説明

金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージ

【課題】放熱性に優れ、信頼性にも優れる半導体プラスチッパッケージの提供。
【解決手段】半導体チップkを搭載し、半導体チップ搭載部hの周囲のワイヤボンディング用回路gと、裏側に形成された回路がスルーホール導体で接続されているプリント配線板が、該スルーホール径より大きめのクリアランスホールbが形成された内層金属板aを有する構造であり、搭載する半導体チップより少し大きめに内層金属板の一部が表面に露出し、ここに半導体チップが固定され、ワイヤボンディングされ、樹脂封止されているパッケージにおいて、内層金属板と該スルーホールの少なくとも1個は直接接続しており、半導体チップが固定されている箇所の裏側からブラインドビアfで裏面の回路pと導体で内層金属板が接続されており、この裏面の回路にハンダボールnが接続していることを特徴とする金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップを少なくとも1個プリント配線板に搭載する金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージに関する。本発明により得られる半導体プラスチックパッケージは、マイクロプロセッサー、マイクロコントローラー、ASIC、グラフィック等の比較的高出力で、多端子高密度の半導体素子を搭載する半導体プラスチックパッケージとして使用され、これらは、ハンダボールを用いてマザーボードプリント配線板に接続して電子機器として好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体プラスチックパッケージとして、プラスチックボールグリッドアレイ(P-BGA)やプラスチックランドグリッドアレイ(P-LGA)等、プリント配線板の上面に半導体チップを固定し、このチップを、プリント配線板上面に形成された導体回路にワイヤボンディングで結合し、プリント配線板の下面にはハンダボールを用いて、マザーボードプリント配線板と接続するための導体パッドを形成し、表裏回路導体がメッキされたスルーホールで接続されて、半導体チップが樹脂封止されている構造の半導体プラスチックパッケージが知られている。(例えば特許文献1参照)。この構造において、半導体から発生する熱をマザーボードプリント配線板に拡散させるため、半導体チップに接する導体層から下面に接続するメッキされた熱拡散スルーホールが形成されているが、該スルーホール孔を通して、水分が半導体固定に使われている銀ペーストに吸湿されるため、マザーボードへの実装時の加熱や、半導体部品をマザーボードから取り外す際の加熱により、層間フクレを生じる(ポップコーン現象)問題があった。また、近年、半導体の高機能化、高密度化に伴い、半導体からの発熱量が増加するため、熱放散用としては、半導体チップ直下のスルーホールからのみの熱の放散では不十分であった。この対策として、金属芯入りの半導体プラスチックパッケージが提案(例えば特許文献2参照)されているが、金属芯のみの熱の放散では未だ十分に満足できないものであった.
【特許文献1】特開平8-172141号公報
【特許文献2】特開平11-176977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、放熱性に優れ、信頼性にも優れる半導体プラスチッパッケージを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージは、内層金属板とスルーホールの少なくとも1個を直接接続させ、内層金属板の裏側にメッキ等で充填したブラインドビア孔を形成させることにより、熱伝導性が大幅に向上し、かつ半導体チップの下面からの吸湿が抑制されるため、吸湿後の耐熱性が大幅に改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、プリント配線板の厚さ方向の一部に、半導体チップを直接搭載し、少なくとも半導体チップ搭載部の周囲にワイヤボンディング用回路が形成され、その回路と、プリント配線板の裏側に形成された回路或いはハンダボールで接続用の導体パッドがスルーホール導体で接続されているプリント配線板に使用する金属張り積層板が、該スルーホール径より大きめのクリアランスホール或いはスリット孔が形成された内層金属板を有する構造であり、搭載する半導体チップより少し大きめに内層金属板の一部が表面に露出し、ここに半導体チップが固定され、ワイヤボンディングされ、樹脂封止されている金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージにおいて、内層金属板と該スルーホールの少なくとも1個は直接接続しており、金属張り積層板の半導体チップが固定されている箇所の裏側からブラインドビア孔で裏面の回路と導体で内層金属板が接続されており、この裏面の回路にハンダボールが接続していることを特徴とする金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージである。該金属板の材質が、銅 95重量%以上の銅合金、或いは純銅であることが好ましく、該ブラインドビア孔はメッキ銅、及び/又はハンダで充填することがより好適であり、該金属張り積層板に用いる樹脂組成物が、シアン酸エステル樹脂を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物であることが、更に好適である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージは、内層金属板とスルーホールの少なくとも1個を直接接続させ、内層金属板の裏側にメッキ等で充填したブラインドビア孔を形成させることにより、熱伝導性が大幅に向上し、かつ半導体チップの下面からの吸湿が抑制されるため、吸湿後の耐熱性が大幅に改善されたものであり、工業的な実用性は極めて高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージは、プリント配線板の厚さ方向の一部に、半導体チップを直接搭載し、少なくとも半導体チップ搭載部の周囲にワイヤボンディング用回路が形成され、その回路と、プリント配線板の裏側に形成された回路或いはハンダボールで接続用の導体パッドがスルーホール導体で接続されているプリント配線板に使用する金属張り積層板が、該スルーホール径より大きめのクリアランスホール或いはスリット孔が形成された内層金属板を有する構造であり、搭載する半導体チップより少し大きめに内層金属板の一部が表面に露出し、ここに半導体チップが固定され、ワイヤボンディングされ、樹脂封止されている金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージにおいて、内層金属板と該スルーホールの少なくとも1個は直接接続しており、金属張り積層板の半導体チップが固定されている箇所の裏側からブラインドビア孔で裏面の回路と導体で内層金属板が接続されており、この裏面の回路にハンダボールが接続している構造であれば、特に限定されるものではない。本発明の金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージは、使用する内層金属板とプリント配線板表面の信号伝播回路導体とは、金属張り積層板の樹脂組成物で絶縁した構造であり、搭載する半導体チップは、少なくとも1個以上である。
【0007】
本発明に使用する金属張り積層板は、厚み方向の一部に、内層金属板有する3層以上の金属層積層板であれば、特に限定されるものではない。内層金属板としては、金属ベースの表裏平坦な板であれば特に限定されるものではなく、金属板の厚さは 50〜500μmであり、好適には 100〜400μmである。金属の種類については特に限定されないが、高弾性率、高熱伝導性であるものが好ましく、例えば、純銅、無酸素銅、銅が 95重量%以上の鉄、錫、燐、クロム、ジルコニウム、亜鉛、などとの合金などが好適に使用され、合金の表面を銅メッキした金属板なども使用可能である。これら金属板の表面は、研磨するだけでも使用可能であるが、樹脂組成物との密着性を向上するために、公知の表面処理を施すことが好ましい。表面処理の種類は特に限定されないが、例えば黒色酸化銅処理、メック社の薬液+防錆処理(CZ処理)などが好適に使用される。
【0008】
金属板に形成するクリアランスホール径又はスリット孔の幅は、表裏導通用スルーホール径よりやや大きめに形成する。具体的には、該スルーホールの壁面と金属板のクリアランスホール又はスリット孔壁面とは、樹脂組成物で絶縁させるため、50μm以上の距離を保つことが必要である。表裏導通用スルーホール径については、特に限定はないが、50〜300μmが好適である。
【0009】
本発明で使用する金属張り積層板に用いる樹脂組成物は特に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物、これらの混合物などが使用可能である。好適には熱硬化性樹脂組成物が使用され、これらは基材入りのプリプレグ、又は基材補強のない樹脂層のみのBステージシートとして上記金属板の両面に配置し、積層、硬化して使用される。本発明で好適に使用される熱硬化性樹脂としては、公知の熱硬化性樹脂が使用される。具体的には、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミドーシアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられ、1種或いは2種類以上が適宜組み合わせて使用される。耐熱性、耐湿性、耐マイグレーション性、吸湿後の電気的特性等の点からシアン酸エステル樹脂がより好適に使用される。
【0010】
本発明でより好適に使用されるシアン酸エステル樹脂とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3-又は1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-又は2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4-ジシアナトビフェニル、ビス(4-ジシアナトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモー4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、トリス(4-シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4-シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などである。
【0011】
これらのほかに特公昭41-1928、同43-18468、同44-4791、同45-11712、同46-41112、同47-26853及び特開昭51-63149等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物類も用いら得る。また、これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000 のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。このプレポリマー中には一部未反応のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般には可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。
【0012】
本発明に好適に使用する熱硬化性樹脂組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望に応じて種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、不飽和ポリエステル等の重合性二重結合含有モノマー類及びそのプレポリマー類;ポリブタジエン、エポキシ化ブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブチルゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等の低分子量液状〜高分子量のゴム類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ-4-メチルペンテン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、スチレン-イソプレンゴム、ポリエチレン-プロピレン共重合体、4-フッ化エチレン-6-フッ化エチレン共重合体類;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等の高分子量プレポリマー若しくはオリゴマー;ポリウレタン等が例示され、適宜使用される。また、その他、公知の無機或いは有機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、難燃剤、光沢剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。必要により、反応基を有する化合物は硬化剤、触媒が適宜配合される。特に樹脂クラック防止からも、公知の無機充填剤が好適に使用される。配合量は特に限定はないが、好適には10〜80重量%使用される。
【0013】
本発明に好適に使用する熱硬化性樹脂組成物は、それ自体は加熱により硬化するが硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣る場合には、使用した熱硬化性樹脂に対して公知の硬化剤や硬化促進剤を用い得る。使用量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して0.005〜20重量部、好ましくは0.01〜10重量部である。
【0014】
本発明で使用する金属張り積層板に用いるプリプレグの基材としては、公知の有機、無機の織布、不織布、有機フィルムなどが使用されるが、強度の関係から織布が好ましい。具体的には、無機繊維としては特に限定されないが、例えばEガラス、Sガラス、Dガラスなどの公知のガラス繊維の布が挙げられる。又、有機繊維にとしては、特に限定されないが、例えば液晶ポリエステル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンザゾール繊維などの布が挙げられる。これらは、混抄でも使用可能である。又、有機フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、全芳香族ポリアミドフィルム、液晶ポリエステルフィルムなどが挙げられ、これらのフィルムの表面は、樹脂との密着性の点から、コロナ処理、プラズマ処理、化学処理などの表面処理を施したものが好ましく、低圧プラズマ処理がより好ましい。
【0015】
プリプレグの製造方法としては、公知の方法が使用可能であり、例えば、上記基材に上記熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、加熱乾燥し、半硬化状態のプリプレグとする。加熱乾燥条件は、一般的に、温度は 100〜180℃であり、時間は 5〜60分であり、目的とするフローの程度により、適宜選択する。
【0016】
本発明で使用する金属張り積層板に用いるBステージ樹脂組成物シートは、アディティブ用樹脂組成物シート等、公知のものが使用できる。その製造方法は、公知の方法が使用可能であり、例えば離型フィルムの上にワニス溶液を塗布、乾燥して所定の厚みのBステージ樹脂組成物シートとする方法や、離型フィルムの替わりに金属箔を使用することにより、銅箔付きBステージ樹脂組成物シートとする方法が挙げられる。
【0017】
金属張り積層板の最外層の金属箔の形成方法は、特に限定されるものではなく、各種銅箔、銅メッキなど、公知のものが使用できる。好適には厚さ 3〜18μmの銅箔、ニッケル箔等が使用される。
本発明の金属張り積層板の製造方法は、金属芯となる内層金属板に、形成する予定のスルーホール径より大きめのクリアランスホールなどをエッチングなどで形成し、この金属板の全面に化学処理を施し、この両面にプリプレグやBステージ樹脂組成物シートを配置し、例えば、その外側に金属箔を配置し、積層成形して、クリアランスホールなどを樹脂組成物で充填して3層の金属張り積層板を作成する。
【0018】
本発明の金属張り積層板の積層成形条件は、特に限定されるものではなく、使用する樹脂組成によって適宜選択する。一般には温度 60〜300℃、圧力 2〜50kgf/cm2 、時間は 0.5〜3時間である。又、真空下に積層成形するのが好ましい。装置は真空ラミネータプレス、一般の多段真空プレスなど、周知のものが使用可能である。
【0019】
本発明の半導体プラスチックパッケージ用のプリント配線板を作成する方法は、特に限定されないが、例えば以下の方法による。 (1) 金属張り積層板の裏面を、レーザー等で内層金属板に到達するようにブラインドビア孔を形成し、必要によりデスミア処理後に、好適には孔内をメッキ、及び/又はハンダで充填する。 メッキは普通の銅メッキでも良く、この場合はこのブラインドビア孔内にハンダボールを溶融して流し込み、ハンダボールとの接着強度を向上することも可能である。(2) 金属張り積層板の所定の箇所に金属ドリル等で貫通孔を形成する。この貫通孔は内層金属板のクリアランスホールの中央部にあける。又、少なくとも1孔は内層金属板と結合するように孔あけする。(3) 金属張り積層板をデスミア処理した後にパネルメッキを行い、貫通孔を含む全面にメッキを付着させ、その後、表裏に回路を形成する。その後、必要により表面を研磨して平滑にする。(4) 金属張り積層板の半導体チップを接着する箇所をルーター等で内層金属板が露出するまで研削する。(5) UV選択熱硬化型レジストを積層板の表面に塗布、乾燥してから、露光、現像して、貴金属メッキを付着する箇所の銅箔を露出後、ニッケルメッキ、金メッキを施してプリント配線板とする。(6) 露出した内層金属板の表面に、銀ペースト等の熱伝導率の良好な接着剤を使用し、半導体チップを接着固定し、ワイヤボンディング、樹脂封止して、裏面のハンダボールパッドにハンダボールを接着し、半導体プラスチックパッケージとする。この製造方法は1例であり、これに限定されるものではない。
【0020】
本発明の半導体プラスチックパッケージは、電子部品として組み込まれ、半導体チップが作動すると、半導体チップに発生した熱は、半導体チップ搭載部分から金属板の反対面のブラインドビア部を通ってハンダボール用パッドに伝達し、ハンダボールで接合したマザーボードプリント配線板に拡散させるとともに、内層金属板と直接接続したスルーホールからも熱をマザーボードへ伝達し、拡散させる。
【0021】
本発明の半導体プラスチックパッケージを形成するプリント配線板を、各パッケージサイズに切断して切り離す場合、その側面は、金属板が熱硬化性樹脂組成物で埋め込まれている形、金属板が露出している形、いずれの形でも使用可能であるが、錆の発生などを防ぐ点から、金属板が熱硬化性樹脂組成物で被覆されている方が好適である。
【実施例】
【0022】
以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。『部』は重量部を表す。
実施例1
2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン 900部、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン 100部を 150℃に溶融させ、撹拌しながら4時間反応させ、プレポリマーを得た。これをメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解した。これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1001、油化シェルエポキシ<株>製) 400部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(:ESCN-220F、住友化学工業<株>製) 600部を、オクチル酸亜鉛 0.4部を加え、均一に溶解混合した。これに無機充填剤(ミクロエースP−2、日本タルク<株>製) 500部を加え、均一撹拌混合してワニスAを得た。このワニスAを厚さ 100μmのガラス織布に含浸、乾燥して、ゲル化時間(at170℃) 50秒、樹脂組成物含有量 60重量%のプリプレグBを作成した。 一方、厚さ 200μmのCu:99.9%,Fe:0.07%,P:0.03%の合金板の全体に、25μmの液状エッチングレジストを形成し、直径 500μmのクリアランスホール該当部分を露光、現像して除去した後、エッチングを行い、孔径 500μmのクリアランスホールを形成した。この合金板の全面にメック社のCZ処理(CZ8100+CX8300E処理)を施し、この両面に上記プリプレグBを各々1枚づつ配置し、その外側に厚さ 7μmの電解銅箔を置き、200℃、20kgf/cm2、10mmHg以下の真空下で2時間積層成形して内層金属板のクリアランスホールが樹脂埋めされた3層の銅張積層板Cを作成した。この銅張積層板Cの半導体チップを接着する箇所の裏面にUVレーザーで 1mm間隔にて孔径 70μmのブラインドビア孔を 100個あけ、デスミア処理後に無電解銅メッキ 0.5μm付着後、電気銅メッキでブラインドビア孔内をメッキ銅で 90%充填した。次に金属ドリルで、3層の銅張積層板のクリアランスホールの中央部に、孔径 250μmの貫通孔をあけ、更に銅張積層板の半導体チップを搭載する箇所の周囲に、内層金属板に直接接続した貫通孔を100個あけ、デスミア処理後、無電解銅メッキ 0.7μm、電気銅メッキ 16μmを付着させてから、これをバフ研磨して表面を平滑にした後、表裏に回路を形成し、銅張積層板の半導体チップを搭載する箇所(12mm角)をルーターで内層金属板が露出するまで研削した。半導体チップを搭載する周囲の表裏に回路を形成し、貴金属メッキを施す箇所以外はメッキレジストで被覆し、ニッケルメッキ、金メッキを付着させてプリント配線板とした。次いで露出した金属板の上に銀ペーストで 10mm角の半導体チップを接着し、ワイヤボンディングし、樹脂封止してから、裏面のハンダボールパッドにハンダボールを溶融して接着し、半導体プラスチックパッケージとした(図1)。これをマザーボードにハンダボールで接続した。評価結果を表1に示す。
【0023】
比較例1
実施例1において、裏面のブラインドビア孔及び半導体チップを搭載する箇所の周囲に形成した内層金属板に直接接続する貫通孔 100個については作成せず、それ以外は実施例1と同様にして半導体プラスチックパッケージを作成した。これをマザーボードにハンダボールで接続した。評価結果を表1に示す。
【0024】
比較例2
エポキシ樹脂(エピコート5045、ジャパンエポキシレジン<株>製)800部、及びエポキシ樹脂(ESCN220F、住友化学工業<株>製)200部、ジシアンジアミド 30部、2-エチル-4-メチルイミダゾール 1部をメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドとの混合溶剤に溶解し、これを厚さ 100μmのガラス織布に含浸、乾燥させて、ゲル化時間(at170℃) 70秒、樹脂組成物含有量 60重量%のプリプレグDを作成した。このプリプレグDを2枚使用し、上下に 12μmの電解銅箔を配置し、200℃、20kgf/cm2、30mmHg以下の真空下に2時間積層成形し、両面銅張積層板を得た。所定の位置に孔径 0.25mmφのスルーホールをドリルであけ、デスミア処理後に銅メッキを施した。この板の上下に公知の方法で回路を形成し、メッキレジストで被覆後、ニッケル、金メッキを施した。これは半導体チップを搭載する箇所に放熱用のスルーホールが形成されており、この上に銀ペーストで半導体チップを接着し、ワイヤボンディング後、樹脂封止し、実施例1と同様にハンダボールを接合した(図2)。同様にマザーボードに接合した。評価結果を表1に示す。
【0025】
表1
項 目 実 施 例 比 較 例
1 1 2
放 熱 性(℃) 31 51 68
ボールシェア強度(kgf) 1.7 1.2 −
吸湿後の耐熱性(A)
72hrs. 異常なし 異常なし 異常なし
96hrs. 異常なし 異常なし 一部剥離
120hrs. 異常なし 異常なし 一部剥離
168hrs. 異常なし 一部剥離 一部剥離
吸湿後の耐熱性(B)
48hrs. 異常なし 異常なし 剥離大
72hrs. 異常なし 異常なし ワイヤ切れ
96hrs. 異常なし 異常なし ワイヤ切れ
120hrs. 異常なし 一部剥離 ワイヤ切れ
耐マイグレーション性(Ω)
200hrs. 5X1011 3X1011 3X109
500hrs. 4X1011 3X1011 <108
700hrs. 2X1011 1X1011
1000hrs. 5X1010 4X1010
【0026】
<測定方法>
放熱性:半導体プラスチックパッケージを同一マザーボードプリント配線板にハンダボールで接着させ、室温 25℃で 5VDCを印加し、1000時間連続作動時のパッケージの表面温度を測定した。
ボールシェア強度:径 0.6mmのボールパッド部にハンダボールを付けたサンプルを、ボールシェア強度測定器(モデル-2252 アイコーエンジニアリング社製)に固定し、CPUゲージ(モデル-9500 同社製)にて、ハンダボールがプリント基板から剥離する時のボールシェア強度を測定した。
吸湿後の耐熱性(A):JEDEC STANDARD TEST METHOD A113-A LEVEL3;30℃・60%RHで所定時間処理後、220℃リフローソルダー3サイクル後の基板の異常の有無について、断面観察及び電気的チェックによって確認した。
吸湿後の耐熱性(B):JEDEC STANDARD TEST METHOD A113-A LEVEL2;85℃・60%RHで所定時間(Max.168hrs.)処理後、220℃リフローソルダー3サイクル後の基板の異常の有無を断面観察及び電気的チェックによって確認した。
耐マイグレーション性:内層金属板とスルーホール間(クリアランスホールと内層金属板間)距離 150μmで(比較例2は孔壁間 150μmの孔を各 100繋いだ試験片を作成し)、85℃・85%RH、50VDC 印加して端子間の絶縁抵抗値を測定した。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1の金属芯入り半導体プラスチックパッケージ製造工程図。
【図2】比較例2の半導体プラスチックパッケージ製造工程図。
【符号の説明】
【0028】
a 金属板
b クリアランスホール
c 銅箔
d プリプレグB
e 金属芯入り3層両面銅張積層板
f メッキで充填されたブラインドビア孔
g ボンディングパッド回路
h 研削されて露出した内層金属板
i 表裏回路導通用スルーホール
j 封止樹脂
k 半導体チップ
l ボンディングワイヤ
m 銀ペースト
n ハンダボール
o メッキレジスト
p ハンダボールパッド
q 両面銅張積層板
r 両面プリント配線板
s 半導体チップ下に形成されたスルーホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板の厚さ方向の一部に、半導体チップを直接搭載し、少なくとも半導体チップ搭載部の周囲にワイヤボンディング用回路が形成され、その回路と、プリント配線板の裏側に形成された回路或いはハンダボールで接続用の導体パッドがスルーホール導体で接続されているプリント配線板に使用する金属張り積層板が、該スルーホール径より大きめのクリアランスホール或いはスリット孔が形成された内層金属板を有する構造であり、搭載する半導体チップより少し大きめに内層金属板の一部が表面に露出し、ここに半導体チップが固定され、ワイヤボンディングされ、樹脂封止されている金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージにおいて、内層金属板と該スルーホールの少なくとも1個は直接接続しており、金属張り積層板の半導体チップが固定されている箇所の裏側からブラインドビア孔で裏面の回路と導体で内層金属板が接続されており、この裏面の回路にハンダボールが接続していることを特徴とする金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージ。
【請求項2】
該金属板が、銅 95重量%以上の銅合金、或いは純銅である請求項1記載の金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージ。
【請求項3】
該ブラインドビア孔がメッキ銅、及び/又はハンダで充填されている請求項1又は2記載の金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージ用プリント配線板。
【請求項4】
該金属張り積層板に用いる樹脂組成物が、シアン酸エステル樹脂を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物である請求項1〜3のいづれかに記載の金属芯入りキャビティ型半導体プラスチックパッケージ。

【図1】
image rotate



【図2】
image rotate


【公開番号】特開2005−79516(P2005−79516A)
【公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−311480(P2003−311480)
【出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)