説明

量水標

【課題】本発明は、量水標自体を取り外すことなく、簡単に清掃を行うことができる量水標を提供することを課題とする。
【解決手段】水位計測用目盛が付された長尺な量水板を長手方向に分割した板材3a、3b、3cと、該板材3aの正面と対面するように他の板材3bの裏側に配置される第1清掃ブラシ6aと、板材3bの正面と対面するように他の板材3cの裏側に配置される第2清掃ブラシ6bと、板材3bの正面に第1清掃ブラシ6aを接触させつつ、板材3aを移動させ、又は、板材3cの正面に第2清掃ブラシ6bを接触させつつ、板材3bを移動させるために、板材3aを上方に移動させるために取り付けられたワイヤ25とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量水標に関し、例えば、ダム、貯水池、水槽などの水位を計測するため、又は、洪水などの危険水位を表示するために用いられる量水標に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ダムや貯水池、水槽などにおいて、水位を計測するために、フロート式や圧力式の水位記録計が用いられていた。また、水位記録計の異常動作時のバックアップ及び平常時における水位記録計の指示値の確認などのために、水位計測用目盛を付された量水標が用いられる。
【0003】
かかる量水標は、ダムの堤体などに沿わせて配置される。しかし、このような量水標は、長期間使用することによって、泥やコケなどが付着したりして、水位計測用目盛の読み取りに支障をきたすことがあり、清掃や取替えが必要となる。そして、量水標の清掃や取替え作業は、水面下で作業するための仮設足場の設置や貯水位の水位制限などを行ったり、また、発電所を停電させたりするため、大変手間な作業であり、工事費も高価である。
【0004】
そこで、従来技術の量水標には、水位計測用目盛などが標示された量水板の両端及び下端を囲ったスライド式カバーに量水板を装着し、上方に引き出し可能に構成されるものがある。そして、量水板を上方に引き出して、作業員の手によって、量水板を清掃するものであった(特許文献1参照)。また、他の従来技術の量水標には、複数に分割された量水板を折り曲げ可能に直列に連結されて構成されているものがある。そして、量水標の取り替え、清掃の都度、上端を引っ張り上げることで量水標全体を引き上げて、作業員の手によって、清掃するものであった(特許文献2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平05−084830号公報
【特許文献2】特開2005−273203号公報
【特許文献3】実用新案登録第3132288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来技術の量水標は、量水標の清掃のたびに、量水標自体を取り外さなければ清掃することができず、作業員にかかる負担が大きいものであった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題に鑑み、量水標自体を取り外すことなく、簡単に清掃を行うことができる量水標を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る量水標は、水位計測用目盛や洪水危険レベルなどの標示が正面に付された長尺の量水板を長手方向に分割した複数の板材と、該板材の正面と対面するように他の板材の裏側に配置される清掃部材と、板材の正面に他の板材の裏側に配置される清掃部材を接触させつつ、板材もしくは他の板材のいずれかを板材の長手方向に移動させることで、板材の正面を清掃する操作手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、操作手段を操作して、清掃部材を裏側に配置する他の板材を移動させて、清掃部材を板材の正面に接触させつつ、移動させることで、清掃部材と接触する位置より上方の面に付された水位計測用目盛や洪水危険レベルなどの標示が清掃される。そして、これを繰り返すことで、複数に分割された量水板の正面を清掃することができ、量水標を取り外すことなく、簡単に清掃を行うことができる。また、操作手段を操作して、他の板材の裏側に配置される清掃部材と対面する板材を移動させる場合も同様である。
【0010】
また、本発明に係る量水標は、板材の正面に他の板材の裏側に配置される清掃部材を接触させつつ、移動可能なように板材と他の板材を連結する連結手段を備えており、操作手段を操作することにより、板材を移動させて、他の板材を従動させ、もしくは、他の板材を移動させて、板材を従動させるようにすることができる。
【0011】
かかる構成によれば、操作手段を操作して、清掃部材を裏側に配置する他の板材を移動させて、清掃部材を板材の正面に接触させつつ、移動させることができ、清掃することができる。さらに、板材と他の板材は、連結手段により連結されているため、板材を移動させることにより、他の板材を従動させ、他の板材の裏側に配置される清掃部材を、該清掃部材と対面する、板材及び他の板材とは別の板材の正面に接触させつつ、移動させることができ、清掃部材と接触する位置より上方の面に付着された標示を清掃することができる。そして、これを繰り返すことで、複数に分割された量水板の正面を清掃することができ、量水標を取り外すことなく、簡単に清掃を行うことができる。また、操作手段を操作して、他の板材の裏側に配置される清掃部材と対面する板材を移動させる場合も同様である。
【0012】
また、本発明に係る量水標は、他の板材の裏側に配置される清掃部材と対面しない板材の正面と接触可能な位置に第2の清掃部材を備えており、操作手段を操作することにより、第2の清掃部材と接触する位置より下方の面を清掃可能なようにすることができる。
【0013】
かかる構成によれば、操作手段を操作して、清掃部材を裏側に配置する他の板材を移動させることで、該他の板材の正面と接触可能な位置に第2の清掃部材に接触しつつ、移動させることができ、第2の清掃部材と接触する位置より下方の面に付された標示を清掃することができる。そして、他の板材の裏側に配置される清掃部材と対面しない板材を量水標を取り外すことなく、簡単に該板材も清掃することができる。
【0014】
また、本発明に係る量水標は、量水板を分割した複数の板材に付された標示を外部から視認可能なように覆い、且つ、操作手段によって移動させる方向に沿って延設されたガイド溝を備える防護カバーを備えるようにすることができる。
【0015】
かかる構成によれば、操作手段を操作することで、量水標を分割した複数の板材を防護カバーに備えるガイド溝に沿って、移動させることができ、また、従動させることができ、量水標の清掃を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上の如く、本発明に係る量水標によれば、量水標自体を取り外すことなく、簡単に清掃を行うことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第一実施形態に係る量水標であって、(a)は、正面図、(b)は、(a)に記載した矢視A−A’の断面図、及び、(c)は、すべての量水標部材を引き上げた状態の、(a)に記載した矢視B−B’の断面図、を示す。
【図2】同実施形態に係る量水標の操作手段を操作したときの量水標部材の位置について説明する図を示す。
【図3】第二実施形態に係る量水標であって、(a)は、正面図、(b)は、(a)に記載した矢視A−A’の断面図、及び、(c)は、すべての量水標部材を引き上げた状態の、(a)に記載した矢視B−B’の断面図、を示す。
【図4】同実施形態に係る量水標の操作手段を操作したときの量水標部材の位置について説明する図を示す。
【図5】第一実施形態の変形例1に係る量水標の操作手段を操作したときの量水標部材の位置について説明する図を示す。
【図6】第一実施形態の変形例2に係る量水標の操作手段を操作したときの量水標部材の位置について説明する図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る量水標の第一実施形態について、図1及び図2を参酌しつつ、説明する。
【0019】
<第一実施形態>
まず、本実施形態に係る量水標の構成について、図1を参酌しつつ説明する。該量水標1は、水位計測用目盛などの標示が正面に付される量水標本体2を備えている。そして、本実施形態に係る量水標1は、水位3mまで計測可能な水位計測用目盛の標示が付されたものを例に説明する。
【0020】
量水標本体2は、3基の量水標部材3a,3b,3cを備えており、該量水標部材3a,3b,3cは、水位計測用目盛の標示が正面に付された銅製で長尺の量水板を長手方向に3分割した3基の第1板材4a,第2板材4b,第3板材4cを備えている。具体的には、第1板材4aは、0m〜1.0mまでの水位計測用目盛が付されている。第2板材4bは、1.0m〜2.0mまでの水位計測用目盛が付されている。第3板材4cは、2.0m〜3.0mまでの水位計測用目盛が付されている。そして、各量水標部材3a,3b,3cは、正面に板材4a,4b,4cを取り付けられるSUS製で板状の架台5a,5b,5cを備えている。具体的には、第1量水標部材3aは、第1架台5aを、第2量水標部材3bは、第2架台5bを、そして、第3量水標部材3cは、第3架台5cを備えている。
【0021】
さらに、量水標本体2は、均一の長さのブラシの毛を各架台5a,5bに埋め込んだものである清掃部材を備えている。そして、該清掃部材は、第二量水標部材3bに取り付けられた板材4bと対面するように、第一量水標部材3aに取り付けられた板材4aの裏側に(間接的に)配置される第1清掃ブラシ6aと、第三量水標部材3cに取り付けられた板材4cと対面するように、第二量水標部材3bに取り付けられた板材4bの裏側に(間接的に)配置される第2清掃ブラシ6bである。そして、清掃ブラシ6a,6bは、それぞれが対面する板材4a,4bに付着した泥やコケなどを取り除くために備えられている。
【0022】
また、量水標本体2は、板材4b,4cの正面に清掃ブラシ6a,6bを接触させつつ移動可能なように、第2板材4bと第1板材4aとを、及び、第3板材4cと第2板材4bとを(間接的に)連結する連結手段を備えている。そして、第2板材4bと第1板材4aとを(間接的に)連結する連結手段は、第2板材4bを取り付ける第2架台5bと第1清掃ブラシ6aを取り付ける第1架台5aとを連結する第1連結部材7aと、該第1連結部材7aが第2板材4bの正面に第1清掃ブラシ6aを接触させつつ移動可能なように、第1架台5aの背面側に設けられた第1背面側ガイドレーン8aと、第2架台5bの正面側に設けられた第1正面側ガイドレーン9aとを備えている。さらに、第3板材4cと第2板材4bとを(間接的に)連結する連結手段は、第3板材4cを取り付ける第3架台5cと第2清掃ブラシ6bを取り付ける第2架台5bとを連結する第2連結部材7bと、該第2連結部材7bが第3板材4cの正面に第2清掃ブラシ6bを接触させつつ移動可能なように、第2架台5bの背面側に設けられた第2背面側ガイドレーン8bと、第3架台5cの正面側に設けられた第2正面側ガイドレーン9bとを備えている。
【0023】
そして、連結部材7a,7bは、I形をした棒部材であり、両端部が直交方向に広がった形状をしている。また、ガイドレーン8a,8b,9a,9bは、架台5a,5b,5cの両端部を残して、架台5a,5b,5cの長手(上下)方向に連続する溝である。例えば、第1背面側ガイドレーン8aは、第1架台5aの背面側で長手(上下)方向の両側に設けられた直線状の溝である。また、第2正面側ガイドレーン9aは、第1量水標部材3aと第2量水標部材3bとを第1清掃ブラシ6aと第2板材4bとが対面するように重ね合わした状態で、第1背面側ガイドレーン8aと重なり合う位置に設けられた直線状の溝である。また、第2背面側ガイドレーン8bと第2正面側ガイドレーン9bも同様である。よって、連結部材7a,7bは、背面側ガイドレーン8a,8bと正面側ガイドレーン9a,9bとに嵌め込むことで、該ガイドレーン8a,8b,9a,9bに沿って、すなわち、長手方向(上下)に移動することができる。
【0024】
また、ガイドレーン8a,8b,9a,9bは、架台5a,5b,5cに対して、溝の奥が溝の入り口より広がっており、連結部材7a,7bの両端部を収納可能であるが、溝の入り口で両端部が引っ掛かるように、連結部材7a,7bの両端部と略同じT形状の断面形状にくりぬかれたものである。すなわち、連結部材7a,7bは、架台5a,5b,5cの長手方向に垂直に移動させても、ガイドレーン8a,8b,9a,9bから抜けないように取り付けられている。
【0025】
また、連結部材7a,7bは、ガイドレーン8a,8b,9a,9bの溝の深さを一定になるようにすることで、板材4b、4cと清掃ブラシ6a,6bとの間をそれぞれ一定に離すことができ、且つ、板材4b、4cに清掃ブラシ6a,6bが接触可能な距離になるように長さを調整されている。従って、板材4b,4cと清掃ブラシ6a,6bとは、連結部材7a,7bの長さから背面側ガイドレーン8a,8bと正面側ガイドレーン9a,9bの溝の深さを差し引いた距離だけ離すことができ、清掃ブラシ6a,6bをガイドレーン8a,8b,9a,9bに沿って移動させることで、清掃することかできる。
【0026】
また、ガイドレーン8a,8b,9a,9bが架台5a,5b,5cの両端部を貫通させていないため、連結部材7a,7bは、架台5a,5b,5cの長手方向に連続して設けられたガイドレーン8a,8b,9a,9bを移動させることができるが、架台5a,5b,5cの両端部で連結部材7a,7bを停止させることができる。よって、第1量水標部材3aは、第2量水標部材3bの上端部、もしくは、下端部で固定することができる。また、第2量水標部材3bは、第3量水標部材3cの上端部、もしくは、下端部で固定することができる。
【0027】
そして、量水標本体2は、第1量水標部材3aの第1清掃ブラシ6aと第2量水標部材3bの第2板材4bとを、又は、第2量水標部材3bの第2清掃ブラシ6bと第3量水標部材3cの第3板材4cとを連結手段で(間接的に)連結して、長手方向が垂直になるように、具体的には、第1量水標部材3aの板材4aが一番正面にくるように配置される。そして、第1量水標部材3aは、連結手段によって、上端を第2量水標部材3bの下端まで下方に移動させることができ、また、下端を第2量水標部材3bの上端まで上方に移動させることができる。また、第2量水標部材3bを移動させる場合も同様である。
【0028】
また、第1量水標部材3aを上方に移動させて、下端が第2量水標部材3bの上端まで至ると、第2量水標部材3bを下端で引っ掛けることができ、さらに、第1量水標部材3aを上方に移動させつづけると、第2量水標部材3bを上方に従動させることができる。よって、第2量水標部材3bそれ自体を上方に移動させる必要はなく、第1量水標部材3aを上方に引くことで、第2量水標部材3bも上方に従動させることができる。
【0029】
また、第1量水標部材3aを下方に移動させることで、第1量水標部材3aと重なっていた第2量水標部材3bの第2板材4aが、又は、第2量水標部材3bを下方に移動させて、第1量水標部材3aと第2量水標部材3bとが重なっていた第3量水標部材3cの第3板材4cが視認可能な状態となり、この状態で、第1板材4a及び第2板材4bの水位計測用目盛、又は、第2板材4b及び第3板材4cの水位計測用目盛が誤差を出すことなく、一致するようになっている。例えば、第1量水標部材3aを下方に移動させたとき、第1板材4aの上限である水位1.0mの水位計測用目盛と第2板材4bの下限である水位1.0mの水位計測用目盛が一致するようになっている。
【0030】
しかし、第1量水標部材3aを下方に移動させても、第1量水標部材3aの上端と第2量水標部材3bの下端が重なり合う部分がある。この重なり合う部分に備えられた第2板材4bは、外部から水位計測用目盛を視認することができないので、この部分まで第2板材4bを取り付ける必要がない。そして、第3量水標部材3cについても、同様である。
【0031】
また、量水標部材3a,3b,3cの中で、最も水位が低い、すなわち、水位0mを表す第1量水標部材3aは、下端部に長手方向と垂直となるようにアングル10が取り付けられている。該アングル10は、第1量水標部材3aの下端部から第3量水標部材3cの真下まで有している。よって、第1量水標部材3aは、第2量水標部材3b及び第3量水標部材3cより下方に移動させることができるが、第2量水標部材3b及び第3量水標部材3cは、アングル10があるため、第1量水標部材3aより下方に移動させることができない。従って、量水標本体2は、量水標部材3a,3b,3c同士を重なり合わせた状態から、第1量水標部材3aを下方に移動させると、下方から順に、第1量水標部材3a,第2量水標部材3b,第3量水標部材3cと配置される。
【0032】
そして、例えば、第1量水標部材3aを第2量水標部材3bと同じレベルまで上方に移動させると、アングル10は、第2量水標部材3bの下端に当接して、第1量水標部材3aと共に上方に移動させることができる。さらに、第1量水標部材3aを第3量水標部材3cと同じレベルまで上方に移動させると、第3量水標部材3cの下端にも当接して、第1量水標部材3a及び第2量水標部材3bと共に上方に移動させることができる。また、アングル10は、計測する水位の基準面を表すものでもある。よって、第1板材4aの水位計測用目盛は、アングル10を取り付ける高さが0mになるようになっている。
【0033】
さらに、アングル10を備えた第1量水標部材3aは、第1板材4aの上面の略中央にアイボルトなどの吊フック11を備えている。該吊フック11は、第1量水標部材3aを上方に移動させ、又は、他の量水標部材3bを従動させるために備えている。
【0034】
また、前記量水標1は、板材4a,4b,4cの正面に付された標示が外部から視認可能なように量水標本体2を覆う防護カバー15を備えている。該防護カバー15は、幅が量水標部材3a,3b,3cの幅以上あり、奥行きが量水標部材3a,3b,3cを連結させた状態の奥行き以上あり、高さが第1量水標部材3aを下方に移動させて、板材4a,4b,4cの正面に付された標示が視認可能な状態より高い、略立方形の外形を有するカバー本体16を備えている。
【0035】
また、防護カバー15は、第1量水標部材3aを下方に移動させ、且つ、第2量水標部材3bを下方に従動させることができる空間を空けて、第3量水標部材3cの背面を内側に固定している。また、防護カバー15は、第3量水標部材3cを固定した状態で、第1量水標部材3aを下方に移動させ、且つ、第2量水標部材3bを下方に従動させた状態で、板材4a,4b,4cと対面する部分に開放部17を備えている。よって、この開放部17によって、板材4a,4b,4cの水位計測用目盛を外部から視認することができるようになっている。
【0036】
また、防護カバー15は、量水標部材3a,3bを上下方向に移動させるときに前後方向にずれないように、量水標部材3a,3b,3cの両側端を嵌め込み、移動させる方向に沿って延設させ、上下方向に量水標部材3a,3bを案内するガイド溝18a,18b,18cを備えている。具体的には、第1ガイド溝18aは、第2量水標部材3bを従動させて、第1量水標部材3aを下方に移動可能な範囲まで設けられている。第2ガイド溝18bは、第2量水標部材3bを下方に移動可能な範囲まで設けられている。そして、第3ガイド溝18cは、第3量水標部材3cが防護カバー15に固定されているため、固定する部分にのみに設けられている。
【0037】
また、防護カバー15は、清掃ブラシ6a,6bでは清掃することができない、清掃ブラシ6a,6bと対面しない第1板材4aの正面と接触可能な位置に、第2の清掃部材を備えている。該第2の清掃部材は、ブラシの毛を円筒部材の表面に植え込んだ清掃ローラ19である。そして、該清掃ローラ19は、第2量水標部材3bを従動させて、第1量水標部材3aを下方に移動させた状態で、第1板材4aの上端部と接触する位置に備えられている。なお、清掃ローラ19の位置は、第1量水標部材3aを上方に移動させたときに、第1板材4aと接触することができる位置であれば、上記の位置より高い位置でもよい。また、防護カバー15は、清掃ローラ19の横ずれ防止のため、清掃ローラ19の側面方向を当接するガイド板20を備えている。
【0038】
また、防護カバー15は、第1量水標部材3aを上方に移動させる際に後述するワイヤ25を通す貫通穴21を上面に備えている。該貫通穴21は、第1量水標部材3aの吊フック11の略真上に備えられている。また、防護カバー15は、アンカーボルトなどで、ダムの提体などに固定するためのフランジ22を背面に備えている。
【0039】
また、前記量水標1は、板材4b,4cの正面に清掃ブラシ6a,6bを接触させつつ、第1量水標部材3aを防護カバー15の上部から吊り上げることで移動させ、及び、第2量水標部材3bを従動させて、板材4b,4cの正面を操作するための操作手段を備えている。該操作手段は、具体的には、巻上装置と、該巻上装置に一端をつないだワイヤ25とを備え、ワイヤ25の他端は、第1量水標部材3aの吊フック11に接続される。
【0040】
従って、操作手段は、巻上装置でワイヤ25を巻き上げると、量水標部材3a,3bを上方に移動させることができ、また、ワイヤ25を巻き下げると、量水標部材3a,3bを下方に移動させることができる。なお、他の用途の巻上装置を清掃時期だけ借用するようなときは、第1量水標部材3aと第2量水標部材3bを下方に移動させた後にワイヤ25を巻上装置から取り外すようにしてもよい。
【0041】
次に、本実施形態に係る量水標の清掃方法について、図2を参酌しつつ説明する。量水標1は、第1量水標部材3aと第2量水標部材3bとを下方に移動させて、板材4a,4b,4cの水位計測用目盛が視認可能な状態で、アングル10を水位の基準面に合わせて、ダムの提体に取り付けられている。しかし、量水標1をダムに取り付けてから長期間が経つことで、板材4a,4b,4cなどに泥やコケなどが付着し、水位計測用目盛が視認しづらくなる。このようなときに、量水標1の清掃が必要となる。
【0042】
そこで、巻上装置でワイヤ25を巻き上げて、第1量水標部材3aを上方に移動させると(同図(a)参照)、第2板材4bは、第1清掃ブラシ6aと接触する位置より上方の面に付着した泥やコケなども取り除きながら移動する。同時に、第1板材4aも、清掃ローラ19と接触する位置より下方の面に付着した泥やコケなどを取り除きながら、移動する(同図(b)参照)。
【0043】
さらに、巻上装置でワイヤ25を巻き上げて、第1量水標部材3aを上方に移動させると、第1量水標部材3aは、第2量水標部材3bと同じ高さに達する(同図(c)参照)。さらに、第1量水標部材3aを上方に移動させつづけると、アングル10が第2量水標部材3bの下端に当接して、第2量水標部材3bも上方に従動させる。第2量水標部材3bを従動させると、第3板材4cは、第2清掃ブラシ7bと接触する位置より上方の面に付着した泥やコケなども取り除きながら移動する(同図(d)参照)。
【0044】
そして、最終的には、防護カバー15に固定された第3量水標部材3cと同じ高さに達すると、アングル10が第3量水標部材3cの下部に引っ掛かることで、巻上げが停止される。よって、量水標1の水位計測用目盛が付された板材4a,4b,4cを清掃することができる。そして、巻上装置で巻き上げていたワイヤ25を巻き下げて、アングル10が水位の基準面まで戻ると、清掃作業は、完了する。
【0045】
従って、本実施形態に係る量水標1は、巻上装置でワイヤ25を巻き上げることで、清掃を行うことができ、清掃が完了すれば、巻上装置で巻き上げたワイヤ25を巻き下げるだけで、板材4a,4bを設置することができ、複数に分割した量水板を防護カバー15から、又は、防護カバー15をダムから取り外すことなく、簡単且つ安全に量水板の清掃が行うことができる。
【0046】
なお、上記実施形態に係る量水標1は、第2の清掃部材である清掃ローラ19を円筒部材の表面にブラシの毛を埋め込んだ例を説明したが、これに限定されるものではなく、略長方形状にブラシの毛を埋め込むようにしてもよい。
【0047】
次に、本発明に係る量水標の第二実施形態について、図3及び図4を参酌しつつ、説明する。なお、第一実施形態に係る量水標1と同様の部分については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0048】
<第二実施形態>
まず、本実施形態に係る量水標の構成について、図3を参酌しつつ説明する。該量水標101は、第一実施形態と同様に量水標本体102を備えている。そして、量水標本体102は、第一実施形態と同様に3基の量水標部材103a,3b,103cを備えている。そして、第1量水標部材103aは、正面に第1板材4a、背面に第1清掃ブラシ7aを備えているが、アングル10及び吊フック11を備えていない。また、第3量水標部材103cは、正面に第1板材4cを、さらに、下端にアングル10を、そして、上面の略中央に吊フック11を備えている。
【0049】
そして、量水標本体102は、第一実施形態と同様に、第二量水標部材3bと第一量水標部材3aとを連結する連結手段、及び、第三量水標部材3cと第二量水標部材3bとを連結する連結手段とを備える。
【0050】
しかし、本実施形態に係る第3量水標部材103cにアングル10と吊フック11が取り付けられているため、第3量水標部材103cは、第1量水標部材103a及び第2量水標部材3bより下方に移動させることができるが、第1量水標部材103a及び第2量水標部材3bは、アングル10があるため、第3量水標部材103cより下方に移動させることができない。従って、本実施形態に係る量水標本体102は、量水標部材103a,3b,103c同士を重なり合わせた状態から、第3量水標部材103cを下方に移動させると、下方から順に、第3量水標部材103c,第2量水標部材3b,第1量水標部材103aと一列に配列される。
【0051】
そして、例えば、量水標部材103a,3b,103cを一列に配列した状態で、第3量水標部材103cを第2量水標部材3bと同じレベルまで上方に移動させると、アングル10は、第2量水標部材3bの下端に当接して、第3量水標部材103cと共に上方に移動させることができる。さらに、第3量水標部材103cを第1量水標部材103aと同じレベルまで上方に移動させると、第1量水標部材103aの下端にも当接して、第2量水標部材3b及び第3量水標部材103cと共に上方に移動させることができる。
【0052】
また、前記量水標101は、第一実施形態と同様に、防護カバー115を備えている。しかし、該防護カバー115は、第1量水標部材103aを固定するため、第2の清掃部材を備えていない。また、防護カバー防護カバー115は、第3量水標部材103cに備えられた吊フック11の略真上に貫通穴21を備えている。
【0053】
また、防護カバー115は、量水標部材3b,103cが上下方向に移動させることで前後方向にずれないように、量水標部材103a,3b,103cの両側端を嵌め込み、移動させる方向に沿って延設させ、上下方向に量水標部材3b,103cを案内するガイド溝118a,118b,118cを備えている。具体的には、第1ガイド溝118aは、第1量水標部材103aが防護カバー115に固定されているため、固定する部分にのみに設けられている。第2ガイド溝118bは、第3量水標部材103cを下方に移動可能な範囲まで設けられている。第3ガイド溝118cは、第2量水標部材3bを従動させて、第3量水標部材103cを下方に移動可能な範囲まで設けられている。
【0054】
また、前記量水標101は、第一実施形態と同様に操作手段を備えている。該操作手段は、具体的には、巻上装置と、該巻上装置に一端をつないだワイヤ25の他端を第3量水標部材103cの吊フック11を接続されたものである。従って、操作手段は、巻上装置でワイヤ25を巻き上げると、量水標部材3b,103cを上方に移動させることができ、また、ワイヤ25を巻き下げると、量水標部材3b,103cを下方に移動させることができる。
【0055】
次に、本実施形態に係る量水標の清掃方法について、図4を参酌しつつ説明する。量水標101の清掃が必要となると、巻上装置でワイヤ25を巻き上げて、第3量水標部材103cを上方に移動させると(同図(a)参照)、第3板材4cは、第2清掃ブラシ6bと接触する位置より下方の面に付着した泥やコケなども取り除きながら移動する(同図(b)参照)。
【0056】
さらに、巻上装置でワイヤ25を巻き上げて、第3量水標部材103cを上方に移動させると、第3量水標部材103cは、第2量水標部材3bと同じ高さに達する(同図(c)参照)。さらに、第3量水標部材103cを上方に移動させつづけると、アングル10が第2量水標部材3bの下端に当接して、第2量水標部材3bを上方に従動させる。第2量水標部材3bを従動させると、第2板材4bは、第1清掃ブラシ6aと接触する位置より下方の面に付着した泥やコケなども取り除きながら移動する(同図(d)参照)。
【0057】
そして、最終的には、防護カバー115に固定された第1量水標部材3aと同じ高さに達すると、アングル10が第1量水標部材3aの下部に引っ掛かることで、巻上げが停止される。よって、量水標101の水位計測用目盛が付された板材4a,4b,4cを清掃することができる。そして、巻上装置で巻き上げていたワイヤ25を巻き下げて、アングル10が水位の基準面まで戻ると、清掃作業は、完了する。
【0058】
従って、本実施形態に係る量水標101は、巻上装置でワイヤ25を巻き上げることで、板材4b,4cの清掃を行うことができる。清掃が完了すれば、巻上装置で巻き上げたワイヤ25を巻き下げるだけで、板材4b,4cを設置することができ、複数に分割した量水板を防護カバー115から、又は、防護カバー115をダムから取り外すことなく、簡単且つ安全に量水板の清掃が行うことができる。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態に係る量水標1,101は、量水標部材3a,3b,3c,103a,103cの中で、最も水位が低い標示が付された第1量水標部材3a、もしくは、第3量水標部材103cのいずれかに吊フック11を備えて、巻上装置で引き上げる例を説明したが、これに限定されるものではなく、最も水位が高い標示が付された第3量水標部材3c、もしくは、第1量水標部材103aにも吊フック11を備えて、巻上装置で量水標部材3a,3b,3cを搬出することができるようにしてもよい。
【0061】
ここで、第一実施形態に係る量水標1において、第3量水標部材3cにも吊フック11が備えられており、巻上装置で引き上げることができる変形例1を、図5を参酌しつつ、説明する。なお、第一実施形態に係る量水標1と同様の部分については、同じ符号を用いて、説明を省略する。また、第二実施形態に係る量水標101に対しても適用することができる。
【0062】
まず、変形例1に係る量水標201は、第1量水標部材3aの第1架台5aに加え、第3量水標部材203cの第3架台5cの上面の略中央にも吊フック11が備えられている。また、防護カバー215は、第1量水標部材3a及び第3量水標部材203cに接続するワイヤ225a,225bを通すため、及び、量水標部材3a,3b,203cを引き出せる大きさの開口を上面に備えている。また、変形例1に係る操作手段は、2台の巻上装置と、第1の巻上装置に一端をつなぎ、他端を第1量水標部材3aの吊フック11に接続される第1ワイヤ225aと、第2の巻上装置に一端をつなぎ、他端を第3量水標部材203bの吊フック11に接続される第2ワイヤ225bとを備えている。
【0063】
ここで、変形例1に係る清掃方法は、第一実施形態と同様であるため、説明を省略し、搬出方法について、図5を参酌しつつ、説明する。まず、量水標部材3a,3bを第3量水標部材203cと同じ高さになるまで第1の巻上装置を巻き上げる(同図(a)〜(e)参照)。ここまでは、第一実施形態に係る清掃方法の第3板材4cを第2清掃ブラシ6bで清掃するまでと同様である。そして、第1の巻上装置と同時に、第2の巻上装置を巻き上げて、第1ワイヤ225aにつながれた第1量水標部材3aと、第2ワイヤ225bにつながれた第3量水標部材203cとをさらに上方に移動する。このとき、第2量水標部材3bも、アングル10に下端を当接させて、上方に従動する。そして、そのまま防護カバー215の上面の開口から量水標部材3a,3b,203cを搬出することができる(同図(f)参照)。
【0064】
従って、変形例1に係る量水標201は、操作手段を操作することによって、板材4a,4b,4cの清掃を行うことができるだけでなく、ワイヤ225a,225bを巻き上げることで、量水標部材3a,3b,203cを防護カバー215から搬出することができる。また、防護カバー215をダムから取り外すことなく、簡単且つ安全に交換を行うことができる。
【0065】
また、上記実施形態に係る量水標1,101は、量水標部材3a,3b,3c,103a,3b,103cの中で、最も水位が低い標示が付された第1量水標部材3a、もしくは、第3量水標部材103cのいずれかにアングル10を備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、アングル10を備えないものであってもよい。
【0066】
ここで、第一実施形態に係る量水標1において、第1量水標部材3aにアングル10が備えられていない変形例2を、図6を参酌しつつ、説明する。なお、第一実施形態に係る量水標1と同様の部分については、同じ符号を用いて、説明を省略する。また、第二実施形態に係る量水標101に対しても適用することができる。
【0067】
まず、変形例2に係る量水標301の構造について、説明する。量水標301は、上述の通り、第一実施形態に係る第1量水標部材3aにアングル10が備えられていない第1量水標部材303a以外は第一実施形態と同様である。また、防護カバー315は、第1量水標部材303aに接続するワイヤ25を通すため、及び、量水標部材303a,3bを引き出せる大きさの開口が上面に備えている。また、防護カバー315は、開口部の上方に第2の清掃部材319を備えている。
【0068】
次に変形例2に係る量水標の清掃方法について、図6を参酌しつつ説明する。量水標301は、第一実施形態と同様に、巻上装置でワイヤ25を巻き上げて、第1量水標部材303aを上方に移動させると(同図(a)参照)、第2板材4bは、第1清掃ブラシ7aによって、付着した泥やコケなどを取り除きながら、移動する(同図(b)及び(c)参照)。
【0069】
さらに、巻上装置でワイヤ25を第1量水標部材303aの下端が第2量水標部材3bの上端に達するまで巻き上げると(同図(d)参照)、第1量水標部材303aは、第2量水標部材3bを下端で引っ掛けることができる。また、第1板材4aは、清掃ローラ319によって、それぞれに付着した泥やコケなどを取り除きながら、移動する。さらに、第1量水標部材303aを上方に移動させつづけると、第2量水標部材3bを上方に従動させることができ(同図(e)及び(f)参照)、第2量水標部材3bの下端が第3量水標部材3cの上端に達するまで巻き上げされる(同図(g)参照)。そして、第3板材4cは、第2清掃ブラシ7bによって、付着した泥やコケなどを取り除きながら、移動する。
【0070】
また、第1量水標部材303aが第2量水標部材3bより上方に移動し、第2量水標部材3bが第3量水標部材3cより上方に移動することで、外部から清掃ブラシ6a,6bを視認可能となり、清掃ブラシ6a,6bの傷み具合などをチェックすることができる。
【0071】
従って、変形例2に係る量水標301は、操作手段を操作することによって、板材4a,4b,4cの清掃を行うことができるだけでなく、防護カバー315の内側で配置され、外部から視認することができない清掃ブラシ6a,6bの傷み具合などをチェックすることができ、清掃ブラシ6a,6bを防護カバー315から、又は、防護カバー315をダムから取り外すことなく、簡単且つ安全にチェックを行うことができる。
【0072】
また、変形例2に係る量水標301は、清掃ローラ319が上方に、又は、板材4a,4b,4cと干渉しない高さに備えることで、板材4a,4b,4cに付された水位計測用目盛のすべてを視認可能とすることができる。
【0073】
また、上記実施形態に係る量水標1,101は、計測可能な水位を3mとし、また、1基あたりの計測可能な水位を1mとするために、長手方向に3分割された3基の量水標部材3a,3b,3c,103a,103cを例に説明したが、これに限定されるものではなく、計測可能な水位に合わせて、1基あたりの水位と、分割数を自由に決めることができ、また、量水板の分割は、均等に分割する必要もない。
【0074】
また、上記実施形態に係る量水標1,101は、連結部材7a,7bを背面側ガイドレーン8a,8bと正面側ガイドレーン9a,9bにそれぞれ移動可能なように連結する例を説明したが、これに限定されるものではなく、連結部材の一方を各架台に固定し、他方をガイドレーンに移動可能なように連結してもよい。これによると、第一及び第二実施形態に係る量水標1,101にアングル10を使用しなくとも、同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、上記実施形態に係る量水標1,101は、第1量水標部材3a,103a及び第2量水標部材3bの背面に清掃部材を備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、操作手段により量水標部材を移動させることで、清掃部材が板材に接触することができればよく、清掃部材が量水標部材の下端部もしくは上端部にのみ備えられていてもよい。
【0076】
また、上記実施形態に係る量水標1,101は、断面型状がフラット状であるI型の量水板であったが、これに限定されるものではなく、断面型状が半円型状である凸型の量水板であってもよい。また、この凸型の量水板を使用した量水標は、それぞれの架台の断面型状を、半円状に切り抜かれた凹部にして、該凹部に清掃部材を備えることで、量水板の正面に操作手段が当接できるようにしてもよい。よって、この凸型の量水板を使用した量水標は、防護カバーにガイド溝が備わっていなくとも、架台の凹部に量水板の凸部が嵌め込まれるため、横ずれ防止効果を得ることができる。
【0077】
また、上記実施形態に係る量水標1,101は、ブラシを利用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、スポンジや布製の雑巾を取り付けたものであってもよい。
【0078】
また、上記実施形態に係る量水標1,101は、垂直に設置する例を説明したが、これに限定されるものではなく、斜めに設置するものであってもよい。
【0079】
また、上記実施形態に係る量水標1,101は、量水標本体2,102を防護カバー15,115に収納した例を説明したが、これに限定されるものではなく、防護カバーを備えていないものであってもよい。但し、急激な流れのある河川等に設置することにより、量水標本体がこの流れに流される場合は、流されないように量水標本体の重量を上げたり、錘や碇を量水標本体の下端に取り付けるものであってもよい。
【0080】
また、上記実施形態に係る量水標1,101は、防護カバー15,115の正面を外部から板材4a,4b,4cの標示が視認可能なように開放部17を備わっている例を説明したが、これに限定されるものではなく、防護カバーの開口部に透明な部材で塞いで、開口部からも直接,波などが当たらないようにしてもよい。そして、正面の開口部の替わりに、下端を開放したり、側面もしくは下面に防護カバーの内外を水が流通する流通孔を多数設けるようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態に係る量水標1,101は、板材4a,4b,4cを連結手段によって間接的に連結する例を説明したが、これに限定されるものではなく、板材4a,4b,4cを直接連結して、板材4a,4b,4cの背面に清掃部材を直接取り付けるものであってもよい。
【0082】
また、上記実施形態に係る量水標1,101は、下端部を0mとする水位計測用目盛が付された標示が正面に付された量水板を例に説明したが、これに限定されるものではなく、上端部を0mとして水深計測用目盛、下端部と上端部の間のいずれかを0mとして、水位及び水深の計測用目盛、又は、洪水危険レベルなどが付された標示であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1,101,201,301…量水標、2,102…量水標本体、3a,103a…第1量水標部材、3b…第2量水標部材、3c,103c,203c,303a…第3量水標部材、4a…第1板材(板材)、4b…第2板材(板材)、4c…第3板材(板材)、5a…第1架台、5b…第2架台、5c…第3架台、6a…第1清掃ブラシ(清掃部材)、6b…第2清掃ブラシ(清掃部材)、7a…第1連結部材(連結手段)、7b…第2連結部材(連結手段)、8a…第1背面側ガイドレーン(連結手段)、8b…第2背面側ガイドレーン(連結手段)、9a…第1正面側ガイドレーン(連結手段)、9b…第2正面側ガイドレーン(連結手段)、10…アングル、11…吊フック、15,115,215,315…防護カバー、16…カバー本体、17…開放部、18a,118a…第1ガイド溝、18b,118b…第2ガイド溝、18c,118c…第3ガイド溝、19,319…清掃ローラ(第2の清掃部材)、20…ガイド板、21…貫通穴、22…フランジ、25…ワイヤ(操作手段)、225a…第1ワイヤ(操作手段)、225b…第2ワイヤ(操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水位計測用目盛や洪水危険レベルなどの標示が正面に付された長尺の量水板を長手方向に分割した複数の板材と、該板材の正面と対面するように他の板材の裏側に配置される清掃部材と、板材の正面に他の板材の裏側に配置される清掃部材を接触させつつ、板材もしくは他の板材のいずれかを板材の長手方向に移動させることで、板材の正面を清掃する操作手段とを備えることを特徴とする量水標。
【請求項2】
板材の正面に他の板材の裏側に配置される清掃部材を接触させつつ、移動可能なように板材と他の板材を連結する連結手段を備えており、操作手段を操作することにより、板材を移動させて、他の板材を従動させ、もしくは、他の板材を移動させて、板材を従動させる請求項1に記載の量水標。
【請求項3】
他の板材の裏側に配置される清掃部材と対面しない板材の正面と接触可能な位置に第2の清掃部材を備えており、操作手段を操作することにより、第2の清掃部材と接触する位置より下方の面を清掃可能な請求項1又は2に記載の量水標。
【請求項4】
量水板を分割した複数の板材に付された標示を外部から視認可能なように覆い、且つ、操作手段によって移動させる方向に沿って延設されたガイド溝を備える防護カバーを備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の量水標。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−243228(P2010−243228A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89810(P2009−89810)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)