説明

野菜収穫機の搬送装置

【課題】野菜収穫機に備えられるチェーンコンベア式の搬送装置において、石や砂等の噛み込みによる搬送部材の折損を防止するとともに、土砂等の付着による搬送チェーンの劣化を防止する手段を提供する。
【解決手段】一対の駆動スプロケット35・35と、該一対の駆動スプロケットを支持する駆動軸36と、一対の従動ローラ37・37と、該一対の従動ローラを支持する従動軸38と、前記一対の駆動スプロケット及び一対の従動ローラに巻き掛けられる一対の搬送チェーン43・43と、該一対の搬送チェーンの間に設けられ、収穫物を保持・搬送する搬送部材(第一搬送部材44・44・・・及び第二搬送部材48・48・・・)と、を備え、前記一対の従動ローラは、前記従動軸方向内側に伸径する環状凸部である内側部37cを有し、該内側部の外側外周は、前記従動軸を周回する前記搬送部材と前記搬送チェーンとの連結部分に近接する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は玉葱等の野菜収穫機に具備される搬送装置に関する。さらに詳しくは、収穫物を保持・搬送するチェーンコンベア式の搬送装置の耐久性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玉葱収穫機として、畝から引き抜かれて畝上に置かれた玉葱を収穫するものが知られている。例えば、特許文献1により公知となっている。
【0003】
特許文献1に開示される玉葱収穫機の技術では、機体前部に配置した掻き込み部によって掻き込まれた玉葱を搬送装置に載置して後方へ搬送し、機体後部でコンテナに収容する。
この搬送装置は、一対の駆動スプロケットと、一対の従動スプロケットと、前記一対の駆動スプロケットと一対の従動スプロケットの間に巻き掛けた一対の搬送チェーンと、該一対の搬送チェーンの間に所定間隔をおいて横架した複数の搬送部材等から構成される。この構成において、玉葱は、前記搬送部材の間に挟み込まれて保持・搬送される。
叙上の特許文献1における搬送装置では、前記従動スプロケットと搬送部材‐搬送チェーン連結部との間に隙間が形成されるため、前記搬送装置を土壌に接触させると、当該隙間に石や砂等が噛み込まれ、前記搬送部材が折損しやすいという問題があった。
また、収穫した玉葱に付着していた土砂等が落ちて前記搬送チェーンに付着すると、該搬送チェーンと前記従動スプロケットとの間に土砂等が噛み込まれ、前記搬送チェーンが劣化して耐久性が大幅に低下するという問題があった。
さらには、付着した土砂等が前記搬送チェーンや従動スプロケットに溜まり、前記搬送チェーンと従動スプロケットが正常に嵌合しなくなり、該従動スプロケットから搬送チェーンが外れてしまうという問題も生じていた。
【特許文献1】特開2005−21037号公報
【特許文献2】特開2006−288245号公報
【特許文献3】特開2008−143631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、叙上の事情を鑑みてなされたものであり、野菜収穫機の搬送装置において従動ローラと搬送部材‐搬送チェーン連結部の間に形成される隙間への石や砂等の噛み込みによる搬送部材の折損を防止することと、土砂等の付着による搬送チェーンの劣化を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1に記載の搬送装置においては、左右一対の駆動スプロケットと、該左右一対の駆動スプロケットを支持する駆動軸と、左右一対の従動ローラと、該左右一対の従動ローラを支持する従動軸と、前記左右一対の駆動スプロケット及び左右一対の従動ローラに巻き掛けられる左右一対の無端帯と、前記左右一対の無端帯の間に横架するように設けられ、収穫物を保持しつつ搬送する搬送部材と、を備え、前記左右一対の従動ローラは、前記従動軸方向内側に伸径する環状凸部を有し、該環状凸部の外側外周は、前記従動軸を周回する前記搬送部材と前記無端帯との連結部分に近接する構成とするものである。
【0007】
請求項2に記載の搬送装置においては、前記従動軸に、前記無端帯と当接するスクレーパを取り付けるものである。
【0008】
請求項3に記載の搬送装置においては、前記スクレーパは、前記搬送装置の駆動方向上流側に延設されるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1に記載の搬送装置においては、従動ローラの従動軸方向内側に環状凸部が設けられることにより、従動ローラと搬送部材‐搬送チェーン連結部との間に形成される隙間が狭くなるので、収穫作業時に搬送装置を土壌に接触させても、当該隙間に石や砂等が噛み込みにくくなる。したがって搬送部材が搬送チェーンとの連結部近傍において折損するのを防止することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の搬送装置においては、搬送チェーンに溜まった土砂等をスクレーパによって掻き出し、土落しをすることができるので、搬送チェーンやスプロケット(駆動スプロケット及び従動ローラ)に土砂等が溜まって搬送チェーンとスプロケット(駆動スプロケット及び従動ローラ)が正常に嵌合しなくなるのを防止することができる。また、搬送チェーンとスプロケット(駆動スプロケット及び従動ローラ)の間に土砂等が噛み込みにくくなるので、搬送チェーンの劣化を防ぐことができる。
【0012】
請求項3に記載の搬送装置においては、戻り側の搬送チェーンに溜まった土砂等をスクレーパによって掻き出し、土落しをすることができるので、土砂等が搬送チェーンや従動ローラに溜まって搬送チェーンと従動ローラが正常に嵌合しなくなるのを防止することができる。また、搬送チェーンと従動ローラの間に土砂等が噛み込みにくくなるので、搬送チェーンの劣化を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る搬送装置を備えた野菜収穫機の全体構成を示す斜視図である。
図2は本発明の一実施形態に係る搬送装置を備えた野菜収穫機の全体構成を示す平面図であり、図中の矢印は玉葱が搬送される方向及びコンテナが搬送される方向を示している。
図3は本発明の一実施形態に係る搬送装置を備えた野菜収穫機の全体構成を示す左側面図である。
図4は搬送装置の全体構成を示す斜視図であり、図中の矢印は玉葱が搬送される方向を示している。
図5は搬送部材‐搬送チェーン連結部の構成を示す分解説明図であり、図中の矢印はそれぞれの部材が取り付けられる場所を示している。
図6は搬送部材‐搬送チェーン連結部の構成を示す正面図であり、(a)は第一搬送部材、(b)は第二搬送部材を示す図である。
図7は従動ローラの構成を示す正面一部断面図である。
図8は搬送装置に備えられたスクレーパの構成を示す平面図であり、従動ローラ並びに従動軸は一部断面図にて示している。
図9は搬送装置に備えられたスクレーパの構成を示す右側面説明図であり、搬送部材は断面図にて示している。また、図中の矢印は搬送装置の駆動方向を示している。
【0014】
以下では、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る搬送装置34を備えた玉葱収穫機1の全体構成について説明する。
尚、以下の説明においては、搬送装置34は玉葱収穫機1に備えられるものとして説明するが、本発明はこれに特に限らず、例えば人参やばれいしょ等の収穫機に備えられるものであっても構わない。
以下の説明においては、図1に示した矢印Aの方向を玉葱収穫機1の進行方向、つまり前方向として、前後左右方向を規定するものとする。
【0015】
玉葱収穫機1は、畝上に置かれた玉葱を回収し、コンテナ61・61・・・に収容するために使用される収穫機である。
図1に示すように、玉葱収穫機1は、主として機体フレーム2、エンジン(不図示)、クローラ走行装置3・3、操縦部4、野菜掻き込み部10、野菜搬送部30、コンテナ搬送部60を具備する。
野菜掻き込み部10は玉葱収穫機1の最前部に配置され、野菜掻き込み部10の下方に野菜搬送部30の前部が連設される。そして、野菜搬送部30は、前低後高に形設され、その最後部の下方にコンテナ搬送部60が連設される。
【0016】
畝から引き抜かれて畝上に置かれている玉葱は、野菜掻き込み部10により掻き込まれて野菜搬送部30に受け渡され、野菜搬送部30にて後方へ保持・搬送される。野菜搬送部30の終端まで搬送された玉葱は、落下シュート50を経て、コンテナ搬送部60のコンテナ搬送台62上にセットされるコンテナ61中へ収容される。
【0017】
以下では、図1から図4を参照して、玉葱収穫機1の各部の構成について説明する。
【0018】
機体フレーム2は、玉葱収穫機1の主たる構造体となるものである。図1に示すように、機体フレーム2は、長手方向を前後方向として、複数の板材により構成される略箱状の部材である。
【0019】
前記エンジンは、玉葱収穫機1が駆動するための動力を発生する動力源である。前記エンジンは、機体フレーム2に搭載される。
【0020】
左右一対のクローラ走行装置3・3は、機体フレーム2を支持し、玉葱収穫機1を走行可能とするものである。クローラ走行装置3・3は機体フレーム2の下部に具備され、前記エンジンの動力により駆動される。
【0021】
操縦部4は、複数のレバー等を備え、オペレータによって玉葱収穫機1の操縦が行われる部位である。図2及び図3に示すように、操縦部4は、機体フレーム2の最後部に具備される。操縦部4では、適宜のレバー操作等によってクローラ走行装置3・3及び野菜掻き込み部10及び野菜搬送部30を別個に駆動できるように構成される。
【0022】
野菜掻き込み部10は、畝上に置かれている玉葱を掻き込んで野菜搬送部30に受け渡すための部位である。図3に示すように、野菜掻き込み部10は、左右一対の支持アーム11・11、掻き込み駆動ケース14、掻き込み装置15等を具備する。
【0023】
支持アーム11・11は、掻き込み装置15を支持する部材である。支持アーム11・11は、掻き込み装置15を挟んで両側に左右一対に具備される。
支持アーム11の後端部は、回動支持部12にて、搬送駆動ケース31の後端部に枢支される。支持アーム11の前端部には、掻き込み装置15の駆動軸16が横架される。
【0024】
掻き込み駆動ケース14には、掻き込み装置15の動力伝達機構が内装され、該動力伝達機構から動力を受けて駆動軸16が回転駆動されるようにしている。
【0025】
掻き込み装置15は、畝上の玉葱を搬送装置34上に案内するための装置である。掻き込み装置15は、支持アーム11・11の前端部に回転運動可能に支持される。図1及び図3に示すように、掻き込み装置15は、主として駆動軸16、回転輪17、回転輪18、掻き込み体20・20・・・を具備する。
【0026】
回転輪17・18は駆動軸16に固定され、回転輪17・18の間に横架された支持軸21・21・・・には掻き込み体20・20・・・が回転可能に取り付けられる。支持軸21・21・・・に取り付けられた掻き込み体20・20・・・は、駆動軸16を中心として回転することができる。
【0027】
このような構成により、掻き込み装置15を畝に近づけた際に、玉葱収穫機1の右側面から見て時計回りに掻き込み体20・20・・・を回転運動させることで、畝上に置かれた玉葱を掻き込み、連設される野菜搬送部30に案内することができる。
【0028】
野菜搬送部30は、野菜掻き込み部10から受け渡された玉葱を落下シュート50の上方まで搬送するための部位である。図3に示すように、野菜搬送部30は主として左右一対の搬送駆動ケース31・31及び搬送装置34を具備する。
【0029】
搬送駆動ケース31・31は、搬送装置34の動力伝達機構を内装するものである。搬送駆動ケース31・31は、搬送装置34の両側に左右一対に並設される。
搬送駆動ケース31の後端部は、回動支持部33にて回動支持板23の一端に枢支される。回動支持板23の他端は、機体フレーム2の支柱に連結される。また、搬送駆動ケース31と機体フレーム2の間には油圧シリンダ32が枢結されており、油圧シリンダ32を動作させることによって、搬送駆動ケース31の機体フレーム2に対する相対高さを調整できる構成となっている。
【0030】
以下では、本実施形態に係る搬送装置34の構成について、図4から図9を参照して説明する。
図4に示すように、搬送装置34は、主として左右一対の駆動スプロケット35・35、駆動軸36、左右一対の従動ローラ37・37、従動軸38、無端帯として構成される左右一対の搬送チェーン43・43、該搬送チェーン43・43の間に横架される搬送部材、搬送ガイド49・49を具備する。前記搬送部材である第一搬送部材44・44・・・と第二搬送部材48・48・・・は交互に左右一対の搬送チェーン43・43の間に横架され、無端体の野菜搬送面が構成される。玉葱は、第一搬送部材44・44・・・及び第二搬送部材48・48・・・の間に挟み込まれて保持・搬送される。
【0031】
駆動スプロケット35・35、従動ローラ37・37、及び搬送チェーン43・43は、搬送駆動ケース31・31に内装される。駆動スプロケット35・35は搬送駆動ケース31・31の後端部に左右一対に具備され、従動ローラ37・37は搬送駆動ケース31・31の前端部に左右一対に具備される。
【0032】
搬送駆動ケース31・31の後端部間には駆動軸36が軸受け(不図示)を介して横架され、駆動軸36の左右両端部には駆動スプロケット35・35が固設される。
【0033】
従動軸38の両端は、搬送駆動ケース31・31の前端部間に横架して固設される。従動軸38の左右両端部には従動ローラ37・37が軸受け80(図7参照)を介して回転可能に支持される。
尚、従動ローラ37・37の構成については後に詳述する。
また、従動軸38には土落し用のスクレーパ90が備えられるが、これについても後に詳述する。
【0034】
搬送チェーン43・43は、駆動スプロケット35・35と従動ローラ37・37に巻き掛けられ、左右一対に具備される。このように構成することより、駆動スプロケット35・35が駆動装置(不図示)により回転駆動されると、これにともなって搬送チェーン43・43が回転駆動される。
【0035】
第一搬送部材44・44・・・及び第二搬送部材48・48・・・は、前記搬送チェーン43・43の間に交互に配置するように横架して、所定間隔をあけて平行に並べることですだれ状の搬送面(以下、野菜搬送面というものとする)が形成されるように構成される。こうして、駆動スプロケット35・35を回転駆動することにより搬送チェーン43・43が回転駆動され、第一搬送部材44・44・・・及び第二搬送部材48・48・・・を搬送方向に向かって移動させることができるように構成される。
【0036】
図6(a)に示すように、第一搬送部材44は略直線棒状の部材である。第一搬送部材44は、軸部材45や、軸部材45に対して回転可能に挿嵌されるカラー46・46等によって構成される。第一搬送部材44は、両端に設けられた取付部44cにて、搬送チェーン43に連結される。
【0037】
図6(b)に示すように、第二搬送部材48は左右方向略中央部側が内周側に窪むように形成される。つまり、平面視(正面視)で長手方向に凹凸を有する形状となっている。玉葱は内周側に窪んだ凹部48bに載置される。凹部48bの左右両側には、凸部48aが形成され、搬送中の玉葱が搬送チェーン43に接触しないように構成されている。凸部48aのさらに外側には、取付部48cが設けられる。第二搬送部材48は、両端に設けられた取付部48cにて、搬送チェーン43に連結される。
【0038】
尚、搬送チェーン43・43と前記搬送部材(第一搬送部材44及び第二搬送部材48)との連結部分の構成については後に詳述する。
【0039】
図4に示すように、第一搬送部材44・44・・・と、第二搬送部材48・48・・・とを、交互に配置して構成される無端帯の前記野菜搬送面の上方には、該野菜搬送面の傾きに沿わせるようにして、二本の棒状の搬送ガイド49・49が具備される。搬送装置34の下部において左右方向に幅広く載置された玉葱は、上方に搬送されるにしたがって搬送ガイド49・49によってガイドされ、搬送装置34の終端部においては、前記野菜搬送面の左右中央側に集められる。
【0040】
図3に示すように、搬送装置34の終端部の下方後方には落下シュート50が配置されており、搬送装置34の終端部まで搬送された玉葱は、落下シュート50の上方まで受け継がれた後、落下シュート50の内部を通過して、コンテナ搬送台62に設置されたコンテナ61内に投入される。
【0041】
コンテナ搬送部60は、落下シュート50から受け渡された玉葱をコンテナ61に収容したり、空のコンテナ61を落下シュート50の下方に搬送したりするための部位である。図2に示すように、コンテナ搬送部60は、コンテナ61を設置するコンテナ搬送台62と、空のコンテナ61・61・・・を待機させておくコンテナ台63とから構成される。
【0042】
次に、図5及び図6を参照して、前記搬送部材(第一搬送部材44及び第二搬送部材48)と搬送チェーン43との連結部分の構成について、詳細に説明する。尚、以下の説明においては、当該部分を搬送部材‐搬送チェーン連結部というものとする。
【0043】
図5に示すように、搬送チェーン43は複数のコマ70・70・・・を繋ぎ合わせることで構成される部材である。搬送チェーン43は、コマ70・70・・・を、雄リンクプレート71と雌リンクプレート73とで繋ぎ合わせてジョイント部材74で抜け止めする手段と、雄リンクプレート77と雌リンクプレート73とで繋ぎ合わせてカシメ固定する手段とを組み合わせることによって、環状に形成される。
【0044】
図6に示すように、第一搬送部材44及び第二搬送部材48はそれぞれ、搬送部材リンクプレート72を介して搬送チェーン43に連結される。
【0045】
図5に示すように、コマ70は、平行に並べた略瓢箪型の二枚のプレートが円筒部70h・70hを介して連結されて構成される部材である。円筒部70h・70hは、前記二枚のプレートを貫通するように設けられる。
円筒部70h・70hの外周には、円筒部70h・70hに対して回転可能なカラー部材78・78(図6及び図7参照)が設けられる。カラー部材78は、搬送チェーン43が従動ローラ37に巻き掛けられた状態において、従動ローラ37と当接する部材である。このような構成により、搬送チェーン43と従動ローラ37との間に生じる摩擦はカラー部材78の回転によって減少し、搬送チェーン43は従動ローラ37上をスムーズに周回することができる。
【0046】
雄リンクプレート71は、水平部71aと軸部71b・71bとから構成される部材である。2本の軸部71b・71bは水平部71aの外面から突出され、前記軸部71b・71bの先端側には縮径された環状凹部71c・71cが形成される。
【0047】
搬送部材リンクプレート72は、水平部72aと垂直部72dを有し、前記野菜搬送面の上面においては断面逆L字状の部材である。水平部72aには、軸部71b・71bを挿嵌可能な位置に2つの貫通孔72ah・72ahが設けられる。垂直部72dには前記搬送部材(第一搬送部材44及び第二搬送部材48)を締結固定する位置にネジ穴72dhが設けられる。
【0048】
雌リンクプレート73には、軸部71b・71bを挿嵌可能な位置に2つの貫通孔73h・73hが設けられる。
【0049】
ジョイント部材74は略コ字状の部材であり、水平方向にスリット74sが切り欠けられる。スリット74sの両端部には、軸部71b・71bの環状凹部71c・71cに嵌合可能な係止凹部74h・74hが形成される。
【0050】
2つのコマ70・70を前後に隣り合わせた状態で、雄リンクプレート71の軸部71b・71bを搬送部材リンクプレート72の貫通孔72ah・72ahに挿嵌し、その外側に突出した軸部71b・71bを前側のコマ70の後側円筒部70hと後側のコマ70の前側円筒部70hとに同時に挿嵌し、さらにその外側に突出した軸部71b・71bを雌リンクプレート73の貫通孔73h・73hに挿嵌し、さらにその外側に突出した軸部71b・71bの環状凹部71c・71cをジョイント部材74の係止凹部74h・74hで係止することで、雄リンクプレート71の軸部71b・71bが抜け止めされる。
【0051】
第一搬送部材44‐搬送チェーン43連結部においては、搬送部材リンクプレート72のネジ穴72dhには、第一搬送部材44の取付部44cに設けられたネジ穴44hと一致させた状態でボルト75が挿嵌されて、ボルト75及びナット76によって締結固定される(図6(a)参照)。
【0052】
第二搬送部材48‐搬送チェーン43連結部においては、搬送部材リンクプレート72のネジ穴72dhには、第二搬送部材48の取付部48cに設けられたネジ穴48hと一致させた状態でボルト75が挿嵌されて、ボルト75及びナット76によって締結固定される(図6(b)参照)。
【0053】
一方、図5に示すように、第一搬送部材44及び第二搬送部材48が連結されない箇所において隣り合うコマ70・70は、雄リンクプレート77と雌リンクプレート73で互いにカシメ固定することによって連結される。この場合は、コマ70・70と雄リンクプレート77の間には搬送部材リンクプレート72が具備されない。
より詳細には、雄リンクプレート77は、水平部77aと軸部77b・77bとから構成される部材である。2本の軸部77b・77bは水平部71aの外面から突出される。
2つのコマ70・70を前後に隣り合わせた状態で、雄リンクプレート77の軸部77b・77bを前側のコマ70の後側円筒部70hと、後側のコマ70の前側円筒部70hとに同時に挿嵌し、その外側に突出した軸部77b・77bを雌リンクプレート73の貫通孔73h・73hに挿嵌してカシメ固定される。
【0054】
以下では、図7を参照して、従動ローラ37の構成について詳細に説明する。
従動ローラ37は、駆動スプロケット35とともに回転して、巻き掛けられた搬送チェーン43を回転駆動するための部材である。従動ローラ37は、駆動スプロケット35の回転駆動に従動して回転される。従動ローラ37は、主としてチェーン当接部37aと、外側部37bと、内側部37cとから一体的に構成されるリング状の部材である。従動ローラ37は従動軸38に挿嵌されて、軸受け80を介して従動軸38に対して回転可能に支持される。
【0055】
チェーン当接部37aは、搬送チェーン43が巻き掛けられる部位である。チェーン当接部37aの外周面は、従動軸38を周回する搬送チェーン43に具備されるカラー部材78と当接するように構成される。
【0056】
外側部37bは、チェーン当接部37aの従動軸38方向外側に設けられ、チェーン当接部37aに対して伸径するように形成される。このような構成により、チェーン当接部37aに巻き掛けられた搬送チェーン43が従動軸38方向外側へずれて従動ローラ37から外れてしまうのを防止することができる。
【0057】
内側部37cは、チェーン当接部37aの従動軸38方向内側に膨出して設けられる部位であり、チェーン当接部37aに対して伸径するように形成され、環状凸部として構成される。また、内側部37cの外周は、前記搬送部材‐搬送チェーン連結部に接触しない範囲でできるだけ近接するように形成される。尚、本実施形態のように内側部37cの外周面全体に後述の弾性カバー37dを固設する場合には、該弾性カバー37dを配置するのに必要な空間を残しておくことが必要である。
また、内側部37cの内周面と従動軸38との間に形成される隙間には、双方に固着されるスペーサ39が設けられる。
内側部37cの外周面全体には、弾性材から構成される弾性カバー37dが固設される。弾性カバー37dは、内側部37cの外周と前記搬送部材‐搬送チェーン連結部との間に形成される隙間をさらに埋めるように設けられる。
このような構成により、チェーン当接部37aに巻き掛けられた搬送チェーン43が従動軸38方向内側へ移動して従動ローラ37から外れてしまうのを防止することができる。
【0058】
さらにこのような構成により、従動ローラ37と前記搬送部材‐搬送チェーン連結部との間に形成される隙間が狭くなり、収穫作業時に搬送装置34を土壌に接触させても、当該隙間に石や砂等が噛み込みにくくなる。したがって、石や砂等の噛み込みによって、第一搬送部材44の取付部44cや、第二搬送部材48の取付部48cや、搬送チェーン43の連結部材リンクプレート72等の、比較的剛性の小さい部材が折損するのを防止することが可能となり、各部材の交換頻度を少なくすることができる。
【0059】
また、弾性材から構成される弾性カバー37dを設けることにより、玉葱の落下等の衝撃によって部分的に撓んだ搬送部材48(または搬送部材44)が従動軸38を周回するときであっても、前記搬送部材48(または搬送部材44)の移動が従動ローラ37との接触によって妨げられることはない。
【0060】
以下では、図8及び図9を参照して、従動ローラ37とともに従動軸38に備えられるスクレーパ90の構成について説明する。
スクレーパ90は、搬送装置34に付着した土砂等を掻き出したり、土落しをしたりする、いわゆるクリーナの役割をする部材である。スクレーパ90は、スクレーパ取付部91と、チェーンスクレーパ92とによって構成される。本実施形態においては、スクレーパ90は板材を折り曲げて構成したものであり、スクレーパ取付部91とチェーンスクレーパ92が一体的に形成されている。
スクレーパ90は、従動軸38の左右両端部に一対に備えられる。以下では、進行方向右側に備えられるスクレーパ90について説明する。
【0061】
本実施形態におけるスクレーパ90はゴム等の弾性材で構成される部材であり、プレート状の板材を略L字状に折り曲げて形成される。尚、スクレーパ90は金属等の素材によって構成しても構わない。
【0062】
スクレーパ取付部91は、スクレーパ90を従動軸38に取り付けるための部材である。図8に示すように、スクレーパ取付部91の基端部には、側面視略円穴状の貫通孔91hが形成される。貫通孔91hにて従動軸38に挿嵌されることにより、スクレーパ取付部91は従動ローラ37と搬送駆動ケース31との間に備えられる。
スクレーパ取付部91の先端部には、ボルト93を挿通するための貫通孔(不図示)が設けられる。スクレーパ取付部91は、前記貫通孔にて、同様の貫通孔(不図示)を形成した搬送駆動ケース31の前部に、ボルト93及びナット94によって締結固定される。
【0063】
図8及び図9に示すように、チェーンスクレーパ92は、側面視略「へ」字状に折り曲げて、従動軸38の方向へ向かう戻り側の搬送チェーン43の上部を覆うように延設され、搬送チェーン43や前記搬送部材‐搬送チェーン連結部と当接するように構成される。こうして、チェーンスクレーパ92は搬送チェーン43や前記搬送部材‐搬送チェーン連結部に付着した土砂等を掻き出す役割をする。
また、チェーンスクレーパ92の従動軸38側の端部には凸部92aが形成される。該凸部92aの左右幅は、従動ローラ37のチェーン当接部37aの左右幅よりも若干短く構成して、該凸部92aの端部がチェーン当接部37aの外周面に摺接するように配置される。このような構成により、従動ローラ37のチェーン当接部37aに付着した土や石等を、チェーンスクレーパ92の凸部92aの作用によって除去することが可能となっている。
【0064】
本実施形態においては、チェーンスクレーパ92は弾性材で構成されるものとして説明したが、本発明はこれに特に限定されるものでなく、例えば合成樹脂やフェルト等の素材で構成しても良いし、搬送チェーン43と当接する側の面にブラシを植え付けた構成にしても構わない。つまり搬送チェーン43や前記搬送部材‐搬送チェーン連結部に当接して付着した土砂等を除去するクリーナとしての役割を果たすものであればよい。
【0065】
また、本実施形態においては、スクレーパ90は戻り側の搬送チェーン43と当接するように構成したが、本発明はこれに特に限定されるものではなく、例えば戻り側と送り側の双方の搬送チェーン43に当接するように構成しても構わない。
【0066】
このような構成により、従動軸38近傍を周回している戻り側の搬送チェーン43の上部はスクレーパ90によって覆われ、当該部分では玉葱に付着した土砂等が落ちて搬送チェーン43や前記搬送部材‐搬送チェーン連結部に付着するのを防止することができる。
また、搬送チェーン43や前記搬送部材‐搬送チェーン連結部に溜まった土砂等をスクレーパ90によって掻き出し、土落しをすることができるので、土砂等が搬送チェーン43やスプロケット(駆動スプロケット35及び従動ローラ37)に溜まって搬送チェーン43とスプロケット(駆動スプロケット35及び従動ローラ37)が正常に嵌合しなくなり、スプロケット(駆動スプロケット35及び従動ローラ37)から搬送チェーン43が外れてしまうのを防止できる。
さらには、搬送チェーン43とスプロケット(駆動スプロケット35及び従動ローラ37)の間に土砂等が噛み込みにくくなるので、搬送チェーン43の劣化を防ぎ、搬送チェーン43の交換頻度を少なくすることができる。
【0067】
以上の如く、本発明の一実施形態に係る搬送装置34は、左右一対の駆動スプロケット35・35と、該左右一対の駆動スプロケット35・35を支持する駆動軸36と、左右一対の従動ローラ37・37と、該左右一対の従動ローラ37・37を支持する従動軸38と、前記左右一対の駆動スプロケット35・35及び左右一対の従動ローラ37・37に巻き掛けられる左右一対の無端帯としての搬送チェーン43・43と、前記左右一対の搬送チェーン43・43の間に横架するように設けられ、収穫物を保持しつつ搬送する搬送部材(第一搬送部材44・44・・・及び第二搬送部材48・48・・・)と、を備え、前記左右一対の従動ローラ37・37は、前記従動軸38方向内側に伸径する環状凸部として形成される内側部37c・37cを有し、該内側部37c・37cの外側外周は、前記従動軸38を周回する前記搬送部材(第一搬送部材44・44・・・及び第二搬送部材48・48・・・)と前記搬送チェーン43・43との連結部分に近接する構成としたものである。
即ち、従動ローラ37の従動軸38方向内側に環状凸部である内側部37cが設けられることにより、搬送チェーン43が従動軸38方向内側へ移動して従動ローラ37から外れてしまうのを防止することができる。
また、従動ローラ37と前記搬送部材‐搬送チェーン連結部との間に形成される隙間が狭くなるので、収穫作業時に搬送装置34を土壌に接触させても、当該隙間に石や砂等が噛み込みにくくなる。したがって、石や砂等の噛み込みによって、第一搬送部材44の取付部44cや、第二搬送部材48の取付部48cや、搬送チェーン43の搬送部材リンクプレート72等の、比較的剛性の小さい部材が折損するのを防止することが可能となり、各部材の交換頻度を少なくすることができる。
【0068】
また、本発明の一実施形態に係る搬送装置34は、前記従動軸38に、前記搬送チェーン43・43と当接するスクレーパ90・90を取り付けたものである。
即ち、従動軸38近傍を周回している搬送チェーン43の一部がスクレーパ90によって覆われるので、当該部分では玉葱に付着した土砂等が落ちて搬送チェーン43や前記搬送部材‐搬送チェーン連結部に付着するのを防止することができる。
また、搬送チェーン43や前記搬送部材‐搬送チェーン連結部に溜まった土砂等をスクレーパ90によって掻き出し、土落しをすることができるので、搬送チェーン43やスプロケット(駆動スプロケット35及び従動ローラ37)に土砂等が溜まって搬送チェーン43とスプロケット(駆動スプロケット35及び従動ローラ37)が正常に嵌合しなくなり、スプロケット(駆動スプロケット35及び従動ローラ37)から搬送チェーン43が外れてしまうのを防止できる。
さらには、搬送チェーン43とスプロケット(駆動スプロケット35及び従動ローラ37)の間に土砂等が噛み込みにくくなるので、搬送チェーン43の劣化を防ぎ、搬送チェーン43の交換頻度を少なくすることができる。
【0069】
また、本発明の一実施形態に係る搬送装置34は、前記スクレーパ90・90は、前記搬送装置34の駆動方向上流側に延設される構成としたものである。
即ち、従動軸38近傍を周回している戻り側の搬送チェーン43の上部はスクレーパ90のチェーンスクレーパ92によって覆われ、当該部分では玉葱に付着した土砂等が落ちて搬送チェーン43や前記搬送部材‐搬送チェーン連結部に付着するのを防止することができる。
また、戻り側の搬送チェーン43や前記搬送部材‐搬送チェーン連結部に溜まった土砂等をチェーンスクレーパ92によって掻き出し、土落しをすることができるので、土砂等が搬送チェーン43や従動ローラ37に溜まって搬送チェーン43と従動ローラ37が正常に嵌合しなくなり、従動ローラ37から搬送チェーン43が外れてしまうのを防止できる。
さらには、搬送チェーン43と従動ローラ37の間に土砂等が噛み込みにくくなるので、搬送チェーン43の劣化を防ぎ、搬送チェーン43の交換頻度を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置を備えた野菜収穫機の全体構成を示す斜視図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】同じく左側面図である。
【図4】搬送装置の全体構成を示す斜視図である。
【図5】搬送部材‐搬送チェーン連結部の構成を示す分解説明図である。
【図6】搬送部材‐搬送チェーン連結部の構成を示す正面図であり、(a)は第一搬送部材、(b)は第二搬送部材を示す図である。
【図7】従動ローラの構成を示す正面一部断面図である。
【図8】搬送装置に備えられたスクレーパの構成を示す平面図である。
【図9】搬送装置に備えられたスクレーパの構成を示す右側面説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1 玉葱収穫機
34 搬送装置
35 駆動スプロケット
36 駆動軸
37 従動ローラ
37a チェーン当接部
37b 外側部
37c 内側部(環状凸部)
38 従動軸
43 搬送チェーン(無端帯)
44 第一搬送部材
48 第二搬送部材
72 搬送チェーン連結プレート
90 スクレーパ
91 スクレーパ取付部
92 チェーンスクレーパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の駆動スプロケットと、
該左右一対の駆動スプロケットを支持する駆動軸と、
左右一対の従動ローラと、
該左右一対の従動ローラを支持する従動軸と、
前記左右一対の駆動スプロケット及び左右一対の従動ローラに巻き掛けられる左右一対の無端帯と、
前記左右一対の無端帯の間に横架するように設けられ、収穫物を保持しつつ搬送する搬送部材と、を備え、
前記左右一対の従動ローラは、前記従動軸方向内側に伸径する環状凸部を有し、
該環状凸部の外側外周は、前記従動軸を周回する前記搬送部材と前記無端帯との連結部分に近接することを特徴とする、野菜収穫機に具備される搬送装置。
【請求項2】
前記従動軸に、前記無端帯と当接するスクレーパを取り付けたことを特徴とする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記スクレーパは、前記搬送装置の駆動方向上流側に延設される、請求項2に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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