説明

釣針収容具

【課題】 比較的簡単な構造で、餌が落ちる虞れの少ない釣針収容具を提供すること
【解決手段】 釣針収容具1は、ドーム状部30を備えた釣針収容容器20で、分割線に沿って分割される複数の容器素体21,21からなり、釣針7をハリス8の先端部と共に収容するものと、容器20が開閉可能になるように、容器素体を接続した容器素体接続手段50と、ドーム状部30の先端部を収容する凹部63と傾斜外周面33に当接して容器を閉状態に保持する当接・保持縁部65とを備え、凹部の底部で開口する貫通孔68を備えた容器保持手段60と、中央に貫通孔68を備え質量により当接・保持縁部をドーム状部の傾斜外周面に押付ける重錘手段60と、一端で容器素体接続手段50に接続されると共に、容器保持手段及び重錘手段の貫通孔68に挿通されて突出した他端でハリスの基端部が接続されるリール糸5に接続される連結手段6とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投げ釣りや遠投釣りに際して、釣針を遠くのポイント等に投げる際に、餌が落ちるのを防止するための釣具に係り、この釣具を、この明細書では、釣針収容具と呼ぶ。
【背景技術】
【0002】
投げ釣りや遠投釣りに際して、釣針を遠くのポイント等に投げる際に、餌が落ちるのを防止するための釣具としては、典型的には、同軸状に連結された各種部材が着水の際又はその後に軸方向に分離するタイプのものと、側部が開くタイプのものとが提案されている。
【0003】
前者のタイプのものは、主として撒餌を用いるもので、例えば、頂部が湾曲して突出し下端部が開口した円筒状体からなり水に浮く撒餌収納籠と該籠の開口端に嵌合され水に沈む錘の形態の下蓋体とを備え、下蓋体から延びて籠内を貫通し且つ籠の頂部から突出した軸芯の先端にリール糸をつけるようにすると共に下蓋体からハリス連結材を延ばしその先端にハリスの基端部を取り付けるようにしたものや、下蓋体の落下速度を押えるべく更に軸芯に抵抗体を設けるようにしたもの(例えば、特許文献1)が知られている。
【0004】
しかしながら、この特許文献1に開示の撒餌具は、通常の他の釣具に釣針収容具を設けるものではなく、固有の装置で大掛かりなものになり易い。また、仮に、小型化して撒餌以外に適用しようとすると、釣針が軸芯に引っ掛るなどの不都合が生じる虞れがある。
【0005】
このタイプに属する撒餌散布器として、開放制御を確実に行わせるべく、磁石等を可動体と組合わせて組込むことも提案されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、この提案の撒餌散布器は構造が複雑であり、故障し易いだけでなく高価になる虞れがある。
【0006】
一方、後者のタイプのものは、主として、錘に餌収容部を形成するという観点のもので、例えば、錘を備えた容器本体を長手方向に摺動可能にサルカンに取付ると共に、容器本体のサルカンに対する位置により、蓋が閉状態で係止されたり蓋の開放が許容されるようにすることが提案されている(例えば、特許文献3)。しかしながら、一側で係合させて摺動させようとするものであることから、容器本体のサルカンに対する変位が確実に制御され難い虞れがあるか、高価なものになり易い。
【0007】
なお、サルカンと容器本体との間にばねを設けることも提案されている(特許文献4)。しかしながら、構造が一層複雑化するだけでなく、摺動を確保する必要があるから、長期間安定に動作し得るようにするためには、高価になり易い。
【0008】
すなわち、従来の釣針収容具は、いずれも、構造が複雑であり、高価になり易い。また、多くの場合、錘や釣針のような通常の釣具以外の部分に専用の金属製部品その他の構造部品を要する。従って、釣糸が切れると、その度に高価な釣具を失うことになる。一方、コストを抑えて製造すると、動作不良が起こり易くなるのを避け難い。
【0009】
なお、容器に収容した餌付き針の部分を球状体で蓋をすること(特許文献5や特許文献6)は提案されている。しかしながら、特許文献5に開示の技術では、ポイントに向かって釣針のある部分を投げる際や飛行の際に蓋が外れる虞れがある。一方、特許文献6の図7に示されたものの場合具体的にはどのような構造・機能・作用を有するのか定かでない。
【特許文献1】特開平7−313032号公報
【特許文献2】特許3618309号明細書
【特許文献3】実公平7−48067号公報
【特許文献4】特開2005−27582号公報
【特許文献5】実開平7−39444号公報
【特許文献6】実開平7−28367号公報(図7等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記した点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、比較的簡単な構造で、餌が落ちる虞れの少ない釣針収容具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の釣針収容具は、前記目的を達成すべく、ドーム状部を備えた釣針収容容器であって、該ドーム状部の頂部を通る分割線に沿って分割・開放される複数の容器素体からなり、釣針を該釣針につながったハリスの先端部分と共に内部に収容するものと、容器が開閉可能になるように、ドーム状部の先端部において容器素体を接続した容器素体接続手段と、釣針収容容器のドーム状部の先端部を収容する凹部と該ドーム状部の中間部の傾斜外周面に当接して容器を閉状態に保持する当接・保持縁部とを備えた容器保持手段であって、凹部の底部で開口する貫通孔を備えたものと、質量により当接・保持縁部をドーム状部の傾斜外周面に押付ける重錘手段であって中央に貫通孔を備えたものと、一端で容器素体接続手段に接続されると共に、容器保持手段及び重錘手段の貫通孔に挿通されて突出した他端でハリスの基端部が接続されるリール糸に接続される連結手段とを有し、比較的簡単な構造からなる。
【0012】
本発明の釣針収容具では、「分割線に沿って分割・開放される複数の容器素体からなり、釣針を該釣針につながったハリスの先端部分と共に内部に収容する釣針収容容器」が設けられているので、容器素体を分割線に沿って分割することにより容器を開いて餌をつけた釣針を該容器内に配置し、該複数の容器素体を再度組合わせることにより、餌付の釣針を容器内に収容し得る。なお、このとき、ハリスは、容器素体の分割線に沿って容器外から容器内に延びた状態を採る。
【0013】
また、本発明の釣針収容具では、「釣針収容容器がドーム状部を備えると共に該ドーム状部の頂部を通る分割線に沿って前記容器素体に分割・開放されるように構成され」、且つ「釣針収容容器のドーム状部の先端部を収容する凹部と該ドーム状部の中間部の傾斜外周面に当接して容器を閉状態に保持する当接・保持縁部とを備えた容器保持手段」が設けられているので、容器素体を分割線に沿って組合わせた状態でドーム状部が先端部で容器保持部材の凹部内に収容され且つ該ドーム状部の中間部の傾斜外周面で容器保持手段の当接・保持縁部に当接されるように容器保持手段に対して位置決めすることにより、容器を閉状態で容器保持手段に保持させ得る。
【0014】
更に、本発明の釣針収容具では、「容器が開閉可能になるように、ドーム状部の先端部において容器素体を接続した容器素体接続手段と、質量により当接・保持縁部をドーム状部の傾斜外周面に押付ける重錘手段であって中央に貫通孔を備えたものと、一端で容器素体接続手段に接続されると共に、容器保持手段及び重錘手段の貫通孔に挿通されて突出した他端でハリスの基端部が接続されるリール糸に接続される連結手段と」が設けられているので、容器保持手段によって容器を閉状態にした状態で、連結手段のリール糸側の突出部を上に引上げるだけで、重錘手段によって容器保持手段の当接・保持縁部を容器のドーム状部の傾斜外周面に押し付け得るので、容器を閉状態に実質的に保ち得る。
【0015】
すなわち、餌をつけた釣針を容器内に配置し容器を閉状態にして容器保持手段により保持させた後、釣り竿の先端を持ち上げて重錘手段の重量が容器保持手段にかかるようにしている限り、容器を閉状態に保ち得る。また、その状態で、重錘手段を投げるように竿を振ると、リール糸はピンと張った状態に保たれ得、重錘手段によって当接・保持縁部が容器に押付けられた状態で飛行するので、容器が容器保持手段によって閉状態に保たれ得るから、針が容器内に保たれ得、餌が釣針から落ちる虞れがない。
【0016】
なお、所望ならば、釣針収容容器内に、餌付の釣針だけでなく、よせ餌を入れておいてもよい。
【0017】
一方、釣針収容容器並びに該容器保持手段及び重錘手段がポイント近くの水面に落ちると、道糸に対する張力が急激に落ちるので、落下衝撃及び張力の急激な低下により、釣針収容容器と容器保持手段との間に隙間ができる。その結果、釣針収容容器に対する保持手段の保持力が解除されるので、釣針収容容器を構成する複数の容器素体が分割線に沿って分かれ始める。なお分割線(面)の少なくとも一箇所には、ハリスが通っているので、該箇所では、容器素体の分離が進行し易い。容器素体の分割線(面)に隙間のあるところでは、水が間に侵入するので、容器の容器素体への分割が助長され、容器が開かれて、餌付きの針が容器外に露出する。容器素体は、ドーム状部の先端部において容器素体接続手段により接続されているので、容器素体への分割に際しては、容器は、くす玉が割れるように開き得る。
【0018】
ここで、釣針収容容器の外表面形状は、典型的には、球状である。但し、所望ならば、回転楕円体状や卵形であってもよく、また、一箇所にドーム状部(外表面がドーム状の部分)がある限り、容器はほぼ円錐状等他の形状でもよく、更に、場合によっては、三角錐体状でも、立法体状でもよい(一ヶ所の角部がドーム状部とみなされ得る)。なお、この明細書において、ドーム状とは、典型的には、外に凸になるように釣鐘状に湾曲した形状を指すけれども、頂部があり該頂部の周囲が頂部に向かって傾斜している限り、該湾曲が実際上なく、断面が平面状ないし直線状の形状であってもよい。
【0019】
なお、針状収容容器が球状以外の形状である場合、分割線が通るドーム状部は、容器素体を一体化し易いように、典型的には、最も曲率の高い(尖った)部分を中心(頂部)とする部分であるけれども、場合によっては、容器素体への分割が容易に行なわれ易いように、より曲率の低い(尖りの程度の低い)部分であってもよい。
【0020】
分割線(分割面)は、典型的には平面であるけれども、容器素体への分離を妨げない限り、湾曲していても、相補的な鋸歯状面(ギザギザの面)の如き複雑な形状の面であってもよい。
【0021】
容器を構成する容器素体の数は、典型的には、二つであり、二つの容器素体は典型的には、同一の形状を有する半割体の形態を採る。容器が球状の場合、容器素体は、典型的には、半球状(すなわち、中空半球状)である。但し、二つの容器素体が分離可能に組合されて容器を形成し得る限り、所望ならば、二つの容器素体の大きさや形状が異なっていてもよい。また、容器を構成する容器素体の数が、三つ以上であってもよく、その場合、各容器素体が同一の大きさ及び形状であっても、少なくとも一つ又は全てが異なる大きさ・形状であってもよい。
【0022】
なお、容器素体の相互当接面(分割面)は、典型的には、ハリスがない状態で丁度当接し、ハリスがある部分では隙間ができる。但し、所望ならば、ハリスを通す箇所を決めておいて、当該箇所に溝を形成しておき、該溝に沿ってハリスを通すようにしてもよい。
【0023】
容器保持手段は、釣針収容容器のドーム状部の先端部を収容する凹部と該ドーム状部の中間部の傾斜外周面に当接して容器を閉状態に保持する当接・保持縁部とを備え、且つ凹部の底部で開口する貫通孔を備える限り、どのような形状でもよい。
【0024】
ここで、当接・保持縁部をドーム状部の中間部すなわち傾斜外周面に当接させるのは、一方では、該当接により容器を閉状態に保持する力が働くようにする(平坦な端面を単に一方向に押すのではない)ためであり、他方では、過度に大きな力を加えなくても容器保持手段からの容器が分離され得るようにする(容器の最大径部の外周に当接・保持縁部が完全に嵌っている場合には容器が外れにくくなる)ためである。
【0025】
容器が球状の外表面を備える場合、容器保持手段の当接・保持縁部は、容器の外表面の半径よりも小さい円に外接する形状を備える限り、どのような大きさ・形状であってもよい。このような当接・保持縁部は、例えば、中空半球状体ないし中空部分球状体の円形周縁部の内周縁によって与えられる。但し、円に外接し得る限り、当接・保持縁部が円形である代わりに、三角形や多角形でも他の形状でもよい。なお、容器保持手段の当接・保持縁部は、円に外接し得る限り、閉曲線を成す代わりに、三本以上の棒状部からなっていてもよい。また、容器が球状ないし円形断面以外の形状の場合、該容器の断面形状に応じて、容器保持手段の当接・保持縁部がそれに外接する形状を備える。
【0026】
また、凹部は、容器のドーム状部の先端部を収容し得るように窪んでいる限り、球面の一部であっても、他の任意の形状でもよく、例えば、円錐状や円錐台状等であってもよい。
【0027】
容器素体接続手段が、典型的には、可撓性紐状体からなり、該可撓性紐状体に連結手段が接続されることから、可撓性紐状体が容器の外側に配置されるので、該可撓性紐状体の配設スペースを確保すべく、容器保持手段の凹部と容器のドーム状部の先端部との間に間隙が残るように、容器保持手段の凹部が形成される。但し、例えば、容器素体接続手段が容器素体の頂部の間に組込まれる蝶番状手段からなる場合、連結手段の端部が蝶番状手段のピン状部に係合されるだけでもよいから、容器保持手段の凹部と容器のドーム状部の先端部との間に間隙がなくてもよく、容器保持手段の凹部は、容器のドーム状部の先端部と実際上相補的形状に形成されてもよい。
【0028】
なお、容器保持手段及び重錘手段の貫通孔は、該貫通孔に挿通された連結手段が実際上自由に移動し得る大きさであればよく、遊嵌されても摺動可能状態でもよい。貫通孔は、典型的には、直線状に延びている。なお、連結手段は、典型的には、可撓性のある紐状体、典型的には、釣り糸自体からなり、例えば、道糸からなる。道糸は、リール糸と同じでも、異なっていてもよい。連結手段は、その代わりに、金属製のワイヤや剛性のあるプラスチック材料や竹等の細長い棒状体からなっていてもよい。
【0029】
重錘手段は、典型的には、前記容器保持手段と一体的に形成されている。すなわち、典型的には、例えば、形状的には容器保持手段が満たすべき形状を備え、質量としては、重錘手段が満たすべき条件を備えた材料で、重錘手段としての機能と容器保持手段としての機能との両方を満たす構造体からなる。但し、一体物のうちの一部の部分が容器保持手段として働く部分からなり、実際上他の部分のみが重錘手段として働くように構成されていてもよい。
【0030】
ここで、重錘手段の重錘機能は、(1)空気中にある際に錘として働く機能で、容器を吊下げたときに、重錘手段がその質量により容器保持手段の当接・保持縁部を容器のドーム状部に押付ける働き、及び釣り竿を振って釣針のある部分を投げることによりポイントまで飛行する際、その飛行を確実に行わせる錘としての働きと、(2)着水後に、釣り餌(仕掛け)のある部分を水中に沈める錘としての働きとの二種類があり、本発明においては、重錘手段は、少なくとも、(1)の機能を有するものである。
【0031】
なお、重錘手段は、従来の錘でもよく、その場合、重錘手段は、容器保持手段に一体的に結合されていても、別体で形成されていてもよい。
【0032】
なお、所望ならば、重錘手段が、ウキを一体的に備えていてもよい。その場合、重錘手段は、上記の二つの機能のうち(1)の機能のみを有することになる。この場合、重錘手段はウキが一体化されることにより全体としてはウキとして働くので、着水後、容器に水が入って容器が沈む際に、容器から分離される。特に、重錘手段と容器保持手段とが一体化されている場合、重錘手段と共に容器保持手段が容器から分離されることにより、容器が開かれることになる。なお、容器には分割線に沿ってハリスが挿入されているので、容器素体の間には間隙が形成されるから、水が容易に容器内に侵入し得る。勿論、所望ならば、餌(場合によっては撒餌)の漏出を避け得る程度の小さい孔が容器の壁部に形成されていてもよい。
【0033】
本発明の釣針収容具では、典型的には、複数の容器素体からなる釣針収容容器に対する容器保持手段の当接・保持が解除された際、釣針が釣針収容容器外に出るように釣針収容容器の複数の容器素体を開くべく複数の容器素体に弾性力を及ぼす弾性手段を有する。この場合、着水後、容器素体が確実に分離され得る。なお、弾性手段自体が当接・保持の解除力をある程度与えるようになっていてもよい。但し、当接・保持が弾性手段によって解除されてしまうのを避けるべく、その弾性力は比較的小さく設定されることが好ましい。
【0034】
本発明の釣針収容具において、容器素体接続手段が蝶番状体からなる場合、弾性手段は該蝶番を軸(ピン)に係合され該蝶番を一方向に偏倚させる渦巻き状ばね又はねじりばねであってもよいけれども、容器素体接続手段が可撓性紐状体からなる場合、弾性手段は、典型的には、前記弾性手段が複数の開口を備えた板ばねからなり、可撓性紐状体が分岐されて板ばねの各開口に遊嵌された糸状体からなる。この場合、連結手段を介して糸状体を引っ張ることにより容器のドーム状部の傾斜周面部が容器保持手段の当接・保持縁部に当接して容器が閉じられ、容器のドーム状部の傾斜周面部が容器保持手段の当接・保持縁部から離れるだけで、弾性手段による弾性力により容器素体への分離が容易に行なわれ得る。
【0035】
この場合、好ましくは、板ばねが、容器のドーム状部の先端部において容器素体の夫々に取外し可能に端部で係合される。これにより、組立・分解が容易になる。
【0036】
以上において、板ばねは、比較的剛性の高いプラスチック材料で形成され得る。なお、容器及び容器保持部材も剛性のあるプラスチック材料で形成され得る。従って、鉛などで形成される重錘手段を除いて、全ての部材がプラスチック材料で形成され得るので、安価で且つ取扱いも容易に行なわれ得る。
【0037】
なお、本発明の釣針収容具において、所望ならば、容器素体接続手段を構成する可撓性紐状体が曲げ弾性を有し、前記弾性手段になっていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に、本発明の好ましい実施の形態のいくつか添付図面に示した好ましい実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0039】
図1から図5に示した本発明による好ましい一実施例の釣針収容具1は、針収容容器構造体2と、容器保持手段及び重錘手段が一体化されてなる錘構造体3とを備える。釣針収容具1は、ヨリモドシ4を介してリール糸5に接続された道糸6に取付けられている。ここで、リール糸5及び道糸6の全体を道糸とみなしてもよい。ヨリモドシ4には、釣針7が先端に取付けられたハリス8が基端部8aで取付けられている。ヨリモドシ4は、なくてもよく、その逆に、ハリス8と道糸6とが別々のヨリモドシを介してリール糸5につながっていてもよい。また、ハリス8が複数あってもよい。
【0040】
針収容容器構造体2は、針収容容器20と、弾性手段としての板ばね40と、容器素体接続手段としての道糸接続具50とを備え、道糸接続具50は、マルカン11を介して道糸6に接続されている。道糸6と道糸接続具50とは、マルカン11とは異なる接続具を介してつながっていてもよく、その逆に、マルカン11その他の接続具を介することなく、直接つながっていてもよい。但し、その場合、道糸接続具50の丁度中間部に道糸6が接続されるか道糸接続具50に対して道糸6の基端部の取付位置が可動な状態で道糸6が道糸接続具50につながっていることが好ましい。
【0041】
針収容容器20は、一対の同一形状の容器素体としての中空半球状体21,21からなる。半割体としての半球状体21,21が環状接続面(分割面)22,22で相互に当接されると、全体として、外表面が半径Rの中空球状体Aを形成する。中空半球状体21は、夫々、典型的には、プラスチック材料で形成され、好ましくは、透明であるけれども、所望ならば、不透明でもよい。所望により、色や模様がついていてもよい。
【0042】
図3の(a)に示したように、各中空半球状体21は、一側縁に、円形孔23と、長孔24とを備える。孔23,24は、接合面22,22に対して直角な大円Bに沿って並んでいる。円形孔23には、道糸接続具50を構成する糸状接続体51が挿通される。接続体51の断面形状が非円形である場合には、孔23も非円形の形状であり得る。長孔24は、大円Bの延在方向に延びた長孔本体部25と、該長孔本体部25のうち接合面22に近い側の端部において大円Bに直角な方向(面22と平行な方向)に延びた係合孔部26とを有する。長孔24,24には、板ばね40の両端部が係合される。
【0043】
ここで、大円Bと接合面22,22との交点F,Frを直径方向に結ぶ線に垂直な平面で見て、点Fを中心として半径R1の円G1に沿って長孔24,24の端部24a,24aが位置するとする。径R1は、径Rより小さい。交点F,Frのうち孔23,24に近い方の交点Fを北極と看做して、R1より大きくRより小さい半径R2の円G2の形態の緯線よりも北側に位置する領域を以下では、ドーム状部30と呼ぶ。ドーム状部30の外表面31は、球の一部をなす。ドーム状部30の外表面すなわちドーム状外表面31は、点F,Frを結ぶ線及びこれに垂直な面の両方に対して傾斜している。径R2は径Rよりも小さい限り、径Rに近くてもよい。
【0044】
板ばね40は、図3の(c)及び(d)に示したように、全体として細長い長方形状の板状体41からなる。板状体41は、典型的には、比較的剛性の高いプラスチック材料からなる。ただし、耐錆性の金属材料でできていてもよい。
【0045】
より詳しくは、板ばね40は、細長い長方形状の板ばね本体部42と、端部係合部43,43とを備え、本体部42と端部係合部43,43の夫々との間には、一対の切欠部44,44が形成されている。すなわち、本体部42と端部係合部43,43の夫々とは、狭幅の接続部45,45で一体的につながっている。
【0046】
板ばね40の幅方向に関する端部係合部43,43の長さW1は、中空半球状体21の長孔24の長さHL1よりも小さく、該長孔24の係合孔部26の横方向長さHW1よりも十分に大きい。また、板ばね40の接続部45の幅W2は中空半球状体21の長孔本体部25の幅HW2よりも大きく、係合孔部26の長さHW1よりも小さい。更に、板ばね40の接続部45の長さL1は、中空半球状体21の厚さT1よりも少し大きい。なお、板ばね40の本体部42の長さL2は二つの長孔24,24の係合孔部26,26間のドーム状外表面31に沿った距離よりも多少長い。
【0047】
従って、板ばね40の各端部係合部43を中空半球状体21の長孔24に係合させる場合、長孔24の向きに合わせて板ばね40の端部係合部43を長孔24内に挿入し、板ばね40の切欠部44に中空半球状体21の壁部27が嵌り込むところまで端部係合部43を挿入した状態で、板ばね40の端部係合部43や接続部45を長孔24の係合孔部26の側に片寄らせた後、板ばね40を90度回転させることにより、接続部45が長孔24の係合孔部26に丁度嵌り込み、端部係合部43が奥側(半球状体21の内側)で係合孔部26と平行に延びるように位置決めする。次に、板ばね40の他端の端部係合部43をもう一つの中空半球状体21の長孔24に同様にして、嵌込む。この嵌込みに際しては、主として半球状体21,21の方を板ばね40に対して動かせばよい。その結果、図3の(b)に示したように、板ばね40が、一対の中空半球状体21,21に嵌め込まれる。
【0048】
中空半球状体21,21に対する板ばね40の以上のような装着・組立は、釣りの現場で釣り人によって直接行なわれ得る。但し、所望ならば、事前に組立てておいてもよい。
【0049】
板ばね40によって中空半球状体21,21が連結された針収容容器構造素体29は、外力を受けていない場合、例えば、図1の下部において想像線で示し図2の下部において実線で示したとおり、くす球が割れたように中空半球状体21,21が開いた状態P1、すなわち環状面22,22が大きく分かれた開位置P1を採る。一方、図1において実線で示し図2において想像線で示したように、中空半球状体21,21の環状面22,22が実際上接合するような状態P2、すなわち閉位置P2を採るためには、板ばね40のばね力に抗する外力を要する。
【0050】
板ばね本体部42は、図3の(c)からわかるとおり、更に、道糸接続具50を構成する糸状接続体51の両端部52,52が挿通される一対の開口としての長孔46,46を備える。糸状接続体51は、例えば太目の釣り糸を短く切ったものでもよい。長孔46は、図3の(a)及び(c)にくわえて図3の(b)からわかるとおり、中空半球状体21の孔23の径Dh1と同程度の幅W3で、該径Dh1よりも大きい長さL3を有する。長孔46,46は、図1の実線及び図2の想像線並びに図3の(b)に示したように中空半球状体21,21からなる容器20が閉状態P2にあるとき中空半球状体21,21の孔23,23に丁度対面し、且つ図1において想像線で示し図2において実線で示したように中空半球状体21,21からなる容器20が開状態P1にあるとき中空半球状体21,21の孔23,23と対面する位置からそれよりも内側まで延びて、糸状接続体51の端部52,52が延在する向きに丁度沿って配置されることになるような大きさ及び位置を有する。
【0051】
糸状接続体51の各端部52,52は、板ばね40の長孔46,46及び中空半球状体21,21の孔23,23に挿通され、中空半球状体21,21の内側に突出した先端部53,53に肥大部54,54が形成されている。この先端肥大部54,54は、例えば、糸51の先端部に結びをつくることにより形成され、糸状接続体51の先端部53,53が板ばね40及び中空半球状体21,21から外れるのを防ぐ。なお、所望ならば、中空半球状体21の内面すなわち孔23の内側に所望内径のワッシャを設けて肥大部54の抜けを防ぐようにしてもよい。糸状接続体51は、マルカン11に通され、該マルカン11に端部が固定された道糸6につながっている。
【0052】
容器保持手段及び重錘手段が一体化されてなる錘構造体3は、先端部61の細い円錐台状の重錘体60からなる。重錘体60は、底面62で開口した円錐状の凹部63を備える。凹部63の周壁部64のうち底面62に位置する内縁部65の半径R3は、R1よりも大きく且つR2よりも小さくて、当接・保持縁部としての内縁部65は、ドーム状部30の中間部32の傾斜外周面33に当接する大きさを有する。径R3は径R2よりも小さい限り、径R2に近くてもよい。容器20が飛行中等に分解される虞れを最低限に抑えるためには、径R3は径Rに近づけられる。一方、容器20が容器素体21,21に割れ易く(分かれ易く)するためには、径R3は径Rよりも十分に小さくされる。
【0053】
重錘体60は、更に、凹部63の底部66と先端部61の端面67との間において、中心軸線Cに沿って延びる貫通孔68を備え、該貫通孔68には道糸6が挿通される。ここで、容器保持手段は、重錘体60のうち、凹部63及び縁部65を備えた周壁部64並びに貫通孔68を備えた本体部分からなる。一方、重錘手段は、貫通孔68を備えた重錘体60自体からなる。重錘手段としては、貫通孔68を備え周壁部64と一体化されている点を除き、その形状は問わない。但し、飛行に際して抵抗が低くなるように、先端部61側ほど細くなっていることが好ましい。
【0054】
次に、以上の如く構成された釣針収容具1の操作及び動作について、説明する。
【0055】
まず、例えば、釣り場において、板ばね40の両端の係合部43,43を前述のように中空半球状体21,21の対応する長孔24,24の係合孔部26,26に係合させることにより板ばね40を中空半球状体21,21に取り付け、次に、糸状接続体51をマルカン11に通した後、前述のように、その両端部52,52を板ばね40の長孔46,46及び中空半球状体21,21の孔23,23に通して中空半球状体21,21に装着する。
【0056】
また、マルカン11に一端を結びつけた道糸6の他端を凹部63側から重錘体60の貫通孔68に挿通し、突出した先端部をリール糸5の先端に取り付けたヨリモドシ4に結びつける。一方、ハリス8の基端部8aもヨリモドシ4に結びつける。
【0057】
これにより、釣針収容具1の現場における組立が完了する。勿論、以上のような組立の一部又は全部を予め行っておいてもよい。
【0058】
なお、このような組立が完了した状態であって道糸6が重錘体60の貫通孔68から十分に突出している場合には、板ばね40のばね力の作用下で、釣針収容具1の容器20は、図2において実線で示したようにくす玉が割れたような開状態P1を採る。
【0059】
次に、釣針7に餌Kをつけて、餌K付き針7を中空半球状体21,21からなる容器20内に入れ、中空半球状体21,21を接合面22,22で当接させて容器20を閉状態P2に閉じる。このとき、容器20の室28内に収容された針7につながったハリス8は接合面22,22の間から容器20の室28外に突出する。従って、厳密には、接合面22,22のうちハリス8のある部分の近傍では、ハリス8の太さ分だけ隙間Q(図4では誇張して大きく示してある)ができる。
【0060】
なお、この釣針収容具1では、板ばね40や道糸接続具50が容器20の実際上外側にあるので、容器20内には餌K付きの釣針7及びハリス8の先端部だけが入る。従って、釣針7やハリス8が他の部品に引掛って正常な動作が損なわれたり、汚れなどにより正常な動作が損なわれる虞れが少ない。
【0061】
次に、容器20の中空半球状体21,21が容器20を形成するように一方の手で支えた状態で、釣り竿の先端を持ち上げる。
【0062】
これにより、図1に示したようにリール糸5の基端側が上方に持ち上げられるので、道糸6が貫通孔68に沿って中心Cを貫通した重錘体60は道糸6に沿って下方に下がり、凹部63の周壁部64の内縁部65が中空球状容器20のドーム状部30の中間部32の傾斜外表面33に当接して、中空半球状体21,21をU方向に押し、板ばね40のばね力に抗して、中空半球状体21,21を閉状態P2に保つ。リール糸5及び道糸6につながった重錘体60が釣り竿の先端から垂れ下がって中空半球状体21,21のドーム状部30の傾斜面部32を内縁部65で錘として押している限り、中空半球状体21,21からなる容器20はこの閉状態P2に保たれる。従って、ハリス8の先端の釣針7が容器20の室28外に露出することがなく、針7に取り付けられた餌Kが外れて落ちる虞れもない。
【0063】
なお、図4では、典型的な配置として、ハリス8が容器20のうちドーム30の頂点Fに相当する部分とは丁度反対側の点Frの近傍において容器20内に入っている例について示されているけれども、重錘体60の縁部65よりも外側(図4では下側)であれば、他の部位において中空半球状体21,21の接合面22,22間に挟まっていてもよい。
【0064】
次に、釣り竿を軽く振った後、重錘体60を遠くに投げるように、振り出す。竿を軽く振っている間、重錘体60の部分は、容器20と共に振り子の如く揺動するので、容器20が閉状態P2に保たれる。また、重錘体60が投げ出されると、重錘体60は、概ね、図5の(a)に示したように、リール糸5を先導するように、先頭になってX方向に飛んでいく。
【0065】
このとき、リール糸5は先導して飛んでいく重錘体60に引っ張られながら重錘体60よりも後方からX方向に繰り出されるので、道糸6は重錘体60の先端61の端面67のところで曲がった形態を採る。従って、中空半球状体21,21からなる容器20は、重錘体60の凹部63に嵌り且つ凹部63の周壁64の内縁部65で保持されて閉状態P2に保たれる。従って、ハリス8の先端にある餌K付きの釣針7は、閉状態P2にある容器20の室28内に保たれる。従って、釣針7につけられた餌Kが釣針7から外れる虞れが少ない。なお、この場合においても、より厳密には、図4に示したように、中空半球状体21,21の接合面22,22の間には、その間に挟まったハリス8の太さに起因する隙間Qが残っているけれども、この隙間Qは小さいので、該隙間Qの存在のゆえに餌Kが釣針7から外れたり重錘体60及び球状容器20のX方向の飛行が妨げられる虞れは実際上ない。
【0066】
錐体60及び容器20が着水すると、リール糸5の張りが緩み、道糸6のヨリモドシ4側の端部6aを−X方向に引張る力がなくなるので、道糸6も弛む。また、着水に伴い錐体60及び容器20に上下方向Yの衝撃がかかるので、多くの場合、容器20が錐体60に対してX方向に多少なりとも揺動される。その結果、道糸6が−X方向に引かれて、容器20が錐体60の保持縁部65から外れる。
【0067】
容器20が錐体60の保持縁部65から外れると、容器20の中空半球状体21,21が板ばね40のばね力により揺動されて、容器20がくす玉が割れるように開いて開状態P1に設定される。容器20が開かれると、容器20の室28内にあった餌K付きの釣針7が容器20外に出て、ヨリモドシ4につながったハリス8と共に垂れ下がる(図5の(b)参照)。
【0068】
なお、錐体60及び容器20が着水時に分離されない場合でも、錐体60及び容器20が水底に達したり水中の岩その他の物に当たると、リール糸5及び道糸6が弛むので、水底や岩その他の物に錐体60が当たるときの衝撃により、傾斜面33で縁部65に保持された容器20が錐体60に対して動いて該錐体60から分離され得る。
【0069】
また、万一を考慮して、容器20の錐体60からの分離をより確実に行わせるためには、所望ならば、釣り竿をあおればよい。すなわち、釣り竿を先端をしゃくればよい。リール糸5を手許側に短時間だけ強く引くことにより、図5の(b)に示したように、リール糸5が手前側にピンと張った状態になる。また、リール糸5を手前側に強く引くと、図1に示したように、道糸6もピンと張った状態になる。更に、リール糸5を手前側に強く引くと、道糸接続具50及びマルカン11を介して道糸6につながった容器20が道糸6の延在方向に急激に引かれるので、容器20及び内縁部65で容器20のドーム状部30の傾斜面33に当たった錐体60も道糸6の延在方向に急激に動かされる。なお、釣り竿のあおり乃至しゃくりを短時間で停止することにより、リール糸5及び道糸6の手許側への引っ張りは停止される。一方、錐体60はその大きな質量に起因する慣性力の故に、道糸6の引っ張りが停止された後でも道糸6の延在方向に沿って道糸6の基端部6a側に動き続け、例えば、図5の(b)に示したように、ヨリモドシ4に近付く。これに対して、容器20は比較的軽く且つ錐体60の先端部61の形状と比較して抵抗を受け易い形状であるから、道糸6の引っ張りが停止されると共に直ちに減速されてほぼその位置に止まる。従って、容器20が錐体60から完全に分離され得、板ばね40により容器20が開位置P1に設定される。
【0070】
なお、容器20が錐体60の凹部63の周壁64の内縁部65に保持された状態において、容器20を構成する中空半球状体21,21の接合面22,22の間には、該接合面22,22間に挟まったハリス8の太さ分だけの間隙Qが形成されているので、容器20が着水すると、容器20の室28内には直ちに水が入り始める。従って、容器20の着水時の衝撃に続く水の浸入に伴う荷重バランスの変動によっても、容器20の錐体60からの分離が促進される。また、容器20の室28内が水で満たされると、容器20の全体の密度は水の密度と同程度になるから、容器20の動きが水によって大きく妨げられる虞れは少ない。
【0071】
いずれにしても、以上のようにして、容器20の着水後に、容器20が開かれ餌K付きの釣針7が容器20外に放出されるので、遠投や投げ釣の場合でも、餌Kが途中で釣針7から外れる虞れが少ない。
【0072】
なお、容器保持機構及び重錘機能を有する錘構造体が、図6の(a)及び(b)に示したように、浮力を与えるウキ部70を備えた錐構造体3fからなっていてもよい。なお、錐構造体3では重錘体60が(1)釣針7を投げる際等において空気中で錘として働く第1の重錘機能と(2)着水後に釣針7の近傍の道糸6を水中に沈めるための錘として働く第2の重錘機能との両方を備えていたのに対して、この錐構造体3fでは、重錘機能は上記の第1の重錘機能を指す。
【0073】
図6の(a)及び(b)に示した変形例において、図1から図5に示した部材や部位や要素と実質的に同一のものには同一の符号を付し、形状や大きさや機能等のいずれかの点で部分的に異なるものには添字fを付してある。
【0074】
図6の(a)及び(b)では、錐構造体3fは、重錘部60fとウキ部70とを一体的に備える。錘構造体3fは、例えば、密度の低い低密度部分71と、密度の高い高密度部分72と、二つの部分71,72を一体的につなぐ結合部分73及び二つの部分71,72の夫々を蔽う外表面層74,75からなる樹脂部76とを備える。低密度部分71は、単なる空洞であっても、発泡樹脂材の如き軽い材料からなっていてもよい。高密度部分72は例えば鉛からなる。ここで、重錘部60fは、高密度部分72とその外表面層75とからなり、ウキ部70は、低密度部分71とその外表面層74とからなる。
【0075】
錐構造体3fは、図6の(a)及び(b)に示した例では、ウキ部70として十分に大きな体積を確保するように、該ウキ部70が形成された先端部61fの側が比較的大径に形成されている。但し、錐構造体3fが全体としてウキとして機能し得る限り、その形状は、錐構造体3と同様であってもよい。錘構造体3fは、錘構造体3と同様な貫通孔68fを備える。
【0076】
錐構造体3fの重錘部60fは、ウキ部70のための領域を確保し得るように、その形状が錐構造体3の重錘60とは異なる点を除いて、重錘60と同様に構成される。
【0077】
この錐構造体3fを備えた釣針収容具1fの場合、着水後の動作を除いて、基本的には、錘構造体3を備えた釣針収容具1と同様に機能する。
【0078】
釣り竿を振って釣針収容具1fを投げた場合、釣針収容具1fが着水するまでは、釣針収容具1と同様に、図5の(a)に示したように飛んでいく。着水すると、釣針収容具1fの針収容容器構造体2の容器20が水中に沈むのに対して、釣針収容具1fの錐構造体3fは一旦は水面下に潜ることがあっても、ウキ部70に起因する浮力により水面に浮き上がる。その結果、容器20と錐構造体3fとの分離がより確実に行われ得る。すなわち、着水直後の時点において容器20が錐構造体3fから分離されていないとしても、容器20内への浸水に伴い容器20が錐構造体3fから分離されて水面下に落ち、容器20の分離に伴い容器20が開かれて、餌K付きの釣針7が水中に出る。なお、容器20の保持縁部65fからの分離を確実に行わせるためには釣り竿をあおればよいことは前述のとおりである。この釣針収容具1gの場合、錘構造体3fが水面に浮かぶので、分離の確認はより容易である。
【0079】
なお、この場合、ヨリモドシ4がウキとして働く錘構造体3fの上部に位置し水面上に出ることから、ハリス8は十分な長さに形成される。
【0080】
以上においては、低密度部分71と高密度部分72とを樹脂で一体に固めた例について示したけれども、その代わりに、重錘部60fを鉛の如き材料からなる高密度部分72のみで形成すると共に、その中央に孔68fよりも径の大きい大径孔を明けておき、通常のウキの如く低密度部分71及び軸を備えたウキ部70を準備してこの軸の中心に貫通孔68fを開けておき、ウキ部70の軸を大径孔に嵌着することにより、ウキ部70と重錘部60fとを一体化した錘構造体3fを形成してもよい。その場合、既存部品を僅かに加工するだけで、錘構造体を形成することも可能になる。
【0081】
また、釣針収容具が容器保持機能と重錘機能との両方の機能を備えた錘構造体3を有する代わりに、図7に示した釣針収容具1gのように、容器保持機能を備えた容器保持手段としての容器保持部材80と、重錘機能を備えた重錘手段としての重錘体90とを別体で有していてもよい。
【0082】
容器保持部材80は、凹部63と同様な凹部83を備えた周壁部84を備え、周壁部84の開口の内周縁部85が当接・保持縁部として働く。この例では、凹部83が半球状で、周壁部84も中空半球状であり、容器20を構成する中空半球状体21と同一形状である。但し、凹部83内に容器20のドーム状部30の先端部を収容し且つ内周縁部85でドーム状部30の中間部32の傾斜面33に当接して中空半球状体21,21を閉状態に保持し得る限り、凹部83の内表面形状や壁部84の外表面形状は異なっていてもよい。容器保持部材80は、凹部83の底壁86の中心Cを通る貫通孔88を備え、該貫通孔88に、道糸6が挿通される。
【0083】
重錘体90は、中心軸線Cに沿って貫通孔98を備えた本体部91からなり、リール糸5と容器保持部材80との間に位置する。より詳しくは、容器保持部材80の貫通孔88に挿通された道糸6は更に重錘体90の本体部91の貫通孔98に挿通されて、突出端6aがヨリモドシ4に接続される。
【0084】
この釣針収容具1gでは、容器保持部材80及び重錘体90の夫々が道糸6に対してその延在方向に可動であるだけでなく、重錘体90が容器保持部材80対して相対変位可能である。
【0085】
この釣針収容具1gの場合にも、容器20内に餌K付きの釣針7を収容した後、中空半球状体21,21を組合わせて容器20を閉じ、釣り竿の先端を上に持ち上げた状態にすると、容器20のドーム状部30の傾斜面33に容器保持部材80の縁部85が当接し、更に、重錘体90が容器保持部材80を下向きに押えて容器保持部材80の縁部85をドーム状部30の傾斜面33に押付けるので、容器20が閉状態P2に保たれる。
【0086】
次に、釣り竿を振って重錘体90と共にこの釣針収容具1gを投げる。釣り竿を振った際、当初は、竿の先端の動きに対する慣性抵抗となって重錘体90が動き始めるので、重錘体90は道糸6に対して張力を与える状態で容器20に押付けられた状態に保たれる。また、ヨリモドシ4もリール糸5や道糸6(両方を、道糸と呼んでも、リール糸と呼んでもよい)に対しては多少なりとも重錘として働くので、釣り竿の振り出しの際にヨリモドシ4より先端側のヨリモドシ4の近傍のリール糸5も実際上張力がかかった状態になる。釣り竿の揺動に伴って二重振り子のようにして振出される重錘体90は、容器20に押付けられた状態を保ったまま釣り竿より前に飛出し、その後は、例えば、図5の(a)に示したのと同様に、釣針収容具1gの全体が一纏まりになって飛んでいくので、容器20が容器保持部材80によって閉じられた状態に保たれたまま着水する。着水後は、その衝撃で重錘体90が離れ、容器保持部材80に対する規制が解除されるので、容器20が容器保持部材80から離れて、容器20が板ばね40により開かれ、餌K付きの釣針7が露出して、垂れ下がる。
【0087】
なお、この釣針収容具1gの場合、重錘体90と容器保持部材80とが別体であるので、重錘体90が容器保持部材80に対して横に倒れることもあり得る。但し、その場合でも、飛行中は、容器保持部材80及び容器20はリール糸5と同様に、先頭になって飛行する重錘体90に引っ張られるので、容器保持部材80が重錘体90の下端部99によって容器20に押付けられる状態に保たれ易く、容器20の開放が容器保持部材80によって禁止されるから、容器20が飛行途中で開いてしまう虞れが比較的少ない。この例の場合、保持をできるだけ確実にするように、縁部85が容器20の外周面の直径に近い比較的大きな径を有することが好ましい。
【0088】
また、釣針収容具は、ばねと道糸接続具とを別体で備える代わりに、一体に備えていてもよい。図8でには、ゴムの如く曲げ弾性のある材料からなる太いヒモからなる道糸接続具100を備えた釣針収容具1hが示されている。
【0089】
この釣針収容具1hにおいて、図1から図5に示した部材、部位ないし要素と同一のものには同一の符号が付され、形状や構造や機能等のうち少なくとも一つにおいて部分的に異なる点があるものには添字hが付されている。
【0090】
この例では、容器20hを構成する中空半球状体21h,21hの夫々は、孔23,24の代わりに、一つの孔23hを備える。孔23hの形成される部位は、典型的には、孔23の部位と同じか孔23と孔24との間の部位である。孔23hは、典型的には、円形孔からなる。
【0091】
道糸接続具100は、横断面が円形で太くて十分な曲げ弾性のあるゴムひも101からなる。このゴムひも101の径は、孔23hの径とほぼ同一であり、ゴムひも101の両端部102,102は、孔23h,23hに挿通され、中空半球状体21,21の内面側に突出した突出端部103,103にワッシャの如き環状板状体104,104が嵌められ、更に、突出した先端部105,105に抜け防止用の肥大部106,106が形成されている。肥大部106は糸を巻きつけることにより形成しても、ピンを先端部105,105に横向きに挿すことにより形成してもよい。なお、環状板状体104を嵌める代わりに、突出端部103,103に抜け防止用のピンを挿してもよい。ピンは金属であってもよいけれども、剛性の比較的高いプラスチック材料であり得る。
【0092】
なお、ゴムひも101は、中間部がマルカン11に挿通され、該マルカン11に端部が結び付けられた道糸6に、該マルカン11を介してつながっている。
【0093】
釣針収容具1hのその他の点は、釣針収容具1と同様に、構成される。
【0094】
以上のように構成された釣針収容具1hにおいて、太いゴムひも101からなる道糸接続具100が、板ばね40及び道糸接続具50と同様に機能するので、釣針収容具1hが釣針収容具1と同様に機能し得ることは明らかであろう。
【0095】
以上においては、針収容容器20が中空球状体からなる例について説明したけれども、容器保持部材として働く部材60,3f(60f),80等の縁部65,85等によって容器のドーム状部が当接・保持されて閉状態に保たれ、該当接・保持が解除されると、容器が開状態を採り得る限り、その形状や構造は異なっていてもよい。
【0096】
また、以上においては、道糸接続具と道糸との間にマルカンが用いられる例について説明したけれども、道糸の端部が道糸接続具に直接結び付けられていても、他の連結部材を介して接続されてもよい。同様に、ハリス8が道糸6と同一のヨリモドシに接続される代わりに別のヨリモドシに接続されていてもよく、場合によっては、直接リール糸に接続されていてもよい。その場合、道糸とリール糸との間のヨリモドシもなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明による好ましい一実施例の釣針収容具の断面説明図。
【図2】図1の釣針収容具において容器が開位置にある状態を示した断面説明図。
【図3】図1の釣針収容具の針収容容器構造体を説明するためのもので、(a)は容器の平面説明図、(b)は容器に板ばね及び道糸接続具を取り付けてなる針収容容器構造体の平面説明図、(c)は板ばねの平面説明図、(d)は(c)の板ばねの右側面説明図。
【図4】図1の釣針収容具において容器が開位置にある状態においてハリスが一対の中空半球状体の接合面の間に挟まった状態を拡大し間隙を誇張して大きく示した断面説明図。
【図5】図1の釣針収容具を投げた後の状態を示したもので、(a)は飛行状態を示した断面説明図、(b)は(a)の釣針収容具の着水後、あおることにより容器を開位置にした状態をを示した断面説明図。
【図6】図1の釣針収容具の一変形例を示したもので、(a)は容器が開位置にある状態を示した断面説明図、(b)は容器が閉位置にある状態を示した断面説明図。
【図7】図1の釣針収容具の別の一変形例についての断面説明図。
【図8】図1の釣針収容具の更に別の一変形例についての断面説明図。
【符号の説明】
【0098】
1,1f,1g,1h 釣針収容具
2 針収容容器構造体
3,3f,3g 錘構造体
4 ヨリモドシ
5 リール糸
6 道糸
7 釣針
8 ハリス
11 マルカン
20 針収容容器
21,21h 中空半球状体
22 接合面
23,23h 孔
24 長孔
26 係合孔部
27 壁部
28 室
29 針収容容器構造素体
30 ドーム状部
31 ドーム状外表面
32 中間部
33 傾斜面部
40 板ばね
42 板ばね本体部
43 端部係合部
44 切欠部
45 接続部
46 長孔
50 道糸接続具
51 糸状接続体
52 端部
53 先端部
54 先端肥大部
60 重錘体
60f 重錘部
61 先端部
62 底面
63 凹部
64 周壁部
65 内縁部
66 底部
67 端面
68 貫通孔
70 ウキ部
71 低密度部分
72 高密度部分
73 結合部分
74,75 外表面層
80 容器保持部材
83 凹部
84 周壁部
85 内周縁部
86 底壁
88 貫通孔
90 重錘体
91 本体部
98 貫通孔
99 下端部
100 道糸接続具
101 ゴムひも
102 端部
103 突出端部
104 環状板状体
105 突出先端部
106 肥大部
A 中空球状体
F 頂点
K 餌
Q 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーム状部を備えた釣針収容容器であって、該ドーム状部の頂部を通る分割線に沿って分割・開放される複数の容器素体からなり、釣針を該釣針につながったハリスの先端部分と共に内部に収容するものと、
容器が開閉可能になるように、ドーム状部の先端部において容器素体を接続した容器素体接続手段と、
釣針収容容器のドーム状部の先端部を収容する凹部と該ドーム状部の中間部の傾斜外周面に当接して容器を閉状態に保持する当接・保持縁部とを備えた容器保持手段であって、凹部の底部で開口する貫通孔を備えたものと、
質量により当接・保持縁部をドーム状部の傾斜外周面に押付ける重錘手段であって中央に貫通孔を備えたものと、
一端で容器素体接続手段に接続されると共に、容器保持手段及び重錘手段の貫通孔に挿通されて突出した他端でハリスの基端部が接続されるリール糸に接続される連結手段と
を有する釣針収容具。
【請求項2】
複数の容器素体からなる釣針収容容器に対する容器保持部材の当接・保持が解除された際、釣針が釣針収容容器外に出るように釣針収容容器の複数の容器素体を開くべく複数の容器素体に弾性力を及ぼす弾性手段を有する請求項1に記載の釣針収容具。
【請求項3】
容器素体接続手段が、可撓性紐状体からなる請求項2に記載の釣針収容具。
【請求項4】
前記弾性手段が複数の開口を備えた板ばねからなり、前記可撓性紐状体が分岐されて板ばねの各開口に遊嵌された糸状体からなる請求項3に記載の釣針収容具。
【請求項5】
板ばねが、容器のドーム状部の先端部において容器素体の夫々に取外し可能に端部で係合されている請求項4に記載の釣針収容具。
【請求項6】
前記可撓性紐状体が曲げ弾性を有し、前記弾性手段になっている請求項3に記載の釣針収容具。
【請求項7】
前記複数の容器素体が一対の半割体からなる請求項1から6までのいずれか一つの項に記載の釣針収容具。
【請求項8】
前記重錘手段が前記容器保持手段と一体的に形成されている請求項1から7までのいずれか一つの項に記載の釣針収容具。
【請求項9】
前記重錘手段がウキを一体的に備える請求項1から8までのいずれか一つの項に記載の釣針収容具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−6766(P2007−6766A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191065(P2005−191065)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(305032678)
【Fターム(参考)】