説明

金融自動化機器の筐体構造

【目的】 防犯機能を維持し、運用時、保守、点検時の操作性を向上させた金融自動化機器の筐体構造を提供する。
【構成】 カ−ド読取機3、紙幣支払機4、制御部5、電源部6を実装するとともに耐熔断鋼板及び耐錐鋼板で補強した耐破壊構造を有する側壁からなる本体部22と、前扉の機能を内蔵するとともに耐熔断鋼板及び耐錐鋼板で補強した耐破壊構造を有して本体部22に回動自在に設けた前扉24と、上面に顧客操作盤25を嵌め込み式に有するとともに耐熔断鋼板及び耐錐鋼板で補強した耐破壊構造を有して本体部22に回動自在に設けた上扉23とからなる外筐21を備え、内部に振動検知器及び溶断検知器を設ける。更に上扉23の上面と顧客操作盤25の操作面とを同一面にする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金融自動化機器、例えば現金自動取引装置等の筐体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金融自動化機器、例えば現金自動取引装置1は図4(A)に示すように外筐2の内部にカ−ド読取機3、紙幣支払機4、制御部5、電源部6等がユニット状に実装してある。外筐2はユニットの運用、保守、点検を行う際、開閉する開閉自在な上扉7、前扉8を有している。上扉7には顧客操作部が設けてある。前扉8はロック機構9により外筐2にロックされる。ロック機構9の施錠、開錠は前扉8に設けられた錠10にキ−を挿入して行う。また、前扉8の内側には保守点検時に使用する内部操作盤11が実装されてある。
【0003】外筐2は工具等(バ−ル、ガスバ−ナ等)により破壊される恐れがあるので防犯上、現金自動取引装置1には図4(B)に示すように更に保護チェスト12が用意してあり、二重にすることによって現金盗難防止を図っている。
【0004】図5(A),(B)はそれぞれ図4(B)のA−A断面矢視図,B−B断面矢視図であり、保護チェスト12は図5(A),(B)に斜線部で示すように耐破壊構造に必要な厚みを有し、運用、保守、点検を行う際、開閉する上扉7、前扉8が邪魔にならないように間隙tを設けて配設してある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の金融自動化機器の筐体構造にあっては、図5(A)、(B)に示すように設置スペ−スを保護チェストのスペ−スに合わせねばならず、保守、点検時には前扉、上扉の開閉スペ−スC,Dをも考慮しなければならず、一台当たりの設置スペ−スが大きくなるという問題点があった。
【0006】又、顧客操作面が図5(B)に示すように保護チェストの内側に位置するので操作釦が押下しずらくなるとともに顧客ガイダンス面の下側が保護チェストのエッジ部でかくれるので操作内容の視認性が低下する恐れがあるという問題点もあった。
【0007】又、保守、点検時には前扉、上扉の開閉動作が図5(A)、(B)に示すように2重になって面倒であるという問題点もあった。
【0008】本発明は、防犯機能を維持し、運用時、保守、点検時の操作性を向上させた金融自動化機器の筐体構造を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明の金融自動化機器の筐体構造においては、金融自動化機器を実装するとともに耐熔断鋼板及び耐錐鋼板で補強した耐破壊構造を有する側壁からなる本体部と、前扉の機能を内蔵するとともに耐熔断鋼板及び耐錐鋼板で補強した耐破壊構造を有して本体部に回動自在に設けた前扉と、上面に顧客操作盤を嵌め込み式に有するとともに耐熔断鋼板及び耐錐鋼板で補強した耐破壊構造を有して本体部に回動自在に設けた上扉とを備えたものである。
【0010】又、同じ目的を達成するために振動検知器及び溶断検知器を内蔵するとより好ましい。
【0011】又、同じ目的を達成するために上扉の上面と顧客操作盤の操作面とを同一面にする。
【0012】
【作用】上記のように構成された筐体構造の本体部は耐熔断鋼板及び耐錐鋼板で補強した耐破壊構造を有するのでバ−ル等の工具では容易に破壊できず、衝撃を与えれば振動検知器が検知し、ガスバ−ナで溶断、又はドリルで穴明しようとすれば溶断、又は穴明に時間を要するとともに溶断検知器が検知する。顧客操作部を破壊しても上面は本体部同様に耐破壊構造を有しており、衝撃を与えれば振動検知器が検知する。
【0013】又、顧客操作盤の操作面は上扉の上面と同一面にしてあるので操作釦が押下し易いし、顧客ガイダンス面の視認性を妨げることはない。
【0014】従って本発明によれば、防犯機能を維持し、運用時、保守、点検時の操作性を向上させ得ることができる
【0015】
【実施例】本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。尚、各図面に共通な要素には同一符号を付す。図1は実施例の構成を示す詳細図であり、図2は実施例の外観斜視図である。図3は図2のE−E断面矢視図である。外筐21は本体部22と、本体部22に対して回動自在に設けられた上扉23、前扉24とからなる。本体部22は図3に斜線部で示すように耐破壊構造を有しており、内部にはカ−ド読取機3、紙幣支払機4、制御部5、電源部6等がユニット状に実装してある。耐破壊構造とは耐熔断鋼板と耐錐鋼板とを重ねて厚さ10mm以上にした補強板をサンドイッチ状に設けて補強した構造である。
【0016】上扉23は耐破壊構造を有した断面凹状であり、この凹部23aに顧客操作盤25を嵌め込み式に設け、裏側からネジ26で固定してある。顧客操作盤25には顧客ガイダンス用の液晶ディスプレイ27、キ−ボ−ドユニット28、紙幣支払部29等が実装してある。従って、上扉23の縁部23bが操作を妨げたり、視線を妨げることはない。紙幣支払部29の下部には紙幣支払機3から紙幣を送り込む口が設けてある。
【0017】前扉24も耐破壊構造を有しており、前扉24に埋没する形で内側からロック機構30、内部操作盤31等が実装され、内部操作盤31の一部を除いてカバ−32で覆われてある。
【0018】前扉24の表側には小扉33が回動自在に設けてあり、小扉33の内側には前扉24に埋没する形で錠34、ハンドル35等が実装してある。
【0019】又、外筐21の内部には振動検知器36が設けてあり、外筐21に所定以上の振動を与えると検知するようになっている。
【0020】又、外筐21の内部には電流を流す図示せぬワイヤが張り巡らせてあり、ワイヤの切断を検知する溶断検知器37が設けてある。
【0021】次に外筐の防犯機能について説明する。
【0022】外筐21は耐熔断鋼板及び耐錐鋼板で補強した耐破壊構造を有するのでバ−ル等の工具では容易に破壊できず、前扉24をバ−ル等で無理にこじあけようとして装置20に振動を与えると、振動検知器36が振動を検知して警報を発する。又、ガスバ−ナで溶断、又はドリルで穴明しようとすれば耐熔断鋼板及び耐錐鋼板を溶断、又は穴明するのに時間を要するとともに途中で電流を流しあるワイヤを切断すると、溶断検知器37がワイヤ切断を検知して警報を発する。顧客操作盤を破壊しても上面は本体部同様に耐破壊構造を有しており、衝撃を与えれば振動検知器36が検知する。
【0023】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0024】外筐が防犯機能を有するので保護チェストを不要とし、その分設置スペ−スを小さくできる。
【0025】又、保護チェストを不要とすることから、運用、保守、点検時の操作性が向上する。
【0026】又、保護チェストを不要とすることから、コストの低減化が図れる。
【0027】顧客操作盤を外筐に嵌め込み式にしたので顧客操作面の操作性、視認性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の構成を示す詳細図である。
【図2】実施例の外観斜視図である。
【図3】図2のE−E断面矢視図である。
【図4】従来例を示す斜視図である。
【図5】図4の断面矢視図である。
【符号の説明】
1、20 現金自動取引装置
2、21 外筐
12 保護チェスト
25 顧客操作盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】 金融自動化機器の筐体構造において、金融自動化機器を実装するとともに耐熔断鋼板及び耐錐鋼板で補強した耐破壊構造を有する側壁からなる本体部と、前扉の機能を内蔵するとともに耐熔断鋼板及び耐錐鋼板で補強した耐破壊構造を有して本体部に回動自在に設けた前扉と、上面に顧客操作盤を嵌め込み式に有するとともに耐熔断鋼板及び耐錐鋼板で補強した耐破壊構造を有して本体部に回動自在に設けた上扉とを備えたことを特徴とする金融自動化機器の筐体構造。
【請求項2】 振動検知器及び溶断検知器を内蔵した請求項1記載の金融自動化機器の筐体構造。
【請求項3】 上記上扉の上面と上記顧客操作盤の操作面とを同一面にした請求項1又は請求項2記載の金融自動化機器の筐体構造。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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