重金属イオンの選択的分離のための表面刻印入りコア−シェル形態のポリマー微小球体の製造方法
【課題】重金属イオンを選択的に分離するための表面刻印入りコア−シェル(Core−shell)形のポリマー微少球体を提供する。
【解決手段】コア−シェル重合方法により製造された分子刻印入り高分子は、2つの段階によって製造される。一つの例として、スチレン(styrene)とジビニルベンゼン(divinylbenzene:DVB)とを用いて種(seed)粒子を製造する段階と、該種粒子の表面に金属イオン刻印入り高分子を形成させる段階とを用いて製造されることができる。この方法により製造された刻印入り高分子は、刻印入りサイトが支持体(例えば、PSビード)の表面に存在することによって、重金属イオン分離時間を短縮すると共に、界面活性剤や安定剤の使用も不要なので、経済的に且つ環境的に非常に有利である。
【解決手段】コア−シェル重合方法により製造された分子刻印入り高分子は、2つの段階によって製造される。一つの例として、スチレン(styrene)とジビニルベンゼン(divinylbenzene:DVB)とを用いて種(seed)粒子を製造する段階と、該種粒子の表面に金属イオン刻印入り高分子を形成させる段階とを用いて製造されることができる。この方法により製造された刻印入り高分子は、刻印入りサイトが支持体(例えば、PSビード)の表面に存在することによって、重金属イオン分離時間を短縮すると共に、界面活性剤や安定剤の使用も不要なので、経済的に且つ環境的に非常に有利である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重金属イオンを選択的に分離するための表面刻印入りコア−シェル(core−shell)形のポリマー微小球体(microsphere)を製造するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、分離概念で環境親和的且つ工程単純化に非常に有利な分子刻印入りポリマ(molecularly imprinted polymer:MIP)または金属イオン刻印入りポリマ(metalion imprinted polymer:MIIP)が開発されている。分子刻印入りポリマ(MIP)または金属イオン刻印入りポリマ(MIIP)とは、適当な鋳型物質(template)と結合している単量体(monomer)を出発物質として用いて重合体を合成した後、該鋳型物質を除去することによって鋳型物質とその形態が同一の空間の存在する重合体を言う。
【0003】
鋳型物質の空間には形態的に同一の鋳型物質のみ入りこむことができ、鋳型物質と異なる立体構造を有する分子は入りこむことができないため、鋳型物質空間付き重合体を用いて鋳型物質と異なるいくつかの分子を分離することができる。これは、あたかも抗原に対して形成された抗体が、該抗原とのみ選択的に相互作用する原理(Fischer's Lock−and−Key Concept)や、あるいは生体内の酵素が特定の基質(substrate)のみに対して活性を表すこと(Receptor Theory)と同様な理致である。
【0004】
分子刻印入りポリマまたはイオン刻印入りポリマの製造方法の前半部に対して具体的に詳察すれば、分子刻印入りまたはイオン刻印入りはまず、鋳型物質(template)を溶媒(porogen)に溶解させた後、該鋳型物質の一部分と結合可能な作用基を有する、重合可能な機能性モノマ(functional monomer)を混合することによって、鋳型物質と機能性モノマとの複合体を形成させる。以後、鋳型物質と結合した機能性モノマの配列を保持するために、過量の不活性モノマである架橋剤(cross−linker)及び重合開始剤を添加して重合(polymerization)させる。この過程において、鋳型物質を溶解させる溶媒(porogen)は、合成された重合体の特性を決定するのに重要な役割を果たし、特に極性溶媒は極性分子を溶解するため、鋳型と機能性単分子との間に生じる結合を破壊させることもある。
【0005】
実に、分子刻印入り高分子技術と関係して現在まで特定分子認識能力付き分子に対する構造的設計及び製造方法への工夫が絶えず進められてきたが、大部分は、ラセミ(racemic)構造の化合物、アミノ酸(amino acid)等、分離し難い化合物の分離に適用されてきた。分子刻印入り高分子技術を重金属イオンの選択的分離に応用しようとする基本的アイディアは、ごく最近提示されていることがあるが、現在米国、日本、スウェーデンなどいくつかの先進国において研究が進行されており、最近になって研究の幅をより広めていく状況である。
【0006】
スウェーデンLund大学のMosbachグループは、いくつかの種類の類似構造化合物を対象にして分子刻印による選択的分離を試みたことがあり[Mosbach、K.Trends biochem.19,9(1994)]、以後、米国メリーランド大学のMurrayグループは、イオン刻印入り高分子を合成してPb(II)、Cd(II)、Li(II)、Na(II)、Mg(II)、Ca(II)、Cu(II)、Zn(II)、Hg(II)等、金属イオンへの選択的分離特性を詳察することによって、その可能性を示唆したことがあり[Rrasado Rao,T.,Sobhi Daniel,Mary Gladis,J.,Trends in Analytical Chemistry,23,28(2004),Yongwen Liu,Xijun Chang,Sui Wang,Yong Guo,Bingjun Din,Shuangming Meng,Analytica Chimica Acta,519,173(2004)]、米国のLawrence Berkely研究所のFishグループは、トリアザシクロノナン (triazacyclononane)リガンドを用いてZn(II)イオンの選択的分離を確認したことがあった。日本においても、最近九州大学などで金属イオン刻印を用いた分離特性への研究を進行しており、若干の結果を得ている状況である。
【0007】
分子あるいはイオン刻印技術は、分離しようとする鋳型分子やイオンを刻印させた後、除去させた場で該鋳型分子やイオンに対して特別な認識能力を与えることによって、該分子やイオンを分離させる方法である。金属イオン高分子の合成は、鋳型(template)金属イオンと結合能力を有する単量体とを用いる。使われる高分子合成方法によって、MIIP(金属イオン刻印入り高分子)は非常に異なる形態を有するようになる。バルク(Bulk)重合法は最もやさしい方法であり、その方法は刻印システムに均一性を落として、作られた粒子の歩留まりが低く、破壊された刻印入り面(site)が生じて、多量の架橋剤が必要で、不均一な粒子大きさ及び模様によってクロマトグラフィーや他の産業に適用されるのが難しい。そして、懸濁重合や乳化重合が前述のバルク重合の短所を克服することができるが、それらの方法も特別な分散剤や乳化剤の使用を必要とする複雑で且つ高価の工程が必要なのみだけでなく、単量体と分散剤との間の不所望の相互作用によって刻印入り高分子の結合能力を落とすという不都合がある。これに比べて、一定の大きさの高分子ビードをコア(Core)として用いて、粒子表面に刻印機能の付与されたMIIPを合成するようになることによって、クロマトグラフィーや他の産業に有用に用いることができる。また、特別な分散剤や乳化剤が使われないため、環境的に且つ経済的に優れ、分子刻印入りサイト(site)がビード表面に存在するので、リガンド間の早い拡散を誘導して、分離時によい結果を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、重金属イオン分離時間を短縮すると共に、界面活性剤や安定剤を用いないことにより、経済的に且つ環境的に有利な表面刻印入りコア−シェル形態の微小球体を製造する方法を提供することに、その目的がある。
【特許文献1】特開2003-155202
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明によれば、重金属イオンを選択的に分離するための表面刻印入りコア−シェル形態の微小球体を製造する方法であって、
【0010】
(a)(a1)金属塩から成る分子と単量体とを反応させて金属イオンを含む単量体を製造し、(a2)該製造された単量体を架橋剤及び重合開始剤と共に溶媒内で混合して、金属イオンを含む単量体混合物を製造する段階と、
【0011】
(b)スチレンを分散重合させ、コア(core)としてのポリスチレンビード(polystyrene beads:PSビード)を製造する段階と、
【0012】
(c)前記段階(b)にて製造されたポリスチレンビードにDBP(dibutyl phthalate)を吸収させ、前記段階(a2)にて製造された金属イオンを含む単量体混合物を、前記DBPを含むPSビードに吸収させて、コア−シェル形態の表面刻印入り微小球体を収得する段階と、
【0013】
(d)前記微小球体から金属イオンを除去する段階とを含む表面刻印入りコア−シェル形態の微小球体の製造方法を提供する。
【0014】
本発明において、前記段階(a)での金属塩がCu、Pb、Cd、Li、Na、Mg、Ca、Zn、Hg及びFeから構成された群から選ばれる金属を含む金属塩である。
【0015】
より望ましくは、前記金属塩がCuCO3、NiCO3またはPbCO3である。
【0016】
本発明において、望ましくは、前記段階(a)での単量体が、カルボキシ基を含むアクリレート単量体、スチレン単量体またはシラン系単量体である。
【0017】
より望ましくは、前記単量体がアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ビニルベンゾ酸、ジビニルベンゾ酸及びエチレングリコールジメチルメタクリレートから成る群から選ばれる。
【0018】
本発明において、前記溶媒が水、C1〜C6のアルコール及びC1〜C6の炭化水素から成る群から選ばれる。
【0019】
本発明において、望ましくは、架橋剤と金属イオンを含む単量体とのモル比が2:1〜14:1であり、溶媒に対する架橋剤及び金属イオンを含む単量体との総量のモル比が2〜20重量/体積%である。
【0020】
本発明において、望ましくは、前記段階(a2)の重合開始剤が酸化還元系列開始剤または過酸化物系列開始剤から成る群から選ばれる。
【0021】
特に、前記重合開始剤がアゾジイソブチロニトリル(azodiisobutyronitrile)である。
【0022】
本発明において、望ましくは、前記架橋剤がアクリレート単量体、スチレン単量体またはシラン系単量体である。
【0023】
より望ましくは、前記架橋剤がエチレングリコールジメタクリレートである。
【0024】
本発明によれば、銅を選択的に分離するための表面刻印入りコア−シェル形態のポリアクリレート微小球体を製造する方法であって、
(a)(a1)炭酸銅とメタクリル酸とを反応させて銅メタクリレート単量体を製造し、(a2)該製造された銅メタクリレートをエチレングリコールジメタクリレート単量体及びアゾジイソブチロニトリルと共に溶媒内で混合して銅メタクリレート混合物を製造する段階と、
(b)スチレンを分散重合させ、コア(core)としてのポリスチレンビード(polystyrene beads:PSビード)を製造する段階と、
(c)前記段階(b)にて製造されたポリスチレンビードにDBPを吸収させ、前記段階(a2)にて製造された銅メタクリレート混合物を、前記DBPを含むPSビードに吸収させて、コア−シェル形態のポリアクリレート微小球体を収得する段階と、
(d)前記ポリアクリレート微小球体から銅イオンを除去する段階
とを含む表面刻印入りコア−シェル形態のポリアクリレート微小球体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
前述のように、本発明による方法により製造された表面刻印入りコア−シェル形態のポリアクリレート微小球体は、刻印入りサイトが支持体(例えば、PSビード)の表面に存在することによって、重金属イオン分離時間を短縮すると共に、界面活性剤や安定剤の使用も不要となり、経済的に且つ環境的に非常に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、表面に重金属イオン刻印入り面の有しているMIIP(Metal ion imprinting polymer)がコア−シェル(Core−shell)重合方法を用いて製造された。まず、金属イオンを含む単量体が合成された。単量体溶液との架橋過程を行うと共に相分離過程を調節することによって、単分散形態の分子刻印入り微小球体(micro−sphere)が高い歩留まりで得られることができる。該微小球体は、鋳型分子のような金属イオン分子を認識し、強く結合することができ、特定な金属元素を分離するのに非常に有用に用いられ得る。
【0027】
このような本発明をより詳しく説明すれば、次の通りである。
【0028】
微小球体の表面に刻印されたとは、刻印入り面(site)がビード表面に近く存在するようになって、分離時に刻印入り面でリガンド(ligand)の早い拡散を誘導することができる。毒性物質や重金属イオンを分離する時、コア−シェル(core−shell)重合方法が環境的に且つ経済的に非常に有用である。コア−シェル重合方法はスチレン(styrene)とDVB(divinylbenzene)から種粒子(seed particle)を製造することと、金属イオン刻印入り高分子を該種粒子の表面に形成させることの2つの段階に区分することができる。コア−シェル高分子粒子の物理的化学的特徴、大きさ及び形態は、反応条件や単量体の構造及び組成によって調節てきる。
【0029】
図2aは、MAA(methyl methacrylate)及びCu(MAA)2のIRピークを示している。MAAのC=O、C=C、C−Oのピークが1693.4、1639.4、1203.5cm−1からそれぞれ1681.8、1649.1、1242.1cm−1に移動した。MAAでCOOHの−OHピークがCu(MAA)2では消え、(O−Cu)ピークは1591.1cm−1で示された。
【0030】
図2bは、MAA及びCu(MAA)2のUV−Visible吸収ピークを示している。銅イオンとCOO−グループとの結合に該当するピークが476nmで発見された。
【0031】
また、図2cはMAA、Cu(MAA)2、Ni(MAA)2及びPb(MAA)2のIRピークを示している。MAAでCOOHの−OHピークがNi(MAA)2及びPb(MAA)2でも消え、(O−Ni)及び(O−Pb)ピークが1558.4cm−1及び1525.6cm−1で各々示された。
【0032】
図3は、MIIPでのCu2+またはNi2+の存在する時と完全に除去された時とのEDXグラフを示している。Cu2+またはNi2+が除去前はMIIPで存在したが、除去後はCu2+またはNi2+の該当するピークが消えたことを分かる。
【0033】
図4は、pHの影響によるCu(II)−MIIPと、MIIP及び銅イオンが再吸着済みのCu(II)−MIIPとのゼータポテンシャル(Zeta potential)分析図であって、刻印入り高分子内において銅イオンとCOO−グループとの間の結合力に関する付加的な証拠は微小球体のゼータポテンシャル(zeta potential)を用いて分かる。刻印入り高分子粒子の電子密度は使われる分散剤のpHに依存する。該理由はイオン化(ionization)やプロトン化(protonation)に影響を及ぶためである。低いpHでCu(II)−MIIPと再吸着済のCu(II)−MIIP粒子とは表面に高い陽イオンが存在するため、媒体内で存在する陽イオンの吸収を静電気的反発力によって押し出すようになる。しかし、MIIPやnon−MIIPはpHに関係なしで一定に陰イオンを帯びるような地域に置かれることになる。
【0034】
図5は、高分子微小球体のXPS分析図であって、高分子粒子の表面をXPSによって分析した。Cu(II)−MIIPと再吸着済のCu(II)−MIIPとの粒子は934.7eV(Cu2p3/2)及び954.5eV(Cu2p1/2)周辺で二重線(doublet)が発見されることにより、高分子粒子中にCu2+イオンが存在していることを分かる。MIIPでCu2pのピークが消えたことは、Cu(II)−MIIPから銅イオンが完全に除去されたということを分かる。
【0035】
カルボキシ基と銅イオンとの相互間の特別な引力は、O1sスペクトラ(spectra)によって分かる。図7から分かるように、MIIPのO1sスペクトルは、C=OとC−Oに該当する531.9eVと532.8eVとの2つに分けられることができる。各々の場合の酸素原子の個数が同じなので、ピークの大きさが同じでなければならないが、C−OのピークがC=Oよりはより大きいことを分かる。これは、金属イオンと結合可能なC−OがC=Oより外方に、より多く整列されていることを分かる。再吸着済のCのO1sスペクトルは、前述の位置からより若干移動した532.2eV及び533.3eVに示された。それによって、カルボキシ基と銅イオンとの強い相互作用があったということを分かる。
【0036】
図8は、Cu(II)−MIIP及びMIIPのTGA分析を示す。MIIPの場合では210℃〜350℃の範囲で高分子合成時に使われた溶媒(イソプロピルアルコール)の蒸発によって若干の変化が起きる。Cu(II)−MIIPの場合には、450℃以上で1gの粒子当り0.0101gの銅イオンが存在していることを分かる。
【0037】
図9は、製造されたポリスチレン(PS)のマイクロフォトグラフを示す。PSビードは縺れ現象なしに粒子の大きさが単分散形態で作られ、メトキシ(methoxy)の量が増加するにつれて2から2.5μmに増加した。エチルアルコールとメトキシ(methoxy)との比が12:18(ml:ml)の時作られたPSが、分子刻印入り高分子を作るのに使われた。
【0038】
図10は、単量体濃度の比を異ならせた時(Cu(MAA)2とEGDMA)が1から0.3g/mlで製造された微小球体のマイクロフォトグラフ(microphotograph)を示す。単量体の濃度が増加することになることによって、粒子の大きさが3.2から4μmに増加した。
【0039】
図11は、Cu(II)−MIIP及びMIIPの表面をAFMを用いて示したイメージである。Cu(II)−MIIPでは銅イオンの存在を示すイメージが存在することに対して、MIIPでは銅イオンが除去された後、空隙のみ存在した。
【0040】
以下、本発明は、下記の非制限的な実施の形態を挙げて詳記する。
<実施例>
【0041】
実施例1:コア−シェル形態のCu(II)刻印入り高分子の製造
【0042】
第1の段階:Cu(II)イオンを含む単量体合成段階
図1の化学反応式に従って、炭酸銅(copper carbonate)(Aldrich、Milwaukee,Wi,USA)とメチルメチルメタクリル酸(methyl methacrylate)(MAA, Aldrich)とを反応させ、Cu(II)イオンを含むクーパーメタクリレート(copper methacrylate)を合成した。
【0043】
まず、炭酸銅(copper carbonate)とMAAとを両論比に合わせてジクロロメタン(dichloro methane)に入れた後、2日間常温で反応させた。反応混合物をろ過して溶解されない不純物を除去し、真空下でジクロロメタン溶媒を蒸発させて固形のクーパーメタクリレートを収得した。FT−IR(IFS−66/s, Bruker,USA)を 用いてクーパーメタクリレート(copper methacrylate)の合成を確認した。また、MMAと銅(copper)(II)との相互作用によってUV−Vis範囲でも観察された(図2a)。
【0044】
第2の段階:コア−シェル形態のCu(II)刻印入り高分子の製造段階
スチレン(Styrene)の分散重合法(dispersion polymerization)によりPS種粒子を製造した。
予め定められた量のエチルアルコール(Aldrich)とメトキシエタノール(methoxyethanol)(Aldrich)とを混ぜて作られた分散溶媒にPVP 0.525gを溶解させた。その次に、スチレン5ml、AIBN(azodiisobutyronitrile、スチレンの2%)を添加した後、均一溶媒を作るために超音波処理した。70℃の水槽(water bath)に120rpmの速度の50mlフラスコで24時間重合反応を行ってラテックスを製造した。製造されたラテックスを蒸溜水に数回洗って遠心分離法により分離して、PSビードを収得した。該収得したPSビードはコアとして使われた。
【0045】
下記の2つの段階からなるコア−シェル合成方法を用いて、Cu(II)の表面刻印された高分子粒子合成した。
【0046】
段階1:PSを60重量%含む25mlのイソプロパノール(isopropanol)にDBP(dibutyl phthalate)0.175mlを入れた後、常温で超音波で5分間処理してから、400rpmで4時間常温で攪拌して、DBPがPSビードに吸収されるようにした。
【0047】
段階2:Cu(II)イオンを含む単量体の合成段階で得たCu(MAA)2(0.1mmol)、EGDMA(1mmol)、AIBN(単量体の2%)及びイソプロパノールで作られた溶液を該段階1で作られた溶液と混ぜた後、DBP入りPS種粒子に単量体を吸収させるため、240rpmで常温で10時間攪拌させた。該混合物を2時間常温で70℃までに昇温させた後、2時間該温度を保持させた。Cu(MAA)2(0.1mmol)、EGDMA(1mmol)、AIBN(単量体の2%)及びイソプロパノールで作られた溶液を反応器に3時間少しずつ落とした。合成反応は24時間70℃で行った。反応が終わった後、エタノールで数回洗浄後、50℃の真空オーブンで乾燥させて数回洗浄した。高分子内にあるCu(II)イオンを除去するため、HNO3水溶液(0.4M)で40分間浸漬した。Cu(II)イオンを完全除去するために該過程を5回反復した。Cu(II)イオンの除去後、高分子粒子は脱イオン水(deionized water)で洗浄した後、真空オーブンで乾燥した。
【0048】
実施例2:コア−シェル形態のNi(II)刻印入り高分子の製造
【0049】
第1の段階:Ni(II)イオンを含む単量体合成段階
炭酸ニッケル(Ni carbonate)(Aldrich、Milwaukee,WI, USA)とメチルメタクリル酸(methyl methacrylate)(MAA, Aldrich)とを反応させ、Ni(II)イオンを含むニッケルメタクリレート(nickel methacrylate)を合成した。
【0050】
まず、炭酸ニッケル(Ni carbonate)とMAAとを両論比に合わせてジクロロメタン(dichloro methane)に入れた後、2日間常温で反応させた。反応混合物をろ過して溶解されない不純物を除去し、真空下でジクロロメタン溶媒を蒸発させて固形のニッケルメタクリレートを収得した。FT−IR(IFS−66/s, Bruker,USA)を 用いてニッケル メタクリレート(nickel methacrylate)の合成を確認した(図2c)
【0051】
第2の段階:コア−シェル形態のNi(II)刻印入り高分子の製造段階
Cu(II)だけでなくNi(II)イオンを含む刻印入り高分子粒子を製造した。スチレン(Styrene)の分散重合法(dispersion polymerization)によりPS種粒子を製造した。
【0052】
予め定められた量のエチルアルコール(Aldrich)とメトキシエタノール(methoxyethanol)(Aldrich)とを混ぜて作られた分散溶媒にPVP 0.525gを溶解させた。その次に、スチレン5ml及びAIBN(スチレンの2%)を添加した後、均一溶媒を作るために超音波処理した。70℃の水槽(water bath)に120rpm速度の50mlフラスコで24時間重合反応を行って、ラテックスを製造した。該製造したラテックスを蒸溜水で数回洗って、遠心分離法により分離してPSビードを収得した。該収得したPSビードはコアとして使われた。
【0053】
下記2つの段階からなるコア−シェル合成方法を用いて、Ni(II)の表面刻印された高分子粒子合成した。
【0054】
段階1:PSを60重量%含む25mlのイソプロパノール(isopropanol)にDBP(dibutyl phthalate)0.175mlを入れた後、常温で超音波で5分間処理してから、400rpmで4時間常温で攪拌して、DBPがPSビードに吸収されるようにした。
【0055】
段階2:Ni(II)イオンを含む単量体の合成段階で得たNi(MAA)2(0.1mmol)、EGDMA(1mmol)、AIBN(単量体の2%)及びイソプロパノールで作られた溶液を該段階1で作られた溶液と混ぜた後、DBP入りPS種粒子に単量体を吸収させるために240rpmで常温で10時間攪拌させた。該混合物を2時間常温で70℃までに昇温させた後、2時間該温度を保持させた。Ni(MAA)2(0.1mmol)、EGDMA(1mmol)、AIBN(単量体の2%)及びイソプロパノールで作られた溶液を反応器に3時間少しずつ落とした。合成反応は24時間70℃で行った。反応が終わった後、エタノールで数回洗浄した後、50℃の真空オーブンで乾燥させて数回洗浄した。高分子内にあるNi(II)イオンを除去するために、HNO3水溶液(0.4M)で40分間浸漬した。Ni(II)イオンを完全除去するために、該過程を5回反復した。Ni(II)イオンの除去後、高分子粒子は脱イオン水(deionized water)で洗浄した後、真空オーブンで乾燥した。該Ni(II)−MIIP微小球体は、図14aの走査電子顕微鏡(SEM)写真によって確認することができる。
【0056】
実施例3:コア−シェル形態のPb(II)刻印入り高分子の製造
【0057】
第1の段階:Pb(II)イオンを含む単量体合成段階
炭酸鉛(Pb carbonate)(Aldrich)とメチルメタクリル酸(methyl methacrylate)(MAA,Aldrich)とを反応させ、Pb(II)イオンを含む鉛メタクリレート(lead methacrylate)を合成した。
【0058】
まず、炭酸鉛(lead carbonate)とMAAとを両論比に合わせてジクロロメタン(dichloro methane)に入れた後、2日間常温で反応させた。反応混合物をろ過して溶解されない不純物を除去し、真空下でジクロロメタン溶媒を蒸発させて固形の鉛ニッケルメタクリレートを収得した。FT−IR(IFS−66/s, Bruker, USA)を 用いて鉛メタクリレート(lead methacrylate)の合成を確認した(図2c)
【0059】
第2の段階:コア−シェル形態のPb(II)刻印入り高分子の製造段階
Pb(II)イオンを含む刻印入り高分子粒子を製造した。スチレン(Styrene)の分散重合法(dispersion polymerization)によりPS種粒子を製造した。
【0060】
予め定められた量のエチルアルコール(Aldrich)とメトキシエタノール(methoxyethanol)(Aldrich)とを混ぜて作られた分散溶媒にPVP 0.525gを溶解させた。その次に、スチレン5ml及びAIBN(スチレンの2%)を添加した後、均一溶媒を作るために超音波処理した。70℃の水槽(water bath)に120rpm速度の50mlフラスコで24時間重合反応を行って、ラテックスを製造した。該製造したラテックスを蒸溜水で数回洗って、遠心分離法により分離してPSビードを収得した。該収得したPSビードはコアとして使われた。
【0061】
下記2つの段階からなるコア−シェル合成方法を用いて、Pb(II)の表面刻印された高分子粒子を合成した。
【0062】
段階1:PSを60重量%含む25mlのイソプロパノール(isopropanol)にDBP(dibutyl phthalate)0.175mlを入れた後、常温で超音波で5分間処理してから、400rpmで4時間常温で攪拌して、DBPがPSビードに吸収されるようにした。
【0063】
段階2:Pb(II)イオンを含む単量体の合成段階で得たPb(MAA)2(0.1mmol)、EGDMA(1mmol)、AIBN(単量体の2%)及びイソプロパノールで作られた溶液を該段階1で作られた溶液と混ぜた後、DBP入りPS種粒子に単量体を吸収させるために240rpmで常温で10時間攪拌させた。該混合物を2時間常温で70℃までに昇温させた後、2時間該温度を保持させた。Pb(MAA)2(0.1mmol)、EGDMA(1mmol)、AIBN(単量体の2%)及びイソプロパノールで作られた溶液を反応器に3時間少しずつ落とした。合成反応は24時間70℃で行った。該反応が終わった後、エタノールで数回洗浄後、50℃の真空オーブンで乾燥させて数回洗浄した。高分子内にあるPb(II)イオンを除去するためにHNO3水溶液(0.4M)で40分間浸漬した。Pb(II)イオンを完全除去するために、該過程を5回反復した。Pb(II)イオンの除去後、高分子粒子は脱イオン水(deionized water)で洗浄した後、真空オーブンで乾燥した。該Pb(II)−MIIP微小球体は、図14bの走査電子顕微鏡(SEM)写真によって確認することができる。
<試験例>
【0064】
試験例1:吸着及び選択度実験(I)
【0065】
Cu(II)イオンを含む刻印入り高分子粒子0.1gをCu(NO3)2、Ni(NO3)2及びCd(NO3)2を含む5cm3の水溶液に浸漬した。各々の金属イオンの濃度は0.05から0.5mMに変化させた。pHは100mMのacetic/sodium acetate溶液と100mMの硝酸溶液とを加えることによって、1.0〜6.0の間で所望の値に合わせられた。混合物は3分間超音波で処理し、常温で5〜60分間攪拌された。粒子はポリエチレンメンブラン(Sumplep LCR 25−LG、Nippon Millipore,Ltd.,Japan)を用いて濾された。粒子に吸着した金属イオンは、Hitachi 180−70 polarized Zeeman atomic absorption spectrophotometer(AAS,Hitachi,Japan)を用いて測定した。吸着能(mmol/g)は始終の溶液の金属イオンの濃度差によって計算された。実験は、3回ずつ繰り返し、pH測定はLI−120 digital pH meter(ELICO,India)を用いた。 Mg2+、Ni2+、Cd2+のような金属に比べてCu2+に対する選択的分離能が測定された。
【0066】
試験例2:吸着及び選択度実験(II)
【0067】
Ni(II)、Pb(II)イオンを含む刻印入り高分子粒子0.1gを各々Cu(NO3)2、Ni(NO3)2及びPb(NO3)2を含む5cm3の水溶液に浸漬した。各々の金属イオンの濃度は0.05から0.5mMに変化させた。pHは100mMのacetic/sodium acetate溶液と100mMの硝酸溶液とを加えることによって、1.0〜6.0の間で所望の値に合わせられた。混合物は3分間超音波で処理し、常温で5〜60分間攪拌した。粒子はポリエチレンメンブラン(Sumplep LCR 25−LG、Nippon Millipore,Ltd.,Japan)を用いて濾された。粒子に吸着した金属イオンは、Hitachi 180−70 polarized Zeeman atomic absorption spectrophotometer(AAS,Hitachi,Japan)を用いて測定した。吸着能(mmol/g)は始終の溶液の金属イオンの濃度差によって計算された。実験は、3回ずつ繰り返し、pH測定はLI−120 digital pH meter(ELICO,India)を用いた。 Ni(II)を含んでいる高分子粒子の場合には、Cu2+、Pb2+のような金属に比べてNi2+に対する選択的分離能が測定された。そして、Pb(II)イオンを含む刻印入り高分子粒子の場合には、Cu2+、Ni2+のような金属に比べてPb2+に対する選択的分離能が測定された。
<試験結果>
【0068】
試験結果1:吸着速度(adsorption kinetics)と吸着能(adsorption capacity)
【0069】
図12は、MIIP及びnon−MIIPでの金属イオンの吸着速度を示している。吸着進行初期に高い吸着速度が示され、吸着平衡は10分以内に速く到達する。Cu2+イオンのMIIPの最大吸着能は75%であり、他のイオンに比べて高かったが、non−MIIPの場合には、金属イオンの種類に関係なしで一定な値を示した。このように早い吸着過程は、イオン複合体形成率が高く、Cu2+及びCu2+が取り出されたところでの幾何学的親和力のためである。高分子内での鋳型の除去されたところに似た大きさ、形状、鋳型の化学機能性グループを残す。所望の形状の空間が形成されて刻印入り銅イオンとの相互作用を促進する。Cu(II)の刻印された微小球体の再使用可能性を調べるために、同じ刻印入り高分子を有して吸着−脱着過程を反復して10回実施した。このような繰り返し過程間、吸着能の変化が起きなかったため、該Cu(II)の刻印された微小球体は再使用可能であるということを分かった。
【0070】
試験結果2:選択的吸着(Competitive adsorption)
【0071】
下記[表1]は、Ni(II)、Pb(II)イオンを含む刻印入り高分子粒子の選択的吸着率を示したものである。Ni(II)−MIIPの場合には、Ni2+イオンが他のCu2+、Pb2+に比べて相対的に多く吸着しているということを分かる。そしてPb(II)−MIIPの場合にも、Pb2+イオンが他のCu2+、Ni2+に比べて相対的に多く吸着しているということを分かる。同様に、Cu(II)−MIIPも、Cu2+イオンが他のイオン(Ni2+、Pb2+)に比べて相対的に多く吸着しているということを分かった。
【0072】
Cu(II)−MIIP、Ni(II)−MIIP、Pb(II)−MIIPの選択的吸着特性
【表1】
【0073】
試験結果3:pHがMIIPの吸着に及ぼす影響
【0074】
pHの増加は高分子末端カルボキシルグループのイオン化を増加させる。このため、近くあるカルボキシルグループと銅イオンとの複合体を形成する。図13から見るように、金属イオンの収着(sorption)の量がpHの増加するほど増加するということは、ホスト(host)分子末端に存在するカルボキシルグループのイオン化が金属イオンの吸着に重要な役割をするということを示す。カルボキシルグループのプロトン化が起こるため、pH2.0以下で収着能が最も低い。Cu(II)の刻印された微小球体は、全体pH範囲で他の金属イオンよりさらにCu(II)イオンの吸着力が高いということを意味する。
【0075】
試験結果4:選択度
銅イオンの刻印された高分子選択度は、様々な金属の中から銅イオンのみを選別して分離するものである。分布比(distribution ratio)D、選択係数(selectivity coefficient)α、相対選択係数(relative selectivity coefficient)αrは各々、下記の[式1]、[式2]及び[式3]のように定義される。
【数1】
上記式中、
υ:溶液の体積(ml)
m:高分子の質量(g)
CA:初期の金属イオン濃度(mmol/l)
CB:平衡状態の金属イオン濃度(mmol/l)
【0076】
他の金属イオンと共に存在する時、銅イオン選択係数は平衡結合情報(equilibrium binding data)から求めることができる。
【数2】
上記式中、
DCu:Cuイオンの分布比
DM:他の金属イオンの分布比
【0077】
MIIPとnon−MIIPとの間の選択係数の比較は、選択度をもって刻印効果を評価することができる。
【数3】
上記式中、
αiとαnはMIIPとnon−MIIPの選択係数を示す。
【0078】
Cu(II)イオンに対する分布比Dは、他のイオンに比べて非常に高いということを下記[表2]から分かる。たとえ、Ni(II)、Mg(II)がCu(II)とイオン性及びイオンの大きさが類似するにもかかわらず、組合せ形態で他の空間配置によってCu(II)よりDiの低い値を有する。鋳型金属イオンでないものの中からNi(II)、Mg(II)が、Cd(II)より高いDi値を有する。これはイオン大きさの差のためである。
【0079】
相対的選択率は、刻印入り銅イオンに対する認識サイト(site)に対する吸着親和力を示す。Cu(II)/Ni(II)、Cu(II)/Cd(II)、及びCu(II)/Mg(II)の選択吸着係数MIIPでnon−MIIPでより11.2、25.2、10.1倍大きかった。このような結果は、MIIPビード表面に機能性ホスト分子が銅イオンに合う形状を有して固定されており、またイオン認識能力が金属イオン特性、イオン大きさ、イオン電荷に相当に大きく影響を受けるということを分かる。
【0080】
MIIPとnon−MIIPの選択的分離特性
【表2】
Di: MIIPの分布比
Dn: Non−MIIPの分布比
【0081】
Non−MIIP、Ni(II)−MIIP、Pb(II)−MIIPのイオンに対する選択的分離特性
【表3】
【0082】
前記において、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明の請求範囲を逸脱することなく、当業者は種々の改変をなし得ろう。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の刻印入り高分子単量体合成に関する概略的な合成図式である。
【図2】(a)〜(c)よりなり、(a)はCu(MAA)2とMAAのIRスペクトル、(b)はUV−VISスペクトル、(c)はMAA、Pb(MAA)2、Ni(MAA)2、Cu(MAA)2のIRスペクトルである。
【図3】(a)〜(c)よりなり、(a)はCu(II)−MIIPのEDAX分析図 、(b)はNi(II)−MIPのEDAX分析図、(c)はMIIPのEDAX分析図である。
【図4】pHの影響によるCu(II)−MIIP、MIIPと銅イオンの再吸着されたCu(II)−MIIPのゼータポテンシャル(Zeta potential)分析図である。
【図5】高分子微小球体のXPSスペクトルである。
【図6】MIIP及び銅イオンの再吸着されたCu(II)−MIIPのCu2pピークを示したXPSスペクトルである。
【図7】MIIP及び銅イオンの再吸着されたCu(II)−MIIPのO1sピークを示したXPSスペクトルである。
【図8】Cu(II)−MIIP、MIIP、non−MIIPのTGA分析図である。
【図9】エチルアルコール(Ethyl alcohol)とメトキシ(Methoxy)との比率を異にして製造されたPSビードの走査電子顕微鏡写真である(エチルアルコール:メトキシ(a)18:12、(b)15:15、(c)12:18)。
【図10】コアとして使われるPSビードとMIIPコア−シェル粒子との走査電子顕微鏡写真である。
【図11】MIIPでCu2+イオンの吸着−脱着−再吸着−脱着される過程を示したAFM写真である。
【図12】(a)は金属イオンのMIIPでの吸着率を示したグラフで、(b)はnon−MIIPでの吸着率を示したグラフである。
【図13】pHの変化が各々の金属イオンに対してMIIP吸着能に及ぼす影響を示したグラフである。
【図14】(a)はNi(II)−MIIP微小体の走査電子顕微鏡(SEM)写真で、(b)はPb(II)−MIIP微小体のSEM写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、重金属イオンを選択的に分離するための表面刻印入りコア−シェル(core−shell)形のポリマー微小球体(microsphere)を製造するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、分離概念で環境親和的且つ工程単純化に非常に有利な分子刻印入りポリマ(molecularly imprinted polymer:MIP)または金属イオン刻印入りポリマ(metalion imprinted polymer:MIIP)が開発されている。分子刻印入りポリマ(MIP)または金属イオン刻印入りポリマ(MIIP)とは、適当な鋳型物質(template)と結合している単量体(monomer)を出発物質として用いて重合体を合成した後、該鋳型物質を除去することによって鋳型物質とその形態が同一の空間の存在する重合体を言う。
【0003】
鋳型物質の空間には形態的に同一の鋳型物質のみ入りこむことができ、鋳型物質と異なる立体構造を有する分子は入りこむことができないため、鋳型物質空間付き重合体を用いて鋳型物質と異なるいくつかの分子を分離することができる。これは、あたかも抗原に対して形成された抗体が、該抗原とのみ選択的に相互作用する原理(Fischer's Lock−and−Key Concept)や、あるいは生体内の酵素が特定の基質(substrate)のみに対して活性を表すこと(Receptor Theory)と同様な理致である。
【0004】
分子刻印入りポリマまたはイオン刻印入りポリマの製造方法の前半部に対して具体的に詳察すれば、分子刻印入りまたはイオン刻印入りはまず、鋳型物質(template)を溶媒(porogen)に溶解させた後、該鋳型物質の一部分と結合可能な作用基を有する、重合可能な機能性モノマ(functional monomer)を混合することによって、鋳型物質と機能性モノマとの複合体を形成させる。以後、鋳型物質と結合した機能性モノマの配列を保持するために、過量の不活性モノマである架橋剤(cross−linker)及び重合開始剤を添加して重合(polymerization)させる。この過程において、鋳型物質を溶解させる溶媒(porogen)は、合成された重合体の特性を決定するのに重要な役割を果たし、特に極性溶媒は極性分子を溶解するため、鋳型と機能性単分子との間に生じる結合を破壊させることもある。
【0005】
実に、分子刻印入り高分子技術と関係して現在まで特定分子認識能力付き分子に対する構造的設計及び製造方法への工夫が絶えず進められてきたが、大部分は、ラセミ(racemic)構造の化合物、アミノ酸(amino acid)等、分離し難い化合物の分離に適用されてきた。分子刻印入り高分子技術を重金属イオンの選択的分離に応用しようとする基本的アイディアは、ごく最近提示されていることがあるが、現在米国、日本、スウェーデンなどいくつかの先進国において研究が進行されており、最近になって研究の幅をより広めていく状況である。
【0006】
スウェーデンLund大学のMosbachグループは、いくつかの種類の類似構造化合物を対象にして分子刻印による選択的分離を試みたことがあり[Mosbach、K.Trends biochem.19,9(1994)]、以後、米国メリーランド大学のMurrayグループは、イオン刻印入り高分子を合成してPb(II)、Cd(II)、Li(II)、Na(II)、Mg(II)、Ca(II)、Cu(II)、Zn(II)、Hg(II)等、金属イオンへの選択的分離特性を詳察することによって、その可能性を示唆したことがあり[Rrasado Rao,T.,Sobhi Daniel,Mary Gladis,J.,Trends in Analytical Chemistry,23,28(2004),Yongwen Liu,Xijun Chang,Sui Wang,Yong Guo,Bingjun Din,Shuangming Meng,Analytica Chimica Acta,519,173(2004)]、米国のLawrence Berkely研究所のFishグループは、トリアザシクロノナン (triazacyclononane)リガンドを用いてZn(II)イオンの選択的分離を確認したことがあった。日本においても、最近九州大学などで金属イオン刻印を用いた分離特性への研究を進行しており、若干の結果を得ている状況である。
【0007】
分子あるいはイオン刻印技術は、分離しようとする鋳型分子やイオンを刻印させた後、除去させた場で該鋳型分子やイオンに対して特別な認識能力を与えることによって、該分子やイオンを分離させる方法である。金属イオン高分子の合成は、鋳型(template)金属イオンと結合能力を有する単量体とを用いる。使われる高分子合成方法によって、MIIP(金属イオン刻印入り高分子)は非常に異なる形態を有するようになる。バルク(Bulk)重合法は最もやさしい方法であり、その方法は刻印システムに均一性を落として、作られた粒子の歩留まりが低く、破壊された刻印入り面(site)が生じて、多量の架橋剤が必要で、不均一な粒子大きさ及び模様によってクロマトグラフィーや他の産業に適用されるのが難しい。そして、懸濁重合や乳化重合が前述のバルク重合の短所を克服することができるが、それらの方法も特別な分散剤や乳化剤の使用を必要とする複雑で且つ高価の工程が必要なのみだけでなく、単量体と分散剤との間の不所望の相互作用によって刻印入り高分子の結合能力を落とすという不都合がある。これに比べて、一定の大きさの高分子ビードをコア(Core)として用いて、粒子表面に刻印機能の付与されたMIIPを合成するようになることによって、クロマトグラフィーや他の産業に有用に用いることができる。また、特別な分散剤や乳化剤が使われないため、環境的に且つ経済的に優れ、分子刻印入りサイト(site)がビード表面に存在するので、リガンド間の早い拡散を誘導して、分離時によい結果を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、重金属イオン分離時間を短縮すると共に、界面活性剤や安定剤を用いないことにより、経済的に且つ環境的に有利な表面刻印入りコア−シェル形態の微小球体を製造する方法を提供することに、その目的がある。
【特許文献1】特開2003-155202
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明によれば、重金属イオンを選択的に分離するための表面刻印入りコア−シェル形態の微小球体を製造する方法であって、
【0010】
(a)(a1)金属塩から成る分子と単量体とを反応させて金属イオンを含む単量体を製造し、(a2)該製造された単量体を架橋剤及び重合開始剤と共に溶媒内で混合して、金属イオンを含む単量体混合物を製造する段階と、
【0011】
(b)スチレンを分散重合させ、コア(core)としてのポリスチレンビード(polystyrene beads:PSビード)を製造する段階と、
【0012】
(c)前記段階(b)にて製造されたポリスチレンビードにDBP(dibutyl phthalate)を吸収させ、前記段階(a2)にて製造された金属イオンを含む単量体混合物を、前記DBPを含むPSビードに吸収させて、コア−シェル形態の表面刻印入り微小球体を収得する段階と、
【0013】
(d)前記微小球体から金属イオンを除去する段階とを含む表面刻印入りコア−シェル形態の微小球体の製造方法を提供する。
【0014】
本発明において、前記段階(a)での金属塩がCu、Pb、Cd、Li、Na、Mg、Ca、Zn、Hg及びFeから構成された群から選ばれる金属を含む金属塩である。
【0015】
より望ましくは、前記金属塩がCuCO3、NiCO3またはPbCO3である。
【0016】
本発明において、望ましくは、前記段階(a)での単量体が、カルボキシ基を含むアクリレート単量体、スチレン単量体またはシラン系単量体である。
【0017】
より望ましくは、前記単量体がアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ビニルベンゾ酸、ジビニルベンゾ酸及びエチレングリコールジメチルメタクリレートから成る群から選ばれる。
【0018】
本発明において、前記溶媒が水、C1〜C6のアルコール及びC1〜C6の炭化水素から成る群から選ばれる。
【0019】
本発明において、望ましくは、架橋剤と金属イオンを含む単量体とのモル比が2:1〜14:1であり、溶媒に対する架橋剤及び金属イオンを含む単量体との総量のモル比が2〜20重量/体積%である。
【0020】
本発明において、望ましくは、前記段階(a2)の重合開始剤が酸化還元系列開始剤または過酸化物系列開始剤から成る群から選ばれる。
【0021】
特に、前記重合開始剤がアゾジイソブチロニトリル(azodiisobutyronitrile)である。
【0022】
本発明において、望ましくは、前記架橋剤がアクリレート単量体、スチレン単量体またはシラン系単量体である。
【0023】
より望ましくは、前記架橋剤がエチレングリコールジメタクリレートである。
【0024】
本発明によれば、銅を選択的に分離するための表面刻印入りコア−シェル形態のポリアクリレート微小球体を製造する方法であって、
(a)(a1)炭酸銅とメタクリル酸とを反応させて銅メタクリレート単量体を製造し、(a2)該製造された銅メタクリレートをエチレングリコールジメタクリレート単量体及びアゾジイソブチロニトリルと共に溶媒内で混合して銅メタクリレート混合物を製造する段階と、
(b)スチレンを分散重合させ、コア(core)としてのポリスチレンビード(polystyrene beads:PSビード)を製造する段階と、
(c)前記段階(b)にて製造されたポリスチレンビードにDBPを吸収させ、前記段階(a2)にて製造された銅メタクリレート混合物を、前記DBPを含むPSビードに吸収させて、コア−シェル形態のポリアクリレート微小球体を収得する段階と、
(d)前記ポリアクリレート微小球体から銅イオンを除去する段階
とを含む表面刻印入りコア−シェル形態のポリアクリレート微小球体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
前述のように、本発明による方法により製造された表面刻印入りコア−シェル形態のポリアクリレート微小球体は、刻印入りサイトが支持体(例えば、PSビード)の表面に存在することによって、重金属イオン分離時間を短縮すると共に、界面活性剤や安定剤の使用も不要となり、経済的に且つ環境的に非常に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、表面に重金属イオン刻印入り面の有しているMIIP(Metal ion imprinting polymer)がコア−シェル(Core−shell)重合方法を用いて製造された。まず、金属イオンを含む単量体が合成された。単量体溶液との架橋過程を行うと共に相分離過程を調節することによって、単分散形態の分子刻印入り微小球体(micro−sphere)が高い歩留まりで得られることができる。該微小球体は、鋳型分子のような金属イオン分子を認識し、強く結合することができ、特定な金属元素を分離するのに非常に有用に用いられ得る。
【0027】
このような本発明をより詳しく説明すれば、次の通りである。
【0028】
微小球体の表面に刻印されたとは、刻印入り面(site)がビード表面に近く存在するようになって、分離時に刻印入り面でリガンド(ligand)の早い拡散を誘導することができる。毒性物質や重金属イオンを分離する時、コア−シェル(core−shell)重合方法が環境的に且つ経済的に非常に有用である。コア−シェル重合方法はスチレン(styrene)とDVB(divinylbenzene)から種粒子(seed particle)を製造することと、金属イオン刻印入り高分子を該種粒子の表面に形成させることの2つの段階に区分することができる。コア−シェル高分子粒子の物理的化学的特徴、大きさ及び形態は、反応条件や単量体の構造及び組成によって調節てきる。
【0029】
図2aは、MAA(methyl methacrylate)及びCu(MAA)2のIRピークを示している。MAAのC=O、C=C、C−Oのピークが1693.4、1639.4、1203.5cm−1からそれぞれ1681.8、1649.1、1242.1cm−1に移動した。MAAでCOOHの−OHピークがCu(MAA)2では消え、(O−Cu)ピークは1591.1cm−1で示された。
【0030】
図2bは、MAA及びCu(MAA)2のUV−Visible吸収ピークを示している。銅イオンとCOO−グループとの結合に該当するピークが476nmで発見された。
【0031】
また、図2cはMAA、Cu(MAA)2、Ni(MAA)2及びPb(MAA)2のIRピークを示している。MAAでCOOHの−OHピークがNi(MAA)2及びPb(MAA)2でも消え、(O−Ni)及び(O−Pb)ピークが1558.4cm−1及び1525.6cm−1で各々示された。
【0032】
図3は、MIIPでのCu2+またはNi2+の存在する時と完全に除去された時とのEDXグラフを示している。Cu2+またはNi2+が除去前はMIIPで存在したが、除去後はCu2+またはNi2+の該当するピークが消えたことを分かる。
【0033】
図4は、pHの影響によるCu(II)−MIIPと、MIIP及び銅イオンが再吸着済みのCu(II)−MIIPとのゼータポテンシャル(Zeta potential)分析図であって、刻印入り高分子内において銅イオンとCOO−グループとの間の結合力に関する付加的な証拠は微小球体のゼータポテンシャル(zeta potential)を用いて分かる。刻印入り高分子粒子の電子密度は使われる分散剤のpHに依存する。該理由はイオン化(ionization)やプロトン化(protonation)に影響を及ぶためである。低いpHでCu(II)−MIIPと再吸着済のCu(II)−MIIP粒子とは表面に高い陽イオンが存在するため、媒体内で存在する陽イオンの吸収を静電気的反発力によって押し出すようになる。しかし、MIIPやnon−MIIPはpHに関係なしで一定に陰イオンを帯びるような地域に置かれることになる。
【0034】
図5は、高分子微小球体のXPS分析図であって、高分子粒子の表面をXPSによって分析した。Cu(II)−MIIPと再吸着済のCu(II)−MIIPとの粒子は934.7eV(Cu2p3/2)及び954.5eV(Cu2p1/2)周辺で二重線(doublet)が発見されることにより、高分子粒子中にCu2+イオンが存在していることを分かる。MIIPでCu2pのピークが消えたことは、Cu(II)−MIIPから銅イオンが完全に除去されたということを分かる。
【0035】
カルボキシ基と銅イオンとの相互間の特別な引力は、O1sスペクトラ(spectra)によって分かる。図7から分かるように、MIIPのO1sスペクトルは、C=OとC−Oに該当する531.9eVと532.8eVとの2つに分けられることができる。各々の場合の酸素原子の個数が同じなので、ピークの大きさが同じでなければならないが、C−OのピークがC=Oよりはより大きいことを分かる。これは、金属イオンと結合可能なC−OがC=Oより外方に、より多く整列されていることを分かる。再吸着済のCのO1sスペクトルは、前述の位置からより若干移動した532.2eV及び533.3eVに示された。それによって、カルボキシ基と銅イオンとの強い相互作用があったということを分かる。
【0036】
図8は、Cu(II)−MIIP及びMIIPのTGA分析を示す。MIIPの場合では210℃〜350℃の範囲で高分子合成時に使われた溶媒(イソプロピルアルコール)の蒸発によって若干の変化が起きる。Cu(II)−MIIPの場合には、450℃以上で1gの粒子当り0.0101gの銅イオンが存在していることを分かる。
【0037】
図9は、製造されたポリスチレン(PS)のマイクロフォトグラフを示す。PSビードは縺れ現象なしに粒子の大きさが単分散形態で作られ、メトキシ(methoxy)の量が増加するにつれて2から2.5μmに増加した。エチルアルコールとメトキシ(methoxy)との比が12:18(ml:ml)の時作られたPSが、分子刻印入り高分子を作るのに使われた。
【0038】
図10は、単量体濃度の比を異ならせた時(Cu(MAA)2とEGDMA)が1から0.3g/mlで製造された微小球体のマイクロフォトグラフ(microphotograph)を示す。単量体の濃度が増加することになることによって、粒子の大きさが3.2から4μmに増加した。
【0039】
図11は、Cu(II)−MIIP及びMIIPの表面をAFMを用いて示したイメージである。Cu(II)−MIIPでは銅イオンの存在を示すイメージが存在することに対して、MIIPでは銅イオンが除去された後、空隙のみ存在した。
【0040】
以下、本発明は、下記の非制限的な実施の形態を挙げて詳記する。
<実施例>
【0041】
実施例1:コア−シェル形態のCu(II)刻印入り高分子の製造
【0042】
第1の段階:Cu(II)イオンを含む単量体合成段階
図1の化学反応式に従って、炭酸銅(copper carbonate)(Aldrich、Milwaukee,Wi,USA)とメチルメチルメタクリル酸(methyl methacrylate)(MAA, Aldrich)とを反応させ、Cu(II)イオンを含むクーパーメタクリレート(copper methacrylate)を合成した。
【0043】
まず、炭酸銅(copper carbonate)とMAAとを両論比に合わせてジクロロメタン(dichloro methane)に入れた後、2日間常温で反応させた。反応混合物をろ過して溶解されない不純物を除去し、真空下でジクロロメタン溶媒を蒸発させて固形のクーパーメタクリレートを収得した。FT−IR(IFS−66/s, Bruker,USA)を 用いてクーパーメタクリレート(copper methacrylate)の合成を確認した。また、MMAと銅(copper)(II)との相互作用によってUV−Vis範囲でも観察された(図2a)。
【0044】
第2の段階:コア−シェル形態のCu(II)刻印入り高分子の製造段階
スチレン(Styrene)の分散重合法(dispersion polymerization)によりPS種粒子を製造した。
予め定められた量のエチルアルコール(Aldrich)とメトキシエタノール(methoxyethanol)(Aldrich)とを混ぜて作られた分散溶媒にPVP 0.525gを溶解させた。その次に、スチレン5ml、AIBN(azodiisobutyronitrile、スチレンの2%)を添加した後、均一溶媒を作るために超音波処理した。70℃の水槽(water bath)に120rpmの速度の50mlフラスコで24時間重合反応を行ってラテックスを製造した。製造されたラテックスを蒸溜水に数回洗って遠心分離法により分離して、PSビードを収得した。該収得したPSビードはコアとして使われた。
【0045】
下記の2つの段階からなるコア−シェル合成方法を用いて、Cu(II)の表面刻印された高分子粒子合成した。
【0046】
段階1:PSを60重量%含む25mlのイソプロパノール(isopropanol)にDBP(dibutyl phthalate)0.175mlを入れた後、常温で超音波で5分間処理してから、400rpmで4時間常温で攪拌して、DBPがPSビードに吸収されるようにした。
【0047】
段階2:Cu(II)イオンを含む単量体の合成段階で得たCu(MAA)2(0.1mmol)、EGDMA(1mmol)、AIBN(単量体の2%)及びイソプロパノールで作られた溶液を該段階1で作られた溶液と混ぜた後、DBP入りPS種粒子に単量体を吸収させるため、240rpmで常温で10時間攪拌させた。該混合物を2時間常温で70℃までに昇温させた後、2時間該温度を保持させた。Cu(MAA)2(0.1mmol)、EGDMA(1mmol)、AIBN(単量体の2%)及びイソプロパノールで作られた溶液を反応器に3時間少しずつ落とした。合成反応は24時間70℃で行った。反応が終わった後、エタノールで数回洗浄後、50℃の真空オーブンで乾燥させて数回洗浄した。高分子内にあるCu(II)イオンを除去するため、HNO3水溶液(0.4M)で40分間浸漬した。Cu(II)イオンを完全除去するために該過程を5回反復した。Cu(II)イオンの除去後、高分子粒子は脱イオン水(deionized water)で洗浄した後、真空オーブンで乾燥した。
【0048】
実施例2:コア−シェル形態のNi(II)刻印入り高分子の製造
【0049】
第1の段階:Ni(II)イオンを含む単量体合成段階
炭酸ニッケル(Ni carbonate)(Aldrich、Milwaukee,WI, USA)とメチルメタクリル酸(methyl methacrylate)(MAA, Aldrich)とを反応させ、Ni(II)イオンを含むニッケルメタクリレート(nickel methacrylate)を合成した。
【0050】
まず、炭酸ニッケル(Ni carbonate)とMAAとを両論比に合わせてジクロロメタン(dichloro methane)に入れた後、2日間常温で反応させた。反応混合物をろ過して溶解されない不純物を除去し、真空下でジクロロメタン溶媒を蒸発させて固形のニッケルメタクリレートを収得した。FT−IR(IFS−66/s, Bruker,USA)を 用いてニッケル メタクリレート(nickel methacrylate)の合成を確認した(図2c)
【0051】
第2の段階:コア−シェル形態のNi(II)刻印入り高分子の製造段階
Cu(II)だけでなくNi(II)イオンを含む刻印入り高分子粒子を製造した。スチレン(Styrene)の分散重合法(dispersion polymerization)によりPS種粒子を製造した。
【0052】
予め定められた量のエチルアルコール(Aldrich)とメトキシエタノール(methoxyethanol)(Aldrich)とを混ぜて作られた分散溶媒にPVP 0.525gを溶解させた。その次に、スチレン5ml及びAIBN(スチレンの2%)を添加した後、均一溶媒を作るために超音波処理した。70℃の水槽(water bath)に120rpm速度の50mlフラスコで24時間重合反応を行って、ラテックスを製造した。該製造したラテックスを蒸溜水で数回洗って、遠心分離法により分離してPSビードを収得した。該収得したPSビードはコアとして使われた。
【0053】
下記2つの段階からなるコア−シェル合成方法を用いて、Ni(II)の表面刻印された高分子粒子合成した。
【0054】
段階1:PSを60重量%含む25mlのイソプロパノール(isopropanol)にDBP(dibutyl phthalate)0.175mlを入れた後、常温で超音波で5分間処理してから、400rpmで4時間常温で攪拌して、DBPがPSビードに吸収されるようにした。
【0055】
段階2:Ni(II)イオンを含む単量体の合成段階で得たNi(MAA)2(0.1mmol)、EGDMA(1mmol)、AIBN(単量体の2%)及びイソプロパノールで作られた溶液を該段階1で作られた溶液と混ぜた後、DBP入りPS種粒子に単量体を吸収させるために240rpmで常温で10時間攪拌させた。該混合物を2時間常温で70℃までに昇温させた後、2時間該温度を保持させた。Ni(MAA)2(0.1mmol)、EGDMA(1mmol)、AIBN(単量体の2%)及びイソプロパノールで作られた溶液を反応器に3時間少しずつ落とした。合成反応は24時間70℃で行った。反応が終わった後、エタノールで数回洗浄した後、50℃の真空オーブンで乾燥させて数回洗浄した。高分子内にあるNi(II)イオンを除去するために、HNO3水溶液(0.4M)で40分間浸漬した。Ni(II)イオンを完全除去するために、該過程を5回反復した。Ni(II)イオンの除去後、高分子粒子は脱イオン水(deionized water)で洗浄した後、真空オーブンで乾燥した。該Ni(II)−MIIP微小球体は、図14aの走査電子顕微鏡(SEM)写真によって確認することができる。
【0056】
実施例3:コア−シェル形態のPb(II)刻印入り高分子の製造
【0057】
第1の段階:Pb(II)イオンを含む単量体合成段階
炭酸鉛(Pb carbonate)(Aldrich)とメチルメタクリル酸(methyl methacrylate)(MAA,Aldrich)とを反応させ、Pb(II)イオンを含む鉛メタクリレート(lead methacrylate)を合成した。
【0058】
まず、炭酸鉛(lead carbonate)とMAAとを両論比に合わせてジクロロメタン(dichloro methane)に入れた後、2日間常温で反応させた。反応混合物をろ過して溶解されない不純物を除去し、真空下でジクロロメタン溶媒を蒸発させて固形の鉛ニッケルメタクリレートを収得した。FT−IR(IFS−66/s, Bruker, USA)を 用いて鉛メタクリレート(lead methacrylate)の合成を確認した(図2c)
【0059】
第2の段階:コア−シェル形態のPb(II)刻印入り高分子の製造段階
Pb(II)イオンを含む刻印入り高分子粒子を製造した。スチレン(Styrene)の分散重合法(dispersion polymerization)によりPS種粒子を製造した。
【0060】
予め定められた量のエチルアルコール(Aldrich)とメトキシエタノール(methoxyethanol)(Aldrich)とを混ぜて作られた分散溶媒にPVP 0.525gを溶解させた。その次に、スチレン5ml及びAIBN(スチレンの2%)を添加した後、均一溶媒を作るために超音波処理した。70℃の水槽(water bath)に120rpm速度の50mlフラスコで24時間重合反応を行って、ラテックスを製造した。該製造したラテックスを蒸溜水で数回洗って、遠心分離法により分離してPSビードを収得した。該収得したPSビードはコアとして使われた。
【0061】
下記2つの段階からなるコア−シェル合成方法を用いて、Pb(II)の表面刻印された高分子粒子を合成した。
【0062】
段階1:PSを60重量%含む25mlのイソプロパノール(isopropanol)にDBP(dibutyl phthalate)0.175mlを入れた後、常温で超音波で5分間処理してから、400rpmで4時間常温で攪拌して、DBPがPSビードに吸収されるようにした。
【0063】
段階2:Pb(II)イオンを含む単量体の合成段階で得たPb(MAA)2(0.1mmol)、EGDMA(1mmol)、AIBN(単量体の2%)及びイソプロパノールで作られた溶液を該段階1で作られた溶液と混ぜた後、DBP入りPS種粒子に単量体を吸収させるために240rpmで常温で10時間攪拌させた。該混合物を2時間常温で70℃までに昇温させた後、2時間該温度を保持させた。Pb(MAA)2(0.1mmol)、EGDMA(1mmol)、AIBN(単量体の2%)及びイソプロパノールで作られた溶液を反応器に3時間少しずつ落とした。合成反応は24時間70℃で行った。該反応が終わった後、エタノールで数回洗浄後、50℃の真空オーブンで乾燥させて数回洗浄した。高分子内にあるPb(II)イオンを除去するためにHNO3水溶液(0.4M)で40分間浸漬した。Pb(II)イオンを完全除去するために、該過程を5回反復した。Pb(II)イオンの除去後、高分子粒子は脱イオン水(deionized water)で洗浄した後、真空オーブンで乾燥した。該Pb(II)−MIIP微小球体は、図14bの走査電子顕微鏡(SEM)写真によって確認することができる。
<試験例>
【0064】
試験例1:吸着及び選択度実験(I)
【0065】
Cu(II)イオンを含む刻印入り高分子粒子0.1gをCu(NO3)2、Ni(NO3)2及びCd(NO3)2を含む5cm3の水溶液に浸漬した。各々の金属イオンの濃度は0.05から0.5mMに変化させた。pHは100mMのacetic/sodium acetate溶液と100mMの硝酸溶液とを加えることによって、1.0〜6.0の間で所望の値に合わせられた。混合物は3分間超音波で処理し、常温で5〜60分間攪拌された。粒子はポリエチレンメンブラン(Sumplep LCR 25−LG、Nippon Millipore,Ltd.,Japan)を用いて濾された。粒子に吸着した金属イオンは、Hitachi 180−70 polarized Zeeman atomic absorption spectrophotometer(AAS,Hitachi,Japan)を用いて測定した。吸着能(mmol/g)は始終の溶液の金属イオンの濃度差によって計算された。実験は、3回ずつ繰り返し、pH測定はLI−120 digital pH meter(ELICO,India)を用いた。 Mg2+、Ni2+、Cd2+のような金属に比べてCu2+に対する選択的分離能が測定された。
【0066】
試験例2:吸着及び選択度実験(II)
【0067】
Ni(II)、Pb(II)イオンを含む刻印入り高分子粒子0.1gを各々Cu(NO3)2、Ni(NO3)2及びPb(NO3)2を含む5cm3の水溶液に浸漬した。各々の金属イオンの濃度は0.05から0.5mMに変化させた。pHは100mMのacetic/sodium acetate溶液と100mMの硝酸溶液とを加えることによって、1.0〜6.0の間で所望の値に合わせられた。混合物は3分間超音波で処理し、常温で5〜60分間攪拌した。粒子はポリエチレンメンブラン(Sumplep LCR 25−LG、Nippon Millipore,Ltd.,Japan)を用いて濾された。粒子に吸着した金属イオンは、Hitachi 180−70 polarized Zeeman atomic absorption spectrophotometer(AAS,Hitachi,Japan)を用いて測定した。吸着能(mmol/g)は始終の溶液の金属イオンの濃度差によって計算された。実験は、3回ずつ繰り返し、pH測定はLI−120 digital pH meter(ELICO,India)を用いた。 Ni(II)を含んでいる高分子粒子の場合には、Cu2+、Pb2+のような金属に比べてNi2+に対する選択的分離能が測定された。そして、Pb(II)イオンを含む刻印入り高分子粒子の場合には、Cu2+、Ni2+のような金属に比べてPb2+に対する選択的分離能が測定された。
<試験結果>
【0068】
試験結果1:吸着速度(adsorption kinetics)と吸着能(adsorption capacity)
【0069】
図12は、MIIP及びnon−MIIPでの金属イオンの吸着速度を示している。吸着進行初期に高い吸着速度が示され、吸着平衡は10分以内に速く到達する。Cu2+イオンのMIIPの最大吸着能は75%であり、他のイオンに比べて高かったが、non−MIIPの場合には、金属イオンの種類に関係なしで一定な値を示した。このように早い吸着過程は、イオン複合体形成率が高く、Cu2+及びCu2+が取り出されたところでの幾何学的親和力のためである。高分子内での鋳型の除去されたところに似た大きさ、形状、鋳型の化学機能性グループを残す。所望の形状の空間が形成されて刻印入り銅イオンとの相互作用を促進する。Cu(II)の刻印された微小球体の再使用可能性を調べるために、同じ刻印入り高分子を有して吸着−脱着過程を反復して10回実施した。このような繰り返し過程間、吸着能の変化が起きなかったため、該Cu(II)の刻印された微小球体は再使用可能であるということを分かった。
【0070】
試験結果2:選択的吸着(Competitive adsorption)
【0071】
下記[表1]は、Ni(II)、Pb(II)イオンを含む刻印入り高分子粒子の選択的吸着率を示したものである。Ni(II)−MIIPの場合には、Ni2+イオンが他のCu2+、Pb2+に比べて相対的に多く吸着しているということを分かる。そしてPb(II)−MIIPの場合にも、Pb2+イオンが他のCu2+、Ni2+に比べて相対的に多く吸着しているということを分かる。同様に、Cu(II)−MIIPも、Cu2+イオンが他のイオン(Ni2+、Pb2+)に比べて相対的に多く吸着しているということを分かった。
【0072】
Cu(II)−MIIP、Ni(II)−MIIP、Pb(II)−MIIPの選択的吸着特性
【表1】
【0073】
試験結果3:pHがMIIPの吸着に及ぼす影響
【0074】
pHの増加は高分子末端カルボキシルグループのイオン化を増加させる。このため、近くあるカルボキシルグループと銅イオンとの複合体を形成する。図13から見るように、金属イオンの収着(sorption)の量がpHの増加するほど増加するということは、ホスト(host)分子末端に存在するカルボキシルグループのイオン化が金属イオンの吸着に重要な役割をするということを示す。カルボキシルグループのプロトン化が起こるため、pH2.0以下で収着能が最も低い。Cu(II)の刻印された微小球体は、全体pH範囲で他の金属イオンよりさらにCu(II)イオンの吸着力が高いということを意味する。
【0075】
試験結果4:選択度
銅イオンの刻印された高分子選択度は、様々な金属の中から銅イオンのみを選別して分離するものである。分布比(distribution ratio)D、選択係数(selectivity coefficient)α、相対選択係数(relative selectivity coefficient)αrは各々、下記の[式1]、[式2]及び[式3]のように定義される。
【数1】
上記式中、
υ:溶液の体積(ml)
m:高分子の質量(g)
CA:初期の金属イオン濃度(mmol/l)
CB:平衡状態の金属イオン濃度(mmol/l)
【0076】
他の金属イオンと共に存在する時、銅イオン選択係数は平衡結合情報(equilibrium binding data)から求めることができる。
【数2】
上記式中、
DCu:Cuイオンの分布比
DM:他の金属イオンの分布比
【0077】
MIIPとnon−MIIPとの間の選択係数の比較は、選択度をもって刻印効果を評価することができる。
【数3】
上記式中、
αiとαnはMIIPとnon−MIIPの選択係数を示す。
【0078】
Cu(II)イオンに対する分布比Dは、他のイオンに比べて非常に高いということを下記[表2]から分かる。たとえ、Ni(II)、Mg(II)がCu(II)とイオン性及びイオンの大きさが類似するにもかかわらず、組合せ形態で他の空間配置によってCu(II)よりDiの低い値を有する。鋳型金属イオンでないものの中からNi(II)、Mg(II)が、Cd(II)より高いDi値を有する。これはイオン大きさの差のためである。
【0079】
相対的選択率は、刻印入り銅イオンに対する認識サイト(site)に対する吸着親和力を示す。Cu(II)/Ni(II)、Cu(II)/Cd(II)、及びCu(II)/Mg(II)の選択吸着係数MIIPでnon−MIIPでより11.2、25.2、10.1倍大きかった。このような結果は、MIIPビード表面に機能性ホスト分子が銅イオンに合う形状を有して固定されており、またイオン認識能力が金属イオン特性、イオン大きさ、イオン電荷に相当に大きく影響を受けるということを分かる。
【0080】
MIIPとnon−MIIPの選択的分離特性
【表2】
Di: MIIPの分布比
Dn: Non−MIIPの分布比
【0081】
Non−MIIP、Ni(II)−MIIP、Pb(II)−MIIPのイオンに対する選択的分離特性
【表3】
【0082】
前記において、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明の請求範囲を逸脱することなく、当業者は種々の改変をなし得ろう。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の刻印入り高分子単量体合成に関する概略的な合成図式である。
【図2】(a)〜(c)よりなり、(a)はCu(MAA)2とMAAのIRスペクトル、(b)はUV−VISスペクトル、(c)はMAA、Pb(MAA)2、Ni(MAA)2、Cu(MAA)2のIRスペクトルである。
【図3】(a)〜(c)よりなり、(a)はCu(II)−MIIPのEDAX分析図 、(b)はNi(II)−MIPのEDAX分析図、(c)はMIIPのEDAX分析図である。
【図4】pHの影響によるCu(II)−MIIP、MIIPと銅イオンの再吸着されたCu(II)−MIIPのゼータポテンシャル(Zeta potential)分析図である。
【図5】高分子微小球体のXPSスペクトルである。
【図6】MIIP及び銅イオンの再吸着されたCu(II)−MIIPのCu2pピークを示したXPSスペクトルである。
【図7】MIIP及び銅イオンの再吸着されたCu(II)−MIIPのO1sピークを示したXPSスペクトルである。
【図8】Cu(II)−MIIP、MIIP、non−MIIPのTGA分析図である。
【図9】エチルアルコール(Ethyl alcohol)とメトキシ(Methoxy)との比率を異にして製造されたPSビードの走査電子顕微鏡写真である(エチルアルコール:メトキシ(a)18:12、(b)15:15、(c)12:18)。
【図10】コアとして使われるPSビードとMIIPコア−シェル粒子との走査電子顕微鏡写真である。
【図11】MIIPでCu2+イオンの吸着−脱着−再吸着−脱着される過程を示したAFM写真である。
【図12】(a)は金属イオンのMIIPでの吸着率を示したグラフで、(b)はnon−MIIPでの吸着率を示したグラフである。
【図13】pHの変化が各々の金属イオンに対してMIIP吸着能に及ぼす影響を示したグラフである。
【図14】(a)はNi(II)−MIIP微小体の走査電子顕微鏡(SEM)写真で、(b)はPb(II)−MIIP微小体のSEM写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重金属イオンを選択的に分離するための表面刻印入りコア−シェル形態の微小球体を製造する方法であって、
(a)(a1)金属塩から成る分子と単量体とを反応させて金属イオンを含む単量体を製造し、(a2)該製造された単量体を架橋剤及び重合開始剤と共に溶媒内で混合して、金属イオンを含む単量体混合物を製造する段階と、
(b)スチレンを分散重合させ、コア(core)としてのポリスチレンビード(polystyrene beads:PSビード)を製造する段階と、
(c)前記段階(b)にて製造されたポリスチレンビードにDBP(dibutyl phthalate)を吸収させ、前記段階(a2)にて製造された金属イオンを含む単量体混合物を、前記DBPを含むPSビードに吸収させて、コア−シェル形態の表面刻印入り微小球体を収得する段階と、
(d)前記微小球体から金属イオンを除去する段階
とを含む表面刻印入りコア−シェル形態の微小球体の製造方法。
【請求項2】
前記段階(a)での金属塩がCu、Pb、Cd、Li、Na、Mg、Ca、Zn、Hg及びFeから構成された群から選ばれる金属を含む金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造方法。
【請求項3】
前記金属塩がCuCO3、NiCO3またはPbCO3であることを特徴とする請求項2に記載の微小球体の製造方法。
【請求項4】
前記段階(a)での単量体がカルボキシ基を含むアクリレート単量体、スチレン単量体またはシラン系単量体であることを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造方法。
【請求項5】
前記単量体がアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ビニルベンゾ酸、ジビニルベンゾ酸またはエチレングリコールジメチルメタクリレートであることを特徴とする請求項4に記載の微小球体の製造方法。
【請求項6】
前記溶媒が、水、C1〜C6のアルコール及びC1〜C6の炭化水素から構成された群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造方法。
【請求項7】
架橋剤と金属イオンを含む単量体とのモル比が2:1〜14:1であり、溶媒に対する架橋剤及び金属イオンを含む単量体との総量のモル比が2〜20重量/体積%であることを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造方法。
【請求項8】
前記段階(a2)の重合開始剤が酸化還元系列開始剤または過酸化物系列開始剤であることを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造方法。
【請求項9】
前記重合開始剤がアゾジイソブチロニトリル(azodiisobutyronitrile)であることを特徴とする請求項8に記載の微小球体の製造方法。
【請求項10】
前記段階(a2)の架橋剤がアクリレート単量体、スチレン単量体またはシラン系単量体であることを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造方法。
【請求項11】
前記架橋剤が、エチレングリコールジメタクリレートであることを特徴とする請求項10に記載の微小球体の製造方法。
【請求項12】
銅を選択的に分離するための表面刻印入りコア−シェル形態のポリアクリレート微小球体を製造する方法であって、
(a)(a1)炭酸銅とメタクリル酸とを反応させて銅メタクリレート単量体を製造し、(a2)該製造された銅メタクリレートをエチレングリコールジメタクリレート単量体及びアゾジイソブチロニトリルと共に溶媒内で混合して銅メタクリレート混合物を製造する段階と、
(b)スチレンを分散重合させ、コア(core)としてのポリスチレンビード(polystyrene beads:PSビード)を製造する段階と、
(c)前記段階(b)にて製造されたポリスチレンビードにDBPを吸収させ、前記段階(a2)にて製造された銅メタクリレート混合物を、前記DBPを含むPSビードに吸収させて、コア−シェル形態のポリアクリレート微小球体を収得する段階と、
(d)前記ポリアクリレート微小球体から銅イオンを除去する段階
とを含む表面刻印入りコア−シェル形態のポリアクリレート微小球体の製造方法。
【請求項1】
重金属イオンを選択的に分離するための表面刻印入りコア−シェル形態の微小球体を製造する方法であって、
(a)(a1)金属塩から成る分子と単量体とを反応させて金属イオンを含む単量体を製造し、(a2)該製造された単量体を架橋剤及び重合開始剤と共に溶媒内で混合して、金属イオンを含む単量体混合物を製造する段階と、
(b)スチレンを分散重合させ、コア(core)としてのポリスチレンビード(polystyrene beads:PSビード)を製造する段階と、
(c)前記段階(b)にて製造されたポリスチレンビードにDBP(dibutyl phthalate)を吸収させ、前記段階(a2)にて製造された金属イオンを含む単量体混合物を、前記DBPを含むPSビードに吸収させて、コア−シェル形態の表面刻印入り微小球体を収得する段階と、
(d)前記微小球体から金属イオンを除去する段階
とを含む表面刻印入りコア−シェル形態の微小球体の製造方法。
【請求項2】
前記段階(a)での金属塩がCu、Pb、Cd、Li、Na、Mg、Ca、Zn、Hg及びFeから構成された群から選ばれる金属を含む金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造方法。
【請求項3】
前記金属塩がCuCO3、NiCO3またはPbCO3であることを特徴とする請求項2に記載の微小球体の製造方法。
【請求項4】
前記段階(a)での単量体がカルボキシ基を含むアクリレート単量体、スチレン単量体またはシラン系単量体であることを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造方法。
【請求項5】
前記単量体がアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ビニルベンゾ酸、ジビニルベンゾ酸またはエチレングリコールジメチルメタクリレートであることを特徴とする請求項4に記載の微小球体の製造方法。
【請求項6】
前記溶媒が、水、C1〜C6のアルコール及びC1〜C6の炭化水素から構成された群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造方法。
【請求項7】
架橋剤と金属イオンを含む単量体とのモル比が2:1〜14:1であり、溶媒に対する架橋剤及び金属イオンを含む単量体との総量のモル比が2〜20重量/体積%であることを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造方法。
【請求項8】
前記段階(a2)の重合開始剤が酸化還元系列開始剤または過酸化物系列開始剤であることを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造方法。
【請求項9】
前記重合開始剤がアゾジイソブチロニトリル(azodiisobutyronitrile)であることを特徴とする請求項8に記載の微小球体の製造方法。
【請求項10】
前記段階(a2)の架橋剤がアクリレート単量体、スチレン単量体またはシラン系単量体であることを特徴とする請求項1に記載の微小球体の製造方法。
【請求項11】
前記架橋剤が、エチレングリコールジメタクリレートであることを特徴とする請求項10に記載の微小球体の製造方法。
【請求項12】
銅を選択的に分離するための表面刻印入りコア−シェル形態のポリアクリレート微小球体を製造する方法であって、
(a)(a1)炭酸銅とメタクリル酸とを反応させて銅メタクリレート単量体を製造し、(a2)該製造された銅メタクリレートをエチレングリコールジメタクリレート単量体及びアゾジイソブチロニトリルと共に溶媒内で混合して銅メタクリレート混合物を製造する段階と、
(b)スチレンを分散重合させ、コア(core)としてのポリスチレンビード(polystyrene beads:PSビード)を製造する段階と、
(c)前記段階(b)にて製造されたポリスチレンビードにDBPを吸収させ、前記段階(a2)にて製造された銅メタクリレート混合物を、前記DBPを含むPSビードに吸収させて、コア−シェル形態のポリアクリレート微小球体を収得する段階と、
(d)前記ポリアクリレート微小球体から銅イオンを除去する段階
とを含む表面刻印入りコア−シェル形態のポリアクリレート微小球体の製造方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【公開番号】特開2008−223024(P2008−223024A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55586(P2008−55586)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(506392274)成均館大学校産学協力団 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(506392274)成均館大学校産学協力団 (10)
【Fターム(参考)】
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