説明

金属酸化物の有機基材へのマイクロ波付着を使用する方法

本発明は、周期表の第3族〜第15族からなる群より選択される金属の1種以上の酸化物からなる少なくとも1つの誘電体層を含む、面平行な構造(小板状の構造体またはフレーク)を製造する方法に関するものであり、この方法は、以下の工程(a)および(b)を含む:
(a)誘電体薄膜を可撓性ベルトに塗被する工程であって、フッ素スカベンジャーと、所望の金属酸化物コーティングの前駆材料である1種以上のフッ素含有金属錯体とを含む水溶液中に、ベルトを通過させ;および、溶液にマイクロ波放射を施して可撓性ベルトに金属酸化物を付着させることにより、誘電体薄膜を可撓性ベルトに塗被し、場合により、複数の異なるフッ素含有金属錯体を用いて工程(a)を繰り返し、1つ以上の金属酸化物層を、または厚さ方向に2種の異なる金属酸化物の濃度の勾配を生成することができる、工程;(b)得られた層を面平行な構造として可撓性ベルトから分離する工程;を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素スカベンジャーの水溶液からの金属酸化物または混合金属酸化物の可撓性ベルトへのマイクロ波付着を使用する方法に関する。
【0002】
金属酸化物層を対応する塩(すなわち、硫酸塩またはハロゲン化物)の液相分解(加水分解)により付着させることを伴う方法は、それら自体知られており、かつ半透明の、非反射性のマイカコア材料を有する光輝、または真珠光沢性の顔料を形成するのに使用されてきた。しかし、例えばUS−B−3,087,827やUS−B−5,733,371に記載されるそのような方法は、そのようなプロセスによって要求される高い酸性(pHが4よりも低い)の水溶液中で反射性の金属コアを伴うエフェクト顔料を形成するのに適すると考えられていなかった。US−B−6,369,147は、所定の金属コアを選定し、場合によりそれらを一層耐食性にさせるような方法でそれらを処理することによって前記の問題を解決するプロセスについて開示している。
【0003】
ガラスやLEDデバイス用に使用される酸化インジウムスズがコーティングされたガラス板に金属酸化物を付着させるためのマイクロ波エネルギーの使用は知られており、E.Vigil,L.Saadoun,Thin Solid Films 2000,365,pp12-18およびE.Vigil,L.Saadoun,J.Materials Science Letters 1999,18 pp1067-1069のような多数の雑誌論文に開示されている。良好な密着が、酸化インジウムスズがコーティングされたガラス板上だけで得られ、著者等は、このことが、酸化インジウムスズコーティングのなんらかの電子供与能力によるものであるということを提案した(Vigil,E.; Ayllon,J.A.; Peiro, A.M.; Rodriguez-Clemente,R.; Domenech,X.; Peral,J.Langmuir 2001,17,891を参照)。
【0004】
マイクロ波照射による金属酸化物粒子の大量沈殿は、良く知られている。マイクロ波付着を用いた大量沈殿酸化物の例については、(1)Lerner,E.; Sarig,S.; Azoury,R.,Journal of Materials Science: Materials in Medicine 1991,2,138 (2)Daichuan,D.; Pinjie,H.; Shushan,D. Materials Research Bulletin,1995,30,537 (3)Leonelli,C.等、Microwaves: Theory and Applications in Materials Processing 2001,111,321, (4)Girnus,I.等、Zeolites 1995,15,33, (5)Rodriguez-Clements, R.等、Journal of Crystal Growth 1996,169,339および(6)Daichuan,D.; Pinjie,H.; Shushan,D. Materials Research Bulletin,1995,30,531を参照。
【0005】
驚くべきことに、出願人等は、本発明のマイクロ波付着プロセスの使用が、コア上に均一な厚さの金属酸化物の均一な、半透明のまたは透明の薄いフィルムを付着させ、その厚さは、金属酸化物前駆体材料の質量に基づいて調節することができ、金属酸化物を沈殿させないで所望の作用に応じて種々の厚さの金属酸化物の薄膜の調製を可能にする、プロセスを可能にすることを見出した。マイクロ波処理により、エネルギーは、バルク混合物に比べて基材によるマイクロエネルギーの吸収度が一層良好であるために、基材材料上に集中される。コーティングの厚さまたは組成を変えるための反応条件の容易な調整、並びにバルク媒体中への最少の付着は、本発明の有意な利点である。
【0006】
よって、本発明の目的は、本明細書中以降に規定する通りの有機基材に金属酸化物層のマイクロ波付着を使用する方法を提供することにある。
【0007】
本発明は、周期表の第3族〜第15族からなる群より選択される金属の1種以上の酸化物からなる少なくとも1つの誘電体層を含む、面平行な構造(小板状の構造体またはフレーク)を製造する方法に関するものである。この方法は、以下の工程(a)および(b)を含む;
(a)誘電体薄膜を可撓性ベルトに塗被する工程であって、フッ素スカベンジャーと、所望の金属酸化物コーティングの前駆材料である1種以上のフッ素含有金属錯体とを含む水溶液中に、ベルトを通過させ;および、溶液にマイクロ波放射を施して可撓性ベルトに金属酸化物を付着させることにより、誘電体薄膜を可撓性ベルトに塗被し、場合により、複数の異なるフッ素含有金属錯体を用いて工程(a)を繰り返し、1つ以上の金属酸化物層を、または厚さ方向に2種の異なる金属酸化物の濃度の勾配を生成する工程;
(b)得られた層を面平行な構造として可撓性ベルトから分離する工程。
【0008】
可撓性ベルトは好ましくは、作用するマイクロ波空洞を通過させるのに適した任意の材料からなる連続ベルト、またはエンドレスベルトである。このベルトは、処理温度において、また、用いられる分離剤/反応混合物/溶剤との接触といった他の条件下で、化学的および物理的に安定している。
【0009】
好ましくは工程(a)の前に可撓性ベルトに分離剤をコーティングし、工程(b)得られた層の可撓性ベルトからの分離を、分離剤を適切な溶剤に溶解させることによって達成する。
【0010】
一般に、場合により剥離層をコーティングしてあるベルトを、フッ素スカベンジャーとフッ素含有金属錯体を含む水溶液中を通過させ、この水溶液にマイクロ波放射を施す。フッ素スカベンジャーとフッ素含有金属錯体が水溶液に連続的に添加される。好ましくは、溶液中の金属酸化物前駆材料とフッ素スカベンジャーの両方の濃度が、遠隔制御装置によって一定に保たれる。マイクロ波照射中に、金属酸化物層がベルト上で成長する。その厚さは、マイクロ波の強度、水槽温度、前駆材料の濃度、および(コンベヤー)ベルトの速度によって決まる。
【0011】
場合により、可撓性ベルトには、少なくとも1種の導電性材料の薄膜をさらにコーティングする。この少なくとも1種の導電性材料は、金属または透明な導電性金属酸化物のいずれかである。導電性材料が金属である場合、その金属は好ましくは銅またはアルミニウムである。好ましい導電性金属酸化物は、ハロゲン原子が散在する酸化スズまたは酸化チタンである。導電性金属酸化物層を調製するのに適した前駆材料水溶液は公知であり、Vigil等のThin Solid Films 2000, 365, 12やVigil等のJ. Langmuir 2001, 17, 891など、各種の学術論文で発表されている。導電性層の導電率は好ましくは1平方当たり10−2〜100オーム、より好ましくは1平方当たり1〜10オームである。導電性材料の加熱特性が高いため、マイクロ波放射加熱によって薄膜成長がより容易に活性化される。
【0012】
フッ素スカベンジャーは、水溶液中のフッ素イオンを捕捉することができる任意の化合物が好ましく、例えばホウ酸、アルカリ金属ホウ酸塩、例えばホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ素無水物または一酸化ホウ素であり、ホウ酸アンモニウムが特に好ましい。本発明の一実施態様では、ホウ酸アンモニウムを用いる。ホウ酸アンモニウム溶液の濃度は、少なくとも金属酸化物コーティングを有機材料上に付着させる間にフッ素イオンを捕捉するのに必要とするものである。一実施態様では、過剰のホウ酸アンモニウムを用いる。通常は、ホウ酸アンモニウムは、水溶液の合計量に基づいて、約0.01〜1.0Mの範囲、好ましくは約0.05〜0.5Mの範囲で用いる。好都合なことに、この方法は約15℃〜約95℃で実施することができる。マイクロ波マグネトロンの出力を調整することによって、または電源オンオフの時間間隔を変更しながら出力を一定に設定することによって、この温度を調節することができる。
【0013】
本発明の方法では、周期表の3〜15族の元素の酸化物をベルト上に、所望の金属酸化物の前駆材料であるフッ素含有金属錯体の溶液を加え、そしてマイクロ波エネルギーを加えることによって付着させる。水溶液は、ベルトへの付着による以外に金属酸化物の沈殿を制限するために、水溶液を連続して加えるのが普通である。基材材料および次の金属酸化物の層をコーティングもしくは塗被するのに適した金属酸化物は、当技術分野において良く知られており、TiO、ZrO、CoO、SiO、SnO、GeO、ZnO、Al、V、Fe、Sb、Cr、PbTiOもしくはCuOまたはこれらの混合物を含む。特に好ましいものは、二酸化ケイ素である。所望の金属酸化物を形成する前駆材料溶液は、下記の材料の内の一種または組合せの水溶液であることが好ましい:
(a)可溶性のフッ化金属塩、
(b)可溶性のフッ化金属錯体、または
(c)塩または錯体を形成する任意の混合物。
【0014】
例として、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム;フッ化アンモニウムおよび塩化チタン、または塩化チタン、フッ化アンモニウム、およびフッ化水素から調製する錯体;ヘキサフルオロ第二スズ酸アンモニウム(ammonium hexafluorostanate);ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム;ペンタフルオロケイ酸アンモニウム;塩化鉄(III)、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウムの混合物;塩化アルミニウム(III)、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウムの混合物;ヘキサフルオロゲルマン酸アンモニウム;ならびにフッ化インジウム(III)三水和物とヘキサフルオロ第二スズ酸アンモニウムの組み合わせが挙げられる。最後の例では、2種以上の元素を含む金属酸化物薄膜、すなわちインジウム/スズ酸化物薄膜が形成される。フッ素含有金属錯体の濃度はこの方法にとって重要ではない。一定のベルト速度において所望の厚さが得られるまで混合物を照射できるため、この濃度は、扱いやすさを基準にして決めることができる。したがって、この濃度は約0.01Mから飽和溶液までの範囲であることができる。本発明の一態様においては、水溶液の合計量に基づいて約0.2M〜約0.4Mの範囲のヘキサフルオロケイ酸アンモニウムの溶液が用いられる。
【0015】
混合干渉/吸収効果を生じるために、誘電体の金属酸化物層は、5〜12族の元素の着色(選択吸収性、灰色または黒色でない)酸化物または着色混合酸化物であるのが好ましい。最も好適な金属酸化物層は、Feを含む。
【0016】
着色金属酸化物層および/または着色金属酸化物フレークは、金属酸化物の付着を着色剤、特に有機顔料、またはカーボンブラックの存在下で実施する時に、製造することができる。適した有機顔料は、例えばW.Herbst and K.Hunger,VCH Verlagsgesellscaft mbH,Weinheim/New York,第2完全改訂版、1995に記載されており、例えばアゾ、アゾメチン、メチン、アントラキノン、フタロシアニン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、イミノイソインドリン、ジオキサジン、イミノイソインドリノン、キナクリドン、フラバントロン、インダントロン、アントラピリミジンおよびキノフタロン顔料、またはこれらの混合物もしくは固溶体;特にアゾ、ジオキサジン、ペリレン、ジケトピロロピロール、キナクリドン、フタロシアニン、インダントロンもしくはイミノイソインドリノン顔料、またはこれらの混合物もしくは固溶体からなる群より選択される。
【0017】
本発明において有用な有名な顔料は、Color Indexに記載されているそれらの顔料であり、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 179、C.I.Pigment Red 170、C.I.Pigment Red 144、C.I.Pigment Red 177、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 255、C.I.Pigment Red 264、C.I.Pigment Brown 23、C.I.Pigment Yellow 109、C.I.Pigment Yellow 110、C.I.Pigment Yellow 147、C.I.Pigment Yellow 191.1、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Orange 61、C.I.Pigment Orange 71、C.I.Pigment Orange 73、C.I.Pigment Orange 48、C.I.Pigment Orange 49、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Violet 23、C.I.Pigment Violet 37、C.I.Pigment Violet 19、C.I.Pigment Green 7、およびC.I.Pigment Green 36、またはこれらの混合物もしくは固溶体からなる群を含む。
【0018】
誘電体の金属酸化物層は、発光物質を組み込むことによって改質することもできる。
【0019】
「発光」という用語は、エネルギー入力後の可視域、紫外域、および赤外域の光の放射を意味する。発光物質は、蛍光物質、リン光物質、エレクトロルミネセント物質、化学発光物質、摩擦発光物質またはその他の類似の物質であることができる。そのような発光物質は、一般に温度の大幅な上昇をもたらすことなく、エネルギー源に応えて独特な電磁エネルギー放射を示す。
【0020】
発光化合物は、有機発光化合物または有機発光組成物、すなわち発光着色剤であり得る。ここで、着色剤という用語は、染料および顔料、または無機蛍光体を含んでいる。
【0021】
好ましい蛍光着色剤は、クマリン、ベンゾクマリン、キサンテン、ベンゾ[a]キサンテン、ベンゾ[b]キサンテン、ベンゾ[c]キサンテン、フェノキサジン、ベンゾ[a]フェノキサジン、ベンゾ[b]フェノキサジン、およびベンゾ[b]フェノキサジン、ナフタルイミド、ナフトラクタム、アズラクトン、メチン、オキサジンおよびチアジン、ジケトピロロピロール、ペリレン、キナクリドン、ベンゾキサンテン、チオエピンドリン、ラクタムイミド、ジフェニルマレイミド、アセトアセトアミド、イミダゾチアジン、ベンズアントロン、ペリレンモノイミド、ペリレン、フタルイミド、ベンゾトリアゾール、ピリミジン、ピラジンおよびトリアジンより選択される公知の着色剤を主成分としている。本発明の好ましい態様においては、発光着色剤は、
【化1】


との縮合物である。
ここで、R101およびR102は、単独で水素、または例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−アミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシルまたはオクタデシルなどのC〜C18アルキルである。好ましくは、R101およびはR101はメチルである。縮合物の化学構造式は、
【化2】


である。
【0022】
また、有機発光化合物は、好ましくはジスチリルベンゼン、ジスチリルビフェニル、ジビニルスチルベン、トリアジニルアミノスチルベン、スチルベニル−2h−トリアゾール、ベンゾオキサゾール、フラン、ベンゾ[b]フラン、およびベンズイミダゾール、1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン、クマリン、ナフタルイミド、ならびに1,3,5−トリアジン−2−イルの各誘導体より選択する光学的増白剤であってもよい。
【0023】
無機蛍光体は好ましくは、硫化亜鉛、硫セレン化亜鉛、硫化カドミウム、硫セレン化カドミウム、アルカリ土類硫化物およびアルカリ土類硫セレン化物、酸硫化物などの硫化物およびセレン化物、ホウ酸塩、アルミン酸塩、ケイ酸塩、ハロリン酸塩、リン酸塩、ゲルマン酸塩、酸化物、ヒ酸塩、バナジウム酸塩、硫酸塩、タングステン酸塩およびモリブデン酸塩などの酸素を主成分とする蛍光体、場合により、銅、銀、マンガン、金、希土類元素および亜鉛などの活性剤を含むハライド蛍光体、特にZn1−xCdS(0≦x≦0.3);ユーロピウム、セリウムまたはサマリウムなどの希土類元素で活性化されるMgSまたはCas;YS:Eu3+、YS:Tb3+、GdS:Tb3+、Sr1220:Eu2+、YAl12:Ce3+、Ce0.65Tb0.35MgAl1119、BaMgAl1627:Eu2+、YAlGa12:Tb3+、ZnSiO:Mn、YSiO:Ce3+、3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sb3+、Mn2+、(Sr,Mg)(PO:Sn2+;LaPO:Ce3+、Tb3+;Zn(PO:Mn2+;CdCl(PO:Mn2+;Sr(PO・SrCl:Eu2+;およびBa:Ti4+、3Sr(PO・SrCl:Eu2+、Y:Eu3+、Y:Eu3+、Tb3+、ZnO:Zn、6MgO・As:Mn4+、YVO:Eu3+、Ce3+および場合によりマンガンで活性化されるアルカリ金属硫化物およびアルカリ土類硫化物;MgWO、CaWO、場合によりTl、Ga、またはInを含むアルカリ金属ハロゲン化物、例えばLiI/Eu、NaI/Tl、CsI/Tl、CsI/Na、LiF/Mg、LiF/Mg、Ti、LiF/Mg、およびNaなど;CaF:Mn;CaF:Dy、(Zn,Mg)F:Mn2+、KMgF:Mn2+、MgF:Mn2+、(Zn,Mg)F:Mn2+、LaOCl:Tb3+、LaOBr:Tb3+、およびLaOBr:Ce3+より選択される。
【0024】
本発明の発光金属酸化物フレーク、特にSiOフレークは、複製不能な光学効果を有しているため、紙およびプラスチックからなる偽造不可能な素材を生成するのに使用することができる。この目的のために、さらなる金属酸化物(干渉)層で発光金属酸化物フレークをコーティングすれば有利である場合がある。さらに、本発明による顔料は、例えば、塗料、印刷用インク、ワニスなどの配合物に、プラスチック、セラミック材料およびガラスに、化粧品に、紙およびプラスチックのレーザーマーキングのために、ならびにペレット、チップ、グラニュール、ブリケットなどの形態の顔料調製物の製造のために用いることもできる。
【0025】
紙からなる偽造防止素材という用語は、例えば、銀行券、小切手、納税印紙、郵便切手、鉄道切符、航空券、宝くじ券、商品券、入国カード、書式および株券などの有価証券を意味する。プラスチックからなる偽造防止素材という用語は、例えば、チェックカード、クレジットカード、テレホンカードおよび身分証明書を意味する。印刷用インクの製造のために、発光SiOフレークが、一般に印刷用インクに適している結合剤に組み込まれる。適切な結合剤は、セルロース、ポリアクリル酸塩−ポリメタクリル酸、アルキド樹脂、ポリエステル、ポリフェノール、尿素、メラミン、ポリテルペン、ポリビニル、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン、クマロン−インデン、炭化水素、ケトン、アルデヒド樹脂、芳香族ホルムアルデヒド樹脂、カルバミン酸、スルホンアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン油および/または天然油、またはそれらの物質の誘導体である。薄膜を形成する高分子結合剤の他に、印刷用インクは、溶剤、必要に応じて水、消泡剤、湿潤剤、レオロジーに影響する成分、酸化防止剤などの従来の成分を含んでいる。
【0026】
金属酸化物フレーク、すなわち1つの金属酸化物層からなる生成物(但し、これに限定されるわけではない)に基づいて、以下、本発明の方法をさらに詳しく説明する。
【0027】
本発明によるフレークは好ましくは、連続ベルトを利用した連続プロセス、例えば、連続ベルトプロセス、または連続もしくは準連続のドラムプロセスにおいて調製される。
【0028】
まず、図1に基づいて、ベルトプロセスを例示する。
【0029】
ローラーシステムによって案内される連続ベルト5が塗被区間1を通過し、そこで、そのベルトに剥離層をコーティングする。塗被区間1は、有機溶剤に溶解している剥離材料を含む槽からなっている。剥離層はベルト5の両面に付着される。剥離層として用いられる有機材料は、乾燥時にコンベヤーベルト5上に平滑な連続層を形成することが望ましい。乾燥は、第1の塗被区間1の後の乾燥区間において行ってもよい。
【0030】
次に、連続ベルト5が塗被区間2を通過し、そこで、そのベルトに金属酸化物薄膜をコーティングする。この塗被区間2は、水溶液中の金属酸化物前駆材料およびホウ酸を含む槽とマイクロ波ユニットからなっている。金属酸化物前駆材料とホウ酸の両溶液の濃度は、遠隔制御装置によって一定に保たれる。マイクロ波照射中に、金属酸化物層が剥離層上で成長する。その厚さは、マイクロ波の強度、水槽温度、前駆材料の濃度、およびコンベヤーベルト5の速度によって決まる。
【0031】
着色剤が金属酸化物層に組み込まれる場合、ベルト5への塗被前に、フッ素含有金属錯体および/またはホウ酸の水溶液中に着色剤が分散または溶解される。着色剤粒子は、超音波処理など公知の方式によって前駆材料中に分散される。
【0032】
次に、コーティングされたベルトは、1以上の区間からなり得る乾燥ゾーンを通過する。乾燥は、赤外線、マイクロ波、熱気などによって達成することができる。乾燥ゾーンの好ましい態様は、温度80〜150℃の熱気で薄膜が処理される予備乾燥装置と、それに続く赤外線乾燥装置からなっている。但し、これとは異なる乾燥ゾーンの態様も可能である。
【0033】
次に、形成された金属酸化物層が装置によってベルトから除去される。除去は、の掻き取りもしくはブラシがけによる機械的、または「剥離層」の非接触溶解、または超音波のいずれかによって実施することができる。液体による除去が有利であることが実証されている。そのために、ベルトが、溶剤を含む第3の槽3を通過する。この槽はベルト上の有機剥離層を溶解させ、金属酸化物層をコンベヤーベルトから除去できるようにする。
【0034】
有機剥離層の例は、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールなどのアルコール溶液に溶解できるジフェン酸およびフェノールフタレインである。
【0035】
コンベヤーベルトは、前方に進んで洗浄ユニット6を通過した後、再び塗被区間1に入る。
【0036】
金属酸化物小板にさらなる金属酸化物層をコーティングすることが意図されている場合は、ベルトを用いたプロセス後に湿式化学反応工程が挿入される。この工程では、小板状の金属酸化物材料が水中に懸濁され、層を覆う平滑な金属酸化物または金属水酸化物それぞれの付着に適したpHで1種以上の金属塩溶液を添加することによって、小板状の金属酸化物材料に金属酸化物または金属水酸化物をコーティングする。混合酸化物層または混合水酸化物層、および複数のコーティング層も、連続して付着することができる。以下、この後続の湿式化学反応工程について詳しく説明する。
【0037】
金属、例えば銀、銅、または金でのコーティングは、湿式化学プロセスにおいて実施することができる。
【0038】
説明した構成の代わりに、別の装置を用いることも可能である。このため、米国特許第3,767,443号の図IIに示されている装置に似た構成を用いて、例えば準連続プロセスを実施することもできる。この構成においては、非常に長い支持ベルトがドラム(米国特許第3,767,443号の図IIの品目12)に巻き付けられている。次にこのベルトは巻き付けが解かれてコーティング区間を通過し、そこで最初に剥離層が塗被され次に金属酸化物薄膜が塗被される。次に、コーティングされた支持ベルトが保管ドラム(図IIの品目15)に巻き付けられる。支持ベルト全体の巻き付けが完了した後、保管ドラムが槽の中に入れられ、そこで剥離層が溶解される。その結果として、乾燥された金属酸化物薄膜が支持ベルトから除去される。剥離層の溶解後に、除去された小板が残る。
【0039】
上記のドラム構成は、準連続プロセスに用いることもできる。そのために、支持ベルトに、分離剤をコーティングした後、第1工程において金属酸化物をコーティングし、次に乾燥される。乾燥された金属酸化物薄膜をコーティングした支持ベルトの保管ドラムへの巻き付けが完了した後、フッ素含有金属錯体の水溶液を含む容器が溶剤槽に取り替えられる。次に、コーティングされた支持ベルトは巻き付けが解かれて、分離剤が溶解されている溶剤槽を通過する。その間に、支持ベルトの進行方向が変わり、支持ローラーと保管ローラーの役割が交替される。溶剤槽を通過し、必要に応じて掻き取り装置を通過した後は、支持ベルトから金属酸化物薄膜が除去されているため、新しいサイクルを開始することができる。この変更されたドラムを用いたプロセスは上記の連続的な、ベルトを用いたプロセスの変形形態であり、対応する構成をよりコンパクトに構築できるという点で、後者のプロセスに勝る利点を有している。一方、不利点は、ベルトの巻き付けが完全に解かれた後、フッ素含有金属錯体の水溶液を含む容器と溶剤容器を交換する必要があるということである。
【0040】
上記の構成は例として理解されるべきであって、本発明を例示することを意図したものであり、本発明を限定するものではない。一般に、連続プロセスの方が、準連続プロセスまたは一括処理プロセスよりも好ましい。
【0041】
多くの場合、耐熱性プラスチックを主成分とするベルトが有利であることがわかっている。十分に高い乾燥温度を保証するために、プラスチックの軟化温度は好ましくは150℃以上、特に180℃以上であることが望ましい。さらに、プラスチック材料は化学的に実質的に不活性であることが望ましい。適切なベルト材料の例は、テレフタル酸ポリエチレン、ポリアミド、その他のポリエステルおよびポリアクリル酸塩である。但し、このリストは例示を目的としたものにすぎないのであって、本発明を限定することを意図したものではない。ポリエステルおよびポリアミドが好ましい。ベルト材料は、室温において10%未満の最大吸水率を有することが望ましい。
【0042】
プラスチックベルトは一般に、約10μmから数mmの厚さを有するが、0.1〜5mmの厚さが好ましく、0.5mm未満の厚さが特に好ましい。但し、極端な場合には、これよりも厚いプラスチックベルトを用いることもできる。プラスチックベルトの幅および長さは一般に、それほど重要ではないため、特定の要件に応じて最適化することができる。いずれにしても、この種のプラスチックベルトは平滑面を有している。
【0043】
好ましくは、マトリックス薄膜が容易に剥がれるように、最初に剥離層が、支持として用いられるベルトに塗被される。
【0044】
上記の剥離材料の代わりに、高分子剥離材料を有利に使用することができる。したがって、本発明の好ましい態様においては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、またはその他の一般材料などの有機材料キャリヤー(ベルト)が、例えばアクリル樹脂、セルロース系樹脂、ビニル樹脂などの溶剤型樹脂溶液を用いたコーティング技術または印刷技術(好ましくは輪転グラビアまたはフレキソ印刷)によってコーティングされる。次に、乾燥されたコーティングベルトに、マイクロ波付着によって1種の(またはそれ以上の)金属酸化物をコーティングする。このコーティングが、アセトンなどの溶剤中でキャリヤーから剥離される。この剥離工程では、連続層が、スラリーに含まれる粒子に分解される。次に、このスラリーが音波処理および遠心分離処理を受けて、溶剤および溶解したコーティングが除去され、濃縮した金属酸化物フレークのケークが残る。次に、このケークが適切なビヒクル中にレットダウンされ、例えば激しい攪拌や超音波処理のような均質化によってさらに、インク、塗料、およびコーティングで用いるための制御された大きさのフレークにされる。この方法によって生成される、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、酸化チタン、および酸化鉄の各フレークなどの金属酸化物フレークの特徴は、約1〜100ミクロンの粒子サイズと、約10〜約500nm、特に50〜500nm、とりわけ50〜250nmの厚さである。このフレークは、平滑な鏡のような表面と高アスペクト比を有している。
【0045】
連続プロセスにおいても剥離層を使用することには、剥離装置が不要であるという利点がある。
【0046】
マイクロ波の強度、槽1の温度、フッ素含有金属錯体の濃度、コンベヤーベルトの速度、および乾燥条件を選択することによって、制御された仕方で、本発明による基材の層厚さおよび層厚さ許容範囲に影響を与えることができ、約10%の層厚さ許容範囲(すなわち、層厚さの標準偏差)を有する非常に薄い粒子を得ることもできる。50〜500nm、特に100〜250nmの明確な層厚さと明確な層厚さ分布を有する小板状の金属酸化物基材、特に酸化ケイ素基材が得られる。この金属酸化物小板は平行平面の表面と狭い厚さ許容範囲を有しているため、非常に高い色純度と非常に深い色の濃さが達成される。
【0047】
混合されたカーボンブラック粒子を含む顔料の色は、カーボンブラック顔料の濃度に応じて、例えばオフホワイトから、薄い灰色の金属色、濃い灰色を経て、黒まで変動することができる。金属色の顔料、およびとりわけアルミニウム色の顔料が特に注目されている。
【0048】
さらなる塗被区間2を追加することによって、複数の金属酸化物層を含む多層顔料を生成することができる。
【0049】
したがって、本発明の方法は、(a’)フッ素スカベンジャーと、工程(a)における酸化物コーティングとは異なる所望の金属酸化物コーティングの前駆材料である1種以上のフッ素含有金属錯体とを含む水溶液中にベルトを通過させ、溶液にマイクロ波放射を施して、金属酸化物を可撓性ベルト上に付着させる工程をさらに含んでいる。ここで、工程(a’)は工程(a)の後に実施される。
【0050】
工程(a)および/または(a’)を繰り返して、例えばA/A’/A、A/A’/A/A’/A/A’/A、またはB/B’/B/B’/Bのように、交互に重なった金属酸化物層を有する多層の面平行な構造を形成することができる。ここで、好ましくはTiOであるAは工程(a)で得られる金属酸化物層であり、好ましくはSiOであるA’は工程(a’)で得られる金属酸化物層であり、好ましくはSiOであるBは工程(a)で得られる金属酸化物層であり、好ましくはTiOであるB’は工程(a’)で得られる金属酸化物層である。
【0051】
続いて、これらの金属酸化物層を本発明の方法によって付着させる場合、基材層と、基材の上と下(両側ではない)の1以上の金属酸化物層とを有する多層顔料が形成される。これとは対照的に、絶縁分離した状態で、湿式化学方法によってさらなる1以上の金属酸化物層をコーティングする1つの金属酸化物層のみからなるフレークを本発明の方法を用いて生成する場合は、さらなる1以上の金属酸化物層が基材の表面全体を覆うことになる。
【0052】
基材層と、基材の上と下(両側ではない)の1以上の金属酸化物層とを有する好ましい多層顔料の例は、次のとおりである。
TiO/SiO/TiO、TiO/Al/TiO、TiO/SiO/TiO/SiO/TiO/SiO/TiO、TiO/SiO/TiO/SiO/TiO/SiO/TiO、Al/TiO/Al/TiO/Al、SiO/TiO/SiO/TiO/SiO、TiO/SiO/Fe/SiO/TiO、TiO/Al/Fe/Al/TiO、Fe/TiO/Fe、SiO/TiO/SiO、Al/TiO/Al
【0053】
コア材料をSiOとして本発明をさらに詳しく例示するが、本発明はこれに限定されるわけではない。
【0054】
SiOコア粒子は一般に、2μm〜5mmの長さと、2μm〜2mmの幅と、50nm〜500nm、特に100〜250nmの厚さと、実質的に平行な2つの面とを有している。厚さに対する長さの比率は少なくとも2:1であり、平行な面間の距離はコアの最短軸である。SiOフレークは高い平行平面性を備えており、且つ平均厚さの±10%、特に±5%の範囲の規定厚さを有している。
【0055】
本発明の方法により製造されるエフェクト顔料は、態様において、SiOのコア材料と、周期表の第3族〜第15族より選択される金属の1種以上の酸化物からなる少なくとも1つの誘電体層とを含んでいる。
【0056】
好ましい干渉顔料は、(a)FeやTiOなど、高屈折率の金属酸化物と、(b)SiOなど、低屈折率の金属酸化物とを含んでおり、TiO(基材:SiO;層:TiO)、(SnO)TiO、Fe、Sn(Sb)O、Fe・TiO(基材:SiO;FeおよびTiOの混合層)、TiO/Fe(基材:SiO;第1層:TiO;第2層:Fe)である。ここで、両方の屈折率の差は少なくとも0.1である。一般に、層厚さは1〜1000nm、好ましくは1〜300nmである。
【0057】
別の特に好ましい態様は、例えばTiO/SiO/TiO、(SnO)TiO/SiO/TiO、TiO/SiO/TiO/SiO/TiO、またはTiO/SiO/Feのように、交互に重なった少なくとも3つの高屈折率層および低屈折率層を含む干渉顔料に関するものである。
【0058】
好ましくは、
(A)1.65を上回る屈折率を有するコーティングと、
(B)1.65以下の屈折率を有するコーティングと、
(C)1.65を上回る屈折率を有するコーティングと、
(D)場合により、外側の保護層と
を含んでいる層構造が好ましい。
【0059】
「高い」屈折率、すなわち、約1.65を上回る屈折率、好ましくは約2.0を上回る屈折率、最も好ましくは約2.2を上回る屈折率を有する誘電体の例は、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)、炭素、酸化インジウム(In)、酸化インジウムスズ(ITO)、五酸化タンタル(Ta)、酸化クロム(Cr)、酸化セリウム(CeO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ユウロピウム(Eu)、酸化鉄(II)/酸化鉄(III)(Fe)や酸化鉄(III)(Fe)などの酸化鉄、窒化ハフニウム(HfN)、炭化ハフニウム(HfC)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ランタン(La)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ネオジム(Nd)、酸化プラセオジム(Pr11)、酸化サマリウム(Sm)、三酸化アンチモン(Sb)、一酸化ケイ素(SiO)、三酸化セレン(Se)、酸化スズ(SnO)、三酸化タングステン(WO)、またはこれらの組み合わせである。誘電体は好ましくは金属酸化物である。この金属酸化物は、吸収特性を備えるまたは備えない、単一の酸化物または複数酸化物の混合物、例えばTiO、ZrO、Fe、Fe、Cr、またはZnOであり得、TiOが特に好ましい。
【0060】
使用することができる、適切な低屈折率誘電体の非限定の例には、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、およびフッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化セリウム(CeF)、フッ化ランタン(LaF)、フッ化アルミニウムナトリウム(例えば、NaAlFまたはNaAl14)、フッ化ネオジム(NdF)、フッ化サマリウム(SmF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化リチウム(LiF)などの金属フッ化物およびこれらの組み合わせ、または約1.65以下の屈折率を有するその他の任意の低屈折率材料が含まれる。例えば、有機モノマーおよび有機ポリマーを低屈折率材料として利用することができる。これらの材料には、アクリレート(例えばメタクリル酸塩)などのジエンまたはアルケン、ペルフルオロアルケンのポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON(登録商標))、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)のポリマー、パリレン、p−キシレン、これらの組み合わせなどが含まれる。さらに、上記の材料には、その開示が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,877,895号に記載されている方法によって付着することができる、蒸着・縮合・架橋結合される透明なアクリレート層が含まれる。
【0061】
基材上の高屈折率および低屈折率の個々の層の厚さは、顔料の光学的特性にとって重要である。個々の層、特に金属酸化物層の厚さは使用分野によって異なり、概ね10〜1000nm、好ましくは15〜800nm、特に20〜600nmである。
【0062】
層(A)の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。層(B)の厚さは10〜1000nm、好ましくは20〜800nm、特に30〜600nmである。層(C)の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。
【0063】
層(A)に特に適した材料は、金属酸化物または金属酸化物混合物であり、TiO、Fe、Sn(Sb)O、SnO、亜酸化チタン(2以上4未満の酸化状態を有する還元チタン種)などの、金属酸化物または金属酸化物混合物であり、また、これらの化合物同士または他の金属酸化物との混合物または混合相でもある。
【0064】
層(B)に特に適した材料は、SiOなどの金属酸化物またはそれに対応する酸化水和物である。
【0065】
層(C)に特に適した材料は、TiO、Fe、Sn(Sb)O、SnO、亜酸化チタン(2以上4未満の酸化状態を有する還元チタン種)などの、無色または有色の金属酸化物であり、また、これらの化合物同士または他の金属酸化物との混合物または混合相でもある。TiO層は、炭素、選択的に吸収する着色剤、選択的に吸収する金属カチオンなどの吸収物質をさらに含むことができ、吸収物質でコーティングすることや、部分的に還元することができる。
【0066】
吸収物質または非吸収物質の中間層は、層(A)、(B)、(C)、(D)の間に存在することができる。中間層の厚さは1〜50nm、好ましくは1〜40nm、特に1〜30nmである。
【0067】
この態様においては、好ましい干渉顔料は次のような層構造を有している。
【0068】
【表1】

【0069】
この態様においては、好ましくは、干渉顔料のすべての層がマイクロ波付着によって付着されるが、一部の層はCVD(hemical apour eposition:化学蒸着法)または湿式化学コーティングによって塗被することもできる。
【0070】
【表2】

【0071】
金属酸化物層は特に、金属カルボニル(例えば、ペンタカルボニル鉄、ヘキサカルボニルクロム;欧州特許第A−45 851号)の酸化気相分解によって、金属アルコラート(例えば、チタンおよびジルコニウムのテトラ−n−および−イソ−プロパノレート(titanium and zirconium tetra-n- and -iso-propanolate);ドイツ特許第A−41 40 900号)または金属ハロゲン化物(例えば、四塩化チタン;欧州特許第A−338 428号)の加水気相分解によって、オルガニルスズ化合物(特に、テトラブチルスズやテトラメチルスズなどのアルキルスズ化合物;ドイツ特許第A−44 03 678号)の酸化分解によって、または欧州特許第A−668 329号に記載さているオルガニルケイ素化合物(特に、ジ−tert−ブトキシアセトキシシラン)の気相加水分解によって塗被することができ、流動層反応器においてコーティング処理を実施することが可能である(欧州特許第A−045 851号および欧州特許第A−106 235号)。ジルコニウム、チタン、鉄、および亜鉛の金属酸化物、これらの金属の酸化水和物、チタン酸鉄、亜酸化チタン、またはこれらの組み合わせの層を湿式化学法による沈殿によって塗被することができ、必要に応じて金属酸化物を還元することが可能である。湿式化学コーティングの場合、真珠光沢顔料の製造用に開発された湿式化学コーティングを用いてもよい。これらの湿式化学コーティングは例えば、ドイツ特許第A−14 67 468号、ドイツ特許第A−19 59 988号, ドイツ特許第A−20 09 566号、ドイツ特許第A−22 14 545号、ドイツ特許第A−22 15 191号、ドイツ特許第A−22 44 298号、ドイツ特許第A−23 13 331号、ドイツ特許第A−25 22 572号、ドイツ特許第A−31 37 808号、ドイツ特許第A−31 37 809号、ドイツ特許第A−31 51 343号、ドイツ特許第A−31 51 354号、ドイツ特許第A−31 51 355号、ドイツ特許第A−32 11 602号、およびドイツ特許第A−32 35 017号、ドイツ特許第195 99 88号、欧州特許第A−892832号、欧州特許第A−753545号、欧州特許第A−1213330号、国際公開公報第93/08237号、国際公開公報第98/53001号、国際公開公報第98/12266号、国際公開公報第98/38254号、国際公開公報第99/20695号、国際公開公報第00/42111号、ならびに国際公開公報第03/6558号に記載されている。
【0072】
高屈折率の金属酸化物は好ましくはTiOおよび/または酸化鉄であり、低屈折率の金属酸化物は好ましくはSiOである。TiOの層はルチル型またはアナターゼ型であり得るが、ルチル型が好ましい。また、例えば、欧州特許第A−735,114号、ドイツ特許第A−3433657号、ドイツ特許第A−4125134号、欧州特許第A−332071号、欧州特許第A−707,050号、または国際公開公報第93/19131号に記載されている、アンモニア、水素、炭化水素蒸気、もしくはこれらの組み合わせ、または金属粉末など、公知の手段によってTiO層を還元することができる。
【0073】
特に好ましい態様においては、本発明は、60nm〜120nmの厚さを有する二酸化チタン層を含む、130〜170nmの厚さを有するSiOフレークに関するものである。
【0074】
SiOフレークは、均一な形状ではない。それにもかかわらず、簡潔にするため、フレークが「直径」を有していると表現する。酸化ケイ酸フレークは高い平行平面性を備えており、且つ平均厚さの±10%、特に±5%の範囲の規定厚さを有している。SiOフレークは、130〜170nm、特に140〜160nm、とりわけ約150nmの厚さを有している。現在では、フレークの直径は、好ましくは約1〜60μm、より好ましくは約5〜40μmの範囲であることが好ましい。したがって、本発明のフレークのアスペクト比は、好ましくは約6〜462、より好ましくは約31〜286の範囲である。
【0075】
二酸化チタン層は好ましくはマイクロ波付着によって付着されるが、上記のように、主にCVD(hemical apour eposition:化学蒸着法)または湿式化学コーティングによって塗被することもできる。
【0076】
したがって、本発明は、本発明の方法によって得ることができる、60nm〜120nmの厚さを有する二酸化チタン層を含む、130〜170nm、特に140〜160nm、とりわけ約150nmの厚さを有するSiOフレークに関するものである。
【0077】
この二酸化チタン層は、60nm〜120nm、特に80〜100nm、とりわけ約90nmの厚さを有している。
【0078】
SiO、Al、AlOOH、B、またはこれらの組み合わせなど、「低い」屈折率、すなわち約1.65を下回る屈折率を有する金属酸化物、好ましくはSiOをTiO層の上に塗被し、またSiO層の上にさらなるFeおよび/またはTiO層を塗被することで、色がさらに濃い顔料およびさらに透明な顔料を得ることが可能である。ケイ素/酸化ケイ素基材と、交互に重なった高屈折率および低屈折率の金属酸化物層とを含む、その多重コーティングされた干渉顔料は、国際公開公報第98/53011号および国際公開公報第99/20695号に記載されている方法と同様に、または好ましくは本発明の方法を用いて調製することができる。
【0079】
したがって、この態様においては層構造は、
(A)1.65を上回る屈折率を有するコーティングと、
(B)1.65以下の屈折率を有するコーティングと、
(C)場合により、1.65を上回る屈折率を有するコーティングと、
(D)場合により、外側の保護層と
を含んでいる。
【0080】
層(B)は、70〜130nm、特に90〜110nmの範囲、とりわけ約100nmの厚さを有している。層(A)および(C)は、60nm〜120nm、特に80〜100nmの範囲、とりわけ約90nmの厚さを有している。
【0081】
SiOフレークが、(A)1.65を上回る屈折率を有するコーティングと、(B)1.65以下の屈折率を有するコーティングとを含み、層(B)が保護層として利用されている場合、この保護層は、2〜250nm、特に10〜100nmの厚さを有している。
【0082】
特に好ましい態様は、例えばTiO/SiO、TiO/SiO/TiO、(SnO)TiO/SiO/TiO、TiO/SiO/TiO/SiO/TiO、またはTiO/SiO/Feのように、交互に重なった少なくとも2つの高屈折率層および低屈折率層を含む干渉顔料に関するものである。
【0083】
さらに、仕上がった顔料に、後コーティングまたは後処理を施すことも可能である。これにより、光安定性、耐候安定性、および化学安定性がさらに向上し、顔料の取り扱い、特に各種媒質への混和が容易になる。例えば、ドイツ特許第A−22 15 191号、ドイツ特許第A−31 51 354号、ドイツ特許第A−32 35 017号、またはドイツ特許第A−33 34 598号に記載されている手順が、後処理または後コーティングとして適切である。
【0084】
必要に応じて、SiO保護層を二酸化チタン層の上に塗被することができる。そのために、ソーダ水ガラス溶液を計量して、約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱されている、コーティングされる材料の懸濁液に添加するという方法を用いてもよい。同時に10%の塩酸を添加することで、pHが4〜10、好ましくは6.5〜8.5に保たれる。水ガラス溶液の添加後、30分間攪拌が実施される。
【0085】
SiOを主成分とするエフェクト顔料は、例えば、ポリマー全体の着色、コーティング(自動車部門における効果仕上げなど)、および印刷用インク(オフセット印刷、凹版、ブロンジング、フレキソ印刷など)、さらに例えば、化粧品(例えば、国際公開公報第04/020530号を参照)、インクジェット印刷(例えば、国際公開公報第04/035684号を参照)、織物の染色(例えば、国際公開公報第04/035911号を参照)、窯業製品・ガラス用釉薬、および紙・プラスチックのレーザーマーキングにおける応用など、あらゆる通例の目的(例えば、国際公開公報第03/068868号および国際公開公報第04/035693号を参照)で用いることができる。その応用は、参考資料、例えば『Industrielle Organische Pigmente』(W. HerbstおよびK. Hunger、VCH Verlagsgesellschaft mbH、Weinheim/New York、第2完全改訂版、1995)から公知である。
【0086】
SiOフレークを主成分とするエフェクト顔料を高分子量有機材料の着色に用いると、優れた結果を生み出すことができる。
【0087】
本発明による顔料または顔料組成物を用いて着色できる高分子量有機材料は、天然起源であっても合成起源であってもよい。高分子量有機材料は通常、10〜10g/モル以上の分子量を有している。高分子量有機材料は例えば、天然樹脂、乾性油、ゴム、もしくはカゼイン、またはこれらに由来する天然物質、例えば塩化ゴム、油変性アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテル、もしくはセルロースエステルなど、例えばエチルセルロース、セルロースアセテート、プロピオン酸セルロース、セルロースアセトブチラート、またはニトロセルロールなどであり得るが、特に、重合、重縮合、または重付加によって得られるような、完全に合成的な有機ポリマー(熱硬化性プラスチックおよび熱可塑性プラスチック)であり得る。重合樹脂の種類の中から、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリイソブチレンなどのポリオレフィン、および塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはブタジエンの重合生成物など置換ポリオレフィン、および特にABSまたはEVAなどのモノマーの共重合生成物を挙げることができる。
【0088】
SiOフレークを主成分とするエフェクト顔料は、着色効果を発揮できる任意の量、着色される高分子量有機材料に添加することができる。高分子量有機材料と、高分子量有機材料を基準とした0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜30重量%の本発明による顔料とからなる着色組成物が有利である。実際には、1〜20重量%、特に約10重量%の濃度を使用できる場合が多い。
【0089】
SiOフレークを主成分とするエフェクト顔料を含むプラスチックは、0.1〜50重量%、特に0.5〜7重量%の量の本発明の顔料を含んでいる。コーティング部門で採用される、本発明の顔料の量は0.1〜10重量%である。バインダーシステムの着色においては、例えば、コーティング、および凹版、オフセット印刷、またはスクリーン印刷の印刷用インクの場合、0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、特に8〜15重量%の量の顔料が印刷用インクに組み込まれる。
【0090】
SiOフレークを主成分とするエフェクト顔料は、唇もしくは肌の化粧または毛髪もしくは爪の染色にも適している。したがって、本発明は、化粧品または化粧料の総重量を基準とした0.0001〜90重量%の顔料、特に本発明によるエフェクト顔料と、10〜99.9999%の化粧に適した支持体材料とを含む、化粧品または化粧料にも関するものである。
【0091】
例えばプラスチック、コーティング、または印刷用インク、特にコーティングまたは印刷用インク、とりわけコーティングにおいて得られる色の際立った特徴は、優れた特性、特に非常に高い飽和性、卓越した堅牢性、高い色純度、および/または優れた角度依存色彩性(goniochromicity)を有していることである。
【0092】
別の局面においては、本発明は、光り輝く真珠の光沢を有する二酸化チタン含有顔料に関するものである。その真珠の光沢を有する顔料は多層構造物であり、小板状の二酸化チタンのコア上に、別の金属酸化物または金属酸化物水和物の層が続く。二酸化チタンに塗被される別の金属酸化物または金属酸化物水和物の例は、Fe、Fe、FeOOH、Cr、CuO、Ce、Al、SiO、BiVO、NiTiO、CoTiO、およびアンチモンをドープした酸化スズ、フッ素をドープした酸化スズ、またはインジウムをドープした酸化スズである。新規顔料の特定の態様においては、別の金属酸化物または金属酸化物水和物の第1層の上に、さらなる金属酸化物または金属酸化物水和物の第2層がさらに存在する。このさらなる金属酸化物または金属酸化物水和物は、酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム水和物、二酸化ケイ素または二酸化ケイ素水和物、Fe、Fe、FeOOH、TiO、ZrO、Cr、およびアンチモンをドープした酸化スズ、フッ素をドープした酸化スズ、またはインジウムをドープした酸化スズである。第1層の金属酸化物は、第2層の金属酸化物とは異なる。
【0093】
これらの二酸化チタン小板は、10nm〜500nm、好ましくは40〜150nmの厚さを有している。2つの別の寸法の範囲は2〜200μmと、特に5〜50μmである。
【0094】
二酸化チタン小板に塗被される別の金属酸化物の層は、5〜300nm、好ましくは5〜150nmの厚さを有している。
【0095】
さらに、中間の乾燥後に、例えば、気相コーティングを用いて流動層反応器において二酸化チタン小板を金属酸化物または金属酸化物水和物でコーティングすることもできる。例えば、欧州特許第0,045,851号および欧州特許第0,106,235号で提案されている、真珠光沢性顔料の製造方法を用いることが可能である。
【0096】
金属酸化物層はすべてマイクロ波放射を用いて付着させることが好ましいが、金属酸化物層の一部は従来の化学的プロセスで付着させることができる。ヘマタイト(Fe)でコーティングする場合、出発物質は、例えば米国特許第B−3,987,828号および米国特許第B−3,087,829号に記載されている鉄(III)塩、または米国特許第B−3,874,890号に記載されている鉄(II)塩のいずれかであり得、最初に形成される水酸化鉄(II)は酸化鉄(III)水和物に酸化される。好ましくは、鉄(III)塩が出発物質として用いられる。
【0097】
マグネタイト(Fe)によるコーティングは、硝酸カリウムの存在下、8.0のpHで、鉄(III)塩溶液、例えば硫酸鉄(II)の加水分解によって実施される。特定の沈殿例が、欧州特許第A−0659843号に記載されている。
【0098】
二酸化チタン小板への酸化鉄層の良好な接着を達成するには、最初に酸化スズ層を塗被するのが適切である。
【0099】
二酸化チタン小板に好ましく付着される別の金属酸化物は、酸化クロムである。付着は、ヘキサミンクロム(III)誘導体の水溶液からのアンモニアの揮発において生じる熱加水分解によって、またはホウ砂を緩衝剤とするクロム塩溶液の熱加水分解によって、容易に達成することができる。酸化クロムによるコーティングは、米国特許第B−3,087,828号および米国特許第B−3,087,829号に記載されている。
【0100】
あらゆる場合に顔料を焼成しなければならないとは限らない。一部の応用では、110℃の温度での乾燥で十分である。顔料を焼成する場合、400℃〜1000℃の温度が設定されるが、好ましい範囲は400℃〜700℃である。
【0101】
さらに、顔料に後コーティングまたは後処理を施すことも可能である。これにより、光安定性、耐候性、化学安定性がさらに向上し、顔料の処理、特に各種媒質への混和が容易になる。適切な後コーティング法の例は、例えばドイツ特許第C 22 15 191号、ドイツ特許第A 31 51 354号、ドイツ特許第A 32 35 017号、またはドイツ特許第A 33 34 598号に記載されている。これらの追加措置を施さなくても新規顔料の特性は既に非常に良好であるという事実があるため、場合によりさらに塗被されるこれらの物質は、顔料全体の約0〜5重量%、特に約0〜3重量%を占めるにすぎない。
【0102】
多重コーティングされた酸化鉄小板を主成分とする、角度依存色彩性を有する(Goniochromatic)光沢のある顔料は、
(A)1.8以下の屈折率nを有する無色コーティングと、
(B)2.0以上の屈折率を有する無色コーティングと
を含む少なくとも1つの層を含んでいる。
【0103】
酸化鉄小板の大きさはそれ自体としては重要ではないため、意図される特定の応用に合わせることができる。一般に小板は、約1〜50μm、好ましくは5〜20μmの平均最大径を有している。小板の厚さは一般に、10〜500nmの範囲に収まる。
【0104】
無色の低屈折率コーティング(A)は、1.8以下、好ましくは1.6以下の屈折率nを有している。そのような材料の例は下記のとおりである。特に適切な材料には、例えば、酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、およびこれらの混合物など、金属酸化物および金属酸化物水和物が含まれるが、酸化ケイ素(水和物)が好ましい。
【0105】
コーティング(A)の幾何学的層厚さは一般に、50〜800nm、好ましくは100〜600nmの範囲に収まる。本質的に層(A)によって顔料の干渉色が決まるため、1つの層パケット(A)+(B)のみ有し、特に顕著な色彩を示し、そのため好ましくもある、光沢のある顔料の場合、層(A)は約200nmの最小層厚さを有している。複数の(例えば2つ、3つ、または4つの)層パケット(A)+(B)が存在する場合、(A)の層厚さは好ましくは、50〜200nmの範囲に収まる。
【0106】
無色の高屈折率コーティング(B)は、2.0以上、特に2.4以上の屈折率nを有している。その材料の例は下記のとおりである。特に適切な層材料(B)には、硫化亜鉛などの金属硫化物だけでなく、特に金属酸化物および金属酸化物水和物、例えば二酸化チタン、酸化チタン水和物、二酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム水和物、二酸化スズ、酸化スズ水和物、酸化亜鉛、酸化亜鉛水和物、およびこれらの混合物も含まれるが、二酸化チタンおよび酸化チタン水和物、ならびにこれらと、最大約5重量%の他の金属酸化物、特に二酸化スズとの混合物が好ましい。
【0107】
コーティング(B)は好ましくは、コーティング(A)よりも小さい層厚さを有している。コーティング(B)の好ましい幾何学的層厚さは、約5〜50nm、特に10〜40nmの範囲である。
【0108】
本発明による好ましいコーティング(B)は本質的に、二酸化チタンからなる。
【0109】
本態様においては、好ましくは、干渉顔料のすべての層がマイクロ波付着によって付着されるが、一部の層はCVD(hemical apour eposition:化学蒸着法)または湿式化学コーティングによって塗被することもできる。
【0110】
エフェクト顔料のコア材料は、攪拌またはその他の形態のかき混ぜによって、フッ素スカベンジャーの水溶液中に懸濁することができる。フッ素スカベンジャーは、好ましくは、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム、無水ホウ素、一酸化ホウ素などの水溶液中のフッ素イオンを捕捉できる任意の化合物であり、特に好ましくはホウ酸である。本発明の一態様においては、ホウ酸が用いられる。ホウ酸溶液の濃度は少なくとも、コア材料への金属酸化物コーティングの付着中にフッ化物イオンを捕捉するために必要とされるような濃度である。一態様においては、過剰なホウ酸が用いられるが、その理由は水で洗浄することで除去できるからである。通常、ホウ酸は約0.01〜0.5M、好ましくは約0.04〜0.1Mの範囲で用いられる。ホウ酸溶液の温度は、圧力をかけない状態で循環する媒質の凝固点と沸点の間である。好都合なことに、この方法は約15℃〜約95℃で実施することができる。
【0111】
所望の金属酸化物の前駆材料であるフッ素含有金属錯体の水溶液を添加し、マイクロ波エネルギーを加えることによって、周期表の第3族〜第15族の元素の酸化物が、本発明の方法においてコア材料に付着される。一般に、顔料粒子への付着以外の金属酸化物の沈殿を制限するために、この水溶液は、懸濁されたコア材料に連続的に添加される。基材および以降の金属酸化物層のコーティングに適した金属酸化物は当技術分野において周知であり、TiO、ZrO、CoO、SiO、SnO、GeO、ZnO、Al、V、Fe、Cr、PbTiO、もしくはCuO、またはこれらの混合物が含まれる。特に好ましいのは二酸化チタンである。
【0112】
所望の金属酸化物を形成する前駆材料溶液は好ましくは、次の材料のいずれかまたは組み合わせの水溶液である。
(a)可溶性金属フッ化物塩
(b)可溶性フッ化金属錯体
(c)塩または錯体を形成する任意の混合物
【0113】
例として、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム;ヘキサフルオロ第二スズ酸アンモニウム;ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム;塩化鉄(III)、フッ化水素酸、およびフッ化アンモニウムの混合物;塩化アルミニウム(III)、フッ化水素酸、およびフッ化アンモニウムの混合物;ヘキサフルオロゲルマン酸アンモニウム;フッ化インジウム(III)三水和物とヘキサフルオロ第二スズ酸アンモニウムの組み合わせが挙げられる。最後の例では、複数種の金属酸化物、すなわち酸化インジウムスズ層を含む金属酸化物層が形成される。フッ素含有金属錯体の濃度はこの方法にとって重要ではない。所望の厚さが得られるまで混合物を照射できるため、この濃度は、扱いやすさを基準にして決めることができる。したがって、この濃度は約0.01Mから飽和溶液までの範囲であり得る。本発明の一態様においては、水溶液の合計量に応じて約0.1M〜約0.2Mの範囲が用いられる。
【0114】
干渉/吸収混合エフェクト顔料を生成するために、誘導体の金属酸化物層は好ましくは、有色(選択的に吸収し、灰色または黒色ではない)酸化物、または第5族〜第12族の元素の有色混合酸化物である。最も好ましい金属酸化物層はFeを含んでいる。
【0115】
純粋な干渉顔料を生成するために、金属酸化物層は好ましくは、第3族または第4族の元素の実質的に無色の酸化物である。最も好ましい金属酸化物層はTiOを含む。
【0116】
金属酸化物コーティングの厚さは、光学的な角度依存色彩効果(goniochromatic effect)を示すような、コア材料上の半透明コーティングまたは透明コーティングを生成する厚さである。膜厚は、顔料基材および所望の光学的な角度依存色彩効果によって異なる。
【0117】
層の厚さはそれ自体としては重要ではなく、一般に1〜500nm、好ましくは10〜300nmの範囲になる。様々な厚さを有する様々な酸化物が、その屈折率に応じて様々な色を生成する。
【0118】
利用可能な任意のマイクロ波源を用いることができる。さらに、マイクロ波源が調節可能であれば、表面上への金属酸化物の付着が促進されるようにマイクロ波の周波数を調節することができる。
【0119】
金属前駆材料の添加が完了し、所望の金属酸化物層の厚さが達成されたら、金属コア懸濁液をろ過し、脱イオン水で洗浄し、約100〜900℃、好ましくは約400〜約600℃、特に約450〜約500℃の温度で約15〜30分間、最も好ましくは非酸化雰囲気下で、乾燥・焼成することができる。
【0120】
場合により、エフェクト顔料は、例えばFe、CoO、CoTiO、Cr、FeTiO、または亜酸化ケイ素SiOから形成される、追加の最も外側の半透明光吸収金属酸化物層を有することができる。ここで、xは1未満であり、好ましくは約0.2である。光吸収金属酸化物層は、特定波長の光以外の少なくとも一部分を吸収して、選択された色の印象を強める。SiO層は、公知の方法によって、例えば、流動層反応器において、コーティングされた金属コアの存在下でSiHを熱分解することによって形成することができる。追加の光吸収層が存在すれば、顔料の彩度とカラーシフト光学的変化の両方を高めることができる。追加の光吸収層は、5〜50nm、好ましくは5〜30nmの厚さを有することが望ましい。
【0121】
下記の例は例示を目的としたものにすぎないのであって、いかなる形においても本発明の範囲を限定するものではない。
【0122】
実施例1
ジフェン酸のエタノール溶液中に、ポリエステルのエンドレス循環ベルト(幅:0.3m、厚さ:0.3mm、速度:0.5m/分)を通過させる。次に、ジフェン酸の層がベルトの両面にコーティングされるように、マイクロ波室に入る前にベルトを80℃の熱気で乾燥させる。次に、マイクロ波室において、ベルトを1リットル0.1Mのホウ酸アンモニウム水溶液の槽に浸す。1.0Mのヘキサフルオロケイ酸アンモニウムの水溶液を、2ml/分の速度でホウ酸アンモニウム槽に添加する。この槽の温度をマイクロ波照射によって80〜90℃に調整する。ベルトがマイクロ波室から出た後、ベルトに水を吹き付けて残留反応物を除去する。50℃で、ベルトを熱風乾燥させてエタノール槽に入れる。ベルトが洗浄区間に進み、そこで洗浄剤を用いてブラシがけされ、水ですすがれ、熱風乾燥される。ろ過および水によるすすぎによって、二酸化ケイ素の小板をエタノール槽の底から収集する。これらの小板は、150nm±10nmの層厚さを有している。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】ベルトプロセスを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期表の第3族〜第15族からなる群より選択される金属の1種以上の酸化物からなる少なくとも1つの誘電体層を含む、面平行な構造(小板状の構造体またはフレーク)を製造する方法であって、
(a)誘電体薄膜を可撓性ベルトに塗被する工程であって、フッ素スカベンジャーと、所望の金属酸化物コーティングの前駆材料である1種以上のフッ素含有金属錯体とを含む水溶液中に、ベルトを通過させ;および、溶液にマイクロ波放射を施して可撓性ベルトに金属酸化物を付着させることにより、誘電体薄膜を可撓性ベルトに塗被し、場合により、複数の異なるフッ素含有金属錯体を用いて工程(a)を繰り返し、1つ以上の金属酸化物層を生成し、または厚さ方向に2種の異なる金属酸化物の濃度の勾配を生成する工程;
(b)得られた層を面平行な構造として可撓性ベルトから分離する工程
を含む方法。
【請求項2】
可撓性ベルトが、連続可撓性ベルトである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(a)の前に連続可撓性ベルトに分離剤をコーティングし、工程(b)得られた層の可撓性ベルトからの分離を、分離剤を適切な溶剤に溶解させることによって達成する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
フッ素スカベンジャーが、ホウ酸、アルカリ金属ホウ酸塩、特にホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム、無水ホウ素および一酸化ホウ素からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
フッ素含有金属錯体が、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム;ヘキサフルオロ第二スズ酸アンモニウム(ammonium hexafluorostanate);ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム;塩化鉄(III)、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウムの混合物;塩化アルミニウム(III)、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウムの混合物;ヘキサフルオロゲルマン酸アンモニウム;フッ化インジウム(III)、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウムの混合物;ならびにフッ化インジウム(III)三水和物とヘキサフルオロ第二スズ酸アンモニウムの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
金属酸化物が、二酸化チタンであり、フッ素含有金属錯体が、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウムならびにフッ化アンモニウムおよび塩化チタンまたは塩化チタン、フッ化アンモニウムおよびフッ化水素から調製される錯体からなる群より選択されるか、あるいは、金属酸化物が、酸化鉄であり、フッ素含有金属錯体が、塩化鉄(III)、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウムの混合物からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
金属酸化物が、二酸化ケイ素であり、フッ素含有金属錯体がヘキサフルオロケイ酸アンモニウムまたはペンタフルオロケイ酸アンモニウムである、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
工程(a)のフッ素含有金属錯体が、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、ケイフッ化アンモニウム塩または塩化鉄(III)/フッ化アンモニウムであり、有機液体中への分離剤の溶解後、TiO、SiOまたはFeの面平行な構造を生成する、請求項3記載の方法。
【請求項9】
フッ素スカベンジャーと、工程(a)における酸化物コーティングとは異なる所望の金属酸化物コーティングの前駆材料である1種以上のフッ素含有金属錯体とを含む水溶液中にベルトを通過させ、溶液にマイクロ波放射を施して、金属酸化物を可撓性ベルト上に付着させる工程(a’)をさらに含み、工程(a’)を工程(a)の後に実行する、請求項3記載の方法。
【請求項10】
工程(a)および/または(a’)を繰り返して、例えばA/A’/A、A/A’/A/A’/A/A’/A、またはB/B’/B/B’/Bのように、交互に重なった金属酸化物層を有する多層の面平行な構造を形成し、ここで、好ましくはTiOであるAは、工程(a)で得られる金属酸化物層であり、好ましくはSiOであるA’は、工程(a’)で得られる金属酸化物層であり、好ましくはSiOであるBは、工程(a)で得られる金属酸化物層であり、好ましくはTiOであるB’は、工程(a’)で得られる金属酸化物層である、請求項9記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−523971(P2008−523971A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546016(P2007−546016)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056464
【国際公開番号】WO2006/063949
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】