説明

鉄道レール短絡防止用積層シート

【課題】 鉄道レールにおける絶縁継目を介して対向したレール端部間上に装着して工事用車両が走行した際に、レール同士が短絡するのを防止することができる耐久性に優れた鉄道レール短絡防止用積層シートを提供する。
【解決手段】 絶縁継目11を介して対向するレール10、10の端部間上を被覆することができ長方形状の不織布1におけるレール10に面する側の下面に、該不織布1の長さ方向に長い多数条の延伸された細幅帯状補強フィルム2を並列状態にして一体に貼着することにより、引張強度と柔軟性に優れたシート基材aを形成し、このシート基材aの下面に引き裂き強度の大きい網状補強シート3又は複層フィルム4の少なくとも一方を層着してなる構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性に優れた鉄道レール短絡防止用積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道におけるレールには、所定の区間毎に間隙からなる絶縁継目が設けられており、この絶縁継目によって長さ方向に隣接するレール同士を電気的に絶縁している。また、レールには絶縁継目によって区切られている所定の区間毎に信号用電流が流されている。そして、この区間に車両が進入して車輪が絶縁継目を跨いだ際に、車輪を通じて隣り合うレール同士を短絡接続させてレールに流されている信号用電流を導通させることによって所定区間内における車両の存在を検知している。所定区間内に車両が存在していることを検知すると、他の列車の車両が所定区間内に進入して列車同士が衝突するのを防止するために、信号機を赤に切り替えたり、踏切の警鐘を鳴らすと共に遮断機を降下させたりするなどの制御を自動的に行うための制御システムが設けられている。
【0003】
一方、線路工事現場では、各種設備の保守や点検を行うために、軌道保守用車両(マルチプルタイタンパー(MTT)とも呼ばれる)などの工事用車両をレール上に走行させる。工事用車両は走行速度が遅く、またレール上で長時間に亘って停止する場合も多いため、工事用車両の車輪がレールの絶縁継目を跨いだ際にレール同士を短絡接続させることで制御システムによって工事用車両が電車とみなされた場合、制御システムの異常発報や信号機の不要動作を招く虞れがある。
【0004】
そこで、従来では、例えば特許文献1に記載されているように、ポリエステル繊維芯を含む合成樹脂シートを複数枚積層してなる積層シートを、絶縁継目を介して対向するレールの端部間上に被せることにより、工事用車両がレールの絶縁継目を通過する際にレール同士を電気的に絶縁させて短絡するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−266883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の積層シート上を工事用車両が通過すると、積層シートは破れや裂かれなどの破損が発生し、耐久性が低いといった問題点があった。破損した積層シートではレール同士を電気的に絶縁させることができなくなるため、新たな積層シートと交換する必要がある。従って、本発明の目的は、耐久性に優れた鉄道レール短絡防止用積層シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の鉄道レール短絡防止用積層シートは、請求項1に記載したように、絶縁継目を介して対向したレールの端部間上に被着して車両の通過時における短絡の発生を防止するための積層シートであって、レールの長さ方向にその長辺側を向けてレール上に配設する不織布におけるレールに対向する面側に該不織布の幅方向に所定間隔毎に延伸された熱可塑性ポリエステルを帯状に分断してなる複数条の細幅帯状補強フィルムを不織布の全長に亘って貼着一体化することによってシート基材を形成してあり、このシート基材における上記細幅帯状補強フィルムを貼着している不織布の面にこの細幅帯状補強フィルムを介してアラミド繊維又は玄武岩繊維を含む多数本の繊維束を縦横に配設してその交差部を一体に固着してなる網状補強シートを層着してなることを特徴とする。
【0008】
このように構成した鉄道レール短絡防止用積層シートにおいて、請求項2に係る発明は、シート基材におけるレール側面に層着した上記網状補強シートに、ポリオレフィン系樹脂フィルムを二軸延伸してなる芯層の両面に、ポリオレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸してなる被覆層を貼着一体化することによって形成した複層フィルムを層着してなることを特徴とする。
【0009】
一方、請求項3に係る発明は、レールの長さ方向にその長辺側を向けてレール上に配設する不織布におけるレールに対向する面側に該不織布の幅方向に所定間隔毎に延伸された熱可塑性ポリエステルを帯状に分断してなる複数条の細幅帯状補強フィルムを不織布の全長に亘って貼着一体化することによって形成してなる上記シート基材において、このシート基材における車両走行側の不織布の面にアラミド繊維又は玄武岩繊維を含む多数本の繊維束を縦横に配設してその交差部を一体に固着してなる網状補強シートを層着してなることを特徴とする。
【0010】
このように構成した請求項3に記載の鉄道レール短絡防止用積層シートにおいて、請求項4に係る発明は、上記網状補強シート、又はシート基材におけるレール面側に配した上記細幅帯状補強フィルムを設けている面のいずれかに、上記請求項2に記載の複層フィルムと同じ構造を有する複層フィルムを一体に積層してなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、上記請求項3に記載の鉄道レール短絡防止用積層シートにおいて、シート基材の不織布上に積層一体化している網状補強シートと同じ構造を有する網状補強シートを、シート基材の細幅帯状補強フィルムを設けている面に積層一体化してなることを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項6に係る発明は、請求項5に記載の鉄道レール短絡防止用積層シートにおいて、その両面の網状補強シート上に、上記請求項2又は請求項4に記載した複層フィルムと同じ構造を有する複層フィルムをそれぞれ一層又は二層、積層一体化してなることを特徴とする。
【0013】
上記請求項1〜6に記載された鉄道レール短絡防止用積層シートにおいて、請求項7に係る発明は、シート基材における不織布の片面に多数条、並列状態に貼着している上記細幅帯状補強フィルムは、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを、この熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムのガラス転移温度よりも30℃低い温度以上で且つ熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムのガラス転移温度よりも20℃高い温度以下に維持された一対のロール間に供給して引抜き延伸することにより延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを得、この延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを延伸方向に切断することによって得られたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した鉄道レール短絡防止用防止用積層シートは、工事用車両によって各種設備の保守、点検を行う際に、絶縁継目を介して対向するレールの対向端部間上に被せた状態に装着することによって、レール上を走行する工事用車両の車輪が上記絶縁継目を跨いだ際に、レール間に短絡が生じるのを防止する。この際、本発明の鉄道レール短絡防止用積層シートのシート基材は、レールの長さ方向にその長辺側を向けてレール上に配設する不織布におけるレールに対向する面側に該不織布の幅方向に所定間隔毎に延伸された熱可塑性ポリエステルを帯状に分断してなる複数条の細幅帯状補強フィルムを不織布の全長に亘って貼着一体化してなるものであるから、シート基材上を通過する工事用車両の荷重や通過時、或いは、停止時に発生する引張力を不織布がその厚み方向及び面方向に弾性変形することによって緩衝することができ、さらに、不織布に貼着一体化している複数条の細幅帯状補強フィルムをレールの長さ方向に向けているので、この細幅帯状補強フィルムが優れた引張強度を発揮して、工事用車両の通過時や停止時に発生するレールの長さ方向に対する引張力にもかかわらず、シート基材が破断するのを防止することができ、耐久性に優れた鉄道レール短絡防止用積層シートを提供することができる。
【0015】
さらに、上記延伸された熱可塑性ポリエステルを帯状に分断してなる複数条の細幅帯状補強フィルムを不織布におけるレールに対向する面側に貼着しているので、不織布上を走行する工事用車両の車輪から受ける引張力を不織布を介してこれらの細幅帯状補強フィルムに均一に分散させることができ、引張力が部分的に作用することによる局部破断を防止することができる。
【0016】
また、工事用車両の走行時に作用する繰り返し荷重によって上記シート基材がレール幅方向に展延、収縮を繰り返して隣接する細幅帯状補強フィルム間の不織布部分が疲労し、その不織布部分から引き裂かれる方向に破れる虞れがあるが、請求項1に係る発明によれば、シート基材における上記細幅帯状補強フィルムを設けた不織布のレールに対向する面側に、アラミド繊維又は玄武岩繊維を含む多数本の繊維束を縦横に配設してその交差部を一体に固着してなる網状補強シートを層着しているので、シート基材に対して長さ方向に対する引張強度をさらに増大させることができると共に幅方向に対しても大きな引裂強度を発揮して隣接する細幅帯状補強フィルム間の不織布部分が引き裂き方向に破断するのを抑止することができ、一層、優れた耐久性を発揮すると共に適度な可撓性を備えているから、上記シート基材にこの網状補強シートを貼着してなる鉄道レール短絡防止用積層シートをレールの形態に沿って容易に且つ正確に装着することができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、上記請求項1に記載の鉄道レール短絡防止用積層シートにおけるレール側面に層着している網状補強シート上に、ポリオレフィン系樹脂フィルムを二軸延伸してなる芯層の両面にポリオレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸してなる被覆層を貼着一体化することによって形成した複層フィルムを層着してなるものであるから、積層シート上を工事用車両が通過時に、或いは、積層シート上でブレーキをかけて停止した際に、積層シートとレールとの間に発生する大きな摺接摩擦力をレールに圧着するこの複層フィルムの平坦な面全体によって受止することができ、網状補強シートのようにレールとの摺接摩擦力が一部に集中することによる部分的な摩損を防止してレールとの馴染み性が良好で優れた耐久性を発揮する鉄道レール短絡防止用積層シートを提供することができる。
【0018】
また、請求項3に係る発明によれば、レールの長さ方向にその長辺側を向けてレール上に配設する不織布のレールに対向する面側に、該不織布の幅方向に所定間隔毎に延伸された熱可塑性ポリエステルを帯状に分断してなる複数条の細幅帯状補強フィルムを不織布の全長に亘って貼着一体化することによって形成してなる上記シート基材において、このシート基材における車両が走行する不織布の面側にアラミド繊維又は玄武岩繊維を含む多数本の繊維束を縦横に配設してその交差部を一体に固着してなる網状補強シートを層着しているので、この網状補強シートの引張強度と引裂強度とによってシート基材の不織布が車輪との摺接摩擦力によって摩損したり部分的に破断するのを防止することができ、耐久性に優れた鉄道レール短絡防止用積層シートを得ることができる。
【0019】
このように構成した請求項3に記載の鉄道レール短絡防止用積層シートにおいて、請求項4に係る発明は、上記網状補強シート、又はシート基材におけるレール面側に配した上記細幅帯状補強フィルムを設けている面のいずれかに、上記請求項2に記載の複層フィルムと同じ構造を有する複層フィルムを一体に積層しているので、シート基材のレールと反対側の面に複層フィルムを層着した場合には、この複層フィルムによってシート基材における車両の車輪に接する面側に設けている網状補強シートと共に不織布を保護し得るばかりでなく、上述したように、複層フィルムの平坦な面によってレールとの馴染み性が良好全面に亘ってレールと均一に接触し、網状補強シートのように部分的な接触が生じることによる摩損を低減し得る一方、シート基材のレール側に面する複数条の細幅帯状補強フィルムに複層フィルムを層着した場合には、車両の走行時に細幅帯状補強フィルムがレールと部分的に強固に圧着することによる部分的な破断を防止することができ、優れた耐久性を発揮することができる。
【0020】
また、請求項5に係る発明によれば、上記請求項3に記載の鉄道レール短絡防止用積層シートにおいて、シート基材の不織布上に積層一体化している上記網状補強シートと同じ構造を有する網状補強シートを、シート基材の細幅帯状補強フィルムを設けている面に積層一体化しているので、シート基材の不織布上に一体に積層している網状補強シートの引張強度及び引裂強度によってシート基材の不織布が車輪との摺接摩擦力によって摩損したり部分的に破断するのを防止することができる一方、シート基材の細幅帯状補強フィルムに一体に層着している網状補強シートによって上記請求項1に記載の鉄道レール短絡防止用積層シートと同様に、この網状補強シートの引張強度及び引裂強度によって隣接する細幅帯状補強フィルム間の不織布部分が引き裂き方向に破断するのを抑止することができ、一層、優れた耐久性を発揮する鉄道レール短絡防止用積層シートを提供することができる。
【0021】
さらに、請求項6に係る発明によれば、請求項5に記載の鉄道レール短絡防止用積層シートにおいて、その両面の網状補強シート上に、上記請求項2又は請求項4に記載した複層フィルムと同じ構造を有する複層フィルムをそれぞれ一層又は二層、積層一体化しているので、優れた引張強度と共にレールに対する密接性や車輪との接圧性等の馴染み性が良好な積層シートを提供することができる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、シート基材における不織布の片面に多数条、並列状態に貼着している上記細幅帯状補強フィルムは、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを、この熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムのガラス転移温度よりも30℃低い温度以上で且つ熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムのガラス転移温度よりも20℃高い温度以下に維持された一対のロール間に供給して引抜き延伸することにより延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを得、この延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを延伸方向に切断することによって得られたものであるから、強力な引張強度を有する延伸樹脂フィルムを得ることができ、レールの絶縁継目部分に装着した積層フィルムに車両の走行時や停止時に発生する大きな引張力にも耐えることができる積層シートを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明鉄道レール短絡防止用積層シートの実施例1の一部切欠平面図。
【図2】その縦断正面図。
【図3】実施例2の一部切欠平面図。
【図4】その縦断正面図。
【図5】実施例3の一部切欠平面図。
【図6】その縦断正面図。
【図7】実施例4の一部切欠平面図。
【図8】その縦断正面図。
【図9】実施例5の一部切欠平面図。
【図10】その縦断正面図。
【図11】実施例6の一部切欠平面図。
【図12】その縦断正面図。
【図13】実施例7の一部切欠平面図。
【図14】その縦断正面図。
【図15】実施例8の一部切欠平面図。
【図16】その縦断正面図。
【図17】網状補強シートの構造の一例を示す簡略平面図。
【図18】その構造の変形例を示す簡略平面図。
【図19】さらに別な変形例を示す簡略平面図。
【図20】四隅部に取付具を装着している本発明鉄道レール短絡防止用積層シートの簡略斜視図。
【図21】レールの継目部に装着した状態を示す一部切欠簡略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明する。
〔実施例1〕
図1、図2は、絶縁継目11を介して対向したレール10、10(図22に示す)の端部間上に被着して車両の通過時における短絡の発生を防止するための本発明の鉄道レール短絡防止用積層シートA1の一例を示すもので、この実施例1に示す鉄道レール短絡防止用積層シートA1は、レール10の長さ方向に長い一定厚みを有する長方形状の不織布1と、この不織布1の下面、即ち、レール10に対向する面に該不織布1の幅方向に所定間隔毎に且つこの不織布1の全長に亘って延伸された熱可塑性ポリエステルを帯状に分断してなる複数条の細幅帯状補強フィルム2、2・・・2を並列状態に貼着一体化することによってシート基材aを形成してあり、さらに、このシート基材aにおける上記細幅帯状補強フィルム2を貼着している不織布1の下面(レール10と接する面)にアラミド繊維又は玄武岩繊維を含む多数本の繊維束を縦横に配設してその交差部を一体に固着してなる網状補強シート3を層着してなる構造を有する。
【0025】
〔実施例2〕
図3、図4に示す鉄道レール短絡防止用積層シートA2は、上記実施例1に示した鉄道レール短絡防止用積層シートA1において、シート基材aにおけるレール10側に面する不織布1の下面に層着した網状補強シート3の下面に、ポリオレフィン系樹脂フィルムを二軸延してなる芯層としてこの芯層の両面に一軸延伸フィルムからなる被覆層を貼着一体化することによって形成した複層フィルム4を層着してなる構造としている。
【0026】
〔実施例3〕
図5、図6に示す鉄道レール短絡防止用積層シートA3は、不織布1のレール10に対向する面側に、該不織布1の幅方向に所定間隔毎に延伸された熱可塑性ポリエステルを帯状に分断してなる複数条の細幅帯状補強フィルム2、2・・・2を不織布1の全長に亘って貼着一体化することによって形成した上記シート基材aにおいて、このシート基材aの下面側に網状補強シート3を貼着することなく、該シート基材aの細幅帯状補強フィルム2を設けている面をレール10上に直接、接する面とし、シート基材aの上面側、即ち、車両が走行する面側に上記構成の網状補強シート3を層着してなる構造としている。
【0027】
〔実施例4〕
図7、図8に示す鉄道レール短絡防止用積層シートA4は、上記実施例3に記載の鉄道レール短絡防止用積層シートA3において、シート基材aにおける不織布1の上面、即ち、車両が走行する上面側に層着した網状補強シート3上に、上記実施例2に記載した構造を有する複層フィルム4を一体に積層してなる構造としている。その他の構成については上記実施例3と同様である。
【0028】
〔実施例5〕
図9、図10に示す鉄道レール短絡防止用積層シートA5は、上記実施例3に記載の鉄道ール短絡防止用積層シートA3において、シート基材aにおける不織布1の下面、即ち、レール10に対向する細幅帯状補強フィルム2を設けている面に上記実施例2に記載した構造を有する複層フィルム4を一体に積層してなる構造としている。その他の構成については上記実施例3と同様である。
【0029】
〔実施例6〕
図11、図12に示す鉄道レール短絡防止用積層シートA6は、上記実施例5に記載の鉄道ール短絡防止用積層シートA5において、シート基材aにおける不織布1の下面、即ち、レール10に対向する細幅帯状補強フィルム2を設けている面に層着した複層フィルム4に変えて上記構成の網状補強シート3を層着してなる構造としている。即ち、シート基材aの両面にアラミド繊維又は玄武岩繊維を含む多数本の繊維束を縦横に配設してその交差部を一体に固着してなる網状補強シート3、3を層着した構造を有する。
【0030】
〔実施例7〕
図13、図14に示す鉄道レール短絡防止用積層シートA7は、上記実施例6に記載の鉄道ール短絡防止用積層シートA6、即ち、シート基材aの両面に網状補強シート3、3を層着してなる積層シートA6において、この積層シートA6の両面、即ち、網状補強シート3、3に上記構造を有する複層フィルム4、4を積層、一体化してなる構造としている。
【0031】
〔実施例8〕
図15、図16に示す鉄道レール短絡防止用積層シートA8は、上記実施例7に記載の鉄道ール短絡防止用積層シートA7、即ち、シート基材aの両面に網状補強シート3、3を介して複層フィルム4、4を積層、一体化してなる積層シートA7において、両面に設けている複層フィルム4、4にさらにもう1枚の複層フィルム4、4を積層、一体化してなる構造を有するものである。
【0032】
次に、上記のように構成した鉄道レール短絡防止用積層シートA1〜A8における各部材の具体的な構成を次に述べる。
【0033】
[不織布]
本発明のレール短絡防止用積層シートAにおいて、上記不織布1を構成する繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ナイロン繊維、ウレタン繊維などの合成樹脂繊維、天然繊維などを使用することができる。不織布の製造方法としては、例えば、スパンボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、及び水流交絡法などが挙げられる。なかでも、引張強度に優れる不織布が得られることから、スパンボンド法が好ましく挙げられる。
【0034】
不織布の目付は、不織布の引張強度、機械的強度、及び柔軟性を考慮すると、10.0〜50.0g/m2 が好ましく、15.0〜30.0g/m2 がより好ましい。なお、不織布の目付とは、単位面積(m2 )あたりの不織布の重量(g)を意味する。
【0035】
[細幅帯状補強フィルム]
本発明のレール短絡防止用積層シートAに用いられる細幅帯状補強フィルム2は、延伸された熱可塑性ポリエステルを多数本の帯状に分断してなるものであり、且つ、強力な引張強度を備えているものである。このような細幅帯状補強フィルム2を製造するには、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを必要に応じて上記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上に予熱した後、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを上記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度よりも30℃低い温度以上で且つ上記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度よりも20℃高い温度以下に維持された一対のロール間に上記熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを供給して引抜延伸することにより延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを得、上記延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを延伸方向に切断する方法により行われる。
【0036】
細幅帯状補強フィルム2の製造において原反として用いられる熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムは、非晶状態であればよく、その結晶化度は特に限定されるものではないが、示差走査熱量計で測定した結晶化度が10%未満であることが好ましく、5%未満がより好ましい。非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムの結晶化度は、密度法により測定されたものをいう。
【0037】
本発明で使用される熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリグリコール酸、ポリ(L−乳酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート/ヒドロキシバリレート)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート/乳酸、ポリブチレンサクシネート/カーボネート、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレナジペート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/アジペート/テレフタレート等が挙げられ、高度に延伸することができ引張強度に優れる細幅帯状補強フィルムを提供できることから、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0038】
上記熱可塑性ポリエステル系樹脂の極限粘度は、低すぎると、フィルム作製時にドローダウンを起こしやすく、高すぎると、延伸しても引張強度が向上しないので、0.6 〜1.0
が好ましい。なお、熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムの極限粘度は、JIS K7367−1に準拠して測定されたものをいう。
【0039】
原反となる非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムの厚みは、薄いと、延伸後のフィルムの厚みが薄くなりすぎ、基材シートの引張強度が低下することがあり、厚いと、基材シートの長さ方向への可撓性が低下することがあるので、250μm〜2.5mmが好ましい。
【0040】
細幅帯状補強フィルムを製造するには、まず、上記のように非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを一対のロール間に通して引抜いて引抜延伸する。引抜延伸する際の熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムの温度は低温であると、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムが白化し、或いは、硬すぎて裂けて引き抜くことができない虞れがある。
【0041】
従って、引抜延伸する前に熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを、予め熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上に予熱することが好ましい。また、引抜延伸する際の熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムの温度は高温になると、引抜延伸によって生じた分子鎖の配向が緩和して延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムの引張強度が低下する虞れがある。従って、引抜延伸する前に熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを、熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上で且つ熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度より10℃高い温度以下に予熱するのがより好ましい。なお、熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度は、JIS K7121−1987に準拠して測定されたものをいう。
【0042】
上記引抜延伸する際の一対のロール温度は、低温であると延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムが硬すぎて引き抜くことができず、高温になると熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムが柔らかくなりシートを引き抜く張力によりシートが切断されるので、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度よりも30℃低い温度以上で且つ上記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度よりも20℃高い温度以下に限定され、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上で且つ上記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度よりも10℃高い温度以下が好ましい。
【0043】
引抜延伸する際の延伸倍率は、特に限定されるものではないが、延伸倍率が低いと、引張強度に優れたフィルムが得られず、高くなると延伸時にフィルムの破断が生じやすくなるので、2〜9倍が好ましく、さらに好ましくは4〜8倍である。
【0044】
なお、本発明において、延伸倍率とは、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを一対のロールに供給する速度(V1 )と、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを一対のロールから引き取る速度(V2 )との比(V2 /V1 )である。
【0045】
上記の方法によって得られた延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを、その延伸方向に沿って切断することにより、延伸方向を長さ方向とした多数の細幅帯状補強フィルム2を得ることができる。
【0046】
この細幅帯状補強フィルム2を上記不織布1の下面、即ち、レール10に接する側の面に上述したようにその長さ方向を該不織布1の長さ方向に向けて多数本、並列した状態で貼着、一体化させることによってシート基材aを形成するものであるが、絶縁継目11を介して対向したレール10、10の端部間上に層着して使用する際に、適度な柔軟性、可撓性を発揮し、且つ、車両がそのシート基材a上を走行、又は、ブレーキをかけて停止した際に発生する大きな引張力に耐えることができるようにするために、細幅帯状補強フィルム2の厚みを好ましくは50〜250μm、より好ましくは100〜150μmとし、隣接する細幅帯状補強フィルム2、2間の間隔を好ましくは0.5〜2.5mm、より好ましくは1.0〜2.0mmとしている。
【0047】
さらに、この細幅帯状補強フィルム2の幅が狭いと、シート基材aに十分な引張強度を付与できない虞れがあると共にこの細幅帯状補強フィルム2と上記複層フィルム4等とを強固に層着させることができなくなる虞れがあり、広いと、不織布1を細幅帯状補強フィルム2が覆う面積が大きくなり、不織布1が有している柔軟性を低下させたりするので、細幅帯状補強フィルム2の幅は、好ましくは0.5〜2.0mm、より好ましくは1.0〜1.5mmとする。
【0048】
不織布1に細幅帯状補強フィルム2を貼着一体化するには接着剤を用いて行えばよい。接着剤としては、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリルウレタン系接着剤、ビニルアルキルエーテル系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルピロリドン系接着剤、ポリアクリルアミド系接着剤、セルロース系接着剤などを用いることができる。
【0049】
不織布1に細幅帯状補強フィルム2を貼着一体化する方法として、例えば、(1)不織布に接着剤を塗布した後、この接着剤を介して細幅帯状補強フィルム2を貼着する方法、(2)接着剤を溶剤中に溶解又は分散させた接着剤溶液中に細幅帯状補強フィルム2を浸漬させた後に引き上げることにより表面が接着剤溶液によってコーティングされた細幅帯状補強フィルム2を得、この細幅帯状補強フィルム2を不織布1に貼着する方法などが用いられる。なかでも、上記(2)の方法によれば、不織布1と細幅帯状補強フィルム2とを強固に接着することができる。
【0050】
[網状補強シート]
本発明のレール短絡防止用積層シートに用いられる上記網状補強シート3は、アラミド繊維又は玄武岩繊維を含む繊維束により形成される。アラミド繊維は、軽量性及び強度が優れている。アラミド繊維には、パラ系とメタ系とがあるが、強度が優れているパラ系が好ましい。また、玄武岩繊維は、強度の他、耐熱性、不燃性、耐候性が優れている。
【0051】
アラミド繊維又は玄武岩繊維を含む繊維束は、モノフィラメントが束ねられたものであって、所謂、マルチフィラメントといわれるが、モノフィラメントが撚られたものであっても無撚り状であってもよいが、接着剤の含浸性に優れ、接着剤を用いることにより細幅帯状補強フィルム、不織布、複層フィルムなどの他の部材と強固に層着できることから、モノフィラメントが無撚り状であることが好ましい。
【0052】
繊維束から形成された網状補強シート3としては、例えば、図17に示すように、繊維束3a、3a・・・を多数本、所定間隔毎、好ましくは5〜20mm間隔毎に並設してなる繊維束列3Aと、この繊維束列3Aの繊維束3aに直交する方向に、多数の繊維束3b、3b・・・を上記と同じ間隔毎に並設してなる繊維束列3Bと、多数本の繊維束3c、3c・・・を上記と同じ間隔毎に並設してなる繊維束列3Cを斜行する方向に重ね合わせてこの繊維束3cと上記繊維束列3A、3Bの繊維束3a、3bとの交差部を接着剤或いは熱融着により一体化することにより形成してなるシートを用いているが、図18、図19に示すように、繊維束3a、3a・・・を多数本、所定間隔毎、好ましくは5〜20mm間隔毎に並設してなる繊維束列3Aと、この繊維束列3Aの繊維束3aに斜行又は直交する方向に、多数の繊維束3b、3b・・・を所定間隔毎に並設してなる繊維束列3Bとからなり、これらの繊維束列3A、3Bの繊維束3a、3bの交差部を熱融着や接着剤などの公知の手段でもって一体化することにより形成してなる網状補強シートを採用してもよい。
【0053】
[複層フィルム]
本発明の上記実施例2、実施例4、実施例6などの鉄道レール短絡防止用積層シートに使用されている複層フィルム4は、ポリオレフィン系樹脂フィルムを2軸延伸してなる芯層の両面に、ポリオレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸してなる被覆層を貼着一体化してなる複層フィルムである。
【0054】
この複層フィルム4を構成するポリオレフィン系樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂フィルムやポリプロピレン系樹脂フィルムが好ましく挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状中密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレン、エチレン成分が50重量%を超えて含有されているエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられ、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。これらは、単独で用いられても併用されてもよい。なお、エチレン−α−オレフィン共重合体を構成しているα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンなどが挙げられる。
【0055】
ポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン成分が50重量%を超えて含有されているプロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンなどが挙げられる。また、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体又はランダム共重合体の何れであってもよい。
【0056】
複層フィルム4を構成している上記芯層及び被覆層は無機粒子を含んでいるのが好ましい。無機粒子としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、焼成クレイ、タルク、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、及びシリカが挙げられる。なかでも、炭酸カルシウムが好ましい。芯層における無機粒子の含有量は、芯層の全量に対して、5〜40重量%が好ましい。被覆層における無機粒子の含有量は、被覆層の全量に対して、8〜65重量%が好ましい。
【0057】
なお、不織布1、細幅帯状補強フィルム2、網状補強シート3、及び、延伸されたポリオレフィン系樹脂フィルムよりなる複層フィルム4等を積層一体化して絶縁性を有する本発明鉄道レール短絡防止用積層シートAを製造するには、接着剤を用いた公知の手段を採用すればよい。
【0058】
図20は上記のように構成した本発明鉄道レール短絡防止用積層シートA(A1〜A8) の四隅部に、レール10に装着するための固定具5を取り付けてなる簡略斜視図であって、この固定具5は、積層シートAの四隅部に取り付けた輪ゴム等の弾性部材5aと、この弾性部材5aの端部に連結した係止フック5bとから構成されている。この積層シートAは図21に示すように、絶縁継目11を介して対向しているレール10、10の端部間上に被せて固定することにより、軌道保守用車両などの工事用車両の車輪が上記絶縁継目11を跨いだ際に、レール同士が短絡するのを防止するために用いられる。
【0059】
この積層シートAをレール10に装着するには、絶縁継目11を介して対向したレール10、10の端部間上に配して、該積層シートAの長さ方向の中央部を絶縁継目11に被せると共に一半部を一方のレール10の端部に、他半部を他方のレール10の端部にそれぞれ被せ、さらに、レール10の上端面から該レール10の両側端面に沿うようにその両側部を折り曲げることによりレール10、10の対向端部間上に被せ、この状態にして四隅部に取り付けている固定具5の係止フック5bを、レール10の長さ方向に弾性部材5aを伸長させながら上記レール10、10のウエブ両側面間を接続している継手板12、12の端部にそれぞれ係止させる。
【0060】
このようにレール10のウエブ面側において、積層シートAの両側部の隅部にそれぞれ装着している固定部5、5を相反する方向に引っ張ってその係止フック5bを継手板12のレール10の長さ方向に指向している端面に係止させると、積層シートAをレール10の長さ方向に緊張してレール10、10の対向端部上面にその幅方向の中央下面が全面的に密接した状態で装着される。
【0061】
絶縁継目11を介して対向したレール10、10の対向端部間を上記のように絶縁性を有する積層シートAによって被覆すると、工事用車両がこの上を走行してもその車輪を通じてレール間が短絡するのを防止することできる。また、この積層シートA上を工事用車両が通過したり、或いは、積層シートA上でブレーキをかけて停止すると、積層シートAが工事用車両の荷重によって圧潰される方向に大きな押圧力を受けると共に、レール10の長さ方向に引張力が作用するが、これらの押圧力や引張力を、不織布1にその長さ方向をレールの長さ方向に向けて貼着して多数本の並列した細幅帯状補強フィルム2、さらには、網状補強シート3、複層フィルム4によって強固に受止させて積層シートAが疲労したり、破断したりするを抑止することができる。
【0062】
なお、レール10、10の対向端部間に積層シートAを被せた状態で固定する手段としては、上記のような弾性部材5aと係止フック5bとからなる固定具5によることなく、その他の手段、例えば、粘着テープによって積層シートAの長さ方向の両端部をレール10に固定してもよい。
【符号の説明】
【0063】
A(A1〜A8) 鉄道レール短絡防止用積層シート
a シート基材
1 不織布
2 細幅帯状補強フィルム
3 網状補強シート
4 複層フィルム
5 固定具
10 レール
11 絶縁継目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁継目を介して対向したレールの端部間上に被着して車両の通過時における短絡の発生を防止するための積層シートであって、レールの長さ方向にその長辺側を向けてレール上に配設する不織布におけるレールに対向する面側に該不織布の幅方向に所定間隔毎に、延伸された熱可塑性ポリエステルを帯状に分断してなる複数条の細幅帯状補強フィルムを不織布の全長に亘って貼着一体化することによってシート基材を形成してあり、このシート基材における上記細幅帯状補強フィルムを貼着している不織布の面にこの細幅帯状補強フィルムを介してアラミド繊維又は玄武岩繊維を含む多数本の繊維束を縦横に配設してその交差部を一体に固着してなる網状補強シートを層着してなることを特徴とする鉄道レール短絡防止用積層シート。
【請求項2】
シート基材におけるレール側面に層着した上記網状補強シートに、ポリオレフィン系樹脂フィルムを二軸延伸してなる芯層の両面に、ポリオレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸してなる被覆層を積層一体化することによって形成した複層フィルムを層着してなることを特徴とする請求項1に記載の鉄道レール短絡防止用積層シート。
【請求項3】
絶縁継目を介して対向したレールの端部間上に被着して車両の通過時における短絡の発生を防止するための積層シートであって、レールの長さ方向にその長辺側を向けてレール上に配設する不織布におけるレールに対向する面側に該不織布の幅方向に所定間隔毎に、延伸された熱可塑性ポリエステルを帯状に分断してなる複数条の細幅帯状補強フィルムを不織布の全長に亘って貼着一体化することによってシート基材を形成してあり、このシート基材における車両走行側の不織布の面にアラミド繊維又は玄武岩繊維を含む多数本の繊維束を縦横に配設してその交差部を一体に固着してなる網状補強シートを層着してなることを特徴とする鉄道レール短絡防止用積層シート。
【請求項4】
網状補強シート、又はシート基材におけるレール面側に配した細幅帯状補強フィルムを設けている面のいずれかに、ポリオレフィン系樹脂フィルムを二軸延伸してなる芯層の両面に、ポリオレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸してなる被覆層を積層一体化することによって形成した複層フィルムを一体に積層してなることを特徴とする請求項3に記載の鉄道レール短絡防止用積層シート。
【請求項5】
シート基材の細幅帯状補強フィルムを設けている面に、網状補強シートを積層一体化していることを特徴とする請求項3に記載の鉄道レール短絡防止用積層シート。
【請求項6】
シート基材の両面に一体に貼着している網状補強シートに、ポリオレフィン系樹脂フィルムを二軸延伸してなる芯層の両面に、ポリオレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸してなる被覆層を積層一体化することによって形成した複層フィルムを一層又は二層、積層一体化していることを特徴とする請求項5に記載の鉄道レール短絡防止用積層シート。
【請求項7】
細幅帯状補強フィルムは、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを、この熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムのガラス転移温度よりも30℃低い温度以上で且つ熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムのガラス転移温度よりも20℃高い温度以下に維持された一対のロール間に供給して引抜き延伸することにより延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを得、この延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルムを延伸方向に切断することによって得られたものであることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の鉄道レール短絡防止用積層シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2012−180703(P2012−180703A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45181(P2011−45181)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(596111276)積水フイルム株式会社 (133)