説明

金属成形用シリンダ装置および金属成形用プランジャチップ

【課題】シリンダ室のガスの巻き込みを抑制することができる金属成形用シリンダ装置および金属成形用プランジャチップを提供する。
【解決手段】シリンダ装置1は、断面で円形状をなし且つ中心軸線Pが横方向に沿って延びるシリンダ室20を形成する内周壁面22を有するシリンダ2と、シリンダ室20に前進後退可能に設けられ加圧面30を有するプランジャチップ3とをもつ。加圧面30は、基準線PTよりも上側に位置する上側加圧面301と、基準線PTよりも下側に位置する下側加圧面302とをもつ。下側加圧面302は、上側加圧面301よりも加圧方向に向けて前進するように傾斜している。上側加圧面301は下側加圧面302よりも軸直角線Kに沿っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属成形用シリンダ装置および金属成形用シリンダ装置に組み込まれる金属成形用プランジャチップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高温の溶湯を射出させる金属成形用シリンダ装置が知られている。このシリンダ装置1Xは、図11(A)および図11(B)に示すように、断面で円形状をなし且つ中心軸線Pが横方向に沿って延びるシリンダ室20Xを形成する内周壁面22Xを有するシリンダ2Xと、シリンダ2Xのシリンダ室20Xに前進後退可能に設けられたプランジャチップ3Xとを備えている。プランジャチップ3Xは加圧面30Xを有する。加圧面30Xは、シリンダ室20X内に存在する金属溶湯4を前進に伴い加圧する。
【0003】
ここで、図11(A)および図11(B)は、シリンダ室20Xの中心軸線Pを通過するように中心軸線Pに沿った断面を示す。図11(A),図11(B)に示すように、プランジャチップ3Xの加圧面30Xは、中心軸線Pに対して軸直角方向に設定されているため、シリンダ室30X内の溶湯4を衝撃的に加圧させる特性をもつ。
【0004】
上記したシリンダ装置1Xによれば、図11(A),図11(B)に示すように、プランジャチップ3Xの加圧面30Xは、中心軸線Pに対して軸直角方向に設定されている。このため、プランジャチップ3Xが加圧方向に前進すると、シリンダ室20Xの溶湯4がプランジャチップ3Xの前進方向に向けて揺動する波打現象A(図11(B)参照)が発生するおそれがある。この場合、シリンダ室20X内のガスGが溶湯4に巻き込まれやすく、ブローホールやピンホールなどの不具合が発生するおそれがある。
【0005】
更に、射出速度、湯道形状を改良することにより、ブローホールやピンホールなどの不具合を抑制する開発が進められている。しかしながら上記した改良だけでは、ブローホールやピンホールなどの不具合を抑制させるためには、必ずしも充分ではない。
【0006】
そこで、図12(A)および図12(B)に示すシリンダ装置1Wが開発されている(特許文献1)。図12(A)および図12(B)は、シリンダ室20Wの中心軸線Pを通過するように中心軸線Pに沿った断面を示す。図12(A)および図12(B)に示すように、プランジャチップ3Wの加圧面30Wにおいては、中心軸線Pよりも下側に位置する下部が、中心軸線Pよりも上側に位置する上部よりも加圧方向(矢印Y1方向)に向けて前進するように直線状に傾斜している。なお、プランジャチップ3Wの加圧面30Wは、中心軸線Pに沿った断面において、中心軸線Pに対して傾斜して一直線状に延びている。
【特許文献1】特開平9−295118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した図12(A)および図12(B)に示すシリンダ装置1Wによれば、プランジャチップ3Wの加圧面30Wにおいては、中心軸線Pよりも下側に位置する下部が、中心軸線Pよりも上側に位置する上部よりも加圧方向(矢印Y1方向)に向けて前進するように直線状に傾斜している。このため、プランジャチップ3Wが加圧方向(矢印Y1方向)に前進すると、図12(A)および図12(B)に示すようにシリンダ室20Wの溶湯4がプランジャチップ3Wの前進方向に揺動する波打現象A(図11(B)参照)は抑制される。
【0008】
しかしながら、図13(A)および図13(B)に示すように、傾斜状をなす加圧面30Wにより溶湯4がシリンダ室20Wの中心軸線Pよりも早期に上昇し易くなり、溶湯4が周方向へ揺動する波打現象B(図13(B)参照)が発生するおそれがある。この場合においても、シリンダ室20W内のガスGが溶湯4に巻き込まれやすく、同様に、ブローホールやピンホールなどの不具合が発生するおそれがある。
【0009】
上記した波打現象Bが発生する理由としては、次のように推察される。図12(A)および図12(B)に示すように、プランジャチップ3Wの加圧面30Wにおいては、中心軸線Pよりも下側に位置する下部が、中心軸線Pよりも上側に位置する上部よりも加圧方向(矢印Y1方向)に向けて前進するように直線状に傾斜している。このため加圧面30Wが中心軸線Pの軸直角方向に沿っている場合よりも、プランジャチップ3Wが溶湯4を加圧方向に衝撃的に流動させる衝撃性は緩和されるものの、溶湯4が傾斜状の加圧面30Wで持ち上げられ易くなるため、溶湯4の湯面40はシリンダ室20Wの中心軸線Pよりも上方に急激に移動し易くなる。
【0010】
ここで、図13(B)に示すように、シリンダ室20Wの内周壁面22Wで形成されるシリンダ室20Wにおいては、シリンダ室20Wの中心軸線Pよりも下側の領域20dでは、上方に向かうにつれて流路断面積が次第に増加するものの、シリンダ室20Wの中心軸線Pよりも上側の領域20uでは、上方に向かうにつれて流路断面積が次第に減少する。このため前述したように、溶湯4の湯面40がシリンダ室20W内において急激に上昇すると、図13(C)に示すように、溶湯部分4Wは、シリンダ室20Wの周方向に逃げ、結果として、溶湯4が周方向へ揺動する波打現象B(図13(B)参照)が発生し、ガスGの巻き込みが発生するおそれがあるためと推察される。
【0011】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、プランジャチップがシリンダ室内を加圧方向に前進して金属系流動材料を成形型のキャビティに注入させるとき、シリンダ室の溶湯等の金属系流動材料がプランジャチップの前進方向に揺動する波打現象を抑制すると共に、溶湯等の金属系流動材料がシリンダ室の周方向に揺動する波打現象を抑制することができ、ひいてはシリンダ室のガスが金属系流動材料に巻き込まれることを抑制することができる金属成形用シリンダ装置および金属成形用プランジャチップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)様相1に係る金属成形用シリンダ装置は、断面で円形状をなし且つ中心軸線が横方向に沿って延びるシリンダ室を形成する内周壁面を有するシリンダと、前記シリンダの前記シリンダ室に前進後退可能に設けられ前記シリンダ室内に存在する溶融相を有する金属系流動材料を前進に伴い加圧する加圧面を先端部に有するプランジャチップとを具備しており、前記シリンダ室の前記中心軸線を通過するように前記中心軸線に沿った断面において、前記シリンダ室の前記中心軸線に対して直角な仮想線を軸直角線とし、前記中心軸線または前記中心軸線と上下方向に平行な仮想線を基準線とするとき、前記加圧面は、前記基準線よりも上側に位置する上側加圧面と、前記基準線よりも下側に位置する下側加圧面とを備えており、前記プランジャチップの前記下側加圧面は、前記上側加圧面よりも加圧方向に向けて前進するように傾斜しており、且つ、前記プランジャチップの前記上側加圧面は前記下側加圧面よりも軸直角線に沿っていることを特徴とする。
【0013】
(2)様相2に係る金属成形用シリンダ装置は、様相1において、前記シリンダ室の前記中心軸線を通過するように前記中心軸線に沿った断面において、前記プランジャチップの加圧面は、前記プランジャチップ側に凹みを形成するように凹み円弧状とされている。
【0014】
(3)様相3に係る金属成形用シリンダ装置は、断面で円形状をなし且つ中心軸線が横方向に沿って延びるシリンダ室を形成する内周壁面を有するシリンダと、
前記シリンダの前記シリンダ室に前進後退可能に設けられ前記シリンダ室内に存在する溶融相を有する金属系流動材料を前進に伴い加圧する加圧面を先端部に有するプランジャチップとを具備しており、前記プランジャチップの前記中心軸線を通過するように中心軸線に沿った断面において、前記プランジャチップの前記加圧面は、これの下部がこれの上部よりも加圧方向に向けて前進するように傾斜しており、且つ、前記プランジャチップの前記加圧面は、前記プランジャチップ側に凹みを形成するように凹み円弧状とされていることを特徴とする。
【0015】
(4)様相4に係る金属成形用プランジャチップは、断面で円形状をなし且つ中心軸線が横方向に沿って延びるシリンダ室に前進後退可能に設けられ、前記シリンダ室内に存在する溶融相を有する金属系流動材料を前進に伴い加圧する加圧面を先端部に有するプランジャチップであって、前記シリンダ室の中心軸線を通過するように前記中心軸線に沿った断面において、前記シリンダ室の前記中心軸線に対して直角な仮想線を軸直角線とし、前記中心軸線または前記中心軸線と上下方向に平行な仮想線を基準線とするとき、前記加圧面は、前記基準線よりも上側に位置する上側加圧面と、前記基準線よりも下側に位置する下側加圧面とを備えており、前記プランジャチップの前記下側加圧面は、前記上側加圧面よりも加圧方向に向けて前進するように傾斜しており、且つ、前記プランジャチップの前記上側加圧面は前記下側加圧面よりも前記軸直角線に沿っていることを特徴とする。
【0016】
(5)様相5に係る金属成形用プランジャチップは、断面で円形状をなし且つ中心軸線が横方向に沿って延びるシリンダ室に前進後退可能に設けられ、前記シリンダ室内に存在する溶融相を有する金属系流動材料を前進に伴い加圧する加圧面を先端部に有するプランジャチップであって、前記シリンダ室の前記中心軸線を通過するように前記中心軸線に沿った断面において、前記プランジャチップの前記加圧面は、これの下部がこれの上部よりも加圧方向に向けて前進するように傾斜しており、且つ、前記プランジャチップの前記加圧面は、前記プランジャチップ側に凹みを形成するように凹み円弧状とされていることを特徴とする。プランジャチップの上部は、プランジャチップにおいて重力方向の上部を意味する。プランジャチップの下部は、プランジャチップにおいて重力方向の下部を意味する。
【0017】
(6)上記した様相1,2,4に係る本発明によれば、シリンダ室の中心軸線を通過するように中心軸線に沿った断面において、シリンダ室の中心軸線に対して直角な仮想線を軸直角線とし、前記中心軸線または前記中心軸線と上下方向に平行な仮想線を基準線とするとき、加圧面は、基準線よりも上側に位置する上側加圧面と、基準線よりも下側に位置する下側加圧面とを備えている。上記した様相1,2,4に係る本発明によれば、プランジャチップの下側加圧面は、上側加圧面よりも加圧方向に向けて前進するように傾斜している。且つ、プランジャチップの上側加圧面は下側加圧面よりも軸直角線に沿っている。
【0018】
使用の際には、シリンダ室内に溶湯等の金属系流動材料が存在する状態で、プランジャチップがシリンダ室内を加圧方向に前進する。このとき、シリンダ室の溶湯等の金属系流動材料はプランジャチップと共に前進方向に移動し、成形型の成形キャビティ内に注入される。キャビティ内において金属系流動材料の固化が進行すると、金属系の成形品が得られる。ここで、プランジャチップの加圧面が上記した構成に設定されていると、次の作用が得られる。すなわち、シリンダ室の中心軸線を通過するように中心軸線に沿った断面において、シリンダ室の中心軸線に対して直角な仮想線を軸直角線とし、前記中心軸線または前記中心軸線と上下方向に平行な仮想線を基準線とするとき、加圧面は、基準線よりも上側に位置する上側加圧面と、基準線よりも下側に位置する下側加圧面とを備えている。プランジャチップの下側加圧面は、上側加圧面よりも加圧方向に向けて前進するように傾斜している。この結果、プランジャチップが加圧方向に前進するときであっても、プランジャチップの加圧面のうち中心軸線等の基準線よりも下側の下側加圧面が、溶湯等の金属系流動材料を加圧方向(矢印Y1方向)に流動させる衝撃性は、図11(A)および図11(B)に示す従来技術に比較して、緩和される。従って、シリンダ室の溶湯がプランジャチップ3の前進方向に揺動する波打現象Aは、図11(A)および図11(B)に示す従来技術に比較して抑制される。
【0019】
更に様相1,2,4に係る本発明によれば、プランジャチップの上側加圧面は、前述したように、下側加圧面よりも軸直角線に沿っている。このためプランジャチップの加圧面のうち上側加圧面が溶湯等の金属系流動材料を上方に持ち上げる持上力が軽減される。このため、プランジャチップが溶湯を成形型のキャビティに向けて前進させるとき、溶湯等の金属系流動材料の液面の急激な上昇が緩和される。従って、溶湯等の金属系流動材料がシリンダ室の周方向に揺動する波打現象B(図13(B)参照)を抑制することができる。
【0020】
ここで様相1,2,4に係る本発明によれば、プランジャチップの加圧面を構成する上側加圧面および下側加圧面については、基準線に対して互いに傾斜角度が異なり、上側加圧面および下側加圧面が明確に区別できる形態ばかりではなく、上側加圧面および下側加圧面が明確に区別できないように、上側加圧面および下側加圧面が滑らかに連続的に連設されている形態を含む。要するに、中心軸線等の基準線よりも上側に位置する部分を上側加圧面とする。中心軸線等の基準線よりも下側に位置する部分を下側加圧面とする。ここで、前記した断面で、加圧面としては、直線状でも良いし、円弧面状でも良い。
【0021】
(7)更に上記した様相3,5に係る本発明によれば、プランジャチップの下部の加圧面は、上部の加圧面よりも加圧方向に向けて前進するように傾斜している。使用の際には、シリンダ室内に溶湯等の金属系流動材料が存在する状態で、プランジャチップがシリンダ室内を加圧方向に前進する。このとき、シリンダ室の溶湯等の金属系流動材料はプランジャチップと共に前進方向に移動し、成形型の成形キャビティ内に注入される。キャビティ内において金属系流動材料の固化が進行すると、金属系の成形品が得られる。ここで、プランジャチップの加圧面が上記した構成に設定されており、プランジャチップの下部の加圧面は、上部の加圧面よりも加圧方向に向けて前進するように傾斜している。
【0022】
この結果、上記した様相3,5に係る本発明によれば、プランジャチップが加圧方向に前進するときであっても、プランジャチップの加圧面のうち下部の加圧面が、溶湯等の金属系流動材料を加圧方向(矢印Y1方向)に流動させる衝撃性は、図11(A)および図11(B)に示す従来技術に比較して、緩和される。従って、シリンダ室の溶湯がプランジャチップ3の前進方向に揺動する波打現象Aは、図11(A)および図11(B)に示す従来技術に比較して抑制される。
【0023】
更に上記した様相2,3,5に係る本発明によれば、シリンダ室の中心軸線を通過するように中心軸線に沿った断面において、プランジャチップの加圧面は、プランジャチップ側に凹みを形成するように凹み円弧状とされている。この結果、プランジャチップの上側または上部の加圧面は下側または下部の加圧面よりも、中心軸線の軸直角線に沿い易くなる。このためプランジャチップの加圧面のうち上側または上部の加圧面が溶湯等の金属系流動材料を上方に持ち上げる持上力が軽減される。このため、プランジャチップが溶湯等の金属系流動材料を成形型のキャビティに向けて前進させるとき、シリンダ室内において金属系流動材料の液面の急激な上昇が緩和される。従って、溶湯等の金属系流動材料がシリンダ室の周方向に揺動する波打現象Bを抑制することができる。
【0024】
(8)上記した各様相に係る本発明によれば、上記したように波打現象Aおよび波打現象Bを抑制することができる。このため、シリンダ室のガスが溶湯等の金属系流動材料に巻き込まれることが抑制される。よって溶湯等の金属系流動材料が固化した成形品の不良率が低減される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、プランジャチップがシリンダ室内を加圧方向に前進するとき、シリンダ室の溶湯等の金属系流動材料がプランジャチップの前進方向に揺動する波打現象Aを抑制すると共に、溶湯等の金属系流動材料がシリンダ室の周方向に揺動する波打現象Bを抑制することができる。ひいてはシリンダ室のガスが金属系流動材料に巻き込まれることを抑制することができる。よって溶湯等の金属系流動材料が固化した成形品におけるブローホールやピンホール等のガス欠陥が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について図1〜図3を参照しつつ説明する。本実施形態に係る金属成形用シリンダ装置1は、図1に示すように、略円筒状のシリンダ2と、プランジャチップ3とを有する。シリンダ2は、断面で円形状をなし且つ中心軸線Pが横方向に沿って延びるシリンダ室20を形成する内周壁面22を有する。シリンダ2の先端は金型等の成形型のキャビティに連通している。シリンダ室20の中心軸線Pは水平線に沿っている形態が挙げられる。この場合、シリンダ室20の中心軸線Pは水平線に対して所定角度(例えばプラスマイナス30°以内)傾斜している形態でも良い。
【0027】
プランジャチップ3は加圧面30を先端部に有する。プランジャチップ3は、シリンダ2のシリンダ室20に前進後退可能に設けられている。プランジャチップ3の加圧面30は、シリンダ室20内に存在する溶湯4(溶融相を有する金属系流動材料)を前進に伴い加圧する。ここで、図1は、シリンダ室20の中心軸線Pを通過するように中心軸線Pに沿った断面を示す。シリンダ室20の中心軸線Pはプランジャチップ3の中心軸線に相当する。
【0028】
図1において、シリンダ室20の中心軸線Pに対して直角な仮想線を軸直角線Kとする。シリンダ室20の中心軸線Pと平行な仮想線を基準線PTとする。本実施形態によれば、便宜上、基準線PTはシリンダ室20の中心軸線Pと仮定する。
【0029】
図1に示すように、プランジャチップ3の加圧面30は、中心軸線P(基準線PT)よりも上側に位置する上側加圧面301と、中心軸線P(基準線PT)よりも下側に位置する下側加圧面302とを備えている。
【0030】
プランジャチップ3の加圧面30のうち下側加圧面302は、上側加圧面301よりも加圧方向(矢印Y1方向)に向けて前進するように傾斜している。従って下側加圧面302は、上側加圧面301よりも中心軸線Pに沿っている向きとされている。これに対して、プランジャチップ3の上側加圧面301は、下側加圧面302よりも軸直角線Kに沿った向きとされている。
【0031】
このような本実施形態によれば、図1に示すように、プランジャチップ3の加圧面30は、プランジャチップ3側に凹み3cを形成するように凹み円弧状とされている。
【0032】
成形の際には、図2(A)に示すように、プランジャチップ3が待機位置に待機しているとき、シリンダ室20内に溶湯4が注入される。溶湯4の湯面40はシリンダ室20内の中間に位置する。溶湯4としては、金属の溶湯4であれば良く、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金、銅、銅合金が挙げられる。
【0033】
このようにシリンダ室20内に溶湯4が存在する状態で、図2(B)に示すように、プランジャチップ3がシリンダ室20内を加圧方向(矢印Y1方向)に前進する。このとき、シリンダ室20に存在する溶湯4は、プランジャチップ3と共に前進方向(矢印Y1方向)に移動し、成形型の成形キャビティ内に注入される。キャビティ内において溶湯4の固化が進行すると、金属系の成形品が成形型内で得られる。
【0034】
ここで本実施形態によれば、プランジャチップ3の加圧面30が上記した構成に設定されているため、次の作用が得られる。
【0035】
(a)図1に示すように、プランジャチップ3の加圧面30は、シリンダ室20の中心軸線P(基準線PT)よりも上側に位置する上側加圧面301と、中心軸線P(基準線PT)よりも下側に位置する下側加圧面302とを備えている。そして、プランジャチップ3の下側加圧面302は、上側加圧面301よりも加圧方向(矢印Y1方向)に向けて前進するように傾斜している。これに対して、プランジャチップ3の上側加圧面301は、下側加圧面302よりも軸直角線Kに沿っている。
【0036】
更に、シリンダ室20の中心軸線Pを通過するように中心軸線Pに沿った断面を示す図1において、プランジャチップ3の加圧面30は、プランジャチップ3側に凹み3cを形成するように凹み円弧状とされている。この結果、図2(B)に示すようにプランジャチップ3が加圧方向(矢印Y1方向)に前進するときであっても、プランジャチップ3の加圧面30のうちシリンダ室20の中心軸線Pよりも下側の下側加圧面302が、溶湯4を加圧方向(矢印Y1方向)に流動させる衝撃性は、図11(A)および図11(B)に示す従来技術に比較して、緩和される。その理由としては、上側加圧面301は軸直角線Kに沿っているものの、下側加圧面302はあまり軸直角線Kに沿っていないためである。
【0037】
従って、シリンダ室20の溶湯4がプランジャチップ3の前進方向(矢印Y1方向)に揺動する波打現象Aは、図11(A)および図11(B)に示す従来技術に比較して抑制される。
【0038】
(b)更に本実施形態によれば、プランジャチップ3の下側加圧面302は上側加圧面301よりも加圧方向(矢印Y1方向)に向けて前進するように傾斜しているものの、プランジャチップ3の上側加圧面301は下側加圧面302よりも軸直角線Kに沿っている。このため、プランジャチップ3が溶湯4を前進させるとき、プランジャチップ3の加圧面30のうち中心軸線Pよりも上側の上側加圧面301が溶湯4を上方に持ち上げる持上力が軽減される。このため、溶湯4をプランジャチップ3の加圧面30で加圧するとき、図3(A)および図3(B)に示すように、シリンダ室20における溶湯4の湯面40の急激な上昇が抑制される。従って、シリンダ室20の中心軸線Pよりも上側の領域20uにおいて、上方に向かうにつれて流路断面積が次第に減少する場合であっても、溶湯4の湯面40の急激な上昇が緩和される。この結果、図3(B)に示すように、溶湯4がシリンダ室20の周方向に揺動する波打現象B(図13(B)参照)を抑制することができる。
【0039】
(c)本実施形態によれば、前述したように、プランジャチップ3が溶湯4を前進させるとき、上記したように波打現象Aおよび波打現象Bを抑制することができる。このためシリンダ室20のガスが溶湯4に巻き込まれることを抑制できる。すなわち、シリンダ室20のガスの巻き込みを抑制することができる。よって溶湯4が固化した成形品の不良率が低減される。
【0040】
(実施形態2)
図4は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には共通する構成および作用効果を有する。図4は、シリンダ室20の中心軸線Pを通過するように中心軸線Pに沿った断面を示す。図4に示すように、プランジャチップ3の加圧面30は、シリンダ室20の中心軸線P(基準線PT)よりも上下方向(鉛直方向)の上側に位置する上側加圧面301と、中心軸線P(基準線PT)よりも上下方向(鉛直方向)の下側に位置する下側加圧面302とを備えている。上側加圧面301は軸直角線Kに直状に沿っている。下側加圧面302は中心軸線P(基準線PT)に対して直線状に傾斜している。
【0041】
(実施形態3)
図5は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には共通する構成および作用効果を有する。図5は、シリンダ室20の中心軸線Pを通過するように中心軸線Pに沿った断面を示す。図5に示すように、プランジャチップ3の加圧面30は、シリンダ室20の中心軸線P(基準線PT)よりも上側に位置する上側加圧面301と、中心軸線P(基準線PT)よりも下側に位置する下側加圧面302とを備えている。上側加圧面301は軸直角線Kに直状に沿っている。下側加圧面302は、中心軸線P(基準線PT)に対して直線状に傾斜している第1下側加圧面302fと、軸直角線Kに直状に沿っている第2下側加圧面302sとを有する。第1下側加圧面302fは上側加圧面301よりも中心軸線Pに沿うように寝ている。
【0042】
(実施形態4)
図6は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には共通する構成および作用効果を有する。図6は、シリンダ室20の中心軸線Pを通過するように中心軸線Pに沿った断面を示す。図6に示すように、プランジャチップ3の加圧面30は、シリンダ室20の中心軸線P(基準線PT)よりも上側に位置する上側加圧面301と、中心軸線P(基準線PT)よりも上下方向(鉛直方向)における下側に位置する下側加圧面302とを備えている。図6において、上側加圧面301は下側加圧面302よりも軸直角線Kに沿っている。下側加圧面302は上側加圧面301よりも中心軸線Pに沿うように寝ている。この加圧面30は、曲率中心RBを通る半径RAで規定された真円状の円弧凹状面で形成されている。
【0043】
(実施形態5)
図7は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には共通する構成および作用効果を有する。図7は、シリンダ室20の中心軸線Pを通過するように中心軸線Pに沿った断面を示す。図7に示すように、プランジャチップ3の加圧面30は、シリンダ室20の中心軸線Pよりも下方の基準線PTよりも上側に位置する上側加圧面301と、中心軸線Pよりも下方の基準線PTよりも下側に位置する下側加圧面302とを備えている。図7において、上側加圧面301は下側加圧面302よりも軸直角線Kに沿っている。下側加圧面302は上側加圧面301よりも中心軸線Pに沿うように寝ており、楕円状または真円状の円弧凹状面で形成されている。
【0044】
(実施形態6)
図8は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には共通する構成および作用効果を有する。図8は、シリンダ室20の中心軸線Pを通過するように中心軸線Pに沿った断面を示す。図8に示すように、プランジャチップ3の加圧面30は、シリンダ室20の中心軸線Pよりも上方の基準線PTよりも上側に位置する上側加圧面301と、中心軸線Pよりも上方の基準線PTよりも下側に位置する下側加圧面302とを備えている。図8において、上側加圧面301は下側加圧面302よりも軸直角線Kに沿っている。下側加圧面302は上側加圧面301よりも中心軸線Pに沿うように寝ており、楕円状または真円状の円弧凹状面で形成されている。
【0045】
(シミュレータ)
シミュレータは、熱流体解析ソフトウェア(Flow-Science社製のFlow-3D)を用いて行った。このシミュレータは、非圧縮性流れから自由曲面を伴う流れ、圧縮性を考慮した流れ、更には凝固を伴う流れまで広範囲の流れを扱うことが可能な差分法を用いた3次元流体計算プログラムである。
【0046】
シミュレータにおいてガスの巻き込みを最小化させるシミュレーションを行った。図9は、シミュレーションにおいて用いられたプランジャチップ3(直径:75ミリメートル)の加圧面30を示す。図9において、溶湯4の加圧方向をy方向とする。加圧方向に対して垂直な方向をz方向とする。この場合、プランジャチップ3の加圧面30は、直線的ではなく、湾曲性を有する関数として、すなわち、式(1)で示される二次関数として表される。
【0047】
【数1】

ここで、二次関数の始点となる頂点qと終点rが未知数となる。溶湯へのガスの巻き込みを無くすようにシミュレーションしたところ、qについては、0<q≦0.075メートル=75ミリメートルとなり、rについては、0<r≦0.025メートル=25ミリメートルとなった。従って、試験例としては、加圧面に関するqについてはq=0.069メートル≒69ミリメートルに設定し、加圧面に関するrについては、r=0.0243メートル≒24ミリメートルに設定した。この場合、数値計算上では、溶湯4へのガス巻き込み量は0となった。
【0048】
(実機による試験)
上記したように加圧面に関するqについてはq=0.069メートル=69ミリメートルに設定し、加圧面に関するrについては、r=0.0243メートル≒24ミリメートルに設定したプランジャチップ3(直径:75ミリメートル)を実際に作製した。そして、そのプランジャチップ3を実機のシリンダ装置1(宇部テクノエンジ製コールドチャンバダイカストマシン,NX500C)に組み付けた。上記したシリンダ装置1を用い、湯温873〜893Kのアルミニウム合金(ADC12)の溶湯4を金型のキャビティ内に実際に射出成形した。この場合、金型が347〜423Kに暖められた状態で射出成形し、10個の試験片を作成した。ここで、溶湯の射出重量を1.2kgとし、射出圧を70MPaとした。更に射出速度を高速(2.0m・s−1)、中速(0.5m・s−1)、低速(0.27m・s−1)の3条件とした。そして、各試験片をこれらの融点付近まで加熱させるブリスタ試験を実施し、試験片の内部のガス欠陥を調べた。ブリスタ試験では、ガス欠陥が含まれていると、膨張するため試験者の肉眼で視認できる。比較例として、図11(A)および図11(B)に示すプランジャチップと、図12(A)および図12(B)に示すプランジャチップとを用い、同様に試験した。試験結果としては、本発明に相当するプランジャチップ3では、比較例に係るプランジャチップに比較して、ガスの巻き込みが極めて少なかった。
【0049】
なお上記したデータに限定されず、プランジャチップ3の径が0.075メートル=75ミリメートルの場合には、例えば、qについてはq=40〜74ミリメートル、45〜72ミリメートルに設定できる。rについては、r=12〜40ミリメートル、15〜30ミリメートルに設定できる。
【0050】
換言すると、プランジャチップ3の径がDミリメートルの場合には、例えば、qについてはq=(0.53〜0.99)×Dミリメートル、(0.60〜0.96)×Dミリメートルに設定できる。rについては、r=(0.16〜0.53)×Dミリメートル、(0.20〜0.40)×Dミリメートルに設定できる。但し、これらに限定されるものではない。
【0051】
上記したように実機による評価としては、アルミニウム合金の溶湯を用いているが、これに限らず、アルミニウム、マグネシウム、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金、銅、銅合金の溶湯を用いても良い。
【0052】
(実施形態7)
図10は実施形態7を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には共通する構成および作用効果を有する。図10は、シリンダ室20の中心軸線Pを通過するように中心軸線Pに沿った断面を示す。図10に示すように、プランジャチップ3は加圧面30を先端部に有する。プランジャチップ3は、シリンダ2のシリンダ室20に前進後退可能に設けられている。図10において、シリンダ室20の中心軸線Pに対して直角な仮想線を軸直角線Kとする。シリンダ室20の中心軸線Pと上下方向に平行な仮想線を基準線PTとする。本実施形態によれば、便宜上、基準線PTはシリンダ室20の中心軸線Pと仮定する。
【0053】
図10に示すように、プランジャチップ3の加圧面30は、中心軸線P(基準線PT)よりも上側に位置する上側加圧面301と、中心軸線P(基準線PT)よりも下側に位置する下側加圧面302とを備えている。プランジャチップ3の加圧面30のうち下側加圧面302は、上側加圧面301よりも加圧方向(矢印Y1方向)に向けて前進するように傾斜している。従って下側加圧面302は、上側加圧面301よりも中心軸線Pに沿っている向きとされている。但し、下側加圧面302の先端部には、円弧凸状面で形成された丸み部304を有する。これにより下側加圧面302の先端部の耐久性が確保されている。これに対して、プランジャチップ3の上側加圧面301は、下側加圧面302よりも軸直角線Kに沿った向きとされている。このような本実施形態によれば、図1に示す場合と同様に、図10に示すように、プランジャチップ3の加圧面30は、プランジャチップ3側に凹み3cを形成するように凹み円弧状とされている。
【0054】
(その他)上記した実施形態によれば、金属系流動材料として溶湯4が採用されているが、これに限らず、金属固相および金属液相が共存する金属系流動材料を用いても良い。本発明は上記した各実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は例えば金属溶湯などの金属系流動材料を射圧成形等の加圧成形をさせる場合に適用できる。例えばダイカスト、低圧鋳造、溶湯鍛造、レオキャスト法等の分野に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施形態1に係り、シリンダ装置のプランジャチップ付近の縦断面図である。
【図2(A)】シリンダ装置のプランジャチップを前進させる直前の状態を示す縦断面図である。
【図2(B)】シリンダ装置のプランジャチップを前進させた直後の状態を示す縦断面図である。
【図3(A)】シリンダ装置のプランジャチップを前進させる直前の状態を示す横断面図である。
【図3(B)】シリンダ装置のプランジャチップを前進させた直後の状態を示す横断面図である。
【図4】実施形態2に係り、シリンダ装置のプランジャチップ付近の縦断面図である。
【図5】実施形態3に係り、シリンダ装置のプランジャチップ付近の縦断面図である。
【図6】実施形態4に係り、シリンダ装置のプランジャチップ付近の縦断面図である。
【図7】実施形態5に係り、シリンダ装置のプランジャチップ付近の縦断面図である。
【図8】実施形態6に係り、シリンダ装置のプランジャチップ付近の縦断面図である。
【図9】シミュレーションに係り、プランジャチップの加圧面付近の縦断面図である。
【図10】シリンダ装置のプランジャチップ付近の縦断面図である。
【図11(A)】従来技術に係り、シリンダ装置のプランジャチップを前進させる直前の状態を示す縦断面図である。
【図11(B)】同シリンダ装置のプランジャチップを前進させた直後の状態を示す縦断面図である。
【図12(A)】他の従来技術に係り、シリンダ装置のプランジャチップを前進させる直前の状態を示す縦断面図である。
【図12(B)】同シリンダ装置のプランジャチップを前進させた直後の状態を示す縦断面図である。
【図13(A)】他の従来技術に係り、シリンダ装置のプランジャチップを前進させる直前の状態を示す横断面図である。
【図13(B)】同シリンダ装置のプランジャチップを前進させた直後の状態を示す横断面図である。
【図13(C)】波打ち現象を説明するための原理図である。
【符号の説明】
【0057】
1はシリンダ装置、Pは中心軸線、Kは軸直角線、2はシリンダ、20はシリンダ室、22は内周壁面、3はプランジャチップ、30は加圧面、301は上側加圧面、302は下側加圧面、4は溶湯(金属系流動材料)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面で円形状をなし且つ中心軸線が横方向に沿って延びるシリンダ室を形成する内周壁面を有するシリンダと、
前記シリンダの前記シリンダ室に前進後退可能に設けられ前記シリンダ室内に存在する溶融相を有する金属系流動材料を前進に伴い加圧する加圧面を先端部に有するプランジャチップとを具備しており、
前記シリンダ室の前記中心軸線を通過するように前記中心軸線に沿った断面において、前記シリンダ室の前記中心軸線に対して直角な仮想線を軸直角線とし、前記中心軸線または前記中心軸線と上下方向に平行な仮想線を基準線とするとき、
前記加圧面は、前記基準線よりも上側に位置する上側加圧面と、前記基準線よりも下側に位置する下側加圧面とを備えており、
前記プランジャチップの前記下側加圧面は、前記上側加圧面よりも加圧方向に向けて前進するように傾斜しており、且つ、
前記プランジャチップの前記上側加圧面は前記下側加圧面よりも前記軸直角線に沿っていることを特徴とする金属成形用シリンダ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記シリンダ室の前記中心軸線を通過するように前記中心軸線に沿った断面において、前記プランジャチップの前記加圧面は、前記プランジャチップ側に凹みを形成するように凹み円弧状とされている金属成形用シリンダ装置。
【請求項3】
断面で円形状をなし且つ中心軸線が横方向に沿って延びるシリンダ室を形成する内周壁面を有するシリンダと、
前記シリンダの前記シリンダ室に前進後退可能に設けられ前記シリンダ室内に存在する溶融相を有する金属系流動材料を前進に伴い加圧する加圧面を先端部に有するプランジャチップとを具備しており、
前記プランジャチップの前記中心軸線を通過するように前記中心軸線に沿った断面において、
前記プランジャチップの前記加圧面は、これの下部がこれの上部よりも加圧方向に向けて前進するように傾斜しており、且つ、前記プランジャチップの前記加圧面は、前記プランジャチップ側に凹みを形成するように凹み円弧状とされている金属成形用シリンダ装置。
【請求項4】
断面で円形状をなし且つ中心軸線が横方向に沿って延びるシリンダ室に前進後退可能に設けられ、前記シリンダ室内に存在する溶融相を有する金属系流動材料を前進に伴い加圧する加圧面を先端部に有するプランジャチップであって、
前記シリンダ室の前記中心軸線を通過するように前記中心軸線に沿った断面において、前記シリンダ室の前記中心軸線に対して直角な仮想線を軸直角線とし、前記中心軸線または前記中心軸線と上下方向に平行な仮想線を基準線とするとき、
前記加圧面は、前記基準線よりも上側に位置する上側加圧面と、前記基準線よりも下側に位置する下側加圧面とを備えており、
前記プランジャチップの前記下側加圧面は前記上側加圧面よりも加圧方向に向けて前進するように傾斜しており、且つ、前記プランジャチップの前記上側加圧面は前記下側加圧面よりも前記軸直角線に沿っていることを特徴とする金属成形用プランジャチップ。
【請求項5】
断面で円形状をなし且つ中心軸線が横方向に沿って延びるシリンダ室に前進後退可能に設けられ、前記シリンダ室内に存在する溶融相を有する金属系流動材料を前進に伴い加圧する加圧面を先端部に有するプランジャチップであって、
前記シリンダ室の前記中心軸線を通過するように前記中心軸線に沿った断面において、
前記プランジャチップの前記加圧面は、これの下部がこれの上部よりも加圧方向に向けて前進するように傾斜しており、且つ、前記プランジャチップの前記加圧面は、前記プランジャチップ側に凹みを形成するように凹み円弧状とされている金属成形用プランジャチップ。

【図1】
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【図2(A)】
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【図2(B)】
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【図3(A)】
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【図3(B)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11(A)】
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【図11(B)】
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【図12(A)】
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【図12(B)】
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【図13(A)】
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【図13(B)】
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【図13(C)】
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【公開番号】特開2009−255154(P2009−255154A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109963(P2008−109963)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【出願人】(304019399)国立大学法人岐阜大学 (289)