説明

金額処理システム、方法及びプログラム

【課題】同一通貨におけるデノミ前後の金額の整合性を保ちつつ、デノミ対応時の作業負荷及びリスクを低減すること。
【解決手段】通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報を記憶する換算情報記憶部と、所定の通貨単位における金額情報を記憶する金額情報記憶部と、デノミ発動後において金額情報が入力された場合には、当該入力された金額情報を、換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算し、当該デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を金額情報記憶部へ格納する入力手段と、デノミ発動後において金額情報を出力する場合には、金額情報記憶部からデノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を取得し、当該取得された金額情報を、換算情報に基づき、デノミ前の通貨単位からデノミ後の通貨単位へ換算し、当該デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する出力手段と、を備える金額処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金額処理システム、方法及びプログラムに関し、特に、所定の通貨単位における金額情報の入出力を行う金額処理システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
新興国では急激なインフレが発生する可能性があり、その際、当該新興国の政府が通貨単位の切り下げである、いわゆるデノミを発動する場合がある。また、近年では、東欧やアフリカ諸国において、実際にデノミが発動されている。尚、デノミには、通貨単位の切り上げも含むものとする。
【0003】
金融機関の情報システムにて扱う通貨の種別の中にデノミが発動された通貨が含まれる場合、デノミが発動された後(以下、デノミ後と呼ぶ。)であっても正常に稼働するように、当該情報システムに対して何らかの対応(以下、デノミ対応と呼ぶ。)が必要となる。従来は、以下に挙げる3つのデノミ対応のいずれかが行われていた。
【0004】
第1の対応は、デノミ対応用のツールを開発し、システム作業により適用することである。該当通貨における全ての金額情報(口座の残高等)を通貨単位の切り下げ率に応じたデノミ対応用のツールにより変換し、変換後の金額情報により更新する。
【0005】
ここで、図23を用いて、従来のデノミ対応について例示する。図23では、通貨単位が切り下げされるデノミが発動された場合のデノミ対応の例を示す。ここでは、切り下げ率を"1/1,000"とする。そして、図23に示す金額情報記憶部2には、予めデノミ前の金額情報として、"11,111"が格納されている状態であるとする。このとき、デノミ対応用のツールによる移行作業(S91)により、金額情報記憶部2に格納された金額情報が"11"に更新される。これにより、デノミ後に金額情報記憶部2から金額情報を取得(読み出し)(S92)することにより、デノミ後の通貨単位に換算された"11"を出力(S93)することができる。
【0006】
第2の対応は、該当通貨の金額情報から通貨単位の切り下げ率等を適用したデノミ後の金額情報を別途、算出し、当該算出した金額情報を手入力により上書きするマニュアル作業により対応することである。
【0007】
第3の対応は、デノミ後の通貨をデノミが発動される前(以下、デノミ前と呼ぶ。)の通貨とは異なる通貨の種別として情報システムに新規に登録し、デノミ後に扱う金額情報については、デノミ後の通貨として処理する。そして、例えば、同一名義の口座におけるデノミ前後の金額情報については、都度、合算により処理を行う。
【0008】
また、特許文献1には、いわゆるデノミの切り下げ率等のデノミ率の追加、変更又は削除を可能にする金額換算装置に関する技術が開示されている。特許文献1にかかる金額換算装置は、所定のデノミ率を記憶するデノミ率記憶手段と、バーコードリーダ等を介して読み取られた金額について、上記デノミ率記憶手段に記憶されたデノミ率に基づいて換算する金額換算手段と、上記金額換算手段が算出した所定のデノミ率に換算された金額を表示又は印刷等の出力を行う出力手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−296746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
金融機関の情報システムにおいて、所定の通貨単位におけるデノミ前の金額情報を、デノミが発動された後に整合性を保って使用するための移行作業の作業負荷やリスクが大きいという問題がある。
【0011】
その理由としては、まず、通貨のデノミの発動は、経済情勢の急激な変化に伴い、当該通貨を管轄する政府等が緊急に発動する場合が多く、作業時間を十分に確保できないため緊急性が求められるからである。また、金融機関の既存の情報システムで管理している金額情報は、現実の通貨と同等の意味を持つデータであるため、デノミ後の金額へ変換するにあたり、極めて高い正確性が求められるからである。さらに、デノミ対応が必要となるデータは、情報システム上の既存のファイルやデータベースに保有されるデノミ対象通貨の金額情報の全てであるため、変換対象のデータ量が膨大である。そのため、所定の時間内に処理を完了することが難しいからである。それゆえ、処理の迅速性が求められる。
【0012】
上述した第1の対応では、デノミ対応用のツールの開発が必要となり、開発工数及び開発期間を必要とする。また、上述した膨大な変換対象データに対してのデノミ対応用のツールによる移行作業が必要となり、多くの移行時間を必要とし、高いコストが発生する。さらに、実際に通貨単位の切り下げ率が確定してから適用日までの時間的制約により、ツールの開発及びデータの移行作業が間に合わない場合がある。そのため、データの移行作業を実施するまでの間、マニュアル作業の必要があり作業負担が多大となる場合がある。
【0013】
上述した第2の対応では、上述したデノミ対応用のツールの開発が不要となるが、マニュアル作業そのものであるため、作業負荷が非常に高く、特に、作業ミスによる金額相違といった大きなリスクを抱えることとなる。
【0014】
上述した第3の対応では、上述したデノミ対応用のツールの開発及びデータの移行作業等は不要であるが、デノミ前の通貨とデノミ後の通貨とを異なる通貨の種別となるため、二重管理が発生する。そのため、都度、デノミ前後の通貨の種別間における金額の合算管理等が必要となる。その結果、運用上の負荷や合算ミスのリスクが高い。
【0015】
尚、特許文献1では、単一の商品の金額を都度、換算するに過ぎないため、上述したデノミ対応用のツールに相当するものといえる。そのため、デノミ前後の金額を合算することなどには対応できない。また、上述した金融機関の情報システムにおける金額情報のような大量のデータを迅速に処理することには適さない。
【0016】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、同一通貨におけるデノミ前後の金額の整合性を保ちつつ、デノミ対応時の作業負荷及びリスクを低減するための金額処理システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様にかかる金額処理システムは、所定の通貨単位における金額情報の処理を行う金額処理システムであって、通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報を記憶する換算情報記憶部と、前記所定の通貨単位における金額情報を記憶する金額情報記憶部と、前記金額情報の処理を実行する制御部とを備え、前記制御部は、デノミ発動後において前記金額情報が入力された場合には、当該入力された金額情報を、前記換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算し、当該デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を前記金額情報記憶部へ格納する入力手段と、前記デノミ発動後において前記金額情報を出力する場合には、前記金額情報記憶部から前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を取得し、当該取得された金額情報を、前記換算情報に基づき、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算し、当該デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する出力手段と、を備える。
【0018】
また、前記入力手段は、前記金額情報記憶部にデノミ前に格納された金額情報が存在する場合、当該デノミ前に格納された金額情報に、前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を合算して、前記金額情報記憶部へ格納することが望ましい。
【0019】
さらに、前記入力手段は、前記換算情報に基づき、通貨単位の切り上げ又は切り下げを判定し、前記入力された金額情報を、当該判定された結果に応じて、通貨単位の切り上げ又は切り下げにより換算し、前記出力手段は、前記入力手段において通貨単位の切り上げにより換算された場合に、前記取得された金額情報について通貨単位の切り下げにより換算し、前記入力手段において通貨単位の切り下げにより換算された場合に、前記取得された金額情報について通貨単位の切り上げにより換算することが望ましい。
【0020】
また、前記換算情報は、デノミの前後において変更される通貨単位の桁数を示すデノミ桁数を含み、前記入力手段は、前記入力された金額情報を、前記デノミ後の通貨単位から前記デノミ前の通貨単位へ前記デノミ桁数分を変更することにより換算し、前記出力手段は、前記取得された金額情報を、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ前記入力手段により変更された桁数分を戻すことにより換算するとよい。
【0021】
さらに、前記換算情報は、前記所定の通貨単位の補助単位の桁数である補助桁数をさらに含み、前記入力手段は、前記入力された金額情報を、前記デノミ桁数と前記補助桁数とを用いて前記デノミ後の通貨単位から前記デノミ前の通貨単位の補助単位へ換算し、当該デノミ前の通貨単位の補助単位へ換算された金額情報を前記金額情報記憶部へ格納し、前記出力手段は、前記取得された金額情報を、前記デノミ桁数と前記補助桁数とを用いて前記デノミ前の通貨単位の補助単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算し、当該デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力するとよい。
【0022】
さらに、前記出力手段は、前記デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報の小数点以下の内、前記補助桁数分を抽出して、出力するとよい。
【0023】
本発明の第2の態様にかかる金額処理システムは、所定の通貨単位における金額情報の処理を行う金額処理システムであって、複数の通貨の種別のいずれであるかを識別する通貨コードと、当該通貨コードにおける通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報とを、当該複数の通貨の種別毎に関連付けて記憶する換算情報記憶部と、前記通貨コードと、当該通貨コードにおける金額情報とを関連付けて記憶する金額情報記憶部と、前記金額情報の処理を実行する制御部とを備え、前記制御部は、デノミ発動後において前記通貨コードと当該通貨コードにおける金額情報とが入力された場合には、当該入力された通貨コードに関連付けられた換算情報を前記換算情報記憶部から特定し、当該入力された金額情報を、当該特定された換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算し、当該入力された通貨コードと当該デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報とを関連付けて前記金額情報記憶部へ格納する入力手段と、前記デノミ発動後において前記金額情報を出力する場合には、前記金額情報記憶部から前記入力された通貨コードに関連付けられた前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を取得し、当該取得された金額情報を、前記特定された換算情報に基づき、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算し、当該デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する出力手段と、を備える。
【0024】
また、前記換算情報は、当該換算情報に関連付けられた通貨コードにおいて、デノミ前の通貨単位の補助単位の桁数である補助桁数と、当該補助桁数とデノミの前後において変更される通貨単位の桁数を示すデノミ桁数とを合算したデノミ後桁数とを含み、前記入力手段は、前記入力された金額情報を、前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数分の通貨単位の切り上げにより変換し、前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数及び前記デノミ後桁数から通貨単位の切り上げ又は切り下げを判定し、当該変換された金額情報を、当該判定された結果に応じて、前記デノミ後の通貨単位の補助単位から前記デノミ前の通貨単位の補助単位へ前記デノミ桁数分の通貨単位の切り上げ又は切り下げにより換算し、前記出力手段は、前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数及び前記デノミ後桁数から通貨単位の切り上げ又は切り下げを前記入力手段とは異なるように判定し、前記取得された金額情報を、当該判定された結果に応じて、前記デノミ前の通貨単位の補助単位から前記デノミ後の通貨単位の補助単位へ前記デノミ桁数分の通貨単位の切り上げ又は切り下げにより換算し、当該換算された金額情報を、前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数分の通貨単位の切り下げにより変換し、当該変換された金額情報を出力することが望ましい。
【0025】
さらに、前記入力手段は、前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数と前記デノミ後桁数とが等しい場合、前記入力された金額情報を、前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数分の通貨単位の切り上げにより変換し、当該変換された金額情報を前記デノミ桁数分の換算をせずに、前記入力された通貨コードに関連付けて前記金額情報記憶部へ格納し、前記出力手段は、前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数と前記デノミ後桁数とが等しい場合、前記取得された金額情報を、前記デノミ桁数分の換算をせずに、前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数分の通貨単位の切り下げにより変換し、当該変換された金額情報を出力することが望ましい。
【0026】
本発明の第3の態様にかかる金額処理方法は、通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報を記憶する換算情報記憶部と、所定の通貨単位における金額情報を記憶する金額情報記憶部と、を備えるコンピュータにおける前記所定の通貨単位における金額情報の処理を実行するための金額処理方法であって、デノミ発動後において前記金額情報を入力する入力ステップと、前記入力された金額情報を、前記換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算する第1の換算ステップと、前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を前記金額情報記憶部へ格納する格納ステップと、前記デノミ発動後において前記金額情報を出力する場合に、前記金額情報記憶部から前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を取得する取得ステップと、前記取得された金額情報を、前記換算情報に基づき、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算する第2の換算ステップと、前記デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する出力ステップと、を含む。
【0027】
本発明の第4の態様にかかる金額処理方法は、複数の通貨の種別のいずれであるかを識別する通貨コードと、当該通貨コードにおける通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報とを、当該複数の通貨の種別毎に関連付けて記憶する換算情報記憶部と、前記通貨コードと、当該通貨コードにおける金額情報とを関連付けて記憶する金額情報記憶部と、を備えるコンピュータにおける前記所定の通貨単位における金額情報の処理を実行するための金額処理方法であって、デノミ発動後において前記通貨コードと当該通貨コードにおける金額情報とを入力する入力ステップと、前記入力された通貨コードに関連付けられた換算情報を前記換算情報記憶部から特定する特定ステップと、前記入力された金額情報を、前記特定された換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算する第1の換算ステップと、前記入力された通貨コードと前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報とを関連付けて前記金額情報記憶部へ格納する格納ステップと、前記デノミ発動後において前記金額情報を出力する場合に、前記金額情報記憶部から前記入力された通貨コードに関連付けられた前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を取得する取得ステップと、前記取得された金額情報を、前記特定された換算情報に基づき、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算する第2の換算ステップと、前記デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する出力ステップと、を含む。
【0028】
本発明の第5の態様にかかる金額処理プログラムは、通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報を記憶する換算情報記憶部と、所定の通貨単位における金額情報を記憶する金額情報記憶部と、を備えるコンピュータに前記所定の通貨単位における金額情報の処理を実行させる金額処理プログラムであって、デノミ発動後において前記金額情報を入力する入力処理と、前記入力された金額情報を、前記換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算する第1の換算処理と、前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を前記金額情報記憶部へ格納する格納処理と、前記デノミ発動後において前記金額情報を出力する場合に、前記金額情報記憶部から前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を取得する取得処理と、前記取得された金額情報を、前記換算情報に基づき、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算する第2の換算処理と、前記デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する出力処理と、を含む。
【0029】
本発明の第6の態様にかかる金額処理プログラムは、複数の通貨の種別のいずれであるかを識別する通貨コードと、当該通貨コードにおける通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報とを、当該複数の通貨の種別毎に関連付けて記憶する換算情報記憶部と、前記通貨コードと、当該通貨コードにおける金額情報とを関連付けて記憶する金額情報記憶部と、を備えるコンピュータに前記所定の通貨単位における金額情報の処理を実行させる金額処理プログラムであって、デノミ発動後において前記通貨コードと当該通貨コードにおける金額情報とを入力する入力処理と、前記入力された通貨コードに関連付けられた換算情報を前記換算情報記憶部から特定する特定処理と、前記入力された金額情報を、前記特定された換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算する第1の換算処理と、前記入力された通貨コードと前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報とを関連付けて前記金額情報記憶部へ格納する格納処理と、前記デノミ発動後において前記金額情報を出力する場合に、前記金額情報記憶部から前記入力された通貨コードに関連付けられた前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を取得する取得処理と、前記取得された金額情報を、前記特定された換算情報に基づき、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算する第2の換算処理と、前記デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する出力処理と、を含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、同一通貨におけるデノミ前後の金額の整合性を保ちつつ、デノミ対応時の作業負荷及びリスクを低減するための金額処理システム、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる金額処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる金額処理サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる金額処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる入力金額換算処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1にかかる出力金額換算処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1にかかる金額情報の入出力の例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1にかかる金額情報の入出力の例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1にかかる金額情報の出力の例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2にかかる金額処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態2にかかる金額処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2にかかる金額情報の入出力の例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態3にかかる金額処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施の形態3にかかる換算情報記憶部の一例である通貨テーブルの例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態3にかかる金額入力処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態3にかかる入力補助通貨桁補正処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態3にかかる入力金額換算処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態3にかかる金額出力処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態3にかかる出力金額換算処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図19】本発明の実施の形態3にかかる出力補助通貨桁補正処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図20】本発明の実施の形態3にかかる金額情報の入出力の例を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態3にかかる金額情報の入出力の例を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態3にかかる金額情報の入出力の例を示す図である。
【図23】従来のデノミ対応の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0033】
<発明の実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1にかかる金額処理システム100の全体構成を示すブロック図である。金額処理システム100は、接続される端末200との間で、所定の通貨単位における金額情報の入出力等の処理を行う情報システムである。特に、本発明の実施の形態1にかかる金額処理システム100は、所定の通貨単位において、通貨単位の変更であるデノミが発動される前後において、金額情報の整合性を保つための情報システムである。尚、所定の通貨単位とは、例えば、日本国の円やアメリカ合衆国のドル(dollar,USドル)といったものである。金額処理システム100は、換算情報記憶部1と、金額情報記憶部2と、金額処理サーバ3とを備える。
【0034】
換算情報記憶部1は、換算情報11を記憶する記憶装置である。ここで、換算情報11は、デノミの前後の通貨単位を換算するための情報である。例えば、換算情報11は、換算率、換算率の内の桁数その他、換算するために必要な情報である。換算率とは、通貨単位の切り下げ率又は切り上げ率そのものであり、例えば、"1/1,000"や"1,000"という値である。換算率の内の桁数とは、換算率を"10"のべき乗で表現した場合の指数値である。例えば、換算率が"1/1,000"である場合、換算率は"10"の"−3"のべき乗であるため、換算率の内の桁数は"−3"という値で表現することができる。また、換算率が"1/1,000"である場合、デノミは、10進数の3桁分の通貨単位を切り下げるといえる。そのため、発動されるデノミが通貨単位の切り下げを前提とする場合、換算情報11は、単に、"3"という値で表現しても構わない。換算情報11は、さらに、発動されるデノミが通貨単位の切り上げ又は切り下げのいずれかを識別する識別情報を含むようにしてもよい。その場合、例えば、換算率が"1/1,000"である場合、換算情報11は、切り下げを示す識別情報と"3"という値とを含めても構わない。尚、換算情報記憶部1は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置であることが望ましい。
【0035】
金額情報記憶部2は、所定の通貨単位における金額情報21を記憶する記憶装置である。金額情報21は、金額を示す数値であり、整数又は浮動小数点等で表現されるものである。また、金額情報21は、デノミ前の通貨単位を基準としたデータである。また、金額処理システム100が金融機関の口座情報を管理するものである場合、金額情報記憶部2は、複数の口座情報ごとの残高を金額情報21として管理するものである。その他、金額情報記憶部2は、金額がデータとして記録されたファイル等を記憶するものであってもよい。尚、金額情報記憶部2は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置であることが望ましい。
【0036】
金額処理サーバ3は、汎用的なコンピュータシステムであり、金額情報の入出力等の処理を実行する制御部30を少なくとも備える。尚、金額処理サーバ3の具体的なハードウェア構成については、図2にて後述する。金額処理サーバ3は、換算情報記憶部1と、金額情報記憶部2と、端末200と接続されている。制御部30は、入力手段301と、出力手段302として機能する。
【0037】
入力手段301は、デノミ発動後において端末200から送信される金額情報が入力された場合には、当該入力された金額情報を、換算情報11に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算し、当該デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報21を金額情報記憶部2へ格納する。出力手段302は、デノミ発動後において金額情報21を出力する場合には、金額情報記憶部2からデノミ前の通貨単位へ換算された金額情報21を取得し、当該取得された金額情報21を、換算情報11に基づき、デノミ前の通貨単位からデノミ後の通貨単位へ換算し、当該デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する。すなわち、入出力の金額情報については、デノミ後の通貨単位を扱い、金額情報記憶部2に格納する金額情報としては、デノミ前の通貨単位として扱うことにより、金額情報のデノミ対応作業をなくし、デノミ対応による作業負荷やリスクを抑えることができる。
【0038】
特に、入力手段301は、金額情報記憶部2にデノミ前に格納された金額情報が存在する場合、当該デノミ前に格納された金額情報に、デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を合算して、金額情報記憶部2へ格納する。これにより、デノミ前の金額情報とデノミ後の金額情報とを整合性を保って管理することができる。
【0039】
さらに、入力手段301は、換算情報11に基づき、通貨単位の切り上げ又は切り下げを判定し、入力された金額情報を、当該判定された結果に応じて、通貨単位の切り上げ又は切り下げにより換算することが望ましい。この場合、出力手段302は、入力手段301において通貨単位の切り上げにより換算された場合に、取得された金額情報について通貨単位の切り下げにより換算し、入力手段301において通貨単位の切り下げにより換算された場合に、取得された金額情報について通貨単位の切り上げにより換算する。これにより、入出力される金額情報であるデノミ後の通貨単位と、金額情報記憶部2に保持する金額情報であるデノミ前の通貨単位とを正確に換算することができ、整合性を保って管理することができる。
【0040】
端末200は、キーボードやマウス等の入力装置(不図示)と、画面等の表示装置(不図示)とを備える端末装置である。端末200は、入力装置を介して入力される所定の通貨単位における金額情報を、金額処理サーバ3に対して入力の要求として送信し、金額処理サーバ3から入力処理の成否等を受信する。また、端末200は、金額処理サーバ3に対して、所定の通貨単位における金額情報の出力の要求を送信し、金額処理サーバ3から出力処理の結果である金額情報を受信し、表示装置に表示又は金額情報を任意の処理に用いる。
【0041】
端末200は、例えば、通信機能を備え、WEBブラウザ等の表示アプリケーションを備えたパーソナルコンピュータであるとよい。尚、本発明の実施の形態1にかかる端末200は、複数台であってもよい。尚、金額処理システム100と端末200の間は、インターネット、公衆網、専用線及び移動体通信網等の通信ネットワークを介して接続しても構わない。尚、金額処理システム100に接続されるのは、端末200に限定されず、任意の情報システム又は勘定系システム等であってもよい。
【0042】
図2は、本発明の実施の形態1にかかる金額処理サーバ3のハードウェア構成を示すブロック図である。金額処理サーバ3は、CPU(Central Processing Unit)31と、RAM(Random Access Memory)32と、ROM(Read Only Memory)33と、通信部34と、ハードディスク35とを備える。また、ハードディスク35は、不揮発性記憶装置であり、OS(Operating System)351及び金額処理プログラム352が格納されている。金額処理プログラム352は、入力手段301による入力処理及び出力手段302による出力処理が実装されたプログラムである。尚、ハードディスク35は、換算情報記憶部1及び金額情報記憶部2をさらに含むものであってもよい。
【0043】
CPU31は、金額処理サーバ3における各種処理、RAM32、ROM33、通信部34及びハードディスク35へのアクセス等を制御する。通信部34は、換算情報記憶部1及び金額情報記憶部2並びに端末200との通信を行う。
【0044】
金額処理サーバ3は、CPU31が、RAM32、ROM33又はハードディスク35に格納されたOS351及び金額処理プログラム352を読み込み、実行する。これにより、金額処理サーバ3は、所定の通貨単位における金額情報の入力処理及び出力処理を行うことができる。尚、金額処理サーバ3は、複数台に分散して実現されても構わない。
【0045】
図3は、本発明の実施の形態1にかかる金額処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、前提として、デノミが発動された後であるものとする。また、換算情報記憶部1には、換算情報11が予め格納済みであるものとする。まず、入力手段301は、金額情報を入力する(S11)。具体的には、入力手段301は、端末200から送信される所定の通貨単位の金額情報を入力する。ここで、入力される金額情報は、デノミ後の通貨単位を基準としたデータである。
【0046】
次に、入力手段301は、入力金額換算処理を実行する。すなわち、入力手段301は、入力された金額情報を、換算情報11に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算する(S12)。ここで、図4は、本発明の実施の形態1にかかる入力金額換算処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
まず、入力手段301は、換算情報記憶部1に格納された換算情報11を参照する。そして、入力手段301は、換算情報11から通貨単位の切り上げ又は切り下げのいずれかを判定する(S121)。例えば、換算情報11が換算率である場合、入力手段301は、換算情報11が1以上であれば通貨単位の切り上げと判定し、換算情報11が1未満であれば通貨単位の切り下げと判定する。または、換算情報11が換算率の内の桁数である場合、桁数が正であれば通貨単位の切り上げと判定し、桁数が負であれば通貨単位の切り下げと判定する。または、換算情報11が切り上げ又は切り下げを示す識別情報を含む場合、当該識別情報により切り上げ又は切り下げのいずれかを判定することができる。
【0048】
ステップS121において、発動されたデノミが通貨単位の切り上げであると判定された場合、入力手段301は、入力された金額情報を、換算情報11に基づき、切り下げにより換算する(S122)。発動されたデノミが通貨単位の切り上げであるとは、デノミ前の通貨単位からデノミ後の通貨単位へ切り上げがされることを示す。ここでは、金額情報記憶部2への格納のために、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ切り下げによる換算を行う。
【0049】
ステップS121において、発動されたデノミが通貨単位の切り下げであると判定された場合、入力手段301は、入力された金額情報を、換算情報11に基づき、切り上げにより換算する(S123)。発動されたデノミが通貨単位の切り下げであるとは、デノミ前の通貨単位からデノミ後の通貨単位へ切り下げがされることを示す。ここでは、ステップS122とは逆に、金額情報記憶部2への格納のために、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ切り上げによる換算を行う。
【0050】
図3に戻り、入力手段301は、デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を格納する(S13)。具体的には、入力手段301は、換算された金額情報を金額情報記憶部2へ金額情報21として格納する。このとき、入力手段301は、換算された金額情報を格納する前に、金額情報記憶部2にデータが格納済みか否かを判定する。つまり、入力手段301は、金額情報記憶部2にデノミ前に格納された金額情報21が存在するか否かを判定する。そして、金額情報記憶部2にデノミ前に格納された金額情報21が存在すると判定された場合、入力手段301は、金額情報21にステップS12により換算された金額情報を合算して、金額情報記憶部2へ格納する。これにより、デノミ前の金額情報とデノミ後の金額情報とを整合性を保って管理することができる。尚、合算とは、換算された金額情報がマイナスの値である場合は、実質的に減算となるのは勿論である。
【0051】
この後、金額処理システム100以外の他の情報システム又は勘定系システムにより、金額情報記憶部2に格納された金額情報21を用いて、任意の処理を行い、金額情報21を更新することが可能である。そして、このとき、当該他の情報システム等は、デノミ前後においてデノミ対応に伴う改修を必要としない。このため、デノミ対応に伴うコストを抑えることができる。さらに、改修が行われないために、既存の情報システム等により処理結果の正確性を維持することができる。
【0052】
その後、出力手段302は、格納された金額情報21を取得する(S14)。例えば、端末200から金額情報の出力の要求を受信した場合、出力手段302は、金額情報記憶部2から金額情報21を読み出す。ここで、読みだされる金額情報は、デノミ前の通貨単位を基準としたデータである。
【0053】
続いて、出力手段302は、取得された金額情報21を、換算情報11に基づき、デノミ前の通貨単位からデノミ後の通貨単位へ換算する(S15)。ここで、図5は、本発明の実施の形態1にかかる出力金額換算処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
まず、出力手段302は、入力手段301における入力金額換算処理が通貨単位の切り上げ又は切り下げのいずれかを判定する(S151)。例えば、入力手段301がステップS122又はS123のいずれかを処理したことを示す情報を、金額処理サーバ3のRAM32等に保持しておいても構わない。また、入力手段301におけるステップS121において判定した結果をRAM32等に保持しておいても構わない。または、出力手段302は、ステップS121と同等の判定処理を行っても構わない。いずれにしても、出力手段302は、以下の処理において、同一の換算情報11に基づき、通貨単位の切り上げ又は切り下げの内、入力手段301とは異なる換算処理を行うようにすればよい。
【0055】
ステップS151において、入力手段301において通貨単位の切り上げにより換算された、つまりステップS123が実行されたと判定された場合、出力手段302は、取得された金額情報21を、換算情報11に基づき、切り下げにより換算する(S152)。ここでは、発動されたデノミが通貨単位の切り下げであり、切り上げによりデノミ前の通貨単位へ換算されているため、デノミ前の通貨単位から切り下げを行う必要があるからである。
【0056】
ステップS151において、入力手段301において通貨単位の切り下げにより換算された、つまりステップS122が実行されたと判定された場合、出力手段302は、取得された金額情報21を、換算情報11に基づき、切り上げにより換算する(S153)。ここでは、発動されたデノミが通貨単位の切り上げであり、切り下げによりデノミ前の通貨単位へ換算されているため、デノミ前の通貨単位から切り上げを行う必要があるからである。
【0057】
図3に戻り、出力手段302は、デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する(S16)。具体的には、出力手段302は、端末200に対して、デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を返信する。これにより、端末200は、受信した金額情報をデノミ後の通貨単位として表示等の処理をすることができる。つまり、端末200側でのデノミ対応に伴う改修は不要である。
【0058】
図6は、本発明の実施の形態1にかかる金額情報の入出力の例として通貨単位の切り下げを示す図である。図6では、デノミとして、通貨単位の切り下げが発動され、換算情報11として、"1/1,000"が設定されたものとする。また、金額情報記憶部2には、予め金額情報"11,111"が格納済みであるものとする。
【0059】
まず、入力手段301は、金額情報"11"を入力する(S11)。次に、入力手段301は、換算情報11が"1/1,000"であるため、通貨単位の切り下げと判定する。そして、入力手段301は、"11"に"1/1,000"の逆数である"1,000"を乗じて"11,000"を算出する。すなわち、入力手段301は、入力された金額情報を、換算情報11に基づき、切り上げにより換算する(S123)。続いて、入力手段301は、換算された金額情報"11,000"を金額情報記憶部2に格納する。このとき、既に金額情報記憶部2には、デノミ前の通貨単位の金額情報"11,111"が格納済みであるため、入力手段301は、"11,111"に"11,000"を合算し、"22,111"として金額情報記憶部2に格納する(S13)。
【0060】
その後、出力手段302は、金額情報記憶部2から金額情報"22,111"を取得、つまり読み出しを行う(S14)。次に、出力手段302は、入力手段301において通貨単位の切り上げにより換算されたことを判定する。または、出力手段302は、換算情報11が"1/1,000"であるため、通貨単位の切り下げと判定する。そして、出力手段302は、"22,111"に"1/1,000"を乗じて"22"を算出する。すなわち、出力手段302は、取得された金額情報を、換算情報11に基づき、切り下げにより換算する(S152)。続いて、出力手段302は、換算された金額情報"22"を出力する(S16)。
【0061】
このように、発動されたデノミが通貨単位の切り下げである場合、本発明の実施の形態1によりデノミ後の通貨単位による金額情報をデノミ前の通貨単位へ切り上げにより換算して格納し、デノミ後の通貨単位へ切り下げにより換算して出力することができる。そのため、デノミ前の通貨単位による金額情報をデノミ対応作業により別途、データ移行作業を行う必要がない。また、デノミ後においても、デノミ後の通貨単位を入出力することができる。そして、デノミ前後の金額情報を正確に合算して管理することができる。
【0062】
尚、ステップS152において、金額情報記憶部2に格納された金額情報21の内、下3桁である"111"の情報が出力されない。これは、図6の例のデノミ後においては、デノミ前の下3桁をもはや通貨としては扱わないためである。本来であれば、デノミ対応作業により"111"に示される情報を金額情報から削除することが必要である。しかしながら、本発明では、デノミ後において、デノミ前の下3桁に相当する金額情報は入力されない。そのため、出力時に除去することにより、実質的にデノミ前の下3桁が影響を与えない。尚、ステップS152の換算において、下3桁について四捨五入しても構わない。
【0063】
図7は、本発明の実施の形態1にかかる金額情報の入出力の例として通貨単位の切り上げを示す図である。図7では、デノミとして、通貨単位の切り上げが発動され、換算情報11として、"1,000"が設定されたものとする。また、金額情報記憶部2には、予め金額情報"1,111"が格納済みであるものとする。
【0064】
まず、入力手段301は、金額情報"1,111,000"を入力する(S11)。次に、入力手段301は、換算情報11が"1,000"であるため、通貨単位の切り上げと判定する。そして、入力手段301は、"1,111,000"に"1,000"の逆数である"1/1,000"を乗じて"1,111"を算出する。すなわち、入力手段301は、入力された金額情報を、換算情報11に基づき、切り下げにより換算する(S122)。続いて、入力手段301は、換算された金額情報"1,111"を金額情報記憶部2に格納する。このとき、既に金額情報記憶部2には、デノミ前の通貨単位の金額情報"1,111"が格納済みであるため、入力手段301は、"1,111"に"1,111"を合算し、"2,222"として金額情報記憶部2に格納する(S13)。
【0065】
その後、出力手段302は、金額情報記憶部2から金額情報"2,222"を取得、つまり読み出しを行う(S14)。次に、出力手段302は、入力手段301において通貨単位の切り下げにより換算されたことを判定する。または、出力手段302は、換算情報11が"1,000"であるため、通貨単位の切り上げと判定する。そして、出力手段302は、"2,222"に"1,000"を乗じて"2,222,000"を算出する。すなわち、出力手段302は、取得された金額情報"2,222"を、換算情報11である"1,000"に基づき、切り上げにより換算する(S153)。続いて、出力手段302は、換算された金額情報"2,222,000"を出力する(S16)。
【0066】
このように、発動されたデノミが通貨単位の切り上げである場合、本発明の実施の形態1によりデノミ後の通貨単位による金額情報をデノミ前の通貨単位へ切り下げにより換算して格納し、デノミ後の通貨単位へ切り上げにより換算して出力することができる。尚、ステップS122において、入力手段301は、入力された金額情報の下3桁の情報を無視することとなるが、発動されたデノミが通貨単位の切り上げである場合には、デノミが発動された直後に、当該デノミ後の下3桁に相当する金額情報が入力されることは、実務上は想定されない。そのため、実質的に、デノミ前後の金額の整合性には影響を与えない。
【0067】
図8は、本発明の実施の形態1にかかる金額情報の出力の例を示す図である。特に、図8は、前述した図23と比較するための例である。図8では、デノミとして、通貨単位の切り下げが発動され、換算情報11として、"1/1,000"が設定されたものとする。また、金額情報記憶部2には、デノミ前に既に、金額情報"11,111"が格納済みであるものとする。
【0068】
まず、出力手段302は、金額情報記憶部2から金額情報"11,111"を取得、つまり読み出しを行う(S14)。次に、出力手段302は、換算情報11が"1/1,000"であるため、通貨単位の切り下げと判定する。そして、出力手段302は、"11,111"に"1/1,000"を乗じて"11"を算出する。すなわち、出力手段302は、取得された金額情報を、換算情報11に基づき、切り下げにより換算する(S152)。続いて、出力手段302は、換算された金額情報"11"を出力する(S16)。
【0069】
このように、デノミ前に格納された金額情報が存在したとしても、当該金額情報に変更を加えることなく、デノミ後において出力が必要な場合に、デノミ後の通貨単位に正確に換算して出力することができる。そのため、図23のステップS91等のデータ移行作業を不要とすることができる。すなわち、デノミ対応用のツールの開発が不要となり、開発及び移行作業に要するコストを抑えることができる。また、デノミ対応用のツールの開発期間及び移行作業の時間を必要としない。また、データの移行作業やマニュアル作業に伴う作業ミスによる金額相違といったリスクを減らすことができる。
【0070】
ここで、本発明の実施の形態1による効果をまとめる。まず、本発明の実施の形態1では、デノミが発動された後に、デノミ対応作業として、換算情報記憶部1に格納された換算情報11を更新するのみであるため、デノミ対応の緊急性を満たすことができる。
【0071】
同時に、金融機関のように処理対象の金額情報が多くても、必要な場合のみに換算するため、迅速性を満たすことができる。
【0072】
また、設定された換算情報に基づき、入力時には、デノミ後の通貨単位に基づく金額情報をデノミ前の通貨単位に換算して格納し、出力時には、デノミ前の通貨単位に基づく金額情報をデノミ後の通貨単位に換算して出力する。そのため、金額情報記憶部2に格納済みのデノミ前の通貨単位における金額情報に一括した更新を行わなくとも、デノミ前後において金額情報の整合性を保ち、正確性を満たすことができる。
【0073】
さらに、デノミ前の通貨単位としてデノミ前から格納済みの金額情報と合算するため、整合性が保たれる。同時に、合算された金額情報をデノミ後の通貨単位へ換算して出力するため、デノミ後の通貨単位として整合性を保つことができる。
【0074】
また、デノミ後の通貨単位で入力された金額情報をデノミ前の通貨単位として管理することができ、異なる通貨の種別による二重管理が不要となり、運用上の負荷や合算ミスのリスクを減らすことができる。
【0075】
以上のことから本発明の実施の形態1により、同一通貨におけるデノミ前後の金額の整合性を保ちつつ、デノミ対応時の作業負荷及びリスクを低減することができる。
【0076】
<発明の実施の形態2>
一般に海外の通貨には、所定の通貨単位(以下、主通貨単位と呼ぶ。)に対する補助単位である補助通貨単位が存在することが多い。補助通貨単位とは、例えば、主通貨単位がUSドルである場合におけるセント(cent)が相当する。そして、デノミが発動された場合、主通貨単位に併せて、補助通貨単位も切り上げ又は切り下げがされる。また、補助通貨単位を含む通貨の入出力においては、主通貨単位の金額情報を整数値、補助通貨単位の金額情報を小数値として表現することが多い。例えば、10USドル5セントの場合、"10.05"と表現される。尚、金額情報の入出力インタフェースとしては、主通貨単位及び補助通貨単位の金額情報について上述したように一つの数値データとして受け付け及び表示を行ってもよく、または、主通貨単位の金額情報と補助通貨単位の金額情報とを別々の欄により数値データとして受け付け及び表示を行ってもよい。いずれにしても、主通貨単位と補助通貨単位とを含む金額情報の入出力を扱うためには、主通貨単位と補助通貨単位とを併せて管理することが望ましい。そこで、本発明の実施の形態2では、通貨に主通貨単位に補助通貨単位が存在する場合についての実施例を示す。
【0077】
図9は、本発明の実施の形態2にかかる金額処理システム100aの全体構成を示すブロック図である。金額処理システム100aは、上述した実施の形態1にかかる金額処理システム100に変更を加えたものである。以下、実施の形態1との違いを中心に説明し、実施の形態1と同等の構成及び処理については、詳細な説明を省略する。
【0078】
本発明の実施の形態2にかかる換算情報11は、デノミ桁数111及び補助桁数112を備える。デノミ桁数111は、デノミの前後において変更される通貨単位の桁数を示す。例えば、デノミ桁数111は、実施の形態1における換算率の内の桁数に相当するものであるとよい。また、補助桁数112は、補助通貨単位の桁数を示す。例えば、補助桁数112は、補助通貨単位がセントの場合、"2"という値である。尚、換算情報11は、実施の形態1と同様に、発動されるデノミが通貨単位の切り上げ又は切り下げのいずれかを識別する識別情報を含むようにしてもよい。
【0079】
本発明の実施の形態2にかかる制御部30は、入力手段301aと、出力手段302aとして機能する。以下、補助通貨単位が存在しない場合と補助通貨単位が存在する場合とに分けて説明する。まず、補助通貨単位が存在しない場合、入力手段301aは、入力された金額情報を、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へデノミ桁数分を変更することにより換算する。また、出力手段302aは、取得された金額情報21を、デノミ前の通貨単位からデノミ後の通貨単位へ入力手段302aにより変更された桁数分を戻すことにより換算する。これにより、10進数としてのシフト演算により、容易に換算処理を行うことができる。
【0080】
次に、補助通貨単位が存在する場合、入力手段301aは、入力された金額情報を、デノミ桁数111と補助桁数112とを用いてデノミ後の通貨単位からデノミ前の補助通貨単位へ換算し、当該デノミ前の補助通貨単位へ換算された金額情報を、金額情報21として金額情報記憶部2へ格納する。また、出力手段302aは、取得された金額情報21を、デノミ桁数111と前記補助桁数112とを用いてデノミ前の補助通貨単位からデノミ後の通貨単位へ換算し、当該デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する。すなわち、入出力される金額情報は、デノミ後の主通貨単位の金額情報を整数値とし、金額情報格納時は、デノミ前の補助通貨単位の金額情報を整数値として管理する。これにより、補助桁数を加味してデノミ前後で整合性を保つことができる。特に、金額情報記憶部2に格納される金額情報21は、デノミ前の補助通貨単位を加味した整数値で表現することができるため、小数点を含む数値データの処理に比べて、数値処理の負荷を下げることができる。
【0081】
また、補助通貨単位が存在する場合、出力手段302aは、デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報の小数点以下の内、補助桁数112分を抽出して、出力する。これにより、例えば、補助通貨単位がセントの場合、小数点以下を2桁までを有効とし、小数点3桁以下の数値を金額情報から除去できる。そのため、補助通貨単位を含めたデノミ後の通貨単位として表現することができる。
【0082】
図10は、本発明の実施の形態2にかかる金額処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、前提として、図3と同様に、デノミが発動された後であるものとする。また、ここで対象とする通貨には、補助通貨単位が存在するものとする。また、以下の説明において図3と同等の処理については、詳細な説明を省略する。
【0083】
まず、入力手段301aは、金額情報を入力する(S21)。ここで、入力される金額情報は、デノミ後の通貨単位を基準としたデータである。また、主通貨単位及び補助通貨単位を含むものである。
【0084】
次に、入力手段301aは、入力された金額情報を、デノミ桁数111と補助桁数112とを用いて、デノミ後の通貨単位からデノミ前の補助通貨単位へ換算する(S22)。例えば、デノミ桁数111が"3"で、補助桁数112が"2"である場合、入力手段301aは、"3"に"2"を加算して"5"を算出し、換算情報11を換算率の内の桁数"5"として図3のステップS12と同等の処理を行う。
【0085】
続いて、入力手段301aは、デノミ前の補助通貨単位へ換算された金額情報21を格納する(S23)。すなわち、金額情報記憶部2には、デノミ前の補助通貨単位を基準とした整数値である金額情報21が格納される。
【0086】
その後、出力手段302aは、図3のステップS14と同様に、格納された金額情報を取得する(S24)。
【0087】
そして、出力手段302aは、取得された金額情報21を、デノミ桁数111と補助桁数112とを用いて、デノミ前の補助通貨単位からデノミ後の通貨単位へ換算する(S25)。例えば、出力手段302aは、換算情報11を換算率の内の桁数"5"として図3のステップS15と同等の処理を行う。
【0088】
続いて、出力手段302aは、デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報の小数点以下の内、補助桁数分を抽出する(S26)。具体的には、出力手段302aは、ステップS25により換算された金額情報の内、小数点以下の補助桁数112の桁数までを有効とし、以降の小数点以下の数値を切り捨てる。または、切り捨てに代えて四捨五入する。
【0089】
その後、出力手段302aは、図3のステップS16と同様に、デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する(S27)。
【0090】
図11は、本発明の実施の形態2にかかる金額情報の入出力の例として通貨単位の切り下げを示す図である。図11では、デノミとして、通貨単位の切り下げが発動され、デノミ桁数111として"3"、補助桁数112として"2"が設定されたものとする。さらに、切り下げを示す識別情報が設定されたものとする。また、金額情報記憶部2には、予め金額情報"1,111,111"が格納済みであるものとする。すなわち、デノミ前の通貨単位を基準とすると、金額情報"11,111.11"となる。
【0091】
まず、入力手段301aは、金額情報"11.11"を入力する(S21)。次に、入力手段301aは、換算情報11に含まれる切り下げを示す識別情報により、通貨単位の切り下げと判定する。そして、入力手段301aは、デノミ桁数111"3"に補助桁数112"2"を加算して"5"を算出する。そして、入力手段301aは、"11.11"に"10"の"5"乗を乗じて"1,111,000"を算出する。すなわち、入力手段301aは、入力された金額情報を、デノミ桁数111と補助桁数112とを用いて切り上げにより換算する(S22)。このとき、デノミ前の補助通貨単位を整数値とした金額情報が算出される。
【0092】
続いて、入力手段301aは、換算された金額情報"1,111,000"を金額情報記憶部2に格納する。このとき、既に金額情報記憶部2には、デノミ前の通貨単位の金額情報"1,111,111"が格納済みであるため、入力手段301aは、"1,111,111"に"1,111,000"を合算し、"2,222,111"として金額情報記憶部2に格納する(S23)。
【0093】
その後、出力手段302aは、金額情報記憶部2から金額情報"2,222,111"を取得、つまり読み出しを行う(S24)。次に、出力手段302aは、入力手段301aにおいて通貨単位の切り上げにより換算されたことを判定する。または、出力手段302aは、換算情報11に含まれる識別情報により、通貨単位の切り下げと判定する。そして、出力手段302aは、"2,222,111"に"10"の"5"乗の逆数を乗じて"22.22111"を算出する。すなわち、出力手段302aは、取得された金額情報を、デノミ桁数111と補助桁数112とを用いて切り下げにより換算する(S25)。
【0094】
続いて、出力手段302aは、換算された金額情報"22.22111"の小数点以下"22111"の内、補助桁数112"2"分である"22"を抽出する。その後、出力手段302aは、換算された金額情報の整数値部分と抽出された金額情報の小数値部分とを含めた"22.22"を出力する(S16)。尚、出力形式は、主通貨単位の金額情報を"22"及び補助通貨単位の金額情報を"22"としても構わない。
【0095】
尚、発動されたデノミが通貨単位の切り上げである場合も同様に処理されるため、具体例の説明を省略する。
【0096】
このように、本発明の実施の形態2により主通貨単位と補助通貨単位とを含む金額情報の入出力を扱う場合であっても、本発明の実施の形態1と同様の効果を奏することができる。この場合、デノミが発動された後に、デノミ対応作業として、換算情報記憶部1に格納されたデノミ桁数111を更新するのみであるため、デノミ対応の緊急性を満たすことができる。
【0097】
<発明の実施の形態3>
近年、多数の通貨の種別を扱う必要性が高いため、複数の通貨の種別ごとにデノミの発動に備える必要がある。その場合、デノミが発動されていない通貨の種別についても適切に対応する必要がある。また、上述した本発明の実施の形態2では、デノミ後の主通貨単位とデノミ前の補助通貨単位との間での換算を直接行っていたが、既存の情報システムの実装によっては、入出力時に、一旦、デノミ後の補助通貨単位へ換算し、その後、デノミ前の補助通貨単位へ換算した方が、情報システムの改修量が少ない場合もある。そこで、本発明の実施の形態3では、複数の通貨の種別を扱い、入出力時に、一旦、デノミ後の補助通貨単位へ換算する場合についての実施例を示す。
【0098】
図12は、本発明の実施の形態3にかかる金額処理システム100bの全体構成を示すブロック図である。金額処理システム100bは、上述した実施の形態1にかかる金額処理システム100に変更を加えたものである。以下、実施の形態1との違いを中心に説明し、実施の形態1と同等の構成及び処理については、詳細な説明を省略する。
【0099】
本発明の実施の形態3にかかる換算情報記憶部1は、複数の通貨の種別のいずれであるかを識別する通貨コード12と、当該通貨コード12における通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報11とを、当該複数の通貨の種別毎に関連付けて記憶する記憶装置である。また、換算情報11は、換算情報11に関連付けられた通貨コード12において、補助桁数112と、デノミ後桁数113とを含む。補助桁数112は、デノミ前の補助通貨単位の桁数を示す。また、デノミ後桁数113は、補助桁数112とデノミの前後において変更される通貨単位の桁数を示すデノミ桁数とを合算した桁数を示す。
【0100】
図13は、本発明の実施の形態3にかかる換算情報記憶部1の一例である通貨テーブルの例を示す図である。図13では、通貨テーブルの属性として識別番号(No.)、通貨コード、通貨名称、補助桁数、デノミ後桁数及び備考とを備える。尚、識別番号及び備考は、通貨テーブルに含めなくても構わない。通貨コードCCXである通貨Xについては、デノミが発動されていない状態とし、補助桁数とデノミ後桁数とが同数であることを示す"SPACE"が補助桁数に設定されていることを示す。尚、補助桁数とデノミ後桁数とが同数であることを示す情報はこれに限定されない。例えば、補助桁数には、単に"2"を設定しても構わない。または、別途、通貨単位の切り上げ又は切り下げを識別する識別情報に、デノミの発動無を示す情報を定義しても構わない。
【0101】
また、通貨コードCCYである通貨Yについては、通貨単位の切り下げがデノミ桁数"3"として発動された状態を示す。特に、通貨Yは、元々、補助桁数"2"であるため、デノミ後桁数は、"5"となる。また、通貨コードCCZである通貨Zについては、通貨単位の切り上げがデノミ桁数"3"として発動された状態を示す。特に、通貨Zは、補助桁数"0"であるため、デノミ後桁数は、"−3"となる。
【0102】
本発明の実施の形態3にかかる金額情報記憶部2は、通貨コード22と、当該通貨コード22における金額情報21とを関連付けて記憶する記憶装置である。尚、本発明の実施の形態3にかかる金額情報21は、整数値である。
【0103】
本発明の実施の形態3にかかる制御部30は、入力手段301bと、出力手段302bとして機能する。以下、補助通貨単位が存在しない場合と補助通貨単位が存在する場合とに分けて説明する。まず、補助通貨単位が存在しない場合、入力手段301bは、通貨コードと当該通貨コードにおける金額情報とを入力する。そして、入力手段301bは、当該入力された通貨コードに関連付けられた換算情報11を換算情報記憶部1から特定する。そして、入力手段301bは、当該入力された金額情報を、当該特定された換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算する。その後、入力手段301bは、当該入力された通貨コードと当該デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報とを関連付けて金額情報記憶部2へ格納する。
【0104】
出力手段302bは、金額情報記憶部2から入力された通貨コードに関連付けられたデノミ前の通貨単位へ換算された金額情報21を取得する。そして、出力手段302bは、当該取得された金額情報21を、特定された換算情報11に基づき、デノミ前の通貨単位からデノミ後の通貨単位へ換算し、当該デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する。これにより、複数の通貨の種別ごとのデノミの状況に応じて、適切な換算を行うことができる。
【0105】
次に、補助通貨単位が存在する場合、入力手段301bは、入力された金額情報を、特定された換算情報11に含まれる補助桁数112分の通貨単位の切り上げにより変換する。つまり、入力手段301bは、入力された金額情報を、デノミ後の補助通貨単位へ変換する。そして、入力手段301bは、特定された換算情報11に含まれる補助桁数112及びデノミ後桁数113から通貨単位の切り上げ又は切り下げを判定する。そして、入力手段301bは、当該変換された金額情報を、当該判定された結果に応じて、デノミ後の補助通貨単位からデノミ前の補助通貨単位へデノミ桁数分の通貨単位の切り上げ又は切り下げにより換算する。
【0106】
併せて、出力手段302bは、特定された換算情報11に含まれる補助桁数112及びデノミ後桁数113から通貨単位の切り上げ又は切り下げを入力手段301bとは異なるように判定する。そして、出力手段302bは、取得された金額情報21を、当該判定された結果に応じて、デノミ前の補助通貨単位からデノミ後の補助通貨単位へデノミ桁数分の通貨単位の切り上げ又は切り下げにより換算する。そして、出力手段302bは、当該換算された金額情報を、特定された換算情報11に含まれる補助桁数112分の通貨単位の切り下げにより変換する。その後、出力手段302bは、当該変換された金額情報を出力する。これにより、情報システムの改修量を少なくすることができる。
【0107】
さらに、入力手段301bは、特定された換算情報11に含まれる補助桁数112とデノミ後桁数113とが等しい場合、入力された金額情報を、補助桁数112分の通貨単位の切り上げにより変換する。そして、入力手段301bは、当該変換された金額情報をデノミ桁数分の換算をせずに、入力された通貨コードに関連付けて金額情報記憶部2へ格納する。
【0108】
併せて、出力手段302bは、特定された換算情報11に含まれる補助桁数112とデノミ後桁数113とが等しい場合、取得された金額情報21を、デノミ桁数分の換算をせずに、補助桁数112分の通貨単位の切り下げにより変換する。その後、出力手段302bは、当該変換された金額情報を出力する。これにより、デノミが発動されていない通貨において、処理を効率化することができる。
【0109】
尚、本発明の実施の形態3にかかる端末200は、通貨コードと金額情報とを金額処理システム100へ送信し、通貨コードを指定して金額情報の出力の要求を送信するものとする。
【0110】
図14は、本発明の実施の形態3にかかる金額入力処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、前提として、換算情報記憶部1に格納された情報は、図13に示す通貨テーブルのデータであるものとする。
【0111】
まず、入力手段301bは、通貨コード及び金額情報を入力する(S31)。具体的には、入力手段301bは、端末200から送信される通貨コードと金額情報とを入力する。
【0112】
次に、入力手段301bは、入力された通貨コードから換算情報を特定する(S32)。具体的には、入力手段301bは、換算情報記憶部1を参照し、入力された通貨コードに関連付けられた換算情報11を特定する。例えば、入力された通貨コードが"CCX"である場合、補助桁数112として"SPACE"、デノミ後桁数113として"2"を特定する。そして、入力手段301bは、特定した補助桁数112及びデノミ後桁数113を換算情報記憶部1から取得する、つまり読み出す。
【0113】
続いて、入力手段301bは、入力補助通貨桁補正処理を実行する。すなわち、入力手段301bは、入力された金額情報を補助桁数112分の通貨単位の切り上げにより変換する(S33)。ここで、図15は、本発明の実施の形態3にかかる入力補助通貨桁補正処理の詳細な流れを示すフローチャートである。尚、以降の説明において、金額情報をA、べき乗の演算子を"^"、補助桁数をD1、デノミ後桁数をD2、差分桁数をDDとする。
【0114】
まず、入力手段301bは、特定された補助桁数D1に"SPACE"が設定されているか否かを判定する(S331)。補助桁数D1に"SPACE"が設定されていないと判定された場合、入力手段301bは、金額情報Aに対して補助桁数D1を用いて以下の式(1)を実行し、金額情報Aを更新する(S332)。
A = A × ( 10 ^ D1 ) ・・・(1)
【0115】
また、ステップS331において、補助桁数D1に"SPACE"が設定されていると判定された場合、入力手段301bは、金額情報Aに対してデノミ後桁数D2を用いて以下の式(2)を実行し、金額情報Aを更新する(S333)。
A = A × ( 10 ^ D2 ) ・・・(2)
【0116】
このように、入力補助通貨桁補正処理により、デノミ後の主通貨単位により入力された金額情報を、通貨コードに応じて適切にデノミ後の補助通貨単位へ切り上げることができる。
【0117】
図14に戻り、入力手段301bは、入力金額換算処理を実行する(S34)。まず、入力手段301bは、補助桁数112及びデノミ後桁数113から通貨単位の切り上げ又は切り下げを判定する(S34a)。そして、入力手段301bは、入力された金額情報を、特定された換算情報11に基づき、デノミ後の補助通貨単位からデノミ前の補助通貨単位へ換算する(S34b)。ここで、図16は、本発明の実施の形態3にかかる入力金額換算処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0118】
まず、入力手段301bは、特定された補助桁数D1に"SPACE"が設定されているか否かを判定する(S341)。補助桁数D1に"SPACE"が設定されていないと判定された場合、入力手段301bは、デノミ後桁数D2が補助桁数D1より大きいか否かを判定する(S342)。デノミ後桁数D2が補助桁数D1より大きいと判定された場合、入力手段301bは、デノミ後桁数D2及び補助桁数D1を用いて以下の式(3)を実行し、差分桁数DDを算出する(S343)。
DD = D2 − D1 ・・・(3)
【0119】
そして、入力手段301bは、金額情報Aに対して差分桁数DDを用いて以下の式(4)を実行し、金額情報Aを更新する(S344)。
A = A × ( 10 ^ DD ) ・・・(4)
【0120】
また、ステップS342において、デノミ後桁数D2が補助桁数D1より大きくないと判定された場合、入力手段301bは、デノミ後桁数D2が補助桁数D1より小さいか否かを判定する(S345)。デノミ後桁数D2が補助桁数D1より小さいと判定された場合、入力手段301bは、デノミ後桁数D2及び補助桁数D1を用いて以下の式(5)を実行し、差分桁数DDを算出する(S346)。
DD = D1 − D2 ・・・(5)
【0121】
そして、入力手段301bは、金額情報Aに対して差分桁数DDを用いて以下の式(6)を実行し、金額情報Aを更新する(S347)。
A = A × 1 / ( 10 ^ DD ) ・・・(6)
【0122】
また、ステップS341において、補助桁数D1に"SPACE"が設定されていると判定された場合、又は、ステップS345において、デノミ後桁数D2が補助桁数D1より小さくない、すなわち、デノミ後桁数D2と補助桁数D1とが等しいと判定された場合、入力手段301bは、金額情報Aを更新せずに、入力金額換算処理を終了する。
【0123】
続いて、図14に戻り、入力手段301bは、デノミ前の補助通貨単位へ換算された金額情報21を格納する(S35)。すなわち、金額情報記憶部2には、デノミ前の補助通貨単位を整数値とした金額情報21が格納される。その後、入力手段301bは、当該金額入力処理を終了する。
【0124】
図17は、本発明の実施の形態3にかかる金額出力処理の流れを示すフローチャートである。金額出力処理は、図14の後に実行されるものとするが、金額入力処理とは独立して実行されても構わない。その場合、最初に、端末200から通貨コードの入力を受け付け、図14のステップS32を実行することとなる。
【0125】
まず、出力手段302bは、図3のステップS14と同様に、格納された金額情報21を取得する(S36)。次に、出力手段302bは、出力金額換算処理を実行する(S37)。まず、出力手段302bは、補助桁数112及びデノミ後桁数113から通貨単位の切り上げ又は切り下げを判定する(S37a)。そして、出力手段302bは、取得された金額情報21を、特定された換算情報11に基づき、デノミ前の補助通貨単位からデノミ後の補助通貨単位へ換算する(S37b)。ここで、図18は、本発明の実施の形態3にかかる出力金額換算処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0126】
まず、出力手段302bは、特定された補助桁数D1に"SPACE"が設定されているか否かを判定する(S371)。補助桁数D1に"SPACE"が設定されていないと判定された場合、出力手段302bは、デノミ後桁数D2が補助桁数D1より大きいか否かを判定する(S372)。デノミ後桁数D2が補助桁数D1より大きいと判定された場合、出力手段302bは、デノミ後桁数D2及び補助桁数D1を用いて上記の式(3)を実行し、差分桁数DDを算出する(S373)。尚、ステップS343により算出された差分桁数DDをRAM32等に一時的に保存し、ステップS373において使用しても構わない。これにより処理を簡略化することができる。
【0127】
そして、出力手段302bは、金額情報Aに対して差分桁数DDを用いて上記の式(6)を実行し、金額情報Aを更新する(S374)。
【0128】
また、ステップS372において、デノミ後桁数D2が補助桁数D1より大きくないと判定された場合、出力手段302bは、デノミ後桁数D2が補助桁数D1より小さいか否かを判定する(S375)。デノミ後桁数D2が補助桁数D1より小さいと判定された場合、出力手段302bは、デノミ後桁数D2及び補助桁数D1を用いて上記の式(5)を実行し、差分桁数DDを算出する(S376)。尚、ステップS346により算出された差分桁数DDをRAM32等に一時的に保存し、ステップS376において使用しても構わない。これにより処理を簡略化することができる。
【0129】
そして、入力手段301bは、金額情報Aに対して差分桁数DDを用いて上記の式(4)を実行し、金額情報Aを更新する(S377)。
【0130】
また、ステップS371において、補助桁数D1に"SPACE"が設定されていると判定された場合、又は、ステップS375において、デノミ後桁数D2が補助桁数D1より小さくない、すなわち、デノミ後桁数D2と補助桁数D1とが等しいと判定された場合、出力手段302bは、金額情報Aを更新せずに、出力金額換算処理を終了する。
【0131】
続いて、図17に戻り、出力手段302bは、出力補助通貨桁補正処理を実行する。すなわち、出力手段302bは、換算された金額情報を補助桁数112分の通貨単位の切り下げにより変換する(S38)。ここで、図19は、本発明の実施の形態3にかかる出力補助通貨桁補正処理の詳細な流れを示すフローチャートである。尚、以降の説明において、ROUND(X,Y)は、数値Xの内、小数点以下の桁数Yまでを有効とする処理であるものとする。但し、ROUND(X,Y)は、四捨五入又は切り捨てのいずれでも構わない。
【0132】
まず、出力手段302bは、特定された補助桁数D1に"SPACE"が設定されているか否かを判定する(S381)。補助桁数D1に"SPACE"が設定されていないと判定された場合、出力手段302bは、金額情報Aに対して補助桁数D1を用いて以下の式(7)を実行し、金額情報Aを更新する(S382)。
A = A × 1 / ( 10 ^ D1 ) ・・・(7)
そして、出力手段302bは、金額情報Aに対して補助桁数D1を用いて以下の式(8)を実行し、金額情報Aを更新する(S383)。
A = ROUND(A, D1) ・・・(8)
【0133】
また、ステップS381において、補助桁数D1に"SPACE"が設定されていると判定された場合、出力手段302bは、金額情報Aに対してデノミ後桁数D2を用いて以下の式(9)を実行し、金額情報Aを更新する(S384)。
A = A × 1 / ( 10 ^ D2 ) ・・・(9)
そして、出力手段302bは、金額情報Aに対してデノミ後桁数D2を用いて以下の式(10)を実行し、金額情報Aを更新する(S385)。
A = ROUND(A, D2) ・・・(10)
【0134】
このように、出力補助通貨桁補正処理により、デノミ前の主通貨単位により入力された金額情報を、通貨コードに応じて適切にデノミ前の補助通貨単位へ切り上げることができる。
【0135】
その後、図17に戻り、出力手段302bは、図3のステップS16と同様に、デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する(S39)。
【0136】
図20は、本発明の実施の形態3にかかる通貨Xにおける金額情報の入出力の例を示す図である。金額情報記憶部2には、予め、通貨Xの補助通貨単位を基準とした金額情報"1,111"が格納済みであるものとする。すなわち、デノミ前の通貨Xの通貨単位を基準とすると、金額情報"11.11"となる。
【0137】
まず、入力手段301bは、金額情報"11.11"を入力する(S31)。次に、入力手段301bは、入力補助通貨桁補正処理により"11.11"に"10"の"2"乗を乗じて"1,111"を算出する。すなわち、入力手段301bは、入力された金額情報を、デノミ後桁数113を用いて切り上げにより変換する(S33)。このとき、通貨Xの補助通貨単位を整数値とした金額情報が算出される。そして、入力手段301bは、補助桁数112が"SPACE"であるため、"1,111"に対して換算を行わない(S34)。
【0138】
続いて、入力手段301bは、換算された金額情報"1,111"を金額情報記憶部2に格納する。このとき、既に金額情報記憶部2には、デノミ前の通貨Xの補助通貨単位の金額情報"1,111"が格納済みであるため、入力手段301bは、"1,111"に"1,111"を合算し、"2,222"として金額情報記憶部2に格納する(S35)。
【0139】
その後、出力手段302bは、金額情報記憶部2から金額情報"2,222"を取得、つまり読み出しを行う(S36)。次に、出力手段302bは、補助桁数112が"SPACE"であるため、"2,222"に対して換算を行わない(S37)。
【0140】
続いて、出力手段302bは、出力補助通貨桁補正処理により"2,222"に"10"の"2"乗の逆数を乗じて"22.22"を算出する。すなわち、出力手段302bは、取得された金額情報を、デノミ後桁数113を用いて切り下げにより変換する(S38)。続いて、出力手段302bは、変換された金額情報"22.22"を出力する(S39)。これにより、デノミ後の通貨Xの主通貨単位を整数値とした金額情報が算出される。
【0141】
図21は、本発明の実施の形態3にかかる通貨Yにおける金額情報の入出力の例を示す図である。金額情報記憶部2には、予め、通貨Yの補助通貨単位を基準とした金額情報"1,111,111"が格納済みであるものとする。すなわち、デノミ前の通貨Yの通貨単位を基準とすると、金額情報"11,111.11"となる。
【0142】
まず、入力手段301bは、金額情報"11.11"を入力する(S31)。次に、入力手段301bは、入力補助通貨桁補正処理により"11.11"に"10"の"2"乗を乗じて"1,111"を算出する。すなわち、入力手段301bは、入力された金額情報を、デノミ後桁数113を用いて切り上げにより変換する(S33)。そして、入力手段301bは、デノミ後桁数113"5"から補助桁数112"2"を減算して"3"を算出する。そして、入力手段301bは、"1,111"に"10"の"3"乗を乗じて"1,111,000"を算出する。すなわち、入力手段301bは、入力された金額情報を、デノミ後桁数113と補助桁数112とを用いて切り上げにより換算する(S34)。このとき、デノミ前の通貨Yの補助通貨単位を整数値とした金額情報が算出される。
【0143】
続いて、入力手段301bは、換算された金額情報"1,111,000"を金額情報記憶部2に格納する。このとき、既に金額情報記憶部2には、デノミ前の通貨Yの補助通貨単位の金額情報"1,111,111"が格納済みであるため、入力手段301bは、"1,111,111"に"1,111,000"を合算し、"2,222,111"として金額情報記憶部2に格納する(S35)。
【0144】
その後、出力手段302bは、金額情報記憶部2から金額情報"2,222,111"を取得、つまり読み出しを行う(S36)。次に、出力手段302bは、"2,222,111"に"10"の"3"乗の逆数を乗じて"2,222.111"を算出する。すなわち、出力手段302bは、取得された金額情報を、デノミ後桁数113と補助桁数112とを用いて切り下げにより換算する(S37)。このとき、デノミ後の通貨Yの補助通貨単位を整数値とした金額情報が算出される。
【0145】
続いて、出力手段302bは、出力補助通貨桁補正処理により"2,222.111"に"10"の"2"乗の逆数を乗じて"22.22"を算出する。すなわち、出力手段302bは、取得された金額情報を、デノミ後桁数113を用いて切り下げにより変換する(S38)。続いて、出力手段302は、変換された金額情報"22.22"を出力する(S39)。これにより、デノミ後の通貨Yの主通貨単位を整数値とした金額情報が算出される。
【0146】
図22は、本発明の実施の形態3にかかる通貨Zにおける金額情報の入出力の例を示す図である。金額情報記憶部2には、予め、通貨Zの通貨単位を基準とした金額情報"1"が格納済みであるものとする。
【0147】
まず、入力手段301bは、金額情報"1,000"を入力する(S31)。次に、入力手段301bは、入力補助通貨桁補正処理により"1,000"に"10"の"0"乗を乗じて"1,000"を算出する。または、補助桁数112が"0"であるため、入力手段301bは、入力補助通貨桁補正処理による変換を行わない(S33)。そして、入力手段301bは、補助桁数112"0"からデノミ後桁数113"−3"を減算して"3"を算出する。そして、入力手段301bは、"1,000"に"10"の"3"乗の逆数を乗じて"1"を算出する。すなわち、入力手段301bは、入力された金額情報を、デノミ後桁数113と補助桁数112とを用いて切り下げにより換算する(S34)。
【0148】
続いて、入力手段301bは、換算された金額情報"1"を金額情報記憶部2に格納する。このとき、既に金額情報記憶部2には、デノミ前の通貨Zの通貨単位の金額情報"1"が格納済みであるため、入力手段301bは、"1"に"1"を合算し、"2"として金額情報記憶部2に格納する(S35)。
【0149】
その後、出力手段302bは、金額情報記憶部2から金額情報"2"を取得、つまり読み出しを行う(S36)。次に、出力手段302bは、"2"に"10"の"3"乗を乗じて"2,000"を算出する。すなわち、出力手段302bは、取得された金額情報を、デノミ後桁数113と補助桁数112とを用いて切り上げにより換算する(S37)。
【0150】
続いて、出力手段302bは、出力補助通貨桁補正処理により"2,000"に"10"の"0"乗の逆数を乗じて"2,000"を算出する。または、補助桁数112が"0"であるため、出力手段302bは、出力補助通貨桁補正処理による変換を行わない(S38)。続いて、出力手段302bは、変換された金額情報"2,000"を出力する(S39)。これにより、デノミ後の通貨Zの主通貨単位を整数値として金額情報が算出される。
【0151】
このように、本発明の実施の形態3により、複数の通貨の種別を扱いつつ、本発明の実施の形態1と同様の効果を奏することができる。これにより、世界各国の様々な通貨について一つの金額処理システム100bによりデノミ対応を実現することができる。この場合、デノミが発動された後に、デノミ対応作業として、換算情報記憶部1に格納されたデノミ後桁数113を更新するのみであるため、デノミ対応の緊急性を満たすことができる。
【0152】
また、金額処理システム100bでは、現時点でデノミが発動されていない通貨、特に、デノミの発動が予想されない通貨であっても予め対応することができる。そのため、デノミ対応における緊急性を満たすことができる。
【0153】
さらに、本発明の実施の形態3では、入出力時に、一旦、デノミ後の補助通貨単位へ換算することができる。これにより、既存の情報システムにおける改修箇所を減らすことが可能となる。また、デノミ後の補助通貨単位に換算された金額情報を他の処理に用いることが可能となり、システムの柔軟性が増す。
【0154】
さらに、本発明の実施の形態3にかかる入力金額換算処理と出力金額換算処理とを独立した処理とすることで、将来的に入力時又は出力時のみにアルゴリズムのカスタマイズが発生した場合にも柔軟に改修することができる。
【0155】
本発明の実施の形態3では、今後、同一通貨の種別におけるデノミが複数回、発動された場合であっても、デノミ後桁数を更新するのみで対応可能となる。
【0156】
尚、本発明の実施の形態3において、デノミ後桁数113の代わりにデノミ桁数111を用いても構わない。
【0157】
<その他の発明の実施の形態>
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0158】
100 金額処理システム
100a 金額処理システム
100b 金額処理システム
1 換算情報記憶部
11 換算情報
111 デノミ桁数
112 補助桁数
113 デノミ後桁数
12 通貨コード
2 金額情報記憶部
21 金額情報
22 通貨コード
3 金額処理サーバ
30 制御部
301 入力手段
301a 入力手段
301b 入力手段
302 出力手段
302a 出力手段
302b 出力手段
31 CPU
32 RAM
33 ROM
34 通信部
35 ハードディスク
351 OS
352 金額処理プログラム
200 端末
A 金額情報
D1 補助桁数
D2 デノミ後桁数
DD 差分桁数
X 通貨
CCX 通貨コード
Y 通貨
CCY 通貨コード
Z 通貨
CCZ 通貨コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通貨単位における金額情報の処理を行う金額処理システムであって、
通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報を記憶する換算情報記憶部と、
前記所定の通貨単位における金額情報を記憶する金額情報記憶部と、
前記金額情報の処理を実行する制御部とを備え、
前記制御部は、
デノミ発動後において前記金額情報が入力された場合には、当該入力された金額情報を、前記換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算し、当該デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を前記金額情報記憶部へ格納する入力手段と、
前記デノミ発動後において前記金額情報を出力する場合には、前記金額情報記憶部から前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を取得し、当該取得された金額情報を、前記換算情報に基づき、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算し、当該デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する出力手段と、
を備える金額処理システム。
【請求項2】
前記入力手段は、前記金額情報記憶部にデノミ前に格納された金額情報が存在する場合、当該デノミ前に格納された金額情報に、前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を合算して、前記金額情報記憶部へ格納することを特徴とする請求項1に記載の金額処理システム。
【請求項3】
前記入力手段は、前記換算情報に基づき、通貨単位の切り上げ又は切り下げを判定し、前記入力された金額情報を、当該判定された結果に応じて、通貨単位の切り上げ又は切り下げにより換算し、
前記出力手段は、前記入力手段において通貨単位の切り上げにより換算された場合に、前記取得された金額情報について通貨単位の切り下げにより換算し、前記入力手段において通貨単位の切り下げにより換算された場合に、前記取得された金額情報について通貨単位の切り上げにより換算することを特徴とする請求項1又は2に記載の金額処理システム。
【請求項4】
前記換算情報は、デノミの前後において変更される通貨単位の桁数を示すデノミ桁数を含み、
前記入力手段は、前記入力された金額情報を、前記デノミ後の通貨単位から前記デノミ前の通貨単位へ前記デノミ桁数分を変更することにより換算し、
前記出力手段は、前記取得された金額情報を、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ前記入力手段により変更された桁数分を戻すことにより換算することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の金額処理システム。
【請求項5】
前記換算情報は、前記所定の通貨単位に対する補助単位である補助通貨単位の桁数である補助桁数をさらに含み、
前記入力手段は、前記入力された金額情報を、前記デノミ桁数と前記補助桁数とを用いて前記デノミ後の通貨単位から前記デノミ前の補助通貨単位へ換算し、当該デノミ前の補助通貨単位へ換算された金額情報を前記金額情報記憶部へ格納し、
前記出力手段は、前記取得された金額情報を、前記デノミ桁数と前記補助桁数とを用いて前記デノミ前の補助通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算し、当該デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力することを特徴とする請求項4に記載の金額処理システム。
【請求項6】
前記出力手段は、前記デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報の小数点以下の内、前記補助桁数分を抽出して、出力することを特徴とする請求項5に記載の金額処理システム。
【請求項7】
所定の通貨単位における金額情報の処理を行う金額処理システムであって、
複数の通貨の種別のいずれであるかを識別する通貨コードと、当該通貨コードにおける通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報とを、当該複数の通貨の種別毎に関連付けて記憶する換算情報記憶部と、
前記通貨コードと、当該通貨コードにおける金額情報とを関連付けて記憶する金額情報記憶部と、
前記金額情報の処理を実行する制御部とを備え、
前記制御部は、
デノミ発動後において前記通貨コードと当該通貨コードにおける金額情報とが入力された場合には、当該入力された通貨コードに関連付けられた換算情報を前記換算情報記憶部から特定し、当該入力された金額情報を、当該特定された換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算し、当該入力された通貨コードと当該デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報とを関連付けて前記金額情報記憶部へ格納する入力手段と、
前記デノミ発動後において前記金額情報を出力する場合には、前記金額情報記憶部から前記入力された通貨コードに関連付けられた前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を取得し、当該取得された金額情報を、前記特定された換算情報に基づき、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算し、当該デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する出力手段と、
を備える金額処理システム。
【請求項8】
前記換算情報は、当該換算情報に関連付けられた通貨コードにおいて、デノミ前の通貨単位に対する補助単位である補助通貨単位の桁数である補助桁数と、当該補助桁数とデノミの前後において変更される通貨単位の桁数を示すデノミ桁数とを合算したデノミ後桁数とを含み、
前記入力手段は、
前記入力された金額情報を、前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数分の通貨単位の切り上げにより変換し、
前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数及び前記デノミ後桁数から通貨単位の切り上げ又は切り下げを判定し、
当該変換された金額情報を、当該判定された結果に応じて、前記デノミ後の補助通貨単位から前記デノミ前の補助通貨単位へ前記デノミ桁数分の通貨単位の切り上げ又は切り下げにより換算し、
前記出力手段は、
前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数及び前記デノミ後桁数から通貨単位の切り上げ又は切り下げを前記入力手段とは異なるように判定し、
前記取得された金額情報を、当該判定された結果に応じて、前記デノミ前の補助通貨単位から前記デノミ後の補助通貨単位へ前記デノミ桁数分の通貨単位の切り上げ又は切り下げにより換算し、
当該換算された金額情報を、前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数分の通貨単位の切り下げにより変換し、
当該変換された金額情報を出力する
ことを特徴とする請求項7に記載の金額処理システム。
【請求項9】
前記入力手段は、
前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数と前記デノミ後桁数とが等しい場合、前記入力された金額情報を、前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数分の通貨単位の切り上げにより変換し、
当該変換された金額情報を前記デノミ桁数分の換算をせずに、前記入力された通貨コードに関連付けて前記金額情報記憶部へ格納し、
前記出力手段は、
前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数と前記デノミ後桁数とが等しい場合、前記取得された金額情報を、前記デノミ桁数分の換算をせずに、前記特定された換算情報に含まれる前記補助桁数分の通貨単位の切り下げにより変換し、当該変換された金額情報を出力する
ことを特徴とする請求項8に記載の金額処理システム。
【請求項10】
通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報を記憶する換算情報記憶部と、
所定の通貨単位における金額情報を記憶する金額情報記憶部と、
を備えるコンピュータにおける前記所定の通貨単位における金額情報の処理を実行するための金額処理方法であって、
デノミ発動後において前記金額情報を入力する入力ステップと、
前記入力された金額情報を、前記換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算する第1の換算ステップと、
前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を前記金額情報記憶部へ格納する格納ステップと、
前記デノミ発動後において前記金額情報を出力する場合に、前記金額情報記憶部から前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を取得する取得ステップと、
前記取得された金額情報を、前記換算情報に基づき、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算する第2の換算ステップと、
前記デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する出力ステップと、
を含む金額処理方法。
【請求項11】
複数の通貨の種別のいずれであるかを識別する通貨コードと、当該通貨コードにおける通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報とを、当該複数の通貨の種別毎に関連付けて記憶する換算情報記憶部と、
前記通貨コードと、当該通貨コードにおける金額情報とを関連付けて記憶する金額情報記憶部と、
を備えるコンピュータにおける前記所定の通貨単位における金額情報の処理を実行するための金額処理方法であって、
デノミ発動後において前記通貨コードと当該通貨コードにおける金額情報とを入力する入力ステップと、
前記入力された通貨コードに関連付けられた換算情報を前記換算情報記憶部から特定する特定ステップと、
前記入力された金額情報を、前記特定された換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算する第1の換算ステップと、
前記入力された通貨コードと前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報とを関連付けて前記金額情報記憶部へ格納する格納ステップと、
前記デノミ発動後において前記金額情報を出力する場合に、前記金額情報記憶部から前記入力された通貨コードに関連付けられた前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を取得する取得ステップと、
前記取得された金額情報を、前記特定された換算情報に基づき、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算する第2の換算ステップと、
前記デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する出力ステップと、
を含む金額処理方法。
【請求項12】
通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報を記憶する換算情報記憶部と、
所定の通貨単位における金額情報を記憶する金額情報記憶部と、
を備えるコンピュータに前記所定の通貨単位における金額情報の処理を実行させる金額処理プログラムであって、
デノミ発動後において前記金額情報を入力する入力処理と、
前記入力された金額情報を、前記換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算する第1の換算処理と、
前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を前記金額情報記憶部へ格納する格納処理と、
前記デノミ発動後において前記金額情報を出力する場合に、前記金額情報記憶部から前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を取得する取得処理と、
前記取得された金額情報を、前記換算情報に基づき、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算する第2の換算処理と、
前記デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する出力処理と、
を含む金額処理プログラム。
【請求項13】
複数の通貨の種別のいずれであるかを識別する通貨コードと、当該通貨コードにおける通貨単位の変更であるデノミの前後の通貨単位を換算するための換算情報とを、当該複数の通貨の種別毎に関連付けて記憶する換算情報記憶部と、
前記通貨コードと、当該通貨コードにおける金額情報とを関連付けて記憶する金額情報記憶部と、
を備えるコンピュータに前記所定の通貨単位における金額情報の処理を実行させる金額処理プログラムであって、
デノミ発動後において前記通貨コードと当該通貨コードにおける金額情報とを入力する入力処理と、
前記入力された通貨コードに関連付けられた換算情報を前記換算情報記憶部から特定する特定処理と、
前記入力された金額情報を、前記特定された換算情報に基づき、デノミ後の通貨単位からデノミ前の通貨単位へ換算する第1の換算処理と、
前記入力された通貨コードと前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報とを関連付けて前記金額情報記憶部へ格納する格納処理と、
前記デノミ発動後において前記金額情報を出力する場合に、前記金額情報記憶部から前記入力された通貨コードに関連付けられた前記デノミ前の通貨単位へ換算された金額情報を取得する取得処理と、
前記取得された金額情報を、前記特定された換算情報に基づき、前記デノミ前の通貨単位から前記デノミ後の通貨単位へ換算する第2の換算処理と、
前記デノミ後の通貨単位へ換算された金額情報を出力する出力処理と、
を含む金額処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−170776(P2011−170776A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36322(P2010−36322)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)