釣竿及び釣竿の製造方法
【課題】 魚信をすぐ使用者に知らせる釣竿及び釣竿の製造方法を提供する。
【解決手段】 その竿体の外周面に釣糸を案内するためのガイド部材が設けられている釣竿において、前記竿体の外周面に振動伝導材が少なくとも前記ガイド部材が設けられている箇所から手に掴まれる箇所までに延在している釣竿、及び、樹脂を含浸させた複合材料シートを長尺状の心金に巻き付けて竿基材を形成する竿基材形成工程と、前記竿基材の外周面に該竿基材の長手方向に沿って長形の振動伝導材を固着させる振動伝導材固着工程と、成形膜で前記竿基材を前記振動伝導材と共に被覆する成形膜被覆工程と、前記成形膜で被覆したまま、前記竿基材を釣竿の竿体に成形させる上、加熱焼成処理により該竿体の形状をセットすると共に前記振動伝導材を該竿体に接着させる加熱焼成工程と、前記加熱焼成後、前記心金を抜き取り、及び、前記成形膜を剥離する、心金抜き取り/成形膜剥離工程とを備える。
【解決手段】 その竿体の外周面に釣糸を案内するためのガイド部材が設けられている釣竿において、前記竿体の外周面に振動伝導材が少なくとも前記ガイド部材が設けられている箇所から手に掴まれる箇所までに延在している釣竿、及び、樹脂を含浸させた複合材料シートを長尺状の心金に巻き付けて竿基材を形成する竿基材形成工程と、前記竿基材の外周面に該竿基材の長手方向に沿って長形の振動伝導材を固着させる振動伝導材固着工程と、成形膜で前記竿基材を前記振動伝導材と共に被覆する成形膜被覆工程と、前記成形膜で被覆したまま、前記竿基材を釣竿の竿体に成形させる上、加熱焼成処理により該竿体の形状をセットすると共に前記振動伝導材を該竿体に接着させる加熱焼成工程と、前記加熱焼成後、前記心金を抜き取り、及び、前記成形膜を剥離する、心金抜き取り/成形膜剥離工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚信をすぐ使用者に知らせる釣竿及びこのような釣竿の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の釣竿は、通常、例えば樹脂を含浸させた複合材料シートを心金に巻き付けてから焼成することにより形成された竿体の外周面に、更に、使用者が掴むグリップの近くにリールと、竿体の長手方向に沿って該リールから繰り出される釣糸を該リールと竿先の間で案内するためのガイド部材とが設けられているものである(特許文献1参照)。また、この種の釣竿は、魚信を得るために、釣糸が挿通されて水に浮かぶ浮きが使用されているものが多い。
【0003】
しかしながら、魚が確実に餌を食うことにより釣糸を介して浮きを顕に動かすことを見て始めて魚信と判断できるこのような従来の釣竿によっては、時々魚が餌に戯れたり、ほんの一口噛んだりする時があって、すぐ魚信を伝達することができないので、魚を釣る機会を逃し易い欠点がある。
【特許文献1】日本公開特許第2003−9722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記欠点に鑑みて、本発明は、魚信をすぐ使用者に知らせる釣竿及び釣竿の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、その竿体の外周面に釣糸を案内するためのガイド部材が設けられている釣竿において、前記竿体の外周面に振動伝導材が少なくとも前記ガイド部材が設けられている箇所から手に掴まれる箇所までに延在していることを特徴とする釣竿を提供する。
【0006】
前記振動伝導材は、例えば密度の高いカーボンテープ、カーボンワイヤ、金属テープ及び金属ワイヤからなる群より選ばれて使用されたものであることが好ましい。
【0007】
また、該釣竿を製造するために、樹脂を含浸させた複合材料シートを長尺状の心金に巻き付けて竿基材を形成する竿基材形成工程と、前記竿基材の外周面に該竿基材の長手方向に沿って長形の振動伝導材を固着させる振動伝導材固着工程と、成形膜で前記竿基材を前記振動伝導材と共に被覆する成形膜被覆工程と、前記成形膜で被覆したまま、前記竿基材を釣竿の竿体に成形させる上、加熱焼成処理により該竿体の形状をセットすると共に前記振動伝導材を該竿体に接着させる加熱焼成工程と、前記加熱焼成後、前記心金を抜き取り、及び、前記成形膜を剥離する、心金抜き取り/成形膜剥離工程とを備えることを特徴とする釣竿の製造方法も提供する。
【発明の効果】
【0008】
前記構成による釣竿は、例えば密度の高いカーボンテープのような振動伝導材が少なくとも前記ガイド部材が設けられている箇所から手に掴まれる箇所までに延在しているため、魚が本当に餌を食うこと、餌に戯れたり、ほんの一口噛んだりすることにも拘わらず、魚が餌に触れるのであれば、それによる如何なる振動でもほぼ即時に釣糸を介してガイド部材、振動伝導材、竿体の順に速やかに伝達して、竿体のグリップを掴んでいる使用者に魚信を知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態例の釣竿及び釣竿の製造方法について詳細に説明する。図1は、本発明の好適な実施形態例の釣竿の部分断面図である。図2は、図1における線II−IIに沿う断面図である。
【0010】
図1と図2に示すように、この実施形態例の釣竿は、主として、複合材料製(例えばカーボンファイバーやガラスファイバーなど)の竿体10の外周面11に、リール(図示せず)と、振動伝導材20と、ガイド部材30とが設けられているものである。
美観を添えるために、竿体10全体の外周面11に塗料60が塗布されている。
【0011】
リールは、釣糸(図示せず)を繰り出したり巻き寄せたりすることができるように巻き取るものである。
振動伝導材20は、振動伝導性が高く、竿体10の長手方向に沿う長形的なものからなっており、ガイド部材30が設けられている箇所から手に掴まれる箇所までに延在している。前記高い振動伝導性を図るために、この振動伝導材20は、密度の高いカーボンテープ、カーボンワイヤ、金属テープ及び金属ワイヤからなる群より選ばれて使用されればよい。
【0012】
また、振動伝導材は、この例において、図2に示す20のように、竿体10の外周面11におけるガイド部材30の対応箇所を通している単一のものからなっているが、図3に示す20Aのように、竿体10Aの周方向に間隔を空けて互いに独立し、且つ、竿体10Aの外周面11Aにおけるガイド部材30Aの対応箇所をそれぞれ通している複数本のものからなっていても良い。
【0013】
図1及び図2に示すように、ガイド部材30は、線材40により竿体10に巻き付けられている基部31と、該基部31から竿体10の径方向に突出している上、その突端近くに釣糸が挿通される通孔320が開けられていてこの通孔320により釣糸を保持/案内する案内リング部32とからなっている。
【0014】
また、巻き付けられた線材40自体の解き放しまたは水のそれに対する侵食を防ぐために、竿体10の外周面11の線材40が巻き付けられている箇所に、エポキシ塗料である塗料50が塗布されている。
【0015】
次に、前記のような釣竿の製造方法について説明する。以下、図4〜図10を参照しつつその詳細を説明する。
【0016】
この釣竿の製造方法は、まず、図4に示すように、樹脂を含浸させた複合材料シート100を長尺状の心金200に巻き付けて図5に示す竿基材10aを形成する(竿基材形成工程)。
【0017】
次に、図6と図7に示すように、竿基材10aの外周面に該竿基材10aの長手方向に沿って長形の振動伝導材20を固着させる(振動伝導材固着工程)。
【0018】
本例において、振動伝導材固着工程において長形の振動伝導材20を一つだけ使用するが、図3における振動伝導材20Aを得るために、竿基材10aの周方向に間隔を空けて互いに独立した複数本のものから構成してもよい。
【0019】
そして、図8に示すように、成形膜70で竿基材10aを振動伝導材20と共に被覆する(成形膜被覆工程)。図示は、高分子ポリマーからなる成形膜70で一部が重なり合うように螺旋状に竿基材10aと振動伝導材20と共に被覆する例である。
【0020】
続いて、図9と図10に示すように、成形膜70で被覆したまま、竿基材10aを釣竿の竿体10に成形させる上、加熱焼成処理により該竿体10の形状をセットすると共に振動伝導材20を該竿体10に接着させる(加熱焼成工程)。前記加熱焼成処理は、通常、120℃〜150℃の温度で行えば良いが、本例においては、それを130℃〜140℃の間に制御して行う。
【0021】
前記加熱焼成後、心金200を抜き取り、及び、成形膜70を剥離する(心金抜き取り/成形膜剥離工程)。
心金200を抜き取り、及び、成形膜70を剥離した後、見栄えをよくするために、竿体10に塗料60を塗布して色つける。
【0022】
それから、更に、図1に示すような基部31と、該基部31から突出しいて釣糸を保持/案内する案内リング部32とからなっているガイド部材30の基部31を、線材40により、案内リング部32が竿体10の径方向に延在するように竿体10に巻き付ける(ガイド部材装着工程)。本例において、ガイド部材30をその基部31が長形の振動伝導材20の上に乗るように固定するが、振動伝導材20Aが図3のように複数本のものからなった場合、ガイド部材30Aをその基部31Aが複数本の振動伝導材20Aの少なくとも一本の上に乗るように固定すればよい。前記線材40として、例えば綿糸が挙げられる。
【0023】
ガイド部材装着工程において、線材40によりガイド部材30を竿体10に巻き付けた後、更に、該竿体10及び該ガイド部材30の上に巻き付けた線材40の上から塗料50を塗布する。この塗料50として熱硬化性塗料を選択し、且つ、該塗料50を塗布した後、更に、加熱により該塗料50を処理して硬化させることができる。例えば熱硬化性塗料としてエポキシ塗料を使用し、且つ、50℃〜85℃の温度で加熱処理を行うことが挙げられる。
【0024】
以上、本発明の好適な実施形態例について説明したが、本発明は前記実施形態例に限定して狭義に解釈されるものではなく、本発明の思想の範囲内において種々の変形や変更が可能である。例えば、前述実施形態例においては、線材40によりガイド部材30を竿体10に巻き付ける前にも、巻き付けた後でも、それぞれ塗料60、50を塗布するのを説明したが、必ずしも前記塗料60、50とも塗布しなければならないことではなく、前記塗料塗布を択一で行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上、実施形態例で詳細に説明したように、本発明の釣竿は、魚信をすぐ使用者に知らせる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の好適な実施形態例の釣竿の部分断面図である。
【図2】図1における線II−IIに沿う断面図である。
【図3】図2における振動伝導材の他例を示す図である。
【図4】図1に示す釣竿の製造方法の竿基材形成工程を示す模式図である。
【図5】図4において形成された竿基材を示す模式図である。
【図6】図1に示す釣竿の製造方法の振動伝導材固着工程を示す模式図である。
【図7】図6における線VII−VIIに沿う断面図である。
【図8】図1に示す釣竿の製造方法の成形膜被覆工程を示す模式図である。
【図9】図1に示す釣竿の製造方法のガイド部材装着工程において塗料を塗布する処理を示す模式図である。
【図10】図9における線X−Xに沿う断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10、10A 竿体
10a 竿基材
11、11A 外周面
20、20A 振動伝導材
30、30A ガイド部材
31 基部
32 案内リング部
320 通孔
40 線材
50、60 塗料
70 成形膜
100 複合材料シート
200 心金
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚信をすぐ使用者に知らせる釣竿及びこのような釣竿の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の釣竿は、通常、例えば樹脂を含浸させた複合材料シートを心金に巻き付けてから焼成することにより形成された竿体の外周面に、更に、使用者が掴むグリップの近くにリールと、竿体の長手方向に沿って該リールから繰り出される釣糸を該リールと竿先の間で案内するためのガイド部材とが設けられているものである(特許文献1参照)。また、この種の釣竿は、魚信を得るために、釣糸が挿通されて水に浮かぶ浮きが使用されているものが多い。
【0003】
しかしながら、魚が確実に餌を食うことにより釣糸を介して浮きを顕に動かすことを見て始めて魚信と判断できるこのような従来の釣竿によっては、時々魚が餌に戯れたり、ほんの一口噛んだりする時があって、すぐ魚信を伝達することができないので、魚を釣る機会を逃し易い欠点がある。
【特許文献1】日本公開特許第2003−9722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記欠点に鑑みて、本発明は、魚信をすぐ使用者に知らせる釣竿及び釣竿の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、その竿体の外周面に釣糸を案内するためのガイド部材が設けられている釣竿において、前記竿体の外周面に振動伝導材が少なくとも前記ガイド部材が設けられている箇所から手に掴まれる箇所までに延在していることを特徴とする釣竿を提供する。
【0006】
前記振動伝導材は、例えば密度の高いカーボンテープ、カーボンワイヤ、金属テープ及び金属ワイヤからなる群より選ばれて使用されたものであることが好ましい。
【0007】
また、該釣竿を製造するために、樹脂を含浸させた複合材料シートを長尺状の心金に巻き付けて竿基材を形成する竿基材形成工程と、前記竿基材の外周面に該竿基材の長手方向に沿って長形の振動伝導材を固着させる振動伝導材固着工程と、成形膜で前記竿基材を前記振動伝導材と共に被覆する成形膜被覆工程と、前記成形膜で被覆したまま、前記竿基材を釣竿の竿体に成形させる上、加熱焼成処理により該竿体の形状をセットすると共に前記振動伝導材を該竿体に接着させる加熱焼成工程と、前記加熱焼成後、前記心金を抜き取り、及び、前記成形膜を剥離する、心金抜き取り/成形膜剥離工程とを備えることを特徴とする釣竿の製造方法も提供する。
【発明の効果】
【0008】
前記構成による釣竿は、例えば密度の高いカーボンテープのような振動伝導材が少なくとも前記ガイド部材が設けられている箇所から手に掴まれる箇所までに延在しているため、魚が本当に餌を食うこと、餌に戯れたり、ほんの一口噛んだりすることにも拘わらず、魚が餌に触れるのであれば、それによる如何なる振動でもほぼ即時に釣糸を介してガイド部材、振動伝導材、竿体の順に速やかに伝達して、竿体のグリップを掴んでいる使用者に魚信を知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態例の釣竿及び釣竿の製造方法について詳細に説明する。図1は、本発明の好適な実施形態例の釣竿の部分断面図である。図2は、図1における線II−IIに沿う断面図である。
【0010】
図1と図2に示すように、この実施形態例の釣竿は、主として、複合材料製(例えばカーボンファイバーやガラスファイバーなど)の竿体10の外周面11に、リール(図示せず)と、振動伝導材20と、ガイド部材30とが設けられているものである。
美観を添えるために、竿体10全体の外周面11に塗料60が塗布されている。
【0011】
リールは、釣糸(図示せず)を繰り出したり巻き寄せたりすることができるように巻き取るものである。
振動伝導材20は、振動伝導性が高く、竿体10の長手方向に沿う長形的なものからなっており、ガイド部材30が設けられている箇所から手に掴まれる箇所までに延在している。前記高い振動伝導性を図るために、この振動伝導材20は、密度の高いカーボンテープ、カーボンワイヤ、金属テープ及び金属ワイヤからなる群より選ばれて使用されればよい。
【0012】
また、振動伝導材は、この例において、図2に示す20のように、竿体10の外周面11におけるガイド部材30の対応箇所を通している単一のものからなっているが、図3に示す20Aのように、竿体10Aの周方向に間隔を空けて互いに独立し、且つ、竿体10Aの外周面11Aにおけるガイド部材30Aの対応箇所をそれぞれ通している複数本のものからなっていても良い。
【0013】
図1及び図2に示すように、ガイド部材30は、線材40により竿体10に巻き付けられている基部31と、該基部31から竿体10の径方向に突出している上、その突端近くに釣糸が挿通される通孔320が開けられていてこの通孔320により釣糸を保持/案内する案内リング部32とからなっている。
【0014】
また、巻き付けられた線材40自体の解き放しまたは水のそれに対する侵食を防ぐために、竿体10の外周面11の線材40が巻き付けられている箇所に、エポキシ塗料である塗料50が塗布されている。
【0015】
次に、前記のような釣竿の製造方法について説明する。以下、図4〜図10を参照しつつその詳細を説明する。
【0016】
この釣竿の製造方法は、まず、図4に示すように、樹脂を含浸させた複合材料シート100を長尺状の心金200に巻き付けて図5に示す竿基材10aを形成する(竿基材形成工程)。
【0017】
次に、図6と図7に示すように、竿基材10aの外周面に該竿基材10aの長手方向に沿って長形の振動伝導材20を固着させる(振動伝導材固着工程)。
【0018】
本例において、振動伝導材固着工程において長形の振動伝導材20を一つだけ使用するが、図3における振動伝導材20Aを得るために、竿基材10aの周方向に間隔を空けて互いに独立した複数本のものから構成してもよい。
【0019】
そして、図8に示すように、成形膜70で竿基材10aを振動伝導材20と共に被覆する(成形膜被覆工程)。図示は、高分子ポリマーからなる成形膜70で一部が重なり合うように螺旋状に竿基材10aと振動伝導材20と共に被覆する例である。
【0020】
続いて、図9と図10に示すように、成形膜70で被覆したまま、竿基材10aを釣竿の竿体10に成形させる上、加熱焼成処理により該竿体10の形状をセットすると共に振動伝導材20を該竿体10に接着させる(加熱焼成工程)。前記加熱焼成処理は、通常、120℃〜150℃の温度で行えば良いが、本例においては、それを130℃〜140℃の間に制御して行う。
【0021】
前記加熱焼成後、心金200を抜き取り、及び、成形膜70を剥離する(心金抜き取り/成形膜剥離工程)。
心金200を抜き取り、及び、成形膜70を剥離した後、見栄えをよくするために、竿体10に塗料60を塗布して色つける。
【0022】
それから、更に、図1に示すような基部31と、該基部31から突出しいて釣糸を保持/案内する案内リング部32とからなっているガイド部材30の基部31を、線材40により、案内リング部32が竿体10の径方向に延在するように竿体10に巻き付ける(ガイド部材装着工程)。本例において、ガイド部材30をその基部31が長形の振動伝導材20の上に乗るように固定するが、振動伝導材20Aが図3のように複数本のものからなった場合、ガイド部材30Aをその基部31Aが複数本の振動伝導材20Aの少なくとも一本の上に乗るように固定すればよい。前記線材40として、例えば綿糸が挙げられる。
【0023】
ガイド部材装着工程において、線材40によりガイド部材30を竿体10に巻き付けた後、更に、該竿体10及び該ガイド部材30の上に巻き付けた線材40の上から塗料50を塗布する。この塗料50として熱硬化性塗料を選択し、且つ、該塗料50を塗布した後、更に、加熱により該塗料50を処理して硬化させることができる。例えば熱硬化性塗料としてエポキシ塗料を使用し、且つ、50℃〜85℃の温度で加熱処理を行うことが挙げられる。
【0024】
以上、本発明の好適な実施形態例について説明したが、本発明は前記実施形態例に限定して狭義に解釈されるものではなく、本発明の思想の範囲内において種々の変形や変更が可能である。例えば、前述実施形態例においては、線材40によりガイド部材30を竿体10に巻き付ける前にも、巻き付けた後でも、それぞれ塗料60、50を塗布するのを説明したが、必ずしも前記塗料60、50とも塗布しなければならないことではなく、前記塗料塗布を択一で行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上、実施形態例で詳細に説明したように、本発明の釣竿は、魚信をすぐ使用者に知らせる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の好適な実施形態例の釣竿の部分断面図である。
【図2】図1における線II−IIに沿う断面図である。
【図3】図2における振動伝導材の他例を示す図である。
【図4】図1に示す釣竿の製造方法の竿基材形成工程を示す模式図である。
【図5】図4において形成された竿基材を示す模式図である。
【図6】図1に示す釣竿の製造方法の振動伝導材固着工程を示す模式図である。
【図7】図6における線VII−VIIに沿う断面図である。
【図8】図1に示す釣竿の製造方法の成形膜被覆工程を示す模式図である。
【図9】図1に示す釣竿の製造方法のガイド部材装着工程において塗料を塗布する処理を示す模式図である。
【図10】図9における線X−Xに沿う断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10、10A 竿体
10a 竿基材
11、11A 外周面
20、20A 振動伝導材
30、30A ガイド部材
31 基部
32 案内リング部
320 通孔
40 線材
50、60 塗料
70 成形膜
100 複合材料シート
200 心金
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その竿体の外周面に釣糸を案内するためのガイド部材が設けられている釣竿において、
前記竿体の外周面に振動伝導材が少なくとも前記ガイド部材が設けられている箇所から手に掴まれる箇所までに延在していることを特徴とする釣竿。
【請求項2】
前記振動伝導材は、前記竿体の長手方向に沿う長形的なものからなっていることを特徴とする、請求項1に記載の釣竿。
【請求項3】
前記ガイド部材は、線材により前記竿体に巻き付けられている基部と、該基部から前記竿体の径方向に突出していて釣糸を保持/案内する案内リング部とからなっていることを特徴とする請求項1に記載の釣竿。
【請求項4】
前記竿体の外周面の少なくとも前記線材が巻き付けられている箇所に、塗料が塗布されていることを特徴とする請求項3に記載の釣竿。
【請求項5】
前記塗料としては、エポキシ塗料が使用されていることを特徴とする請求項4に記載の釣竿。
【請求項6】
前記振動伝導材は、密度の高いカーボンテープ、カーボンワイヤ、金属テープ及び金属ワイヤからなる群より選ばれて使用されたものであることを特徴とする請求項1に記載の釣竿。
【請求項7】
前記振動伝導材は、前記竿体の外周面における前記ガイド部材の対応箇所を通している単一のものからなっていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の釣竿。
【請求項8】
前記振動伝導材は、前記竿体の周方向に間隔を空けて互いに独立し、且つ、前記竿体の外周面における前記ガイド部材の対応箇所をそれぞれ通している複数本のものからなっていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の釣竿。
【請求項9】
樹脂を含浸させた複合材料シートを長尺状の心金に巻き付けて竿基材を形成する竿基材形成工程と、
前記竿基材の外周面に該竿基材の長手方向に沿って長形の振動伝導材を固着させる振動伝導材固着工程と、
成形膜で前記竿基材を前記振動伝導材と共に被覆する成形膜被覆工程と、
前記成形膜で被覆したまま、前記竿基材を釣竿の竿体に成形させる上、加熱焼成処理により該竿体の形状をセットすると共に前記振動伝導材を該竿体に接着させる加熱焼成工程と、
前記加熱焼成後、前記心金を抜き取り、及び、前記成形膜を剥離する、心金抜き取り/成形膜剥離工程とを備えることを特徴とする釣竿の製造方法。
【請求項10】
120℃〜150℃の温度で前記加熱焼成工程を行うことを特徴とする請求項8に記載の釣竿の製造方法。
【請求項11】
前記成形膜被覆工程において、前記成形膜で一部が重なり合うように螺旋状に前記竿基材と前記振動伝導材と共に巻き付けることを特徴とする請求項9に記載の釣竿の製造方法。
【請求項12】
前記心金抜き取り/成形膜剥離工程の後、更に、基部と、該基部から突出しいて釣糸を保持/案内する案内リング部とからなっているガイド部材の前記基部を、線材により、前記案内リング部が前記竿体の径方向に延在するように前記竿体に巻き付けるガイド部材装着工程を備えることを特徴とする請求項9に記載の釣竿の製造方法。
【請求項13】
前記振動伝導材固着工程において長形の振動伝導材を一つだけ使用し、また、前記ガイド部材装着工程において前記ガイド部材をその基部が前記振動伝導材の上に乗るように固定することを特徴とする請求項12に記載の釣竿の製造方法。
【請求項14】
前記振動伝導材固着工程において前記振動伝導材を前記竿基材の周方向に間隔を空けて互いに独立した複数本のものから構成し、また、前記ガイド部材装着工程において前記ガイド部材をその基部が前記複数本の振動伝導材の少なくとも一本の上に乗るように固定することを特徴とする請求項12に記載の釣竿の製造方法。
【請求項15】
前記心金抜き取り/成形膜剥離工程と前記ガイド部材装着工程との間に、前記竿体の全体に塗料を塗布することを特徴とする請求項12に記載の釣竿の製造方法。
【請求項16】
前記ガイド部材装着工程において、前記線材により前記ガイド部材を前記竿体に巻き付けた後、更に、該竿体及び該ガイド部材の上に巻き付けた線材の上から塗料を塗布することを特徴とする請求項12に記載の釣竿の製造方法。
【請求項17】
前記ガイド部材を前記竿体に巻き付けた後に塗布する塗料として熱硬化性塗料を選択し、
且つ、該塗料を塗布した後、更に、加熱により該塗料を処理して硬化させることを特徴とする請求項16に記載の釣竿の製造方法。
【請求項18】
前記熱硬化性塗料としてエポキシ塗料を使用し、
且つ、前記加熱処理は、50℃〜85℃の温度で行うことを特徴とする請求項17に記載の釣竿の製造方法。
【請求項1】
その竿体の外周面に釣糸を案内するためのガイド部材が設けられている釣竿において、
前記竿体の外周面に振動伝導材が少なくとも前記ガイド部材が設けられている箇所から手に掴まれる箇所までに延在していることを特徴とする釣竿。
【請求項2】
前記振動伝導材は、前記竿体の長手方向に沿う長形的なものからなっていることを特徴とする、請求項1に記載の釣竿。
【請求項3】
前記ガイド部材は、線材により前記竿体に巻き付けられている基部と、該基部から前記竿体の径方向に突出していて釣糸を保持/案内する案内リング部とからなっていることを特徴とする請求項1に記載の釣竿。
【請求項4】
前記竿体の外周面の少なくとも前記線材が巻き付けられている箇所に、塗料が塗布されていることを特徴とする請求項3に記載の釣竿。
【請求項5】
前記塗料としては、エポキシ塗料が使用されていることを特徴とする請求項4に記載の釣竿。
【請求項6】
前記振動伝導材は、密度の高いカーボンテープ、カーボンワイヤ、金属テープ及び金属ワイヤからなる群より選ばれて使用されたものであることを特徴とする請求項1に記載の釣竿。
【請求項7】
前記振動伝導材は、前記竿体の外周面における前記ガイド部材の対応箇所を通している単一のものからなっていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の釣竿。
【請求項8】
前記振動伝導材は、前記竿体の周方向に間隔を空けて互いに独立し、且つ、前記竿体の外周面における前記ガイド部材の対応箇所をそれぞれ通している複数本のものからなっていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の釣竿。
【請求項9】
樹脂を含浸させた複合材料シートを長尺状の心金に巻き付けて竿基材を形成する竿基材形成工程と、
前記竿基材の外周面に該竿基材の長手方向に沿って長形の振動伝導材を固着させる振動伝導材固着工程と、
成形膜で前記竿基材を前記振動伝導材と共に被覆する成形膜被覆工程と、
前記成形膜で被覆したまま、前記竿基材を釣竿の竿体に成形させる上、加熱焼成処理により該竿体の形状をセットすると共に前記振動伝導材を該竿体に接着させる加熱焼成工程と、
前記加熱焼成後、前記心金を抜き取り、及び、前記成形膜を剥離する、心金抜き取り/成形膜剥離工程とを備えることを特徴とする釣竿の製造方法。
【請求項10】
120℃〜150℃の温度で前記加熱焼成工程を行うことを特徴とする請求項8に記載の釣竿の製造方法。
【請求項11】
前記成形膜被覆工程において、前記成形膜で一部が重なり合うように螺旋状に前記竿基材と前記振動伝導材と共に巻き付けることを特徴とする請求項9に記載の釣竿の製造方法。
【請求項12】
前記心金抜き取り/成形膜剥離工程の後、更に、基部と、該基部から突出しいて釣糸を保持/案内する案内リング部とからなっているガイド部材の前記基部を、線材により、前記案内リング部が前記竿体の径方向に延在するように前記竿体に巻き付けるガイド部材装着工程を備えることを特徴とする請求項9に記載の釣竿の製造方法。
【請求項13】
前記振動伝導材固着工程において長形の振動伝導材を一つだけ使用し、また、前記ガイド部材装着工程において前記ガイド部材をその基部が前記振動伝導材の上に乗るように固定することを特徴とする請求項12に記載の釣竿の製造方法。
【請求項14】
前記振動伝導材固着工程において前記振動伝導材を前記竿基材の周方向に間隔を空けて互いに独立した複数本のものから構成し、また、前記ガイド部材装着工程において前記ガイド部材をその基部が前記複数本の振動伝導材の少なくとも一本の上に乗るように固定することを特徴とする請求項12に記載の釣竿の製造方法。
【請求項15】
前記心金抜き取り/成形膜剥離工程と前記ガイド部材装着工程との間に、前記竿体の全体に塗料を塗布することを特徴とする請求項12に記載の釣竿の製造方法。
【請求項16】
前記ガイド部材装着工程において、前記線材により前記ガイド部材を前記竿体に巻き付けた後、更に、該竿体及び該ガイド部材の上に巻き付けた線材の上から塗料を塗布することを特徴とする請求項12に記載の釣竿の製造方法。
【請求項17】
前記ガイド部材を前記竿体に巻き付けた後に塗布する塗料として熱硬化性塗料を選択し、
且つ、該塗料を塗布した後、更に、加熱により該塗料を処理して硬化させることを特徴とする請求項16に記載の釣竿の製造方法。
【請求項18】
前記熱硬化性塗料としてエポキシ塗料を使用し、
且つ、前記加熱処理は、50℃〜85℃の温度で行うことを特徴とする請求項17に記載の釣竿の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−55895(P2009−55895A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288713(P2007−288713)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(507367633)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(507367633)
【Fターム(参考)】
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