説明

金属板の接合方法

【課題】安価で簡便な金属板の接合方法を提供する。
【解決手段】接合すべき2枚の金属板1,2の端面を、予め噛み合わせ可能な形状に加工しておき、2枚の金属板の端面を対向させ、前記金属板を板面に平行に移動させて接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板の接合方法、特に、特別な装置を必要とせず、安価で簡便な金属板の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や家電の部品には、鋼板などの金属板同士を、そのままあるいはプレス加工後接合して製造されるものがある。一般的には、こうした接合は、スポット溶接やシーム溶接などの溶接法、ボルトを用いた締結法、カシメなどのメカニカル接合法で行われるが、溶接法やボルトを用いた締結法は、特別な装置や新たな部品を必要とし、カシメなどのメカニカル接合法に比べてコスト高である。
【0003】
安価なメカニカル接合法としては、例えば、特許文献1に、接合すべき2枚の金属板の端面に山部と谷部を設け、互いの山部と谷部を噛み合わせた後、山部を板面に垂直な方向から押圧して、山部の周縁部を突出させて谷部と垂直方向に重合させてカシメ構造で行う金属板の接合方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-80329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の金属板の接合方法では、板面に垂直な方向から押圧して山部の周縁部に突出部を設ける工程が必要であり、必ずしも安価で簡便な金属板の接合方法とはいえない。
【0006】
本発明は、安価で簡便な金属板の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、金属板の端面を、予め噛み合わせ可能な形状に加工しておき、金属板を板面に平行に移動させて接合することが効果的であることを見出した。
【0008】
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、接合すべき2枚の金属板の端面を、予め噛み合わせ可能な形状に加工しておき、前記2枚の金属板の端面を対向させ、前記金属板を板面に平行に移動させて接合することを特徴とする金属板の接合方法を提供する。
【0009】
本発明である金属板の接合方法では、予め噛み合わせ可能な形状に加工した部位に、スリットを設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、安価で簡便な金属板の接合方法を提供できるようになった。本発明の接合方法では、金属板を板面に平行に移動させるだけでよいので、プレス加工工程内でも接合が可能であり、また、仮止めのような接合を行った後に接合を解くことも容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明である金属板の接合方法の一例を模式的に示す図である。
【図2】本発明である金属板の接合方法の一適用例を模式的に示す図である。
【図3】本発明である金属板の接合方法の別の適用例を模式的に示す図である。
【図4】本発明である金属板の接合方法を実施するための金属板端部の噛み合わせ形状の一例を示す図である。
【図5】本発明である金属板の接合方法を実施するための金属板端部の噛み合わせ形状の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、本発明である金属板の接合方法の一例を模式的に示す。接合すべき2枚の金属板として鋼板1、2を用い、鋼板1、2の端面を、(a)に示すように、予め噛み合わせ可能な形状に加工して対向させ、(b)に示すように、鋼板板面に平行に移動させれば、(c)に示すように、鋼板1、2を接合することができる。このとき、鋼板板面に平行に移動させるだけで予め噛み合わせ可能な形状の部位を接合するだけなので、図2に示すような突合せのための簡易な装置による接合や、図3に示すようなプレス加工金型内での接合が可能である。また、接合はメカニカルに行われるため、十分な接合強度が確保されるとともに、接合を解くことも容易に行える。
【0013】
図4に、本発明である金属板の接合方法を実施するための金属板端部の噛み合わせ形状の別の例を示す。この場合、噛み合わせ部の角度θを変えることで、接合強度を任意にコントロール可能である。また、噛み合わせ先端部の長さaを噛み合わせ根元部の長さb以下に短くしておくと、噛み合わせ部が容易に噛み合うことができてよい。
【0014】
また、鋼板1、2の端面の形状は、より低荷重で接合可能な形状にすることが好ましいが、それには、図5に示すように、噛み合わせ先端部の長さaが噛み合わせ根元部の長さb以上である場合などにおいて、予め噛み合わせ可能な形状に加工した部位の近傍にスリットを設けることが効果的である。これは、一般的に金属の弾性係数は高いが、スリットを設けることで接合部の剛性を低下できて容易に噛み合わせが可能になるためである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合すべき2枚の金属板の端面を、予め噛み合わせ可能な形状に加工しておき、前記2枚の金属板の端面を対向させ、前記金属板を板面に平行に移動させて接合することを特徴とする金属板の接合方法。
【請求項2】
予め噛み合わせ可能な形状に加工した部位に、スリットを設けることを特徴とする請求項1に記載の金属板の接合方法。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−43187(P2013−43187A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181188(P2011−181188)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)