説明

金庫管理装置

【課題】火災に対する対応を考慮した実用的な金庫管理装置を提供するものである。
【解決手段】金庫管理装置は、金庫2を設置する室と、金庫2は、開閉する扉と、内部に収納部23と、収納部23と室の内3Aに連通する室連通路と、収納部23と外部に連通する外部連通路25とを有し、外部連通路25と室の外3Bとに連通する通路7と、この通路7内に空気を吸引するファン10と、室の内3Aの火災を検知する火災検知手段11とを備え、この火災検知手段11により、室の内3Aの火災を検知した時、ファン10を回転させて室3の外3Bの空気を、通路7、外部連通路25、金庫2の収納部23、室連通路を介して、室の内3Aに排気させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金庫管理装置に係り、特に、火災に対する対応を考慮した実用的な金庫管理装置に関する。
【0002】
従来、火災に対する対応を考慮した金庫がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−254075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これは、金庫の外周に水を収容する水収容部を設け、火災のときに前記水収容部の水を蒸発させて金庫に耐熱性をもたせようとするものである。
しかしながら、金庫の外周に水を収容する水収容部を設けているため、金庫の扉を開閉する際、金庫の外周に水を収容する水収容部が邪魔となり、実用的でないという問題点があった。
【0004】
本発明は、火災に対する対応を考慮した実用的な金庫管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の金庫管理装置は、金庫を設置する室と、前記金庫は、開閉する扉と、内部に収納部と、前記収納部と前記室の内に連通する室連通路と、前記収納部と外部に連通する外部連通路とを有し、前記外部連通路と前記室の外とに連通する通路と、この通路内に空気を吸引するファンと、前記室の内の火災を検知する火災検知手段とを備え、この火災検知手段により、前記室の内の火災を検知した時、前記ファンを回転させて前記室の外の空気を、前記通路、前記外部連通路、前記金庫の収納部、前記室連通路を介して、前記室の内に排気させるものである。
【0006】
また、請求項2記載の金庫管理装置は、請求項1記載の金庫管理装置において、室の外の空気を冷却し、該冷却した空気を通路、外部連通路、金庫の収納部、室連通路を介して、室の内に排気させるものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の金庫管理装置によれば、火災検知手段により、室の内の火災を検知した時、ファンを回転させて、室の外の空気を、通路、外部連通路、金庫の収納部、室連通路を介して、室の内に排気させるため、室の内の火災による煙、炎、輻射熱等が金庫内に侵入するのを避けることができ、その分、金庫の収納部内の書類等が燃えるに要する時間を稼ぎ、書類等が消失するのを防ぐことができる。
【0008】
また、請求項2記載の金庫管理装置によれば、前述した請求項1記載の発明の効果に加え、火災時、室の外の空気を冷却し、該冷却した空気を通路、外部連通路、金庫の収納部、室連通路を介して、室の内に排気させるため、冷却されている分、金庫の収納部内の書類等が燃えるに要する時間をより稼ぎ、書類等がより消失するのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の金庫管理装置の一実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1乃至図6において、1は金庫管理装置で、金庫管理装置1は、例えば、室3の内3Aに設置した金庫2を管理するものである。
なお、本実施例においては、金庫2は複数設けられているが、本発明にあっては、これに限らず、金庫2は単数であっても良い。
また、室3は周囲を壁4により囲まれ、5は室3内への出入りのためのドアで、6はドア5の取っ手である。
【0010】
金庫2は、図5及び図6に示すように、前面に設けられた前面開口部21を開閉する扉22と、内部に収納部23と、収納部23と室3の内3Aに連通する室連通路24、24’と、収納部23と外部(金庫2の外)に連通する外部連通路25とを有している。
なお、室連通路24は、例えば、扉22の開閉に伴って生じる扉22と金庫2の本体との間に生じる扉開閉に伴う機械的クリアランス(金庫2の扉22の閉時の扉22と前面開口部21の間隙部)で、この室連通路24は、必然的に生じているものをそのまま利用するものである。
また、本発明にあっては、室連通路24のみでも良いが、金庫2の気密性を高めたものにあっては、収納部23と室3の内3Aに連通するように設けた室連通路24’でも良い。この室連通路24’は、例えば、金庫2の設置台26に空気通路部26a、該空気通路部26aに連通する金庫2の開口部27を設けるようにして、空気が通る通路を形成するようにしても良いし、また、図示しないが、設置台26を設けず、金庫2に収納部23と室3に連通する室連通路を金庫2の下方部に設けるようにしても良い。
また、室3の内3Aは、図示しない空気調和機により温度調節、湿度調節、空気清浄されている。温度は、例えば、約25℃であり、湿度は、例えば、約45〜約60%であり、この温度及び湿度の値は、適宜調整可能であり、本発明にあっては、少なくとも、温度調節されていれば良い。これは、温度が低ければ、湿気も除去されるからである。
【0011】
また、図4に示す7は、外部連通路25と室3の外3Bとに連通する通路である。
通路7は、単一の金庫2の外部連通路25と室3の外3Bとを個別的に連通するようにしても良いが、複雑化するため、本実施例では、例えば、図1及び図2に示すように、第1の気密室71、この第1の気密室71に分岐通路72を介して接続される第2の気密室73、第1の気密室71に接続され、室3の外3Bに連通する連通室74とを有している。
なお、第1の気密室71は、例えば、4個の金庫2の上方に位置し、それぞれの金庫2の外部連通路25を介して連通し、また、第2の気密室73は、例えば、3個又は4個の金庫2の上方に位置し、それぞれの金庫2の外部連通路25を介して連通している。
また、75は隣接する第2の気密室73を接続する接続通路である。
また、外部連通路25には、外部連通路25の通路面積を可変して風量を調節する風量調節部材25’が設けられている。図4及び図5では、風量調節部材25’が金庫2の天井面より突出して設けられているが、風量調節部材25’が金庫2の天井面より突出しないように外部連通路25内に埋め込むようにして取り付けられるようにしても良い。
【0012】
また、図4に示す8は通路7内に室3の温度調節された空気を吸引するファンで、8aは吹き出しガラリで、9は通路7と室3の外3Bに連通し、通路7に室3の外3Bの空気を導く室外空気導入通路で、10は室外空気導入通路9内に室3の外3Bの空気を吸引する室外空気吸引ファンで、10aは吸い込みガラリである。
【0013】
また、図4に示す11は、室3の内3Aに設置され、室3の内3Aの火災を検知する火災検知手段で、火災検知手段11は、室3の内3Aの煙、温度、紫外線等で火災を検知するものである。100は、火災検知手段11により、ファン8及び室外空気吸引ファン10を制御する制御手段である。
この制御手段100は、火災検知手段11により、室3の内3Aの煙又は温度又は紫外線等を検知しない通常時は、ファン8を作動させて、温度調節された室3の内3Aの空気を、室連通路24、24’(図5及び図6参照)を介して、金庫2の収納部23、外部連通路25、通路7、室3の外3Bへと導くようになっている(図4に示す矢印は、通常時の空気流れを示す。)。
【0014】
つまり、金庫2が設置されている室3の内3Aの温度調節された室3の内3Aの空気を利用して、該空気を室連通路24、24’を介して、金庫2の収納部23、外部連通路25、通路7(通路7を構成する第1の気密室71及び第2の気密室73は、火災検知手段11により、火災を検知しない通常時は、減圧室として機能し、室3の外3Bに排気させる。)、室3の外3Bへと導くようにするため、従来のように、金庫2に収納する書類P等をガスバリア性樹脂フィルムで形成した樹脂袋内に収容しなくても、そのまま書類P等を金庫2に収納しても、金庫2内の空気が流動すると共に、湿気の溜まりを防止して、金庫2内のむれによる雑菌の発生、金庫2内に収納されている書類P等に黴が発生するのを簡易に防ぐことができる。
【0015】
また、火災検知手段11により、室3の内3Aの火災を検知した時、制御手段100により、ファン8を停止、室外空気吸引ファン10を作動させて、室3の外3Bの空気を、室外空気導入通路9、通路7(通路7を構成する第1の気密室71及び第2の気密室73は、火災検知手段11により室3の内3Aの火災を検知した時は、加圧室として機能し、外気を導入し金庫2内を加圧し、室3の内3Aに排気させる。)、外部連通路25、金庫2の収納部23、室連通路24,24’を介して、室3の内3Aに排気させるようにする。
その結果、火災検知手段11により、室3の内3Aの火災を検知した時、ファン8を停止、室外空気吸引ファン10を作動させて、室外空気を、室外空気導入通路9、通路7(なお、望ましくは、通路7の室外空気導入通路9の合流部からファン8の側への通路7を図示しない閉塞板で遮断すると良い。)、外部連通路25、金庫2の収納部23、室連通路24 、24’を介して、室3の内3Aに排気させるため、室3の内3Aの火災による煙、炎、輻射熱等が金庫2内に侵入するのを避けることができ、その分、金庫2の収納部23内の書類P等が燃えるに要する時間を稼ぎ、書類P等が消失するのを防ぐことができる。
【0016】
(実施例2)
なお、上述した実施例においては、ファン8、室外空気吸引ファン10とファンを2個、通路7、室外空気導入通路9と通路を2個、それぞれ設けたが、本発明にあってはこれに限らず、例えば、図7に示すように、上述した実施例の室外空気吸引ファン10、室外空気導入通路9を省略することができ、その際、ファン8は、上述した実施例と異なり、正逆回転自在なファンとする必要がある。その他は、上述した実施例と同様であるので、上述した実施例と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0017】
即ち、火災検知手段11により、室3の内3Aの煙又は温度又は紫外線を検知しない通常時は、制御手段100により、ファン8を作動させて、温度調節された室3の内3Aの空気を、図7に示すように、室連通路(図示しないが、図5に記載の符号24、24’)を介して、金庫2の収納部23、外部連通路25、通路7、室3の外3Bへと導くようにすることができる。つまり、通常時は室3の外3Bに排気させる。
その結果、従来のように、金庫2に収納する書類P等をガスバリア性樹脂フィルムで形成した樹脂袋内に収容しなくても、そのまま書類P等を金庫2に収納しても、金庫2内の空気が流動すると共に、湿気の溜まりを防止して、金庫2内に収納されている書類P等に黴が発生するのを簡易に防ぐことができる。
また、火災検知手段11により、室3の内3Aの火災を検知した時、ファン8の回転を逆にして、室3の外3Bの空気を、通路7、外部連通路25、金庫2の収納部23、室連通路(図示しないが、図5に記載の符号24、24’)を介して、室3の内3Aに排気させる。つまり、火災時は外気を導入し金庫2内を加圧し、室3の内3Aに排気させる。
その結果、室の内3Aの火災による煙、炎、輻射熱等が金庫2内に侵入するのを避けることができ、その分、金庫2の収納部2c内の書類P等が燃えるに要する時間を稼ぎ、書類P等が消失するのを防ぐことができる。
【0018】
また、図8に示すように、金庫2の耐火性を高めるために、扉22の裏面の全体に亘って気泡コンクリート20、該気泡コンクリート20を扉22に取り付けられるための取付板30(例えば、鉄板)を、それぞれ設けるようにしても良い。
更に、気泡コンクリート20の扉22の裏面の側は、凹状の溝部20aが形成され、該溝部20aの開放端は金庫2の内部に臨むように構成するようにして、凹状の溝部20a内の空気層による断熱層を設け、耐火性を更に高めるようにすることができる。
なお、この凹状の溝部20aは、扉22の長手方向に沿うような縦のストライプ溝を複数並設しても良いし、また、扉22の長手方向を横断する横のストライプ溝(図示せず)を複数並設しても良いし、また、これら縦のストライプ溝と横のストライプ溝を組み合わせた升目状ストライプ溝でも良い。
また、上述した収納部23と室3に連通する室連通路24、24’の他に、扉枠40に取り付けたブッシュ24”の硬度を適宜調整することにより、金庫2内の減圧、加圧時の空気の流入、排出を可能とすることができる。
【0019】
なお、上述した実施例においては、室3の外3Bの空気を、そのまま、通路7、外部連通路25、金庫2の収納部23、室連通路24,24’を介して、室3の内3Aに排気させるようにしているが、その際、室3の外3Bの空気を図示しない冷凍サイクルの蒸発器で冷却し、該冷却した空気を通路7、外部連通路25、金庫2の収納部23、室連通路24,24’を介して、室3の内3Aに排気させるようにしても良い。
その結果、冷却されている分、金庫2の収納部23内の書類P等が燃えるに要する時間をより稼ぎ、書類P等がより消失するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施例の金庫管理装置の概略的平面図である。
【図2】図2は、図1の金庫管理装置のダクト部分の概略的平面図である。
【図3】図3は、図1の矢印X方向から見た概略的平面図である。
【図4】図4は、図1の一部を拡大して示す概略的図である。
【図5】図5は、図4の5−5線による概略的断面図である。
【図6】図6は、図5の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図7】図7は、図4の他の実施例の概略的断面図である。
【図8】図8は、図5の扉の他の実施例の概略的断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 金庫管理装置
2 金庫
22 扉
23 収納部
24 室連通路
24’ 室連通路
3 室
7 通路
10 ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金庫を設置する室と、
前記金庫は、開閉する扉と、内部に収納部と、前記収納部と前記室の内に連通する室連通路と、前記収納部と外部に連通する外部連通路とを有し、
前記外部連通路と前記室の外とに連通する通路と、
この通路内に空気を吸引するファンと、
前記室の内の火災を検知する火災検知手段とを備え、
この火災検知手段により、前記室の内の火災を検知した時、前記ファンを回転させて前記室の外の空気を、前記通路、前記外部連通路、前記金庫の収納部、前記室連通路を介して、前記室の内に排気させる
ことを特徴とする金庫管理装置。
【請求項2】
室の外の空気を冷却し、該冷却した空気を通路、外部連通路、金庫の収納部、室連通路を介して、室の内に排気させる
ことを特徴とする請求項1記載の金庫管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−223403(P2008−223403A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66257(P2007−66257)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(592136200)