説明

野菜収穫機

【課題】選別作業部における作業性並びに機体の操作性及び安全性を向上させる。
【解決手段】エンジン12を搭載した機体10と、エンジン12の駆動力により機体10を走行させる左右一対の走行装置20L・20Rと、機体10の最前部に設けられて、農作物を掻き込む掻込み装置30と、掻込み装置30により掻き込まれた農作物を搬送面46に載せて機体10の後部の収容位置80まで搬送する搬送装置40と、機体10の後部に設けられる操作部50と、操作部50の前方であって搬送装置40の両側に配置され、搬送面46に載せられた農作物を選別する選別作業部60と、を具備する野菜収穫機90であって、搬送装置40の左右両側から上方に架け渡される支持フレーム63に補助操作部64を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の農作物を回収する野菜収穫機の技術に関する。より特定的には、農作物を人為的に選別する選別作業部を具備する野菜収穫機において、選別作業部の作業性及び機体の操作性を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圃場の農作物を回収するための野菜収穫機が知られている。例えば特許文献1に記載の如くである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−201414号公報
【0004】
特許文献1に記載の野菜収穫機は、畝から引き抜かれて圃場に載置されている農作物を回収してコンテナに収容する場合等に使用される。
具体的には、圃場に載置された農作物は、野菜収穫機の最前部に備えられた掻込装置により掻き込まれて搬送装置に受け渡される。農作物は搬送装置の搬送面に載せられて、機体の後部に設けられた収容位置まで搬送される。前記搬送装置の側方の機体本体には、作業椅子及びステップ台が設けられ、作業椅子に座った作業者により搬送装置にて搬送されている農作物や茎葉等が選別される。
また、機体本体後部にはハンドルや操作パネルが配置され、その後方に位置する作業者が圃場を歩きながら野菜収穫機の操縦やコンテナを降ろす作業を行う。
しかしながら、上述の構成においては、野菜収穫機後方の作業者しか機体の操縦を行うことができないため、この作業者がコンテナを降ろす作業やコンテナの補給等を行っている間に進行方向がずれたり、異常が生じて機体を止めたい場合等では、速やかに進行方向を修正したり、機体を停止したりすることができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、選別作業部における作業性並びに機体の操作性及び安全性を向上させることが可能な野菜収穫機の技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
本発明の野菜収穫機は、エンジンを搭載した機体と、前記エンジンの駆動力により前記機体を走行させる左右一対の走行装置と、前記機体の最前部に設けられて、農作物を掻き込む掻込み装置と、前記掻込み装置により掻き込まれた農作物を搬送面に載せて前記機体の後部の収容位置まで搬送する搬送装置と、前記機体の後部に設けられる操作部と、前記操作部の前方であって前記搬送装置の両側に配置され、前記搬送面に載せられた農作物を選別する選別作業部と、を具備する野菜収穫機であって、前記搬送装置の左右両側から上方に架け渡される支持フレームに補助操作部を備えるものである。
【0008】
したがって、選別作業者は、搬送装置の両側の選別作業部に搭乗して選別作業を行う場合に、支持フレームで身体を支持することが可能である。さらに、選別作業者は、補助操作部にて野菜収穫機の操縦を行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、選別作業部における作業性並びに機体の操作性及び安全性を向上させることが可能である、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の一形態に係る収穫機の構成を示した左側面図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る収穫機の構成を示した平面図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係る収穫機の構成を示した右側面図である。
【図4】左クラッチ連係機構、右クラッチ連係機構、及びモータ連係機構の構成を示した平面図である。
【図5】モータ連係機構に具備されるモータの電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の好適な実施形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0012】
以下では、本発明の実施の一形態である野菜収穫機90の全体的な構成について、図1〜図3を参照して説明する。
本明細書では、機体10が直進する方向を前後方向と規定するとともに、掻込み装置30が配置される側を前方、操作部50が配置される側を後方と規定して説明を行うものとする。
野菜収穫機90は、畝から引き抜かれて、または、掘り起こされて、圃場に載置されている農作物を回収するために使用される自走式の作業機である。野菜収穫機90は、機体10、走行装置20L・20R、掻込み装置30、搬送装置40、操作部50、及び選別作業部60等を具備する。
なお、以下では、野菜収穫機90によって甘藷を回収する場合を想定して説明するが、例えば玉葱や馬鈴薯等の、種々の農作物を回収する場合に適用可能である。
【0013】
機体10は、野菜収穫機90の本体である。機体10は、機体フレーム11並びに機体フレーム11に搭載されたエンジン12及びミッションケース13等を合わせたものである。
【0014】
図1及び図3に示す機体フレーム11は、野菜収穫機90の骨格を成すものである。野菜収穫機90を構成するその他の部材は機体フレーム11に支持される。機体フレーム11の前端部には、左右一対のデバイダ18・18が固定される。該デバイダ18・18により、圃場の畝に載置されている甘藷を後述の掻込み装置30に案内することが可能である。
【0015】
エンジン12は、野菜収穫機90を走行させるとともに、収穫作業(甘藷の回収作業)を行うための駆動力を発生させるものである。エンジン12で発生させた駆動力は、ミッションケース13(厳密にはミッションケース13に内装される変速装置)を経由して、走行装置20L・20R、掻込み装置30、及び搬送装置40等に伝達される。
【0016】
左右一対の走行装置20L・20Rは、機体10を走行させるための装置である。本実施形態の走行装置20L・20Rはクローラ走行装置により構成され、機体フレーム11の下部に支持される。左の走行装置20Lは、左車軸21Lの回転により駆動される。右の走行装置20Rは、右車軸21Rの回転により駆動される。
左車軸21Lの右部と右車軸21Rの左部は、ミッションケース13内に挿入されて軸支される(図4参照)。左車軸21Lと出力軸の間には左クラッチ22が介装され、右車軸21Rと出力軸の間には右クラッチ23が介装される。左クラッチ22及び右クラッチ23は、公知の構成のクラッチであり、ミッションケース13に収容される。左クラッチ22及び右クラッチ23を入切操作することにより、エンジン12から左車軸21L及び右車軸21Rへの駆動力の伝達並びにその遮断を適宜切り替えることが可能であり、ひいては機体10の走行方向を調整することが可能である。なお、野菜収穫機90の走行方向を調整する機構については後に詳述する。
【0017】
掻込み装置30は、圃場の農作物を機体10に掻き込むための装置である。図1及び図3に示すように、掻込み装置30は、支持フレーム38・38を介して搬送装置40に支持され、機体10の前部に配置される。掻込み装置30は、駆動軸31、回転輪32・32、掻込み体33・33・・・、及び掻込み駆動ケース35等を備える。
駆動軸31は支持フレーム38・38の前端部に軸支され、回転輪32・32は駆動軸31の左右両端に固定され、回転輪32・32の間には掻込み体33・33・・・が回転可能に軸支される。エンジン12からの駆動力は、掻込み駆動ケース35に内装された動力伝達機構を経由して駆動軸31に伝達される。
このような構成により、野菜収穫機90では、駆動軸31が回転すると回転輪32・32及び掻込み体33・33・・・が左側面視において駆動軸31を中心として反時計回りに回転する。掻込み装置30を作動しつつ野菜収穫機90を圃場で走行させると、掻込み体33・33・・・の下端部が、圃場の畝に載置されている甘藷に順次接触して、甘藷を搬送装置40に掻き込む。
【0018】
搬送装置40は、農作物を機体10の後部の収容位置(農作物を回収して収穫袋に収容する作業が行われる位置)80まで搬送するための装置である。搬送装置40は掻込み装置30の後方に連設される。より詳細には、搬送装置40の前端部は掻込み装置30の下方に配置され、搬送装置40の後端部は操作部50の前方に配置される。搬送装置40は、搬送駆動ケース41・41、動力伝達機構、駆動軸43、及び搬送棒45・45・・・等を備える。
【0019】
搬送駆動ケース41・41は搬送装置40の動力伝達機構を内装するものである。搬送駆動ケース41・41は機体10に左右一対に設けられる。搬送駆動ケース41・41は回動軸47を介して機体フレーム11に回動可能に支持される。搬送駆動ケース41・41と機体フレーム11の間に介装される油圧シリンダ48を作動させることにより、搬送装置40(の搬送面46)の圃場に対する傾きを調整することが可能である。
【0020】
搬送装置40の動力伝達機構は、駆動スプロケット、従動スプロケット、及びこれらに巻回されるチェーンにより構成される。左右一対の駆動スプロケットは駆動軸43の両端部に固定されて、搬送駆動ケース41・41の後部に収容される。左右一対の従動スプロケットは従動軸44の両端部に固定されて、搬送駆動ケース41・41の前部に収容される。左右一対のチェーンの間には、搬送棒45・45・・・が所定間隔毎に平行に架け渡される。これらの搬送棒45・45・・・は、甘藷を載置可能な搬送面46(仮想の面)を形成している。野菜収穫機90では、甘藷を搬送棒45・45・・・の間に保持することができる。
このような構成により、野菜収穫機90では、エンジン12からの駆動力により駆動軸43が左側面視において時計回りに回転すると、チェーンが駆動軸43及び従動軸44の周りを周回する。これにより、搬送面46が前端部(始端)から後端部(終端)に向かって移動する。したがって、掻込み装置30から受け渡された甘藷を、搬送面46に載せて後端部(終端)まで搬送することが可能である。
【0021】
搬送面46の終端には、収容位置80が形成される。収容位置80は、搬送装置40の後方であって、操作部50の右側方となる位置に配置される。収容位置80には、収穫袋(農作物を収容するための袋)を載せるための受台86や、該収穫袋をセットするためのクリップ87・87・・・等が備えられる。このような構成により、搬送面46に載せて終端まで搬送した甘藷を、収容位置80にて回収することが可能である。
【0022】
操作部50は、走行装置20L・20R、掻込み装置30、及び搬送装置40を作業者により人為的に操作するための部分である。作業者(野菜収穫機90の操向操作や走行操作や作業操作等をする主たる者。以下「作業者」と記載する。)は、操作部50に備えられた種々の操作具を操作することにより、野菜収穫機90を走行させるとともに収穫作業を行うことができる。操作部50には、メインクラッチレバー51、作業クラッチレバー52、左クラッチレバー53、右クラッチレバー54、及び停止スイッチ55等の種々操作具が備えられる。
【0023】
メインクラッチレバー51は、エンジン12からの駆動力の、ミッションケース13(変速装置)への(ひいては掻込み装置30及び搬送装置40への)伝達及びその遮断を切り替えるための操作具である。
作業クラッチレバー52は、エンジン12からの駆動力の、掻込み装置30及び搬送装置40への伝達並びにその遮断を切り替えるための操作具である。
【0024】
左クラッチレバー53は本発明に係る「主左操向操作具」の実施の一形態である。また、右クラッチレバー54は本発明に係る「主右操向操作具」の実施の一形態である。
左クラッチレバー53及び右クラッチレバー54は、野菜収穫機90の走行方向(直進、左旋回、及び右旋回)を調整するための操作具である。左クラッチレバー53は、左サイドクラッチ連係機構530により、ミッションケース13内の左クラッチ22と連係される。右クラッチレバー54は、右サイドクラッチ連係機構540により、ミッションケース13内の右クラッチ23と連係される。
【0025】
停止スイッチ55は、緊急時等にエンジン12を停止するための操作具である。停止スイッチ55をONにする(下方に押し込む)ことにより、エンジン12の点火装置への通電が断たれてエンジン12が迅速に停止する。係る停止スイッチ55を具備することにより、操作部50において甘藷の袋詰め作業等を行う作業者の安全性を確保している。
【0026】
以下では、左サイドクラッチ連係機構530について詳述する。
図4に示すように、左サイドクラッチ連係機構530は、左ワイヤー531及び左入切部材532等を有する。
左ワイヤー531の一端部は左入切部材532の一端部に固定される。左入切部材532の他端部はミッションケース13に回動可能に軸支される。左入切部材532は左クラッチ22を入切操作するための部材であり、左入切部材532の回動に連動して左クラッチ22を「入」(エンジン12からの駆動力が左車軸21Lに伝達される状態)または「切」(エンジン12からの駆動力が左車軸21Lに伝達されない状態)に設定することが可能である。左ワイヤー531の他端部は左クラッチレバー53に連結される。
【0027】
以下では、右サイドクラッチ連係機構540について詳述する。
図4に示すように、右サイドクラッチ連係機構540は、右ワイヤー541及び右入切部材542等を有する。
右ワイヤー541の一端部は右入切部材542の一端部に固定される。右入切部材542の他端部はミッションケース13に回動可能に軸支される。右入切部材542は右クラッチ23を入切操作するための部材であり、右入切部材542の回動に連動して右クラッチ23を「入」(エンジン12からの駆動力が右車軸21Rに伝達される状態)または「切」(エンジン12からの駆動力が右車軸21Rに伝達されない状態)に設定することが可能である。右ワイヤー541の他端部は右クラッチレバー54に連結される。
【0028】
作業者が左クラッチレバー53及び右クラッチレバー54のいずれも操作していない(これらのレバーから手を離している)とき、左クラッチ22及び右クラッチ23はいずれも「入」である。したがって、野菜収穫機90は直進することが可能である。
直進状態において、作業者が右クラッチレバー54は操作せず、左クラッチレバー53のみを操作する(傾倒操作する)と、左ワイヤー531の他端部が引っ張られて、左入切部材532が回動することにより、左クラッチ22が「切」となる。したがって、左の走行装置20Lが停止し、機体10は左旋回する。
直進状態において、作業者が左クラッチレバー53は操作せず、右クラッチレバー54のみを操作する(傾倒操作する)と、右ワイヤー541の他端部が引っ張られて、右入切部材542が回動することにより、右クラッチ23が「切」となる。したがって、右の走行装置20Rが停止し、機体10は右旋回する。
【0029】
選別作業部60は、搬送面46に載せられた農作物を人為的に(手作業で)選別するための部分である。図2に示すように、選別作業部60は、操作部50及び収容位置80よりも前方であって機体10の左右両側に一対に設けられる。選別作業者(甘藷の選別作業をする補助作業者。以下、「選別作業者」と記載する。)は、選別作業部60において、小さい甘藷や腐った甘藷等の品質の劣悪な甘藷や、葉やツル等の混入物等を、搬送面46上から除去する。
選別作業部60は、左右一対のステップ61・61、左右一対の座席62・62、支持フレーム63、及び補助操作部64等を備える。
【0030】
左右の各ステップ61は、選別作業者がその上に搭乗して選別作業を行う部分である。ステップ61・61は、機体フレーム11より左右外側に突出している。各ステップ61は、機体10の内側に回動支点が設けられ、上方に回動することにより内側に折り畳むことが可能である。ステップ61・61を折り畳むことにより、野菜収穫機90の左右方向の寸法を小さくすることができ、ひいては野菜収穫機90を小型のトラック等に載せて輸送し易くなる。
【0031】
各ステップ61の上には、選別作業者が着座するための座席62が設けられる。本実施形態の野菜収穫機90においては、座席62・62は左右一対に設けられており、座席62・62に着座した二人の選別作業者が搬送装置40の左右両側から選別作業を行うことが可能である。なお、ステップ61・61を機体10の内側に折り畳んで収納する場合には、座席62・62をステップ61から取り外すことができる。ただし、この構成に代えて、座席をステップとともに折り畳んで収納可能に構成してもよい。
【0032】
支持フレーム63は、選別作業者が身体を支持したり、搬送装置40側に選別作業者が入り込むことを防止したり、後述する補助操作部64を配置したりするための部材である。支持フレーム63は搬送装置40(搬送面46)の左右両側方から上方に突出するとともに、座席62・62に隣接するように設けられる。支持フレーム63は、左フレーム63a、右フレーム63b、上フレーム63c、及び連結フレーム63dを有する。
左フレーム63a及び右フレーム63bは、その下部が搬送装置40の側面に固設され上下方向に延設される。上フレーム63cは平面視略「コ」字状に形成され、その開放側を後方として、搬送装置40の後部上面に固定される。上フレーム63cの後部左右両側は、連結フレーム63dにより連結される。上フレーム63c及び連結フレーム63dは搬送装置40の上方に水平方向に配置される。上フレーム63cの前部は、左フレーム63aの上端と右フレーム63bの上端に連結される。つまり、左フレーム63aの上端部及び右フレーム63bの上端部は、機体10の左右方向に対して略平行に延びる上フレーム63cにより連結される。但し、連結フレーム63dは強度アップのために複数設けることも可能である。
各座席62に着座している選別作業者は、上フレーム63cや連結フレーム63dを手で握ることにより体を支えて姿勢を安定させることができ、また、もたれることにより、楽な姿勢で甘藷の選別作業を行うことができ、さらに、上フレーム63cにより搬送経路内に身体が意図せず入り込むことを防止できる。
【0033】
補助操作部64は、操作部50における操作の一部を補助的に担うための部分である。選別作業者は、補助操作部64に備えられた各種の操作具を操作することにより、野菜収穫機90を操縦したり、エンジン12を停止したりすることが可能である。補助操作部64は、支持フレーム63上の、座席62・62に着座している選別作業者から容易に手が届く位置に設けられる。本実施形態の補助操作部64は、上フレーム63cの左右略中央に設けられる。補助操作部64は、操作ボックス65、停止スイッチ66、及び補助操作レバー67等を有する。
【0034】
操作ボックス65は、箱形状の部材であり、その前面または後面または底面に取付部材(不図示)を有する。操作ボックス65は、該取付部材を介して、上フレーム63c上に着脱可能、かつ、上フレーム63c上の取付位置を調整可能に固定される。したがって、補助操作部64を設けない仕様に容易に変更できる。また、操作ボックス65を連結フレーム63d上に付け替えて配置することもでき、操作状況に応じて配置位置を容易に変更できる。また、操作ボックス65を外して容易に修理やメンテナンス等が行える。さらに、左または右の一方の選別作業者が主として操向操作を行う場合には、操向操作を行う選別作業者側に寄せて操作ボックス65を配置することができ、操作性を向上することができる。
【0035】
なお、本実施形態の操作ボックス65上には、停止スイッチ66と補助操作レバー67が設けられるものとしたが、主クラッチの操作レバーや、掻込み装置または搬送装置の昇降レバー等を、さらに設ける構成としてもよい。例えば、補助操作レバーを多方向(前後左右方向)スイッチで構成して、前後方向の操作により搬送装置の昇降操作を可能とし、左右方向の操作により機体の旋回操作を可能とする構成としてもよい。
【0036】
停止スイッチ66は、緊急時等にエンジン12を停止するための操作具である。停止スイッチ66は押しボタン式のスイッチであり、操作ボックス65に設けられる。停止スイッチ66をONにする(下方に押し込む)ことにより、エンジン12の点火装置への通電が断たれてエンジン12が迅速に停止する。但し、エンジンを停止させる手段はこれに限定するものではなく、例えばディーゼルエンジンの場合には、燃料供給を停止する手段を有する構成とすることができる。
【0037】
補助操作レバー67は本発明に係る「補助操向操作具」の実施の一形態である。補助操作レバー67は、野菜収穫機90の走行方向(左旋回、または、右旋回)を変更するための操作具である。補助操作レバー67は、スイッチにより構成され、電気回路100(図5参照)によりモータ79と電気的に接続される。補助操作レバー67を左または右に傾倒することにより、左接点6または右接点7が閉(ON)の状態となり、モータ79の出力軸が回転される。モータ79の出力軸が回転することにより、左入切部材532または右入切部材542が回動されて、左クラッチ22または右クラッチ23が「切」となる。これにより、機体10を左旋回または右旋回させることが可能である。
【0038】
以下では、モータ連係機構70について、図4を参照して詳述する。
モータ連係機構70は、モータ79と、左クラッチ22及び右クラッチ23と、を連係させる機構である。モータ連係機構70は、ピニオンギヤ71、ギヤ72、左スプリング733、右スプリング743、及び回動軸73等を備える。
ピニオンギヤ71はモータ79の出力軸に固定される。ギヤ72は、その一側の外縁部(扇形の円弧の部分)に歯部を有し、該歯部にピニオンギヤ71が噛合している。ギヤ72の他側(扇形の円弧とは反対側)は、回動軸73によりミッションケース13に回動可能に軸支される。また、ギヤ72の他側の回動軸73の両側には係止部が設けられて、左スプリング733及び右スプリング743の一端が係止される。左スプリング733の他端及び右スプリング743の他端はそれぞれ、左入切部材532及び右入切部材542の一端部に、左ワイヤー531及び右ワイヤー541とともに係止される。
なお、以下の説明においては、図4に示したギヤ72の位置を「中立位置」と規定する。
【0039】
以下では、電気回路100について、図5を参照して説明する。
電気回路100は、バッテリー19、左接点6、右接点7、左優先スイッチ8、右優先スイッチ9、第一のリレー1、第二のリレー2、第三のリレー3、第四のリレー4、第五のリレー5、中立検出スイッチ77、左リミットスイッチ75、右リミットスイッチ76、及びこれらの部材を接続する配線等を有する。
【0040】
バッテリー19は、モータ79に電力を供給する電源である。バッテリー19は機体フレーム11に搭載される。
【0041】
左接点6及び右接点7は、常開型のスイッチの接点であり、補助操作レバー67の基部に設けられ、補助操作レバー67が左または右へ傾倒操作されたことを検出するものである。補助操作レバー67が左に傾倒操作(左方向へ回動)されると左接点6が閉(ON)となり、補助操作レバー67が右に傾倒操作(右方向へ回動)されると右接点7が閉(ON)となる。
【0042】
左優先スイッチ8は、左クラッチレバー53が操作されたことを検出するものである。左優先スイッチ8は常閉型のスイッチであり、左クラッチレバー53の傾倒操作が検出された場合に限り、接点8aと接点8bとが接続されない状態(OFF)となる。
右優先スイッチ9は、右クラッチレバー54が操作されたことを検出するものである。右優先スイッチ9は常閉型のスイッチであり、右クラッチレバー54の傾倒操作が検出された場合に限り、接点9aと接点9bとが接続されない状態(OFF)となる。
【0043】
第一のリレー1は、ソレノイド1a、接触片1b、及び接点1c・1d・1eを有する。ソレノイド1aが消磁されている場合には、接触片1bが接点1cと接点1dとを接続する位置に保持される。ソレノイド1aが励磁された場合には、その磁力により接触片1bが移動して、接点1cと接点1eとが接続される。
第二のリレー2は、ソレノイド2a、接触片2b、及び接点2c・2d・2eを有する。ソレノイド2aが消磁されている場合には、接触片2bが接点2cと接点2dとを接続する位置に保持される。ソレノイド2aが励磁された場合には、その磁力により接触片2bが移動して、接点2cと接点2eとが接続される。
第三のリレー3は、ソレノイド3a、接触片3b、及び接点3c・3d・3eを有する。ソレノイド3aが消磁されている場合には、接触片3bが接点3cと接点3dとを接続する位置に保持される。ソレノイド3aが励磁された場合には、その磁力により接触片3bが移動して、接点3cと接点3eとが接続される。
第四のリレー4は、ソレノイド4a、接触片4b、及び接点4c・4d・4eを有する。ソレノイド4aが消磁されている場合には、接触片4bが接点4cと接点4dとを接続する位置に保持される。ソレノイド4aが励磁された場合には、その磁力により接触片4bが移動して、接点4cと接点4eとが接続される。
第五のリレー5は、ソレノイド5a、接触片5b、及び接点5c・5d・5eを有する。ソレノイド5aが消磁されている場合には、接触片5bが接点5cと接点5dとを接続する位置に保持される。ソレノイド5aが励磁された場合には、その磁力により接触片5bが移動して、接点5cと接点5eとが接続される。
【0044】
中立検出スイッチ77は、ギヤ72の回動位置を検出するものである。中立検出スイッチ77は、接触片77a及び接点77b・77c・77dを有する。ギヤ72が中立位置にある場合、接点77bは、接点77c及び接点77dのいずれにも接続されない。ギヤ72が中立位置よりも平面視反時計回りに回動された場合、接点77bと接点77cとが接触片77aにより接続される。一方、ギヤ72が中立位置よりも平面視時計回りに回動された場合、接点77bと接点77dとが接触片77aにより接続される。
【0045】
左リミットスイッチ75は、常閉型のスイッチであり、ギヤ72が平面視反時計回りに回動されたことを検出するものである。ギヤ72が平面視反時計回りに最大限回動されたとき、左リミットスイッチ75が開(OFF)となる。
右リミットスイッチ76は、常閉型のスイッチであり、ギヤ72が平面視時計回りに回動されたことを検出するものである。ギヤ72が平面視時計回りに最大限回動されたとき、右リミットスイッチ76が開(OFF)となる。
【0046】
このような構成の電気回路100により、モータ79は、以下の(1)〜(5)に示すように作動される。なお、モータ79の出力軸の平面視時計回りの回転を「正回転」と記載するとともに、平面視反時計回りの回転を「逆回転」と記載する。
【0047】
(1)左クラッチレバー53及び右クラッチレバー54がいずれも操作されていない場合において、選別作業者が補助操作レバー67を左に傾倒操作すると、左接点6がONとなり、バッテリー19から左優先スイッチ8、右優先スイッチ9、並びにソレノイド1a及びソレノイド2aへと電流が流れる。したがって、ソレノイド1a及びソレノイド2aが励磁される。
ソレノイド1aの励磁により接点1c・1eが接続され、バッテリー19からソレノイド3aに電流が流れる。したがって、ソレノイド3aが励磁されて接点3e・3cが接続され、バッテリー19から接点3e・3c、モータ79、接点5c・5dへと電流が流れ、モータ79の出力軸が正回転する。よって、モータ連係機構70により、ギヤ72が中立位置から平面視反時計回りに回動され、これに連動して左入切部材532が回動され、ひいては左クラッチ22が「切」となる。その結果、機体10は左旋回する。
そして、モータ連係機構70におけるギヤ72の平面視反時計回りへの回動量が最大となったとき、左リミットスイッチ75がOFFとなり、ソレノイド3aに電流が流れなくなり、ひいてはモータ79が停止される。このとき、ギヤ72は平面視反時計回りに最大限回動された状態に維持されるので、左クラッチ22は「切」の状態に保持される。
一方、上記のギヤ72の回動に伴って、中立検出スイッチ77の接点77b・77c間が接触片77aにより接続される。
【0048】
(2)前記(1)の旋回操作により機体10の走行方向を所望の方向に調整した後、選別作業者が補助操作レバー67から手を放すと、左接点6はOFFとなる。したがって、バッテリー19からソレノイド1a及びソレノイド2aに電流が流れなくなり、消磁される。
ソレノイド2aの消磁により接点2c・2d間が接続される。したがって、バッテリー19からソレノイド5a、接点4c・4d、接点77c・77b、接点2c・2dへと電流が流れる。したがって、ソレノイド5aが励磁される。
ソレノイド5aの励磁により接点5e・5c間が接続され、バッテリー19から接点5e・5c、モータ79、接点3c・3dへと電流が流れ、モータ79の出力軸が逆回転する。よって、モータ連係機構70により、ギヤ72が平面視時計回りに回動され、これに連動して左入切部材532が元の回動位置に戻され、ひいては左クラッチ22が「入」となる。その結果、機体10は直進する。
そして同時に、ギヤ72が中立位置に戻ることにより、中立検出スイッチ77がOFFとなる。これに伴って、ソレノイド5aが消磁されて、モータ79に電流が流れなくなる。その結果、モータ79が停止する。
【0049】
(3)左クラッチレバー53及び右クラッチレバー54がいずれも操作されていない場合において、選別作業者が補助操作レバー67を右に傾倒操作すると、右接点7がONとなり、バッテリー19から左優先スイッチ8、右優先スイッチ9、並びにソレノイド4a及びソレノイド2aへと電流が流れる。したがって、ソレノイド4a及びソレノイド2aが励磁される。
ソレノイド4aの励磁により接点4c・4eが接続され、バッテリー19からソレノイド5aに電流が流れる。したがって、ソレノイド5aが励磁されて接点5e・5cが接続され、バッテリー19から接点5e・5c、モータ79、接点3c・3dへと電流が流れ、モータ79の出力軸が逆回転する。よって、モータ連係機構70により、ギヤ72が中立位置から平面視時計回りに回動され、これに連動して右入切部材542が回動され、ひいては右クラッチ23が「切」となる。その結果、機体10は右旋回する。
そして、モータ連係機構70におけるギヤ72の平面視時計回りへの回動量が最大となったとき、右リミットスイッチ76がOFFとなり、ソレノイド5aに電流が流れなくなり、ひいてはモータ79が停止される。このとき、ギヤ72は平面視時計回りに最大限回動された状態に維持されるので、右クラッチ23は「切」の状態に保持される。
一方、上記のギヤ72の回動に伴って、中立検出スイッチ77の接点77b・77d間が接触片77aにより接続される。
【0050】
(4)前記(3)の旋回操作により機体10の走行方向を所望の方向に調整した後、選別作業者が補助操作レバー67から手を放すと、右接点7はOFFとなる。したがって、バッテリー19からソレノイド4a及びソレノイド2aに電流が流れなくなり、消磁される。
ソレノイド2aの消磁により接点2c・2d間が接続される。したがって、バッテリー19からソレノイド3a、接点1c・1d・接点77d・77b、接点2c・2dへと電流が流れる。したがって、ソレノイド3aが励磁される。
ソレノイド3aの励磁により接点3e・3c間が接続され、バッテリー19から接点3e・3c、モータ79、接点5c・5dへと電流が流れ、モータ79の出力軸が正回転する。よって、モータ連係機構70により、ギヤ72が平面視反時計回りに回動され、これに連動して右入切部材542が元の回動位置に戻され、ひいては右クラッチ23が「入」となる。その結果、機体10は直進する。
そして同時に、ギヤ72が中立位置に戻ることにより、中立検出スイッチ77がOFFとなる。これに伴って、ソレノイド3aが消磁されて、モータ79に電流が流れなくなる。その結果、モータ79が停止する。
【0051】
(5)左クラッチレバー53または右クラッチレバー54が操作されると、左優先スイッチ8がOFF、または、右優先スイッチ9がOFFとなるので、補助操作レバー67の左右の傾倒操作に関わらず、ソレノイド1a、ソレノイド2a、及びソレノイド4aは励磁されない。したがって、モータ79は停止される。つまり、左クラッチレバー53または右クラッチレバー54の操作が優先され、補助操作レバー67の操作は無効とされる。
なお、左クラッチレバー53または右クラッチレバー54が操作されたときに、機体10が左旋回中または右旋回中であると、中立検出スイッチ77は接点77b・77c間または接点77b・77d間が接続された状態となっているので、モータ79はギヤ72を中立位置へ戻すまで駆動される。
この時の左クラッチレバー53または右クラッチレバー54の操作が、補助操作部64(補助操作レバー67)の操作による現在の旋回方向と同じである場合には、左クラッチレバー53または右クラッチレバー54の操作により左入切部材532または右入切部材542が回動された状態が維持され旋回する。一方、この時の左クラッチレバー53または右クラッチレバー54の操作が、補助操作部64(補助操作レバー67)の操作による現在の旋回方向と逆である場合には、左入切部材532及び右入切部材542の両方が回動された状態となっているので、走行装置20L・20Rに動力が伝達されず走行が停止され、ギヤ72が中立位置に戻ってはじめて、左クラッチレバー53または右クラッチレバー54の操作する方向に旋回する。
したがって、左クラッチレバー53または右クラッチレバー54の操作は、補助操作レバー67の操作よりも優先される。
【0052】
以上の如く構成されることにより、本実施形態の野菜収穫機90は、以下に示す利点を奏する。
【0053】
選別作業者は、ステップ61・61の上に足を踏み入れることにより、野菜収穫機90の選別作業部60に搭乗することができる。選別作業者は、座席62・62に着座するとともに、支持フレーム63を手で握ったり支持フレーム63にもたれたりすることにより身体を支持しながら、甘藷の選別作業を行うことができる。したがって、選別作業者の疲労を軽減できる。
さらに本実施形態においては、搬送面46の上方の空間が支持フレーム63により取り囲まれている。係る構成により、選別作業者の身体が搬送装置40の搬送面46に近づき過ぎることを防止し、選別作業者の安全性を確保することができる。
【0054】
選別作業部60は、ステップ61・61及び座席62・62が左右一対に設けられている。したがって機体10の左右のバランスを良好に保つことができる。また、搬送面46の左右両側から二人の選別作業者が選別作業を行うことが可能であるため、効率よく選別作業を行うことが可能である。その結果、選別作業部60における作業性が向上する。
【0055】
操作部50は、選別作業部60の後方に配置されている。このため作業者は、前方の視界を充分に確保し難い。とりわけデバイダ18・18の部分は、機体10の前端左右両側に配置されているため、選別作業者の身体が邪魔となって作業者からは視認し難い。したがって、畝が左右のデバイダ18・18の間から外れそうになった場合や、デバイダ18・18の前方に石等の障害物があった場合等に、作業者が係る状況を把握するまでには相当の時間を要する虞があった。
ところが、従前の野菜収穫機においては、走行方向を調整する操作(左右のサイドクラッチレバーの操作)や、エンジンを停止する操作等の、野菜収穫機の操縦のすべては、操作部における作業者の操作に委ねられていた。このため、上述したような状況が生じた場合に、迅速に野菜収穫機の走行方向を調整したり、エンジンを停止したりすることは困難であった。
この点、本実施形態の野菜収穫機90においては、選別作業者が補助操作部64で操作を行うことにより、操作部50における操作の少なくとも一部を補助的に担うことが可能である。したがって、前方の視界を確保し易い選別作業者が、デバイダ18・18の部分を視認しつつ、走行方向の調整や、エンジン12の停止等の操作を行うことが可能である。結果として、選別作業部60における操作性及び安全性が向上し、ひいては野菜収穫機90の操作性が向上する。
【0056】
また、本実施形態の野菜収穫機90においては、選別作業者がデバイダ18・18の部分を視認しながら走行方向の調整を行うことができるため、畝上の甘藷がデバイダ18・18等に接触することを回避することができる。このため、野菜収穫機90の走行方向が畝から外れた場合等に生じる甘藷の損傷を未然に防ぐことができ、ひいては収穫物(甘藷)の品質を良好に保つことができる。
【0057】
以上の如く、本発明に係る野菜収穫機90は、エンジン12を搭載した機体10と、エンジン12の駆動力により機体10を走行させる左右一対の走行装置20L・20Rと、機体10の最前部に設けられて、農作物を掻き込む掻込み装置30と、掻込み装置30により掻き込まれた農作物を搬送面46に載せて機体10の後部の収容位置80まで搬送する搬送装置40と、機体10の後部に設けられる操作部50と、操作部50の前方であって搬送装置40の両側に配置され、搬送面46に載せられた農作物を選別する選別作業部60と、を具備する野菜収穫機90であって、搬送装置40の左右両側から上方に架け渡される支持フレーム63に補助操作部64を備えるものである。
したがって、選別作業者は、搬送装置40の両側の選別作業部60に搭乗して選別作業を行う場合に、支持フレーム63で身体を支持することが可能である。さらに、選別作業者は、補助操作部64にて野菜収穫機90の操縦を行うことができる。
【0058】
このように構成することにより、野菜収穫機90においては、選別作業者は、疲労を招き難い体勢で農作物の選別作業を行うことができる。また、前方の視界を確保し易い選別作業者が操作部50における操作を担うことで、前方の圃場の状況に応じた適切な操作を実行し易い。結果として、選別作業部60における作業性並びに機体10の操作性及び安全性が向上する。
【0059】
また、本発明に係る野菜収穫機90は、補助操作部64はエンジン12を停止する停止スイッチ66を有する、ものである。
したがって、選別作業者が選別作業部60にて停止スイッチ66を操作することにより、左右一対の走行装置20L・20R、掻込み装置30及び搬送装置40を停止することが可能である。
【0060】
このように構成することにより、野菜収穫機90においては、前方の視界を確保し易い選別作業者が停止スイッチ66を操作できる。したがって、前方の圃場の状況に異常がある場合には、野菜収穫機90の作動を迅速に停止できる。結果として、選別作業部60における作業性及び機体10の操作性が向上し、ひいては野菜収穫機90の安全性が向上する。
【0061】
また、本発明に係る野菜収穫機90は、補助操作部64は、左右一対の走行装置20L・20Rの各々への駆動力の伝達及びその遮断を切り替える補助操作レバー67を有する、ものである。
したがって、選別作業者が選別作業部60にて補助操作レバー67を操作することにより、エンジン12から左右の走行装置20L・20Rへの駆動力の伝達及びその遮断を切り替えることが可能となる。
【0062】
このように構成することにより、野菜収穫機90においては、前方の視界を確保し易い選別作業者が補助操作レバー67を操作できる。したがって、前方の圃場の状況に応じて適切に機体10の進行方向を調整し易い。結果として、選別作業部60における作業性及び機体10の操作性が向上し、ひいては野菜収穫機90の安全性が向上する。
【0063】
さらに、本発明に係る野菜収穫機90は、操作部50は、走行装置20Lへの駆動力の伝達及びその遮断を切り替える左クラッチレバー53と、走行装置20Rへの駆動力の伝達及びその遮断を切り替える右クラッチレバー54と、を有し、左クラッチレバー53または右クラッチレバー54が操作されている場合には、補助操作レバー67の操作は無効とされる、ものである。
したがって、操作部50において左クラッチレバー53または右クラッチレバー54が操作されている場合には、選別作業部60における補助操作レバー67の操作は野菜収穫機90の走行方向の調整に関与しない。
【0064】
このように構成することにより、野菜収穫機90においては、あらかじめ、操作部50の操作が補助操作部64(選別作業部60)の操作よりも優先されるように設定しているので、作業者と選別作業者とが同時に各種のクラッチレバー(左クラッチレバー53、右クラッチレバー54、または補助操作レバー67)を操作してしまった場合にも、操作上の混乱を招き難い。したがって、野菜収穫機90の操作性が向上する。
【0065】
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、上記の実施形態に代えて以下の構成とすることも可能である。
【0066】
上記の実施形態では、走行装置20L・20Rはクローラ走行装置により構成されるものとした。しかしながら、この構成に代えて、走行装置を車輪により構成してもよい。
【0067】
上記の実施形態では、圃場に載置された甘藷を野菜収穫機90により回収する場合について説明した。しかしながら、野菜収穫機90は甘藷に限らず、玉葱や馬鈴薯等の種々の農作物を回収するための収穫機として、広く適用可能である。
例えば、掻込み体の寸法や材質を変更したり、隣り合う搬送棒の間の間隔を変更したり、搬送棒の形状や寸法を変更したり、圃場面に対する搬送面の傾斜角度を変更したりすることにより、野菜収穫機を種々の農作物に対応させることができる。
【符号の説明】
【0068】
10 機体
12 エンジン
18 デバイダ
20L (左の)走行装置
20R (右の)走行装置
30 掻込み装置
40 搬送装置
50 操作部
60 選別作業部
53 左クラッチレバー(主左操向操作具)
54 右クラッチレバー(主右操向操作具)
64 補助操作部
66 停止スイッチ
67 補助操作レバー(補助操向操作具)
80 収容位置
90 野菜収穫機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載した機体と、
前記エンジンの駆動力により前記機体を走行させる左右一対の走行装置と、
前記機体の最前部に設けられて、農作物を掻き込む掻込み装置と、
前記掻込み装置により掻き込まれた農作物を搬送面に載せて前記機体の後部の収容位置まで搬送する搬送装置と、
前記機体の後部に設けられる操作部と、
前記操作部の前方であって前記搬送装置の両側に配置され、前記搬送面に載せられた農作物を選別する選別作業部と、を具備する野菜収穫機であって、
前記搬送装置の左右両側から上方に架け渡される支持フレームに補助操作部を備える野菜収穫機。
【請求項2】
請求項1に記載の野菜収穫機であって、
前記補助操作部は前記エンジンを停止する停止スイッチを有する、野菜収穫機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の野菜収穫機であって、
前記補助操作部は、
前記左右一対の走行装置の各々への駆動力の伝達及びその遮断を切り替える補助操向操作具を有する、収穫機。
【請求項4】
請求項3に記載の野菜収穫機であって、
前記操作部は、
前記左の走行装置への駆動力の伝達及びその遮断を切り替える主左操向操作具と、
前記右の走行装置への駆動力の伝達及びその遮断を切り替える主右操向操作具と、を有し、
前記主左操向操作具または主右操向操作具が操作されている場合には、前記補助操向操作具の操作は無効とされる、野菜収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−182694(P2011−182694A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50540(P2010−50540)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(391025914)八鹿鉄工株式会社 (131)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】