説明

鉄道車両用台車

【課題】牽引装置と台車枠の横梁との間の対向距離を適性値に簡易に調整できる異常上昇規制部を備えた鉄道車両用台車を提供する。
【解決手段】鉄道車両用台車1は、車輪3が取付けられる輪軸5に沿って延在する横梁12を有する台車枠2と、車体Aと台車枠2を連結し、台車枠2にかかる前後力を車体に伝える牽引装置10とを備え、牽引装置10は、車体Aの下部から垂下する中心ピン13と、台車枠2と中心ピン13の下端部との間を連結すると共に先端部16が横梁12に向かって張り出す牽引リンク14とを有し、横梁12は、中心ピン13に向かって張り出す張出部18を有し、横梁12における張出部18の底面18aと所定の間隔をもって上下に対向する対向面19dを有する当接部材19を牽引リンク14の先端部16に取り付けることにより、車体の異常上昇を規制する異常上昇規制部を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常上昇規制部を備えた鉄道車両用台車に関し、特に、異常上昇規制部を備えたボルスタレス台車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、枕梁を有しないボルスタレス台車が鉄道車両に用いられるようになってきている。ボルスタレス台車には、乗客の乗り心地を向上させるため、台車枠と車体との間に台車から車体に伝わる衝撃を緩和させる空気バネが備えられている。空気バネは、圧縮空気によって緩衝作用を奏するが、仮に車両の空気バネの圧縮空気給気装置が故障してしまうと、圧縮空気により空気バネが必要以上に上昇し、異常上昇を起こしてしまうおそれがある。そこで、ボルスタレス台車では、図8に示されるように、例えば、台車枠の横梁50と牽引装置の一部51(例えば、牽引リンクの一端に形成された外筒)とが上下方向に対向する配置構成とし、空気バネ52の異常上昇があった場合(同図(b)参照)、これらが当接して、異常上昇規制部として機能するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、車両走行のために台車に取り付けられている車輪は、走行するにつれて摩耗し、その直径が少しずつ小さくなっていく。車輪の直径が小さくなると、車両全体の高さが下方向に沈み、そのままでは駅停車時にホームとの間に段差を形成してしまう。そこで、ライナー部材といった調整板を空気バネの下に介在させて台車枠等に対する相対的な車体高さを上昇させて段差を発生させないようにしている(例えば、特許文献2参照)。その一方、車輪の摩耗により、横梁を有する台車枠は下降したままであり、その結果、異常上昇規制部を構成する牽引装置の一部と台車枠の横梁との間の対向距離が車輪新製時に比べて小さくなり、両者間の接触が異常上昇時以外でも発生し得る状況となってしまう。このような接触は、振動や騒音を発生させ、乗り心地や列車走行への悪影響を与えるおそれがあるため、従来、牽引装置の一部と台車枠の横梁との間の対向距離(隙間)は、車輪摩耗時でも両者が接触しないような大きめの寸法に予め設定されるなどしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−249042号公報
【特許文献2】特開2008−111544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述したように、牽引装置の一部(例えば外筒)と台車枠の横梁との間の対向距離が大きめの寸法に設定されていると、車輪が摩耗した際の乗り心地の悪化等を抑制することはできるものの、車輪が新製時の際、異常上昇止めが機能するまでの距離が車輪が摩耗した場合に比べて長くなり、異常上昇時に車体を大きく上昇させてしまうおそれがあった。また、このような車体の上昇や乗り心地の悪化等を抑止するため、台車枠や車体等の位置調整を車輪の摩耗に応じてその都度、行おうとした場合、従来、多数の作業員によって車体を台車枠から取り外すといった大掛かり作業方法しかなく、現実的ではなかった。そのため、車輪が新製時及び摩耗時のどちらであっても、牽引装置の一部と台車枠の横梁との間の対向距離が適正値となるように簡易に調整できる異常上昇規制部が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、牽引装置の一部と台車枠の横梁との間の対向距離を適性値に簡易に調整できる異常上昇規制部を備えた鉄道車両用台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決のため、本発明に係る鉄道車両用台車は、鉄道車両の車体底部に配置される鉄道車両用台車であって、車輪が取付けられる輪軸に沿って延在する横梁を有する台車枠と、車体と台車枠を連結し、台車枠にかかる前後力を車体に伝える牽引装置と、を備え、牽引装置は、車体の下部から垂下する中心ピンと、台車枠と中心ピンの下端部との間を連結すると共に先端部が横梁に向かって張り出す牽引リンクとを有し、横梁は、中心ピンに向かって張り出す張出部を有し、横梁における張出部の底面と所定の間隔をもって上下に対向する対向面を有する当接部材を牽引リンクの先端部に取り付けることにより、車体の異常上昇を規制する異常上昇規制部を構成したことを特徴としている。
【0008】
本発明に係る鉄道車両用台車では、横梁における張出部の底面と所定の間隔をもって上下に対向する対向面を有する当接部材を牽引リンクの先端部に取り付けることにより、車体の異常上昇を規制する異常上昇規制部を構成するようにしている。このように、異常上昇規制部を構成する当接部材を、比較的作業が行い易い牽引リンクの先端部に取り付けられるようにしたことにより、車体等を台車枠から取り外すことなく、牽引装置の一部と台車枠の横梁との間の対向距離が適正値となるように簡易に調整することができる。この結果、本発明に係る鉄道車両用台車によれば、車輪が新製時または摩耗時のどちらであっても、異常上昇時における車体の上昇幅を容易に一定の範囲に抑制することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る鉄道車両用台車によれば、異常上昇時、異常上昇規制部を構成する当接部材と横梁の張出部とが接触することになるため、従来、異常上昇規制部の一方を構成していた牽引リンクが横梁の張出部に接触しづらくなる。このため、台車にかかる前後力を車体に伝えるといった重要な機能を果たす牽引装置(牽引リンク)の接触による損傷が軽減される。
【0010】
また、当接部材は、上下方向に積層される着脱自在の複数のライナー部材を有していることが好ましい。これにより、複数のライナー部材のうち一部のライナー部材を取り外すといった簡単な作業で、牽引装置の一部と台車枠の横梁との間の対向距離の微調整を行うことが可能となる。
【0011】
また、当接部材は、牽引リンクの先端部に対して着脱自在であることが好ましい。これにより、例えば、異なる高さの当接部材を高いほうから順に取り付け、取り外すといった一連の作業により、牽引装置の一部と台車枠の横梁との間の対向距離の微調整を行うことができる。また、車輪摩耗時に、牽引装置の一部と台車枠の横梁との間の対向距離を更に調整するため、当接部材を取外して、牽引リンクと横梁とによる異常上昇規制部に戻すといったことを容易に行うことができる。
【0012】
また、当接部材は、牽引リンクの先端部において、中心ピンと共締めされていることが好ましい。これにより、新たな部材を設けることなく、当接部材を牽引リンクの先端部に取り付けることができる。
【0013】
また、当接部材は、その一部が牽引リンクの先端部の上面に支持されることが好ましい。これにより、仮に強い力で当接部材が横梁に衝突した場合であっても、下方向の力を牽引リンクで支えることができ、異常上昇規制部としての機能を十分に果たすことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、牽引装置の一部と台車枠の横梁との間の対向距離を適性値に簡易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る鉄道車両用台車の側面図である。
【図2】異常上昇規制部を示す拡大図である。
【図3】異常上昇規制部を構成する当接部材を示す図であり、(a)が上面図、(b)が正面図、(c)が側面図である。
【図4】異常上昇規制部を備えた鉄道車両用台車において、対向距離の調整手順の一例を示す図である。
【図5】当接部材の別の実施例である。
【図6】当接部材の更に別の実施例である。
【図7】当接部材の更に別の実施例である。
【図8】(a)は、異常上昇規制部の配置関係を示す図であり、(b)は、異常上昇規制部による異常上昇の規制状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る鉄道車両用台車の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
鉄道車両用台車1は、例えば、ボルスタレス台車であり、鉄道車両の車体底部に配置される台車である。図1に示されるように、鉄道車両用台車1は、台車枠2と、車輪3を車軸4に取り付けた輪軸5と、輪軸5の車軸4を回転自在に支持する軸受6を内蔵した軸箱7と、軸箱7と台車枠2との間に配置される軸バネ8と、台車枠2の上部に配置される空気バネ9と、車体(図1では不図示)と台車枠2とを連結する牽引装置10とを備えている。
【0018】
台車枠2は、上からみて略H形を呈し、車両進行方向Xに延在する一対の側梁11と、輪軸5の車軸4の軸方向と略平行な方向に延在し一対の側梁11をその長手方向中央付近で連結する一対の横梁12とにより構成される。車軸4の軸方向は、車両進行方向Xに対して略直交する方向である。この台車枠2の前後には、輪軸5が一体ずつ軸受6を介して配置され、台車枠2を支持している。台車枠2と車体との間に設けられる空気バネ9は、車体の上下方向における振動を緩和するものであり、鉄道車両の乗り心地を向上させる装置である。牽引装置10は、輪軸5を通じて台車枠2にかかる前後力を車体に伝える装置である。
【0019】
続いて、牽引装置10について、さらに詳細に説明する。図2に示されるように、牽引装置10は、台車枠2の一対の横梁12,12の間を通過するように車体Aの下部から垂下する中心ピン13と、台車枠2と中心ピン13の下端部13aとの間を連結する牽引リンク14とを有している。牽引リンク14は、車両進行方向Xに沿って延在する連結部材であり、本体部15と、本体部15の一端に位置する先端部16と、他端に位置する基端部17とを含んで構成される。なお、このような構成を有する牽引リンク14は、一本リンクとも呼ばれる。
【0020】
牽引リンク14の先端部16と基端部17とは、中心ピン13の垂下軸を中心として略線対称な形状を呈しており、それぞれが、外筒16a,17aと、心棒16b,17bと、ゴム状部材16c,17cとを備えている。外筒16a,17aは、本体部15に連接して形成され、中空円筒形状を呈する。心棒16b,17bは、横梁12の延在方向に突出する突出部を有し、この突出部には、車両進行方向Xに沿って貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔により、先端部16や基端部17と他の部材との間をボルト止めすることができる。ゴム状部材16c,17cは、外筒16a,17aと心棒16b,17bとの間に密着形成された弾性部材であり、互いに揺動可能となるように両者を連結している。
【0021】
このような構成を有する牽引リンク14では、先端部16が一方の横梁12に向かって張り出すようになっており、この先端部16が揺動可能となるように、基端部17が他方の横梁12側の台車枠2に軸支されている。また、図2に示されるように、先端部16が張り出した側の横梁12には、中心ピン13に向かって張り出す張出部18が形成されている。横梁12の張出部18は、本実施形態において、車体の異常上昇規制部の一方を構成する。異常上昇規制部の他方を構成する当接部材19は、図2に示されるように、牽引リンク14の先端部16に取り付けられている。
【0022】
この当接部材19は、図3に示されるように、正面から見て略アーチ形の形状を呈し、2つの本体部19aと、本体部19a同士を一端側で連結する連結部19bと、上下方向に積層される着脱自在の複数のライナー部材19cと、複数のライナー部材19cの上に形成され、横梁12の張出部18の底面18aと所定の対向間隔tをもって上下方向に対向する対向面19dを有する当接部19eと、複数のライナー部材19c及び当接部19eをまとめて固定する2つのボルト19fとを有している。ライナー部材19cや当接部19eの車両進行方向Xにおける幅は、本体部19aの上部の同方向における幅よりも短くなっており、当接部19e等が対向面19d以外の部分で隣接する台車枠2や横梁12と不用意に接触しないよう、これらから離れる方向に配置されている。なお、当接部19e等は、例えば、SS400やステンレスによって構成される。
【0023】
このような構成の当接部材19は、横梁12の延在方向に牽引リンク14の先端部16を跨ぐように配置される。この配置により、連結部19bの下面が牽引リンク14の先端部16の外筒16aの外周上面によって支持される。また、当接部材19は、貫通孔19gと心棒16bの貫通孔とが連通するように位置合わせされ、その連通孔に挿入されるボルトが中心ピン13の下端13aに形成されたねじ孔にねじ込まれることによって、牽引リンク14に取り付けられている。
【0024】
このような当接部材19と横梁12の張出部18とで構成される異常上昇規制部により、仮に車体Aが異常上昇によって上昇した場合、車体Aに連結された牽引装置10の牽引リンク14に取り付けられた当接部材19が張出部18に当接(接触)し、車体Aが、対向間隔tで規定される上昇幅より大きく上昇することを規制する。
【0025】
続いて、上記構成の鉄道車両用台車1を用いて、異常上昇規制を行う際の上昇幅を画定する、牽引リンク14(当接部材19含む)と横梁12の張出部18の底面18aとの間の対向距離を、車輪3の摩耗に応じて調整する方法について説明する。
【0026】
図4(a)に示されるように、車輪3の新製時は、上述した当接部材19をそのまま牽引装置10に取り付けておき、対向距離が異常上昇止めの適性値となるようにする。その後、鉄道車両の運行により車輪3が摩耗してくると、当接部材19から着脱自在な複数のライナー部材19cを一枚ずつ少なくしていき、両者の対向距離が異常上昇止めの適性値になるように適宜、調整を行い、図4(b)に示されるように、ライナー部材19cがなくなるまで、このような調整を行う。
【0027】
その後、さらに摩耗が進んだ場合(例えば、車輪全摩耗時)には、図4(c)に示されるように、当接部材19を上下反転して牽引装置10に取り付け、先端部16の外筒16aの外周上端と張出部18との対向距離が異常上昇止めの適性値になるようにする。つまり、この場合は、従来と同様に、外筒16aと張出部18とで異常上昇規制部を構成する。外筒16aと張出部18とで異常上昇規制部を構成する際、当接部材19は異常上昇規制部としては不要となるが、当接部材19をスペーサとして利用することにより、当接部材19等を固定していたボルトと同じボルトをそのまま使用することができる。なお、当接部材19は、比較的、作業がしやすい牽引リンク14に取り付けられているため、上述した各調整作業は、少人数で且つ容易に行うことができる。
【0028】
以上説明したように、鉄道車両用台車1では、横梁12における張出部18の底面18aと所定の対向間隔tをもって上下に対向する対向面19dを有する当接部材19を牽引リンク14の先端部16に取り付けることにより、車体の異常上昇を規制する異常上昇規制部を構成するようにしている。このように、異常上昇規制部を構成する当接部材19を、比較的作業が行い易い牽引リンク14の先端部16に取り付けられるようにしたことにより、車体等を台車枠2から取り外すことなく、牽引装置10の一部(当接部材19含む)と台車枠2の横梁12との間の対向距離が適正値となるように簡易に調整することができる。この結果、鉄道車両用台車1によれば、車輪3が新製時または摩耗時のどちらであっても、異常上昇時における車体の上昇幅を容易に一定の範囲に抑制することが可能となる。
【0029】
また、鉄道車両用台車1によれば、異常上昇時、異常上昇規制部を構成する当接部材19と横梁12の張出部18とが基本的には接触することになるため、従来、異常上昇規制部の一方を構成していた牽引リンク14の先端部16が横梁12の張出部18に接触する機会を減少させることができる。このため、台車2にかかる前後力を車体に伝えるといった重要な機能を果たす牽引装置10(牽引リンク14)の接触に伴う損傷が軽減される。
【0030】
また、当接部材19は、上下方向に積層される着脱自在の複数のライナー部材19cを有している。これにより、複数のライナー部材19cのうち一部のライナー部材19cを取り外すといった簡単な作業で、対向距離の微調整を行うことが可能となる。
【0031】
また、当接部材19は、牽引リンク14の先端部16に対して着脱自在である。このため、車輪摩耗時に、牽引リンク14の一部と台車枠2の横梁12との間の対向距離を更に調整するため、当接部材19を取り外して、牽引リンク14の先端部16と横梁12とによる異常上昇規制部に戻すといったことを容易に行うことができる。
【0032】
また、当接部材19は、牽引リンク14の先端部16において、中心ピン13と共締めされている。これにより、新たな部材を設けることなく、当接部材19を牽引リンク14の先端部16に取り付けることができる。
【0033】
また、当接部材19は、その一部が牽引リンク14の先端部16の上面に支持されている。このため、仮に強い力で当接部材19が横梁12に衝突した場合であっても、下方向の力を牽引リンク14で支えることができ、異常上昇規制部としての機能を十分に果たすことができる。
【0034】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば、上述した実施形態では、当接部19の材料として、SS400やステンレス等を用いているが、図5に示されるように、当接部材19の一部である当接部19hを加硫接着されたゴム板から構成するようにしてもよい。このような構成によれば、仮に異常上昇が発生して当接部材19(当接部19h)と張出部18とが接触したとしても、異音や振動の発生を低減することができる。
【0035】
また、上述した実施形態では、対向距離を調整するためのライナー部材19cをボルトで上下方向に止めていたため、調整の際、上下方向の作業が必要となっていたが、例えば、図6に示されるように、上下方向に延在する長孔19j(同図(b)参照)を側面に設けた当接部19kを用い、この長孔19jにボルトを通して当接部19kを側面で固定するようにしてもよい。この場合、長孔19jの範囲内で当接部19kを上下方向に移動固定することが側面方向から行うことができ、対向距離の調整作業を一層、容易に行うことができる。
【0036】
また、上述した実施形態では、先端部16の心棒16bとボルトの頭との間に当接部材19の本体部19aが位置するように取り付けられていたが、図7に示されるように、先端部16の心棒16bと中心ピン13の下端部13aとの間に当接部材19の本体部19aが位置するように取り付けられてもよい。この場合、従来、心棒16bと中心ピン13の下端部13aとの間に装着されていた間座の機能を当接部19で兼用することができ、間座を不要にして部品点数を削減することができる。
【0037】
また、上述した実施形態では、当接部材19が複数のライナー部材19cを有しており、複数のライナー部材19cの取外しによって対向距離を微調整していたが、当接部材19の取り付けが比較的、容易であることに鑑み、異なる上下方向高さを有する、複数の当接部材19A,19B…を用意し、高さが高い当接部材19Aから順に取り付け、取り外すといった一連の作業により、牽引装置10の一部と台車枠2の横梁12との間の対向距離の微調整を行うようにしてもよい。この場合であっても対向距離を容易に調整することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…鉄道車両用台車、2…台車枠、3…車輪、4…車軸、5…輪軸、9…空気バネ、10…牽引装置、11…側梁、12…横梁、13…中心ピン、14…牽引リンク、15…本体部、16…先端部、16a,17a…外筒、16b、17b…心棒、16c,17c…ゴム状部材、17…基端部、18…張出部、18a…底面、19…当接部材、19a…本体部、19b…連結部、19c…ライナー部材、19d…対向面、19e,19h,19k…当接部、19f…ボルト、19g…貫通孔、A…車体、X…車両進行方向。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の車体底部に配置される鉄道車両用台車であって、
車輪が取付けられる輪軸に沿って延在する横梁を有する台車枠と、
前記車体と前記台車枠を連結し、前記台車枠にかかる前後力を前記車体に伝える牽引装置と、を備え、
前記牽引装置は、
前記車体の下部から垂下する中心ピンと、
前記台車枠と前記中心ピンの下端部との間を連結すると共に先端部が前記横梁に向かって張り出す牽引リンクとを有し、
前記横梁は、前記中心ピンに向かって張り出す張出部を有し、
前記横梁における前記張出部の底面と所定の間隔をもって上下に対向する対向面を有する当接部材を前記牽引リンクの前記先端部に取り付けることにより、前記車体の異常上昇を規制する異常上昇規制部を構成したことを特徴とする鉄道車両用台車。
【請求項2】
前記当接部材は、上下方向に積層される着脱自在の複数のライナー部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用台車。
【請求項3】
前記当接部材は、前記牽引リンクの前記先端部に対して着脱自在であることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用台車。
【請求項4】
前記当接部材は、前記牽引リンクの前記先端部において、前記中心ピンと共締めされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の鉄道車両用台車。
【請求項5】
前記当接部材は、その一部が前記牽引リンクの前記先端部の上面に支持されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の鉄道車両用台車。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−285071(P2010−285071A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140328(P2009−140328)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)