説明

重量物用梱包パレット

【課題】 車輪等の重量物を横方向の外力を受けた場合においても荷崩れ等を生じさせることなく安定して搬送でき、且つ作業を簡素化できる重量物用梱包パレットを提供する。
【解決手段】 重量物用梱包パレット11aは、重量物と共に一体に梱包される同一形状の2つのパレット部材12a、12bから構成される。パレット部材12aは、ベース部材14aの上面に、鉛直上方に伸び、重量物に当接される2本の平行な支柱13a、13bを備える。このベース部材14aは、フォークリフトの爪の厚さより大きいベース高さ19を有し、側面にフォークリフトの爪を挿入可能なフォークポケット17a、17bを、また、上面の端縁の一部に、水平に延びるフォークパレット15a、15bを備える。また、ベース部材14aは、外方側面の補強支持部材20a〜20dにより補強される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は重量物用梱包パレットに関し、特に車輪やコイル等の重量物をコンテナに搭載する際に使用される重量物用梱包パレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の車輪の搭載状態を示した鋼製パレットの斜視図である。
図を参照して、重量物である車輪22a〜22dが鋼製パレット40に梱包されている。車輪22aの上面には、上枠部材46が積載されている。この上枠部材46は、平行に配置された2本のチャンネル鋼である外枠材41a及び41bと、これら外枠材41a及び41bと垂直方向に、互いに平行に配置され、外枠材41a及び41bの間に架け渡すように接続された2本のチャンネル鋼である内枠材42a及び42bとから構成されている。そして、これと同一形状の下枠部材47が車輪22dの下側にも配置されており、これら2つの枠部材により車輪22a〜22bが上下から挟み込まれている。そして、上枠部材46を構成する外枠材41a及び41bの端部と、下枠部材47を構成する外枠材41c及び41dの端部とが、垂直鋼材43a〜43d(43dは重量物の背面に隠れているので図示せず)により接続され、それぞれナット45により固定されている。更に、下側に配置された外枠材41c及び41dを貫く垂直鋼材43a〜43dの下端側は、それぞれ、椀を伏せた形状の下駄部材44a〜44d(44dは重量物の背面に隠れているので図示せず)に接続されている。
【0003】
このようにして従来は、積み上げた車輪等の重量物を上下から挟み込むように荷固めすることにより、搬送時の安定性を保っていた。
【0004】
また、従来は、上記図9の例に示した上枠部材や下枠部材に相当する木製の井桁状の枠部材を用いて、車輪等の重量物を上下から挟み、重量物と共に枠部材を帯鉄等により十字に縛ることによって一体に梱包する木製パレットも用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の鋼製の枠部材を用いた重量物の積載構成にあっては、単にパレット上に積載するだけの構造よりも荷崩れは生じ難い構造を有しているものの、重量物を単に上下から押さえているに過ぎないので、慣性力等の横方向から大きな外力が加わった場合には、各々の車輪が横方向にずれを生じて不安定になり、また、そのような状態で開梱すれば一気に崩れることも考えられ、安全面で問題を含んでいた。
また、木製パレットの場合は、荷固めのために大量の木材を必要とすると共に大工作業が発生し、作業が煩雑になると共に、再利用が難しいため環境問題も懸念されていた。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、車輪等の重量物を、横方向の外力を受けた場合においても、荷崩れ等を生じさせることなく安定して搬送でき、且つ梱包作業が簡易な重量物用梱包パレットを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、積載状態において外形が垂直方向に延びるほぼ円筒形状の重量物を梱包するための一対のパレット手段を含む重量物用梱包パレットであって、パレット手段の各々は、垂直方向に伸びると共に、使用時に重量物の側壁に当接状態となり、互いに平行状態に配置された2本の棒体と、棒体の各々の下端部が接続され、水平方向に延びると共に、使用時に重量物の底面にその一部が当接状態となるベース部材と、ベース部材の上方部に接続されると共に、ベース部材の延びる方向に対して直交する方向で且つ水平方向に伸びる平板とを備え、更に、使用時に棒体の各々と側壁との当接状態を保持する保持手段を備えたものである。
このように構成すると、一対のパレット手段は、使用時に、重量物と一体となる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、ベース部材には、長手方向に対して垂直な方向にフォークリフトの一対の爪の各々を挿入可能な一対の側面孔が形成されたものである。
【0010】
このように構成すると、ベース部材の長手方向に対して垂直な方向からフォークリフトの爪を挿入することが可能となる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、平板の底面とベース部材の下端を含む水平面との垂直距離は、少なくとも、フォークリフトの爪の厚さより大きいものである。
【0012】
このように構成すると、パレット手段の各々のベース部材同士の間に、フォークリフトの一対の爪の幅を超える間隔があれば、ベース部材を接地した状態で、その長手方向から平板の下方にフォークリフトの爪を挿し込むことが可能となる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、ベース部材には、使用時における外方の側面に、隣接する重量物用梱包パレット間を所定間隔に保つ間隔保持棒の一端を嵌合可能な凹部が、少なくとも1箇所形成されたものである。
【0014】
このように構成すると、使用時にベース部材の長手方向に対して垂直な方向に並設された2個の重量物用梱包パレットの間に、間隔保持棒を設置できる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、棒体は、使用時に重量物の側壁と当接しない外面部分を覆うように緩衝部材を備えたものである。
【0016】
このように構成すると、棒体が、緩衝部材を介して、他の隣接する重量物用梱包パレットに積載された重量物の側壁に当接する。
【0017】
請求項6記載の発明は、積載状態において外形が垂直方向に延びるほぼ円筒形状の重量物を梱包するための4組のパレット手段を含む重量物用梱包パレットであって、パレット手段の各々は、垂直方向に伸びると共に、使用時に重量物の側壁に当接状態となる棒体と、棒体の下端側に接続され、水平方向に延びると共に使用時に重量物の底面にその一部が当接状態となる第1の平板と、第1の平板に所定距離下方に離れた位置に配置され、第1の平板と平行で且つ同一方向に延びる第2の平板とを備え、更に、使用時に棒体の各々と側壁との当接状態を保持する保持手段を備えたものである。
【0018】
このように構成すると、4組のパレット手段は、使用時に、重量物と一体となる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成において、所定距離は、第1の平板の下面と第2の平板の上面との間の垂直距離が、少なくとも、フォークリフトの爪の厚さを超えるように設定されると共に、使用時において、隣接したパレット手段のいずれの間にフォークリフトの爪を挿入した場合であっても第1の平板を介して重量物を支持できるように第1の平板の大きさが設定されるものである。
【0020】
このように構成すると、使用時において、いずれの方向からも、第1の平板の下端へフォークリフトの爪を挿入することが可能となる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項6又は請求項7記載の発明の構成において、棒体はパイプ材を含み、パイプ材の下端が、第1の平板を貫通して第2の平板の上面に接続されるものである。
【0022】
このように構成すると、パイプ材の下端は第2の平板の上面に固定されると共に、パイプ材の下端付近は、第1の平板により周りを固定される。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の構成において、保持手段は、積載状態の重量物に対して棒体の各々を当接させた状態で重量物と棒体とを外部から一体に締め付ける可撓性を有する帯状部材を含むものである。
【0024】
このように構成すると、帯状部材は各々の棒体及び重量物の外形に沿うように変形する。
【0025】
請求項10記載の発明は、積載状態において外形が垂直方向に延びるほぼ円筒形状の重量物を梱包するための4組のパレット手段を含む重量物用梱包パレットであって、パレット手段の各々は、各々が垂直方向に伸びると共に、使用時に前記重量物の側壁に当接状態となり、対向状態に配置された2本の棒体と、棒体の各々の下端部が接続され、水平方向に延びると共に、使用時に重量物の底面にその一部が当接状態となる平板を備え、更に、使用時に棒体の各々と側壁との当接状態を保持する保持手段を備えたものである。
【0026】
このように構成すると、4組のパレット手段は、使用時に、重量物と一体となる。また、各々のパレット手段は、2本の棒体にて重量物の側壁に当接し、平板の重量物に対して延びる方向が固定される。
【0027】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明の構成において、パレット手段の各々は、平板の下面に接合され、所定の厚さよりなる緩衝部材を備え、所定の厚さに平板の厚さを加えた厚さは、少なくとも、フォークリフトの爪の厚さより大きくなるように設定されると共に、使用時において、隣接したパレット手段のいずれの間にフォークリフトの爪を挿入した場合であっても重量物を直接支持できるように平板及び緩衝部材の大きさが設定されるものである。
【0028】
このように構成すると、使用時において、いずれの方向からも、重量物の底面へフォークリフトの爪を挿入することができる。
【0029】
請求項12記載の発明は、請求項10又は請求項11記載の発明の構成において、平板及び緩衝部材は平面視においてほぼ同一の矩形形状に形成されると共に上下に整列するように配置され、パレット手段の2本の棒体の各々は、平板の一辺に沿うように整列して配置され、パレット手段の各々は、2本の棒体の各々の側面に掛け渡すように接続される少なくとも1つの掛け板材を更に備え、掛け板材の外面は、一辺を含む垂直面よりも外方側に位置するものである。
【0030】
このように構成すると、各々のパレット手段の2本の棒体は、掛け板材により平行状態に保持されると共に、パレット手段の一方の端縁側が垂直な壁面に当接配置される場合には、パレット手段は掛け板材の外面においてその壁面と当接状態となる。
【0031】
請求項13記載の発明は、積載状態において外形が垂直方向に延びるほぼ円筒形状の重量物を梱包するための4組のパレット手段を含む重量物用梱包パレットであって、パレット手段の各々は、各々が垂直方向に伸びると共に、使用時に重量物の側壁に当接状態となり、対向状態に配置された2本の棒体と、棒体の各々の下端側が接続され、水平方向に延びると共に、使用時に重量物の底面にその一部が当接状態となる第1の平板と、第1の平板に所定距離下方に離れた位置に配置され、第1の平板と平行で且つ同一方向に延びる第2の平板とを備え、更に、使用時に棒体の各々と側壁との当接状態を保持する保持手段を備えたものである。
【0032】
このように構成すると、4組のパレット手段は、使用時に、重量物と一体となる。また、各々のパレット手段は、2本の棒体にて重量物の側壁に当接し、平板の重量物に対して延びる方向が固定される。
【0033】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の発明の構成において、パレット手段は、所定距離が少なくともフォークリフトの爪の厚さを超えるように、第1の平板と第2の平板との間に間隔保持部材を備えると共に、棒体の各々の下端は第1の平板の上面に接続され、使用時において、隣接したパレット手段のいずれかの間にフォークリフトの爪を挿入した場合であっても、第1の平板を介して重量物を支持できるように第1の平板の大きさが設定されるものである。
【0034】
このように構成すると、使用時において、いずれの方向からも第1の平板の下端へフォークリフトの爪を挿入することができる。また、第1の平板がその含まれる平面内で回転するおそれがない。
【0035】
請求項15記載の発明は、請求項10から請求項14のいずれかに記載の発明の構成において、保持手段は、積載状態の重量物に対して棒体の各々を当接させた状態で重量物と棒体とを外部から一体に締め付ける可撓性を有する帯状部材を含むものである。
【0036】
このように構成すると、帯状部材は各々の棒体及び重量物の外形に沿うように変形する。
【0037】
【発明の効果】
【0038】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、一対のパレット手段が重量物と一体となるので、いずれか一方のパレット手段側に重量物の重量が偏ったとしても、そのパレット手段には過度の力が加わらないため、一対のパレット手段の重量物の梱包状態が良好に保持される。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、重量物用梱包パレットに一体となった重量物を安定した状態でフォークリフトにより容易に持ち上げることが可能となる。
【0039】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、パレット手段の各々のベース部材同士が、フォークリフトの一対の爪の幅を超える間隔になるような大きさの重量物を積載した場合には、重量物用梱包パレットに一体となった重量物を安定した状態で、フォークリフトにより、平板を介して重量物に損傷を与えることなく容易に持ち上げることが可能となる。
【0040】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、使用時にベース部材の長手方向に対して垂直な方向に並設された2個の重量物用梱包パレットの間に、間隔保持棒を設置できるので、間隔保持棒を設置するだけでこれら重量物用梱包パレット同士の間隔を一定状態に保持することが可能となる。
【0041】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、隣接する重量物用パレット同士が接近して配置される場合においても、積載される重量物は、緩衝部材を介して相手側の棒体と当接するので、重量物に損傷が生じる虞がない。
【0042】
請求項6記載の発明は、4組のパレット手段が重量物と一体となるので、いずれか1つのパレット手段に重量物の重量が偏ったとしても、そのパレット手段には過度の力が加わらないため、4組のパレット手段の重量物の梱包状態が良好に保持される。
【0043】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の効果に加えて、使用時における重量物用梱包パレットのいずれの方向からも、フォークリフトの爪を挿入することができるので、重量物用梱包パレットに一体となった重量物を安定した状態で、フォークリフトにより容易に持ち上げることが可能となる。
【0044】
請求項8記載の発明は、請求項6又は請求項7記載の発明の効果に加えて、棒体であるパイプ材が、第1の平板及び第2の平板の双方により支えられるので、強度が向上する。
【0045】
請求項9記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の発明の効果に加えて、パレット手段の各々と重量物との外形形状にかかわらず一体化状態が安定する。
【0046】
請求項10記載の発明は、4組のパレット手段が重量物と一体となるので、いずれか一つのパレット手段側に重量物の重量が偏ったとしても、そのパレット手段には過度の力が加わらないため、4組のパレット手段の重量物の梱包状態が良好に保持される。また、各々のパレット手段は、2本の棒体で重量物の側壁に当接し、これにより平板の延びる方向が固定されるので、重量物の梱包状態が安定する。
【0047】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明の効果に加えて、使用時における重量物用梱包パレットのいずれの方向からも、フォークリフトの爪を挿入することができるので、重量物用梱包パレットに一体となった重量物を安定した状態で、フォークリフトにより容易に持ち上げることが可能となる。
【0048】
請求項12記載の発明は、請求項10又は請求項11記載の発明の効果に加えて、各々のパレット手段の2本の棒体が掛け板材により平行状態に固定されるので、棒体に過度の重量が加わった場合においても、2本の棒体の平行状態は保持され、梱包状態は安定する。また、パレット手段の一方の端縁側が垂直な壁面に当接配置される場合に、掛け板材の外面にて当接状態となり、平板や緩衝部材が当接しないので、設置状態が安定する。
【0049】
請求項13記載の発明は、4組のパレット手段が重量物と一体となるので、いずれか一つのパレット手段側に重量物の重量が偏ったとしても、そのパレット手段には過度の力が加わらないため、4組のパレット手段の重量物の梱包状態が良好に保持される。また、各々のパレット手段は、2本の棒体で重量物の側壁に当接し、これにより平板の延びる方向が固定されるので、重量物の梱包状態が安定する。
【0050】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の発明の効果に加えて、使用時において、いずれの方向からも第1の平板の下端へフォークリフトの爪を挿入することができるので、重量物用梱包パレットと一体となった重量物を安定した状態で、フォークリフトにより容易に持ち上げることが可能となる。また、第1の平板がその含まれる平面内で回転するおそれがないので、安定した支持状態を確保することが可能となる。
【0051】
請求項15記載の発明は、請求項10から請求項14のいずれかに記載の発明の効果に加えて、パレット手段の各々と重量物との外形形状にかかわらず一体化状態が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
図1は、この発明の第1の実施の形態による重量物用梱包パレットの外観形状を示した斜視図であり、図2は、図1の重量物用梱包パレットの使用状態を示した斜視図である。
これらの図を参照して、重量物用梱包パレット11aは、同一形状の一対のパレット部材(パレット手段)12a、12bから構成されている。以下、これらの一方のパレット部材12aについて説明する。パレット部材12aは、断面がH形のスチール製の鋼材を横倒しにし、水平設置したベース部材14aを備え、このベース部材14aの上面には、垂直上方に伸びる2本の支柱(棒体)13a、13bが平行に立設されている。また、このベース部材14aの上面の一部を延長するように、一方から2枚のフォークパレット(平板)15a、15bが、ベース部材14aの延びる方向に対して直交する方向で且つ水平方向に延びている。ここで、ベース部材14aの下端が接地する水平な地面19からフォークパレット15a、15bの下面までの垂直距離Aは、少なくとも、フォークリフトの一対の爪18a、18bの各々が挿入可能な距離に設定されている。また、ベース部材14aの側面には、このベース部材14aの長手方向に対して垂直な方向からフォークリフトの一対の爪18c、18dの各々が挿入可能なフォークポケット(側面孔)17a、17bが形成されている。そして、これらフォークポケット17a、17bのそれぞれの両脇には、上下方向の荷重に対する補強のために、4枚の補強支持部材20a〜20dが設置されている。これにより、ベース部材14aの側方には、補強支持部材20aにより仕切られた凹部21a、補強部材20b、20cにより仕切られた凹部21b、また、補強部材20dにより仕切られた凹部21cが形成される。
【0053】
使用状態においては、このように形成されたパレット部材12a及び12bが、それぞれのフォークパレット15が向き合うように配置される。このパレット部材12a及び12bの間隔は、後述するように、支柱13の各々が重量物に当接状態で使用されるため、積載される重量物の大きさに合わせて変化し得る。そして積載する重量物の大きさに合わせて配置された重量物用梱包パレット11aに、ベース部材14の各々の一部が車輪22a〜22dからなる重量物の底面と当接状態となるように、車輪22a〜22dが積載される。
【0054】
この使用状態は図2に示されている。ここで、パレット部材12a、12bは、4本の支柱13a〜13dの各々が、積み上げられた車輪22a〜22dにより形成される、垂直方向に延びるほぼ円筒形状の外形の側壁に当接するように配置される。そして、この当接状態を保持するために、この側壁が支柱13a〜13dの各々と共に、外側から、保持手段としてのポリエチレン(PE)製のPEベルト(帯状部材)16a、16bによって固定される。このように、可撓性を有するPEベルト16a、16bにより外部から締め付けられるので、車輪22a〜22dや支柱13a〜13dからなる複雑な外形の凹凸に対しても追従性良く沿わせることができ、重量物を良好な状態で一体に保持することが可能となる。
【0055】
このような構成により、ベース部材14同士の間隔がフォークリフトの一対の爪18の幅よりも大きくなる場合には、ベース部材14の長手方向に対して垂直な方向からも、平行な方向からも、重量物に直接触れることなくフォークリフトの爪18を挿入することができるので、重量物に損傷を与えることなく容易に重量物用梱包パレット11aを持ち上げることが可能である。
【0056】
また、重量物用梱包パレット11aは2つのパレット部材12a、12bの組合わせにより構成されているので、移送中の慣性力等で車輪22a〜22dに水平力が加わったり、重量物用梱包パレット11aの設置面が傾いているような場合であっても、特定の支柱13に、重量物による過度の力が集中することはない。すなわち、すべての支柱13と重量物との当接状態は安定して保持され、一体の状態が良好に保持されるので、搬送が容易且つ安全である。
【0057】
更に、梱包作業は、重量物をパレット部材の上に搭載し、支柱ごとPEベルトにより固定するだけなので、梱包作業を非常に簡易なものとすることが可能である。
【0058】
更に、車輪は一枚ごとに搭載することもできるし、複数枚同時に搭載することもできる。
【0059】
図3は、図2の使用状態における重量物用梱包パレットをコンテナに積み込んだ状態を示した平面図であり、図4は、図3のX部分の拡大分解斜視図である。
【0060】
これらの図を参照して、コンテナ23内に、矢印の方向に複数の重量物用梱包パレット11が積み込まれ、コンテナ23の長手方向の両側面に沿うように2列に整列されている。ここで、個々の重量物用梱包パレット11は、そのベース部材14の長手方向をコンテナ23の長手方向と同一方向に揃えて側壁に当接するように配列されている。このため、コンテナ23の長手方向の側面に対しては、局所的に圧力が集中することはない。しかし、最も奥に位置する重量物用梱包パレット11b及び11cは、コンテナ23の長手方向に力が加わった場合、それぞれのベース部材14c〜14fの端部が当接する部分にその力が集中してしまう。そこで、コンテナ23の奥の内壁と最も奥に配置される重量物用梱包パレット11b、11cとの間に緩衝のために当て木25が宛がわれている。そして、所定の間隔を設けて2列に配列されている、それぞれ対向する重量物用梱包パレット11同士の隙間には、その所定の間隔を保持するために角材24a〜24c(間隔保持棒)を介在させている。これら当て木25及び角材24aの配置状態を示した図4から分かるように、当て木25には、ベース部材14とほぼ同じ高さの角材が用いられている。また、所定の間隔を保持するための角材24aは、ベース部材14dの側面中央部に形成された凹部21dに嵌合するものが用いられており、図示していないが、対向するベース部材14e側も同様である。
【0061】
このように、重量物用梱包パレット11により重量物が一体に梱包されると共に、コンテナ23内においても、重量物用梱包パレット11同士がずれを生じないように、当て木25及び角材24により互いに固定されているので、安定した搬送が可能となる。
【0062】
また、角材24や当て木25として用いる木材は、従来の木製パレットに比べれば少なく、また、再利用も可能である。
【0063】
尚、ベース部材の長手方向の長さを、コンテナの長手方向の長さの均等分に設定しておけば、コンテナの長手方向の荷固めは不要となり、作業の簡素化が可能となる。
【0064】
図5は、図2の使用状態における重量物用梱包パレットを図3とは異なる形態でコンテナに積み込んだ状態を示した平面図であり、図6は、図5のY部分の拡大分解斜視図である。
【0065】
これらの図を参照して、コンテナ23内に、重量物用梱包パレット11のベース部材14の長手方向をコンテナ23の長手方向に揃えるように、重量物用梱包パレット11が矢印の方向に積み込まれる。
【0066】
先ず、図3に示したのと同様に、コンテナ23の奥の内壁に緩衝用の当て木25が配置され、これにベース部材14の端部を当接させ、且つ、コンテナ23の長手方向の両側面に沿うように、2つの重量物用梱包パレット11f、11hが配置される。
【0067】
次に、図3の配置とは異なり、3つ目の重量物用梱包パレット11gは、先に配置されている2つの重量物用梱包パレット11f、11hの重量物の下方に、自身の2本のベース部材14の各々の端部を滑り込ませるように配置される。尚、重量物用梱包パレット11gのベース部材14の端部を滑り込ませる際に、先に配置されている2つの重量物用梱包パレット11f、11hと接触状態になるが、このとき、互いに相手側の重量物に損傷を与えないように、それぞれの重量物用梱包パレット11の支柱13の各々には、自身の重量物の側壁と当接しない部分の外面を覆うように緩衝部材26が備えられている。
【0068】
以降は、このように、2個配置した後、その間に組合わせるように1個を配置するという繰り返しにより重量物用梱包パレット11が順次格子状に積載される。
【0069】
尚、このような配置の場合、重量物用梱包パレット11同士が組み合わされることにより、互いの位置を固定することができるので、図3に示したような所定の間隔を保持するための角材24はほとんど必要ない。しかし、図5に戻って、最も端に位置する重量物用梱包パレット11fと11hとの間には、バランスを保つために、角材24bが用いられている。この場合の角材24bの端部の固定には、図1に示した、凹部21cに相当する部分が利用される。
【0070】
このような積載形態により、図3に示したコンテナへの積載形態よりも少ない数の角材24にて重量物用梱包パレットを固定することができるので、更に木材の使用量を削減できると共に、コンテナ内の荷固め作業を簡素化することが可能となる。
【0071】
図7は、この発明の第2の実施の形態による重量物用梱包パレットの外観形状を示した斜視図であり、図8は、図7の重量物用梱包パレットの使用状態を示した斜視図である。
【0072】
これらの図を参照して、重量物用梱包パレット30は、同一形状の4組のパレット部材(パレット手段)31a〜31dから構成されている。ここでは、これらのうちのパレット部材31aの構成について説明する。パレット部材31aは垂直方向に立設されたパイプ材からなる支柱32a(棒体)と、この下端側を固定する水平な上板33(第1の平板)及び下板34(第2の平板)とを備えている。ここで、これら上板33と下板34とは、フォークリフトの爪が挿入可能な所定距離の棚高Bを保って平行且つ同一方向に配置されている。そして、支柱32aの下端は、上板33を貫通するように下板34の上面にまで達しており、支柱32aの下端側が上板33と下板34との両方に支えられる構造となっている。また、これら上板33と下板34との間には、上板33の上方からの荷重を支える補強材として補強支持部材35が設けられている。
【0073】
このような構成の4つのパレット部材31a〜31dが、使用状態においては、矩形を形作るように4方に配置される。そして、図8に示すように、4段に積まれた車輪22a〜22dからなる重量物が、各上板33上の一部に、その底面の一部を当接するように積載される。ここで、各支柱32a〜32dは、第1の実施の形態と同様に、積載された車輪22a〜22dの外形が形成する筒状構造の側壁に当接される。そして、このような当接状態の車輪22a〜22dと各パレット部材31a〜31dの支柱32a〜32dとが、共に、可撓性を有する保持手段であるPEベルト(帯状部材)16c、16dにより外側から締め付けられることにより一体に固定される。
【0074】
ここで、図7に示したように、それぞれのパレット部材31には、上板33と下板34との間にフォークリフトの爪が挿入可能な縁部36a〜36dが設けられている。これら縁部36a〜36dの各々は、上板33を介してフォークリフトで重量物を支持するのに十分な幅に設定されている。これにより、図8に示すように、どの方向からも重量物を搭載した重量物用梱包パレット30を、フォークリフトにより容易に持ち上げることが可能となり使い勝手が良い。
【0075】
また、第1の実施の形態に示した重量物用梱包パレット11と同様に、設置面が傾いたりした場合、搭載される重量物の重量配分が偏ったとしても、特定のパレット部材31の支柱32に過度の力が集中することなく、それぞれの支柱32が重量物に対する当接状態を安定して保つことができる。すなわち、重量物と重量物用梱包パレットとが良好に一体の状態を保持することが可能となる。
【0076】
特に、第2の実施の形態における重量物用梱包パレットは、一対のパレット部材からなる第1の実施の形態における重量物用梱包パレットと異なり、支柱1本毎に分割された4組のパレット部材から構成されているので、如何なる方向に重量物の重量配分が偏っても、一体の状態を良好に保持することが可能である。
【0077】
尚、上記の第1の実施の形態では、ベース部材として側面にフォークリフトの一対の爪の各々を挿入可能な一対の側面孔が形成されたH形鋼を用いる例を示したが、これら側面孔は形成されていなくても良く、また、H形鋼でなくても良い。
【0078】
また、上記の第1の実施の形態では、ベース部材の側面に補強支持部材を設置したことにより、角材の端部を嵌合することができる凹部が形成された例を示したが、このような凹部は形成されていなくても良い。
【0079】
また、上記の第1の実施の形態では、フォークパレットが、1つのパレット部材から水平に2枚突出した構造を例として示したが、下側からフォークリフトにより容易に持ち上げることができる構成であれば、2枚に限る必要はなく、また、ベース部材の上面と同じ水平面を形成する形状でなくても良い。
【0080】
更に、上記の第1の実施の形態では、ベース部材の側面に2つのフォークポケットが形成された例を示したが、フォークリフトの一対の爪を挿入し、安定して重量物用梱包パレットを持ち上げることができる構造であれば、2つに限定されるものではない。
【0081】
更に、上記の第1の実施の形態では、他の重量物の損傷を防止するために、棒体の外面に緩衝部材を組合わせた例を示したが、この緩衝部材は棒体と一体であっても良く、また、この緩衝部材を用いない構成であっても構わない。
【0082】
更に、上記の第1の実施の形態では、ベース部材に水平に接続された平板の下面の、地面からの垂直距離は、フォークリフトの爪を挿入することができる高さに設定されている例を示したが、フォークリフトの爪を挿入できない高さであっても良い。
【0083】
更に、上記の第2の実施の形態では、棒体であるパイプ材の下端が、第1の平板を貫通して第2の平板の上面に接続される例を示したが、第1の実施の形態と同様に、第1の平板の上面に接続される構成でも良く、逆に、第1の実施の形態のベース部材を第2の実施の形態のような2枚の平板により構成し、棒体の下端が上の平板を貫通し、下側の平板の上面に接続される構成であっても良い。
【0084】
更に、上記の第2の実施の形態では、第1の平板及び第2の平板の間の距離は、フォークリフトの爪の厚さを超えるように設定される例を示したが、フォークリフトの爪の厚さ以下に設定されていても良い。
【0085】
更に、上記の第2の実施の形態では、使用時において、隣接したパレット手段のいずれの間からフォークリフトの爪を挿入した場合であっても、第1の平板を介して重量物を支持できるように、第1の平板の大きさが設定されている例を示したが、一方向からのみ、第1の平板を介して重量物を支持できるように大きさが設定されていても良い。
【0086】
更に、上記の各実施の形態では、棒体としてパイプ材を用いたが、これに限らず、積載する重量物の形状に合わせた、良好な当接状態を保持できる他の形状であっても構わない。
【0087】
更に、上記の各実施の形態では、棒体を重量物と共に一体に保持するための保持手段として、2本のPEベルトを用いる例を示したが、本数、材質はこれに限らず、又、重量物に対する棒体の当接状態を安定して保ち、一体の状態を良好に保持できるものであれば、他の構成でも構わない。
【0088】
更に、上記の各実施の形態では、積載する重量物として、積み上げられた車輪を例に示したが、積載状態において外形が垂直上方に延びるほぼ円筒形状の重量物であれば、例えば、コイルのような車輪以外の重量物であっても構わない。
【0089】
図10はこの発明の第3の実施の形態による重量物用梱包パレットの外観形状を示した斜視図であり、図11は図10のZ部分を側面から見た拡大図であり、又、図12は図10の重量物用梱包パレットの使用状態を示した斜視図である。
【0090】
これらの図を参照して、重量物用梱包パレット50は、同一形状の4組のパレット部材(パレット手段)51a、51b、51c及び51dから構成されている。以下、これらの1つであるパレット部材51aについて説明する。
【0091】
パレット部材51aは、各々が垂直方向に伸び、且つ対向状態に配置された2本の支柱(棒体)52a、52bを備えている。そして、これら2本の支柱52a、52bの下端部は、それぞれ、水平方向に延びる矩形形状に形成された金属製の平板53の上面のうち、一辺56に沿うように整列して配置されている。また、この平板53の下面には、平面視において平板53とほぼ同一の矩形形状に形成された木材などの緩衝部材54が上下に整列するように接合されている。ここで、この緩衝部材54の厚さ(所定の厚さ)は、これに平板53の厚さを加えた厚さが、少なくともフォークリフトの爪18の厚さよりも大きくなるように設定されている。更に、パレット部材51aは、2本の支柱52a、52bの側面同士を掛け渡す2枚の掛け板材55a、55bを、上下に適当な間隔を設けて備えている。ここで、掛け板材55bの周辺について図11に詳しく示しているように、掛け板材55bは平板53の一辺56(紙面に垂直方向)を含む垂直面(図示せず)よりもパレット部材51aの外方側に配置されている。よって、重量物用梱包パレット50を壁面等に沿わせて配置する場合には、平板53が壁面等に接することなくこの掛け板材55の外面全体のみで壁面に当接するので梱包状態が安定する。
【0092】
使用状態においては、図12に示すように、外形がほぼ円筒形状となるように積み上げられた3枚の車輪(重量物)22の最下段の底面が、パレット部材51a、51b、51c及び51dの各々の平板53の上面の一部と当接状態となる。また、これら車輪22の側面には、パレット部材51a、51b、51c及び51dの各々が備える2本の支柱52のそれぞれが当接状態となっている。そして、外周が、可撓性を有するPEベルト(保持手段としての帯状部材)16により固定され、これらパレット部材51a、51b、51c及び51dと車輪22とが一体に梱包される。尚、車輪22の保護のためには、各々のパレット部材51と車輪22との間に、合板の当て物、ゴムシート、又は樹脂のコーティング等を介在させることが望ましい。
【0093】
ここで、平板53及び緩衝部材54の平面視における大きさは、フォークリフトの爪18を、隣接したいずれのパレット部材51の間からも挿入でき、且つ、挿入されたフォークリフトの爪18が車輪22の底面を直接支持できるような大きさに設定されている。この場合、車輪22が損傷を受けないように、フォークリフトの爪18の上面にゴムシート等が設けられていることが望ましい。
【0094】
このような構造により、この実施の形態では、2本の平行な支柱52が車輪22等の円筒形状の重量物の側面と当接状態となるので、重量物に対して各々のパレット部材51が垂直方向の軸に対していかなる方向へも回転し難い状態で固定される。これにより、各々のパレット部材51の平板53はその面の向きを一定状態に保持することができ、フォークリフトの爪18を常に挿入し易い状態に保持すると共に、梱包状態を安定させることが可能となる。
【0095】
図13は図12の使用状態における重量物用梱包パレットをコンテナに積み込んだ状態を示した平面図である。
【0096】
図を参照して、車輪22を梱包した重量物用梱包パレット50がコンテナ23内に矢印の方向に積み込まれる。
【0097】
ここで、奥のコンテナ側壁57aに当接するように緩衝用の当て木25が配置されている。そして、この当て木25及び長手方向に伸びるコンテナ側壁57bに対して、重量物用梱包パレット50aが、それを構成する隣り合う2つのパレット部材51e、51fの外面を当接させるように配置される。また、当て木25及び長手方向に伸びるコンテナ側壁57cに対しては、重量物用梱包パレット50bが、それを構成する隣り合う2つのパレット部材51g、51hの外面を当接させるように配置される。そして、これら重量物用梱包パレット50a、50bのそれぞれに対して、互いの車輪22同士が当接するように3つ目の重量物用梱包パレット50cが積み込まれる。そして更に、この重量物用梱包パレット50cに対して、車輪22同士が接し、且つコンテナ側壁57b、57cに当接するように2つの重量物梱包パレット50d、50eが積み込まれる。以降は同様に、1個配置と2個配置とが交互に繰り返され、重量物用梱包パレット50が積み込まれる。
【0098】
このように、この実施の形態による重量物用梱包パレット50は、平面視で直交する2方向において対称な形状に構成されるので矩形形状を有するコンテナ23等への積み込みが容易になると共に、各々のパレット部材51の外面には掛け板材55が張り出しているので垂直な壁面等への当接により全体を一体化させ易くなり、安定した搬送が可能となる。
【0099】
図14はこの発明の第4の実施の形態による重量物用梱包パレットの外観形状を示した斜視図であり、図15は図14の重量物用梱包パレットの使用状態を示した斜視図である。
【0100】
これらの図を参照して、この実施の形態による重量物用梱包パレット60を構成する4組のパレット部材61は、第2の実施の形態において図7に示した4組のパレット部材31がそれぞれ1本の支柱32を備えるところを、各々が垂直方向に伸びると共に対向状態に配置された2本の支柱62で構成したものである。ここでは、第2の実施の形態と同様の構成については説明を繰り返さず、異なる構成部分のみについて説明を行う。以下では、4組のパレット部材61のうち、1つのパレット部材61aについて説明する。
【0101】
第2の実施の形態では、支柱32の下端は上板33を貫通して下板34と接続されていた。しかし、この実施の形態によるパレット部材61aの2本の支柱(棒体)62a、62bの下端はいずれも上板(第1の平板)33を貫通せず、上板33の上面に接続されている。そして、上板33と下板(第2の平板)34との間には、別途、円筒体よりなる間隔保持部材65が設けられている。ここで、間隔保持部材65により設定される上板33及び下板34の間の棚高(所定距離)Bは、少なくともフォークリフトの爪18の厚さを超える高さとなっている。また、上板33は、隣り合ったパレット部材61のいずれの間からもフォークリフトの爪18が挿入可能となるための縁部36を確保できる大きさに設定される。これにより、いずれの方向からも、重量物が上板33を介し、フォークリフトにより安定して持ち上げられる。
【0102】
また、2本の支柱62a、62bはそれらの側面を上下2枚の掛け板材68a、68bにより掛け渡されることにより強度的に安定し、その平行状態が保持される。
【0103】
このような構成により、この実施の形態におけるパレット部材61の各々は、PEベルト(保持手段としての帯状部材)16により一体に梱包された使用状態で、2本の支柱62は常に重量物に接した状態となる。したがって、上板33及び下板34の各々はその面内で回転することがないので、常に安定してフォークリフトの爪18を挿入することが可能となる。
【0104】
また、重量物に当接する各パレット部材の支柱が2本となっているので、PEベルト16を少なくとも1本用いれば、車輪22の側面と2本の支柱62との当接状態、すなわち、重量物用梱包パレット60の梱包状態は安定する。
【0105】
尚、上記の第3の実施の形態では、緩衝部材は、少なくともフォーリフトの爪が挿入できるような所定の厚さに設定される例を示したが、フォークリフトの爪が挿入できない厚さに設定し、ワイヤーなどで吊り上げる構成であっても良い。
【0106】
また、上記の第4の実施の形態では、上板(第1の平板)と下板(第2の平板)との間隔は、少なくともフォークリフトの爪を挿入できるような所定距離の棚高に設定される例を示したが、フォークリフトの爪が挿入できない距離に設定されていても良い。
【0107】
更に、上記の第3の実施の形態では、平板及び緩衝部材は、矩形形状に形成されている例を示したが、使用状態において、いずれの方向からもフォークリフトの爪が挿入可能であり、車輪等の重量物の底面を直接支持できるものであれば、例えば、円形等の他の形状であっても構わない。また、接合される平板と緩衝部材とは、平面視において一致するように整列する必要はなく、更に、それぞれが異なる形状であっても良い。
【0108】
更に、上記の第3の実施の形態では、平板の下面に緩衝部材を接合させた構成を例として示したが、この緩衝部材を用いず、平板のみの構成であっても良く、また、平板及び緩衝部材を共に用いない構成であっても良い。
【0109】
更に、上記の第4の実施の形態では、上板及び下板は、平面視にてほぼ同じ矩形形状に形成されている例を示したが、使用状態において、いずれの方向からもフォークリフトの爪が挿入可能であり、重量物を上板を介して支持できるものであれば、例えば、円形等の他の形状であっても構わない。また、上板と下板とは、平面視において一致するように整列する必要はなく、それぞれが異なる形状であっても良い。
【0110】
更に、上記の第2、第4の実施の形態では、下板を設けることにより、上板を所定の垂直距離だけ上方に配置する構成を例として示したが、下板を設けず、上板が地面に接する構成であっても良い。
【0111】
更に、上記の第4の実施の形態では、2本の支柱の下端部はいずれも上板の上面に接続されている構成を例として示したが、間隔保持部材65の代わりにその下端部が上板を貫通し、下板の上面に接続されていても良い。
【0112】
更に、上記の第3の実施の形態では、2本の支柱(棒体)は、平板の一辺に沿うように整列して配置される例を示したが、整列する必要はなく、また、一辺に沿っていなくても良い。
【0113】
更に、上記の各実施の形態では、パレット部材の2本の支柱は、2枚の掛け板材により掛け渡される例を示したが、2枚以外で構成しても良く、また、用いなくても良い。
【0114】
更に、上記の第3の実施の形態では、掛け板材は、その外面が平板の一辺を含む垂直面よりも外方側に配置される例を示したが、その一部又は全部が外方側に位置していなくても良い。
【0115】
更に、上記の各実施の形態では、支柱としてパイプ材を用いた例を示したが、これに限らず、積載する重量物の形状に合わせた、良好な当接状態を保持できる他の形状であっても構わない。
【0116】
更に、上記の各実施の形態では、支柱を重量物と共に一体に保持するための保持手段として、1本のPEベルトを用いる例を示したが、本数、材質はこれに限らず、又、重量物に対する棒体の当接状態を安定して保ち、一体の状態を良好に保持できるものであれば、他の構成でも構わない。
【0117】
更に、上記の各実施の形態では、積載する重量物として、積み上げられた車輪を例として示したが、積載状態において外形が垂直方向に延びるほぼ円筒形状の重量物であれば、例えば、コイルのような車輪以外の重量物であっても構わない。
【0118】
更に、上記の第2、第3及び第4の実施の形態では、重量物用梱包パレットがそれぞれ4組のパレット手段で構成される例を示したが、パレット手段の数はこれに限らず、2組又は3組であっても良い。
【0119】
更に、上記の第3の実施の形態では、使用時において、隣接したパレット部材のいずれの間からフォークリフトの爪を挿入した場合であっても、重量物の底面を直接支持できるように、平板及び緩衝部材の大きさが設定される構成を例として示したが、一方向からのみ、フォークリフトの爪を挿入できるように大きさが設定されていても良い。
【0120】
更に、上記の第4の実施の形態では、使用時において、隣接したパレット部材のいずれの間からフォークリフトの爪を挿入した場合であっても、上板を介して重量物を支持できるように、上板の大きさが設定される構成を例として示したが、一方向からのみ、上板を介して重量物を支持できるように大きさが設定されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】この発明の第1の実施の形態による重量物用梱包パレットの外観形状を示した斜視図である。
【図2】図1の重量物用梱包パレットの使用状態を示した斜視図である。
【図3】図2の重量物用梱包パレットをコンテナに積み込んだ状態を示した平面図である。
【図4】図3のX部分の拡大分解斜視図である。
【図5】図2の重量物用梱包パレットを図3とは別の形態によりコンテナに積み込んだ状態を示した平面図である。
【図6】図5のY部分の拡大分解斜視図である。
【図7】この発明の第2の実施の形態による重量物用梱包パレットの外観形状を示した斜視図である。
【図8】図7の重量物用梱包パレットの使用状態を示した斜視図である。
【図9】従来の車輪の搭載状態を示した鋼製パレットの斜視図である。
【図10】この発明の第3の実施の形態による重量物用梱包パレットの外観形状を示した斜視図である。
【図11】図10のZ部分を側面から見た拡大図である。
【図12】図10の重量物用梱包パレットの使用状態を示した斜視図である。
【図13】図12の使用状態における重量物用梱包パレットをコンテナに積み込んだ状態を示した平面図である。
【図14】この発明の第4の実施の形態による重量物用梱包パレットの外観形状を示した斜視図である。
【図15】図14の重量物用梱包パレットの使用状態を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0122】
11、30、50、60…重量物用梱包パレット
12、31、51、61…パレット部材
13、32、52、62…支柱
14…ベース部材
15…フォークパレット
16…PEベルト
17…フォークポケット
19…ベース高さ
21…凹部
26…緩衝部材
33…上板
34…下板
37…棚高
54…緩衝部材
55、68…掛け板材
56…一辺
65…間隔保持部材
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載状態において外形が垂直方向に延びるほぼ円筒形状の重量物を梱包するための一対のパレット手段を含む重量物用梱包パレットであって、
前記パレット手段の各々は、
垂直方向に伸びると共に、使用時に前記重量物の側壁に当接状態となり、互いに平行状態に配置された2本の棒体と、
前記棒体の各々の下端部が接続され、水平方向に延びると共に、使用時に前記重量物の底面にその一部が当接状態となるベース部材と、
前記ベース部材の上方部に接続されると共に、前記ベース部材の延びる方向に対して直交する方向で且つ水平方向に伸びる平板とを備え、
更に、使用時に前記棒体の各々と前記側壁との当接状態を保持する保持手段を備えた、重量物用梱包パレット。
【請求項2】
前記ベース部材には、長手方向に対して垂直な方向にフォークリフトの一対の爪の各々を挿入可能な一対の側面孔が形成された、請求項1記載の重量物用梱包パレット。
【請求項3】
前記平板の底面と前記ベース部材の下端を含む水平面との垂直距離は、少なくとも、フォークリフトの爪の厚さより大きい、請求項1又は請求項2記載の重量物用梱包パレット。
【請求項4】
前記ベース部材には、使用時における外方の側面に、隣接する前記重量物用梱包パレット間を所定間隔に保つ間隔保持棒の一端を嵌合可能な凹部が、少なくとも1箇所形成された、請求項1から請求項3のいずれかに記載の重量物用梱包パレット。
【請求項5】
前記棒体は、使用時に前記重量物の前記側壁と当接しない外面部分を覆うように緩衝部材を備えた、請求項1から請求項4のいずれかに記載の重量物用梱包パレット。
【請求項6】
積載状態において外形が垂直方向に延びるほぼ円筒形状の重量物を梱包するための4組のパレット手段を含む重量物用梱包パレットであって、
前記パレット手段の各々は、
垂直方向に伸びると共に、使用時に前記重量物の側壁に当接状態となる棒体と、
前記棒体の下端側に接続され、水平方向に延びると共に使用時に前記重量物の底面にその一部が当接状態となる第1の平板と、
前記第1の平板に所定距離下方に離れた位置に配置され、前記第1の平板と平行で且つ同一方向に延びる第2の平板とを備え
更に、使用時に前記棒体の各々と前記側壁との当接状態を保持する保持手段を備えた、重量物用梱包パレット。
【請求項7】
前記所定距離は、前記第1の平板の下面と前記第2の平板の上面との間の垂直距離が、少なくとも、フォークリフトの爪の厚さを超えるように設定されると共に、
使用時において、隣接した前記パレット手段のいずれの間にフォークリフトの爪を挿入した場合であっても前記第1の平板を介して前記重量物を支持できるように前記第1の平板の大きさが設定される、請求項6記載の重量物用梱包パレット。
【請求項8】
前記棒体はパイプ材を含み、
前記パイプ材の下端が、前記第1の平板を貫通して前記第2の平板の上面に接続される、請求項6又は請求項7記載の重量物用梱包パレット。
【請求項9】
前記保持手段は、積載状態の前記重量物に対して前記棒体の各々を当接させた状態で前記重量物と前記棒体とを外部から一体に締め付ける可撓性を有する帯状部材を含む、請求項1から請求項8のいずれかに記載の重量物用梱包パレット。
【請求項10】
積載状態において外形が垂直方向に延びるほぼ円筒形状の重量物を梱包するための4組のパレット手段を含む重量物用梱包パレットであって、
前記パレット手段の各々は、
各々が垂直方向に伸びると共に、使用時に前記重量物の側壁に当接状態となり、対向状態に配置された2本の棒体と、
前記棒体の各々の下端部が接続され、水平方向に延びると共に、使用時に前記重量物の底面にその一部が当接状態となる平板を備え、
更に、使用時に前記棒体の各々と前記側壁との当接状態を保持する保持手段を備えた、重量物用梱包パレット。
【請求項11】
前記パレット手段の各々は、前記平板の下面に接合され、所定の厚さよりなる緩衝部材を備え、
前記所定の厚さに前記平板の厚さを加えた厚さは、少なくとも、フォークリフトの爪の厚さより大きくなるように設定されると共に、
使用時において、隣接した前記パレット手段のいずれの間に前記フォークリフトの爪を挿入した場合であっても前記重量物を直接支持できるように前記平板及び前記緩衝部材の大きさが設定される、請求項10記載の重量物用梱包パレット。
【請求項12】
前記平板及び前記緩衝部材は平面視においてほぼ同一の矩形形状に形成されると共に上下に整列するように配置され、
前記パレット手段の前記2本の棒体の各々は、前記平板の一辺に沿うように整列して配置され、
前記パレット手段の各々は、前記2本の棒体の各々の側面に掛け渡すように接続される少なくとも1つの掛け板材を更に備え、
前記掛け板材の外面は、前記一辺を含む垂直面よりも外方側に位置する、請求項10又は請求項11記載の重量物用梱包パレット。
【請求項13】
積載状態において外形が垂直方向に延びるほぼ円筒形状の重量物を梱包するための4組のパレット手段を含む重量物用梱包パレットであって、
前記パレット手段の各々は、
各々が垂直方向に伸びると共に、使用時に前記重量物の側壁に当接状態となり、対向状態に配置された2本の棒体と、
前記棒体の各々の下端側が接続され、水平方向に延びると共に、使用時に前記重量物の底面にその一部が当接状態となる第1の平板と、
前記第1の平板に所定距離下方に離れた位置に配置され、前記第1の平板と平行で且つ同一方向に延びる第2の平板とを備え、
更に、使用時に前記棒体の各々と前記側壁との当接状態を保持する保持手段を備えた、重量物用梱包パレット。
【請求項14】
前記パレット手段は、前記所定距離が少なくともフォークリフトの爪の厚さを超えるように、前記第1の平板と前記第2の平板との間に間隔保持部材を備えると共に、
前記棒体の各々の下端は前記第1の平板の上面に接続され、
使用時において、隣接した前記パレット手段のいずれかの間に前記フォークリフトの爪を挿入した場合であっても、前記第1の平板を介して前記重量物を支持できるように前記第1の平板の大きさが設定される、請求項13記載の重量物用梱包パレット。
【請求項15】
前記保持手段は、積載状態の前記重量物に対して前記棒体の各々を当接させた状態で前記重量物と前記棒体とを外部から一体に締め付ける可撓性を有する帯状部材を含む、請求項10から請求項14のいずれかに記載の重量物用梱包パレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−238175(P2007−238175A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135922(P2006−135922)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(501404804)住友金属物流株式会社 (13)
【Fターム(参考)】