説明

金属−セラミックス接合基板の製造方法および製造装置

【課題】鋳型の消耗を少なくすることができるとともに、セラミックス基板に接合する金属板の寸法精度が良好な金属−セラミックス接合基板を安価に製造することができる、金属−セラミックス接合基板の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】金属溶湯をセラミックス基板22に接触させた後に冷却して固化させることにより、金属板24、26をセラミックス基板22に接合する金属−セラミックス接合基板の製造方法において、不活性ガス雰囲気中において金属溶湯をセラミックス基板22に接触させた後に、酸化性ガス雰囲気中において金属溶湯を冷却して固化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属−セラミックス接合基板の製造方法および製造装置に関し、特に、セラミックス基板を設置した鋳型内にアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯を注湯した後に冷却して溶湯を固化させることにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属部材がセラミックス基板に接合した金属−セラミックス接合基板を製造する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、電車、工作機械などの大電流を制御するために使用されている従来のパワーモジュールでは、ベース板と呼ばれている金属板または複合材の一方の面に金属−セラミックス絶縁基板が半田付けにより固定され、この金属−セラミックス絶縁基板上に半導体チップが半田付けにより固定されている。また、ベース板の他方の面(裏面)には、ねじ止めなどにより熱伝導グリースを介して金属製の放熱フィンや冷却ジャケットが取り付けられている。
【0003】
この金属−セラミックス絶縁基板へのベース板や半導体チップの半田付けは加熱により行われるため、半田付けの際に接合部材間の熱膨張係数の差によりベース板の反りが生じ易い。また、半導体チップから発生した熱は、金属−セラミックス絶縁基板と半田とベース板を介して放熱フィンや冷却ジャケットにより空気や冷却水に逃がされるため、半田付けの際にベース板の反りが生じると、放熱フィンや冷却ジャケットをベース板に取り付けたときのクリアランスが大きくなり、放熱性が極端に低下する。さらに、半田自体の熱伝導率が低いため、大電流を流すパワーモジュールでは、より高い放熱性が求められている。
【0004】
これらの問題を解決するため、ベース板と金属−セラミックス絶縁基板との間を半田付けすることなく、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるベース板をセラミックス基板に直接接合した金属−セラミックス回路基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、このような金属−セラミックス接合基板を製造するための鋳型として、内部にベース板を形成するための空洞部(ベース板形成部)が形成され、この空洞部の底面にセラミックス基板を収容するための複数の凹部(セラミックス基板収容部)が形成され、これらの凹部の各々の底面に回路パターン用金属板を形成するための凹部(回路パターン用金属板形成部)が形成された鋳型が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
このような鋳型内にセラミックス基板を配置し、アルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯を鋳型内に注湯してセラミックス基板の表面に接触させた後に冷却して固化させることにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属板がセラミックス基板に接合した金属−セラミックス接合基板を製造する場合、アルミニウムまたはアルミニウム合金が鋳型に接合(または付着)するのを防止するために、カーボンなどからなる鋳型を使用するとともに、鋳型の内面に予め(炭素粉末、窒化珪素粉末、窒化ホウ素粉末などの)離型剤を塗布している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−76551号公報(段落番号0015)
【特許文献2】特開2005−74434号公報(段落番号0008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このようにカーボンなどからなる鋳型を使用するとともに、鋳型の内面に予め離型剤を塗布しても、アルミニウムまたはアルミニウム合金が鋳型に接合または付着して鋳型が消耗し易くなる場合がある。また、離型剤の使用および離型剤の塗布工程の必要性から、製造コストが増大する。さらに、セラミックス基板に接合するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属板の厚さが、鋳型の消耗や離型剤の塗布ムラなどによって、部分的に変化して寸法精度が悪くなるという問題がある。
【0008】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、鋳型の消耗を少なくすることができるとともに、セラミックス基板に接合する金属板の寸法精度が良好な金属−セラミックス接合基板を安価に製造することができる、金属−セラミックス接合基板の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、金属溶湯をセラミックス基板に接触させた後に冷却して固化させることにより、金属板をセラミックス基板に接合する金属−セラミックス接合基板の製造方法において、不活性ガス雰囲気中において金属溶湯をセラミックス基板に接触させた後に、酸化性ガス雰囲気中において金属溶湯を冷却して固化させることにより、鋳型の消耗を少なくすることができるとともに、セラミックス基板に接合する金属板の寸法精度が良好な金属−セラミックス接合基板を安価に製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法は、金属溶湯をセラミックス基板に接触させた後に冷却して固化させることにより、金属板をセラミックス基板に接合する金属−セラミックス接合基板の製造方法において、不活性ガス雰囲気中において金属溶湯をセラミックス基板に接触させた後に、酸化性ガス雰囲気中において金属溶湯を冷却して固化させることを特徴とする。
【0011】
この金属−セラミックス接合基板の製造方法において、セラミックス基板を通気性材料からなる鋳型内に設置し、不活性ガス雰囲気中においてセラミックス基板に接触するように金属溶湯を鋳型内に注湯した後、酸化性ガス雰囲気中において鋳型を冷却して金属溶湯を固化させることにより、金属板をセラミックス基板に接合するのが好ましい。また、セラミックス基板を通気性材料からなる鋳型内に設置して気密な炉内に導入し、この炉内を不活性ガス雰囲気にして、セラミックス基板に接触するように金属溶湯を鋳型内に注湯した後、炉内を酸化性ガス雰囲気にして、鋳型を冷却して金属溶湯を固化させることにより、金属板をセラミックス基板に接合してもよい。あるいは、金属溶湯を貯めた坩堝を気密な予熱室内に導入し、この予熱室内を不活性ガス雰囲気にして、セラミックス基板を坩堝内の金属溶湯に接触させた後、予熱室に隣接する気密な冷却室内に配置された通気性材料からなる鋳型内に導入し、冷却室内を酸化性ガス雰囲気にして、鋳型を冷却して金属溶湯を固化させることにより、金属板をセラミックス基板に接合してもよい。
【0012】
上記の金属−セラミックス接合基板の製造方法において、通気性材料が多孔質のカーボンであるのが好ましい。また、酸化性ガスが、空気、あるいは酸素と窒素またはアルゴンとの混合ガスであるのが好ましい。また、金属溶湯がアルミニウムまたはアルミニウム合金であるのが好ましい。
【0013】
また、本発明による金属−セラミックス接合基板の製造装置は、内部にセラミックス基板を収容する空間とそのセラミックス基板に接合する金属部材を形成する空間とが形成された通気性材料からなる鋳型と、この鋳型を収容し且つ不活性ガスと酸化性ガスを切り替えて導入可能なガス導入口を有する密閉可能な接合炉内とを備えたことを特徴とする。この金属−セラミックス接合基板の製造装置が、鋳型を加熱するヒータを備えているのが好ましく、鋳型を冷却する冷却器を備えているのが好ましい。
【0014】
また、本発明による金属−セラミックス接合基板の製造装置は、内部を通過するセラミックス基板を濡らす溶湯を収容可能な坩堝と、この坩堝の内部を通過したセラミックス基板が接合する金属部材とともに通過可能な通気性材料からなる鋳型と、坩堝を収容する密閉可能な予熱室と、鋳型を収容する密閉可能な冷却室とを備えたことを特徴とする。この金属−セラミックス接合基板の製造装置が、坩堝を加熱するヒータを備えているのが好ましく、通気性材料が多孔質のカーボンであるのが好ましい。
【0015】
なお、本明細書中において、「不活性ガス雰囲気」とは、酸素を殆ど含まない窒素ガスなどの不活性ガスの雰囲気をいい、好ましくは、酸素濃度0.01体積%以下、さらに好ましくは、酸素濃度0.001体積%以下の不活性ガスの雰囲気をいう。また、「酸化性ガス雰囲気」とは、セラミックス基板に接合する金属板および金属溶湯の金属を酸化し得る酸化性ガスの雰囲気をいう。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、鋳型の消耗を少なくすることができるとともに、セラミックス基板に接合する金属板の表面が鋳型の内面の形状と略同一の寸法精度が良好な金属−セラミックス接合基板を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による金属−セラミックス接合基板の製造装置の第1の実施の形態の断面を概略的に示す図である。
【図2A】図1の製造装置により製造される金属−セラミックス接合基板の平面図である。
【図2B】図2AのIIB−IIB線断面図である。
【図3A】本発明による金属−セラミックス接合基板の製造装置の第2の実施の形態の縦断面を概略的に示す図である。
【図3B】図3Bの製造装置の出口側の横断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法の実施の形態では、不活性ガス雰囲気中においてアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯をセラミックス基板に接触させた後、酸化性ガス雰囲気中において溶湯を冷却して固化させることにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属板をセラミックス基板に接合する。なお、不活性ガス雰囲気は、酸素を殆ど含まない窒素ガスなどの不活性ガスの雰囲気であり、好ましくは、酸素濃度0.01体積%以下、さらに好ましくは、酸素濃度0.001体積%以下の不活性ガスの雰囲気である。また、酸化性ガス雰囲気は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を酸化し得る酸化性ガスの雰囲気であり、酸化性ガスとして、空気や、酸素と窒素またはアルゴンとの混合ガスを使用することができる。
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法および製造装置の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明による金属−セラミックス接合基板の製造装置の第1の実施の形態を概略的に示している。本実施の形態の製造装置は、所謂バッチ接合炉を使用して金属−セラミックス接合基板を製造する装置である。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態の金属−セラミックス接合基板の製造装置は、ガス導入口10aと排気口10bが形成された気密なバッチ接合炉10と、この接合炉10内に設置された水冷可能な冷却台12と、この冷却台12上に載置された鋳型の下側鋳型部材14および上側鋳型部材16と、この鋳型内にアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯を注湯する注湯ノズル18と、鋳型を取り囲むように配置されたヒータ20とを備えている。
【0022】
鋳型は、多孔質のカーボンなどの通気性材料からなり、下側鋳型部材14と、この下側鋳型部材14の蓋体としての略平板状の上側鋳型部材16とから構成されている。下側鋳型部材14の底面には、ベース板を形成するための(ベース板と略同一の形状および大きさの)空洞部(ベース板形成部)14aが形成され、この空洞部14aの底面には、セラミックス基板を収容するための凹部(セラミックス基板収容部)14bが形成され、この凹部14bの底面には、回路パターン用金属板を形成するための(回路パターン用金属板と略同一の形状および大きさの)複数の凹部(金属回路板形成部)14cが形成されている。上側鋳型部材16には、注湯ノズル18から鋳型内に溶湯を注湯するための注湯口16aが形成されている。なお、下側鋳型部材14には、ベース板形成部14aと金属回路板形成部14cとの間に延びる(図示しない)溶湯流路が形成され、セラミックス基板収容部14b内にセラミックス基板を収容したときにもベース板形成部14aと金属回路板形成部14cとの間が連通するようになっている。
【0023】
注湯ノズル18は、(図示しない)外部の溶湯供給部に連通する狭い流路を有しており、溶湯供給部から供給されたアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯を、その狭い流路を通してアルミニウム酸化膜を除去しながら、注湯口16aから鋳型内に注湯することができるようになっている。また、注湯ノズル18は、注湯口16aから鋳型内に注湯された溶湯を加圧することができるようになっている。
【0024】
次に、本実施の形態の金属−セラミックス接合基板の製造装置を使用して金属−セラミックス接合基板を製造する方法について説明する。
【0025】
まず、鋳型の下側鋳型部材14のセラミックス基板収容部14b内にセラミックス基板22を設置し、接合炉10のガス導入口10aから不活性ガスを導入して接合炉10内を不活性ガス雰囲気にした後、ヒータ20で加熱された鋳型内にアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯を加圧しながら注湯して、下側鋳型部材14のベース板形成部14aと金属回路板形成部14cを満たすように充填し、セラミックス基板22の両面に接触させる。
【0026】
次に、鋳型内の溶湯を加圧したまま、接合炉10内を真空ポンプにより脱ガスし、ガス導入口10aから酸化性ガスを導入して接合炉10内を酸化性ガス雰囲気にした後、冷却台12により鋳型の下側鋳型部材14の底面を冷却して、鋳型内の溶湯を冷却して凝固させることにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属板をセラミックス基板に接合する。このようにして、図2Aおよび図2Bに示すようなセラミックス基板22の両面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属板24および26が接合した金属−セラミックス接合基板を製造することができる。
【0027】
なお、多孔質のカーボンなどの通気性材料からなる鋳型を使用しているので、アルミニウムまたはアルミニウム合金のセラミックス基板との接触面以外の表面は、鋳型を介して導入された接合炉10内の酸化性ガスによって酸化される。この酸化の度合いは、酸化性ガスの圧力や酸素濃度によって調整することができる。このようにして金属板をセラミックス基板に接合すると、離型剤を使用しなくても(あるいは離型剤を少量にしても)鋳型の離型性が良好であり、金属板とセラミックス基板との接合強度も従来の方法で接合した場合と比べて変わらなかった。
【0028】
[第2の実施の形態]
図3Aおよび図3Bは、本発明による金属−セラミックス接合基板の製造装置の第2の実施の形態を概略的に示している。本実施の形態の製造装置は、所謂連続接合炉を使用して金属―セラミックス接合基板を製造する装置である。
【0029】
図3Aに示すように、本実施の形態の金属−セラミックス接合基板の製造装置は、不活性ガスを導入する予熱室110と、この予熱室110に隣接して配置され、酸化性ガスを導入する冷却室112とを備えている。
【0030】
予熱室110内には、アルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯114aを貯めた坩堝114と、図中矢印で示すように、セラミックス基板122を予熱室110の外部から導入して坩堝114の一方の側面から略水平方向に連続的に坩堝114内に供給する入口側ガイド一体型ダイス116と、坩堝114内に供給されたセラミックス基板122を坩堝114の他方の側面から略水平方向に連続的に取り出す出口側ガイド一体型ダイス118と、坩堝114および出口側ガイド一体型ダイス118を取り囲むように配置されたヒータ120が配置されている。
【0031】
冷却室112内には、予熱室110内の出口側ガイド一体型ダイス118に接続され、出口側ガイド一体型ダイス118から連続的に取り出されたセラミックス基板112を導入して、略水平方向に連続的に外部に取り出す出口側ガイド一体型多孔質鋳型(ダイス)128と、この出口側ガイド一体型多孔質鋳型128の入口(出口側ガイド一体型ダイス118との接続部)付近を取り囲むように配置されたヒータ130が配置されている。なお、出口側ガイド一体型多孔質鋳型128は、多孔質のカーボンなどの通気性材料からなる鋳型であり、図3Aおよび図3Bに示すように、セラミックス基板122を摺動可能に通過させ且つセラミックス基板122の両面に接合したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属板124および126を摺動可能に通過させる断面を有する通路が内部に形成されている。
【0032】
次に、本実施の形態の金属−セラミックス接合基板の製造装置を使用して金属−セラミックス接合基板を製造する方法について説明する。
【0033】
まず、セラミックス基板122が、予熱室110内の入口側ガイド一体型ダイス116の入口から坩堝114内に連続的に供給され、その表面が坩堝114内の溶湯114aで濡らされた後、連続的に出口側ガイド一体型ダイス118に押し出される。この予熱室110内は不活性ガス雰囲気になっており、坩堝114および出口側ガイド一体型ダイス118がヒータ120によって加熱されているので、アルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯114aをその酸化を防止しながらセラミックス基板に接触させることができる。
【0034】
連続的に出口側ガイド一体型ダイス118に押し出されたセラミックス基板122は、冷却室112内の出口側ガイド一体型多孔質鋳型128内に連続的に供給され、この出口側ガイド一体型多孔質鋳型128内で冷却されて、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる溶湯114aが凝固することにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属板124および126がセラミックス基板122に接合して、出口側ガイド一体型多孔質鋳型128の出口から外部に連続的に押し出される。なお、出口側ガイド一体型多孔質鋳型128の入口付近以外はヒータ130によって加熱されないので、出口側ガイド一体型多孔質鋳型128内のアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯114aは、セラミックス基板122とともに出口側ガイド一体型多孔質鋳型128を通過する間に冷却されて凝固する。また、冷却室112内は酸化性ガス雰囲気になっており、出口側ガイド一体型多孔質鋳型128が多孔質のカーボンなどの通気性材料からなるので、アルミニウムまたはアルミニウム合金のセラミックス基板との接触面以外の表面が、出口側ガイド一体型多孔質鋳型128を介して導入された冷却室112内の酸化性ガスによって酸化される。この酸化の度合いは、酸化性ガスの圧力や酸素濃度によって調整することができる。このようにして金属板をセラミックス基板に接合すると、離型剤を使用しなくても(あるいは離型剤を少量にしても)鋳型の離型性が良好であり、金属板とセラミックス基板との接合強度も従来の方法で接合した場合と比べて変わらなかった。
【符号の説明】
【0035】
10 接合炉
10a ガス導入口
10b 排気口
12 冷却台
14 下側鋳型部材
14a 空洞部(ベース板形成部)
14b 凹部(セラミックス基板収容部)
14c 凹部(金属回路板形成部)
16 上側鋳型部材
16a 注湯口
18 注湯ノズル
20、120、130 ヒータ
22、122 セラミックス基板
24、26、124、126 金属板
110 予熱室
112 冷却室
114 坩堝
114a 溶湯
116 入口側ガイド一体型ダイス
118 出口側ガイド一体側ダイス
128 出口側ガイド一体型多孔質鋳型(ダイス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属溶湯をセラミックス基板に接触させた後に冷却して固化させることにより、金属板をセラミックス基板に接合する金属−セラミックス接合基板の製造方法において、不活性ガス雰囲気中において金属溶湯をセラミックス基板に接触させた後に、酸化性ガス雰囲気中において金属溶湯を冷却して固化させることを特徴とする、金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項2】
前記セラミックス基板を通気性材料からなる鋳型内に設置し、前記不活性ガス雰囲気中において前記セラミックス基板に接触するように前記金属溶湯を鋳型内に注湯した後、前記酸化性ガス雰囲気中において前記鋳型を冷却して前記金属溶湯を固化させることにより、前記金属板を前記セラミックス基板に接合することを特徴とする、請求項1に記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項3】
前記セラミックス基板を通気性材料からなる鋳型内に設置して気密な炉内に導入し、この炉内を前記不活性ガス雰囲気にして、前記セラミックス基板に接触するように前記金属溶湯を鋳型内に注湯した後、前記炉内を前記酸化性ガス雰囲気にして、前記鋳型を冷却して前記金属溶湯を固化させることにより、前記金属板を前記セラミックス基板に接合することを特徴とする、請求項1に記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項4】
前記金属溶湯を貯めた坩堝を気密な予熱室内に導入し、この予熱室内を前記不活性ガス雰囲気にして、前記セラミックス基板を前記坩堝内の前記金属溶湯に接触させた後、前記予熱室に隣接する気密な冷却室内に配置された通気性材料からなる鋳型内に導入し、前記冷却室内を前記酸化性ガス雰囲気にして、前記鋳型を冷却して前記金属溶湯を固化させることにより、前記金属板を前記セラミックス基板に接合することを特徴とする、請求項1に記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項5】
前記通気性材料が多孔質のカーボンであることを特徴とする、請求項2乃至4のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項6】
前記酸化性ガスが、空気、あるいは酸素と窒素またはアルゴンとの混合ガスであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項7】
前記金属溶湯がアルミニウムまたはアルミニウム合金であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項8】
内部にセラミックス基板を収容する空間とそのセラミックス基板に接合する金属部材を形成する空間とが形成された通気性材料からなる鋳型と、この鋳型を収容し且つ不活性ガスと酸化性ガスを切り替えて導入可能なガス導入口を有する密閉可能な接合炉内とを備えたことを特徴とする、金属−セラミックス接合基板の製造装置。
【請求項9】
前記鋳型を加熱するヒータを備えたことを特徴とする、請求項8に記載の金属−セラミックス接合基板の製造装置。
【請求項10】
前記鋳型を冷却する冷却器を備えたことを特徴とする、請求項8または9に記載の金属−セラミックス接合基板の製造装置。
【請求項11】
内部を通過するセラミックス基板を濡らす溶湯を収容可能な坩堝と、この坩堝の内部を通過したセラミックス基板が接合する金属部材とともに通過可能な通気性材料からなる鋳型と、坩堝を収容する密閉可能な予熱室と、鋳型を収容する密閉可能な冷却室とを備えたことを特徴とする、金属−セラミックス接合基板の製造装置。
【請求項12】
前記坩堝を加熱するヒータを備えたことを特徴とする、請求項11に記載の金属−セラミックス接合基板の製造装置。
【請求項13】
前記通気性材料が多孔質のカーボンであることを特徴とする、請求項8乃至12のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2011−73024(P2011−73024A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225741(P2009−225741)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(506365131)DOWAメタルテック株式会社 (109)