説明

重量計測装置

【課題】ドラム缶8の重量をエアシリンダ9で計測すること。
【解決手段】電磁弁17が排出状態から注入状態に切換えられた場合にはエアポンプ11からレギュレータ14およびスピードコントローラ16を通してエアシリンダ9に検出空気が注入開始され、エアシリンダ9に検出空気が注入開始された場合にはエアシリンダ9の内圧が大気圧から時間の経過に対して右上りの直線で上昇する。このエアシリンダ9の内圧がドラム缶8の重量に応じた大きさとなった場合にはレバー4が基準位置から反時計回り方向へ回転し、レバー4が基準位置から反時計回り方向へ回転した場合には空電リレー19の電気的な状態が変化し、空電リレー19の電気的な状態が変化した場合には制御回路が圧力センサ18からの圧力信号をドラム缶8の重量として検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリンダを用いて計測物の重量を計測する重量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
重量計測装置にはエアシリンダおよび計測台を備えたものがある。計測台は計測物が載せられるものであり、エアシリンダのピストンロッドが初期位置に静止している状態で基準位置に静止する。このエアシリンダはエア供給源からレギュレータを通して一定の圧力の空気が注入されるものであり、計測台は計測物の重量が閾置を下回る場合にエアシリンダのピストンロッドによって押されることで基準位置から一定量を超えて移動し、計測台が一定量を超えて移動した場合には警報器が作動することで計測物の重量が過小であると作業者に報知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−4325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記重量計測装置は計測物の重量が過小であるか否かを作業者に報知するものであり、計測物の重量の大きさを作業者に報知することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の重量計測装置は、流体を吐出する流体源と、前記流体源から吐出された流体の圧力を調整するレギュレータと、前記レギュレータで調圧された流体の流量を調整する流量弁と、シリンダチューブおよびピストンロッドを有するシリンダと、「1A)前記シリンダチューブ内を開放する第1の状態」および「2A)前記シリンダチューブ内を閉鎖する状態であって前記流体源から前記レギュレータおよび前記流量弁のそれぞれを通して前記シリンダチューブ内に流体を注入することで前記ピストンロッドに圧力を加える第2の状態」のそれぞれに切換えられる制御弁と、重量を計測するための計測物が載せられるものであって「1B)前記制御弁の前記第1の状態では一定の基準位置に静止する」と共に「2B)前記制御弁が前記第1の状態から前記第2の状態に切換えられた場合には前記シリンダチューブ内が前記計測物の重量に応じた圧力となることに応じて前記ピストンロッドにより押されて前記基準位置から移動する」レバーと、前記レバーが前記基準位置にあるか否かに応じて電気的な状態が変化するスイッチと、前記シリンダチューブ内の圧力の大きさに応じた圧力信号を出力する圧力センサと、前記レバーが前記基準位置から移動したことで前記スイッチの電気的な状態が変化した場合に前記圧力センサからの圧力信号を検出する検出回路を備え、前記流量弁は前記レバーの前記基準位置で前記レバーに前記計測物が載せられた状態で前記制御弁が前記第1の状態から前記第2の状態に切換えられた場合に前記シリンダチューブ内の圧力が基準値から時間の経過に対して線形で上昇するように前記レギュレータで調圧された流体の流量を調整するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0006】
制御弁が第1の状態から第2の状態に切換えられた場合には流体源からレギュレータおよび流量弁のそれぞれを通してシリンダチューブ内に流体が注入開始され、シリンダチューブ内に流体が注入開始された場合にはシリンダチューブ内の圧力が基準値から時間の経過に対して線形で上昇する。このシリンダチューブ内の圧力が計測物の重量に応じた大きさになった場合にはレバーがシリンダチューブ内の圧力で基準位置から移動し、レバーが基準位置から移動した場合にはスイッチの電気的な状態が変化し、スイッチの電気的な状態が変化した場合には検出回路が圧力センサからの圧力信号を検出する。この圧力信号の検出結果はレバーが測定物の重量に抗して基準位置から移動したときのシリンダチューブ内の圧力に相当するものであり、測定物の重量は圧力信号として検出される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1を示す図(重量計測装置の機械的な構成を示す図)
【図2】重量計測装置の電気的な構成を示す図
【図3】制御回路の重量測定処理を示すフローチャート
【図4】エアシリンダの昇圧状態を示す図
【図5】実施例2を示す図(図1相当図)
【発明を実施するための形態】
【0008】
【実施例1】
【0009】
図1の床面1は水平なものであり、床面1には検出台2が固定されている。この検出台2は中空な箱状をなすものであり、床面1に対して水平な載置面3を有している。この検出台2にはレバー4が装着されている。このレバー4は水平な軸5を中心に回転可能にされたものであり、載置面6および操作面7を有している。このレバー4はストッパに接触することで基準位置に静止するものであり、レバー4の基準位置では載置面6および操作面7のそれぞれが水平状態となり、載置面6は水平状態となることで検出台2の載置面3と同一の水平面に配置される。この検出台2の載置面3はドラム缶8の一部が載せられるものである。このドラム缶8は液状の塗料を貯留するものであり、ドラム缶8のうち検出台2の載置面3に載せられた一部を除く残りの残余部はレバー4の載置面6に載せられる。このドラム缶8は測定物に相当する。
【0010】
検出台2内には、図1に示すように、エアシリンダ9が固定されている。このエアシリンダ9はシリンダチューブとピストンとピストンロッドを有するものであり、シリンダチューブは検出台2の載置面3に対して垂直な鉛直方向へ指向し、ピストンはシリンダチューブ内に鉛直方向へ移動可能に挿入されている。ピストンロッドはピストンに固定されたものであり、シリンダチューブに対して同軸な円柱状をなしている。このエアシリンダ9は圧力室を有している。この圧力室はシリンダチューブおよびピストンで囲まれた密閉空間であり、ピストンロッドは圧力室内が大気圧にされている場合に初期位置に静止し、ピストンロッドの初期位置ではピストンロッドの上端面がレバー5の操作面7に下方から接触した状態になる。このピストンロッドの初期位置ではピストンロッドから操作面7に下から上に向けての操作力が作用せず、レバー4が基準位置に静止する。このエアシリンダ9はシリンダに相当する。
【0011】
エアシリンダ9は、図1に示すように、注入口および排出口を有している。注入口は圧力室内に空気を注入するものであり、ピストンロッドは圧力室内に空気が注入されることでピストンと共に上昇する。排出口は圧力室内から空気を排出するものであり、ピストンロッドは圧力室内から空気が排出されることでピストンと共に下降する。このピストンロッドはレバー4の基準位置で初期位置から上昇した場合にレバー4の操作面7を下から上に向けて押すものであり、レバー4はレバー4の基準位置で操作面7が下から上に向けて押されることで軸5を中心に反時計回り方向へ回転する。
【0012】
検出台2には、図1に示すように、押ボタンバルブ10が固定されている。この押ボタンバルブ10は押ボタンおよびリターンスプリングを有するものであり、押ボタンは閉鎖位置および閉鎖位置に比べて上方の開放位置相互間で鉛直方向へ移動可能にされている。この押ボタンはレバー4の基準位置でレバー4の重量が操作面7を通して作用するものであり、レバー4の重量でリターンスプリングのばね力に抗して閉鎖位置に静止する。この押ボタンはレバー4が基準位置から反時計回り方向へ回転した場合にレバー4の操作面7が離間するものであり、レバー4が基準位置から反時計回り方向へ回転した場合には押ボタンがリターンスプリングのばね力で開放位置に上昇する。この押ボタンバルブ10は入口および出口を有するものであり、押ボタンの開放位置で空気が入口から出口を通って通過可能な開放状態となり、押ボタンの閉鎖位置で空気が通過不能な閉鎖状態となる。
【0013】
床面1には、図1に示すように、エアポンプ11が設置されている。このエアポンプ11はポンプモータを駆動源とするものであり、入口および出口を有している。このエアポンプ11はポンプモータの運転状態で入口に大気を吸引するものであり、エアポンプ11の入口に吸引された大気は出口から排出される。このエアポンプ11は流体源に相当する。このエアポンプ11の出口には配管を介してゲートバルブ12の入口が接続されており、エアポンプ11の出口から排出された大気はゲートバルブ12の入口に供給される。このゲートバルブ12は入口および出口を有するものであり、入口に供給された大気を出口から排出する開放状態および出口から排出しない閉鎖状態相互間で機械的に切換えられる。
【0014】
床面1には、図1に示すように、制御盤13が固定されおり、制御盤13にはレギュレータ14とレギュレータ15とスピードコントローラ16と電磁弁17と圧力センサ18と空電リレー19が固定されている。レギュレータ14およびレギュレータ15のそれぞれは入口および出口を有するものであり、入口から供給された空気を一定の圧力に調整して出口から排出する。これらレギュレータ14およびレギュレータ15のそれぞれの入口は配管を介してゲートバルブ12の出口に接続されており、ゲートバルブ12の開放状態でエアポンプ11のポンプモータが運転されている場合にはエアポンプ11からゲートバルブ12を通してレギュレータ14の入口およびレギュレータ15の入口のそれぞれに大気が供給され、レギュレータ14の出口およびレギュレータ15の出口のそれぞれから圧力が一定値に調整された検出空気が排出される。
【0015】
スピードコントローラ16は、図1に示すように、入口と出口とオリフィスを有するものであり、入口から供給された空気の流量をオリフィスで絞ることで一定値に調整して出口から排出する。このスピードコントローラ16の入口はレギュレータ14の出口に配管を介して接続されており、スピードコントローラ16はレギュレータ14から一定圧力の検出空気が供給されることで一定流量の検出空気を排出する。このスピードコントローラ16は流量弁に相当する。電磁弁17は注入側入口と注入側出口と排出側入口と排出側出口を有するものであり、電磁弁17の注入側入口には配管を介してスピードコントローラ16の出口が接続され、電磁弁17の注入側出口はエアシリンダ9の注入口に配管を介して接続されている。このエアシリンダ9の排出口は電磁弁17の排出側入口に配管を介して接続されており、電磁弁17の排出側出口は大気に開放されている。この電磁弁17は制御弁に相当する。
【0016】
電磁弁17は電磁ソレノイドを駆動源とするものであり、電磁ソレノイドの電気的なオン状態で注入状態となり、電磁ソレノイドの電気的なオフ状態で排出状態となる。注入状態は注入側入口および注入側出口のそれぞれが開放され且つ排出側入口および排出側出口のそれぞれが閉鎖された状態である。この注入状態は第2の状態に相当するものであり、電磁弁17の注入状態ではエアシリンダ9の圧力室内が大気から遮断された閉鎖状態となり、スピードコントローラ16の出口から排出された検出空気がエアシリンダ9の圧力室内に注入される。排出状態は注入側入口および注入側出口のそれぞれが閉鎖され且つ排出側入口および排出側出口のそれぞれが開放された状態である。この排出状態は第1の状態に相当するものであり、電磁弁17の排出状態ではエアシリンダ9の圧力室内が大気に開放された開放状態となり、エアシリンダ9の排出口から電磁弁17を通して圧力室内の検出空気が大気中に排出される。
【0017】
圧力センサ18は、図1に示すように、電磁弁17の排出側入口をエアシリンダ9の排出口に接続する配管に接続されたものである。この圧力センサ18は電磁弁17の注入状態でエアシリンダ9の圧力室の内圧に応じた圧力が作用するものであり、圧力室の内圧に応じた大きさの圧力信号を出力する。空電リレー19は空気圧が作用することで電気的なオフ状態からオン状態に切換わるものであり、空気圧の作用が停止することでオン状態からオフ状態にリターンスプリングのばね力で復帰する。この空電リレー19は配管を介して押ボタンバルブ10の出口に接続されており、押ボタンバルブ10が閉鎖状態から開放状態になった場合にレギュレータ15から押ボタンバルブ10を通して空気が供給されることでオン状態となり、押ボタンバルブ10が開放状態から閉鎖状態になった場合には空気の供給が停止することでオフ状態に戻る。この空電リレー19はスイッチに相当する。
【0018】
制御盤13には、図2に示すように、制御回路20と測定開始スイッチ21と測定停止スイッチ22と表示器23が固定されている。測定開始スイッチ21および測定停止スイッチ22のそれぞれはオン状態およびオフ状態相互間で電気的な状態が変化するものであり、操作力が作用することでオン状態となり、操作力が消滅することでオフ状態となる。制御回路20はCPUとROMとRAMを有するものであり、測定開始スイッチ21の電気的な状態と測定停止スイッチ22の電気的な状態と空電リレー19の電気的な状態と圧力センサ18からの圧力信号のそれぞれを検出する。この制御回路20は電磁弁17の電磁ソレノイドをオン状態およびオフ状態相互間で切換えるものであり、電磁弁17を注入状態および排出状態相互間で電気的に操作する。表示器23は作業者が視覚的に認識可能なものであり、制御回路20は圧力センサ18からの圧力信号を検出した場合に圧力信号の検出結果をドラム缶8の重量として表示器23に表示する。この制御回路20は検出回路に相当する。
【0019】
作業者がドラム缶8の重量を測定する場合にはエアポンプ11の運転状態およびゲートバルブ12の開放状態で検出台2の載置面3にドラム缶8の一部を載せ、レバー4の載置面6にドラム缶8の残余部を載せる。この状態では制御回路20が電磁弁17の電磁ソレノイドをオフ状態にすることで電磁弁17を排出状態にしており、スピードコントローラ16からの検出空気が電磁弁17で遮断されている。この電磁弁17の排出状態ではエアシリンダ9の圧力室内が大気圧にされており、エアシリンダ9のピストンロッドが初期位置に静止することでレバー4が基準位置に静止し、レバー4が基準位置に静止することで押ボタンバルブ10が閉鎖状態にされている。
【0020】
図3は制御回路20の重量測定処理を説明するためのフローチャートである。この重量測定処理は制御回路20のCPUがROMに予め記録された制御プログラムに応じて行うものであり、CPUはステップS1で測定開始スイッチ21がオン状態にあるか否かを判断する。この測定開始スイッチ21は作業者がドラム缶8を検出台2の載置面3およびレバー4の載置面6のそれぞれに載せた状態で操作するものであり、測定開始スイッチ21が操作された場合にはCPUはステップS1で測定開始スイッチ21がオン状態にあると判断してステップS2へ移行する。
【0021】
CPUはステップS2へ移行すると、電磁弁17の電磁ソレノイドをオフ状態からオン状態に切換える。この電磁ソレノイドのオン状態では電磁弁17が注入状態となり、電磁弁17の注入状態ではスピードコントローラ16からの検出空気がエアシリンダ9の圧力室内に注入される。図4は圧力センサ18からの圧力信号の時間的な変化であり、エアシリンダ9の圧力室の内圧がドラム缶8の重量に応じた大きさに到達する前にはピストンロッドの上昇がドラム缶8の重量で抑えられることで圧力信号が大気圧を基準値(0)として時間の経過に応じて直線的に大きくなる。この圧力信号の時間的な変化はスピードコントローラ16がレギュレータ14からの検出空気の流量を一定値に調整することで実現されたものであり、エアシリンダ9の圧力室の内圧は電磁弁17が排出状態から注入状態に切換えられた場合に基準値(大気圧)から時間の経過に対して右上りの直線で上昇する。
【0022】
CPUは図3のステップS2で電磁ソレノイドをオン状態に切換えると、ステップS3でRAMのタイマTの値に初期値(0)を設定する。このタイマTの値は一定時間(0.1秒)毎に起動するタイマ割込み処理で一定値(0.1)が加算されるものであり、CPUはステップS3でタイマTの値を初期設定した場合にはステップS4で測定停止スイッチ22がオン状態にあるか否かを判断する。ここで作業者が測定停止スイッチ22を操作した場合にはCPUは測定停止スイッチ22がオン状態にあると判断し、ステップS5で電磁ソレノイドをオン状態からオフ状態に切換えることで重量測定処理を終える。
【0023】
CPUはステップS4で測定停止スイッチ22がオフ状態にあると判断すると、ステップS6で空電リレー19がオン状態にあるか否かを判断する。ここで空電リレー19がオフ状態にあると判断した場合にはステップS7へ移行し、タイマTの値の加算結果をROMに予め記録された注入停止値Taと比較する。ここでタイマTの値の加算結果が注入停止値Taに到達していないと判断した場合にはステップS4に復帰し、測定停止スイッチ22がオン状態にあるか否かを判断する。
【0024】
タイマTの値の加算結果が注入停止値Taに到達する前にエアシリンダ9の圧力室の内圧がドラム缶8の重量に応じた大きさに到達した場合にはピストンロッドが圧力室の内圧でドラム缶8の重量に抗して初期位置から上昇し、ピストンロッドが初期位置から上昇した場合にはレバー4の操作面7を下から上に向けて押すことでレバー4を基準位置から反時計回り方向へ回転操作する。このレバー4が基準位置から反時計回り方向へ回転操作された場合には押ボタンバルブ10の押ボタンが閉鎖位置から開放位置に上昇することで押ボタンバルブ10が閉鎖状態から開放状態に切換り、押ボタンバルブ10が開放状態に切換わった場合にはレギュレータ15から押ボタンバルブ10を通して空電リレー19に空気圧が作用し、空電リレー19に空気圧が作用した場合には空電リレー19がオフ状態からオン状態に切換わる。この場合にはCPUはステップS6で空電リレー19がオン状態にあると判断し、ステップS8で圧力センサ18からの圧力信号を検出する。そして、ステップS9で圧力信号の検出結果を表示器23にドラム缶8の重量として表示し、ステップS11へ移行する。
【0025】
CPUはステップS7でタイマTの値の加算結果が注入停止値Taに到達したと判断すると、ステップS10で表示器23に測定不能のメッセージを表示し、ステップS5で電磁ソレノイドをオン状態からオフ状態に切換えることで重量測定処理を終える。即ち、作業者が検出台2の載置面3およびレバー4の載置面6に過大な重量のドラム缶8を載せた場合にはエアシリンダ9の圧力室の内圧がドラム缶8の重量に応じた大きさに到達することなく限度時間Taが経過し、表示器23に測定不能のメッセージが表示されることで作業者にドラム缶8の重量が測定不能であると報知される。
【0026】
CPUはステップS11へ移行すると、電磁ソレノイドをオン状態からオフ状態に切換えることで電磁弁17を注入状態から排出状態に切換える。この電磁弁17の排出状態ではエアシリンダ9の圧力室が電磁弁17を通して大気に開放され、レバー4がドラム缶8の重量で押されることで現在位置から時計回り方向へ回転し、レバー4が時計回り方向へ回転することでエアシリンダ9のピストンロッドを現在位置から下降させる。このレバー4が下降することで現在位置から基準位置に復帰した場合にはストッパに接触することで基準位置に静止し、レバー4が基準位置に静止した場合にはピストンロッドの下降が初期位置で停止する。
【0027】
CPUはステップS11で電磁ソレノイドをオフ状態に切換えると、ステップS12でタイマTの値に初期値(0)を設定する。そして、ステップS13でタイマTの値の加算結果がROMに予め記録された排出停止値Tbに到達したか否かを判断し、ステップS14で測定停止スイッチ22がオン状態にあるか否かを判断する。この排出停止値TbはステップS11で電磁ソレノイドがオフ状態にされてからエアシリンダ9の圧力室が大気圧に復圧するまでに必要な値に設定されたものであり、タイマTの値の加算結果が排出停止値Tbに到達する前に作業者が測定停止スイッチ22を操作した場合にはCPUはステップS14で測定停止スイッチ22がオン状態にあると判断して重量測定処理を終える。
【0028】
CPUは測定停止スイッチ22がオン状態にあると判断することなくタイマTの値の加算結果が排出停止値Tbに到達したと判断すると、ステップS2で電磁ソレノイドをオフ状態からオン状態に切換えることで次回の重量測定処理を開始する。即ち、作業者が測定開始スイッチ21を操作してから測定停止スイッチ22を操作するまでの期間内には、図4に示すように、エアシリンダ9の圧力室内に検出空気を注入する注入期間およびエアシリンダ9の圧力室内から検出空気を排出する排出期間が交互に発生し、注入期間で空電リレー19がオン状態となる毎に圧力センサ18からの圧力信号が検出され、圧力信号が検出される毎に圧力信号の検出結果がドラム缶8の重量として表示器23に表示される。
【0029】
上記実施例1によれば次の効果を奏する。
電磁弁17が排出状態から注入状態に切換えられた場合にはエアポンプ11からレギュレータ14およびスピードコントローラ16のそれぞれを通してエアシリンダ9のシリンダチューブ内に検出空気が注入開始され、シリンダチューブ内に検出空気が注入開始された場合にはシリンダチューブの内圧が大気圧から時間の経過に対して右上りの直線となる線形で上昇する。このシリンダチューブの内圧がドラム缶8の重量に応じた大きさとなった場合にはレバー4がシリンダチューブの内圧で基準位置から反時計回り方向へ回転し、レバー4が基準位置から反時計回り方向へ回転した場合には空電リレー19の電気的な状態が変化し、空電リレー19の電気的な状態が変化した場合には制御回路20が圧力センサ18からの圧力信号を検出する。この圧力信号の検出結果はレバー4がドラム缶8の重量に抗して基準位置から反時計回り方向へ回転したときのシリンダチューブの内圧に相当するものであり、ドラム缶8の重量は圧力信号として検出される。
【実施例2】
【0030】
床面1には、図5に示すように、複数の検出台2が固定されており、複数の検出台2のそれぞれにはレバー4とエアシリンダ9と押ボタンバルブ10が装着されている。複数のエアシリンダ9のそれぞれの注入口は配管を介して電磁弁17の注入側出口に接続され、複数のエアシリンダ9のそれぞれの排出口は配管を介して電磁弁17の排出側入口に接続されており、電磁弁17の排出状態では複数のエアシリンダ9のそれぞれの圧力室が電磁弁17を通して大気に開放され、電磁弁17の注入状態ではエアポンプ11からレギュレータ14およびスピードコントローラ16を順に通して複数のエアシリンダ9のそれぞれの圧力室内に検出空気が注入される。複数の押ボタンバルブ10のそれぞれの入口は配管を介してレギュレータ15の出口に接続されており、複数の押ボタンバルブ10のそれぞれの入口にはレギュレータ15から空気が供給される。
【0031】
制御盤13には、図5に示すように、複数の空電リレー19が固定されており、制御回路20は複数の空電リレー19のそれぞれの電気的な状態を検出する。これら複数の空電リレー19のそれぞれは配管を介して1つの押ボタンバルブ10の出口に接続されており、1つの押ボタンバルブ10の開放状態でレギュレータ15から1つの押ボタンバルブ10を通して空気圧が作用することでオン状態となり、1つの押ボタンバルブ10の閉鎖状態で空気圧が作用せずにオフ状態となる。
【0032】
作業者が複数のドラム缶8のそれぞれの重量を測定する場合にはエアポンプ11の運転状態およびゲートバルブ12の開放状態で複数の検出台2のそれぞれの載置面3にドラム缶8の一部を載せ、複数のレバー4のそれぞれの載置面6にドラム缶8の残余部を載せる。この状態では制御回路20が電磁弁17を排出状態にしており、スピードコントローラ16からの検出空気が電磁弁17で遮断されている。この電磁弁17の排出状態では複数のエアシリンダ9のそれぞれの圧力室内が大気圧にされており、複数のエアシリンダ9のそれぞれのピストンロッドが初期位置に静止することで複数のレバー4のそれぞれが基準位置に静止し、複数のレバー4のそれぞれが基準位置に静止することで複数の押ボタンバルブ10のそれぞれが閉鎖状態にされている。
【0033】
作業者が複数のドラム缶8のそれぞれを検出台2の載置面3およびレバー4の載置面6に載せた状態で測定開始スイッチ21を操作した場合には制御回路20が電磁弁17を排出状態から注入状態に切換える。この電磁弁17の注入状態ではスピードコントローラ16からの検出空気が複数のエアシリンダ9のそれぞれの圧力室内に注入され、複数のエアシリンダ9のそれぞれの圧力室の内圧がドラム缶8の重量に応じた大きさに到達する前にはピストンロッドの上昇がドラム缶8の重量で抑えられることで圧力信号が基準値(0)から時間の経過に応じて直線的に大きくなる。
【0034】
複数のドラム缶8のそれぞれの重量が相互に異なる場合には複数のエアシリンダ9のピストンロッドが1個毎に初期位置から上昇するので、複数のレバー4が1個毎に基準位置から反時計回り方向へ回転し、複数の押ボタンバルブ10が1個毎に開放状態となる。このため、複数の空電リレー19が1個毎にオン状態となるので、真空リレー19がオン状態となる毎に制御回路20が圧力センサ18からの圧力信号を検出し、制御回路20が圧力信号を検出する毎に圧力信号の検出結果を表示器23にドラム缶8の重量として表示する。従って、複数のドラム缶8のそれぞれの重量を1個のエアポンプ11と1個のゲートバルブ12と1個のレギュレータ14と1個のレギュレータ15と1個のスピードコントローラ16と1個の電磁弁17と1個の圧力センサ18からなる簡単な構成で測定することができる。
【0035】
上記実施例2においては、複数の押ボタンバルブ10のそれぞれの出口を空電リレー19の入口に接続する配管に電磁弁を介在しても良い。これら複数の電磁弁のそれぞれは開放状態および閉鎖状態相互間で切換えられるものであり、制御回路20は選択信号が与えられることで複数の電磁弁のうち選択信号に応じた1つを開放状態とし、複数の空電リレー19のうち選択信号に応じた1つを空気圧が作用可能な有効状態とすることで複数の検出台2のうち選択信号に応じた1つのドラム缶8の重量のみを測定する。この構成の場合には制御盤13に作業者が操作可能な操作子を設け、作業者が操作子を操作した場合に操作子から制御回路20に操作子の操作内容に応じた選択信号が出力されるようにすることが好ましい。
【0036】
上記実施例1〜2のそれぞれにおいては、電磁弁17が排出状態から注入状態に切換えられることでエアシリンダ9のシリンダチューブ内に検出空気が注入開始された場合にシリンダチューブの内圧を大気圧から時間の経過に対して右上りの曲線となる線形で上昇させても良い。
【0037】
上記実施例1〜2のそれぞれにおいては、制御回路20が圧力信号の検出結果に応じてドラム缶8の重量を重さの単位で演算し、重さの単位の演算結果を表示器23に表示する構成としても良い。
【0038】
上記実施例1〜2のそれぞれにおいては、流体として油を用いても良い。
【符号の説明】
【0039】
4はレバー、8はドラム缶(測定物)、9はエアシリンダ(シリンダ)、11はエアポンプ(流体源)、14はレギュレータ、16はスピードコントローラ(流量弁)、17は電磁弁(制御弁)、18は圧力センサ、19は空電リレー(スイッチ)、20は制御回路(検出回路)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を吐出する流体源と、
前記流体源から吐出された流体の圧力を調整するレギュレータと、
前記レギュレータで調圧された流体の流量を調整する流量弁と、
シリンダチューブおよびピストンロッドを有するシリンダと、
次の1A)第1の状態および2A)第2の状態のそれぞれに切換えられる制御弁と、
1A)前記シリンダチューブ内を開放する第1の状態
2A)前記シリンダチューブ内を閉鎖する状態であって、前記流体源から前記レギュレータおよび前記流量弁のそれぞれを通して前記シリンダチューブ内に流体を注入することで前記ピストンロッドに圧力を加える第2の状態
重量を計測するための計測物が載せられるものであって、次の1B)および2B)のそれぞれの挙動を呈するレバーと、
1B)前記制御弁の前記第1の状態では一定の基準位置に静止する
2B)前記制御弁が前記第1の状態から前記第2の状態に切換えられた場合には前記シリンダチューブ内が前記計測物の重量に応じた圧力となることに応じて前記ピストンロッドにより押されて前記基準位置から移動する
前記レバーが前記基準位置にあるか否かに応じて電気的な状態が変化するスイッチと、
前記シリンダチューブ内の圧力の大きさに応じた圧力信号を出力する圧力センサと、
前記レバーが前記基準位置から移動したことで前記スイッチの電気的な状態が変化した場合に前記圧力センサからの圧力信号を検出する検出回路を備え、
前記流量弁は、前記レバーの前記基準位置で前記レバーに前記計測物が載せられた状態で前記制御弁が前記第1の状態から前記第2の状態に切換えられた場合に前記シリンダチューブ内の圧力が基準値から時間の経過に対して線形で上昇するように前記レギュレータで調圧された流体の流量を調整することを特徴とする重量計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−185060(P2012−185060A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48927(P2011−48927)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)