説明

金属被覆光ファイバ製造装置、給電ローラ及び金属被覆光ファイバの製造方法

【課題】めっき槽を大型化することなく所定厚にめっきすることができると共に、光ファイバへの給電を容易且つ安定させることのできる金属被覆光ファイバ製造装置を提供する。
【解決手段】本発明の金属被覆光ファイバ製造装置では、めっき液5が満たされ且つ第1電極6が配置されためっき槽7内を、第1回転体8と第2回転体9の周面8a、9aに光ファイバ1を巻き付けるようにして送り出すことで複数回に渡って前記光ファイバ1を往復走行させるように構成する。そして、第1電極6と第2回転体9間に電圧を印加し、この第2回転体9の周面に巻き付く光ファイバ1の導電体層2に給電し、当該第2回転体9を第2電極とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの外表面に金属被覆層を形成する金属被覆光ファイバ製造装置、給電ローラ及び金属被覆光ファイバの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1及び2には、光ファイバの外表面に電気めっきにより金属層を形成する技術が開示されている。特許文献1では、光ファイバ用母材を紡糸炉で加熱溶融して紡糸した後、光ファイバの表面に高分子導電体層を被覆し、その後めっき槽に光ファイバを浸漬させて走行させることで金属層を形成している。
【0003】
特許文献2では、プリフォームを加熱炉で加熱溶融して紡糸した後、CVD装置でカーボン層を形成した光ファイバを、水銀が満たされた給電槽を通過させて電流印加し、電気めっき槽に浸漬させて走行させることによって、金属層を形成している。
【0004】
前記光ファイバに電気めっきによって金属層を被覆するには、めっき液側と光ファイバ(具体的には光ファイバ表面に形成した導体部)側との間に電圧を印加する必要がある。特許文献1では、めっき槽から出た光ファイバを両側から挟み込むようにして配置した一対の給電ローラ間に電圧を印加させている。特許文献2では、めっき槽の両側に設けた通電部に光ファイバを摺接させて電圧の印加を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭63−10803号公報
【特許文献2】特開平6−305783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2では、何れも光ファイバをめっき槽内において浸漬させて一方から他方へ走行させているだけであるため、めっき成長部の厚みはめっき槽の長さに依存する。つまり、めっき厚を厚くするには、めっき槽の長さを長くする必要がある。特に、一定電流における電気めっきの場合、めっき槽長さに対するめっき厚の効率が悪く、めっき厚を厚くするには出来るだけめっき槽長さを長くする必要がある。しかしながら、めっき槽を長くすると、省スペース及び装置コストの観点から有利でない。
【0007】
また、特許文献1では、給電ローラと光ファイバが点接触となるため、それらの間の接触抵抗が大きくなり、印加電圧を多くしなくてはならなくなる。また、特許文献1では、給電ローラ間の間隔調整が困難になること、片側からの給電構造のため給電ローラからの距離が大きくなることによる電圧降下が大きくなること、等の課題がある。
【0008】
また、特許文献2では、給電に水銀を使用しているため、有害物質である水銀の取り扱いが難しい等の課題がある。
【0009】
そこで、本発明は、めっき槽を大型化することなく所定厚にめっきすることができると共に、光ファイバへの給電を容易且つ安定させることのできる金属被覆光ファイバ製造装置、給電ローラ及び金属被覆光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の金属被覆光ファイバ製造装置は、導電体層が表面に形成された光ファイバを送り出す送出手段と、前記送出手段で送り出された前記光ファイバの表面に金属被覆層を形成するためのめっき液が満たされ且つ第1電極が配置されためっき槽と、前記めっき槽内を複数回に渡って前記光ファイバを往復走行させる、該めっき槽の両側に配置された第1回転体及び第2回転体と、前記第1回転体又は第2回転体の何れか一方に給電して、前記光ファイバを第2電極とする給電手段と、めっきされて金属被覆層が形成された光ファイバを巻き取る巻取機と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金属被覆光ファイバ製造装置であって、前記給電手段で給電される何れかの第1回転体又は第2回転体は、前記光ファイバをその回転体の表面に巻き付けて送り出す給電ローラからなることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の金属被覆光ファイバ製造装置であって、前記めっき槽の両側に、該めっき槽から溢れ出るめっき液を回収するオーバーフロー槽を設けたことを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明は、導電体層が表面に形成された光ファイバを、めっき液と第1電極が設けられためっき槽内を複数回に渡って往復走行させて、該光ファイバの表面に金属被覆層を形成する金属被覆光ファイバ製造装置に用いられる給電ローラであって、
前記給電ローラは、前記めっき槽の両側に配置される第1回転体又は第2回転体の何れかとされ、一方の回転体に給電して前記光ファイバを第2電極とし且つその回転体の表面に前記光ファイバを巻き付けて送り出す送出機能を持つことを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の発明は、めっき液が満たされためっき槽内に、導電体層が表面に形成された光ファイバを浸漬させて走行させることにより電気めっきして、外表面に金属被覆層を形成する金属被覆光ファイバの製造方法において、前記光ファイバに給電を行うと共に、該光ファイバを、前記めっき槽内において複数回に渡って往復走行させて前記金属被覆層を形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の金属被覆光ファイバ製造装置によれば、めっき槽の両側に配置された第1回転体と第2回転体によって光ファイバを、該めっき槽内を複数回に渡って往復走行させる構成したので、めっき槽を大型化しなくても光ファイバのめっき槽内での走行回数を増やしてめっき処理時間を長くすることができることから所定厚の金属被覆層を形成することができる。
【0016】
本発明の給電ローラによれば、光ファイバを回転体の表面に巻き付けて送り出す送出機能を持ち且つ光ファイバに電圧を印加する給電機能を持つため、該光ファイバとの接触部位が大となり接触抵抗の低減により印加電圧を小さくすることができると共に、一つの部品で光ファイバの送り出しと給電を行うことが可能となることから部品数の削減及び装置構造の簡略化が図れる。
【0017】
本発明の金属被覆光ファイバの製造方法によれば、めっき槽内に光ファイバを複数回に渡って往復走行させているため、それだけ長い時間光ファイバに対してめっきすることができることから、めっき槽を大型化することなく所定厚の金属被覆層を形成することができ、また、印加電圧を小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本実施形態の金属被覆光ファイバ製造装置の概略構成全体を示す断面図である。
【図2】図2は図1のめっき槽及びそのめっき槽に光ファイバを複数回に渡って往復走行させる機構部の平面図である。
【図3】図3は金属被覆層が形成された金属被覆光ファイバの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
[金属被覆光ファイバ製造装置及び給電ローラの構成]
図1は本実施形態の金属被覆光ファイバ製造装置の概略構成全体を示す断面図、図2は図1のめっき槽及びそのめっき槽に光ファイバを複数回に渡って往復走行させる機構部の平面図、図3は金属被覆層が形成された金属被覆光ファイバの断面図である。
【0021】
本実施形態の金属被覆光ファイバ製造装置で製造する金属被覆光ファイバは、図3に示すように、光ファイバ1の表面に導電体層2が形成され、その導電体層2の表面に電気めっきされて金属被覆層3が形成された構造である。導電体層2は、例えば無電解めっきにて形成される銅からなる。金属被覆層3は、例えば銅めっきからなる。
【0022】
前記構造の金属被覆光ファイバを製造するための金属被覆光ファイバ製造装置は、図1に示すように、導電体層2が表面に形成された光ファイバ1を送り出す送出手段である送出機4と、この送出機4で送り出された光ファイバ1の表面に金属被覆層3を形成するためのめっき液5が満たされ且つ第1電極6が配置されためっき槽7と、このめっき槽7内を複数回に渡って往復走行させる第1回転体8及び第2回転体9と、第1回転体8又は第2回転体9の何れか一方に給電して光ファイバ1を第2電極とする給電手段である整流器10と、めっきされて金属被覆層3が形成された光ファイバ1を巻き取る巻取機11と、走行する光ファイバ1にテンションを付与するテンション付与手段である送出ダンサ12及び巻取ダンサ13と、を備えている。
【0023】
前記送出機4には、電気めっき処理工程前に事前に光ファイバ1の表面に無電解めっきされて導電体層2が形成された光ファイバ1が巻回されている。送出機4は、光ファイバ1をめっき槽7へ繰り出すための送り出し装置である。
【0024】
めっき槽7は、第1回転体8と第2回転体9間を往復する往路と復路にそれぞれ設けられており、全部で2つ配置されている。各めっき槽7には、光ファイバ1の表面に金属被覆層3を形成するための銅めっき液からなるめっき液5が満たされている。また、めっき槽7には、アノード電極となる第1電極6が配置されている。第1電極6は、図2に示すように、めっき槽7内を往復走行する光ファイバ1を挟んでその両側にそれぞれ該光ファイバ1と平行に対向配置されている。この実施形態では、2組の第1電極6、6をそれぞれ各めっき槽7内に配置している。
【0025】
前記各めっき槽7の両側には、該めっき槽7から溢れ出るめっき液5を回収するオーバーフロー槽14が設けられている。
【0026】
第1回転体8は、めっき槽7脇に設けられた一方(送出機4に近い側)のオーバーフロー槽14に隣接して設けられたプーリ室15内に配置されている。かかる第1回転体8は、円柱形状又は円筒形状をなすローラとして形成されている。この第1回転体8は、回転軸16を軸受け(図示は省略する)で支持することにより周方向に回転自在とされている。また、第1回転体8の周面8aには、光ファイバ1が回転軸16の軸方向である高さ方向に複数巻回されるように巻き付くようになっている。なお、第1回転体8は、モータ等の駆動源により回転させられるのではなく、その周面8aに巻き付く光ファイバ1の走行力によって回転する。
【0027】
第2回転体9は、めっき槽7脇に設けれた他方(送出機4から遠い側)のオーバーフロー槽14に隣接して設けられたローラ室17内に配置されている。かかる第2回転体9は、円柱形状又は円筒形状をなすローラとして形成されている。この第2回転体9は、回転軸18をモータ19で回転駆動することにより回転させられる。前記モータ19は、第2回転体9を回転させることで、その周面9aに巻き付く光ファイバ1を所定の線速度一定で走行させる。線速度一定で光ファイバ1を走らせることで、めっき厚さを均一にすることができる。なお、線速度一定でないと、光ファイバ1の箇所によってはめっき厚さにばらつきが生じる。また、第2回転体9の周面9aには、光ファイバ1が回転軸18の軸方向である高さ方向に複数巻回されるように巻き付くようになっている。
【0028】
また、この第2回転体9は、光ファイバ1の導電体層2を第2電極(カソード電極)とするために、導電性に優れたステンレス鋼(例えばSUS316)から形成されている。このため、第2回転体9は、光ファイバ1をその回転体の表面9aに巻き付けて送り出す機能と光ファイバ1自体(実質的には導電体層2自体)を第2電極とする給電ローラとなる。
【0029】
前記整流器10は、第1電極6と第2回転体9の回転軸18に接続されており、これらに電気めっきするための電圧を印加する。前記回転軸18には、ロータリジョイント20が接続されており、このロータリジョイント20を介して前記整流器10から電流が通電される。回転軸18に通電された電流は、第2回転体9に巻き付く光ファイバ1の導電体層2に流れることになる。
【0030】
前記巻取機11は、めっき槽7で電気めっき処理されることにより金属被覆層3が形成された光ファイバ1を巻き取るための巻き取り装置である。
【0031】
送出ダンサ12は、送出機4の前方に配置されている。かかる送出ダンサ12は、送出機4から送り出される光ファイバ1にテンションを掛け、該光ファイバ1が弛まないようにする。巻取ダンサ13は、巻取機11の手前に配置されている。この巻取ダンサ13は、めっき処理後の光ファイバ1が弛まないようにしてテンションを掛けるようにしている。したがって、これら送出ダンサ12と巻取ダンサ13によって掛けられるテンションにより、前記光ファイバ1の走行状態が安定する。
【0032】
なお、送出ダンサ12の近傍部には、光ファイバ1の走行経路をU字状にして該光ファイバ1を送出ダンサ12に巻き付けるためのガイドローラ21、22が設けられている。同様に、巻取ダンサ13の近傍部には、光ファイバ1の走行経路をU字状にして該光ファイバ1を巻取ダンサ13に巻き付けるためのガイドローラ23、24が設けられている。
【0033】
前記構成の金属被覆光ファイバ製造装置においては、送出機4からめっき槽7へ光ファイバ1を送って電気めっきされた金属被覆層3が形成された光ファイバ1を巻き取る巻取機11に至る走行経路のうち、めっき槽7、オーバーフロー槽14、プーリ室15及びローラ室17を、前記光ファイバ1が通過できるように走行用孔がそれぞれに形成されている。この走行用孔は、光ファイバ1を通過させることが可能な小さな孔とされている。
【0034】
[金属被覆光ファイバの製造方法]
以上のようにして構成された金属被覆光ファイバ製造装置及びその金属被覆光ファイバ製造装置に用いられる給電ローラによって、光ファイバ1の表面に電気めっきにより金属被覆層3を形成する方法について説明する。
【0035】
先ず、送出機1に導電体層2が形成された光ファイバ1をセットする。次に、この送出機1から光ファイバ1を引き出し、一方のガイドローラ21から送出ダンサ12を介して他方のガイドローラ22に光ファイバ1を掛けることで、当該光ファイバ1をU字形状とする。その後、プーリ室15、一方のオーバーフロー室14、めっき槽7、他方のオーバーフロー室14、ローラ室17へと光ファイバ1を配索する。そして、光ファイバ1をローラ室17に配置された第2回転体9の周面9aに巻き付けた後、今度は、他方のオーバーフロー室14、めっき槽7、一方のオーバーフロー室14、プーリ室15へと光ファイバ1を配索する。そして、光ファイバ1をプーリ室15に配置された第1回転体8の周面8aに巻き付ける。
【0036】
これを複数回繰り返すことで、光ファイバ1を第1回転体8と第2回転体9間に掛け渡す。図1では、光ファイバ1を第1回転体8と第2回転体9に4回巻き付けている。これで、光ファイバ1は、めっき槽7を4往復走行することになる。そして、複数回巻き付けられた光ファイバ1を、一方のガイドローラ24から巻取ダンサ13を介して他方のガイドローラ23に光ファイバ1を掛けることで、当該光ファイバ1をU字形状とする。そして、最後に光ファイバ1を、巻取機11に取り付ける。これにより、光ファイバ1の走行経路が構築される。
【0037】
以上のように配索された光ファイバ1を電気めっきするには、送出機4から光ファイバ1を送り出すと共に巻取機11で光ファイバ1を巻き取ることによって該光ファイバ1を走行させる。すると、光ファイバ1は、第1回転体8と第2回転体9の周面8a、9aに巻き付けられてめっき槽7を複数回に渡って往復走行する。このとき、光ファイバ1は、第1回転体8及び第2回転体9の周面8a、9aに対して全周長の半分の長さに渡って巻き付く。
【0038】
また、第1電極6と第2回転体9間には、整流器10により電気めっきするための電圧を印加する。第2回転体9に電流が流れると、導電性金属材料からなる該第2回転体9を介してその回転体の周面9aに巻き付く光ファイバ1の導電体層2に電流が流れることになる。その結果、光ファイバ1自体が第2電極として機能することになる。第1電極6と第2電極となる光ファイバ1間で電気めっきがなされ、めっき槽7を浸漬して走行する際に前記導電体層2に銅めっきが堆積されて行く。
【0039】
光ファイバ1は、めっき槽7を複数回に渡って往復走行するため、めっき槽7自体を大型化しなくても長時間めっき処理されることになることから、所定厚の金属被覆層3を形成することができる。通常、電流密度はめっき液によって管理範囲が決まっており、無限に大きくすることができない。そのため、電気めっきの処理時間を長くすることで、めっき厚さを厚くする必要がある。同一長さLのめっき槽7を有する場合、そのめっき槽7を直線的に一度だけ光ファイバ1を走行させた場合に比べて、本実施形態では、複数回に渡って光ファイバ1をめっき槽7内を往復走行させることによりめっき厚を数倍厚くすることが可能となる。
【0040】
そして、めっきされて所定厚となった金属被覆層3が形成された光ファイバ1を巻取ダンサ13でテンションを掛けながら巻取機11で巻き取る。これで、金属被覆層3でその表面が覆われた金属被覆光ファイバが製造される。
【0041】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の金属被覆光ファイバ製造装置によれば、めっき槽7の両側に配置された第1回転体8と第2回転体9によって光ファイバ1を、該めっき槽7内を複数回に渡って往復走行させるので、めっき槽7を大型化しなくても光ファイバ1のめっき槽7内での走行回数(通過回数)を増やしてめっき処理時間を長くすることができることから所定厚の金属被覆層3を形成することができる。
【0042】
また、本実施形態の金属被覆光ファイバ製造装置によれば、整流器10で供給される第2回転体9は、光ファイバ1をその回転体の表面9aに巻き付けて送り出す給電ローラとなるため、光ファイバ1を送り出す送り出しローラの機能と光ファイバ1に給電する給電ローラとしての機能を併せ持つことになる。
【0043】
また、本実施形態の金属被覆光ファイバ製造装置によれば、めっき槽7の両側に該めっき槽7から溢れ出るめっき液5を回収するオーバーフロー槽14を設けているので、めっき槽7から溢れためっき液5をオーバーフロー槽14で回収して再利用することができる。
【0044】
また、本実施形態の金属被覆光ファイバ製造装置によれば、第1回転体8及び第2回転体9の何れの回転体の周面8a、9aに対しても光ファイバ1をその半周分巻き付けているため、光ファイバ1の走行状態を安定化させることができると共に、給電ローラとしても機能する第2回転体9に対する光ファイバ1の接触部位(接触領域)領域が増えることから給電状態を安定させることができる。その結果、整流器10による印加電圧を増大させる必要が無くなる。
【0045】
本実施形態の給電ローラによれば、光ファイバ1を回転体の表面に巻き付けて送り出す送り出し機能を持ち且つ光ファイバ1に電圧を印加する給電機能を持つため、該光ファイバ1との接触部位が大となり接触抵抗の低減により印加電圧を小さくすることができると共に、一つの部品で光ファイバ1の送り出しと給電を行うことが可能となることから部品数の削減及び装置構造の簡略化を図ることができる。
【0046】
本実施形態の金属被覆光ファイバの製造方法によれば、めっき槽7内に光ファイバ1を複数回に渡って往復させているため、それだけ長い時間光ファイバ1に対してめっきすることができることから、めっき槽7を大型化することなく所定厚の金属被覆層3を形成することができ、また、印加電圧を小さくすることが可能となる。
【0047】
以上のように、本発明を適用した具体的な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。
【0048】
例えば、上述の実施形態では、第2回転体9を給電ローラとしたが、第1回転体8を給電ローラとすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、光ファイバの表面に電気めっきして金属被覆層を形成する金属被覆光ファイバ製造装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…光ファイバ
2…導電体層
3…金属被覆層
4…送出機(送出手段)
5…めっき液
6…第1電極
7…めっき槽
8…第1回転体
9…第2回転体
10…整流器(給電手段)
11…巻取機
12…送出ダンサ(テンション付与手段)
13…巻取ダンサ(テンション付与手段)
14…オーバーフロー槽
20…ロータリジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体層が表面に形成された光ファイバを送り出す送出手段と、
前記送出手段で送り出された前記光ファイバの表面に金属被覆層を形成するためのめっき液が満たされ且つ第1電極が配置されためっき槽と、
前記めっき槽内を複数回に渡って前記光ファイバを往復走行させる、該めっき槽の両側に配置された第1回転体及び第2回転体と、
前記第1回転体又は第2回転体の何れか一方に給電して、前記光ファイバを第2電極とする給電手段と、
めっきされて金属被覆層が形成された光ファイバを巻き取る巻取機と、を備えた
ことを特徴とする金属被覆光ファイバ製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の金属被覆光ファイバ製造装置であって、
前記給電手段で給電される何れかの第1回転体又は第2回転体は、前記光ファイバをその回転体の表面に巻き付けて送り出す給電ローラからなる
ことを特徴とする金属被覆光ファイバ製造装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の金属被覆光ファイバ製造装置であって、
前記めっき槽の両側に、該めっき槽から溢れ出るめっき液を回収するオーバーフロー槽を設けた
ことを特徴とする金属被覆光ファイバ製造装置。
【請求項4】
導電体層が表面に形成された光ファイバを、めっき液と第1電極が設けられためっき槽内を複数回に渡って往復走行させて、該光ファイバの表面に金属被覆層を形成する金属被覆光ファイバ製造装置に用いられる給電ローラであって、
前記給電ローラは、前記めっき槽の両側に配置される第1回転体又は第2回転体の何れかとされ、一方の回転体に給電して前記光ファイバを第2電極とし且つその回転体の表面に前記光ファイバを巻き付けて送り出す送出機能を持つ
ことを特徴とする給電ローラ。
【請求項5】
めっき液が満たされためっき槽内に、導電体層が表面に形成された光ファイバを浸漬させて走行させることにより電気めっきして、外表面に金属被覆層を形成する金属被覆光ファイバの製造方法において、
前記光ファイバに給電を行うと共に、該光ファイバを、前記めっき槽内において複数回に渡って往復走行させて前記金属被覆層を形成する
ことを特徴とする金属被覆光ファイバの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−227326(P2011−227326A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97657(P2010−97657)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】