説明

釣竿用タグ

【課題】従来の釣竿用タグは、紐やゴムを用いて釣糸ガイドの脚部にぶら下げ状態で取り付けていたため、客が釣竿を振って調子を確認するときに、タグがバタバタしてしまい、調子を確認し難かった。店頭で釣竿が展示されているときに、タグの訴求面が必ずしも客の視線の正面にくるわけではなく、一々客が手にとって確認しなければならない場合も多かった。
【解決手段】横長のシート3と、シートの長手方向に間隔をおいて形成された2つの穴9、13と、それぞれの穴からシート縁まで直線状に延びた2つの切込み11、15とを備えた釣竿用タグ1。一方の穴9に切込み11を介して釣糸ガイドの脚部fを通し、他方の穴13に切込み15を介して竿体sを通すことで、2つの穴の間の訴求面17を釣糸ガイド側に表出させた状態で釣竿にガタつかせずにしっかりと取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に取付けるタグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
釣竿は竿体に釣糸ガイド等が取り付けられた状態で、小売店で販売されている。その際、釣竿やガイドのプロモーションツールとしてタグを釣竿に取付ける事が、一般的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−5367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の釣竿用タグ101は、特許文献1にも記載されているが、図8に示すように、紐やゴム103を用いて釣糸ガイドの脚部fにぶら下げ状態で取り付けていた。
しかしながら、このようにタグを取り付けると、客が釣竿を振って調子を確認するときに、タグがバタバタしてしまい、調子を確認し難かった。また、店頭で釣竿が展示されているときに、タグの訴求面、即ちメーカー名等が記載された面が必ずしも客の視線の先にこない場合も多く、その場合には客が一々手にとって確認しなければならなかった。
特許文献1の図1〜図12には別の形態のタグも示されているが、小売店では、釣竿は釣糸ガイドの導糸環を正面に向かせた状態で展示しておく場合が多い。そのため、上記した別の形態のタグでもその訴求面が側方を向いてしまい見難くなってしまう。また、小売店ではそれぞれの事情、例えば、棚の高さとか照明の位置を考慮してタグの位置を変える場合があるが、上記したタグでは着脱は容易ではない。さらに、上記したタグでは、結束具が必要になり、製造コストも上がってしまう。
【0005】
それ故、本発明は、上記課題を解決するために、形状の工夫された釣竿用タグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意研究の結果、横長のシートの長手方向両端側にそれぞれ、穴と、前記穴をシート縁に開口させるための切込みを設けて、一方の穴に竿体を通し、他方の穴に釣糸ガイドの脚部を通して取り付ける形態にすることで、単純な形状ながら、複数の課題を同時に解決できることを確認し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明の請求項1の発明は、横長のシートと、前記シートの長手方向に間隔をおいて形成された2つの穴と、それぞれの穴からシート縁まで直線状に延びた2つの切込みとを備え、一方の穴に切込みを介して釣糸ガイドの脚部を通し、他方の穴に切込みを介して竿体を通すことで、前記2つの穴の間のシート面を前記竿体より表側にもってきた状態で釣竿に取付けられることを特徴とする釣竿用タグである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載した釣竿用タグにおいて、竿体取付け穴の穴縁を挟んでまたは前記穴縁よりシート長手方向中央寄りに、シート短手方向両端のシート縁まで直線状に延びた折り目を備えることを特徴とする釣竿用タグである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載した釣竿用タグにおいて、竿体取付け側切込みは竿体取付け穴からシート長手方向端のシート縁まで延びており、折り目は前記竿体取付け穴の穴縁を挟んで一対備えられており、各折り目はシート縁に向かうに従ってシート長手方向中央側に漸次近づくよう、斜めに延びていることを特徴とする釣竿用タグである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した釣竿用タグにおいて、竿体取付け穴内で竿体の外周面に近づくよう対向して延出する一対の係合延出部を備えることを特徴とする釣竿用タグである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載した釣竿用タグにおいて、脚部取付け側切込みは、脚部取付け穴のシート短手方向中間部からシート長手方向端のシート縁まで延びており、さらに、前記脚部取付け穴内で延出して、シート短手方向両端側をそれぞれ閉塞する一対のフラップを備えることを特徴とする釣竿用タグである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の釣竿用タグは、ブラブラしたりガタついたりせずに、釣竿にしっかりと取り付けられ、取り付けたときには訴求面を釣糸ガイドの導糸環側に安定的にもってこられる。また、紐等シート以外の素材は必要としないので、製造コストが安くなる。さらに、着脱が容易で何度でも付け変えできる。
加えて、本発明の釣竿用タグは、一方の穴を釣糸ガイドに装着する際にも切込みには脚部だけが通るので、導糸環の大きさが異なってもまた一本足・二本足の区別なく、一律に製造したタグで汎用的に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る釣竿用タグとそれを取り付ける釣竿の斜視図である。
【図2】図1の釣竿用タグを釣竿に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】第2の実施の形態に係る釣竿用タグを釣竿に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図4】第3の実施の形態に係る釣竿用タグの平面図と、それを釣竿に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】第4の実施の形態に係る釣竿用タグの平面図と、それを釣竿に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】第5の実施の形態に係る釣竿用タグの平面図と、それを釣竿に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】第6の実施の形態に係る釣竿用タグの平面図である。
【図8】従来のガイド用タグを釣竿に取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態に係る釣竿用タグ1を、図1、図2に従って説明する。
この釣竿用タグ1は一枚の紙で形成されている。本体をなすシート3は横長の長方形をしており、短手方向両端を画定するシート縁5、6と長手方向両端を画定するシート縁7、8は互いに平行に対向している。
シート3のシート縁7側には脚部取付け穴9が形成されている。この脚部取付け穴9はシート3の長手方向中心線cを跨いで、シート短手方向に長い長円状に形成されており、中心線cに対して対称になっている。符号11は切込みを示し、この切込み11は脚部取付け穴9のシート縁7側から直線状に延びてそのままシート縁7に至っている。切込み11は中心線c上にある。従って、脚部取付け穴9は切込み11を介してシート縁7側に開口していることになる。
【0015】
シート3のシート縁8側には竿体取付け穴13が形成されている。この竿体取付け穴13はシート3の長手方向中心線cを跨いで、シート長手方向に長い略長円状に形成されており、中心線cに対して対称になっている。符号15は切込みを示し、この切込み15は竿体取付け穴13のシート縁8側から、直線状に延びてそのままシート縁8に至っている。切込み15は中心線c上にある。従って、竿体取付け穴13は切込み15を介して近い方のシート縁8側に開口していることになる。
【0016】
上記した構成の釣竿用タグ1を、図2に示すように、釣竿に取り付ける。
具体的には、切込み11を上下左右に開いてその隙間に釣糸ガイドの脚部fを通して脚部取付け穴9内まで導く。また、切込み15を上下左右に開いてその隙間に竿体sを通して竿体取付け穴13内まで導く。
このように取り付けると、タグ1の一端側が脚部fを抱きかかえ、他端側が竿体sを抱きかかえた姿勢となるので、ブラブラしたりガタついたりせずに、釣竿にしっかりと取り付けられる。
また、このように取り付けることで、脚部取付け穴9と竿体取付け穴13の間のメインのシート面、即ち釣糸ガイド側を向いた訴求面17は竿体sより表側にもってこられる。
加えて、紐等を使用しないで取付けるので、着脱も容易である。さらに、取付けをする毎に切込み11、15が元に戻り難くなり、徐々に開いてしまうが、切込み11、15は脚部fや竿体sの裏側に回り込んでいるので、店頭で展示する際にも目立たない。
【0017】
本発明の第2の実施の形態に係る釣竿用タグ19を、図3に従って説明する。
この釣竿用タグ19には、竿体取付け穴13のシート長手方向中央側の穴縁よりさらに若干中央寄りに折り目21が形成されている点が、第1の実施の形態に係る釣竿用タグ1と異なっている。この折り目21はシート縁5、6の間で、シート縁7、8に平行に直線状に延びている。
折り目21を訴求面17側が表側にくるように山折りし、後は釣竿用タグ1と同様にして釣糸ガイドの脚部fと竿体sにそれぞれ取り付ける。
折り目21を山折りすると、竿体取付け穴13は起立した面、すなわち竿体sに垂直に近い角度で交差する面上にあることになる。従って、竿体取付け穴13に竿体sが挿し込まれた後も、訴求面17は湾曲せずに平坦な状態を保ち、一層見易くなっている。
【0018】
本発明の第3の実施の形態に係る釣竿用タグ23を、図4に従って説明する。
この釣竿用タグ23では、竿体取付け穴25の形状と折り目の位置が、第2の実施の形態に係る釣竿用タグ19と異なっている。竿体取付け穴25の穴縁は、略円形の軌跡xを基に設定されており、シート長手方向中央側は直線状に切り取られており、その切り取り縁27はシート縁7、8と平行になっている。また、シート縁8側寄りのシート短手方向両側からは、2コブらくだのコブのような係合延出部29が穴内に延出している。従って、係合延出部29は通される竿体sの外周面に近づくように延出していることになる。
また、折り目31、32は、切り取り縁27のシート短手方向両端からシート縁5、6にそれぞれ延びており、シート縁7、8と平行になっている。
なお、シート3の角部も折り曲がらないように小さく丸みが付けられている。
【0019】
折り目31、32を訴求面17が表側にくるように山折りした後、竿体取付け穴25に竿体sを通す。
竿体取付け穴25に細竿s1を通した場合には、シート長手方向両端側の穴縁だけでなく、係合延出部29の先端が細竿s1の両側に当接して細竿sをしっかりと抱きかかえた姿勢となるので、ガタついたりせずに、釣竿にしっかりと取り付けられる。
一方、竿体取付け穴25に太竿s2を通した場合には、係合延出部29が折り込まれ、その折り曲げ部が太竿s2の両側に当接して太竿s2をしっかりと抱きかかえた姿勢となるので、同様にガタついたりせずに、釣竿にしっかりと取り付けられる。また、竿体取付け穴25を無理に広げてはいないので、穴の周囲に亀裂ができたりするようなことはない。
このように、細竿s1にも太竿s2にも適用できる。
【0020】
本発明の第4の実施の形態に係る釣竿用タグ33を、図5に従って説明する。
この釣竿用タグ33では、折り目35、36が、第3の実施の形態に係る釣竿用タグ23と異なっている。
折り目35、36は、切り取り縁27のシート短手方向両端からシート縁5、6にそれぞれ向かうに従ってシート長手方向中央側に漸次近づくよう、斜めに延びている。この折り目35、36から先は折込み片37、38になっており、折り込み易いように角部には大きく丸みが付けられている。
折り目35、36をそれぞれ山折りすると、折り目35、折り目36から先の折込み片37、38は互いに交差して係合する。従って、竿体取付け穴25から竿体sが一層外れ難くなっている。
【0021】
本発明の第5の実施の形態に係る釣竿用タグ39を、図6に従って説明する。
この釣竿用タグ39では、脚部取付け穴41の形状が、第3の実施の形態に係る釣竿用タグ23と異なっている。
脚部取付け穴41の穴縁はシート短手方向に長い矩形をしており、シート縁7側の角部には小さく丸みが付けられている。
穴内ではシート中央側からシート縁7に向かって一対のフラップ43、43が延出している。各フラップ43は穴縁に沿って略角形をしており、穴内のシート短手方向両端側をそれぞれ殆ど閉塞している。各フラップ43の基端側には折り目45が形成されている。フラップ43同士の間には隙間47が残されている。
また、切込み11は開口端側では丸みが付けられており、開口端に向かうに従って大きく左右に広がっている。
【0022】
脚部f1が一本の場合のように比較的細い場合には、隙間47にそのまま通す。この場合には、各フラップ43がその一本の脚部f1の両側に当接してしっかりと抱きかかえた姿勢となるので、ガタついたりせずに、釣竿にしっかりと取り付けられる。
一方、脚部が二本の場合のように比較的幅広の場合には、フラップ43、43を折り目45、45で谷折りして立たせて、脚部取付け穴41を全開した状態で通す。この場合には、脚部取付け穴41の穴縁が二本の脚部f2の両側に当接してしっかりと抱きかかえた姿勢となるので、ガタついたりせずに、釣竿にしっかりと取り付けられる。
このように、釣糸ガイドの脚部の数や太さが異なっても適用できる。
また、切込み11は開口端側で広がっているので脚部f1、f2を通し易くなっている。
【0023】
本発明の第6の実施の形態に係る釣竿用タグ49を、図7に従って説明する。
この釣竿用タグ49では、脚部取付け穴9側の切込み51がシート縁5側に延びている点が、第5の実施の形態に係る釣竿用タグ33と異なっている。
このように、切込みの位置は適宜変更できる。
【0024】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の具体的構成が上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨から外れない範囲での設計変更があっても本発明に含まれる。
例えば、上記の実施の形態では、いずれもシートは紙で形成されているが、プラスチックで形成してもよい。
また、第5の実施の形態では、フラップ43はシート中央側からシート縁7に向かって延出しているが、その反対にシート縁7側からシート中央側に向かって延出しても、またシート縁5、6側から延出させてもよい。
いずれにしても、特許請求されている形状等を除いては、従来からあるまたは将来案出される形状や素材や製法を任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係る釣竿ガイド用タグによれば、シート材だけで形成できるので、製造が容易なだけでなく、製造コストも紐などを併用した場合より安く済む。
また、訴求面に切れ目が有ると図柄等を印刷するときに合わせ難いが、当該釣竿用タグによれば、切れ目がないので印刷も容易となる。
【符号の説明】
【0026】
1‥‥釣竿用タグ(第1の実施の形態)
3‥‥シート 5、6‥‥(長手方向)シート縁
7、8‥‥(短手方向)シート縁 9‥‥脚部取付け穴
11‥‥脚部取付け穴側切込み 13‥‥竿体取付け穴
15‥‥竿体取付け穴側切込み 17‥‥訴求面
19‥‥釣竿用タグ(第2の実施の形態)
21‥‥折り目
23‥‥釣竿用タグ(第3の実施の形態)
27‥‥切り取り縁 29‥‥係合延出部
31、32‥‥折り目
33‥‥釣竿用タグ(第4の実施の形態)
35、36‥‥折り目 37、38‥‥折込み片
39‥‥釣竿用タグ(第5の実施の形態)
41‥‥脚部取付け穴 43‥‥フラップ
45‥‥折り目 47‥‥隙間
49‥‥釣竿用タグ(第6の実施の形態)
51‥‥(脚部取付け穴側の)切込み
f‥‥(釣糸ガイドの)脚部 s‥‥竿体
c‥‥中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横長のシートと、前記シートの長手方向に間隔をおいて形成された2つの穴と、それぞれの穴からシート縁まで直線状に延びた2つの切込みとを備え、
一方の穴に切込みを介して釣糸ガイドの脚部を通し、他方の穴に切込みを介して竿体を通すことで、前記2つの穴の間のシート面を前記竿体より表側にもってきた状態で釣竿に取付けられることを特徴とする釣竿用タグ。
【請求項2】
請求項1に記載した釣竿用タグにおいて、
竿体取付け穴の穴縁を挟んでまたは前記穴縁よりシート長手方向中央寄りに、シート短手方向両端のシート縁まで直線状に延びた折り目を備えることを特徴とする釣竿用タグ。
【請求項3】
請求項2に記載した釣竿用タグにおいて、
竿体取付け側切込みは竿体取付け穴からシート長手方向端のシート縁まで延びており、
折り目は前記竿体取付け穴の穴縁を挟んで一対備えられており、各折り目はシート縁に向かうに従ってシート長手方向中央側に漸次近づくよう、斜めに延びていることを特徴とする釣竿用タグ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した釣竿用タグにおいて、
竿体取付け穴内で竿体の外周面に近づくよう対向して延出する一対の係合延出部を備えることを特徴とする釣竿用タグ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載した釣竿用タグにおいて、
脚部取付け側切込みは、脚部取付け穴のシート短手方向中間部からシート長手方向端のシート縁まで延びており、
さらに、前記脚部取付け穴内で延出して、シート短手方向両端側をそれぞれ閉塞する一対のフラップを備えることを特徴とする釣竿用タグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−19417(P2011−19417A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165519(P2009−165519)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000237385)富士工業株式会社 (24)
【Fターム(参考)】