説明

釣竿用のガイドプロテクタ

【課題】 釣竿用キャップを取り付けた場合であっても、釣竿の釣糸ガイドに衝撃が加えられるのを防止可能な釣竿用のガイドプロテクタを提供すること。
【解決手段】 釣竿12の先端部に装着して用いられ、釣竿の釣糸ガイド22b−22hを保護する釣竿用のガイドプロテクタ14は、前部開口部52aと後部開口部52bとを有し、軟質材で形成された筒状部52と、筒状部の後部開口部の後方側に形成され、釣竿の先端部の外周に配設されるとともに釣糸ガイドを筒状部の軸方向に沿って整列させる縁部54aを有する延出部54と、筒状部に設けられ、後部開口部から前部開口部に向かって形成され、釣糸ガイドの幅よりも開口幅が小さい溝部58とを有する。筒状部の溝部に釣糸ガイドを配置可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、釣竿のガイドを保護する釣竿用のガイドプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、従来から釣竿の運搬時等に、釣竿の先端部に装着する硬質材で形成された釣竿用キャップが使用されている。釣竿用キャップは釣竿の穂先部を保護するために装着する。この釣竿用キャップは、釣糸ガイドを有する釣竿に装着する場合は釣糸ガイドを挿通する切り欠き部が形成されている。したがって、この釣竿用キャップを釣竿の先端部に装着すると、その切り欠き部に沿って釣糸ガイドを整列させることができ、釣竿の運搬時等に釣糸ガイドが周方向及び長手方向に移動するのが規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59−113072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような釣竿用キャップが釣竿の先端部に装着された状態で、運搬中などに釣竿を落としてしまったときなどに釣竿用キャップを地面に突いてしまう可能性がある。このような場合、釣竿用キャップに収納された釣竿の釣糸ガイドが釣竿用キャップの切り欠き部の先端に当たって衝撃を受けるおそれがある。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、釣竿用キャップを取り付けた場合であっても、釣竿の釣糸ガイドに衝撃が加えられるのを防止可能な釣竿用のガイドプロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る、釣竿の先端部に装着して用いられ、釣竿の釣糸ガイドを保護する釣竿用のガイドプロテクタは、後部開口部を有し軟質材で形成された筒状部と、前記筒状部の後部開口部の後方側に形成され、釣竿の先端部の外周に配設されるとともに釣糸ガイドを前記筒状部の軸方向に沿って整列させる縁部を有する延出部と、前記筒状部に設けられ、前記後部開口部から前部に向かって形成され、前記釣糸ガイドの幅よりも開口幅が小さい溝部とを具備し、前記筒状部の前記溝部に前記釣糸ガイドを配置可能としたことを特徴とする。
【0007】
また、前記筒状部の後部開口部には、前記釣糸ガイドが当接され、前記溝部を両端部の間に有する度当て部が形成されていることが好適である。
また、前記溝部は、前記筒状部の後部開口部から前部に、前記筒状部の軸方向に沿って形成されていることが好適である。
また、前記筒状部の前部は前部開口部を有し、前記前部開口部には、前記溝部に対向する位置に切り欠き部が形成されていることが好適である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、釣糸ガイドの幅よりも開口幅が小さい筒状部の溝部に釣糸ガイドを配置可能としたことによって、釣竿にガイドプロテクタを装着した状態で前部が後方に動くような力が加えられて、釣糸ガイドが筒状部の後部開口部に当接したときに筒状部の肉部を押しのけて溝部内に釣糸ガイドを入れ込むことができる。したがって、釣糸ガイドに衝撃が加えられるのを防止でき、釣糸ガイドに加えられる力を小さくできる。
【0009】
度当て部が形成されていることによって、釣糸ガイドが度当て部に突き当てられることがあるが、筒状部が軟質材で形成されていることによって、度当て部に突き当てられたときに釣糸ガイドに衝撃が加えられるのを防止できる。また、度当て部と延出部の縁部とによって、釣糸ガイドが整列した状態を維持した状態で溝部に釣糸ガイドを導入することができる。
溝部が筒状部の後部開口部から前部に、筒状部の軸方向に沿って形成されていることによって、釣糸ガイドを真っ直ぐに移動させることができるので、釣糸ガイドが整列した方向以外から力を受けるのを極力防止できる。
筒状部の前部開口部には、前記溝部に対向する位置に切り欠き部が形成されていることによって、釣糸ガイドが溝部に入り込もうとするときに筒状部が変形し易くなる。このため、釣糸ガイドに衝撃が加えられるのをより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る、釣竿の先端にガイドプロテクタ及び釣竿保護キャップを取り付けた釣り具を示す概略的な縦断面図。
【図2】第1実施形態に係る、釣竿の先端にガイドプロテクタを取り付けた釣り具を示し、図3中のII−II線に沿う概略的な縦断面図。
【図3】第1実施形態に係る、釣竿の先端に取り付けられるガイドプロテクタを示す、図2中の矢印III方向から見た概略的な平面図。
【図4】第1実施形態に係る、釣竿の先端に取り付けられるガイドプロテクタを示す、図3中のIV−IV線に沿う概略的な横断面図。
【図5】第1実施形態に係る、釣竿の先端に取り付けられるガイドプロテクタを示す、図2中の矢印V方向から見た概略的な底面図。
【図6】第1実施形態に係る、ガイドプロテクタの溝部に度当て部から釣糸ガイドの支脚部が入り込んだ状態/入り込んで行く状態を示す概略的な平面図。
【図7】第2実施形態に係る、釣竿の先端に取り付けられるガイドプロテクタを示す、図2中の矢印III方向から見た概略的な平面図。
【図8】第3実施形態に係る、釣竿の先端に取り付けられるガイドプロテクタを示す、図2中の矢印III方向から見た概略的な平面図。
【図9】第4実施形態に係る、釣竿の先端に取り付けられるガイドプロテクタを示す、図2中の矢印III方向から見た概略的な平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
第1実施形態について図1から図6を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る釣り具10は、釣竿12と、ガイドプロテクタ(内キャップ)14と、釣竿保護キャップ(外キャップ)16とを有する。図1に示す釣竿12は、釣糸誘導ガイド22a−22hが各竿部24a−24hの先端に取り付けられた振出竿であり、振出竿を収納状態にしてその釣竿12の先端にガイドプロテクタ14及び釣竿保護キャップ16を着脱可能に装着した状態を示す。元竿24hには、複数本の中竿24b−24gと穂先竿24aが順次収納される。なお、図2は図1に示す状態から釣竿保護キャップ16を外した状態を示す。本実施形態の釣糸誘導ガイド22a−22hは、それぞれ支脚部26a−26hを有する。
【0013】
図1に示す釣竿保護キャップ16は、略円筒状に形成された外殻部32が硬質のプラスチック材で形成されている。外殻部32は一端が閉塞され、他端及び他端に連続する側面に開口34が形成されている。外殻部32の一端の内部には、穂先竿24aのトップガイド22aを保護するため、例えばスポンジ状のクッション36が固定されている。
また、外殻部32の他端側の側面には、軟質のベルト38が配置され、釣竿12の竿部24hの外周及びガイドプロテクタ14の後述する延出部54を一緒に巻いて保持することができる。
【0014】
図1及び図2に示すように、ガイドプロテクタ14は、前部開口部52a及び後部開口部52bを有する筒状部(本体)52と、筒状部52の後端の後部開口部52bから後方に延出された延出部54とが一体的に形成されている。
なお、図1及び図2は、穂先竿24aのトップガイド22aが筒状部52の内周面に触れない程度に形成している。すなわち、穂先竿24aは筒状部52の内部を自在に移動可能である。ただし、穂先竿24aのトップガイド22aは、釣糸誘導ガイド22bのように、後述する度当て部56に度当てされるように形成されていても良い。
【0015】
図1から図6に示すガイドプロテクタ14は、軟質材の合成ゴムやプラスチック材のエラストマー等で筒状部52及び延出部54が一体に形成されている。ガイドプロテクタ14は、少なくとも取り付けた釣竿12の竿部24a−24hの釣糸誘導ガイド22a−22hよりも軟らかい材料からなり、釣竿12を落下させた衝撃で釣糸誘導ガイド22a−22hが挿圧されると歪む程度の軟質材で形成されている。ガイドプロテクタ14は、例えば親指と人差し指とで筒状部52の外周面を押圧して筒状部52の対向する内周面同士を近づけたときに、筒状部52の内周面同士が当接可能である程度であることが好ましい。ガイドプロテクタ14が形成される軟質材としては、例えば塩化ビニル、ポリウレタン等が用いられ、これは透明であっても良いし、好みの色に着色されていても良い。
【0016】
後部開口部52bは、中心軸Cに直交する図3、図5及び図6中に破線(仮想線)で示す位置にある。後部開口部52bは筒状部52の円周の一部のみ明確に現れる部分があり、後部開口部52bのうち、その現れる部分は釣糸誘導ガイド22bが当たるようになっており、例えば釣糸誘導ガイド22bのリング部分や支脚部26bが度当てされる度当て部56である。すなわち、筒状部52の後部開口部52bは、図3、図5及び図6中に破線(仮想線)で示す略C字状の仮想的部分と、度当て部(段部)56とで円環状に形成されている。本実施形態では、度当て部56はガイドプロテクタ14の中心軸Cに対して例えば直交する面として形成されている。度当て部56は、後部開口部52bの溝部58側に設けたガイド(釣糸誘導ガイド22a−22h)が当接して溝部58側に移動することを阻止する段部で、後部開口部52bは度当て部56に連なる溝部58に変移する部位に形成される。
なお、ガイドプロテクタ14の筒状部52は、図1及び図2に示すように中竿24bに穂先竿24aが収納されたときに、中竿24bの先端から穂先竿24aが突出した長さよりも長く形成されている。
【0017】
図3、図4及び図6に示すように、筒状部52には、後部開口部52bの度当て部56から前部開口部52aに向かって中心軸Cと平行に溝部(スリット)58が形成されている。すなわち、度当て部56の一端56a及び他端56bの両者の間に溝部58の後端が配設されている。溝部58は、図1及び図2に示すように、筒状部52の肉部の厚さ方向には、外周面から内周面の間に形成されている。溝部58は通常の状態(釣竿12の先端部に装着された状態)では筒状部52の形状を円筒状に保持するように溝部58の両側が当接して閉じた状態にあるが、度当て部56に釣糸誘導ガイド22bが当接された状態で前部に向かって力が加えられたときに容易に開いて釣糸誘導ガイド22bを溝部58に入れることができる。釣糸誘導ガイド22bの幅(中心軸Cに対して直交する方向の幅)Wは、当然ながら、溝部58の幅(ここでは閉じた状態にあるので幅がない)よりも大きい。
【0018】
なお、図1及び図2に示すように、トップガイド22aは中心軸Cから筒状部52の内周面に接触しない程度に小さくても良いし、度当て部56に度当てされる程度の大きさであっても良い。
【0019】
一方、図1、図2及び図5に示すように、前部開口部52aは、中心軸Cに直交する略C字状の端面60aと、中心軸Cに斜交した傾斜端面(切り欠き部)60bとを有する。傾斜端面60bは溝部58の前方側端部58aに対向する位置に形成されている。このように、傾斜端面60bが形成され、かつ、傾斜端面60bが溝部58の前方側端部58aの近くにあるので、筒状部52の肉部を減らし、筒状部52が円筒状を保とうとする力を弱めることができる。したがって、筒状部52の度当て部56に力が加えられたときに溝部58の周囲の部分を容易に変形させて、図6に示すように、釣糸誘導ガイド22b,22cの支脚部26b,26cを容易に溝部58の間に入れることができる。
【0020】
なお、傾斜端面60bは選択する材料、肉厚、溝部58の長さ等によっては形成しなくても良い。また、傾斜端面60bを形成する場合、図1から図3に示す溝部58と同様に前部開口部52aから後部開口部52bに向かって中心軸Cに平行な溝(切り欠き部)として形成されていることも好ましい。
前部開口部52a自体が形成されず、前部を閉塞した形状であることも好適である。この場合、筒状部52の前部が閉塞されているので、穂先竿24a及びトップガイド22aがガイドプロテクタ14の前部から前方に突出するのが防止されている。したがって、筒状部52は軟質材で形成され、かつ、前部が閉塞されているので、釣竿12の先端部を保護できる。この場合、釣竿保護キャップ16に設けられたベルト38がガイドプロテクタ14の延出部54に設けられていることが好ましい。この場合、ガイドプロテクタ14は釣竿保護キャップ16の機能を兼ねるので、本実施形態において、釣竿保護キャップ16が必ずしも設けられる必要はない。
【0021】
図3に示すように、延出部54は、後部開口部52bの略C字状の仮想的部分から後方に延出されている。後部開口部52bのうち、度当て部56よりも略C字状の仮想的部分の長さが長い。これは、延出部54の縁部54aによって、筒状部52の中心軸Cに平行に釣糸誘導ガイド22a−22hを整列させた状態で度当て部56に釣糸誘導ガイド22bを度当てするためである。また、後部開口部52bのうち、度当て部56よりも略C字状の仮想的部分の長さが長いことによって、延出部54が筒状の一部の形状を容易に維持することができる。
【0022】
ガイドプロテクタ14の延出部54は、縁部54aが図1に示すガイドプロテクタ14の中心軸Cに対して交差するように、円筒が斜めに切り削がれた状態に形成されている。このため、筒状部52には、後方側に向かって延出部54が形成され、その延出部54の縁部54aの内側はガイド挿通用開口部54bである。延出部54の縁部54aのガイド挿通用開口部54bは釣糸誘導ガイド22a−22hを自由に配置することができる。このため、延出部54は各竿部24a−24hのうち、釣糸誘導ガイド22a−22hが配置された部位に対して反対側の部位をガイドプロテクタ14に誘導する誘導路として機能する。
【0023】
次に、このようなガイドプロテクタ14を釣竿12の先端部に装着したときの作用について説明する。
図1及び図2に示すように、ガイドプロテクタ14及び釣竿保護キャップ16を釣竿12の先端部に装着する。すなわち、例えばトップガイド22aよりも大きい釣糸誘導ガイド22b−22hがガイドプロテクタ14の延出部54のガイド挿通用開口部54b、釣竿保護キャップ16の外殻部32の開口34から突出された状態に配置されている。そして、釣竿保護キャップ16の外殻部32のベルト38によって釣糸誘導ガイド22b−22hがガイドプロテクタ14及び釣竿保護キャップ16の外殻部32から抜けないようにしている。
【0024】
この状態で釣竿保護キャップ16を地面等に突き当てると、ガイドプロテクタ14の前部開口部52aが釣竿保護キャップ16のクッション36に突き当てられる。また、釣竿保護キャップ16を地面等に突き当てる勢いで釣糸誘導ガイド22bが度当て部56に度当てされる。ガイドプロテクタ14は軟質材で形成されているので、図6のように筒状部52の肉部を押しのけて閉じた溝部58を開いて、釣糸誘導ガイド22b,22cの支脚部26b,26cを溝部58内に移動させ、この中に配設されるようにする。このとき、筒状部52の前部開口部52aに傾斜端部60bが形成されていることにより、傾斜端部60bが存在しない場合よりも筒状部52の溝部58が容易に変形する。このため、傾斜端部60bが形成されているときは、より弱い衝撃に対しても釣糸誘導ガイド22b,22cの支脚部26b,26cを溝部58に配置することができる。
【0025】
なお、図1及び図2に示すように、本実施形態では釣糸誘導ガイド22bが度当て部56に度当てされた状態を示したが、図6の釣糸誘導ガイド22b,22cが溝部58内に移動した状態のように、釣竿(振出竿)12を収納する際に溝部58に釣糸誘導ガイド22b,22cの支脚部26b,26cを配置した状態で収納しても良い。この場合、釣糸誘導ガイド22b−22hに衝撃が加えられるのを防止しつつ、釣糸誘導ガイド22b,22cをガイドプロテクタ14に対して動かないように保持することができる。
【0026】
本実施形態によれば、釣糸誘導ガイド22bの幅よりも開口幅が小さい筒状部52の溝部58に釣糸誘導ガイド22bの支脚部26bを配置可能としたことによって、釣竿12にガイドプロテクタ14を装着した状態でガイドプロテクタ14の前部が後方に動くような力が加えられて、釣糸ガイド22bが筒状部52の後部開口部52bに当接したときに筒状部52の肉部を押しのけて溝部58に釣糸誘導ガイド22b,22cの支脚部26b,26cを入れ込むことができる。したがって、釣竿12の先端部のガイドプロテクタ14を地面等に突き当てたことによる釣糸誘導ガイド22b−22cに加えられる衝撃を緩和でき、釣糸誘導ガイド22b−22hに加えられる力を小さくできる。
度当て部56が形成されていることによって、釣糸誘導ガイド22bのリング部や支脚部26bが度当て部56に突き当てられることがあるが、筒状部52が軟質材で形成されていることによって、度当て部56に突き当てられたときに釣糸誘導ガイド22bに衝撃が加えられるのを防止できる。すなわち、度当て部56を釣糸誘導ガイド22bに対する第1緩衝部として機能させ、溝部58を第2緩衝部として機能させることができる。また、度当て部56と延出部54の縁部54aとによって、釣糸誘導ガイド22bが整列した状態を維持しながら溝部58に釣糸誘導ガイド22b,22cの支脚部26b,26cを導入することができる。
溝部58が筒状部52の後部開口部52bから前部開口部52aに、筒状部52の中心軸Cの方向に沿って形成されていることによって、釣糸誘導ガイド22b,22cの支脚部26b,26cを後部側から前部側に向かって真っ直ぐに移動させることができるので、釣糸誘導ガイド22b−22hが整列した状態を維持でき、釣糸誘導ガイド22b−22hが整列した方向以外から力を受けるのを極力防止できる。
筒状部52の前部開口部52aには、溝部58に対向する位置に傾斜端部(切り欠き部)60bが形成されていることによって、釣糸誘導ガイド22b,22cの支脚部26b,26cが溝部58に入り込もうとするときに筒状部52の溝部58が開くように変形し易くなる。したがって、釣糸誘導ガイド22b,22cの支脚部26b,26cを容易に溝部58に導入でき、釣糸誘導ガイド22b−22hに衝撃が加えられるのをより確実に防止できる。
【0027】
次に、第2実施形態について図7を用いて説明する。本実施形態は第1実施形態の変形例である。
図7に示すガイドプロテクタ14は、度当て部56に導入部56cが形成されている。なお、導入部56cは、度当て部56と溝部58との間に形成され、度当て部56から溝部58に連なる傾斜状部で、その後部側の幅は、釣糸誘導ガイド22b,22cの幅Wに対して大きくても小さくても良い。
このため、釣糸誘導ガイド22bを導入部56cに連続した溝部58に容易に導くことができる。このとき、溝部58の後部側の導入部56cでは筒状部52の肉部同士が突き合わせられていないので、第1実施形態で説明した形状よりも、より小さい力で釣糸誘導ガイド22b,22cの支脚部26b,26cを溝部58に導くことができる。
【0028】
次に、第3実施形態について図8を用いて説明する。本実施形態は第1、第2実施形態の変形例である。
図8に示すガイドプロテクタ14においては、符号58aで示す略V字状の溝部の幅は両側が当接しない開いた状態に形成され、後部開口部52b側が前部開口部52a側よりも大きい例である。なお、溝部58aの後部開口部52b側の幅は釣糸誘導ガイド22b,22cの幅Wよりも小さいことが好ましい。釣糸誘導ガイド22b,22cが溝部58aに入り込む際に、より筒状部52を容易に変形させて、容易に溝部58aに入り込むので、釣糸誘導ガイド22b,22cに衝撃が加えられるのをより確実に防止できる。
また、溝部58aは後部開口部52b側から前部開口部52a側に向けて徐々に幅が小さくなるため、釣糸誘導ガイド22b,22cが入り込んだときはその衝撃が徐々に緩和され、より破損を防止できる。
【0029】
次に、第4実施形態について図9を用いて説明する。本実施形態は第1−第3実施形態の変形例である。
図9に示すガイドプロテクタ14は、度当て部56が図7に示す導入部を兼ねた形状の例である。また、溝部58は、図8に示す状態の符号58aで示す略V字状の溝の先端にさらに前部開口部52a側に延びたスリット状の溝58bが形成された例である。そして、図9に示す例では、延出部54の縁部54aから例えば滑らかに連続する曲面や斜面として形成された緩やかな段部(度当て部)56dを経て溝部58に連続している。第1実施形態では度当て部56が中心軸Cに対して直交し、長手方向に向かう溝部58に連続する段部を形成しているが、第4実施形態では度当て部56dが中心軸Cに対して傾斜して形成されて、溝部58bに連なるための度当て部56dから溝部58bに90度よりも小さい角度変化で変移している。
なお、溝部58aの後部開口部52b側の幅は釣糸誘導ガイド22b,22cの幅Wよりも大きくても小さくても良い。
このようにしても、溝部58(58a,58b)に釣糸誘導ガイド22b,22cを確実に導くことができる。
なお、段部(度当て部)56dは、必ずしも縁部54aから滑らかに連続している必要はなく、釣糸誘導ガイド22b,22cを溝部58に容易に導くことができる形状であれば良い。
【0030】
また、上述した第1−第4実施形態の溝部58の先端に、少なくとも釣糸誘導ガイド22bの支脚部26bの幅W程度の直径を有する例えば円形状の貫通孔が形成されていることが好ましい。このようにすると、釣糸誘導ガイド22bの支脚部26bによって、溝部58の前側端部に力が加えられたとしても、溝部58の前側端部が前部側に移動するのを防止できる。
一方、溝部58は筒状部52の後部開口部52bから前部開口部52aまで連続して形成されていても良い。この場合、ガイドプロテクタ14は、無負荷状態では筒状部52の溝部58が互いの面を当接した状態にその形状を維持できる程度の軟性であることが好ましい。
【0031】
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
【符号の説明】
【0032】
C…中心軸、14…ガイドプロテクタ、22a…トップガイド、22b−22h…釣糸誘導ガイド、26a−26h…支脚部、52…筒状部、52a…前部開口部、52b…後部開口部、54…延出部、54a…縁部、54b…ガイド挿通用開口部、56…度当て部、56a…度当て部の一端、56b…度当て部の他端、58…溝部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿の先端部に装着して用いられ、釣竿の釣糸ガイドを保護する釣竿用のガイドプロテクタであって、
少なくとも後部開口部を有する軟質材で形成された筒状部と、
前記筒状部の後部開口部の後方側に形成され、釣竿の先端部の外周に配設されるとともに釣糸ガイドを前記筒状部の軸方向に沿って整列させる縁部を有する延出部と、
前記筒状部に設けられ、前記後部開口部から前記筒状部の前部に向かって形成され、前記釣糸ガイドの幅よりも開口幅が小さい溝部と
を具備し、
前記筒状部の前記溝部に前記釣糸ガイドを配置可能としたことを特徴とするガイドプロテクタ。
【請求項2】
前記筒状部の後部開口部には、前記釣糸ガイドが当接され、前記溝部を両端部の間に有する度当て部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガイドプロテクタ。
【請求項3】
前記溝部は、前記筒状部の後部開口部から前部に、前記筒状部の軸方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載のガイドプロテクタ。
【請求項4】
前記筒状部の前部は前部開口部を有し、
前記前部開口部には、前記溝部に対向する位置に切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1に記載のガイドプロテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−70637(P2012−70637A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215923(P2010−215923)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】