説明

釣竿の保護カバー

【課題】複数種類の釣竿に共通して用いることができる釣竿の保護カバーを提供する。
【解決手段】複数の竿杆101を振出し式に連結してなる釣竿の先端部に装着される釣竿の保護カバー1であって、複数の竿杆101が収納された状態で、少なくとも穂先H側の小径竿杆101を収容する筒状カバー部10と、元竿100側に取り付ける取付部20と、を備え、筒状カバー部10の先端から取付部20の後端までの長さL1、L2を調節可能にしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の竿杆を振出し式に連結してなる釣竿の先端部に装着される釣竿の保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、振出し式の釣竿は、元竿側の竿杆内に穂先側の竿杆が順に収納されて構成されており、使用時には、元竿側の竿杆内から穂先側の竿杆を順に引き出して延ばす操作を行うことで、1本に連結された釣竿としている。
そして、収納時には、穂先側の竿杆を元竿側に順次収納してコンパクトな状態にし、釣竿の先端部である穂先側に、釣竿の保護カバー(以下、単に保護カバーと称するときがある)を装着している。
【0003】
従来の保護カバーは、一般的に、有底筒状のカバー本体と、このカバー本体を元竿側の竿杆に固定するためのバンドとを有している(例えば、特許文献1参照)。
このような保護カバーを穂先側に装着してバンドで元竿側の竿杆に固定することにより、元竿側に収納した竿杆が穂先側に飛び出してしまうのを防止することができ、また、穂先側の竿杆が傷付くのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−130470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、振出し式の釣竿では、その種類によって大きさの異なる釣糸ガイドが使用されている。例えば、図7(a)(b)に示すように、釣竿R2で使用されている釣糸ガイド124は、これと種類の異なる釣竿R1で使用されている釣糸ガイド123よりも大型となっている。このような、大型の釣糸ガイド124では、円環部G3を支持する脚部G2に折曲部G4が形成されており、この折曲部G4に巻糸等を施して竿杆101に固定していた。
【0006】
したがって、このような大型の釣糸ガイド124を用いた釣竿R2では、竿杆101の先端部に、巻糸等によって太径とされた太径部110が形成される。この太径部110は大径であるので、収納時においても竿杆101内等には収納されず、竿杆101等の先端部に露出した状態で位置する。
これにより、収納時の釣竿R1および釣竿R2の収納形態を比較すると、釣竿R2においては、穂先Hから元竿100の先端部までの長さL2が、釣竿R1の相当する長さL1に比べて大きくなっていた。したがって、装着される保護カバーC2の大きさも釣竿R1用の保護カバーC1に比べて大きく嵩張るという問題があった。
【0007】
また、釣竿(例えばR1、R2)の種類に応じて保護カバー(例えばC1、C2)を複数種類用意する必要があるなど、コストアップとなっていた。
【0008】
本発明は、前記諸問題を解決するためになされたものであり、穂先から元竿の先端部までの長さが異なる複数種類の振出し式の釣竿に共通して用いることができる釣竿の保護カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決する本発明の釣竿の保護カバーは、複数の竿杆を振出し式に連結してなる釣竿の先端部に装着される釣竿の保護カバーであって、前記複数の竿杆が収納された状態で、少なくとも穂先側の小径竿杆を収容する筒状カバー部と、元竿側に取り付ける取付部と、を備え、前記筒状カバー部の先端から前記取付部の後端までの長さを調節可能にしたことを特徴とする。
ここで、筒状カバー部の先端から取付部の後端までの長さとは、穂先に筒状カバー部を被せた状態で、元竿側に取付部を位置させることのできる長さ(全長)である。
【0010】
この釣竿の保護カバーによれば、筒状カバー部の先端から取付部の後端までの長さを調節可能にしたので、装着する釣竿の穂先から元竿の先端部までの長さに対応するように長さを調節することができ、穂先に筒状カバー部を被せた状態で、元竿側に取付部を位置させることができる。
【0011】
また、本発明は、前記筒状カバー部と前記取付部とは、互いに別体に設けられ、前記竿杆の軸方向における両者間の間隔を連結手段を介して調整可能に連結されている構成とするのがよい。
【0012】
この釣竿の保護カバーによれば、連結手段によって、別体に設けられた筒状カバー部と取付部との間隔を調整することができるので、穂先から元竿の先端部までの長さに対応するように長さを調節することができ、穂先に筒状カバー部を被せた状態で、元竿側に取付部を位置させることができる。
【0013】
また、本発明は、前記連結手段が、前記竿杆の軸方向に伸縮自在な伸縮部材を備えて構成されるのがよい。
【0014】
この釣竿の保護カバーによれば、伸縮部材によって筒状カバー部と取付部との間隔を容易に調整することができ、筒状カバー部の先端から取付部の後端までの長さ調節を簡単に行うことができる。
【0015】
また、本発明は、前記連結手段が、前記筒状カバー部および前記取付部の一方から他方へ向けて延びる延設部と、前記他方に設けられ、前記延設部に着脱可能に係止される係止部とを備えて構成されているのがよい。
【0016】
この釣竿の保護カバーによれば、延設部に対して係止部が着脱可能に係止されるようになっているので、穂先から元竿の先端部までの長さに対応するように延設部と係止部とを係止させることで長さを容易に調節することができる。
【0017】
また、本発明は、前記連結手段が、前記筒状カバー部と前記取付部との間に介設される単数または複数の筒状部材を備えて構成されているのがよい。
【0018】
この釣竿の保護カバーによれば、筒状カバー部と取付部との間に単数または複数の筒状部材を介設することで、穂先から元竿の先端部までの長さに対応するように、長さを容易に調節することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、筒状カバー部の先端から取付部の後端までの長さを調節可能にしたので、穂先から元竿の先端部までの長さが釣竿の種類によって異なる場合でも、その長さに対応するように長さを調節して釣竿に装着することができる。また、保護カバーの全長を短くすることができ、小型化が可能となる。
したがって、穂先から元竿の先端部までの長さが異なる複数種類の釣竿に共通して用いることのできる釣竿の保護カバーが得られる。
また、釣竿の種類に応じて、保護カバーを数種類用意する必要がないので、コストを低減することができ、製造管理も簡略になる。
また、筒状カバー部の先端から取付部の後端までの長さを調節可能にしたので、不使用時には、長さを調節してコンパクトにすることができ、従来のように大きく嵩張ることもない。
【0020】
また、本発明によれば、連結手段によって、筒状カバー部と取付部との間隔を調整することができるので、穂先から元竿の先端部までの長さが釣竿の種類によって異なる場合でも、その長さに対応するように長さを調節して釣竿に装着することができる。また、保護カバーの全長を短くすることができ、小型化が可能となる。
したがって、穂先から元竿の先端部までの長さが異なる複数種類の釣竿に共通して用いることのできる釣竿の保護カバーが得られる。
【0021】
また、本発明によれば、伸縮部材によって筒状カバー部と取付部とが連結されているので、両者間の間隔の調節が行い易く、装着性に優れた釣竿の保護カバーが得られる。
【0022】
また、本発明によれば、延設部に対して係止部が着脱可能に係止されるようになっているので、筒状カバー部と取付部との連結および連結の解除が容易であり、筒状カバー部と取付部との間隔の調節が行い易く、装着性に優れた釣竿の保護カバーが得られる。
また、不使用時にコンパクトな長さに調節する際の操作も容易であるという利点も得られる。
【0023】
また、本発明によれば、筒状カバー部と取付部との間に円筒状部材を介設することで筒状カバーと取付部との間隔を簡単に調整することができる。また、例えば、複数の円筒状部材を組み合わせることにより、長さ調節のバリエーションが多くなるという利点も得られる。
また、不使用時には、筒状カバー部と取付部との間から円筒状部材を外すことにより、長さを簡単に短く調節することができ、コンパクト化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る釣竿の保護カバーとこれを装着する釣竿とを示す斜視図である。
【図2】(a)(b)は第1実施形態の釣竿の保護カバーの使用態様を示す斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る釣竿の保護カバーを示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は筒状カバー部の先端から取付部の後端までの長さを短くした状態を示す斜視図、(c)は筒状カバー部の先端から取付部の後端までの長さを長くした状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る釣竿の保護カバーを示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は筒状カバー部の先端から取付部の後端までの長さを短くした状態を示す斜視図、(c)は筒状カバー部の先端から取付部の後端までの長さを長くした状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る釣竿の保護カバーを示す図であり、(a)は筒状カバー部の先端から取付部の後端までの長さを短くした状態を示す斜視図、(b)は筒状カバー部の先端から取付部の後端までの長さを長くした状態を示す斜視図である。
【図6】(a)(b)は変形例に係る釣竿の保護カバーを示す分解斜視図である。
【図7】(a)(b)は従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る釣竿の保護カバーの実施の形態について図面を参照しながら説明する。各実施形態において、同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
なお、以下の説明において、「前」側は、竿先側(穂先側)を言い、「後」側は、元竿側を言う。また、本発明に係る釣竿の保護カバーは、複数の竿杆を振出し式に連結してなる釣竿に適用されるものであり、例えば、投げ、磯、船、ルアーなど様々な種類の釣竿に適用可能である。
【0026】
(第1実施形態)
図1に示すように、釣竿の保護カバー1は、複数の竿杆101が収納された状態で少なくとも穂先H側の小径竿杆101を収容する筒状カバー部10と、この筒状カバー部10とは別体に設けられ、元竿100側に取り付けられる取付部として機能する取付バンド20と、筒状カバー部10と取付バンド20とを連結する連結手段としての弾性紐30とを備えて構成されている。
【0027】
筒状カバー部10は、有底円筒状を呈しており、合成樹脂材、例えば、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等で形成されている。筒状カバー部10の底部内側には、図2(a)(b)に示すように、穂先H側を収容したときに穂先Hに軟らかく当接する軟質部材12が配置されている。
【0028】
筒状カバー部10の周壁には、竿杆101の軸方向に沿うようにして溝部13が形成されている。この溝部13は、筒状カバー部10の径方向(竿杆101の径方向)に間隔D1を隔てて形成されており、図2(a)(b)に示すように、筒状カバー部10で穂先H側を収容したときに、釣竿R1等に設けられた釣糸ガイド121(123、124等)を径方向から保持する役割をなす。したがって、筒状カバー部10で穂先H側を収容すると、釣糸ガイド121(123、124等)は、溝部13によって径方向の回動が規制された状態に保持されることとなる。
【0029】
取付バンド20は、元竿100の例えば先端部(前端部)に対して巻き付けられて取り付けられる部材であり、合成樹脂材や、天然ゴム、合成ゴム等の弾性材料で形成されている。
取付バンド20の一端部には、金属材や合成樹脂材等で形成された突起部21が設けられ、また、取付バンド20の他端部には、取付バンド20の長手方向に沿って複数の取付孔22が形成されている。
このような取付バンド20は、図2(a)(b)に示すように、突起部21に所定の取付孔22を掛け止めて、元竿100の前端部に巻き付けられるようにして取り付けられる。
【0030】
弾性紐30は、前記したように筒状カバー部10と取付バンド20とを連結する部材であり、本実施形態では、伸縮自在な材料、例えば、天然ゴムや合成ゴム等の弾性材料からなる。弾性紐30は、筒状カバー部10と取付バンド20との間に掛け渡されており、前端部が筒状カバー部10の後部に設けられた挿通孔14に挿通されて固定され、後端部が取付バンド20の前部に設けられた挿通孔23に挿通されて固定されている。
そして、弾性紐30は、図2に示すように、保護カバー1を釣竿R1、R2に装着した状態で、筒状カバー部10と取付バンド20との間隔が短くなる方向に付勢するようになっている。つまり、筒状カバー部10は、元竿100側に付勢されており、穂先H側から外れ難くなっている。また、元竿100から穂先H側の竿杆101をガタつきなく保持することができる。
【0031】
なお、弾性紐30は、筒状カバー部10と取付バンド20との間に一対(2本)掛け渡した例を示したが、これに限られることはなく、1本や3本以上としてもよい。また、弾性紐30は、径方向に幅広に形成して、筒状カバー部10と取付バンド20との間において、穂先H側の小径竿杆101や釣糸ガイド124を部分的あるいは全体的に(溝部13の軸方向延長上にあたる領域を除いて)覆うように構成してもよい。
【0032】
このような釣竿の保護カバー1は、図2(a)(b)に示すように、筒状カバー部10を穂先H側に被せ、取付バンド20を元竿100の前端部に取り付けて釣竿R1、R2に装着される。
ここで、図2(a)に示すように、比較的小型の釣糸ガイド123を有する釣竿R1においては、竿杆101の前端部に巻糸等によって太径とされた太径部110(図2(b)参照)が形成されていないので、収納時には、穂先Hから元竿100の先端部までの長さL1が比較的短いものとなり、保護カバー1もこの長さL1に対応した長さに弾性紐30が伸長して、長さ調整された状態で装着される。
また、図2(b)に示すように、比較的大型の釣糸ガイド124を有する釣竿R2においては、竿杆101の前端部に太径部110が形成されているので、収納時には、穂先Hから元竿100の先端部までの長さL2が比較的長いものとなり、保護カバー1もこの長さL2に対応した長さに弾性紐30が伸長して、長さ調整された状態で装着される。
【0033】
以上説明した本実施形態の釣竿の保護カバー1によれば、筒状カバー部10の先端から取付バンド20の後端までの長さを調節可能にしたので、装着する釣竿R1、R2の穂先Hから元竿100の先端部までの長さ(例えばL1、L2)に対応するように長さを調節することができ、穂先Hに筒状カバー部10を被せた状態で、元竿100側に取付バンド20を位置させることができる。これによって、穂先Hから元竿100の先端部までの長さが釣竿(例えば釣竿R1、R2)の種類によって異なる場合でも、その長さに対応するように長さを調節して釣竿R1、R2に装着することができる。
【0034】
したがって、穂先Hから元竿100の先端部までの長さが異なる複数種類の釣竿(例えば釣竿R1、R2)に共通して用いることのできる釣竿の保護カバー1が得られる。
また、このように複数種類の釣竿(例えば釣竿R1、R2)に装着できる構成でありながら、保護カバー1の全長(筒状カバー部10の先端から取付バンド20の後端までの長さ)を短くすることができ、保護カバー1の小型化が可能である。
また、釣竿の種類に応じて、保護カバーを数種類用意する必要がないので、コストを低減することができ、製造管理も簡略になる。
また、筒状カバー部10の先端から取付バンド20の後端までの長さを調節可能にしたので、不使用時には、長さを調節してコンパクトにすることができ、従来のように大きく嵩張ることもない。
【0035】
また、筒状カバー部10と取付バンド20とは、互いに別体に設けられ、竿杆101の軸方向における両者間の間隔を弾性紐30を介して調整可能に連結されているので、調整が行い易く、装着性に優れた釣竿の保護カバー1が得られる。
なお、装着時には、先に元竿100の前端部に取付バンド20を取り付けておいてから、筒状カバー部10を穂先Hに被せて収容するようにしてもよい。この場合にも、弾性紐30が好適に伸張、収縮して筒状カバー部10と取付バンド20との長さが好適に調整される。
【0036】
(第2実施形態)
第2実施形態の釣竿の保護カバー1Aは、図3(a)に示すように、筒状カバー部10Aと取付部20Aとが互いに別体とされている点に変わりはないが、連結手段30Aが、筒状カバー部10Aから取付部20Aへ向けて延びる延設部31と、取付部20Aに設けられ、延設部31が着脱可能に係止される係止部32とを備えて構成されている点が異なる。
【0037】
延設部31は、筒状カバー部10の後端部の上部から後方(取付部20A)へ向けて一体的に延設された片からなり、本実施形態では、筒状カバー部10の溝部13に沿いつつ、溝部13の間隔D1を維持して一対形成されている。
延設部31の下面には、竿杆101(図2(a)等参照、以下同じ)の軸方向に沿って所定の間隔で長さ調節用の凸部31aが(3個)形成されている。
【0038】
一方、取付部20Aは、元竿100(図2(a)等参照、以下同じ)の前端部を周方向に包むように装着可能なC字形状の本体24と、この本体24に取り付けられたバンド25とを有している。
【0039】
本体24は、合成樹脂材、例えば、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等で形成されている。本体24の周方向両端部には、連結手段30Aを構成する係止部32が形成されている。係止部32は、一段低く形成された段状の部分に凸部31aに対応する係合孔32aが(3個)形成されてなり、段状の部分に、筒状カバー部10側の延設部31が位置して、その係合孔32aに凸部31aが着脱可能に係合するようになっている。
なお、延設部31の長さや凸部31aの数、本体24の軸方向の大きさや係合孔32aの数は、長さ調節可能にこれらが係止されて筒状カバー部10Aと取付部20Aとが連結される関係を有していればよく、任意に設定することができる。
【0040】
バンド25は、合成樹脂材や、天然ゴム、合成ゴム等の弾性材料で形成されている。バンド25は、本体24の外周面に沿って周方向に配置されており、その一端部に設けられた突起部21で本体24に固定されている。
【0041】
このような釣竿の保護カバー1Aは、図3(b)に示すように、筒状カバー部10Aのすぐ後方に取付部20Aを位置させ、延設部31の3個の凸部31aを係止部32の3個の係合孔32aにそれぞれ係合することによって、保護カバー1Aの長さが短くなるように(長さL1に)調節することができる。
なお、本実施形態の釣竿の保護カバー1Aでは、長さ調節後に、取付部20Aをバンド25で固定する際、本体24の突起部21にバンド25の所定の取付孔22を掛け止めると、延設部31と係止部32との係合部分がバンド25で部分的に覆われることとなり、かつ、凸部31aと係合孔32aとの係合を保持する方向にバンド25が抑える状態となるので、バンド25の係止後は、延設部31と係止部32との係止が好適に維持されてこれらが外れ難くなっている。
【0042】
また、図3(c)に示すように、延設部31の後部側に取付部20Aを配置して、延設部31の後端の凸部31aを係止部32の前端の係合孔32aに係合することによって、保護カバー1Aの長さが長くなるように(長さL2に)調節することができる。
【0043】
本実施形態の釣竿の保護カバー1Aによれば、延設部31に対して係止部32が着脱可能に係止されるようになっているので、筒状カバー部10Aと取付部20Aとの連結および連結の解除が容易であり、筒状カバー部10Aと取付部20Aとの間隔の調節(例えば、複数種類の釣竿R1、R2(図2参照)に合わせて長さL1、L2等とする調節)が行い易く、装着性に優れている。
また、このように複数種類の釣竿(例えば釣竿R1、R2)に装着できる構成でありながら、保護カバー1Aの全長(筒状カバー部10Aの先端から取付部20Aの後端までの長さ)を短くすることができ、保護カバー1Aの小型化が可能である。
また、延設部31に対して係止部32が係止されて保護カバー1Aの全長が変化しないように固定されるので、穂先H側が外部から衝撃を受けた際に、竿杆101(図2参照)への衝撃がかかり難い。
また、不使用時にコンパクトな長さに調節する際の操作も容易であるという利点も得られる。
【0044】
なお、図6(a)に示す釣竿の保護カバー1A’ように、取付部20A’側に延設部31’を設けて、筒状カバー部10A’側に係止部32’を設けてもよい。
さらに、凸部31aは、延設部31(31’)の下面に設けたが、これに限られることはなく、延設部31(31’)の上面に設けるとともに、これに対応する段部を係止部32(32’)に設けて係合が行われるように構成してもよい。
また、延設部31は一対設けたが、1つでもよい。
【0045】
(第3実施形態)
第3実施形態の釣竿の保護カバー1Bは、図4(a)に示すように、筒状カバー部10Bと取付部20Bとが互いに別体とされている点に変わりはないが、連結手段30Bが、筒状カバー部10Bの後端部に形成された円環状の突縁部33と、取付部20Bに設けられ、突縁部33が着脱可能に係止される円環状の溝34とを備えて構成されている点が異なる。
【0046】
突縁部33は、筒状カバー部10Bの後端外周縁に円環状に突設されて形成されている。なお、突縁部33は、周方向に間隔を隔てた複数の突部から構成してもよい。この場合には、これに対応するように円環状の溝34を形成してもよい。このように形成することで、筒状カバー部10Bと取付部20Bとを連結すると、これらが互いに周方向に回動することが規制され、良好な保持状態が維持されるようになる。
【0047】
円環状の溝34は、取付部20Bの本体24bの内面26に形成されている。本実施形態では、本体24bの軸方向に所定の間隔を置いて円環状の溝34を複数(計3つ)形成している。なお、円環状の溝34の数は、任意に設定することができる。
【0048】
このような釣竿の保護カバー1Bは、図4(b)に示すように、円環状の溝34のうち、後端側に形成されている溝34に対して突縁部33を係合させることによって、保護カバー1Bの長さが短くなるように調節することができる。
なお、本実施形態の釣竿の保護カバー1Bでは、長さ調節後に、取付部20Bをバンド25で固定する際に、本体24bの突起部21にバンド25の所定の取付孔22を掛け止めると、突縁部33と円環状の溝34との係合を保持する方向にバンド25が抑えることとなるので、バンド25の係止後は、これらの係合が好適に維持されて筒状カバー部10Bと取付部20Bとが外れ難くなっている。
【0049】
また、図4(c)に示すように、円環状の溝34のうち、前端側に形成されている溝34に対して突縁部33を係合させることによって、保護カバー1Bの長さが長くなるように調節することができる。
なお、この場合にも、バンド25の係止後は、突縁部33と円環状の溝34との係合が好適に維持されて外れ難くなっている。
【0050】
本実施形態の釣竿の保護カバー1Bによれば、突縁部33と円環状の溝34とが係脱可能に係合されるようになっているので、筒状カバー部10Bと取付部20Bとの連結および連結の解除が容易であり、筒状カバー部10Bと取付部20Bとの間隔の調節(例えば、複数種類の釣竿R1、R2(図2参照)に合わせて長さL1、L2とする調節)が行い易く、装着性に優れた釣竿の保護カバー1Bが得られる。
【0051】
また、保護カバー1Bの全長(筒状カバー部10Bの先端から取付部20Bの後端までの長さ)を短くすることができ、保護カバー1Bの小型化が可能である。
【0052】
また、筒状カバー部10Bと取付部20Bとが直接連結される構成であるので、穂先H側が外部から衝撃を受けた際に、竿杆101(図2参照)への衝撃がかかり難い。
【0053】
なお、図6(b)に示す釣竿の保護カバー1B’のように、筒状カバー部10Bと取付部20B’との間に、筒状部材としての連結部材35を介在させて、連結手段30B’を構成してもよい。
連結部材35の内面35aには、突縁部33が着脱可能に係合される円環状の溝34’が複数形成されており、また、連結部材35の後端部には、円環状の突縁部33’が形成されている。これによって、筒状カバー部10Bの突縁部33を連結部材35の円環状の溝34’に係合し、連結部材35の突縁部33’を取付部20B’(本体24b’)の円環状の溝34に係合することができ、筒状カバー部10Bを連結部材35(連結手段30B’)を介して取付部20B’に連結することができる。
また、連結部材35を複数介在させて筒状カバー部10Bと取付部20B’とを連結してもよい。また、長さの異なる連結部材35を複数介在させてもよい。
【0054】
このように、筒状カバー部10Bと取付部20B’との間に単数または複数の連結部材35を介設することで、長さ調節のバリエーションが増え、保護カバー1B’の長さを容易に調節することができる。また、装着可能な釣竿の種類もより一層増えることとなり、共通性が高まるという利点も得られる。
【0055】
(第4実施形態)
第4実施形態の釣竿の保護カバー1Cは、図5(a)(b)に示すように、筒状カバー部10Cと取付部20Cとが連結手段30Cを介して一体的に形成されている点が異なる。
【0056】
筒状カバー部10Cと取付部20Cと連結手段30Cは、すべて同一の材料、例えば、ゴム、合成ゴム、エラストマー、ポリウレタン等で一体的に形成してもよい。また、連結手段30Cを、筒状カバー部10Cおよび取付部20Cと別の材料、例えば、連結手段30Cをゴム、合成ゴム、エラストマー、ポリウレタン等で形成し、筒状カバー部10Cおよび取付部20Cをポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等で形成してもよい。また、筒状カバー部10Cと取付部20Cと連結手段30Cとをそれぞれ異なる材料で構成してもよい。
【0057】
連結手段30Cは、複数の山部と谷部とからなる蛇腹状とされており、竿杆101の軸方向に伸縮可能に構成されている。
したがって、このような釣竿の保護カバー1Cは、図5(a)に示すように、連結手段30Cを軸方向に縮めて、保護カバー1Cの長さが短くなるように(長さL1に)調節することができる。
また、図5(b)に示すように、連結手段30Cを軸方向に伸ばして、保護カバー1Cの長さが長くなるように(長さL2に)調節することができる。
【0058】
本実施形態の釣竿の保護カバー1Cによれば、一体とされた連結手段30Cを縮めたり伸ばしたりする操作を行うことで容易に長さを調節することができ、筒状カバー部10Bと取付部20Bとの間隔の調節(例えば、複数種類の釣竿R1、R2(図2参照)に合わせて長さL1、L2とする調節)が行い易いという利点が得られる。また、縮めたり伸ばしたりする操作で長さ調節が可能であるので、着脱が容易で扱い易いという利点も得られる。
また、保護カバー1Cの全長(筒状カバー部10Cの先端から取付部20Cの後端までの長さ)を短くすることができ、保護カバー1Cの小型化が可能である。
【0059】
なお、前記各実施形態においては、取付部20等の内面に合成ゴム等の滑り止め部材を配置して、元竿100との装着性を高めるように構成してもよい。
このような滑り止め部材を配置することにより、よりガタつくことなく取付部20等を元竿100に取り付けることが可能となる。
【0060】
また、前記した筒状カバー部材10等は、有底円筒状のものを示したが、これに限られることはなく、有底楕円筒状、有底角筒状、有底多角筒状としてもよい。
【0061】
また、前記第2、第3実施形態において、筒状カバー部10A(10B)と取付部20A(20B)とを、図示しない紛失防止用の線状の部材(紐等)で繋いだ構成としもよい。
【符号の説明】
【0062】
1、1A、1B、1C 釣竿の保護カバー
10、10A、10B、10C 筒状カバー部
20 取付バンド(取付部)
20A、20B、20C 取付部
23 挿通孔
30 弾性紐(連結手段)
30A、30B、30C 連結手段
31 延設部
32 係止部
33 突縁部
34 溝
35 連結部材
100 元竿
101 竿杆
H 穂先
R1、R2 釣竿


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の竿杆を振出し式に連結してなる釣竿の先端部に装着される釣竿の保護カバーであって、
前記複数の竿杆が収納された状態で、少なくとも穂先側の小径竿杆を収容する筒状カバー部と、
元竿側に取り付ける取付部と、を備え、
前記筒状カバー部の先端から前記取付部の後端までの長さを調節可能にしたことを特徴とする釣竿の保護カバー。
【請求項2】
前記筒状カバー部と前記取付部とは、互いに別体に設けられ、前記竿杆の軸方向における両者間の間隔を連結手段を介して調整可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の釣竿の保護カバー。
【請求項3】
前記連結手段は、前記竿杆の軸方向に伸縮自在な伸縮部材を備えて構成されることを特徴とする請求項2に記載の釣竿の保護カバー。
【請求項4】
前記連結手段は、前記筒状カバー部および前記取付部の一方から他方へ向けて延びる延設部と、前記他方に設けられ、前記延設部に着脱可能に係止される係止部とを備えて構成されていることを特徴とする請求項2に記載の釣竿の保護カバー。
【請求項5】
前記連結手段は、前記筒状カバー部と前記取付部との間に介設される単数または複数の筒状部材を備えて構成されていることを特徴とする請求項2に記載の釣竿の保護カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−233554(P2010−233554A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88279(P2009−88279)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】