説明

重量物の設置位置合せ方法

【目的】 縦ジャッキに重量物を持上げ支持させたまま重量物の押し方向の角度変向を行わせ、もって位置合せ所要時間の短縮化と位置合せ作業の高能率化を計る。
【構成】 設置面上に載置された重量物1を縦ジャッキ4に支持させて若干持上げ、この持上げ状態で上記縦ジャッキ4を横ジャッキ8で押動して縦ジャッキ4の下面を滑り手段の上面を滑らせて重量物1を設置面の所定設置位置に移動位置合せする方法において、上記滑り手段が、基板と、該基板の表裏面に突出状に支持させた自由回転自在の多数の鋼球とで形成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、設置面上に載置された例えば変圧器などの重量物を微調整状に移動させて重量物を設置面上の所定設置位置に正確に位置合せする、いわゆる重量物の設置位置合せ方法に関する。
【0002】
【従来技術】本発明との比較において好適な従来の位置合せ方法は、設置面上に載置された重量物を、縦ジャッキに支持させて若干持上げ、この持上げ支持状態で縦ジャッキを横ジャッキで押動して縦ジャッキをその下面に摺接介在した滑り手段の上面を滑らせて重量物を設置面の所定設置位置に位置合せする方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来技術で述べた、縦ジャッキの下面を滑り手段を介して移動させる理由は、重量物が例えば100トン、或は150トンもの超重量物なるため、縦ジャッキの下面に働く摩擦力を極力軽減して、縦ジャッキの滑りをよくして位置合せを容易にすることは他ならないが、問題は、従来の滑り手段は軸状ローラを多数本平行に軸架した通称ローラコロ方式と呼ばれる滑り手段、つまり、滑り方向が一定方向の滑り手段を採用しているため、重量物の位置合せ作業中に該重量物の押し方向の角度を変向する場合、その都度縦ジャッキを重量物から一旦取外してローラコロの向きを修正した後、再び該ローラコロと重量物との間に縦ジャッキをセットし直す作業が必要となり、しかも、重量物の各点の位置合せのために何度もローラコロの修正を繰り返し行わねばならぬことからその作業は極めて煩雑となり、かつ時間も掛ることから位置合せ作業効率を大巾に低下させる原因となっている。
【0004】そこで本発明は、重量物を持上げ支持する縦ジャッキを特殊な滑り手段を介して自由方向に横移動できるようにし、それにより従来生じた問題点即ち、重量物の押し方向の角度を変向する際の滑り手段の変向修正や、この変向修正に伴う縦ジャッキの重量物からの取外し作業を不要とし、もって位置合せ所要時間の短縮化と位置合せ作業の高能率化を計ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明は、設置面上に載置された重量物を縦ジャッキに支持させて若干持上げ、この持上げ状態で上記縦ジャッキを横ジャッキで押動して縦ジャッキの下面を滑り手段の上面を滑らせて重量物を設置面の所定設置位置に移動位置合せする方法において、上記滑り手段が、基板と、該基板の表裏面に突出状に支持させた自由回転自在の多数の鋼球とで形成されていることを要旨とするものである。
【0006】
【実施例】図1は本発明方法を実施するための持上げ装置の概略平面図を示し、この図で1は変圧器などの重量物で、この重量物1は設置面2上に予じめ載置されている。また該重量物1の外側所要個所(本例では4隅)にはジャッキ受部3が外向きに突設され、これらジャッキ受部3の下面には油圧式の縦ジャッキ4が当接され、該縦ジャッキ4の下面は縦ジャッキの底受板5、及びこの底受板に重合した滑り手段6を介して設置面2上に置かれた接地台7の上面に当接支持されている。縦ジャッキ4の外側面には油圧式の横ジャッキ8が当接され、該横ジャッキ8の後端は接地台7の一側縁に起立形成した平面円弧状の支持壁7aの内面に位置変更自在に当接されている。
【0007】また、上記滑り手段6は、図5のように基板6aと、該基板の表裏面に若干突出状に支持させた自由回転自在の多数の鋼球6bとで形成され、該鋼球6bの表面側を上記底受板5に、かつ裏面側を接地台7に夫々当接支持されている。
【0008】
【発明の作用】図1の状態は、重量物1の所要複数個所に付した基準目印hが設置面2の所定個所に付した設定目印sに夫々一致されて既に重量物の位置合せを完了した状態を示しているが、最初は上記目印h,s同志が一致していない状態に重量物は設置面2上に載置されている。
【0009】そこで、上記重量物1を設置面上に位置合せするために、図2のように先ず重量物1を縦ジャッキ4に支持させて設置面2から若干量l(1ミリメートル程度)だけ持上げて浮かせ、かつ所要個所の横ジャッキ8を支持壁7aをガイドとして重量物1の押し方向の角度に向きを設定し、この状態で横ジャッキ8を駆動せしめて縦ジャッキを押すことにより縦ジャッキ4が重量物1を支持した状態で滑り手段6の上面を滑って移動し、この移動による目印h,sの一致により自ずと重量物1の位置合せを完了するものである。なお、この位置合せ完了状態で縦ジャッキを下降動作し、重量物を接地させることは勿論である。
【0010】ところで、上記重量物の位置合せは、設置面2上に載置された重量物の姿勢に応じ、縦ジャッキを前後,左右,或は斜め方向に移動させて行わねばならぬため、本発明では基板6aと該基板6aに自由回転自在に支持させた鋼球6bとでなる滑り手段6を縦ジャッキ4の下面に摺接介在させ、鋼球の移動により設置面2上の全方向に縦ジャッキを移動させ得るものである。
【0011】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、次の効果が得られる。
(a)重量物の設置位置合せのために該重量物を持上げ支持した状態で横ジャッキにより押圧移動される縦ジャッキの下面を、基板と、該基板の表裏面に突出状に支持させた自由回転自在の多数の鋼球とでなる滑り手段を介して移動させるようにしたので、縦ジャッキに重量物を支持させたまま重量物の押し方向の角度変向を行わせることができる。
(b)従来では重量物の押し方向の角度変向時に縦ジャッキを重量物からいちいち取外す作業が必要であったが、本発明ではその作業を完全に不要とすることができ、もって位置合せ所要時間の短縮化と位置合せ作業の高能率化を計ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】重量物の位置合せ完了状態の平面図である。
【図2】同上一部の側面図である。
【図3】持上げ装置部分の分解斜面図である。
【図4】同上の重合状態の平面図である。
【図5】鋼球と基板とでなる滑り手段の一部の縦断側面図である。
【符号の説明】
1 重量物
2 設置面
4 縦ジャッキ
6 滑り手段
6a 基板
6b 鋼球
8 横ジャッキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 設置面上に載置された重量物を縦ジャッキに支持させて若干持上げ、この持上げ状態で上記縦ジャッキを横ジャッキで押動して縦ジャッキの下面を滑り手段の上面を滑らせて重量物を設置面の所定設置位置に移動位置合せする方法において、上記滑り手段が、基板と、該基板の表裏面に突出状に支持させた自由回転自在の多数の鋼球とで形成されていることを特徴とする重量物の設置位置合せ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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