説明

重力排液装置

【課題】有害物質を含む液体を排液する場合において、配管中の大気開放のベント部から有害物質が外界へ放出することを防止できる重力排液装置を提供する。
【解決手段】機器等から排出される排液100を、その排液の重力自体を動力として回収側に流下させて送出する排液管2を備え、この排液管を介して排液100を回収装置3に移送する重力排液装置であり、排液管2内を大気に対して密閉構造とし、かつ排液管2を回収側の気相部に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器等から収集タンク等の回収設備に排出される液体を、当該液体自体の重力を利用して収集タンク等の回収設備に導く重力排液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器等から排出される液その他の液体をタンク等の回収設備に収集する場合、機器等の設備よりもタンク等を低所に配置し、高所配置の設備から排出される液自体の重力を、低所配置のタンク等に供給するための流下用駆動力として用いる重力排液配管が利用されることが知られている。
【0003】
このような重力排液配管には通常、周囲の設備機器のレイアウトに対応して、液体が垂直に流下する垂直流下部が設けられているが、この垂直流下部では渦流等により液相に巻き込まれたガスが配管内の流路を閉塞する懸念がある。
【0004】
そこで従来では、ガスによる流路の閉塞を回避する手段として、重力排液配管中の必要個所に流路を大気開放するベント構造を設ける等の手段が多用されている。
【0005】
図13(a)は、このようなベント構造を有する従来の重力排液装置を例示した説明図である。
【0006】
図13(a)に示すように、従来の重力排液装置A0は、排液元となる機器101と、この機器101に連通接続されて排液100を流下させるための複数段の階段状の排液管102と、この排液管102の先端側に連結されて排液を収容するための回収タンク103とを備えている。
【0007】
排液管102は、機器101に連通接続された第1の水平管部102aと、この第1の水平管部102aの先端部から垂下する第1の垂直管部102bと、この垂直管部102bの下端部に階段状に接続された第2の水平管部102cとを備えている。
【0008】
そして、第2の水平管部102cの先端部に、最終段となる垂直管部102dが下向きに連結され、この垂直管部102dの下端が回収タンク103内に臨み、排液管102から流下する排液100が回収タンク103内に収容される構成となっている。
【0009】
また、機器101に連結した第1段の排液管102aの先端上部には、通気管102eが立上り、この通気管102eの上端部から下向きに折曲された管端部に、大気開放用のステッキベント105aが設けられている。ステッキベント105aの下流側先端部は、ドレンファンネル106aに接続されている。
【0010】
さらに、廃液管102の上から2段目の水平管部102cにも、ステッキベント105bが設けられ、このステッキベント105bの先端側がドレンファンネル106bに接続されている。
【0011】
また、回収タンク103は通常では大気開放のタンクとして設計されるため、回収タンク103の上壁部にはタンクベント107が設けられ、タンクベント107の先端は大気に開放されている。
【0012】
図13(b)は排液の流れの閉塞状況を示す模式図であり、配管の流下部(図13(a)の「b」部)を拡大して示している。
【0013】
この図13(b)に示すように、垂直管102bの流下部では管内で流れの凹み(液位低)f1や盛り上がり(液位高f2)が生じて、液体が排液管102cを閉塞し、排液が困難になる場合がある。また、落液部で液体中にガスが巻き込まれ、これが析出して生じたガス溜まりにより、排液管102が閉塞されて排液が困難になる場合もある。
【0014】
従来では、このような状態が発生することを防止する手段として上述のように、排液管102の適所に大気開放部を有するステッキベント105a,105b等を設け、流れの閉塞を解消することが行われている。
【0015】
しかし、その一方で液体が有害物質を含む場合には、有害物質がステッキベント105a,105bの大気開放部や、タンクベント107の大気開放端から外界に放出される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−113416号公報
【特許文献2】特開2001−164624号公報
【特許文献3】特開2008−280784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述のように従来では、排出すべき液体が有害物質を含む場合、有害物質がステッキベント105a,105bの大気開放部や、タンクベント107の大気開放端から外界に放出され得るという課題がある。
【0018】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、有害物質を含む液体を排液する場合において、配管中の大気開放のベント部から有害物質が外界へ放出することを防止できる重力排液装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明では上記目的を達成するため、機器等から排出される排液を、その排液の重力自体を動力として回収側に流下させて送出する排液管を備え、前記排液管を介して排液を回収装置に移送する重力排液装置であって、前記排液管内を大気に対して密閉構造とし、かつ前記排液管を回収側の気相部に接続したことを特徴とする重力排液装置を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、排液管内を大気に対して密閉構造とすることで、大気開放部を設けることなく回収タンク気相部に直接接続することで、ガスの巻込み等による流れの閉塞を防止することができ、かつ大気開放部を無くしたことで排液中の有害物質の大気放出を防止することができる。また、排気管に大気開放部を設けることなく、排気管を回収タンク気相部に直接接続することでガスの巻込み等による流れの閉塞を防止することができ、さらに大気開放部を無くしたことで排液中の有害物質の大気放出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態による重力排液装置を示す構成図。
【図2】本発明の第2実施形態による重力排液装置を示す構成図。
【図3】本発明の第3実施形態による重力排液装置を示す構成図。
【図4】本発明の第4実施形態による重力排液装置を示す構成図。
【図5】本発明の第5実施形態による重力排液装置を示す構成図。
【図6】本発明の第6実施形態による重力排液装置を示す構成図。
【図7】本発明の第7実施形態による重力排液装置を示す構成図。
【図8】本発明の第8実施形態による重力排液装置を示す構成図。
【図9】本発明の第9実施形態による重力排液装置を示す構成図。
【図10】本発明の第10実施形態による重力排液装置を示す構成図。
【図11】本発明の第11実施形態による重力排液装置を示す構成図。
【図12】本発明の第12実施形態による重力排液装置を示す構成図。
【図13】(a)は従来の排液装置の概略構成を示す説明図、(b)は排液の流れを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る重力排液装置の実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態による重力排液装置A1を示す構成図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態では、排液元となる機器1と、この機器1に連通接続されて排液100を流下させるための複数段の階段状の排液管2と、この排液管2の先端側に連結されて排液100を収容するための回収タンク3とを備えている。
【0025】
排液管2は、機器1に連通接続された第1の水平管部2aと、この第1の水平管部2aの先端部から垂下する第1の垂直管部2bと、この垂直管部2bの下端部に階段状に接続された第2の水平管部2cとを備えている。
【0026】
そして、第2の水平管部2cの先端部に、最終段となる垂直管部2dが下向きに連結され、この垂直管部2dの下端が回収タンク3内に臨み、排液管2から流下する排液100が回収タンク3内に収容される構成となっている。
【0027】
機器1に連結した第1段の排液管2aの先端上部には、この排液管2aと回収タンク3とを連通接続する複数の通気管8が設けられている。この通気管8は、機器1から延びた排液管2aの先端部に連通して垂直に立上る立上り管部8a1と、この立上り管部8a1の上端から水平管部2cと平行に伸びる水平な上管部8a2と、この上管部8a2の先端に連結されて下方に向って垂直に延び、回収タンク3の上壁に連通接続された下向き管部8a3とを備えている。
【0028】
また、第2段の排液管2cの長さ方向略中間部には、この排液管2cと回収タンク3とを連通接続する通気管8bが設けられている。
【0029】
さらに、回収タンク3の上壁には、この回収タンク3の内部と連通する排気管10が垂直に接続されて上方に延び、この排気管10は途中にフィルタ11を備えるとともに、上端が空調ダクト14に連通接続されている。空調ダクト14の流路内には、空調ファン13が設けられ、空調ダクト14内は負圧とされている。
【0030】
この構成により、本実施形態では、機器1等から排液100を排液管2(2a,2b,2c,2d)を介して重力で回収タンク3に移送することができる。そして、その際には、排液管2(2a,2b,2c,2d)内を大気に対して密閉構造とすることで、大気開放部を設けることなく回収タンク3の気相部3aに直接接続される。
【0031】
したがって、ガスの巻込み等による流れの閉塞を防止することができ、かつ大気開放部を無くしたことで排液100中の有害物質の大気放出を防止することができる。
【0032】
また、排気管10に大気開放部を設けることなく、排気管10を回収タンク3の気相部3aに直接接続することで、ガスの巻込み等による流れの閉塞を防止することができ、さらに大気開放部を無くしたことで排液100中の有害物質の大気放出を防止することができる。
【0033】
このように、本実施形態によれば、機器1から排出された液体100は重力を駆動力として排液管2を回収タンク3に向かって流れるようにし、この流れの閉塞防止のため適所にベント管8(8a,8b)を設置し、このベント管8(8a,8b)は回収タンク3に直接接続する。そして、回収タンク3には排気管10を設け、その途中にはフィルタ11を設置する。排気管10は空調ファン13の負圧に引かれた空調ダクト14に接続し、回収タンク3内のガスはフィルタ11を経由して空調ダクト14に排出される。したがって、有害物質の外界放出による問題を生じることがなく、安全性を向上することができる。
【0034】
本実施形態によれば、排液管2内を大気に対して密閉構造とし、大気開放部を設けることなく回収タンクの3の気相部3aに直接接続することで、ガスの巻込み等による流れの閉塞を防止することができ、かつ大気開放部を無くしたことで、排液100中の有害物質の大気放出を防止することができる。また、排気管10に大気開放部を設けることなく、排気管10を回収タンク3の気相部3aに直接接続することで、ガスの巻込み等による流れの閉塞を防止することができ、さらに大気開放部を無くしたことで、排液中の有害物質の大気放出を防止することができる。
【0035】
[第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態による重力排液装置A2を示す構成図である。
【0036】
この図2に示すように、本実施形態の重力排液装置A2は、基本的な配管構成について第1実施形態と略同様である。
【0037】
本実施形態が第1実施形態と異なる点は、回収タンク3の液面に、波立ち防止マット24を浮かべる構成とし、これにより液面の波立ちや、液面からの蒸発によって有害物質が回収タンク3の気相部3aに浮遊することを低減し、有害物質の低減により、有害物質の外界への放出防止効果を高めたことにある。第1実施形態と同一の構成については、図2に図1と同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
本実施形態によれば、回収タンク3の液面に波立ち防止マット24を浮かべる構成としたことにより、機器1から排出された排液100が有害物質を含む場合、この排液100が回収タンク3に流入してその気相部に高濃度で浮遊していることが考えられるのに対し、回収タンク3の液面に波立ち防止マット24を浮かべることにより、波立ちや液面からの蒸発によって有害物質が回収タンク3の気相部3aに浮遊することを低減することができる。
【0039】
これにより、回収タンク3の気相部のガス中の有害物質を低減し、有害物質の外界への放出防止効果を高めることができる。
【0040】
[第3実施形態]
図3は、本発明の第3実施形態による重力排液装置A3を示す構成図である。
【0041】
この図3に示すように、本実施形態の重力排液装置A3も、基本的な配管構成については第1実施形態と略同様である。
【0042】
本実施形態が第1実施形態と異なる点は、クリーンな液27を噴出するスプレイ管22およびそのスプレイ管22の先端に設けたスプレイノズル23を備え、このスプレイノズル23を回収タンク3内に導き、クリーンな液27をスプレイノズル23から回収タンク3内に噴射する構成としたことにある。
【0043】
スプレイノズル23から回収タンク3の気相部3aにクリーンな液をスプレイすることで,浮遊する有害物質を液相に落下させて気相部のガス中の有害物質を低減することにより、有害物質の外界への放出防止効果を高めることができる。
【0044】
例えば、機器1から排出された液体100が有害物質を含む場合、この液体100が回収タンク3に流入してその気相部3aに高濃度で浮遊していることが考えられる。これに対して、本実施形態では、クリーンな液体27をスプレイ管22で回収タンク3に導き、スプレイノズル23から回収タンク3の気相部にクリーンな液体27をスプレイすることで、浮遊する有害物質を液相に落下させることができる。これにより、回収タンク3の気相部のガス中の有害物質を低減し、有害物質の外界への放出防止効果を高めることができる。
【0045】
[第4実施形態]
図4は、本発明の第4実施形態による重力排液装置A4を示す構成図である。
【0046】
本実施形態の重力排液装置も、基本的な配管構成については第1実施形態と略同様であり、基本的な構成部分には図1と同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0047】
図4に示すように、本実施形態では、機器1から排出された排液100が重力を駆動力として排液管2を介して回収タンク3に向かって流れ、この流れの閉塞防止のため適所にベント管8を設置する構成としている。
【0048】
ベント管8は回収タンク3に直接接続されており、回収タンク3には排気管10が設けられ、その途中にフィルタ11を設置してある。
【0049】
排気管10は空調ファン13の負圧に引かれた空調ダクト14に接続してあり、回収タンク3内のガスはフィルタ11を経由して空調ダクト14に排出される。
【0050】
なお、有害物質は微小な液滴になって排気管10を流れることが考えられる。一方で有害物質を除去するべきフィルタ11に多量の液分が流入するとその性能を低下させる可能性がある。
【0051】
そのため、本実施形態では排気管10にデミスタ等の湿分除去装置26を設け、排気管10を流れるガスを乾燥させる。これにより、フィルタ11の健全性が液分に影響される場合でも、有害物質が外界に放出されることがなく、上記各実施形態と同様に、有害物質放出の問題を無くすることができる。
【0052】
本実施形態では、回収タンク3の排気管10に設けたフィルタ11の上流側に、湿分除去装置26を設け、この湿分除去装置26によって排気管10を流れるガスを乾燥させることにより、フィルタ11の健全性が液分に影響される場合でも、有害物質の外界放出を防止することができる。
【0053】
[第5実施形態]
図5は、本発明の第5実施形態による重力排液装置A5を示す構成図である。
【0054】
この図5に示すように、本実施形態の重力排液装置も、基本的な配管構成については第1実施形態と略同様であり、図5に図1と同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0055】
本実施形態が第1実施形態と異なる点は、回収タンク3の排気管10のフィルタ上流にヒータ25を設け、排気管10を流れるガスを乾燥させることにより、フィルタの健全性が液分に影響される場合でも、有害物質の外界放出の問題は無い構成について説明する。
【0056】
図5に示すように、機器1から排出された排液100は重力を駆動力として排液管2から回収タンク3に向かって流れる。本実施形態では、この流れの閉塞防止のため適所にベント管8を設置している。
【0057】
ベント管8は回収タンク3に直接接続されている。回収タンク3には排気管10が設けられ、その途中にはフィルタ11が設置されている。排気管10は空調ファン13負圧に引かれた空調ダクト14に接続され、回収タンク3内のガスはフィルタ11を経由して空調ダクト14に排出される。
【0058】
なお、有害物質は微小な液滴になって排気管10を流れることが考えられる。一方で有害物質を除去すべきフィルタ11に多量の液分が流入すると、その有害物質除去性能を低下させる可能性がある。
【0059】
これに対し、本実施形態では排気管10にヒータ25を設け、排気管10に流れるガスを乾燥させる。これにより、フィルタ11の健全性が液分に影響される場合でも、有害物質の外界放出の問題を解消することができる。
【0060】
なお、ヒータ25は電気ヒータでも良く、設備の所内蒸気、所内温水、空調系の温風等を熱源とするヒータとしてもよい。
【0061】
[第6実施形態]
本実施形態では、機器等から排液を重力で移送し、回収する装置であって、ベントを大気開放部を設けずに排ガスタンクに直接接続し、かつタンク内のベントガスをフィルタを経由して負圧の空調ダクトに放出することにより排液中の有害物質の大気放出を防止する重力排液装置について説明する。
【0062】
図6は、本発明の第6実施形態による重力排液装置A6を示す構成図である。
【0063】
図6に示すように、機器1から排出された液体は重力を駆動力として排液管2を回収タンク3に向かって流れる。この流れの閉塞防止のため、適所にベント管8が設置されている。ベント管8は排ガスタンク12に直接接続されている。
【0064】
この構成によれば、ベント管8には大気開放部は設けず、排ガスタンク12に直接接続することで、ベント管8からの有害物質の放出を防止することができる。
【0065】
また、排ガスタンク11に送られたベントガスについても、フィルタ11を経由する排気管10で有害物質を除去したうえで、残りのガスを空調ファン13で負圧に引かれた空調ダクト14に排出することにより、有害物質の外界放出の問題が生じることは無い。
【0066】
[第7実施形態]
本実施形態では、機器等から排液を重力で移送し、回収する装置であって、ベントを大気開放部を設けずに集合管に直接束ね、かつ集合管内のベントガスをフィルタを経由して負圧の空調ダクトに放出することにより、排液中の有害物質の大気放出を防止する構成とした重力排液装置A7について説明する。
【0067】
図7は、本発明の第7実施形態による重力排液装置を示す構成図である。この図7に示すように、ベントを大気開放部を設けずに集合管に直接束ね、かつ集合管内のベントガスをフィルタを経由して負圧の空調ダクトに放出する構成としてある。
【0068】
この構成において、機器1から排出された液体は、重力を駆動力として排液管2を回収タンク3に向かって流れる。なお、流れの閉塞防止のため、適所のベント管8が設置してある。
【0069】
本実施形態によれば、大気開放部を設けることなく、集合管15に束ねることで、ベント管8からの有害物質の放出を防止することができる。
【0070】
また、集合管15に送られたベントガスについても、フィルタ11を経由する排気管10で有害物質を除去したうえで、残りのガスを空調ファン13で負圧に引かれた空調ダクト14に排出することにより、有害物質の外界放出の問題は無い。
【0071】
[第8実施形態]
本実施形態では、機器等から排液を重力で移送し、回収する装置であって、かつ回収タンクにUシール部を有するオーバフロー配管を、ドレンファンネルあるいは直接排液処理設備・配管に接続することにより、オーバフロー配管からの有害物質の大気放出を防止した重力排液装置について説明する。
【0072】
図8は、本発明の第8実施形態による重力排液装置A8を示す構成図である。
【0073】
本実施形態が前記実施形態と異なる点は、回収タンク3への流入量が異常に多い場合に備えて、回収タンク3にオーバフロー管16を追加したものである。即ち、オーバフロー管16は回収タンク3の気相部に有害物質が含まれる場合に備えて、液を収容したUシール部17を介してドレンファンネル6に接続することにより、オーバフロー管16からの有害物質の外界放出を防止する構成としてある。
【0074】
なお、オーバフロー管16は液を収容したUシール部17を介して排液処理設備・配管に直接接続してもよい。
【0075】
本実施形態では、タンクベント7はフィルタ11を通って空調ダクト14に繋がるように構成してある。これにより、タンクベント7、ベント管8およびオーバフロー管16の大気開放部は無くなり、有害物質の外界への放出を防止することができる。
【0076】
[第9実施形態]
本実施形態では、機器等から排液を重力で移送し、回収する装置であって、ベントを大気開放部を設けずに回収タンク気相部に直接接続することで、ガスの巻込み等による流れの閉塞を防止し、かつ大気開放部を無くすることで、排液中の有害物質の大気放出を防止した重力排液装置について説明する。
【0077】
図9は、本発明の第9実施形態による重力排液装置B1を示す構成図である。
【0078】
図9に示すように、機器1から排出された液体は重力を駆動力として排液管2を回収タンク3に向かって流れる構成とし、流れの閉塞防止のため適所のベント管8を設置してある。ベント管8は回収タンク3の気相部に直接接続してある。
【0079】
回収タンク3には排風機9を設けてあり、この排気管10にはフィルタ11が設置してある。ベント管8には大気開放部は設けずに、回収タンク3の気相部に直接接続することで、ベント管8からの有害物質の放出を防止することができる。
【0080】
また、回収タンク3に送られたベントガスについても、フィルタ11で有害物質を除去した上で残りのガスを外界に放出するため、有害物質の外界放出の問題は無い。
【0081】
本実施形態によれば、機器等から排液を重力で移送し、回収する装置であって、ベントを大気開放部を設けずに排ガスタンクに直接接続し、かつタンク内のベントガスを排ガスタンクに設けた排風機でフィルタを介して外界に放出することにより、排液中の有害物質の大気放出を防止することができる。
【0082】
[第10実施形態]
本実施形態では、回収タンクに循環浄化管を設置し、回収タンクの気相部から循環浄化送風機で取り出したガスを循環浄化フィルタで除去することで循環浄化し、回収タンクの気相部のガス中の有害物質を低減して有害物質の外界への放出防止効果を高めた重力排液装置について説明する。
【0083】
図10は、本発明の第10実施形態による重力排液装置B2を示す構成図である。図10に示すように、機器1から排出された液体が有害物質を含む場合、これが回収タンク3に流入してその気相部に高濃度で存在することが考えられる。
【0084】
これに対し、本実施形態では、回収タンク3に循環浄化管19を設置し、回収タンク3の気相部から循環浄化送風機20で取り出したガスを循環浄化フィルタ21で除去することで循環浄化する。
【0085】
本実施形態によれば、回収タンク3の気相部から循環浄化送風機9で取り出したガスを循環浄化フィルタ21で除去することで循環浄化し、回収タンク3の気相部のガス中の有害物質を低減し、有害物質の外界への放出防止効果を高めることができる。
【0086】
[第11実施形態]
本実施形態では、機器等から排液を重力で移送し、回収する装置であって、ベントを大気開放部を設けずに回収タンク気相部に直接接続し、かつタンク内のベントガスを回収タンクに設けた排風機でフィルタを介して外界に放出することにより、排液中の有害物質の大気放出を防止した重力排液装置について説明する。
【0087】
また、機器等から排液を重力で移送し、回収する装置であって、ベントを大気開放部を設けずに排ガスタンクに直接接続し、かつタンク内のベントガスを排ガスタンクに設けた排風機でフィルタを介して外界に放出することにより排液中の有害物質の大気放出を防止したことを特徴とする重力排液装置について説明する。
【0088】
図11は、本発明の第11実施形態による重力排液装置B3を示す構成図である。図11に示すように、本実施形態では、機器1から排出された液体は重力を駆動力として排液管2を回収タンク3に向かって流れ、流れの閉塞防止のため適所のベント管8が設置されている。
【0089】
ベント管8は排ガスタンク12に直接接続されている。排ガスタンク12には排風機9を設け、その排気管10にはフィルタ11が設置されている。ベント管8には大気開放部は設けずに排ガスタンク12に直接接続することで、ベント管8からの有害物質の放出を防止することができる。
【0090】
また、排ガスタンク12に送られたベントガスについても、フィルタ11で有害物質を除去した上で残りのガスを外界に放出するため、有害物質の外界放出の問題は無い。
【0091】
[第12実施形態]
本実施形態では、機器等から排液を重力で移送し、回収する装置であって、ベントを大気開放部を設けずに排ガスタンクに直接接続し、かつタンク内のベントガスを排ガスタンクに設けた排風機でフィルタを介して外界に放出することにより排液中の有害物質の大気放出を防止した重力排液装置B4について説明する。
【0092】
図12は、本発明の第12実施形態による重力排液装置B4を示す構成図である。
【0093】
機器1から排出された液体は重力を駆動力として排液管2を回収タンク3に向かって流れ、流れの閉塞防止のため適所のベント管8を設置する。ベント管8は排ガスタンク12に直接接続されている。
【0094】
排ガスタンク12には排風機9が設けてあり、その排気管10にはフィルタ11が設置されている。このフィルタ11の先を空気が空調ファン13で圧送される構成等とし、内圧が正圧の空調ダクト14に接続されるようにしている。
【0095】
本実施形態によれば、最終接続先が正圧の空調ダクト14であることから、機器1に向かう逆流防止のため、ベント管8には逆止弁18を設けてある。ベント管8には、大気開放部は設けずに、排ガスタンク12に直接接続することでベント管8からの有害物質の放出を防止することができる。
【0096】
排ガスタンク12に送られたベントガスについても、フィルタ11で有害物質を除去した上で残りのガスを空調ダクト14を介して外界に放出するため、有害物質の外界放出の問題は無い。
【0097】
なお、空調ダクト14の内圧に対してベント管8の圧力が十分高い場合には、排風機9を削除してもよい。また、排ガスタンク12は第7実施形態のように集合管15としてもよく、逆止弁17の位置はベント管が集合管15で束ねられた下流でもよい。
【0098】
また、機器等から排液を重力で移送し、回収する装置であって、ベントを大気開放部を設けずに集合管に直接束ね、かつ集合管内のベントガスをフィルタを経由して負圧の空調ダクトに放出することにより排液中の有害物質の大気放出を防止した構成としてもよい。
【0099】
さらに、機器等から排液を重力で移送し、回収する装置であって、ベントを大気開放部を設けずに排ガスタンクに直接接続し、かつタンク内のベントガスをフィルタを経由して正圧の空調ダクトに放出することにより、排液中の有害物質の大気放出を防止するとともに、ベント管に逆止弁を設置することで正圧の空調ダクトからの逆流を防止する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0100】
1 機器
2 排液管
3 回収タンク
4 垂直管落液部
5 ステッキベント
6 ドレンファンネル
7 タンクベント
8 ベント管
9 排風機
10 排気管
11 フィルタ
12 排ガスタンク
13 空調ファン
14 空調ダクト
15 集合管
16 オーバフロー管
17 Uシール部
18 逆止弁
19 循環浄化管
20 循環浄化送風機
21 循環浄化フィルタ
22 スプレイ管
23 スプレイノズル
24 波立ち防止マット
25 ヒータ
26 湿分除去装置
27 クリーンな液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器等から排出される排液を、その排液の重力自体を動力として回収側に流下させて送出する排液管を備え、前記排液管を介して排液を回収装置に移送する重力排液装置であって、前記排液管内を大気に対して密閉構造とし、かつ前記排液管を回収側の気相部に接続したことを特徴とする重力排液装置。
【請求項2】
機器等から排液を重力で移送し、回収する装置であって、ベントを大気開放部を有しない回収タンクに直接接続し、かつタンク内のベントガスをフィルタを経由して負圧の空調ダクトに放出する構成とした請求項1記載の重力排液装置。
【請求項3】
前記回収タンクの液面に波立ち防止マットを浮かべることにより、波立ちや液面からの蒸発によって有害物質が回収タンクの気相部に浮遊することを低減し、回収タンクの気相部のガス中の有害物質を低減して有害物質の外界への放出防止効果を防止する構成とした請求項1記載の重力排液装置。
【請求項4】
クリーンな液をスプレイ管で回収タンクに導き、スプレイノズルから回収タンク気相部にクリーンな液をスプレイすること、で浮遊する有害物質を液相に落下させて気相部のガス中の有害物質を低減することにより、有害物質の外界への放出を防止する構成とした請求項1記載の重力排液装置。
【請求項5】
回収タンクの排気管のフィルタ上流に湿分除去装置を設け、排気管を流れるガスを乾燥させることによりフィルタの健全性が液分に影響される場合でも有害物質の外界放出を阻止する構成とした請求項1記載の重力排液装置。
【請求項6】
回収タンクの排気管のフィルタ上流にヒータを設け、排気管を流れるガスを乾燥させることによりフィルタの健全性が液分に影響される場合でも有害物質の外界放出を阻止する構成とした請求項1記載の重力排液装置。
【請求項7】
機器等から排液を重力で移送し、回収する装置であって、
ベントを大気開放部を設けずに排ガスタンクに直接接続する手段、集合管に直接束ねる手段、回収タンクにUシール部を有するオーバフロー配管をドレンファンネルあるいは直接排液処理設備・配管に接続する手段、
タンク内のベントガスを回収タンクに設けた排風機でフィルタを介して外界に放出する手段、
回収タンクの気相部から循環浄化送風機で取り出したガスを循環浄化フィルタで除去する手段、
タンク内のベントガスをフィルタを経由して正圧の空調ダクトに放出することにより排液中の有害物質の大気放出を防止するとともにベント管に逆止弁を設置することで正圧の空調ダクトからの逆流を防止する手段、
のいずれか1または2以上の手段を備えた請求項1記載の重力排液装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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