説明

鉄損が優れた一方向性電磁鋼板の製造方法

【課題】 一方向性電磁鋼板の成分に関して、Cu,S+Se,Sb+Snを規定することによって二次再結晶を安定化し、粒径を小さくすることによって鉄損特性を向上せしめる。
【解決手段】 C:0.025〜0.075%、Si:2.5〜4.0%、P:0.02〜0.10%、酸可溶性Al:0.010〜0.050%、N:0.0040〜0.0130%、S,Seの少なくとも1種を0.007〜0.020%、Mn:0.05〜0.5%、Sn+Sb:0.06〜0.20%、Cu:0.03〜0.50%、残部Fe及び不可避不純物からなるスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延を行ない、熱延板焼鈍を行なうか、中間焼鈍を挟む一回以上の冷延を行ない、脱炭焼鈍後スクラップを走行せしめる状態下で窒化処理を行ない、次いでMgOを主成分とする焼鈍分離材を塗布して最終仕上焼鈍を施すことを特徴とする。
【効果】 本発明を用いると、磁束密度が高くて、二次再結晶粒サイズが10mm程度となり、鉄損が著しく改善される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トランス等の鉄心として使用される磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、主にトランスその他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが、機器の小型化、エネルギー損失の減少のために要求される。励磁特性を表す特性値として、磁場の強さ800A/m における磁束密度B8 がJISで規格化されて通常使用される。また、エネルギー損失を示す特性値としては、周波数50Hzで1.7テスラー(T)まで磁化した時の鋼板1kg当たりのエネルギー損失(鉄損)W17/50 もJISで規格化されている。
【0003】磁束密度は鉄損の最大支配因子であり、一般的に磁束密度が高い(大きい)ほど鉄損特性が良好になる。また、一般的に磁束密度が高くなると二次再結晶粒が大きくなり、鉄損が悪化する場合がある。この場合は、既に広く知られているように、磁区を制御することにより、二次再結晶の粒径に拘らず鉄損を改善することができる。
【0004】この一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工程で二次再結晶を起させ、鋼板表面に{110}、圧延方向に〈001〉軸をもったいわゆるゴス組織を有している。良好な磁気特性を得るためには、磁化容易軸である〈001〉を圧延方向に高度に揃えることが必要である。
【0005】このような高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造技術は、古くから開発され、わが国ではいわゆるインヒビターとしてMnS,AlNを用いる方法(特開昭40−15644号公報)、MnS,MnSe,Sb等を用いる方法(特開昭51−13469号公報)等がある。これらの場合は、熱延板段階でのインヒビターの完全固溶が求められ、実際の熱間圧延時は鋼塊(スラブ)の加熱温度を1350℃以上にすることが必要である。
【0006】この高温度の加熱には数々の不利、不便な点がある。このため、この熱延時の鋼塊(スラブ)の加熱温度を下げる試みが行なわれている。その一つを開示したものとして特開昭59−56522号公報がある。この技術の発展として多くの発明がなされ、インヒビター形成のために脱炭焼鈍から最終仕上焼鈍の昇温過程で窒化を行なう方法(特開昭62−45285号公報、特開昭60−179855号公報)、更にはストリップを走行せしめる状態下での水素、窒素、アンモニアの混合ガスを用いた窒化処理を行なう方法(特開平2−77525号公報、特開平1−82400号公報、特開平3−180460号公報、特開平1−317592号公報)が開示された。
【0007】また、脱炭焼鈍時の一次再結晶完了後から最終仕上焼鈍時の二次再結晶完了前までの途中段階での一次再結晶粒径を制御する方法(特開平3−294425号公報、特開平2−96275号公報、特開平2−59020号公報、特開平1−82393号公報)も開示された。更に、一方向性電磁鋼においてSn等の粒界偏析型元素を添加させることに関しては特開平3−211232号公報等がある。
【0008】ところで、直近、鉄製品のための省エネルギーのためにスクラップの再利用が進んでいる。特に、空缶類のスクラップについては、Sn,P,Cuの含有量が多くなり、従来の高炉を用いた製造方法とは異なった成分の鋼の製造が求められてきている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開昭58−23414号公報の技術は、は鋼塊(スラブ)の加熱温度を1350℃以上としてインヒビター成分の完全固溶を行なわせしめて製造される一方向性電磁鋼板の製造に関するものである。上述したように、このような高温でのスラブ加熱は、数々の不利な点があった。
【0010】また、特開平3−211232号公報の技術においては、スラブ加熱温度は低いもののSnを0.04%程度添加する場合、鉄損のW17/50 が0.29mm材で0.96W/kgが限界であった。またSnの添加量を0.15%とすると二次再結晶不良が生じていた。上記のような問題について、本発明は、スラブ加熱温度が比較的低い場合に、SnまたはSbの添加とCuの複合添加により鉄損を改善させるものである。また本発明を用いると、Sn,Cuを従来より多く含有して、磁気特性が優れた一方向性電磁鋼板が製造できるようになるため極めて有用である。
【0011】
【課題を解決するための手段】一方向性電磁鋼板の鉄損を改善するための方策は数々あるが、原理的には■渦電流損、■履歴損の低減である。本発明では、渦電流損の影響因子の一つである結晶粒の大きさを適正化することに注目した。
【0012】特開平3−211232号公報に開示された技術においては、Snを0.10%を超えて添加すると、二次再結晶が不安定になると述べているが、発明者らが鋭意検討したところ、このような普通鋼並のスラブ加熱温度で、一方向性電磁鋼板を製造するプロセスにおいては、Snを単独添加すると、窒化が抑制されて二次再結晶が不安定傾向となるが、Cuを複合添加すると、仕上焼鈍過程での窒化が抑えられても良好な二次再結晶が可能であることを知見した。
【0013】この理由は定かではないが、窒化が抑制されたことによるインヒビターAlNの弱体化をCuSが補ったためと考えられる。SnをSbに置き換えても同様な現象が起ることが知見された。
【0014】更に特開昭58−23414号公報に開示された技術と同様に粒界偏析元素であるSn,Sbの効果が表れ二次再結晶サイズが小さくなっている。このことにより鉄損が著しく改善されることを見い出した。
【0015】本発明の要旨は次の通りである。
(1)重量比でC:0.025〜0.075%、Si:2.5〜4.0%、P:0.02〜0.10%、酸可溶性Al:0.010〜0.050%、N:0.0040〜0.0130%、S,Seの少なくとも1種を0.007〜0.020%、Mn:0.05〜0.5%、Sn+Sb:0.06〜0.20%、Cu:0.03〜0.50%、残部がFe及び不可避不純物からなるスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延を行ない、熱延板焼鈍を行ない、中間焼鈍を挟む一回以上の冷延を行ない、脱炭焼鈍後ストリップを走行せしめる状態下で水素、窒素、アンモニアの混合ガス中で窒化処理を行ない、次いでMgOを主成分とする焼鈍分離材を塗布して最終仕上焼鈍を施すことを特徴とする鉄損特性が優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0016】(2)重量比でC:0.025〜0.075%、Si:2.5〜4.0%、P:0.02〜0.10%、酸可溶性Al:0.010〜0.050%、N:0.0040〜0.0130%、S,Seの少なくとも1種を0.007〜0.020%、Mn:0.05〜0.5%、Sn+Sb:0.06〜0.20%、Cu:0.03〜0.50%、残部がFe及び不可避不純物からなるスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延を行ない、熱延板焼鈍を行なわず、中間焼鈍を挟む一回以上の冷延を行ない、脱炭焼鈍後ストリップを走行せしめる状態下で水素、窒素、アンモニアの混合ガス中で窒化処理を行ない、次いでMgOを主成分とする焼鈍分離材を塗布して最終仕上焼鈍を施すことを特徴とする鉄損特性が優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0017】(3)溶鋼成分として更にCr:0.05〜0.30%を含有させることを特徴とする(1)または(2)記載の方法。
【0018】(4)溶鋼成分として更にNi:0.01〜0.10%を含有させることを特徴とする(1),(2)または(3)記載の方法。
【0019】次に本発明の限定理由について述べる。Cは、その含有量が0.025%未満になると二次再結晶が不安定となりかつ、二次再結晶した場合でも製品の磁束密度(B8 値)が1.80Tに満たない低いものとなる。一方、Cの含有量が0.075%を超えて多くなり過ぎると、脱炭焼鈍時間が長大なものとなり、生産性を著しく損なう。
【0020】Siは、その含有量が2.5%未満になると低鉄損の製品を得難く、一方、Siの含有量が4.5%を超えて多くなり過ぎると材料の冷間圧延時に、割れ、破断が多発して安定した冷間圧延作業を不可能にする。
【0021】本発明の出発材料の成分系における特徴の一つは、Sを0.020%以下、好ましくは0.015%以下とする点にある。従来、公知の技術、例えば特公昭40−15644号公報或いは特公昭47−25250号公報に開示されている技術においては、Sは二次再結晶を生起させるに必要な析出物の一つであるMnSの形成元素として必須であった。
【0022】前記公知技術において、Sが最も効果を発揮する含有量範囲があり、それは熱間圧延に先立って行なわれるスラブの加熱段階でMnSを固溶できる量として規定されていた。しかしながら、インヒビターとして(Al,Si)Nを用いる特開平3−211232号公報では、MnSは特に必要としないため最大0.015%、好ましくは0.010%以下としていた。
【0023】しかし、本発明ではCuを添加してCuとSの化合物をインヒビターの析出核として用いるため、ある程度のSは必要である。Sが0.020%を超えるとMnSが多く析出するため、本発明のスラブ加熱温度が1280℃未満と低い場合は、二次再結晶が不安定となる。このため上限は0.020%とした。
【0024】ただし、好ましくは0.015%以下である。また0.007%未満では、Cu−Sが適切に析出せず、磁束密度(B8 )が劣るので下限は0.007%とする。SeもSと同様である。
【0025】Pは、一次再結晶集合組織を改善する効果が報告されている。低Pでは、この効果が少なく、また製鋼コスト的にコストアップになるので下限は0.02%とする。上限については、0.10%を超えるとPは粒界偏析して脆性破壊を起しやすくなり、工業的な生産が困難になる。このため上限を0.10%とする。
【0026】AlはNと結合してAlNを形成するが、本発明においては、後工程即ち一次再結晶完了後に鋼を窒化することにより(Al,Si)Nを形成せしめることを必須としているから、フリーのAlが一定量以上必要である。そのため、 sol.Alとして0.010〜0.050%添加する。
【0027】Mnは、その含有量が少な過ぎると二次再結晶が不安定となり、一方、多過ぎると高い磁束密度をもつ製品を得難くなる。適正な含有量は0.050〜0.5%である。好ましくは、0.070〜0.030%である。
【0028】Nは0.0010%未満では二次再結晶粒の発達が悪くなる。一方0.0120%を超えるとブリスターと呼ばれる鋼板のふくれが発生する。
【0029】Sn,Sbは従来からいわれている如く、一次再結晶集合組織において{110}〈001〉方位粒を増加させる効果があるとともに、硫化物を均一に析出する効果がある。従って、本発明では、Cu−S,Mn−Sの如き硫化物の析出を制御する効果が増長される。
【0030】更に、Sn,Sbを本発明の如くかなり多く添加すると、脱炭焼鈍時の酸化がされ難く、また一次再結晶粒成長し難くなる傾向がある。このため、脱炭焼鈍温度を従来の820〜840℃より20℃程度上げざるを得ない。このことは、一方向性電磁鋼板の一次被膜形成を容易ならしめる方向である。
【0031】また、Sb,Sn添加により二次再結晶粒径が小さくなるため、添加なしと比べて鉄損(特に低磁場鉄損)が良好となる。SbとSnは原子番号が隣接しているためSb+Snで規定する。
【0032】Sb+Snが0.06%未満であると、二次再結晶粒があまり小さくならない。また、Sb+Snが0.20%を超えると、脱炭焼鈍後の窒化処理が困難となり、工業生産に適していない。また後に述べるように磁束密度が低下するので上限を0.20%とする。
【0033】Cuは、Sと結合して熱間圧延中に析出して、(Al,Si)Nの析出核となる。このため二次再結晶のインヒビターが理想的に分散するようになると考えられる。Snを添加すると、二次再結晶が不安定化するが、粒径は小さくなり鉄損が低くなる。しかしCuを添加するとSnとの相互作用でSnが高くても二次再結晶は安定化する。Cuが0.03%未満であると効果が少ない。また0.5%を超えると、Cu−Sの析出物が粗大化して、効果が減じる。更に、熱間圧延時に、いわゆる“Cuヘゲ”という疵の発生頻度が急激に増大する。好ましくは、0.05〜0.10%である。
【0034】Crは、フォルステライト皮膜形成に必要な脱炭焼鈍後の酸素量を確保するために添加される。0.05%より少ないと本発明のように(Sn+Sb)を添加した場合酸素量が極端に少なくなる。また0.30%を超えると酸素量が極端に増加し、良好なフォルステライトが形成されなくなる。また磁束密度も低下する。
【0035】Niは0.01%未満だと二次再結晶が不安定となる。0.10%を超えても特開平5−306410号公報に示されているように効果はあるが、高価となる。このため0.10%を上限とする。CrとNiの添加は、本発明の効果を更に向上させるものであり、コスト的に見合う量だけの添加で良い。
【0036】次に試験結果を述べる。Cu:0.07%、S:0.012%、C:0.050〜0.055%、Si:3.20〜3.30%、Al:0.026〜0.030%、Cr:0.09〜0.20%、Ni:0.03〜0.08%、P:0.04〜0.07%、Mn:0.09〜0.11%、N:0.0075〜0.0085%をベースとして、Sn+Sb=0.04,0.10,0.15,0.20,0.25%と変化させた溶鋼を、通常の方法でスラブとし1100〜1150℃で加熱して通常の方法で熱間圧延して500〜600℃の間で巻き取った。この時の熱間圧延板の仕上厚みは2.6mmであった。
【0037】その後1120℃で2分間の熱延板焼鈍を行ない酸洗後、180〜220℃での最低2パスの温間圧延を施して0.285mmに冷間圧延した。その後820℃,830℃,840℃の各温度でN2 :25%,H2 :75%の雰囲気ガス中、露点65℃で150秒焼鈍し脱炭一次再結晶及び酸化膜形成を行なった。
【0038】その後ストリップ状態で窒化させその後の窒素含有量を200〜210ppm とした。続いてMgOを主成分とする焼鈍分離材を塗布した。続く仕上焼鈍で15℃/時間の昇温速度で1200℃まで加熱した。
【0039】この時の雰囲気ガスは、H2 :75%,N2 :25%であった。その後1200℃で20時間、H2 :100%で純化焼鈍をした。
【0040】冷却後連続ラインで形状矯正及び燐酸塩−コロイダルシリカ系の張力コーティングを施した。この後いわゆるエプシュタイン用の試料を切り出し、850℃×2時間の歪取り焼鈍を行なって磁気特性を測定した。
【0041】磁気特性は、B8 ,W13/50 ,W17/50 である。図1はB8 とW17/50 、図2はB8 とW13/50 の関係を示している。このようにSn+Sb=0.04%であると、B8 は高くても二次再結晶がかなり大きいため(例えば目視直径が20〜50mm)鉄損はあまり良くない。
【0042】ところがSn+Sbの添加量を増加すると二次再結晶粒は小さくなり鉄損が向上する。しかし、Sn+Sbの量が増え過ぎると(0.25%の場合)磁束密度が低下する。この場合低磁場鉄損(W13/50 )はあまり劣化しないが、高磁場鉄損(W17/50 )が劣化している。
【0043】
【実施例】
実施例1次に示す成分の鋼塊を通常の方法で製造し1100〜1150℃でスラブを加熱後、通常の熱延を示さない熱延板厚2.3mmに仕上げた。その後1120℃×2分の熱延板焼鈍を行ない、酸洗後180〜220℃で最低2パスの温間圧延を行なって0.220mmに冷間圧延した。その後830℃で、N2 :25%,H2:75%の雰囲気ガス中で、露点62℃で100秒の脱炭一次再結晶焼鈍を行なった。
【0044】その後、全窒素含有量を195〜210ppm とするストリップ窒化処理を行ないMgOを主成分とする焼鈍分離材を塗布し、仕上焼鈍を行なった。この仕上焼鈍は10〜20℃/時間で昇温し、雰囲気は、N2 :25%,H2 :75%であった。
【0045】その後1200℃で20時間、H2 :100%の純化焼鈍を行なった。その後、通常用いられる張力コーティングの塗布と平滑化処理を行なった。その結果を表1に示す。
【0046】
【表1】


【0047】実施例2次に示す成分の鋼塊を通常の方法で製造し、1070〜1130℃でスラブ加熱後通常の熱延を行ない、熱延板厚2.6mmに仕上げた。その後、熱延板焼鈍を行なうことなく酸洗を施し、0.335mmに冷間圧延を行なった。
【0048】その後、アルカリ洗浄で脱脂して、835,840,845℃のいずれかの温度でN2 :25%,H2 :75%の雰囲気ガス中で露点65℃で150秒の脱炭一次再結晶焼鈍を行なった。その後、全窒素含有量が225〜235ppm となるようにストリップ窒化処理を行ない、MgOを主成分とする焼鈍分離材を塗布し仕上焼鈍を行なった。
【0049】この仕上焼鈍は、10〜20℃/時間で昇温し、雰囲気はN2 :30%,H2:70%であった。その後1200℃で35時間の純化処理を行なった。冷却後、通常用いられる燐酸系の張力コーティングの塗布と平滑化処理を行なった。この結果を表2に示す。
【0050】
【表2】


【0051】
【発明の効果】本発明により、普通鋼並のスラブ加熱温度によって製造された磁気特性の良好なSnの高い方向性電磁鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明材のB8 とW17/50 の関係を示す図表である。
【図2】本発明材のB8 とW13/50 の関係を示す図表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 重量比でC :0.025〜0.075%、Si:2.5〜4.0%、P :0.02〜0.10%、酸可溶性Al:0.010〜0.050%、N :0.0040〜0.0130%、S,Seの少なくとも1種を0.007〜0.020%、Mn:0.05〜0.5%、Sn+Sb:0.06〜0.20%、Cu:0.03〜0.50%、残部がFe及び不可避不純物からなるスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延を行ない、熱延板焼鈍を行ない、中間焼鈍を挟む一回以上の冷延を行ない、脱炭焼鈍後ストリップを走行せしめる状態下で水素、窒素、アンモニアの混合ガス中で窒化処理を行ない、次いでMgOを主成分とする焼鈍分離材を塗布して最終仕上焼鈍を施すことを特徴とする鉄損特性が優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項2】 重量比でC :0.025〜0.075%、Si:2.5〜4.0%、P :0.02〜0.10%、酸可溶性Al:0.010〜0.050%、N :0.0040〜0.0130%、S,Seの少なくとも1種を0.007〜0.020%、Mn:0.05〜0.5%、Sn+Sb:0.06〜0.20%、Cu:0.03〜0.50%、残部がFe及び不可避不純物からなるスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延を行ない、熱延板焼鈍を行なわず、中間焼鈍を挟む一回以上の冷延を行ない、脱炭焼鈍後ストリップを走行せしめる状態下で水素、窒素、アンモニアの混合ガス中で窒化処理を行ない、次いでMgOを主成分とする焼鈍分離材を塗布して最終仕上焼鈍を施すことを特徴とする鉄損特性が優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項3】 溶鋼成分として更にCr:0.05〜0.30%を含有させることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】 溶鋼成分として更にNi:0.01〜0.10%を含有させることを特徴とする請求項1,2または3記載の方法。

【図1】
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【図2】
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