説明

鉄心回転機と、これを用いた鉄心分解方法及び鉄心組立て方法

【課題】 分解輸送した鉄心を現地で組み立てる際の作業スペースの縮小と、作業負担の軽減、作業工期の短縮を図る。
【解決手段】 容器2a〜2cに収容して分解輸送した主脚鉄心1a〜1cを小型のクレーン3で起立させ、連結しつつ整列させる。鉄心回転機A,Bを主脚鉄心1a,1cの側方に配置し、容器本体2a1,2c1と連結する。容器蓋部2a2,2b2,2c2を取り外した後、下部ヨーク鉄心等を取り付け、鉄心回転機A,Bによって、連結した容器本体2a1,2b1,2c1を上昇,回転させ、鉄心の上下方向を逆にする。容器本体2a1,2b1,2c1を撤去し、上部ヨーク鉄心等を取り付けて三脚鉄心の組み立てを完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器中身を分解して現地で再組立を行なう分解輸送変圧器に係り、工場における鉄心の分解と、現地での再組立に利用する鉄心回転機と、これを利用した鉄心の分解方法及び組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
送変電用変圧器は、高電圧化及び大容量化に伴い大型化しており、その設置場所も地価の安い山間部等の遠方に設置されることが多い。その際、従来は、据付地まで大容量変圧器を一体輸送してきたが、近年、輸送経路上の市街地化や山間部のトンネル又は橋梁等の存在により、重量や高さの輸送制限が厳しくなっている。
【0003】
そこで、例えば、大容量の三相変圧器であれば、三台の単相変圧器として分解して輸送し、現地において各単相変圧器を三相結線して三相変圧器として組立てる方法が採用されている。
【0004】
しかし、近年の流通事情の変化により、上記輸送条件より厳しい重量や高さ制限が課される場合、輸送単位を更に細分化して輸送する必要がある。
【0005】
具体的には、工場で一旦組み立てた変圧器を、コイルや鉄心その他の構成部材や、本体タンク、外部付属品等に分解して輸送することが可能である(下記特許文献参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−349641
【0007】
上記特許文献1に係る分解輸送の概要を説明するに、鉄心の主脚のうち中央の主脚を長手方向に2分割し、分割した中央主脚と外側主脚、及び、分割した中央主脚と外側主脚を繋ぐ下部継鉄からなる2つのU字状鉄心と、2つのU字状鉄心の下部継鉄間に挿入される三角形状の接合鉄心、鉄心起立台、巻線に分けて現地まで輸送する。
【0008】
現地の据付場所では、鉄心起立台の台上に2分割輸送したU字状鉄心を横倒し状態に寝かせ、両鉄心間の位置調節を行なう。2つの下部継鉄間に接合鉄心を挿入して下部継鉄部の磁気回路を完成させ、また、2つの中央主脚はバインドによって締め付けることにより一体化する。
【0009】
次に、鉄心起立台に補助台を取り付けて、鉄心起立台の一端を吊り上げることにより鉄心を起立させ、起立させた鉄心の主脚に巻線を嵌め込んだ後、上部継鉄と上部の接合鉄心を挿入することにより、巻線を装着した三相三脚鉄心を完成させるものである。
【0010】
このような分解輸送によれば、輸送重量や輸送寸法は大幅に低減され、厳しい輸送条件下においても、現地への輸送を確実に行うことができる。また、現地での再組立に際して、中央主脚と外側主脚及び下部継鉄が組み立てられていることに鑑み、作業時間の短縮及び作業負担の軽減を図ることができるとともに、鉄心起立台を利用して鉄心を容易に起立させることができる利点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
然るに、上記特許文献1に記載の方法によると、鉄心の主脚と継鉄が結合されて輸送されるため、橋梁の重量制限や道路幅等、より小型の搬送車両を利用する必要がある場合に支障が生じる可能性がある。
【0012】
また、現地で組立作業は、鉄心起立台上で2つのU字状鉄心と接合鉄心を組み立てた状態で、鉄心起立台の一端をクレーンで吊り上げて起立させるので、起立作業には一定の吊上力を確保できる大型のクレーンが必要となる。
【0013】
したがって、現地の据付場所には大型のクレーンを設置する必要があるが、据付場所の如何によっては、大型のクレーンの設置が困難な場合もあり、実質的に鉄心の再組立が不可能となる場合も想定される。
【0014】
また、これとは別に、現地の鉄心起立台上に鉄心鋼板を水平に積み重ねて鉄心各部を完成させ、該鉄心各部を締付固定した後、大型のクレーンを使用して起立させる方法も従来から行なわれている。
【0015】
しかし、当該作業を行なうには、鉄心起立台と鉄心鋼板を配置するスペースや、大型のクレーンを設置するスペースが必要となり、組立てる変圧器の容量によっては、現地にこのようなスペースを確保できないこともある。また、鉄心鋼板の積み重ね作業は多大な負担であり、組み立て作業の長期化に繋がるデメリットもあった。
【0016】
本発明は、以上の問題点を解決できるものであり、厳しい輸送条件をクリアでき、鉄心の分解,再組立に際し広い作業スペースを必要とせず、また、組立作業の負担軽減、及び、組立工期の短縮を図ることのできる鉄心の分解方法及び組立て方法と装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1記載の鉄心回転機は、各相の鉄心レグを収容して連結した容器を取り付ける機構と、取り付けた容器を鉄心とともに上昇及び下降させる機構と、前記容器及び鉄心が上昇した状態で回転させる機構を備えて構成したことを特徴とする。
【0018】
請求項2記載の鉄心分解方法は、上部ヨーク鉄心を取り外した状態で、各相の鉄心レグに容器を被せ固定する工程と、鉄心回転機を前記容器に取り付ける工程と、鉄心回転機によって前記容器及び鉄心を上昇,下降させる工程と、前記容器及び鉄心を回転させる工程と、下部ヨーク鉄心を取り外す工程を有することを特徴とする。
【0019】
請求項3記載の鉄心組立て方法は、各相の鉄心レグを収容した状態で連結した容器を鉄心回転機に取り付ける工程と、前記容器の蓋部を取り外す工程と、蓋部を取り外した前記容器の開口部を利用して下部ヨーク鉄心を取り付ける工程と、鉄心回転機によって前記容器及び鉄心を上昇,下降させる工程と、前記容器及び鉄心を回転させる工程と、前記鉄心から鉄心回転機及び前記容器を取り外す工程と、上部ヨーク鉄心を取り付ける工程を有することを特徴とする。
【0020】
請求項4記載の鉄心組立て方法は、上部ヨーク鉄心を取り外した状態で、各相の鉄心レグに容器を被せ固定する工程と、鉄心回転機の床部分を前記容器に取り付ける工程と、鉄心回転機を前記容器及び鉄心に対して下降,上昇させる工程と、前記鉄心回転機又は容器及び鉄心を回転させる工程と、下部ヨーク鉄心を取り外す工程を有することを特徴とする。
【0021】
請求項5記載の鉄心分解方法は、各相の鉄心レグを収容した状態で連結した容器を鉄心回転機に取り付ける工程と、前記容器の蓋部を取り外す工程と、蓋部を取り外した前記容器の開口部を利用して下部ヨーク鉄心を取り付ける工程と、鉄心回転機の床部分を前記容器及び鉄心に対して下降,上昇させる工程と、前記鉄心回転機又は容器及び鉄心を回転させる工程と、前記鉄心から鉄心回転機及び前記容器を取り外す工程と、上部ヨーク鉄心を取り付ける工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の発明によれば、鉄心の上下動作及び回転動作を可能とする機構を備えて鉄心回転機を構成することにより、鉄心回転機に連結した鉄心を上昇させて回転させることを可能とし、鉄心の組立作業を迅速かつ確実に行うことができる。
【0023】
請求項2又は請求項4記載の発明によれば、鉄心回転機に対して鉄心を相対的に回転させることにより、下部ヨーク鉄心を上側に移動させることができ、下部ヨーク鉄心の取外し作業を簡素化することができる。
【0024】
請求項3又は請求項5記載の発明によれば、鉄心の起立は小型のクレーンを利用して行い、起立させたレグ鉄心を鉄心回転機に取り付け、これを鉄心回転機に対して相対的に回転させながら鉄心の組み立てを行なうので、従来のように、鉄心起立台や鉄心鋼板の配置スペースや大型クレーンの設置スペースは必要なく、また、鉄心組立作業の負担軽減と組立工期の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の鉄心分解方法において、上部ヨーク鉄心の取り外しから鉄心回転機の据付までを説明する工程図である。
【図2】前記鉄心分解方法において、鉄心回転機による鉄心の上昇と回転動作を説明する工程図である。
【図3】前記鉄心分解方法において、下部クランプの除去から鉄心を輸送可能な状態とするまでを説明する工程図である。
【図4】分解した鉄心を現地まで輸送する方法を示す図である。
【図5】本発明の鉄心組立て方法において、輸送した鉄心の据付場所への移動から、下部ヨーク鉄心を取り付けるまでを説明する工程図である。
【図6】前記鉄心組立て方法において、鉄心回転機による鉄心の上昇と回転動作を説明する工程図である。
【図7】前記鉄心組立て方法において、前記鉄心回転機の撤去から変圧器中身を完成させるまでを説明する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図1乃至図7を用いて説明する。図1乃至図3は本発明に係る鉄心回転機を用いた鉄心の分解方法を説明する工程図である。まず、変圧器を分解輸送する前提として、工場で一旦組み立てた変圧器の検査及び試験を行って品質の確認を行なう。
【0027】
検査・試験の終了後、鉄心の上部クランプを取り外した後、上部ヨーク鉄心を分解し、取り外す。その後、主脚鉄心1a〜1cに挿入した巻線を抜き取って、図1(a)に示す状態とする。次に、上端が解放した主脚鉄心1a〜1cに、下端面の開口した略中空矩形柱状の容器本体2a1〜2c1をクレーン等の移動手段3を用いて上端から被せる(同図(b)参照)。
【0028】
この容器本体2a1〜2c1には、収容した各主脚鉄心1a〜1cの先端形状と同形状の保持部材4a〜4cが内嵌されており、各主脚鉄心1a〜1cが容器本体2a1〜2c1内で揺動することを防止している。
【0029】
さらに、主脚鉄心1a〜1cに被せた容器本体2a1〜2c1は、正面に複数個取り付けた螺子等の締付具4dの締付作業によって、容器本体2a1〜2c1内に配置した挟持具4e(図3(c)参照)によって、主脚鉄心1a〜1cを両側から挟持することにより、主脚鉄心1a〜1cを容器本体2a1〜2c1内に固定している。
【0030】
また、容器本体2a1〜2c1の側面には、隣り合う容器本体2a1〜2c1同士を連結するために利用される連結孔5が形成されており、該連結孔5に連結固定具6を嵌合することによって互いに隣接する容器本体2a1〜2c1を連結固定する。
【0031】
容器本体2a1〜2c1の連結固定が終了したら、容器本体2a1〜2c1間を固定金具7を利用して締付固定する。容器本体2a1〜2c1間の締付固定後は、鉄心1の両側方に本発明に係る鉄心回転機A,Bを移動手段3によって配置する。ここで使用される移動手段3は、例えばクレーン等であるが、その大きさは、鉄心回転機A,Bを各々、移動,設置するのみであるため、大型である必要は一切ない。
【0032】
鉄心回転機Aはその上下方向の中途部から側方(図1(c)では左方)へ突出する出力軸8を電動で回転させる第1の駆動源9と、出力軸8を例えば油圧により上下動させる第2の駆動源10を備えており、鉄心回転機Bは、鉄心回転機Aと同様、上下方向の中途部から側方(図1(c)では右方)へ突出する出力軸11を、当該出力軸11周りに回転させる機構と、出力軸11を油圧等により上下動させる第2の駆動源12を備えて構成されている。
【0033】
鉄心1の両側に配置された鉄心回転機A,Bは、鉄心1の主脚鉄心1a〜1cのうち両端に位置する主脚鉄心1a,1cに被せた容器本体2a1,2c1の側面に形成した連結孔13,14に出力軸8,11を挿入して、出力軸8,11と容器本体2a1,2c1を連結固定する(図1(c)参照)。
【0034】
次に、鉄心回転機A,Bの第2の駆動源10,12を駆動して出力軸8,11を上昇させ、これと連結した容器本体2a1〜2c1、及び、これに収容される鉄心1a〜1cを鉄心回転機A,Bの出力軸8,11間で上昇させる(図2(a)参照)。
【0035】
つづいて、鉄心回転機Aの第1の駆動源9を駆動させて、出力軸8,11を中心軸として鉄心1を回転させ(図2(b)参照)、180度回転させた時点で鉄心1の上下方向を逆向きとし、鉄心1の下部ヨーク1d,1fと下部クランプ15bを上側に移動させる。
【0036】
このとき、固定金具7によって容器本体2a1〜2c1は締付固定されており、鉄心1の回転動作時によっても、各容器本体2a1〜2c1間に捩れ等が生じることなく、全ての容器本体2a1〜2c1を一体として回転させることができる。
【0037】
鉄心1の回転動作が終了したら、鉄心回転機A,Bの第2の駆動源10,12を駆動させて鉄心1a〜1cを容器本体2a1〜2c1とともに下降させる(図2(c)参照)。
【0038】
以上の動作によって、鉄心1に固定されている下部クランプ15bは上側に移動するので、まず、下部クランプ15bを鉄心1から取り外し、その後、下部ヨーク1d,1fを主脚鉄心1a〜1cから分解し、取り外す(図3(a)参照)。そして、容器本体2a1〜2c1の開口に容器蓋部2a2〜2c2を被せ、主脚鉄心1a〜1cを容器2a〜2c内に完全に収容する(図3(b)参照)。
【0039】
このとき、容器蓋部2a2〜2c2内にも主脚鉄心1a〜1cの先端形状と同一形状の保持部材4a〜4cが取り付けられており、容器本体2a1〜2c1の開口に容器蓋部2a2〜2c2を被せることにより、主脚鉄心1a〜1cは容器2a〜2c内に揺動不能に収容される。
【0040】
容器2a〜2c内に収容された主脚鉄心1a〜1cは、蓋部2a2〜2c2が脱落しない措置を施した後、図4に示すようにトレーラ等の搬送車両Xの荷台に乗せられて据付場所まで輸送されるのであるが、主脚鉄心1a〜1cは、前述したように、図3(c)に示す容器2a〜2c内で、保持部材4a〜4c及び締付具4d,挟持具4eによって確実に固定されているので、輸送に伴う振動等によって主脚鉄心1a〜1cが容器2a〜2c内で揺動して損傷することはない。
【0041】
なお、搬送車両Xによる輸送対象物としては、図4に示す主脚鉄心1a〜1cの他に、図1乃至図3に示す工程で分解、取り外したヨーク鉄心1d,1fや上下クランプ15(15a,15b)及び巻線等、変圧器中身を構成する部材が図示しない別個の容器や被覆シートに収容されて輸送される。また、別途、変圧器タンクも搬送車両Xを利用して輸送されるが、輸送の高さ制限や重量制限に応じて分割して輸送する。
【0042】
次に本発明に係る鉄心の組立方法について説明する。図4に示すように、搬送車両Xに乗せて横倒しの状態で現地まで輸送された主脚鉄心1a〜1cは、現地においてクレーン等の移動手段3によって据付場所まで順次運ばれ、主脚鉄心1bが中央に位置するように横一列に起立させて配置する(図5(a)参照)。
【0043】
横一列に配置する際、主脚鉄心1a〜1cを収容する容器2a〜2cの側面に形成した連結孔5に連結固定具6を嵌合することによって、隣り合う容器2a〜2c間を連結固定する。
【0044】
つづいて、鉄心回転機A,Bを主脚鉄心1a〜1cの両側方に配置し、鉄心回転機A,Bに備えた出力軸8,11を、容器2c,2aに形成した連結孔13,14に挿入して、容器2c,2aに鉄心回転機A,Bを連結固定する。
【0045】
その後、容器2a〜2cを固定金具7を利用して一体に締付固定したら、容器2a〜2cから容器蓋部2a2〜2c2を取り外し、主脚鉄心1a〜1cの上部が露出した状態とする。この状態で、ヨーク鉄心1d,1fを隣り合う主脚鉄心1a,1b及び1b,1c間に挿入し(図5(b)参照)、クランプ15b(図7(a),(b)参照)で固定する。
【0046】
次に、鉄心回転機A,Bの第2の駆動源10,12を駆動して出力軸8,11を上昇させ、鉄心回転機A,Bの出力軸8,11との間で鉄心1を支持する(図6(a)参照)。そして、鉄心回転機Aの第1の駆動源9を駆動することにより、出力軸8,11周りに鉄心1を回転させて(図6(b)参照)、180度回転させた時点で鉄心1の上下方向を逆にする。
【0047】
その後、鉄心回転機A,Bの第2の駆動源10,12を駆動して鉄心1を下降させたら(図6(c)参照)、鉄心回転機A,Bと容器2a〜2cの連結を解除し、鉄心回転機A,Bを移動手段3を利用して撤去する(図7(a)参照)。
【0048】
鉄心回転機A,Bの撤去が完了したら、容器本体2a1〜2c1から固定金具7と連結固定具6を取り外した後、移動手段3によって容器本体2a1〜2c1を吊り上げて主脚鉄心1a〜1cから除去する。これにより、鉄心1は図7(b)に示す状態となるので、主脚鉄心1a〜1cに別途輸送した巻線を挿入して取り付け、主脚鉄心1a,1b、及び主脚鉄心1b,1c間に上部のヨーク鉄心を挿入する。
【0049】
そして、最後に、図示しない上部クランプ15aを下部クランプ15bとの間に固定治具16a〜16cを利用して固定し、その後、所定の結線作業を施すことにより、変圧器中身を完成させる。
【0050】
以上説明したように、本発明によれば、鉄心は各相の主脚鉄心1a〜1cを小型の移動手段(クレーン等)3で起立させた後、連結した主脚鉄心1a〜1cを鉄心回転機A,Bを利用して回転させながら組み立てるので、鉄心の組み立てに際して大型の移動手段は必要なく、大型のクレーン等の設置が不可能な現場においても鉄心の組立て作業を確実に行なうことができる。
【0051】
また、鉄心の組み立ては、鉄心を起立させた状態で行なえるので、従来のように、鉄心起立台や鉄心鋼板の配置スペースは必要なく、鉄心の組み立てスペースを縮小することができる。また、鉄心鋼板を積み重ねて鉄心各部を完成させる必要もなく、組立工期を短縮できる。
【0052】
さらに、鉄心は細分化した単位で輸送できるので、特に厳しい輸送制限が課されている場合においても輸送可能となる。
【0053】
なお、上記実施例に記載した鉄心の分解方法及び組立て方法では、分割したヨーク鉄心(1d,1f)を例示して説明したが、分割されていない一体形のヨーク鉄心であっても良く、また、鉄心の分解及び組立てに係る発明は、輸送用の容器を使用する場合に限らず、単に鉄心を収容するための容器を利用しても成立することは当然である。
【0054】
また、容器2a〜2c内に収容する主脚鉄心1a〜1cを固定する締付具4d及び挟持具4eは図3(c)に示すように容器2a〜2cの前後方向から締め付ける方法に限らず、容器2a〜2cの中央に位置決め可能であれば、例えば、容器2a〜2cの前方からのみ締付ける等、如何なる方法・手段を採用しても良い。
【0055】
さらに、上記実施例の如く鉄心回転機A,Bに対して鉄心を上昇及び下降,回転させる場合に限らず、鉄心回転機A,Bの床部分を主脚鉄心1a〜1cに対して下降,上昇,回転させるように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0056】
鉄心の分解及び組立て作業に利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1a〜1c 主脚鉄心
1d〜1f ヨーク鉄心
2a〜2c 容器
2a1〜2c1 容器本体
2a2〜2c2 容器蓋部
3 移動手段(クレーン等)
4a〜4c 保持部材
4d 締付具
4e 挟持具
5,13,14 連結孔
6 連結固定具
7 固定金具
8,11 出力軸
9 第1の駆動源
10,12 第2の駆動源
15a,15b クランプ
16a〜16c 固定治具
A,B 鉄心回転機
X 搬送車両(トレーラ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各相の鉄心レグを収容して連結した容器を取り付ける機構と、取り付けた容器を鉄心とともに上昇及び下降させる機構と、前記容器及び鉄心が上昇した状態で回転させる機構を備えて構成したことを特徴とする鉄心回転機。
【請求項2】
上部ヨーク鉄心を取り外した状態で、各相の鉄心レグに容器を被せ固定する工程と、鉄心回転機を前記容器に取り付ける工程と、鉄心回転機によって前記容器及び鉄心を上昇,下降させる工程と、前記容器及び鉄心を回転させる工程と、下部ヨーク鉄心を取り外す工程を有することを特徴とする鉄心分解方法。
【請求項3】
各相の鉄心レグを収容した状態で連結した容器を鉄心回転機に取り付ける工程と、前記容器の蓋部を取り外す工程と、蓋部を取り外した前記容器の開口部を利用して下部ヨーク鉄心を取り付ける工程と、鉄心回転機によって前記容器及び鉄心を上昇,下降させる工程と、前記容器及び鉄心を回転させる工程と、前記鉄心から鉄心回転機及び前記容器を取り外す工程と、上部ヨーク鉄心を取り付ける工程を有することを特徴とする鉄心組立て方法。
【請求項4】
上部ヨーク鉄心を取り外した状態で、各相の鉄心レグに容器を被せ固定する工程と、鉄心回転機を前記容器に取り付ける工程と、鉄心回転機の床部分を前記容器及び鉄心に対して下降,上昇させる工程と、前記鉄心回転機又は容器及び鉄心を回転させる工程と、下部ヨーク鉄心を取り外す工程を有することを特徴とする鉄心分解方法。
【請求項5】
各相の鉄心レグを収容した状態で連結した容器を鉄心回転機に取り付ける工程と、前記容器の蓋部を取り外す工程と、蓋部を取り外した前記容器の開口部を利用して下部ヨーク鉄心を取り付ける工程と、鉄心回転機の床部分を前記容器及び鉄心に対して下降,上昇させる工程と、前記鉄心回転機又は容器及び鉄心を回転させる工程と、前記鉄心から鉄心回転機及び前記容器を取り外す工程と、上部ヨーク鉄心を取り付ける工程を有することを特徴とする鉄心組立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−105816(P2013−105816A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247300(P2011−247300)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000116666)愛知電機株式会社 (93)
【Fターム(参考)】