装置の従来技術として、例えば、特許文献1では、上方に粉粒体を貯留する貯留部を設置し、該貯留部から粉粒体を落下させて前記貯留部の下方に配置された収納袋内に粉粒体を投入する投入装置において、前記貯留部と前記収納袋との間に設置された円筒状の落下通路の軸心に沿って中心軸(円筒軸)を配置し、該中心軸の外周に、所定の捩じり角を有する複数の邪魔板をらせん状に設け、該邪魔板の下側端部の直下に次の(下段の)邪魔板の上端部が位置するように配置するものが開示されている。
【0003】
そして、上段の邪魔板の下側端部と下段の邪魔板の上端部との間には、所定の間隔が空くように設けられている。なお、中心軸(円筒軸)を非回転とする。これにより、上段の邪魔板上を滑落してきた粉粒体は、その邪魔板の下端から落下すると、すぐその下の(下側に隣接する)下段の邪魔板の上部に落下する(受けられる)。
【0004】
その場合、所定の捩じり角を邪魔板に与えることにより、粉粒体の投入速度を極力低下させず、且つ落下速度を減速させて、粉粒体の割れ(破砕)を防止するとしている。
【特許文献1】特開平11−222208号公報(図1及び図2等参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、円筒状の落下通路の軸心に沿った中心軸(円筒軸)の外周に邪魔板を固定するものであるから、中心軸の断面積分だけ落下通路の断面積、ひいては粉粒体の通過する面積が少なくなる。従って、粉粒体の単位時間当たりの投入許容量が少なくなる。この投入許容量を多くしようとすると、落下通路の直径を大きくしなければならず、装置をコンパクトにできないという問題があった。
【0006】
また、製作に際しては、中心軸に予め複数の邪魔板を取付けた後、この中心軸を落下通路の一方の端部から差し込むから、各邪魔板の外周縁と落下通路の内周壁との間に隙間ができる。従って、この隙間に粉粒体の屑(小片)が詰まり易くなり、この屑が邪魔板上を滑落する粉粒体の落下の抵抗となるので、粉粒体の円滑な落下作用の妨げとなっていた。
【0007】
さらに、粉粒体が、食品などの消費期限のあるものや腐敗する可能性のあるものでは、粉粒体の屑(小片)が上記隙間に残存したまま放置すると、不都合であるから、毎日の終業時に落下通路内の清掃を完全に実行しなければならず、メンテナンスに手間が掛かるという問題があった。
【0008】
さらに、落下通路の長さを変更するときには、それに合わせて上記中心軸の長さを変更し、且つ邪魔板の取付け数も変更する必要があり、製作に手間が掛かり、コストも高くなるという問題があった。
【0009】
本発明は、これら従来の問題点を解決すべくなされたものであって、製作が容易であって、メンテナンスが簡単であり、且つ筒体の断面積を小さくしても粉粒体の投入許容量が減少しないようにした重力式搬送装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
前記目的を達成するため、本願の請求項1に記載の発明は、連結された複数の筒体ユニット内に粉粒体を落下させて搬送する重力式搬送装置であって、各筒体ユニットは、滑落傾斜板が、筒体の軸線に対して傾斜状であって、1つの筒体の内径平面視面積の一部のみを遮り、且つ前記1つの筒体の内周壁に連接するように、前記筒体と一体的に形成されてなり、前記複数の筒体ユニットを、上段側の筒体内の前記滑落傾斜板の下端部が下段側筒体内の前記滑落傾斜板の上端部の直上に位置するように、上下に連結したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の重力式搬送装置において、前記筒体は円筒体であり、前記各滑落傾斜板は、前記各円筒体内径の中心角度を複数に等分割した部位に形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の重力式搬送装置において、前記各滑落傾斜板における下部には、前記円筒体の中心軸線に沿ってまたはこの中心軸線と平行に沿って下向きに延びる垂直線状の縦縁と、この縦縁の下端から内周壁に向かって延びる半径方向の下端縁とを有するスカート部が一体的に形成されているものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の重力式搬送装置において、前記滑落傾斜板の上端が前記円筒体の上端面と同一平面上にあり、前記滑落傾斜板の下端縁及びスカート部の下端縁が前記円筒体の下端面と同一平面上にあるように形成されているものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の重力式搬送装置において、前記上段側円筒体における前記滑落傾斜板の上端が前記円筒体の上端面と同一平面上にあり、前記滑落傾斜板のスカート部の下端縁が下段側円筒体内の前記滑落傾斜板の表面に接近するように延長形成されているものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、連結された複数の筒体ユニット内に粉粒体を落下させて搬送する重力式搬送装置であって、各筒体ユニットは、滑落傾斜板が、筒体の軸線に対して傾斜状であって、1つの筒体の内径平面視面積の一部のみを遮り、且つ前記1つの筒体の内周壁に連接するように、前記筒体と一体的に形成されてなり、前記複数の筒体ユニットを、上段側の筒体内の前記滑落傾斜板の下端部が下段側筒体内の前記滑落傾斜板の上端部の直上に位置するように、上下に連結したものであるから、全く同一形状の筒体ユニットを平面視において互いに所定の中心角度だけ位相を違えて同心状に連結すると、上下に連結された筒体ユニットにおける滑落傾斜板の外周辺は実質上螺旋状に繋がることになる。そして、上段側の筒体ユニット内の滑落傾斜板の下端部が、下段側の筒体ユニット内の滑落傾斜板の上端部の直上に位置するように配置されているので、上段の筒体ユニットにおける滑落傾斜板の下端部では、下段の筒体ユニットにおける滑落傾斜板の上端部に確実に乗り移ることができる。このようにして、最下段の筒体ユニットにおける滑落傾斜板の下端部まで、粉粒体を搬送することができる。
【0016】
しかも、本発明によれば、同一形状の筒体ユニットを作成すれば良く、製作が容易である。また、筒体と滑落傾斜板とが一体的に形成されているので、滑落傾斜板の外周縁と筒体内壁の間に隙間がなく、且つ筒体ユニットごとに分解可能であるからメンテナンスが簡単である。さらに、筒体ユニットの中心部に中心軸体が存在しないから、粉粒体の投入許容量を同じくする場合に、筒体の断面積を小さくすることができ、装置をコンパクトにできるという効果を奏する。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、前記筒体は円筒体であり、前記各滑落傾斜板は、前記各円筒体内径の中心角度を複数に等分割した部位に形成されているものであり、粉粒体の性状や落下速度の調節に合わせて、複数種類の筒体ユニットを組み合わせて使用することもできる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、前記各滑落傾斜板における下部には、前記円筒体の中心軸線に沿ってまたはこの中心軸線と平行に沿って下向きに延びる垂直線状の縦縁と、この縦縁の下端から内周壁に向かって延びる半径方向の下端縁とを有するスカート部が一体的に形成されているものであるので、上段の滑落傾斜板から下段の滑落傾斜板に乗り移るときに、下段の滑落傾斜板の上面で跳ねた粉粒体がスカート部に当たって跳ね返されて元の滑落傾斜板上に戻ることができる。従って、円筒体の内径部のうち隣接する下段の滑落傾斜板が存在しない箇所に粉粒体が自由落下することによりその粉粒体が大きい衝撃を受けるという事態を防止できる結果、粉粒体が粉々に割れる等の不都合を効果的に阻止できる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、前記滑落傾斜板の上端が前記円筒体の上端面と同一平面上にあり、前記滑落傾斜板の下端縁及びスカート部の下端縁が前記円筒体の下端面と同一平面上にあるように形成されているものである。このように形成することにより、筒体ユニットにおける円筒体の上下端面からの突出する部分がなくなり、筒体ユニットの取り扱い、保管作業が容易となる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の重力式搬送装置において、前記上段側円筒体における前記滑落傾斜板の上端が前記円筒体の上端面と同一平面上にあり、前記滑落傾斜板のスカート部の下端縁が下段側円筒体内の前記滑落傾斜板の表面に接近するように延長形成されているものである。このような形状のスカート部を有することにより、上段の滑落傾斜板の下端部と下段の滑落傾斜板の上端部との間の隙間角度が鋭角ではなくなり、滑落中の粉粒体がその隙間に挟まって、詰まりが発生するという不都合が無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の良好な実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1(a)は本発明の重力式搬送装置1の第1実施形態の概略斜視図、図1(b)は上面図である。図2は第1実施形態における筒体ユニット2の平面図、図3(a)は図2のIIIa−IIIa線矢視断面図、図3(b)は図2の円筒体3の右半分を除去した状態の右側面図である。
【0022】
本発明の重力式搬送装置1は、筒体(第1実施形態では円筒体3)の内径部に滑落傾斜板4が一体的に備えられた筒体ユニット2の複数を、筒体(円筒体3)の軸線に沿って連結したものである。
【0023】
各筒体ユニット2は、1つの筒体(円筒体3)の内径部に1つの滑落傾斜板4が筒体3の中心軸線Oに対して傾斜状に配置され、且つ筒体(円筒体3)の内径平面視面積の一部のみを遮るものである。そして、滑落傾斜板4の外周縁が1つの円筒体3の内周壁3aに連接するように、滑落傾斜板4と円筒体3とが一体的に形成されている。第1実施形態では、滑落傾斜板4は円筒体3の内径部のうち、平面視で半円状に連接されている。
【0024】
より詳しくは、第1実施形態における滑落傾斜板4は半楕円形状である。即ち、半楕円の長径辺(図2及び図3(a)及び図3(b)で示す点Aから点Bを結ぶ直線)は、円筒体3(筒体ユニット2)の平面図では、当該円筒体3の直径を結ぶ直線と重なり、円筒体3の側面図では、当該円筒体3の内径部側で、その円筒体3の上端縁から円筒体3の中心軸線Oを斜めに横切り、円筒体3の下端縁に至る直線となる。他方、滑落傾斜板4が円筒体3の内周壁3aと接する部位(連接部位)では、ほぼ半楕円の曲線になる。従って、便宜上、円筒体3の上端の点Aから中心軸線Oを斜めに横切る滑落傾斜板4の直線部を長径辺4aと称し、円筒体3の内周壁3aと接する滑落傾斜板4の凸湾曲状辺部を外周辺4bと称する(図3(b)及び図4参照)。そして、図5に示すように、円筒体3の下端縁からの任意の高さ位置H1での滑落傾斜板4の表面(少なくとも上面4c)の中心軸線O側(長径辺4a)から円筒体3の内周壁3aと接する外周辺4bまでを結ぶ線は、円筒体3の中心軸線Oと直交する水平面と平行となる。さらに、滑落傾斜板4の外周辺4bの上面側では、円筒体3の内周壁3aとの連接部において、鋭角状の隅角部ができないように、適宜の半径の丸み部(アール部)6aにて接続することが好ましい。後述するように、滑落傾斜板4の上面に沿って滑落する粉粒体10が上記鋭角状の隅角部に挟まって、外れなくなり、後続する粉粒体10の滑落を妨げる原因となることを防止するためである。また、滑落傾斜板4の外周辺4bの下面側でも適宜の半径の丸み部(アール部)6bにて接続することが好ましい(図5参照)。
【0025】
また、滑落傾斜板4における下部には、中心軸線Oから点Bまでの長径辺4aの部分に連接され、円筒体3の中心軸線Oに沿って下向きに延び垂直線状の縦縁5aと、円筒体3の中心軸線Oから当該円筒体3の内周壁3aに向かって延びる半径方向の下端縁5bとを有するスカート部5が上記長径辺4aの下側に一体的に形成されている(図1(a)、図3(a)及び図3(b)参照)。
【0026】
そして、上下段の筒体ユニット2同士を連結することにより、落下搬送路を作るに際して、平面視において、上段側の円筒体3内の滑落傾斜板4の下端部が、下段側の円筒体3内の滑落傾斜板4の上端部の直上に位置するように、筒体ユニット2を複数上下に連結する(図1及び図2参照)。つまり、上述のように、全く同一状に形成された筒体ユニット2を平面視において互いに180だけ位相を違えて同心状に連結する。これにより、上下に連結された筒体ユニット2における滑落傾斜板4の外周辺4bは実質上螺旋状に繋がることになる。
【0027】
このようにして形成された重力式搬送装置1では、図1(a)及び図1(b)に示すように、上部の図示しない供給部または貯留部から、多数の粉粒体10を上端の筒体ユニット2内の滑落傾斜板4上に向かって投入する。すると、各粉粒体10は滑落傾斜板4の上面に沿って滑落する。その場合、円筒体3の中心線から円筒体3の内周壁3a方向(半径外方向)に向かって粉粒体10を投入することが好ましい。その場合には、大多数の粉粒体10は滑落傾斜板4の外周辺4b側に集まりながら、または内周壁3aに当たった粉粒体10は方向を変えながら滑落する。そして、上段側の円筒体3(筒体ユニット2)内の滑落傾斜板4の下端部が、下段側の円筒体3(筒体ユニット2)内の滑落傾斜板4の上端部の直上に位置するように配置されているので、上段の筒体ユニット2における滑落傾斜板4の下端部では、下段の筒体ユニット2における滑落傾斜板4の上端部に乗り移ることができる。このようにして、最下段の筒体ユニット2における滑落傾斜板4の下端部から、図示しない包装容器または包装袋等の集積部位に粉粒体10を搬送することができるのである。
【0028】
そして、各筒体ユニット2における滑落傾斜板4の下端側にスカート部5が存在するため、上段の滑落傾斜板4から下段の滑落傾斜板4に乗り移るときに、下段の滑落傾斜板4の上面で跳ねた粉粒体10がスカート部5に当たって跳ね返されて元の滑落傾斜板4上に戻ることができる。従って、円筒体3の内径部のうち隣接する下段の滑落傾斜板4が存在しない箇所に粉粒体10が自由落下し、その粉粒体10が大きい衝撃を受けるという事態を防止できる結果、粉粒体10が粉々に割れる等の不都合を効果的に阻止できる。
【0029】
特に、上下に連結された複数の筒体ユニット2の軸線(円筒体3の中心軸線O)が鉛直でなく、鉛直に対して10度程度以下に傾けた状態にて粉粒体10の滑落搬送作業を実行するときには、上述のスカート部5による作用効果は顕著に顕れる。
【0030】
なお、上下段の隣接する円筒体3同士を連結する手段として、図2、図3(a)及び図3(b)に示すように、各円筒体3の上下両端に、半径外方向に延びるフランジ部7を設け、各フランジ部7にその円周方向に沿って適宜間隔で取付け孔8を穿設し、図示しないボルトを取付け孔8に通してからナット(図示せず)にて締着すれば良い。
【0031】
連結手段の他の実施形態として、本出願人が先に出願した特願2007−94087号(2007年3月30日出願)に開示したように、各円筒体の両端部に円筒体の軸線方向に突出する突出する凸部と、同じく軸線方向に凹む凹部とが、円筒体の円周方向に沿って交互に形成されてなる噛み合い部を有し、前記凸部と凹部とが噛み合って両円筒体が軸線方向に合わさるように構成する。前記一方の円筒体の一端部には他方の円筒体の噛み合い部の内径部に嵌まる小径筒部を有する。そして、両円筒体における噛み合い部の各凸部側に円筒体の半径外方向に突出する係合突出片が設けられ、円筒体の外周に遊嵌する環状のスリーブには、その内径部に前記円筒体における係合突出片が軸線方向にのみ通過し得る挿入溝を備えると共に、スリーブは両円筒体の端部どうしの接合時に前記噛み合い部における両係合突出片の間に配置可能な幅寸法を有する。さらに、スリーブの半径方向の少なくとも一端面まりは両端面には、前記噛み合い部の各係合突出片における相対向する半径方向端面を円筒体の軸線方向に押圧する押圧突出部が設けられたものがある。
【0032】
別の実施形態として、上記同じ出願に開示したように、上記と同じ噛み合い部と小径部とを有する一方、両円筒体の噛み合い部の各凹部には、円筒体の半径外方向に突出する係合突出片が設けられる。そして、円筒体の外周に遊嵌するスリーブ筒はその両端における端小径筒部に、円筒体の係合突出片がスリーブ筒の軸線方向にのみ通過可能な挿入溝を備え、スリーブ筒の内径部には、前記挿入溝を通過した位置にて係合突出片が円周方向に異動可能となる円周溝を備える。さらに、スリーブ筒における少なくとも一方の端小径筒部の内壁には、前記噛み合い部の各係合突出片における半径方向端面のうち互いに反対向きの部位を円筒体の軸線方向に押圧する押圧突出部が形成されているものがある。
【0033】
筒体ユニット2の第2実施形態の基本形態は、円筒体3及び滑落傾斜板14を含めて第1実施形態と同じであるが、この滑落傾斜板14の形状が相違する。即ち、1つの円筒体3の内径部に1つの滑落傾斜板14が筒体3の中心軸線Oに対して傾斜上に配置され、且つ円筒体3の内径平面視面積の一部のみを遮るものである。そして、滑落傾斜板14の外周縁が1つの円筒体3の内周壁3aに連接するように、滑落傾斜板14と円筒体3とが一体的に形成されている。第2実施形態でも滑落傾斜板14は円筒体3の内径部のうち、平面視で半円状に連接されている。
【0034】
そして、第2実施形態における滑落傾斜板14も実質上、半楕円形状である。即ち、半楕円の長径辺(図6〜図9、図10で示す点Aから点Bを結ぶ直線)は、円筒体3(筒体ユニット2)の平面図では、当該円筒体3の直径を結ぶ直線と重なり、円筒体3の内径部側で、その円筒体3の上端縁から円筒体3の中心軸線Oを斜めに横切り、円筒体3の下端縁に至る直線となる。このうち円筒体3の上端部の点Aから中心軸線Oを通り点Bまでの滑落傾斜板14の直線部を長径辺14aと言う。
【0035】
他方、滑落傾斜板14が円筒体3の内周壁3aと接する部位(連接部位)は、ほぼ半楕円等の曲線となる凸湾曲状辺部であって、これを、外周辺14bと称する。そして、第2実施形態における滑落傾斜板14の表面(少なくとも上面14c)は、外周辺14bから円筒体3の中心軸線O方向(半径内方向)に向けて斜め下向きの傾斜面となるように形成されている(図10参照)。換言すると、図8に示すように、滑落傾斜板14の長径辺14aのうち円筒体3の下端からの任意の高さH2における一点Cから法線方向に延びる線が外周辺14bと交差する点Dの高さH3は、上記H2よりも大きくなるように形成されているのである。このような半径内方向への傾斜角度は、滑落傾斜板14の上端側ではほぼ0度であるが、下端側に行く程傾斜角度を大きくすることが好ましい。
【0036】
従って、例えば、図10において、上面14cから滑落する粉粒体10は、スカート部15の下端縁15bから離れるように(半径内方向に向かって)斜め下に落ちるので、下段の滑落傾斜板14の上部表面にて粉粒体10を受けやすいという効果を奏することができる。
【0037】
また、滑落傾斜板14における下部(中心軸線Oから下端点Bまでの間)には、円筒体3の中心軸線Oに沿って下向きに延び垂直線状の縦縁15aと、円筒体3の中心軸線Oから当該円筒体3の内周壁3aに向かって延びる半径方向の下端縁15bとを有するスカート部15が上記長径辺14aの下側に連設されて一体的に形成されている(図6〜図11図3(a)及び図3(b)参照)。なお、図6〜図9では、スカート部15の領域にハッチングを施して明確にした。
【0038】
また、滑落傾斜板14の上面14cとスカート部15の上端部とは、滑らかな凸湾曲面にて連接されている(図10参照)。
【0039】
さらに、滑落傾斜板14の外周辺4bの上面14c側では、円筒体3の内周壁3aとの連接部において、鋭角状の隅角部ができないように、適宜の半径の丸み部(アール部)6aにて接続することが好ましい。
【0040】
第2の実施形態も、第1実施形態と同様に、複数の筒体ユニット2を上下に連結する場合、平面視において、上段側の円筒体3内の滑落傾斜板14の下端部が、下段側の円筒体3内の滑落傾斜板14の上端部の直上に位置するように、筒体ユニット2を複数上下に連結する(図11及び図12参照)。つまり、上述のように、全く同一状に形成された筒体ユニット2を平面視において互いに180度だけ位相を違えて同心状に連結することで、第1実施形態と同様に、上部の図示しない供給部または貯留部から、多数の粉粒体10を上端の筒体ユニット2内の滑落傾斜板14上に向かって投入する。すると、各粉粒体10は滑落傾斜板14の上面14cに沿って滑落する。そして、上段側の円筒体3(筒体ユニット2)内の滑落傾斜板14の下端部が、下段側の円筒体3(筒体ユニット2)内の滑落傾斜板14の上端部の直上に位置するように配置されているので、上段の筒体ユニット2における滑落傾斜板14の下端部では、下段の筒体ユニット2における滑落傾斜板14の上端部に乗り移ることができる。このようにして、最下段の筒体ユニット2における滑落傾斜板14の下端部から、図示しない包装容器または包装袋等の集積部位に粉粒体10を搬送することができるのである。スカート部15の作用も第1実施形態と同様である。
【0041】
スカート部5(15)の変形例として、滑落傾斜板4(14)のスカート部の下端縁が下段側の円筒体3内の滑落傾斜板4(14)の表面に接近するように延長形成されている。即ち、スカート部5(15)の縦縁5a(15a)の下部側が円筒体3の下端より下向きに突出し、この縦縁5a(15a)の下端から円筒体3の内周壁3aの下端のB点に接続するような下端縁5b(15b)が形成された延長部16を設けるのである(図6の二点鎖線参照)。このように構成すると、上段の筒体ユニット2における滑落傾斜板4(14)の下端部から落ちて乗り移る粉粒体10が下段の筒体ユニット2における滑落傾斜板4(14)の上端部にて跳ねた場合にも、この延長されたスカート部5(15)の表面(広巾面)に当たることで、下段の筒体ユニット2における滑落傾斜板4(14)の上面に沿う粉粒体10の円滑な滑落作用を保障することができる。また、このような形状のスカート部5(15)を有することにより、上段の滑落傾斜板4(14)の下端部と下段の滑落傾斜板4(14)の上端部との間の隙間角度が鋭角ではなくなり、滑落中の粉粒体10がその隙間に挟まって、詰まりが発生するという不都合が無くなる。
【0042】
なお、各筒体ユニット2の滑落傾斜板4(14)は、平面視半円状ばかりでなく、円筒体3の中心軸線O回りに平面視で均等に3分割したような形状であっても良い。その場合には、上段、中段及び下段の3つの筒体ユニット2を中心軸線O回りに120度ずつ滑落傾斜板の位相が変わるようにして順番に連結すれば良いことになる。即ち、上記3分割した筒体ユニット2では、3つ1組(1セット)で、滑落傾斜板4(14)の外周辺4bの螺旋は1周し、2分割した筒体ユニット2では、2つ1組(1セット)で、滑落傾斜板4(14)の外周辺4bの螺旋は1周することになるので、これら各セットごとの組合せにて上下に連結することができる。各円筒体3の中心軸線O方向の長さが一定の場合、上記3分割した時の滑落傾斜板4(14)のねじれ角(滑落傾斜板4(14)の外周辺4bの螺旋と、その上の1点を通る中心軸線Oに平行な直線とのなす角度)が2分割のものより小さくなるので、粉粒体10の滑落速度も遅くすることができる。
【0043】
さらに、他の実施形態としての滑落傾斜板の形状として、滑落傾斜板の長径辺(直線部)が円筒体の平面視において、その中心軸線を通る直線と平行状とする。そして、この長径辺から直交する線分(法線)方向の外周辺(凸湾曲状辺部)までの最大長さ(円筒体の内周壁までの最大長さ)が当該円筒体の半径より大きくなるように設定するものである。このときのスカート部の縦縁は中心軸線と平行であり、下端縁は円筒体の内周壁下端に向かうものである。このように、滑落傾斜板の長径辺が円筒体の直径と平行であって、この長径辺から法線方向の外周辺までの最大長さが当該円筒体の半径より大きくなるように設定すれば、上段、と下段の2つの筒体ユニット2を中心軸線O回りに180度ずつ滑落傾斜板の位相が変わるようにして連結すると、円筒体の平面視において、上段側の滑落傾斜板の長径辺と、下段側の滑落傾斜板の長径辺とが互いに円筒体の直径を挟んで適宜オーバーラップするので、上段側の滑落傾斜板の長径辺部分から落下した粉粒体は、必ずその隣接した下段側の滑落傾斜板にて受け止めることができ、粉粒体の自由落下距離を少なくすることができる。このような構成(実施形態)は、円筒体の内径部を3分割する滑落傾斜板であっても良い。
【0044】
本発明の筒体ユニット2を合成樹脂製にて射出成形すれば、金型が一種類で済み、製造コストも低減される。さらに装置の組み立て作業や、筒体ユニット2内部の清掃作業も至極簡単にできるという効果を奏することができる。
【0045】
さらに、各円筒体3の外面のうち上部側には、滑落傾斜板4(14)の上端(A点)に相当する箇所に目印(上マーク)を付し、同様に各円筒体3の外面の下部側に、滑落傾斜板4(14)の下端(B点)に相当する箇所に別の目印(下マーク)を付しておけば、上段の筒体ユニット2における下マークと下段の筒体ユニット2における上マークとの位置を合わせることで、上下の筒体ユニット2を中心軸線O回りに180度(120度)等の所定角度ずつ滑落傾斜板の位相が変わるようにして順番に連結する作業が至極簡単になるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)は第1実施形態の上下に連結した複数の筒体ユニットを粉粒体が滑落する状態を示す概略斜視図、(b)は同じく平面図である。
【図2】第1実施形態の筒体ユニットの平面図である。
【図3】(a)は図2のIIIa−IIIa線矢視断面図、(b)は図2の円筒体3の右半分を除去した状態の右側面図である。
【図4】第1実施形態の滑落傾斜板の形態を示す斜め上から見た斜視図である。
【図5】図3(a)のV−V線矢視一部切欠き拡大断面図である。
【図6】第2実施形態の滑落傾斜板を示す、円筒体の断面図である。
【図7】同じく滑落傾斜板の形態を示す斜め下から見た斜視図であり、円筒体を二点鎖線で示す図である。
【図8】同じく滑落傾斜板の形態を示す斜め上から見た斜視図であり、円筒体を二点鎖線で示す図である。
【図9】同じく滑落傾斜板の形態を示す別の方向の斜め上から見た斜視図であり、円筒体を二点鎖線で示す図である。
【図10】図7のX−X線矢視一部切欠き拡大断面図である。
【図11】第2実施形態の筒体ユニットを上下に連結した滑落傾斜板の姿勢を示す側面図であり、円筒体を二点鎖線で示す図である。
【図12】同じく斜視図であり、円筒体を二点鎖線で示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 重力式搬送装置
2 筒体ユニット
3 円筒体
4、14 滑落傾斜板
4a、14a 長径辺
4b、14b 外周辺
5、15 スカート部
5a、15a 縦縁
5b、15b 下端縁
6a、6b 丸み部
7 フランジ部
8 取付け孔
10 粉粒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結された複数の筒体ユニット内に粉粒体を落下させて搬送する重力式搬送装置であって、
各筒体ユニットは、滑落傾斜板が、筒体の軸線に対して傾斜状であって、1つの筒体の内径平面視面積の一部のみを遮り、且つ前記1つの筒体の内周壁に連接するように、前記筒体と一体的に形成されてなり、
前記複数の筒体ユニットを、上段側の筒体内の前記滑落傾斜板の下端部が下段側筒体内の前記滑落傾斜板の上端部の直上に位置するように、上下に連結したことを特徴とする重力式搬送装置。
【請求項2】
前記筒体は円筒体であり、前記各滑落傾斜板は、前記各円筒体内径の中心角度を複数に等分割した部位に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の重力式搬送装置。
【請求項3】
前記各滑落傾斜板における下部には、前記円筒体の中心軸線に沿ってまたはこの中心軸線と平行に沿って下向きに延びる垂直線状の縦縁と、この縦縁の下端から内周壁に向かって延びる半径方向の下端縁とを有するスカート部が一体的に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の重力式搬送装置。
【請求項4】
前記滑落傾斜板の上端が前記円筒体の上端面と同一平面上にあり、前記滑落傾斜板の下端縁及びスカート部の下端縁が前記円筒体の下端面と同一平面上にあるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の重力式搬送装置。
【請求項5】
前記滑落傾斜板の上端が前記円筒体の上端面と同一平面上にあり、前記上段円側筒体における前記滑落傾斜板のスカート部の下端縁が下段側円筒体内の前記滑落傾斜板の表面に接近するように延長形成されていることを特徴とする請求項3に記載の重力式搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−126565(P2009−126565A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305927(P2007−305927)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(591157534)株式会社大日ハンソー (3)
【Fターム(参考)】