説明

金属構造物間の接合方法

【課題】大径の構造物間の良好な摩擦圧接接合を行うことができる金属構造物間の接合方法を提供する。
【解決手段】実施形態の金属構造物間の接合方法は、タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20を同軸上に保持する工程と、タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20の接合部11、21のうち、少なくともいずれか一方の接合部11、21を非接触加熱する工程とを備える。さらに、加熱された接合部11、21が所定の温度に達した後、タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20の接合部11、21の接合端面13、23どうしを突き合わせ、軸方向に加圧しながら、タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20のうちのいずれか一方を回転させて、タービンロータ構造物10とタービンロータ構造物20とを摩擦接合する工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、金属構造物間の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型の金属構造物であるタービンロータ構造物は、主としてアーク溶接によって接合されている。特に、タービンロータのような高温の雰囲気において高速で回転する構造物においては、変形、残留応力、溶接欠陥などに留意しなければならない。
【0003】
また、回転体構造物間を接合する方法として、摩擦圧接法が適用されている。この摩擦圧接法が適用される回転体構造物としては、直径が100mm程度までの比較的小径の丸棒や中空棒である。摩擦圧接接合では、一方の構造物を回転させ、他方の構造物を固定し、双方の構造物を接触させて擦り合わせ、発生した摩擦熱により接合を行う。この接合方法は、異材からなる構造物間の接合にも適しており、変形や残留応力が小さく、製造欠陥も少ないという特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−53557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した摩擦圧接接合では、摩擦熱を発生させるために接合装置には相当の回転トルクが必要であり、接合に必要な熱量を摩擦熱により得る必要がある。また、接合面の中心部と外径部、中空部材においては内径部と外径部の相対速度差により、摩擦熱の発生が不均質となることがある。
【0006】
これらの理由から、摩擦圧接接合は、小径(直径が100mm程度まで)の構造物の接合には適しているが、直径が100mmを超える大径の構造物の接合に対しては、装置トルク、接合部の均質性、熱容量などの観点から、摩擦圧接接合を適用することは困難であった。例えば、大型の金属構造物であるタービンロータ構造物の接合に摩擦圧接接合を適用した場合、接合装置に要求される回転トルクが増大し、接合部において接合に必要な十分な摩擦熱が得られないなどの問題が生じる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、大径の構造物間の良好な摩擦圧接接合を行うことができる金属構造物間の接合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の金属構造物間の接合方法では、第1の構造物と第2の構造物とを摩擦圧接によって接合する。この金属構造物間の接合方法では、前記第1の構造物および前記第2の構造物を同軸上に保持する工程と、前記第1の構造物および前記第2の構造物の接合部のうち、少なくともいずれか一方の接合部を非接触加熱する工程とを備える。さらに、加熱された接合部が所定の温度に達した後、前記第1の構造物および前記第2の構造物の接合部の接合端面どうしを突き合わせ、軸方向に加圧しながら、前記第1の構造物および前記第2の構造物のうちのいずれか一方を回転させて、前記第1の構造物と前記第2の構造物とを摩擦接合する工程を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法を説明するための図である。
【図2】本発明に係る第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法によって接合される構造物の中心軸を含む断面を示した図である。
【図3】本発明に係る第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法の工程を説明するための流れ図である。
【図4】本発明に係る第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法の工程を説明するための図であり、タービンロータ構造物が保持された状態の側面図である。
【図5】本発明に係る第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法の接合工程を説明するための、構造物の中心軸を含む断面を示した図である。
【図6】本発明に係る第2の実施の形態の金属構造物間の接合方法によって接合される構造物の中心軸を含む断面を示した図である。
【図7】本発明に係る第2の実施の形態の金属構造物間の接合方法によって接合される構造物の接合部に設けられる加熱手段の他の構成を説明するための、構造物の斜視図である。
【図8】本発明に係る第3の実施の形態の金属構造物間の接合方法によって接合される構造物の中心軸を含む断面を示した図である。
【図9】本発明に係る第4の実施の形態の金属構造物間の接合方法によって接合される構造物の中心軸を含む断面を示した図である。
【図10】本発明に係る第5の実施の形態の金属構造物間の接合方法の工程を説明するための図であり、タービンロータ構造物が保持された状態の側面図である。
【図11】本発明に係る第5の実施の形態の金属構造物間の接合方法によって接合される構造物の中心軸を含む断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法を説明するための図である。図2は、本発明に係る第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法によって接合される構造物の中心軸を含む断面を示した図である。また、以下に示す実施の形態において、同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
【0012】
ここでは、構造物としてタービンロータ構造物10、20を例示して説明する。なお、タービンロータ構造物10は、第1の構造物として、タービンロータ構造物20は、第2の構造物として機能する。タービンロータ構造物10の接合部11と、タービンロータ構造物20の接合部21とを、第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法で接合することで、タービンロータを構成することができる。
【0013】
タービンロータ構造物10、20は、例えば、外径が500〜700mmの円筒形の金属材料で構成される。金属材料としては、例えば、CrMoV鋼、高Cr鋼、Ni基合金などが使用される。また、タービンロータ構造物10と、タービンロータ構造物20とは、同じ材料で構成されていてもよいし、異種材料で構成されていてもよい。
【0014】
図2に示すように、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21は、上記した円筒形の金属材料の中央に、例えば外径が200〜400mmの円柱状の溝部12、22を形成することで構成される。なお、タービンロータ構造物10、20の外径および溝部12、22の外径は、上記した範囲に限られるものではない。第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法は、例えば、直径が100mmを超える大径の構造物間の接合に好適である。
【0015】
図2に示された、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21の接合端面13、23は、タービンロータ軸方向に対して垂直な平面で構成されている。換言すれば、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21の接合端面13、23と、タービンロータ構造物10、20の自由縁14、24とのなす角が90度に形成されている。
【0016】
タービンロータ構造物10、20の接合部11、21の周囲には、接合部11、21の外側面と所定の間隔をあけて、接合部11、21を非接触で加熱する加熱手段15、25が設けられている。この加熱手段15、25は、例えば、高周波誘導加熱用のコイルなどによって構成される。このコイルに流す高周波電流を調整することで、接合部11、21の温度をそれぞれ調整することができる。この加熱手段15、25は、接合部11、21の外側面と所定の間隔を維持しながら接合部11、21の外側面に沿って移動可能に設けられてもよい。
【0017】
なお、加熱手段15、25は、高周波誘導加熱に限られるものではなく、接合部11、21を非接触で加熱する方法であればよい。例えば、加熱手段15、25として、レーザ光を接合部11、21に照射する構成を備えてもよい。
【0018】
ここでは、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21の双方の周囲に、加熱手段15、25を設けた一例を示したが、加熱手段15、25は、タービンロータ構造物10の接合部11、およびタービンロータ構造物20の接合部21の、少なくともいずれか一方の周囲に設けられていればよい。例えば、タービンロータ構造物10がタービンロータ構造物20よりも融点の高い材料で構成された場合、摩擦圧接の際、タービンロータ構造物10の接合部11の接合端面13が摩擦熱により軟化するためには、タービンロータ構造物20よりも熱量が必要となる。そのため、少なくとも、タービンロータ構造物10の接合部11の周囲に加熱手段を備えることが好ましい。
【0019】
次に、金属構造物間の接合工程について説明する。
【0020】
図3は、本発明に係る第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法の工程を説明するための流れ図である。図4は、本発明に係る第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法の工程を説明するための図であり、タービンロータ構造物10、20が保持された状態の側面図である。図5は、本発明に係る第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法の接合工程を説明するための、構造物の中心軸を含む断面を示した図である。
【0021】
まず、タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20を同軸上に保持する(構造物保持工程(ステップS30))。タービンロータ構造物10の、接合部11とは異なる側の他端部は、固定部材(図示しない)によってチャッキングされ、タービンロータ構造物10は、回転しないように固定されている。一方、タービンロータ構造物20の、接合部21とは異なる側の他端部は、回転可能な固定部材(図示しない)によってチャッキングされ、タービンロータ構造物20は、回転可能に固定されている。
【0022】
ここで、図4に示すように、タービンロータ構造物10の接合部11と他端部との間に、軸受40を備えることが好ましい。また、タービンロータ構造物20の接合部21と他端部との間に、軸受41を備えることが好ましい。軸受40、41は、例えば、転がり軸受やすべり軸受などで構成される。このように、回転するタービンロータ構造物20に軸受41を備えることで、自重による撓みや、回転時の回転振動を抑制することができる。一方、静止側のタービンロータ構造物10においては、軸受40を備えることで、自重による撓みを抑制することができる。これらによって、タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20を同軸上に保持した状態で接合することができる。
【0023】
続いて、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21を非接触で加熱する(加熱工程(ステップS31))。ここで、タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20が同じ材料で構成されている場合には、加熱手段15、25によって同じ条件で加熱される。タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20が異種材料で構成され、例えば、タービンロータ構造物10を構成する材料の方が融点が高い場合には、加熱手段15と加熱手段25とをそれぞれ異なる条件で作動して、タービンロータ構造物10を積極的に加熱するように調整する。なお、この場合、タービンロータ構造物20の接合部21の周囲に加熱手段25を設けない構成とすることもできる。
【0024】
また、タービンロータ構造物10、20の材料、タービンロータ構造物10、20の形状(接合端面13、23の面積、タービンロータ構造物10、20の寸法など)、タービンロータ構造物20を回転する速度、接合する際の、タービンロータ構造物10とタービンロータ構造物20との押し付け圧力などに基づいて、予め数値計算などによって、例えば、加熱手段15、25への入力(加熱手段15、25が高周波誘導加熱用のコイルで構成される場合にはコイルに流す高周波電流)と接合部11、21の温度との関係など算出しておく。そして、その算出されたデータベースに基づいて、加熱手段15、25への入力や加熱時間などを設定して、接合部11、21を所定の温度まで加熱する。ここで、所定の温度とは、適正な摩擦圧接接合を行うために、摩擦熱だけでは不十分な熱量を供給可能な温度である。
【0025】
なお、加熱手段15、25に、制御部および上記データベースを記憶する記憶部を備え、制御部が、記憶部に記憶されたデータベースに基づいて、加熱手段15、25への入力や加熱時間などの設定、および制御をするように構成してもよい。
【0026】
続いて、加熱された接合部11、21が、上記した所定の温度に達した後、タービンロータ構造物10の接合部11の接合端面13と、タービンロータ構造物20の接合部21の接合端面23とを突き合わせる。そして、図5に示すように、軸方向の加圧を加えながら、タービンロータ構造物20を回転させて、タービンロータ構造物10とタービンロータ構造物20とを摩擦圧接によって接合する(接合工程(ステップS32))。
【0027】
ここで、接合工程において、タービンロータ構造物10の接合部11とタービンロータ構造物20の接合部21との接合は、不活性ガス雰囲気において行われることが好ましい。そのため、不活性ガスが充填された不活性ガス槽50を設け、接合工程において、図1に示すように、この不活性ガス槽50内に、少なくとも双方の接合部11、21が位置するように構成することが好ましい。なお、構造物保持工程(ステップS30)または加熱工程(ステップS31)において、双方の接合部11、21を不活性ガス槽50内に位置させてもよい。不活性ガスとしては、例えばアルゴン(Ar)などを使用することができる。このように、不活性ガス雰囲気において接合することで、接合中における接合部11、21の酸化を防止することができる。
【0028】
なお、ここでは、タービンロータ構造物20を回転させて摩擦圧接接合を行う一例を示したが、タービンロータ構造物10を回転させて摩擦圧接接合してもよい。
【0029】
第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法によれば、加熱手段15、25を備えて、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21を非接触で加熱することで、摩擦圧接による接合の際、大型の構造物においても、接合端面の温度を融点近くまで容易に昇温させることができる。これにより、接合に必要な熱量が得られ、良好な摩擦圧接接合を行うことができるとともに、タービンロータ構造物20を回転させる回転装置の回転トルクを低減することができる。また、タービンロータ構造物10、20のそれぞれの接合部11、21の温度を調整することにより、融点の異なる異種材料であっても、良好な摩擦圧接接合を行うことができる。
【0030】
(第2の実施の形態)
本発明に係る第2の実施の形態の金属構造物間の接合方法では、タービンロータ構造物10と、タービンロータ構造物20とが異種材料で構成され、タービンロータ構造物10を構成する材料の融点がタービンロータ構造物20を構成する材料の融点よりも高い場合について説明する。
【0031】
また、第2の実施の形態の金属構造物間の接合方法では、タービンロータ構造物10の接合部11の形状が異なる以外は、基本的に、第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法における構成と同じである。
【0032】
図6は、本発明に係る第2の実施の形態の金属構造物間の接合方法によって接合される構造物の中心軸を含む断面を示した図である。図7は、本発明に係る第2の実施の形態の金属構造物間の接合方法によって接合される構造物の接合部に設けられる加熱手段の他の構成を説明するための、構造物の斜視図である。
【0033】
図6に示すように、タービンロータ構造物20を構成する材料の融点よりも高い融点を有する材料で構成されたタービンロータ構造物10の接合部11の外側面13aは、先端に行くに伴って、自由縁14側から中心側に向かって徐々に傾斜する傾斜面で構成されている。
【0034】
また、タービンロータ構造物10の接合部11の周囲には、接合部11の外側面13aに沿って、接合部11、21の外側面13aと所定の間隔をあけて、加熱手段15が設けられている。なお、タービンロータ構造物20の接合部21の周囲には、第1の実施の形態と同様に、加熱手段25が設けられている。
【0035】
また、加熱手段15を、例えば、高周波誘導加熱用のコイルで構成する場合、加熱手段15は、図7に示すように、タービンロータ構造物10の接合部11の周方向に、接合部11の外側面13aと所定の間隔をあけて、複数配置されてもよい。さらに、コイルが、接合部11の外側面13aと所定の間隔を維持しながら、接合部11の外側面13aに沿って移動可能に設けられてもよい。加熱手段15をこのような構成にすることで、接合部11が摩擦圧接により変形し、外側面13aの長さが短くなったときでも、外側面13aの長さの変化に追従して加熱手段15を移動することができる。そのため、摩擦圧接による接合工程の間、加熱手段15により接合部21を加熱することができる。なお、タービンロータ構造物20を構成する材料は、タービンロータ構造物10を構成する材料よりも融点が低くいため、加熱手段25を省略することもできる。
【0036】
なお、金属構造物間の接合工程については、第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法と同じである。また、ここでは、タービンロータ構造物20を回転させて摩擦圧接接合を行う一例を示したが、タービンロータ構造物10を回転させて摩擦圧接接合してもよい。
【0037】
第2の実施の形態の金属構造物間の接合方法によれば、タービンロータ構造物10と、タービンロータ構造物20とが異種材料で構成される場合に、材料の融点が高いタービンロータ構造物10の接合部11の外側面13aを傾斜面で構成することで、接合部11の熱容量を削減することができる。そのため、加熱手段15によって、摩擦圧接による接合の際、大型の構造物においても、接合部11の接合端面13の温度を融点近くまで容易に昇温させることができる。これにより、接合に必要な熱量が得られ、良好な摩擦圧接接合を行うことができるとともに、タービンロータ構造物20を回転させる回転装置の回転トルクを低減することができる。また、タービンロータ構造物10、20のそれぞれの接合部11、21の温度を調整することにより、融点の異なる異種材料であっても、良好な摩擦圧接接合を行うことができる。
【0038】
(第3の実施の形態)
一般に、摩擦圧接接合において、構造物の接合端面どうしが接触した際、接合端面の面内径側と接合端面の外径側とでは、接合端面の速度が異なり、接合端面の外径側の方が接合端面の内径側よりも速度が大きくなる。そのため、接合端面の外径側は、接合端面の内径側よりも高温になる。さらに、接合端面の外径側と内径側の温度差から生ずる線膨張差により、接合初期過程において外径側の押し付け圧力が高まり、内径側との押し付け圧力が不均一になることがある。接合端面の外径側と内径側との速度差は、構造物が大型となるほど顕著になる。そのため、構造物が大型となるほど、接合端面の押し付け圧力が不均一となり、接合端面の外径側と内径側との接合不均質が生ずる。
【0039】
そこで、本発明に係る第3の実施の形態の金属構造物間の接合方法では、摩擦圧接接合の際、接合端面の押し付け圧力が不均一となることを抑制する接合方法を示す。
【0040】
図8は、本発明に係る第3の実施の形態の金属構造物間の接合方法によって接合される構造物の中心軸を含む断面を示した図である。
【0041】
図8に示すように、タービンロータ構造物10の接合部11の接合端面13と、自由縁14とのなす角αが、タービンロータ構造物20の接合部21の接合端面23と、自由縁24とのなす角βよりも大きく構成されている。また、角αおよび角βは90度以上に設定され、ここでは、角βを90度としている。
【0042】
また、接合初期過程において、内径側が接触し、徐々に外径側に向かって接触部分が増え、全面が接触するまでの接触面での面圧の分布の差を小さくするために、角αおよび角βを90〜95度程度の範囲に設定することが好ましい。なお、これらの角度αおよび角βは、接合端面13、23の半径方向の厚さや温度条件に応じて、この範囲内で適宜設定される。
【0043】
このように接合端面13、23を構成することで、タービンロータ構造物10の接合端面13と、タービンロータ構造物20の接合端面23とを突き合わせたとき、接合端面13と接合端面23との間に、外径側に向かって軸方向の幅が広がる隙間が周方向に形成される。
【0044】
なお、図8には、角αが角βよりも大きくなる構成を示しているが、角βが角αよりも大きくなるように構成してもよい。この場合、角βは、上記した角αの範囲で、角αは、上記した角βの範囲で設定される。
【0045】
すなわち、上記した、接合端面13と接合端面23との間に、外径側に向かって軸方向の幅が広がる隙間が周方向に形成されるように、それぞれの接合端面13、23が形成されていればよい。したがって、タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20の接合部11、21の接合端面13、23のうち、いずれか一方の接合部の接合端面と、自由縁とのなす角が、他方の接合部の接合端面と、自由縁とのなす角よりも大きく、かつそれぞれの角度が90度以上に構成されていればよい。
【0046】
また、上記した構成は、タービンロータ構造物10を構成する材料とタービンロータ構造物20を構成する材料とが同じであっても、異なっていても適用することができる。
【0047】
なお、金属構造物間の接合工程については、第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法と同じである。
【0048】
第3の実施の形態の金属構造物間の接合方法によれば、接合端面13と接合端面23との間に、外径側に向かって軸方向の幅が広がる隙間を周方向に形成することで、接合端面13、23の外径側と内径側の温度差から生ずる線膨張差を吸収することができる。これにより、接合初期過程において、接合端面13、23の押し付け圧力を均一にすることができる。さらに、加熱手段15、25を調整することで、接合端面13、23の外径側の線膨張を制御することができる。
【0049】
(第4の実施の形態)
本発明に係る第4の実施の形態の金属構造物間の接合方法は、前述した第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法に、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21の温度を調整する機構を設けたものである。ここでは、主にこの異なる構成について説明する。
【0050】
図9は、本発明に係る第4の実施の形態の金属構造物間の接合方法によって接合される構造物の中心軸を含む断面を示した図である。
【0051】
図9に示すように、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21に冷却ガスを噴出する冷却ガス噴出手段60を備えている。前述したように、摩擦圧接接合は、不活性ガスが充填された不活性ガス槽50内で行われるため、冷却ガス噴出手段60から噴出される冷却ガスは、Arなどの不活性ガスとすることが好ましい。
【0052】
また、タービンロータ構造物10、20の材料、タービンロータ構造物10、20の形状(接合端面13、23の面積、タービンロータ構造物10、20の寸法など)、タービンロータ構造物20を回転する速度、接合する際の、タービンロータ構造物10とタービンロータ構造物20との押し付け圧力、加熱手段15、25によって加熱される温度、接合工程経過時間、冷却ガスの温度などに基づいて、予め数値計算などによって、冷却ガスを噴出するタイミング、噴出時間、噴出流量などを算出しておく。そして、その算出されたデータベースに基づいて、冷却ガスを噴出するタイミング、噴出時間、噴出流量など設定して、接合部11、21の温度調整を行う。また、タービンロータ構造物10の接合部11側に設けられた冷却ガス噴出手段60と、タービンロータ構造物20の接合部21側に設けられた冷却ガス噴出手段60とは、それぞれ異なる条件で作動させることができる。
【0053】
なお、冷却ガス噴出手段60に、制御部および上記データベースを記憶する記憶部を備え、制御部が、記憶部に記憶されたデータベースに基づいて、冷却ガスを噴出するタイミング、噴出時間、噴出流量などの設定や制御を行うように構成してもよい。
【0054】
なお、金属構造物間の接合工程については、第1の実施の形態の金属構造物間の接合方法と同じであり、接合工程の際、冷却ガス噴出手段60を作動させる。冷却ガス噴出手段60によって、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21の外周面に冷却ガスを噴出することで、摩擦圧接接合の際、高温となる接合端面の外径側が主に冷却される。
【0055】
第4の実施の形態の金属構造物間の接合方法によれば、冷却ガス噴出手段60を備えることで、摩擦圧接接合の際、高温となる接合端面の外径側を主に冷却することができ、タービンロータ構造物10、20の接合端面13、23の外径側と内径側の温度差を小さくすることができる。これにより、接合初期過程において、接合端面13、23の押し付け圧力を均一にすることができる。さらに、加熱手段15、25を調整することで、接合端面13、23の外径側の線膨張を制御することができる。
【0056】
なお、第4の実施の形態の金属構造物間の接合方法に限らず、第2の実施の形態または第3の実施の形態の金属構造物間の接合方法においても、冷却ガス噴出手段60による温度調整を行うことができる。
【0057】
(第5の実施の形態)
図10は、本発明に係る第5の実施の形態の金属構造物間の接合方法の工程を説明するための図であり、タービンロータ構造物10、20が保持された状態の側面図である。図11は、本発明に係る第5の実施の形態の金属構造物間の接合方法によって接合される構造物の中心軸を含む断面を示した図である。
【0058】
図10に示すように、タービンロータ構造物10とタービンロータ構造物20との間には、中間構造物70が設けられ、タービンロータ構造物10、タービンロータ構造物20および中間構造物70は、同軸上に保持されている。また、タービンロータ構造物10、20の自重による撓みを抑制するために、図10に示すように、タービンロータ構造物10の接合部11と他端部との間に、軸受40を備え、タービンロータ構造物20の接合部21と他端部との間に、軸受41を備えることが好ましい。
【0059】
中間構造物70は、締め具であるクランプ治具80に保持されている。クランプ治具80は、動力源81からの動力により回転可能に設けられている。すなわち、動力源81を駆動することで、クランプ治具80に保持された中間構造物70は回転する。
【0060】
中間構造物70は、図11に示すように、外径がタービンロータ構造物10、20と同じである円筒形の金属材料で構成される。また、タービンロータ構造物10の接合部11およびタービンロータ構造物20の接合部21と接合される接合部71、72を備えている。中間構造物70の接合部71、72は、上記した円筒形の金属材料の中央に、円柱状の溝部73、74を形成することで構成される。また、溝部73、74の外径は、タービンロータ構造物10、20の溝部12、22の外径と同じである。
【0061】
図11に示された、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21の接合端面13、23は、タービンロータ軸方向に対して垂直な平面で構成されている。換言すれば、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21の接合端面13、23と、タービンロータ構造物10、20の自由縁14、24とのなす角が90度に形成されている。また、中間構造物70の接合部71、72の接合端面74、75は、タービンロータ軸方向に対して垂直な平面で構成されている。換言すれば、中間構造物70の接合部71、72の接合端面74、75と、中間構造物70の自由縁76とのなす角が90度に形成されている。
【0062】
中間構造物70を構成する金属材料としては、例えば、CrMoV鋼、高Cr鋼、Ni基合金などが使用される。ここで、タービンロータ構造物10と、タービンロータ構造物20とが同じ材料で構成されている場合には、中間構造物70も、タービンロータ構造物10、20を構成する金属材料と同じ金属材料で構成される。
【0063】
また、タービンロータ構造物10と、タービンロータ構造物20とが異種材料で構成されている場合には、中間構造物70は、タービンロータ構造物10、20を構成する金属材料のうち、融点の高い方の金属材料と同じか、または同程度の、融点、耐熱特性、機械的強度、線膨張係数、熱伝導率を有する金属材料で構成される。
【0064】
この場合、中間構造物70を、融点の高い方の金属材料と同じか、または同等の金属材料で構成することで、中間構造物70の接合部71とタービンロータ構造物10の接合部11との接合界面における強度を高い状態に維持することができる。換言すれば、中間構造物70の接合部72とタービンロータ構造物20の接合部21の接合界面のような、強度が低くなる部分を1箇所に削減することができる。
【0065】
タービンロータ構造物10の接合部11と中間構造物70の接合部71、およびタービンロータ構造物20の接合部21と中間構造物70の接合部72を、第5の実施の形態の金属構造物間の接合方法で接合することで、タービンロータを構成することができる。
【0066】
次に、金属構造物間の接合工程について説明する。
【0067】
金属構造物間の接合方法の工程は、図3に示された工程と同じであるので、図3を参照して、金属構造物間の接合工程について説明する。
【0068】
まず、中間構造物70を、タービンロータ構造物10とタービンロータ構造物20との間に設置し、中間構造物70、タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20を同軸上に保持する(構造物保持工程(ステップS30))。
【0069】
タービンロータ構造物10の、接合部11とは異なる側の他端部は、固定部材(図示しない)によってチャッキングされ、タービンロータ構造物10は、回転しないように固定されている。また、タービンロータ構造物20の、接合部21とは異なる側の他端部は、固定部材(図示しない)によってチャッキングされ、タービンロータ構造物20は、回転しないように固定されている。また、前述したように、中間構造物70は、回転可能なクランプ治具80に保持されている。
【0070】
続いて、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21を非接触で加熱する(加熱工程(ステップS31))。
【0071】
ここで、タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20が同じ材料で構成されている場合には、加熱手段15、25によって同じ条件で加熱される。この場合、中間構造物70も、タービンロータ構造物10、20と同じ材料で構成される。そのため、加熱手段15、25をタービンロータ構造物10、20の接合部11、21の周囲に設ける代わりに、中間構造物70の接合部71、72の周囲に設けてもよい。
【0072】
一方、タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20が異種材料で構成され、例えば、タービンロータ構造物10を構成する材料の方が融点が高い場合には、中間構造物70は、タービンロータ構造物10と同じか、または同等の金属材料で構成される。そのため、加熱手段25は、中間構造物70の接合部72の周囲に設けられることが好ましい。なお、図11には、タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20が同じ材料で構成されている場合の加熱手段15、25の配置位置を示している。
【0073】
また、タービンロータ構造物10、20や中間構造物70の材料、タービンロータ構造物10、20や中間構造物70の形状(接合端面13、23、74、75の面積、タービンロータ構造物10、20や中間構造物70の寸法など)、中間構造物70を回転する速度、接合する際の、タービンロータ構造物10と中間構造物70およびタービンロータ構造物20と中間構造物70の押し付け圧力などに基づいて、予め数値計算などによって、例えば、加熱手段15、25への入力(加熱手段15、25が高周波誘導加熱用のコイルで構成される場合にはコイルに流す高周波電流)と接合部11、21、71、72の温度との関係など算出しておく。そして、その算出されたデータベースに基づいて、加熱手段15、25への入力や加熱時間などを設定して、加熱手段15、25が周囲に設けられた接合部を所定の温度まで加熱する。ここで、所定の温度とは、適正な摩擦圧接接合を行うために、摩擦熱だけでは不十分な熱量を供給可能な温度である。
【0074】
なお、加熱手段15、25に、制御部および上記データベースを記憶する記憶部を備え、制御部が、記憶部に記憶されたデータベースに基づいて、加熱手段15、25への入力や加熱時間などの設定および制御をするように構成してもよい。
【0075】
続いて、加熱された接合部11、21が、上記した所定の温度に達した後、タービンロータ構造物10の接合部11の接合端面13と中間構造物70の接合部71の接合端面74、およびタービンロータ構造物20の接合部21の接合端面23と中間構造物70の接合部72の接合端面75を突き合わせる。そして、軸方向の加圧を加えながら、動力源81を駆動し、中間構造物70を回転させて、タービンロータ構造物10と中間構造物70、およびタービンロータ構造物20と中間構造物70を摩擦圧接によって接合する(接合工程(ステップS32))。
【0076】
ここで、前述した実施の形態と同様に、不活性ガス槽50を備え、摩擦圧接を不活性ガス雰囲気において行うことが好ましい。このように、不活性ガス雰囲気において接合することで、接合中における接合部11、21、71、72の酸化を防止することができる。
【0077】
第5の実施の形態の金属構造物間の接合方法によれば、大型の構造体であるタービンロータ構造物10、20を回転させずに、小型の構造体である中間構造物70を回転させて摩擦圧接を行うことで、施工上の安定性を向上させ、動力源81の回転トルクを小さく抑えることができる。また、タービンロータ構造物10、20が長大な場合においても、良好な摩擦圧接接合を行うことができる。
【0078】
なお、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21の接合端面13、23、中間構造物70の接合部71、72の接合端面74、75の構成は、上記した構成に限られるものではない。例えば、タービンロータ構造物10およびタービンロータ構造物20が異種材料で構成され、中間構造物70が、融点が高いタービンロータ構造物10と同じか、または同等の金属材料で構成される場合には、中間構造物70の接合部72の外側面を、第2の実施の形態で示したように、傾斜面で構成してもよい。
【0079】
また、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21の接合端面13、23、中間構造物70の接合部71、72の接合端面74、75を、第3の実施の形態で示した接合端面の形状にしてもよい。この場合、タービンロータ構造物10および中間構造物70の接合部11、71の接合端面13、74のうち、例えば、タービンロータ構造物10の接合部11の接合端面13と、自由縁14とのなす角γが、中間構造物70の接合部71の接合端面74と、自由縁76とのなす角δよりも大きく構成される。さらに、タービンロータ構造物20および中間構造物70の接合部21、72の接合端面23、75のうち、例えば、タービンロータ構造物20の接合部21の接合端面23と、自由縁24とのなす角εが、中間構造物70の接合部72の接合端面75と、自由縁76とのなす角ζよりも大きく構成される。そして、角γ、角δ、角εおよび角ζは90度以上である。なお、角δを角γよりも大きく構成してもよい。また、角ζを角εよりも大きく構成してもよい。
【0080】
このように接合端面を構成することで、タービンロータ構造物10の接合端面13と中間構造物70の接合端面74との間、およびタービンロータ構造物20の接合端面23と中間構造物70の接合端面75との間に、外径側に向かって軸方向の幅が広がる隙間を周方向に形成することができる。これにより、接合端面13、23、74、75の外径側と内径側の温度差から生ずる線膨張差を吸収することができ、接合初期過程において、接合端面13、23、74、75の押し付け圧力を均一にすることができる。
【0081】
さらに、第4の実施の形態の冷却ガス噴出手段60を備え、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21および中間構造物70の接合部71、72の外周面に冷却ガスを噴出して、タービンロータ構造物10、20の接合部11、21および中間構造物70の接合部71、72の温度調整を行ってもよい。
【0082】
上記実施の形態では、タービンロータ構造物を例示して、本発明に係る実施の形態の金属構造物間の接合方法を説明したが、発明に係る実施の形態の金属構造物間の接合方法は、例えば、大口径の高温高圧配管などにも適用できる。そして、上記した同様の作用効果を得ることができる。
【0083】
以上説明した実施形態によれば、構造物の接合部の温度を調整することにより、大径の構造物間の良好な摩擦圧接接合を行うことが可能となる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0085】
10、20…タービンロータ構造物、11、21、71、72…接合部、12、22、73、74…溝部、13、23、74、75…接合端面、13a…外側面、14、24、76…自由縁、15、25…加熱手段、40、41…軸受、50…不活性ガス槽、60…冷却ガス噴出手段、70…中間構造物、80…クランプ治具、81…動力源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構造物と第2の構造物とを摩擦圧接によって接合する金属構造物間の接合方法において、
前記第1の構造物および前記第2の構造物を同軸上に保持する工程と、
前記第1の構造物および前記第2の構造物の接合部のうち、少なくともいずれか一方の接合部を非接触加熱する工程と、
加熱された前記接合部が所定の温度に達した後、前記第1の構造物および前記第2の構造物の接合部の接合端面どうしを突き合わせ、軸方向に加圧しながら、前記第1の構造物および前記第2の構造物のうちのいずれか一方を回転させて、前記第1の構造物と前記第2の構造物とを摩擦接合する工程と
を具備することを特徴する金属構造物間の接合方法。
【請求項2】
前記接合部は、高周波誘導加熱によって加熱され、前記高周波誘導加熱を行うためのコイルが、加熱される前記接合部の周囲に、前記接合部の外側面と所定の間隔をあけて配置されていることを特徴する請求項1記載の金属構造物間の接合方法。
【請求項3】
前記コイルが、加熱される前記接合部の周方向に複数配置され、前記接合部の外側面と所定の間隔を維持しながら前記接合部の外側面に沿って移動可能に設けられていることを特徴する請求項2記載の金属構造物間の接合方法。
【請求項4】
前記摩擦圧接を行う際、前記第1の構造物の接合部と前記第2の構造物の接合部とが、不活性ガス雰囲気において接合されることを特徴する請求項1乃至3のいずれか1項記載の金属構造物間の接合方法。
【請求項5】
前記第1の構造物および前記第2の構造物の接合部の接合端面のうち、いずれか一方の接合部の接合端面と、自由縁とのなす角αが、他方の接合部の接合端面と、自由縁とのなす角βよりも大きく、かつ角αおよび角βが90度以上であることを特徴する請求項1乃至4のいずれか1項記載の金属構造物間の接合方法。
【請求項6】
前記第1の構造物と前記第2の構造物とが異種材料で構成された場合、前記第1の構造物および前記第2の構造物のうち、融点の高い材料で構成された構造物の接合部の外側面が、先端に行くに伴って、自由縁側から中心側に向かって徐々に傾斜する傾斜面で構成されていることを特徴する請求項1乃至4のいずれか1項記載の金属構造物間の接合方法。
【請求項7】
接合する工程において、前記第1の構造物および前記第2の構造物の外周面に冷却ガスを噴出して、前記第1の構造物および前記第2の構造物の接合部の温度調整を行うことを特徴する請求項1乃至5のいずれか1項記載の金属構造物間の接合方法。
【請求項8】
回転可能に構成された中間構造物を、第1の構造物と第2の構造物との間に設置し、前記中間構造物、前記第1の構造物および前記第2の構造物を同軸上に保持する工程と、
前記中間構造物、前記第1の構造物および前記第2の構造物の接合部のうち、少なくともいずれか1つの接合部を非接触加熱する工程と、
加熱された前記接合部が所定の温度に達した後、前記第1の構造物の接合部の接合端面を軸方向の一方の側から、前記第2の構造物の接合部の接合端面を軸方向の他方の側から、前記中間構造物の接合端面に突き合わせ、軸方向に加圧しながら、前記中間構造物を回転させて、前記第1の構造物および前記第2の構造物をそれぞれ前記中間構造物に摩擦接合する工程と
を具備することを特徴する金属構造物間の接合方法。
【請求項9】
前記接合部は、高周波誘導加熱によって加熱され、前記高周波誘導加熱を行うためのコイルが、加熱される前記接合部の周囲に、前記接合部の外側面と所定の間隔をあけて配置されていることを特徴する請求項8記載の金属構造物間の接合方法。
【請求項10】
前記コイルが、加熱される前記接合部の周方向に複数配置され、前記接合部の外側面と所定の間隔を維持しながら前記接合部の外側面に沿って移動可能に設けられていることを特徴する請求項9記載の金属構造物間の接合方法。
【請求項11】
前記摩擦圧接を行う際、前記第1の構造物の接合部と前記中間構造物の接合部、および前記第2の構造物の接合部と前記中間構造物の接合部が、不活性ガス雰囲気において接合されることを特徴する請求項8乃至10のいずれか1項記載の金属構造物間の接合方法。
【請求項12】
前記第1の構造物および前記中間構造物の接合部の接合端面のうち、いずれか一方の接合部の接合端面と、自由縁とのなす角γが、他方の接合部の接合端面と、自由縁とのなす角δよりも大きく、かつ前記第2の構造物および前記中間構造物の接合部の接合端面のうち、いずれか一方の接合部の接合端面と、自由縁とのなす角εが、他方の接合部の接合端面と、自由縁とのなす角ζよりも大きく、かつ角γ、角δ、角εおよび角ζが90度以上であることを特徴する請求項8乃至11のいずれか1項記載の金属構造物間の接合方法。
【請求項13】
接合する工程において、前記第1の構造物、前記第2の構造物および前記中間構造物の外周面に冷却ガスを噴出して、前記第1の構造物、前記第2の構造物および前記中間構造物の接合部の温度調整を行うことを特徴する請求項8乃至12のいずれか1項記載の金属構造物間の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−115884(P2012−115884A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269037(P2010−269037)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】