説明

金属系脱臭剤を含む脱臭剤組成物

(i)銅、亜鉛、銀、白金、ニッケル、鉄、コバルト、銅化合物、亜鉛化合物、銀化合物、白金化合物、ニッケル化合物、鉄化合物、コバルト化合物、及びこれらの混合物から選択される金属系脱臭剤と、(ii)カルボキシル基含有ゲル化ポリマーと、液体媒体と、を含む脱臭剤組成物。前記脱臭剤組成物は、ブロック形状、球形、楕円形、円錐形、及び円筒形から選択される三次元形状を有し、約24mm2〜約2400mm2の表面積を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活環境における悪臭を脱臭するのに好適な脱臭剤組成物に関する。特に、本発明は、カルボキシル基含有ゲル化ポリマーと金属系脱臭剤とを含む脱臭剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
生活環境には、周囲に不快な臭いを放ち又は更には人間の健康に有害でさえある種々の化合物が存在する。例えば、アンモニア、アミン類、硫化水素、メルカプタン類、低級脂肪酸類、アルデヒド類等は、台所、化粧室、地下室、車等における悪臭の原因となる典型的な化合物である。これらの悪臭を脱臭し又は吸収するために、多くのタイプの脱臭剤が開発されてきた。市販されている脱臭剤は典型的に、芳香を発することによって悪臭をマスキングするか、又は悪臭物質を物理的に吸収する及び/若しくは悪臭物質と化学的に反応する。吸収剤として通常使用される物質としては、活性炭、ゼオライト類、シクロデキストリン類、ベントナイト類等が挙げられる。悪臭物質と反応するために通常使用される物質としては、二酸化塩素、ハイポクロライド、オゾン、官能基を含むポリマー類等が挙げられる。これらの物質は酸化、還元、又は中和反応によって悪臭化合物を分解する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
金属又は金属化合物類が、脱臭剤製品中で使用されるように示唆されてきた。通常、脱臭剤製品は脱臭活性剤類を含む脱臭剤組成物の個々の塊を複数含むパッケージ中で提供され使用される。本発明の発明者らは、このような脱臭剤製品に関して、その脱臭剤組成物中に含有される金属又は金属化合物の含有濃度に加えて、その脱臭剤組成物の個々の塊の形状及び表面積もまた、その脱臭剤製品の脱臭性能に影響を及ぼすということを見出した。したがって、脱臭剤組成物の最適な形状及び表面積がなお必要とされている。加えて、金属又は金属化合物を含むゲル脱臭剤組成物に関して、脱臭剤組成物中で通常必要とされる金属又は金属化合物の濃度はゲルに不快な色及び/又は貧弱な色の完全性を与えることになるため、配合者は、金属又は金属化合物をゲル脱臭剤組成物中に配合することに関するジレンマを感じる場合がある。例えば、ゲル脱臭剤組成物中に銅化合物が高濃度で配合される場合、ゲルは消費者の興味を引かない濃い青色を有する場合がある。同様に、ゲル脱臭剤組成物中にニッケル化合物、鉄化合物、コバルト化合物、又は白金化合物が高濃度で配合される場合、そのゲルの色は濃くなる場合があり、またゲル中で酸化亜鉛が高濃度で使用される場合には、ゲルは白っぽい色を有し及び望ましくない不透明な状態となる場合がある。一方銀化合物は、ゲル脱臭剤組成物中に高濃度で包含された場合、及び使用時に空気と接触したときに、その色を変化させる場合がある。したがって、生活環境、特に化粧室における悪臭を脱臭するのに有効であり、同時に魅力的な色及び改善された色の完全性を有する、金属又は金属化合物含有ゲル脱臭剤組成物がなお必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、カルボキシル基含有ゲル化ポリマー、及び約0.005重量%〜約2重量%の、銅、亜鉛、銀、白金、ニッケル、鉄、コバルト、銅化合物、亜鉛化合物、銀化合物、白金化合物、ニッケル化合物、鉄化合物、コバルト化合物、及びこれらの混合物から選択される金属系脱臭剤を含む脱臭剤組成物に関し、前記脱臭剤組成物は、ブロック形状、球形、楕円形、円錐形、及び円筒形から選択される三次元形状を有し、約24mm2〜約2400mm2の表面積を有する。驚くべきことに、本明細書における脱臭剤組成物の個々の塊を複数含む脱臭剤製品は、生活環境、特に化粧室における悪臭を脱臭するのに有効であり、並びに魅力的な色及び改善された色の完全性を有することが見出された。
【0005】
上述したように、金属又は金属化合物がゲル脱臭剤組成物中に配合される場合、典型的には、十分な脱臭性能を与えるのに必要な濃度は、そのゲル脱臭剤組成物が望ましくない色及び/又は貧弱な色の完全性を有させることになる。この問題に対処するために広範な研究がなされており、そして約24mm2〜約2400mm2の表面積を有する、ブロック形状、球形、楕円形、円錐形、及び円筒形から選択される三次元形状におけるゲル脱臭剤組成物は、比較的低濃度の金属又は金属化合物で満足のいく脱臭性能を提供することができ、したがって、ゲル脱臭剤組成物中の金属又は金属化合物の高い含有濃度に関連する、魅力的でない色及び貧弱な色の完全性のような問題が解決されるということが、今般見出された。理論に束縛されるものではないが、約24mm2〜約2400mm2、又は約150mm2〜約600mm2の表面積を有する、ブロック形状、球形、楕円形、円錐形、及び円筒形から選択される三次元形状は、金属又は金属化合物の、悪臭化合物類との接触を増大させるものと考えられる。更に、脱臭剤製品中では、上記のサイズ範囲の三次元形状を有する脱臭剤組成物の個々の塊は、互いに密に詰まることがなく、個々の塊の中間の空間が空気の流れを容易にするとも考えられる。結果として、魅力的な色、改善された色の完全性、及び消費者に認められる脱臭性能を有するゲル脱臭剤製品が提供される。
【0006】
別の態様では、本発明は、本明細書の脱臭剤組成物の個々の塊を複数含む脱臭剤製品に関する。
【0007】
別の態様では、本発明は、所望の三次元形状を有するゲル脱臭剤組成物の製造方法に関する。
【0008】
なお別の態様では、本発明はトイレを脱臭する方法に関する。
【0009】
更に別の態様では、本発明はトイレを脱臭するための脱臭剤の製造のための脱臭剤組成物の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書の全てのパーセント、比率、及び割合は、特に指定しない限り、組成物の重量による。温度は、特に指定のない限り、全て摂氏(℃)である。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「含む」及びその派生語の意味は、記載された特徴、要素、構成成分、基、整数、及び/又は工程の存在を特定するが、他の記載されない特徴、要素、構成成分、基、整数、及び/又は工程の存在を除外しない、非制限用語を意図する。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「脱臭剤製品」とは販売され及び使用されるための脱臭剤製品を意味する。脱臭剤製品は、パッケージ中に共に入れられた、本発明の脱臭剤組成物の、複数の個々の塊を含む。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「アミン型の悪臭」とは、アミン基を含む化合物によって引き起こされる悪臭を意味する。アミン型の悪臭を放つ、生活環境における典型的な化合物としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「酸型の悪臭」とは、カルボン酸基を含む化合物によって引き起こされる悪臭を意味する。酸型の悪臭を放つ、生活環境における典型的な化合物としては、イソ吉草酸(isovaric acid)、酪酸、プロピオン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「イオウ型の悪臭」とは、イオウを含む化合物によって引き起こされる悪臭を意味する。イオウ型の悪臭を放つ、生活環境における典型的な化合物としては、硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、硫化ジメチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「平均粒子直径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用する顕微鏡測定などの従来の分析技術により決定した場合の、所与の粒子物質の最も長い軸に沿って測定された平均の粒子直径を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「表面積」とは、三次元形状の露出面の面積の合計を意味する。例えば、三次元形状が、長さa、幅b、及び高さcを有する直方体であるときには、その直方体の表面積は、2(ab+ac+bc)であり、三次元形状が半径rを有する球形であるときには、その球体の表面積は、4πr2である、等。不規則な形状については、文献に記載されている、表面積を測定するために採用できる幾つかの方法がある。例えば、デジタル光学顕微鏡による三次元デジタル画像は、不規則形状の三次元構造の表面積を極めて正確に測定するために広く使用されている方法の1つである。
【0018】
本明細書における脱臭剤組成物は、金属系脱臭剤、カルボキシル基含有ゲル化ポリマー、及び液体媒体を含む。本明細書の脱臭剤組成物は更に、脱臭性ポリマー、防腐剤、可溶化剤、UV吸収剤、香料、染料、及びこれらの混合物を含んでよい。
【0019】
金属系脱臭剤
本明細書の脱臭剤組成物は、約0.005重量%〜約2重量%、又は約0.01重量%〜約1重量%、又は約0.05重量%〜約0.5重量%の、銅、亜鉛、銀、白金、ニッケル、鉄、コバルト、銅化合物、亜鉛化合物、銀化合物、白金化合物、ニッケル化合物、鉄化合物、コバルト化合物、及びこれらの混合物から選択される金属系脱臭剤を含む。金属又は金属化合物は、イオウ含有化学物質と反応することにより、生活環境、特に化粧室において一般的であるイオウ型の悪臭の脱臭において有効であることが既知である。しかしながら、本明細書で上述したように、脱臭性能を改善するためには脱臭剤組成物中に高濃度の金属又は金属化合物を配合することが望ましく、この場合ゲル脱臭剤組成物中の金属化合物の濃度は2%よりも高いが、ゲル脱臭剤組成物は濃い青のような魅力的でない色及びまた貧弱な色の完全性をも有することになる。一方、ゲル脱臭剤組成物中の金属又は金属化合物の濃度が0.005%未満である場合には、脱臭剤組成物は満足な脱臭性能を与えない。
【0020】
本明細書で有用な金属化合物は金属酸化物又は金属の有機若しくは無機塩であることができる。金属又は非水溶性の金属化合物が使用される場合、金属の非水溶性の酸化物類若しくは塩類、金属、又は非水溶性の金属化合物は好ましくは脱臭剤組成物中に約20nm〜約20ミクロンの平均粒子直径を有する微粉末の形態で加えられる。本明細書で有用な好適な非水溶性金属化合物としては、酸化第二銅、亜酸化銅、酸化亜鉛、酸化ニッケル等が挙げられる。
【0021】
本明細書で有用な好適な金属塩としては、銅、亜鉛、銀、白金、ニッケル、鉄、及びコバルトのクロライド、スルフェート、及びカーボネート、並びに銅、亜鉛、白金、銀、鉄、コバルトのカルボン酸類又はカルボン酸含有ポリマー類との錯体が挙げられる。
【0022】
塩化銅、硫酸銅、炭酸銅、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、銀、及びこれらの混合物が、本明細書で有用な最も好ましい金属系脱臭剤である。
【0023】
カルボキシル基含有ゲル化ポリマー
本明細書で使用するとき、「カルボキシル基含有ゲル化ポリマー」とは、カルボキシレート又はカルボン酸の単位を含むポリマーを意味し、このポリマーは水及び/又は他の溶媒のような液体媒体を吸収すると膨潤してゲルを形成する。ゲルは典型的にはコロイドであるとみなされ、そこでは、分散された相が分散媒体と組み合わされてゼリーのような半固体物質を生成している。消費者が好む脱臭剤製品形態として、ゲルは脱臭剤製品の他の構成成分の担体として使用される。更に、本明細書におけるカルボキシル基含有ゲル化ポリマーはまた、そこに含有されているカルボキシル基がアミン型の悪臭の原因である化合物中のアミン基と反応するため、脱臭活性剤の役割をも果たす場合がある。
【0024】
本明細書における好適なカルボキシル基含有ゲル化ポリマーとしては、少なくとも1つの炭素−炭素オレフィン性二重結合を含有するオレフィン性不飽和カルボン酸又は無水物類のモノマーを含む、ホモポリマー類及びコポリマー類が挙げられる。このようなモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、β−ステリルアクリル酸(sterylacrylic acid)、イタコン酸、シトロコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン、無水マレイン酸、アクリル酸又はメタクリル酸のアルカリ金属塩、ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。カルボキシル基含有ゲル化ポリマーは架橋されたポリマーであることもまた架橋されていないポリマーであることもできる。ポリマーを架橋する方法に具体的な制限はなく、又は架橋剤を用いることができる。本明細書で有用な架橋剤の例としては、テトラアリルエトキシエタン、1,1,1−トリメチロールプロパントリアクリレート(trimethylopropanetricrylate)、メチレンビスアクリルアミド、ジエチレングリコール(glycaol)ジアクリレート、トリアリルアミン、アリルメタクリレート、テトラアリルオキシエタンが挙げられる。典型的には、使用されるモノマー類(あらゆる可能なコモノマー類を包含)100重量部当たり0.0005〜5重量部の範囲の量で架橋剤が使用される。これらのポリマーは単独で使用することも、又は2つ以上の異なるポリマーの混合物の形態で使用することもできる。これらのポリマー材料の例は、米国特許第3,661,875号、米国特許第4,076,663号、米国特許第4,093,776号、米国特許第4,666,983号、及び米国特許第4,734,478号に開示されている。
【0025】
好ましくは、カルボキシル基含有ゲル化ポリマーは、ポリ(アクリル酸ナトリウム/アクリル酸)のような部分的に中和された架橋ポリアクリル酸、及び架橋イソブチレン−無水マレイン酸コポリマーである。本明細書における、市販のゲル化ポリマー類としては、日本触媒(日本、東京)からのアクアリック(Aqualic)(商標)、住友精化(Sumitomo Seika)(日本、大阪)からのアクアキープ(Aquakeep)(商標)、クラレ(Kuraray)(日本、大阪)からのアクアビーズ(Aquabeads)(商標)、及びBASF(ドイツ)からのハイソルブ(Hysorb)(商標)が挙げられる。カルボキシル基含有ゲル化ポリマー類の更なる例は、現代の超吸収性ポリマー技術(Modern Superabsorbent Polymer Technology)と題された書籍(フレドリックL.ブッホルツ(Fredric L. Bucholz)及びアンドリューT.グラハム(Andrew T. Graham)編、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons, Inc.)により出版、1998年)中に見出すことができる。
【0026】
本明細書の脱臭剤組成物は、約0.5重量%〜約40重量%、又は約1重量%〜約20重量%、又は約4重量%〜約10重量%のカルボキシル基含有ゲル化ポリマーを含む。
【0027】
液体媒体
本明細書で有用な液体媒体は典型的に、水、油、アルコールなどの有機溶媒、及びこれらの混合物から選択される。本明細書の一実施形態では、液体媒体は水である。
【0028】
典型的には、本明細書の脱臭剤組成物は約50重量%〜約95重量%、又は約80重量%〜約90重量%の液体媒体を含む。
【0029】
脱臭性ポリマー
一実施形態によれば、本明細書の脱臭剤組成物は更に、「カチオン性解離基」及び「アニオン性解離基」の両方を含む脱臭性ポリマーを含む。
【0030】
用語「カチオン性解離基」とは、本明細書で使用するとき、対イオンがカチオンであるイオン交換基を意味する。典型的なカチオン性解離基は、酸基である。カチオン性解離基は極性物質を吸着する能力を有し、プロトン(水素イオン)を放出して、アンモニア又はアミン類のような塩基性物質と中和反応を起こすことができる。その結果、塩基性物質が除去され得る。1つ以上のカチオン性解離基がポリマーに導入されてよい。そのようなカチオン性解離基の例には、カルボキシル基、スルフェート基、ホスフェート基、スルホエチル基、ホスホメチル基及びカルボメチル基等が挙げられる。好ましいカチオン性解離基には、スルフェート基及びカルボキシル基が挙げられる。このようなカチオン性解離基を有し、及び本明細書で有用であるモノマー類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、及びそれらの塩類、並びに2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。
【0031】
用語「アニオン性解離基」とは、本明細書で使用するとき、対イオンがアニオンであるイオン交換基を意味する。アニオン性解離基は、極性物質を吸収する能力を有し、そして硫化水素又はメルカプタン類のような酸性物質と中和反応を起こすことができる。その結果、酸性物質が除去され得る。1種類以上のアニオン性解離基がポリマーに導入されてよい。アニオン性解離基の例としては、四級アンモニウム基、並びに一級、二級、及び三級アミノ又はアミド基、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、及びジエチルアミノ基が挙げられる。こうしたアニオン性解離基を有し、及び本発明で有用であるモノマー類としては、例えば、ビニルベンジルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルアクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、アリルアミン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、及びN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドが挙げられる。
【0032】
特に好ましい脱臭性ポリマーは、アクリル酸と、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルアクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、アリルアミン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、又はN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドとのコポリマー類のような、カルボキシル基及びアミノ基の両方を含むものである。
【0033】
本明細書における別の実施形態によれば、脱臭性ポリマーは基材上にグラフト化されている。グラフト化とは、ポリマーが特定の部位で基材に結合することを意味する。本明細書で有用な基材は、いかなる特定の態様においても限定されず、ポリマーと連結することのできるあらゆる材料であることができる。脱臭性ポリマーをグラフト化するために有用な代表的な基材としては、アルドヘキソース、グルコース、デンプン、及びセルロースが挙げられる。理論に束縛されるものではないが、本明細書における基材は官能基を含有する脱臭性ポリマーを支持するために使用されると考えられる。脱臭性ポリマーを基材上にグラフト化することによって、その脱臭性ポリマー中の官能基の吸収されるべき化合物との接触が増大され、これにより、より良好な脱臭性能が得られる。
【0034】
脱臭性ポリマーは、反応開始剤重合法、熱重合法、又は電離放射線重合法などの、あらゆる既知の重合法によって基材上にグラフト化することができる。本明細書の一実施形態によれば、グラフト脱臭性ポリマーは、モノマー類と基材とを混合して混合物を与え、次いでこの混合物を、日本特許公開番号2003−887551号に記載されているように、γ線照射に供することにより、得られる。
【0035】
本明細書の脱臭剤組成物は、存在するならば、約1重量%〜約40重量%、又は約3重量%〜約15重量%、又は約5重量%〜約10重量%の脱臭性ポリマーを含む。
【0036】
その他の成分
本明細書の脱臭剤組成物は更に、香料、染料、安定剤、UV吸収剤、防腐剤、及びこれらの混合物から選択される補助成分を含んでよい。
【0037】
香料は更に本明細書の脱臭剤組成物中に、約0.1重量%〜約5重量%の量で加えられてもよい。
【0038】
本発明において極めて好ましい成分はUV保護剤であり、UV保護剤は本明細書においては、UV損傷を減少させるために、紫外線を吸収、遮蔽、及び/又は反射する、物質を記載するために使用される。具体的には、脱臭剤組成物中のポリマー分子は、光エネルギーに曝されたとき、分解し及び/又は破壊される場合がある。多くの光の波長、特にUVスペクトルにおける波長が、モノマー間の内部化学結合を破断する及び/又は弱めることにより、ポリマー分子に影響を与えることが知られている。このことは本明細書のゲル脱臭剤組成物の形状を変形させ、又はゲルを時間の経過と共に融解しているように見せる場合がある。極端な場合には、製造、輸送、貯蔵、及び/又は使用の間に光に曝されたために分子の過度の破断が起こる場合に、形状が破壊される場合がある。
【0039】
有用なUV保護剤には、シプロ化成(Shipro Kasei Kaisha)(日本、大阪)より入手可能なUV吸収剤シーソルブ(SEESORB)(商標)101が挙げられ、これは、ゲルに吸収されることができるか、ないしは別の方法で組み込まれることができる。シーソルブ(商標)101は、ベンゾフェノン系UV吸収剤である。これもシプロ(Shipro)から入手可能なシーソルブ(SEESORB)(商標)701のようなベンゾトリアゾール系UV吸収剤もまた本明細書で有用である。
【0040】
単独で、又は別のUV保護剤との若しくは酸化防止剤との混合物として使用できるUV保護剤の他の例としては、アメリカン・シアナミド社(American Cyanamid Co.)(米国、ニュージャージー州、ウエイン(Wayne))からのシアソルブ(CYASORB)(商標)UVシリーズ及びチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Cehmicals Co.)(スイス、バーゼル(Basel))からのチノガルド(Tinogard)(商標)TLシリーズが挙げられる。そのようなUV保護剤は、製品のあらゆる関連する部分、例えば、パッケージ中、ゲルの中又は上などに組み込んでもよい。
【0041】
当該技術分野において既知である防腐剤もまた本明細書で有用である場合がある。防腐剤の例としてはフェノキシエタノールがある。
【0042】
当該技術分野において既知の酸化防止剤もまた、本明細書において、ゲル化ポリマー、香料、及び/又は脱臭剤組成物中の他の成分の分解及び/又は損傷を防ぐために有用である場合がある。そのような酸化防止剤は当該技術分野において周知であるが、好ましい酸化防止剤の例には、シプロ(Shipro)から入手可能なシーノックス−BCS(SEENOX-BCS)(商標)がある。
【0043】
三次元形状
本明細書の脱臭剤組成物は、ブロック形状、球形、楕円形、円錐形、及び円筒形から選択される三次元形状を有し、この三次元形状は、約24mm2〜約2400mm2、又は約150mm2〜約600mm2の表面積を有する。本明細書で使用するとき、「ブロック形状」とは、湾曲した面又は辺を有さない多面体を意味する。ブロック形状の全ての側面は多角形であり、ブロック形状の全ての辺は線分である。上記の定義に関わらず、実際の製造能力に起因するわずかに湾曲した面又は辺を有する多面体は、本明細書のブロック形状の範囲から除外されるものではないということを理解すべきである。好ましくは、本明細書の脱臭剤組成物は、立方体、直方体、平行六面体、及び斜四角柱からなる群から選択されるブロック形状を有する。「斜四角柱」とは、6つの側面を有するかさのある塊を意味し、この際、3対の平行で及び等しい形状及び大きさの側面が存在し、1対の側面は平行四辺形の形状であり及び残りの2対の側面は矩形である。
【0044】
本明細書で上述した三次元形状は、販売され使用されるための脱臭剤製品がパッケージに入れられた脱臭剤組成物の個々の塊を複数含み、その本明細書の脱臭剤組成物の個々の塊の中間の空間が、空気の流れを容易にしてその空気をかかる空間内に入り込ませ、こうして、脱臭活性物質と環境から除去されるべき悪臭化合物との接触が増大されるため、好ましい。理論に束縛されるものではないが、三次元形状が24mm2未満の表面積を有する場合には、ゲルは柔らかく及び小さなサイズであるため脱臭剤組成物の個々のゲルの塊は脱臭剤製品中で密に詰められる傾向がある。結果として、個々のゲルの塊の中間の空気の流れが遮断される。一方、三次元形状が2400mm2よりも大きな表面積を有する場合には、1つの塊のサイズが大きいために単位量当たりの脱臭剤組成物の合計の表面積は減少される。結果として、悪臭化合物と脱臭剤製品中の金属系脱臭剤との接触は制限される。
【0045】
三次元形状のゲル脱臭剤組成物の製造プロセス
本明細書の三次元形状におけるゲル脱臭剤組成物は、あらゆる既知のプロセスによって、例えば、全ての成分を混合してゲル脱臭剤組成物を形成し、次いでゲルを所望の形状及び大きさに切断することによって、調製することができる。好ましくは、本明細書に記載した三次元形状及び表面積を有するゲル脱臭剤組成物は、ブロック形状、球形、楕円形、円錐形、及び円筒形から選択される予め形成された三次元形状を有するゲル化ポリマーを用いることにより調製される。具体的には、この好ましいプロセスは、予め形成された三次元形状を有するゲル化ポリマーを調製する工程と、脱臭剤組成物のその他の成分を混合機中で前混合し均質化してプレミックスを形成する工程と、そのプレミックスを前記ゲル化ポリマーに加えてゲル化ポリマーにプレミックスを吸着させ、ゲル脱臭剤組成物を形成する工程と、を含み、前記ゲル化ポリマーの予め形成される形状は、ブロック形状、球形、楕円形、円錐形、及び円筒形から選択され、ゲル化ポリマーとプレミックスとの重量比は約1:200〜1:1、又は約1:30〜約1:10である。所望の三次元形状を有するゲル化ポリマーを調製するための方法の1つに、「現代の超吸収性ポリマー技術(Modern Superabsorbent Polymer Technology)」と題される書籍(フレデリック L.ブッホルツ(Fredric L.Bucholz)及びアンドリューT.グラハム(Andrew T. Graham)編、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons, Inc.)により出版、1998年)に詳細に記載されている、懸濁重合がある。予め形成された球形を有するゲル化ポリマーは、クラレ(Kuraray)(日本、大阪)からアクアビーズ(Aquabeads)(商標)として市販されている。
【0046】
脱臭剤製品
本明細書の脱臭剤組成物の複数の個々の塊は、販売及び使用のために脱臭剤製品として共に容器詰めされる。好ましくは、脱臭剤製品は、輸送及び貯蔵中の水分の喪失及びそれによる個々の塊の三次元形状の変形を防ぐために密閉されたパッケージ中で提供される。このような機能を提供するパッケージ材料は、当該技術分野において既知である。
【0047】
試験方法
所望の濃度の悪臭化合物類を有するエアストックの調製
所望の濃度の悪臭化合物を有するエアストックは、次の方法により調製することができる。
【0048】
気体を注入及び放出できる開閉バルブを取り付けられた単一コック25リットルテドラー(Tedlar)(商標)バッグ(シバオ商店(Shibao Shoten)(日本、大阪))を、エアポンプを用いて約20〜25リットルの清浄な空気で満たす。
【0049】
そのテドラー(Tedlar)バッグ中に硫化水素又はアンモニアなどの標準的な悪臭化合物をバルブを通して供給する。少ない体積の悪臭化合物を添加した後、その化合物の濃度を、気体管(硫化水素用型番4H、4HM、4M、4L、4LL、4LK、4LB、4LT、並びにアンモニア用型番3HM、3M、3LA、及び3L、適切な型番は化合物の目標濃度及びガステック・ハンドブック(Gastec Handbook):環境分析技術(Environmental Analysis Technology)(ガステック・コーポレーション(Gastec Corporation)により2003年3月に出版、第4版)における指示に従い選択する)とガスサンプリングポンプ(GV−100ガスサンプリングポンプ)(ガステック・コーポレーション(Gastec Corporation)(日本、神奈川)により供給)とを含むガステックの標準検知管システムでチェックする。ガステック(Gastec)検知管を用いて悪臭化合物の濃度を適切なレベルに調節し、硫化水素を含有するバッグについては、硫化水素の濃度を100ppmに調節し、アンモニアを含有するバッグについては、アンモニアの濃度を200ppmに調節する。その後、バッグを十分に振盪してそれを5分間放置し、そして検出器を用いて再び濃度を検出して所望の濃度を確認する。
【0050】
脱臭剤組成物の脱臭性能の測定
本明細書の脱臭剤組成物の悪臭化合物に対する脱臭性能は、次のように測定される。
【0051】
5リットルテドラー(Tedlar)(商標)バッグを準備しそのバッグの1つの角を切断する。3.0gの脱臭剤組成物を調製して小さなガラスペトリ皿上に置き、次にそのペトリ皿を前記テドラー(Tedlar)バッグ内に入れる。テドラー(Tedlar)バッグ内の空気を完全に押し出した後、ヒートシーラーを用いてバックの切開された角を、実質的にいかなる漏れもないように完全に密封する。
【0052】
脱臭剤組成物のサンプルを内部に有する5リットルテドラー(Tedlar)(商標)バッグを、バルブを有する連結管を通して予め定められた濃度の悪臭化合物を含むエアストックで満たす。充填後、連結具を取り外し、バルブを閉じることによって5リットルテドラー(Tedlar)(商標)バッグを直ちに密封する。
【0053】
特定の時間の後、上述した標準検出システムを用いて悪臭化合物の濃度を測定する。硫化水素を含むバッグについては、24時間後の硫化水素の濃度を測定し、アンモニアを含むバッグについては、3時間後のアンモニアの濃度を測定する。試験を3回繰り返し、脱臭性能としてこれらの試験の平均を取る。
【実施例】
【0054】
本発明の実施例を例示として以下に示すが、これによって本発明をいかなる方法においても限定することは意図していない。これらの実施例は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、その多数の変形例が可能であるので、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0055】
(実施例1〜3)
予め形成された4mm×4mm×5mmの直方体形状を有する架橋されたポリアクリル酸ゲル化ポリマーのナトリウム塩5gを容器中にて調製する。表1に記載された成分を高剪断ミキサーを用いて攪拌し均質化することにより前混合してプレミックスを得る。このプレミックスをゲル化ポリマーを含む容器中に加え、この混合物を一晩保持することによってゲル化ポリマーにプレミックスを吸収させる。次いで直方体形状及び600mm2〜680mm2の表面積を有する脱臭剤組成物を得る。脱臭剤組成物は薄い青色を有する。
【0056】
【表1】

【0057】
実施例1〜3で調製された脱臭剤組成物の脱臭性能は本明細書で上述した試験方法によって測定される。硫化水素の初期濃度は100ppmであり、24時間後の硫化水素の濃度を測定して下記の表2に記録する。アンモニアの初期濃度は200ppmであり、3時間後のアンモニアの濃度を測定して下記の表3に記録する。
【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0061】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0062】
本発明の特定の実施形態を例示し記載してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱臭剤組成物であって、
(i)約0.005重量%〜約2重量%の、銅、亜鉛、銀、白金、ニッケル、鉄、コバルト、銅化合物、亜鉛化合物、銀化合物、白金化合物、ニッケル化合物、鉄化合物、コバルト化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択される金属系脱臭剤と、
(ii)カルボキシル基含有ゲル化ポリマーと、
(iii)液体媒体と、を含み、
ブロック形状、球形、楕円形、円錐形、及び円筒形からなる群から選択される三次元形状を有し、前記三次元形状は、約24mm2〜約2400mm2の表面積を有する、脱臭剤組成物。
【請求項2】
前記金属系脱臭剤は、塩化銅、硫酸銅、炭酸銅、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、銀、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の脱臭剤組成物。
【請求項3】
前記カルボキシル基含有ゲル化ポリマーは部分的に中和された架橋ポリアクリル酸である、請求項1に記載の脱臭剤組成物。
【請求項4】
前記液体媒体は水である、請求項1に記載の脱臭剤組成物。
【請求項5】
前記三次元形状は、立方体、直方体、平行六面体、及び斜四角柱からなる群から選択されるブロック形状である、請求項1に記載の脱臭剤組成物。
【請求項6】
カチオン性解離基とアニオン性解離基とを含む脱臭性ポリマーを更に含む、請求項1に記載の脱臭剤組成物。
【請求項7】
前記脱臭性ポリマーは、アルドヘキソース、グルコース、デンプン、セルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される基材上にグラフト化されている、請求項6に記載の脱臭剤組成物。
【請求項8】
前記脱臭剤組成物は、香料、染料、安定剤、UV吸収剤、防腐剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される補助物質を含む、請求項1に記載の脱臭剤組成物。
【請求項9】
パッケージ中に入れられた請求項1の脱臭剤組成物の個々の塊を複数含む、脱臭剤製品。
【請求項10】
請求項1の脱臭剤組成物を製造するためのプロセスであって、
A.容器中で予め形成された三次元形状を有するゲル化ポリマーを調製する工程と、
B.前記脱臭剤組成物のあらゆる他の成分を前混合し均質化してプレミックスを形成する工程と、
C.前記プレミックスを前記ゲル化ポリマーを含む容器中に加え、その混合物を一晩保持する工程と、を含み、
前記ゲル化ポリマーの前記予め形成された三次元形状は、ブロック形状、球形、楕円形、円錐形、及び円筒形から選択され、前記ゲル化ポリマーと前記プレミックスとの重量比は約1:200〜約1:1である、プロセス。

【公表番号】特表2009−540913(P2009−540913A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516056(P2009−516056)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052585
【国際公開番号】WO2008/004184
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】