説明

鉄道車両

【課題】カウルカバーを取り付ける際の作業性の向上を図ることができる鉄道車両にを提供すること。
【解決手段】内挿孔35に内挿された軸部23を介して、車体側受金20とカバー側受金30とを連結した後、基体部材3bに車体側受金20を締結固定し、次いで、カバー側受金30にカウルカバー4を締結固定する。この場合、カバー側受金30が自重により回動しても、カバー側受金30のカバー側延設部32が基体部材3bに当接されることで、カバー側受金30の回動が規制され、カバー側締結部31がカウルカバー4側を向く位置に配置される。よって、カウルカバー4をカバー側締結部31に締結固定する際には、従来品のように、カバー側受金を持ち上げ、その持ち上げた状態に維持しつつ、締結ボルトを締結するという作業を行う必要がない。その結果、カウルカバー4を取り付ける際の作業性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に関し、特に、カウルカバーを取り付ける際の作業性の向上を図ることができる鉄道車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両では、車体の下部側方にカウルカバーを配設することで、床下機器から発生する音や空力音を低減させると共に空気抵抗の低減による走行性能の向上を図ることが行われる。床下機器のメンテナンス時などにはカウルカバーを取り外す必要があるため、かかるカウルカバーは、ボルトを使用して車体側に着脱自在に締結固定される。
【0003】
この場合、車体側の部材およびカウルカバーは、製造上の寸法公差を有すると共に、走行時にはカウルカバーが風圧を受けて変形する。また、カウルカバーと車体側の部材との材質が異なる場合には、線膨張係数の違いにより熱収縮差が生じる。さらに、カウルカバーは、空力特性を考慮して、車体の外形形状に沿わせるために、湾曲形状に形成されている。
【0004】
そのため、カウルカバーを車体側の部材にボルトで単に締結固定するだけの取付構造では、カウルカバーの取付作業時に、カウルカバーと車体側部材との間でボルト穴が位置ずれしている場合や締結面が密着していない場合に、無理に締結固定すれば、カウルカバーの変形や破損を招く。また、取り付けができたとしても、風圧による変形や車体側の部材との間の熱収縮差を吸収できないため、カウルカバーの変形や損傷を招く。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1には、車体側取付ブラケット20とスカート側取付ブラケット50とを、ブッシュ56及び連結軸30を用いて、連結軸30を中心として回動可能かつ連結軸30の軸方向に移動可能に連結した上で、車体側取付ブラケット20を車体側に取り付けると共に、分割スカートパネル11a,11b(カウルカバー)をスカート側取付ブラケット50に取り付ける構造の鉄道車両が開示されている。
【0006】
この鉄道車両によれば、スカート側取付ブラケット50が、連結軸30を中心として回動する、或いは、連結軸30の軸方向に移動することで、車体側取付ブラケット20に対して相対移動させることができる。よって、分割スカートパネル11a,11bとスカート側取付ブラケット50との間でボルト穴(ボルト装着孔15とスカート取付け孔54)が位置ずれしている場合や締結面が密着しない場合であっても、その相対的なずれを吸収して、分割スカートパネル11a,11bを変形や破損をさせることなく、締結固定することができる。また、スカート側取付ブラケット50が回動または移動することで、風圧による変形や車体側の部材との間の熱収縮差を吸収できるので、分割スカートパネル11a,11bの変形や損傷を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−207606号公報(段落[0022〜0025]、図5〜図7など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の鉄道車両では、車体側取付ブラケット20とスカート側取付ブラケット50とを連結軸30で回動可能に連結する構造であるため、分割スカートパネル11a,11b(カウルカバー)を取り外すと、連結軸30を回動中心としてスカート側ブラケット50が自重で回動して垂れ下がる(スカート側ブラケット50がいわゆるお辞儀をした状態となる)。
【0009】
そのため、取り外した分割スカートパネル11a,11bを再び取り付ける際には、作業者が、垂れ下がったスカート側ブラケット50を持ち上げ、その持ち上げた状態に維持しつつ、分割スカートパネル11a,11bのボルト穴に挿通させたボルトを、スカート側ブラケット50のボルト穴に挿通させ、ナットに締結する必要があり、その取付作業が困難であるという問題点があった。特に、分割スカートパネル11a,11bの表側から作業を行う作業者にとっては、分割スカートパネル11a,11bの裏側に位置するスカート側ブラケット50を持ち上げつつ、ボルトの先端にナットを締結させる作業は困難であった。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、カウルカバーを取り付ける際の作業性の向上を図ることができる鉄道車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
請求項1記載の鉄道車両によれば、軸部をスリット部を介して内挿孔へ内挿することで、車体側受金の車体側延設部とカバー側受金のカバー側延設部とを連結した後、車体側に配設される基体部材に車体側受金の車体側締結部を締結固定する。次いで、カバー側受金のカバー側締結部にカウルカバーを締結固定する。これにより、カウルカバーが、カバー側受金および車体側受金を介して、車体に取り付けられる。
【0012】
この場合、軸部をスリット部から内挿孔に内挿し、カバー側受金を車体側受金に対して軸部を回動中心として所定量だけ回動した状態で、車体側受金の車体側締結部を基体部材に締結固定すると、カバー側受金のカバー側延設部が基体部材に当接されることで、カバー側受金の回動位置が規制される。この規制により、カバー側受金は、自重により回動しても、そのカバー側締結部がカウルカバー側を向く位置(第1位置)に配置されるので、カウルカバーをカバー側受金のカバー側締結部に取り付ける際には、従来品のように、カバー側受金を持ち上げ、その持ち上げた状態に維持しつつ、締結ボルトを締結するという作業を行う必要がない。よって、カウルカバーを取り付ける際の作業性の向上を図ることができるという効果がある。
【0013】
また、カバー側受金のカバー側締結部にカウルカバーが締結固定された状態では、カバー側受金が第1位置と第2位置との間に配置される、即ち、カバー側受金は第1位置へ近づく方向および第2位置へ近づく方向への両方向へ回動することができ、風圧による変形の方向と熱収縮差の生じる方向とが反対方向となる場合でも、これら両方向の変位に対応することができるので、カウルカバー4の変形や損傷を抑制することができるという効果がある。
【0014】
また、第1位置から第2位置までの範囲内では、軸部がスリット部を介して内挿孔から抜脱不能とされる。即ち、軸部が内挿孔から抜脱可能となる位置までカバー側受金が回動することを、カバー側延設部と基体部材との当接により規制することができる。よって、スリット部を塞ぐことを不要とできるので、その分、製品コストの削減を図ることができる。
【0015】
また、カバー側延設部と基体部材との当接により、カバー側受金の回動位置を第1位置から第2位置までの範囲内に規制できることで、カウルカバーが、風圧作用時や熱収縮差の発生時に、カバー側受金の車体側受金に対する回動に伴って、過大に変形することを抑制でき、その結果、かかるカウルカバーの損傷を未然に抑制することができるという効果がある。
【0016】
更に、請求項1によれば、カバー側受金のカバー側延設部または車体側受金の車体側延設部の一方に形成した軸部を、他方に設けた内挿孔へスリット部を介して挿通させることで、カバー側受金のカバー側延設部と車体側受金の車体側延設部とを連結する構造であるので、かかる連結構造を簡素な形状で構成することができる。これにより、カバー側受金と車体側受金とをそれぞれ鋳造により製造することができるので、連結軸およびナットを別部品として準備すると共にそれらを組み立てる必要がある従来品と比較して、部品点数や組立工数を低減して、製品コストの削減を図ることができるという効果がある。
【0017】
なお、請求項1によれば、カバー側受金は、軸部を中心として回動されるだけでなく、軸部の軸方向にも所定範囲内で変位可能とされているので、この点からも、風圧による変形や基体部材との間の熱収縮差を吸収して、カウルカバーの変形や損傷を抑制することができるという効果がある。
【0018】
請求項2記載の鉄道車両によれば、請求項1記載の鉄道車両の奏する効果に加え、カウルカバーには、締結ボルトが挿通される挿通孔が穿設されると共に、カバー側受金のカバー側締結部には、内周面にめねじが刻設されためねじ部が形成されるので、カウルカバーを取り付ける際の作業性の向上を図ることができるという効果がある。即ち、従来品のように、カウルカバーの裏側で締結ボルトの先端にナットを螺合させると共にそのナットを保持しつつ、カウルカバーの表側で締結ボルトを締め付けるという作業を行う必要がなく、請求項2では、カウルカバーの表側から、カウルカバーの挿通孔に締結ボルトを挿通させ、その挿通させた締結ボルトをカバー側受金のカバー側締結部に直接締結させることができる。よって、カウルカバーの表側からのみで締結ボルトの締結作業を行うことができ、その分、カウルカバーを取り付ける際の作業性の向上を図ることができる。
【0019】
請求項3記載の鉄道車両によれば、請求項2記載の鉄道車両の奏する効果に加え、カバー側受金のカバー側締結部には、内周面にめねじが刻設されたライナー用めねじ部が形成されるので、カウルカバーを取り付ける際には、カバー側受金のカバー側締結部にライナー部材を予め締結固定しておくことができ、従来品のように、カウルカバーの裏側でライナー部材をカバー側締結部とカウルカバーとの間に介設させつつ、カウルカバーの表側で締結ボルトを締め付けるという作業を行う必要がない。即ち、ライナー部材をカバー側締結部に予め締結固定しておけることで、その後は、カウルカバーの表側からのみの作業で締結ボルトの締結作業を行うことができ、その分、カウルカバーを取り付ける際の作業性の向上を図ることができる。
【0020】
請求項4記載の鉄道車両によれば、請求項1から3のいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、車体側に配設され車体の前後方向に延設される被係止部材を備え、カウルカバーは、その上端に形成され被係止部材に係止される係止部を備えると共に、その係止部が被係止部材に係止されることで、カウルカバーが被係止部材に吊り下げられ、カバー側受金および車体側受金は、カウルカバーの下端側を基体部材に接続するので、被係止部材への吊り下げ構造を利用して、カバー側受金および車体側受金の必要数を削減することができるという効果がある。
【0021】
この場合、カウルカバーは、車体の前後方向に摺動可能な状態で被係止部材に吊り下げられ、カバー側受金および車体側受金は、軸部が被係止部材に平行となる向きに配設されるので、係止部が被係止部材に沿って摺動すると共にカバー側受金が軸部の軸方向へ移動することで、カウルカバーの車体の前後方向への変形や基体部材および被係止部材との間の熱収縮差を吸収することができる。一方、カウルカバーの車体の上下方向への変形や基体部材および被係止部材との間の熱収縮差に対しては、カバー側受金が軸部を中心として車体側受金に対して回動することで、吸収することができる。特に、カバー側受金の回動時には、被係止部材に係止された係止部を支点として、カウルカバー自体も回動できるため、かかるカウルカバーの負担を抑制しつつ、上記変形や熱収縮差を吸収できる。
【0022】
その結果、カバー側受金および車体側受金の必要数を削減しつつ、風圧による変形や基体部材および被係止部材との間の熱収縮差を吸収して、カウルカバーの変形や損傷を抑制することができるという効果がある。
【0023】
請求項5記載の鉄道車両によれば、請求項4記載の鉄道車両の奏する効果に加え、第2カバー側受金および第2車体側受金が、上述したカバー側受金および車体側受金と同様に構成されると共に、第2軸部が被係止部材に平行となる向きで、カウルカバーの下端側を基体部材に接続するので、請求項1と同様に、第2カバー側受金の自重による回動位置を、その第2カバー側締結部がカウルカバー側を向く位置(第1位置)として、カウルカバーを取り付ける際の作業性の向上を図ることができるという効果がある。また、カウルカバーが締結固定された状態では、第2カバー側受金を第1位置と第2位置との間に配置して、カウルカバーの変形や損傷を抑制することができるという効果がある。この場合には、第2カバー側延設部と基体部材との当接により、第2軸部が第2内挿孔から抜脱されることを規制することができるという効果がある。また、第2カバー側受金の回動位置を第1位置から第2位置までの範囲内に規制して、カウルカバーの過大な変形に伴う損傷を未然に抑制することができるという効果がある。更に、第2カバー側受金および第2車体側受金を鋳造により製造することを可能として、製品コストの削減を図ることができるという効果がある。
【0024】
一方で、請求項4によれば、第2カバー側受金の第2カバー側延設部が第2車体側受金の第2車体側延設部に当接されることで、第2カバー側受金の第2軸部の軸方向への変位が規制されるので、かかる第2カバー側受金が車体の前後方向に移動することを規制でき、その結果、カウルカバーを車体の前後方向における所定位置に確実に固定して保持することができる。
【0025】
また、第2カバー側受金および第2車体側受金は、第2軸部が被係止部材に平行となる向きで、カウルカバーの下端側を基体部材に接続するので、請求項3と同様に、被係止部材に係止された係止部を支点としてカウルカバーを回動させ、カウルカバーの変形や損傷を抑制することができるという効果がある。
【0026】
更に、請求項4によれば、第2カバー側受金または第2車体側受金のいずれかが、車体側受金またはカバー側受金と同一の形状寸法に形成されるので、第2カバー側受金または第2車体側受金として、車体側受金またはカバー側受金を流用することができる。これにより、部品の種類を低減して、その分、製品コストの削減を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は本発明の一実施の形態における鉄道車両の側面図であり、(b)は鉄道車両の正面図である。
【図2】(a)は、鉄道車両の部分拡大側面図であり、(b)は、図2(a)の矢印IIb方向視における鉄道車両の正面図である。
【図3】図2(b)のIII部における鉄道車両の部分拡大図である。
【図4】図3の矢印IV方向視における鉄道車両の部分拡大図である。
【図5】(a)は車体側受金の正面図であり、(b)は図5(a)の矢印Vb方向視における車体側受金の側面図である。また、(c)は図5(a)の矢印Vc方向視における車体側受金の上面図であり、(d)は図5(a)のVd−Vd線における車体側受金の断面図である。
【図6】(a)はカバー側受金の正面図であり、(b)は図6(a)の矢印VIb方向視におけるカバー側受金の側面図であり、(c)は図6(a)の矢印VIc方向視におけるカバー側受金の上面図であり、(d)は、図6(a)のVId−VId線におけるカバー側受金の断面図である。
【図7】(a)から(d)は、車体側受金とカバー側受金とを連結し、車体側受金を基体部材に締結固定する過程を時系列に並べた摺動連結体の断面図である。
【図8】(a)及び(b)は、車体側受金が基体部材に締結固定された状態における摺動連結体の断面図である。
【図9】カウルカバーがカバー側受金に取り付けられる前の状態を示す鉄道車両の部分拡大断面図である。
【図10】鉄道車両の部分拡大図である。
【図11】(a)は第2実施の形態における車体側受金の正面図であり、(b)は図11(a)の矢印XIb方向視における車体側受金の側面図であり、(c)は図11(a)の矢印XIc方向視における車体側受金の上面図であり、(d)は図11(a)のXId−XId線における車体側受金の断面図である。
【図12】(a)は第2実施の形態におけるカバー側受金の正面図であり、(b)は図12(a)の矢印XIIb方向視におけるカバー側受金の側面図であり、(c)は図12(a)の矢印XIIc方向視におけるカバー側受金の上面図であり、(d)は図12(a)のXIId−XIId線におけるカバー側受金の断面図である。
【図13】鉄道車両の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、鉄道車両1の全体構成について説明する。図1(a)は本発明の一実施の形態における鉄道車両1の側面図であり、図1(b)は、鉄道車両1の正面図である。
【0029】
図1に示すように、鉄道車両1は、レール上を転動する複数の車輪2と、その車輪2を軸支する台車と、その台車に支持されると共に乗員および乗客を収容する構体3と、その構体3の側部下方に配設されるカウルカバー4とを主に備えて構成される。
【0030】
次いで、図2から図4を参照して、カウルカバー4の取付構造について説明する。図2(a)は、鉄道車両1の部分拡大側面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印IIb方向視における鉄道車両1の正面図である。また、図3は、図2(b)のIII部における鉄道車両1の部分拡大図であり、図4は、図3の矢印IV方向視における鉄道車両1の部分拡大図である。なお、図2(b)では、台車および床下機器の図示が省略されると共に、被係止部材3aが断面視されている。また、図3及び図4では、カウルカバー4の一部が部分的に断面視されている。
【0031】
図2から図4に示すように、鉄道車両1は、被係止部材3aと、基体部材3bとを備える。被係止部材3aは、カウルカバー4を吊り下げ支持するために構体3の下面に固着される部材であり、構体3の前後方向(図2(a)左右方向)に沿って同一の断面を有しつつ直線状に延設される。なお、本実施の形態では、被係止部材3aがアルミニウム合金から形成される。また、被係止部材3aを断続的に配置し、複数の被係止部材3aで1枚のカウルカバー4を吊り下げるようにしても良い。
【0032】
被係止部材3aは、構体3の外側(図2(b)左側)へ向けて張り出すと共に上方(図2(b)上側)へ向けて立ち上がる張出部分を備えており、この被係止部材3aの張出部分には、カウルカバー4の上端が、構体3の前後方向に摺動可能な状態で係止される。また、被係止部材3aの張出部分は、断面円弧状に形成されており、この被係止部材3aの張出部分を中心として、カウルカバー4が回動可能とされる。
【0033】
基体部材3bは、カウルカバー4の下端側を支持するために車体底部(即ち、構体3の床下に吊り下げられた床下機器または構体3の下面から延設された受金)に固着される部材であり、車体底部から水平に延設される延設部と、その延設部から上昇傾斜して延設される傾斜部とを備える。基体部材3bの傾斜部には、摺動連結体50と基準連結体60(図10参照)とが締結ボルトB1及び締結ナットN1により締結固定され、基体部材3bは、これら各連結体50,60を介して、カウルカバー4の下端側を支持する。なお、本実施の形態では、基体部材3bがアルミニウム合金から形成されている。
【0034】
カウルカバー4は、床下機器から発生する音や空力音を低減させると共に空気抵抗の低減による走行性能の向上を図るための板状の部材であり、複数枚(本実施の形態では、1両に50枚)が鉄道車両1の前後方向(図2(a)及び図4左右方向)に沿って並設され、車体の下方側面を覆う。なお、本実施の形態では、カウルカバー4が炭素繊維強化樹脂(CFRP)から形成される。
【0035】
カウルカバー4は、正面視矩形状に形成され、上端側が断面視J字状に折り曲げられると共に、下端側の2ヶ所に正面視円形の凹設部4a,4bが凹設される。凹設部4a,4bには、上下方向(図2(a)上下方向)に長い長孔として形成され締結ボルトB2が挿通される挿通孔4a1,4b1が穿設される。
【0036】
カウルカバー4は、上端側が被係止部材3aの張出部分に係止される一方、下端側が、摺動連結体50及び基準連結体60(図10参照)を介して、基体部材3bに支持される。即ち、カウルカバー4は、車体の下方側面に、着脱自在に取り付けられる。
【0037】
摺動連結体50及び基準連結体60は、カウルカバー4を基体部材3bに連結する部材であり、摺動連結体50は凹設部4aに、基準連結体60は凹設部4bに、それぞれ締結ボルトB2によって締結固定される。なお、本実施の形態では、摺動連結体50及び基準連結体60がステンレス鋼からロストワックス鋳造により形成される。
【0038】
摺動連結体50及び基準連結体60は、カウルカバー4を、被係止部材3aに係止される上端側を支点として回動可能な状態で、基体部材3bに連結する。また、摺動連結体50は、カウルカバー4を、車体の前後方向(図2(a)左右方向)に移動可能な状態で、基体部材3bに連結する一方、基準連結体60は、カウルカバー4を、車体の前後方向(図2(a)左右方向)には固定した状態(移動不能な状態)で、基体部材3bに連結する。
【0039】
即ち、摺動連結体50は、連結基体3bに締結固定される車体側受金20と、カウルカバー4の凹設部4aに締結固定されるカバー側受金30とを備え、それら両受金20,30同士が、軸部23を中心として回動可能(図8参照)かつ軸部23の軸方向(図2(a)及び図4左右方向)へ移動可能な状態で連結される。
【0040】
一方、基準連結体60(図10参照)は、連結基体3bに締結固定される第2車体側受金120と、カウルカバー4の凹設部4bに締結固定される第2カバー側受金130とを備え、それら両受金120,130同士が、軸部(図示せず)を中心として回動可能かつ軸部の軸方向(図2(a)及び図10左右方向)には固定した状態(移動不能な状態)で連結される。
【0041】
なお、摺動連結体50の軸部23と、基準連結体60の軸部とは、被係止部材3aの延設方向(図2(a)左右方向)に平行に配置されると共に、同じ高さ位置(被係止部材3aから同じ距離となる位置)に配置される。
【0042】
このように、本実施の形態は、車体の前後方向に被係止部材3aを延設させ、その被係止部材3aにカウルカバー4を吊り下げると共に、摺動連結体50及び基準連結体60でカウルカバー4の下端側を基体部材3bに接続する構造である。よって、被係止部材3aへの吊り下げ構造を利用して、摺動連結体50及び基準連結体60の必要数を削減することができる。
【0043】
この場合、カウルカバー4は、車体の前後方向に摺動可能な状態で被係止部材3aに吊り下げられ、摺動連結体50の軸部23及び基準連結体60の軸部が被係止部材3aに平行となる向きに配設されるので、カウルカバー4の上端が被係止部材3aの延設方向に沿って摺動すると共に摺動連結体50のカバー側受金30が軸部23の軸方向へ移動することで、カウルカバー4の車体の前後方向への変形や被係止部材3a及び基体部材3bとの間の熱収縮差を吸収することができる。
【0044】
一方、カウルカバー4の車体の上下方向への変形や被係止部材3a及び基体部材3bとの間の熱収縮差に対しては、カバー側受金30及び第2カバー側受金130が軸部23等を中心として車体側受金20及び第2車体側受金120に対して回動することで、吸収することができる。特に、カバー側受金30及び第2カバー側受金130の回動時には、被係止部材3aに係止されたカウルカバー4の上端側を支点として、カウルカバー4自体も回動できるため、かかるカウルカバー4の負担を抑制しつつ、上記変形や熱収縮差を吸収できる。
【0045】
次いで、図5及び図6を参照して、摺動連結体50について説明する。図5(a)は、車体側受金20の正面図であり、図5(b)は、図5(a)の矢印Vb方向視における車体側受金20の側面図である。また、図5(c)は、図5(a)の矢印Vc方向視における車体側受金20の上面図であり、図5(d)は、図5(a)のVd−Vd線における車体側受金20の断面図である。
【0046】
図5に示すように、車体側受金20は、基体部材3bに締結ボルトB1及び締結ナットN1(いずれも図2から図4参照)により締結固定される車体側締結部21と、その車体側締結部21から延設される一対の車体側延設部22と、それら一対の車体側延設部22の対向面間を連結する軸部23とを備え、これらがステンレス鋼からロストワックス鋳造により一体に形成される。
【0047】
車体側締結部21は、正面視略矩形の板状体であり、長手方向(図5(a)左右方向)両側には、締結ボルトB1を挿通させるための挿通孔21aがそれぞれ穿設される。また、車体側締結部21には、その長手方向中央の上辺側(図5(a)上側)を正面視略矩形に切り欠くことで、凹欠部21bが形成される。なお、凹欠部21bは、カバー側受金30のカバー側延設部32を基体部材3bに当接させるための通路となる部位である(図7及び図8参照)。
【0048】
車体側延設部22は、所定間隔を隔てつつ互いに対向して配設される一対の板状体であり、凹欠部21bを挟みつつ車体側締結部21から斜め上方(図5(b)左上方)へ向けて(即ち、車体側締結部21から上昇傾斜した状態に)延設される。軸部23は、断面円形となる外周面に平行な二つの平坦面23aを形成した軸状体であり、車体側延設部22の対向面間を連結する。
【0049】
なお、軸部23の二つの平坦面23aは、車体側延設部22と同様に、車体側締結部21から上昇傾斜した状態に形成される。また、車体側延設部22は、その対向面間距離(図5(c)左右方向寸法)が寸法W1とされ、軸部23は、その外径が寸法D1とされると共に二面幅が寸法t1とされる。
【0050】
図6(a)は、カバー側受金30の正面図であり、図6(b)は、図6(a)の矢印VIb方向視におけるカバー側受金30の側面図である。また、図6(c)は、図6(a)の矢印VIc方向視におけるカバー側受金30の上面図であり、図6(d)は、図6(a)のVId−VId線におけるカバー側受金30の断面図である。
【0051】
図6に示すように、カバー側受金30は、カウルカバー4に締結ボルトB2(いずれも図2から図4参照)により締結固定されるカバー側締結部31と、そのカバー側締結部31から延設される一対のカバー側延設部32と、それら一対のカバー側延設部32の対向面間を連結する補強部33とを備え、これらがステンレス鋼からロストワックス鋳造により一体に形成される。
【0052】
カバー側締結部31は、正面視略矩形の板状体であり、中央部には、締結ボルトB2(図3及び図4参照)が螺合可能なめねじが内周面に刻設されるめねじ部31aが形成されると共に、めねじ部31aの下方(図6(a)下方)には、ライナー用締結ボルトB3(図9参照)が螺合可能なめねじが内周面に刻設されるライナー用めねじ部31bが形成される。
【0053】
カバー側延設部32は、所定間隔を隔てつつ互いに対向して配設される一対の板状体であり、カバー側締結部31から斜め下方(図6(d)右下方)へ向けて(即ち、カバー側締結部31から下降傾斜した状態に)延設される。なお、カバー側延設部32の延設方向先端側(図5(b)及び図5(d)右側)の側面は、カバー側締結部31の締結面(図5(b)及び図5(d)左側面)に平行に形成される。また、カバー側延設部32の外面間の距離(図6(c)左右方向幅)は、寸法W2とされ、車体側延設部22の対向面間距離である寸法W1(図5参照)よりも小さくされている(W2<W1)。
【0054】
補強部33は、一対のカバー側延設部32の対向面間を連結する断面円形の円柱状体であり、これら一対のカバー側延設部32及び補強部33には、スリット部34と、内挿孔35とがそれぞれ連続して形成される。即ち、スリット部34及び内挿孔35の断面形状は、一対のカバー側延設部32及び補強部33において同一の形状に形成される(図6(b)及び図6(d)参照)。
【0055】
なお、一対のカバー側延設部32の対向面間に補強部33を設ける構成とすることで、カバー側受金30の軽量化を図りつつ、軸方向の変位が規制される際の強度を確保して、耐久性の向上を図ることができる。
【0056】
スリット部34は、カバー側延設部32及び補強部33の下側(カバー側延設部32の下降傾斜側、図6(b)及び図6(d)下側)の側面に開口すると共にその開口からカバー側延設部32の上側(補強部33の中心)へ向けて延設されるスリット状の通路であり、軸部23の外径(直径、寸法D1)よりも小さく且つ軸部23の二面幅(寸法t1)よりも大きな幅(寸法t2)に形成される(t1<t2<D1)。
【0057】
内挿孔35は、スリット部34の延設方向終端(開口と反対側)に連設されると共に補強部33の軸心に沿って延設される断面円形の貫通孔であり、軸部23の外径(寸法D1、図5参照)よりも若干大きな内径(寸法D2)に形成される(D1<D2)。よって、内挿孔35には、軸部23が回動可能かつ軸方向へ変位可能に内挿される。なお、スリット部34は、カバー側延設部32とは逆に、カバー側締結部31から上昇傾斜する向きに延設される。
【0058】
次いで、図7から図10を参照して、カウルカバー4を、摺動連結体50及び基準連結体60を用いて、基体部材3bに取り付ける取付方法について説明する。なお、この説明においては、図2から図6を適宜参照する。
【0059】
図7(a)から図7(d)は、車体側受金20とカバー側受金30とを連結し、車体側受金20を基体部材3bに締結固定する過程を時系列に並べた摺動連結体50の断面図である。なお、各図における車体側受金20及びカバー側受金30の断面は、図5(d)及び図6(d)に示す断面に対応する。また、各図において、車体側受金20は基体部材3bに締結固定された状態(即ち、図7(c)の状態)と同じ角度で図示されている。
【0060】
図7(a)に示すように、車体側受金20にカバー側受金30を連結するに際しては、まず、車体側受金20に対し、カバー側受金30を、スリット部34の開口が軸部23に面する向き(即ち、スリット部34の延設方向と軸部23の平坦面23aとが平行となる向き)で配置し、この状態から、スリット部34を介して、軸部23を内挿孔35に内挿する。なお、この場合、図7(b)に示すように、カバー側受金30は、カバー側締結部31が最下方(図7(b)下側)に、カバー側延設部32の延設方向先端側(図6(b)及び図6(d)右側)の側面が最上方(図7(b)上側)に、それぞれ位置する。
【0061】
図7(b)に示すように、軸部23を内挿孔35に内挿した後は、次いで、カバー側受金30を、車体側受金20に対して、軸部23を回動中心として所定量だけ回動させる。具体的には、カバー側延設部32の延設方向先端側(図6(b)及び図6(d)右側)の側面が、車体側受金20の車体側締結部21に近接する方向(即ち、図7(b)の矢印A方向)へ向けて、カバー側受金30を回動させる。これにより、カバー側延設部32の延設方向先端側が、図7(c)に示すように、車体側受金20の車体側締結部21における凹欠部21bに収容される。
【0062】
図7(c)に示すように、カバー側延設部32の延設方向先端側が、車体側受金20の車体側締結部21における凹欠部21bに収容されたら、この状態を維持しつつ、車体側受金20の車体側締結部21を基体部材3bに締結ボルトb1及び締結ナットN1により締結固定する(図4参照)。これにより、カバー側延設部32の延設方向先端側(図6(b)及び図6(d)右側)の側面に、基体部材3bの傾斜部の外面(即ち、車体側締結部21に当接される面)が対向配置される。その結果、カバー側延設部32の延設方向先端側の側面が基体部材3bの傾斜部に当接されることで、カバー側受金30の軸部23を回動中心とする回動が規制される。
【0063】
ここで、車体側受金20の軸部23の中心から車体側締結部21の締結面(基体部材3bに当接される面、図5(b)及び図5(d)右側面)までの距離(図5(b)及び図5(d)左右方向寸法)は、カバー側受金30の内挿孔35の中心からカバー側延設部32の延設方向先端側(図6(b)及び図6(d)右側)の側面までの距離(図6(b)及び図6(d)左右方向寸法)よりも大きくされる。
【0064】
よって、図7(d)に示すように、カバー側延設部32の延設方向先端側が、車体側受金20の車体側締結部21における凹欠部21bに収容され、カバー側延設部32の延設方向先端側の側面と、基体部材3bの傾斜部の外面(即ち、車体側締結部21に当接される面)とが平行に配置されると、これら両面の間には、所定の隙間が形成される。その結果、この隙間の分、カバー側受金30の軸部23を回動中心とする回動が所定範囲内で許容される(図8参照)。
【0065】
次いで、図8を参照して、車体側受金20が基体部材3bに締結固定された状態におけるカバー側受金30の回動範囲について説明する。図8(a)及び図8(b)は、車体側受金20が基体部材3bに締結固定された状態における摺動連結体50の断面図であり、図7(d)に示す断面状態に対応する。
【0066】
図8(a)及び図8(b)に示すように、カバー側受金30が軸部23を回動中心として回動されると、カバー側延設部32の延設方向先端側(図8右側)の側面が基体部材3bの傾斜部の外面(図8左側面)に当接されることで、カバー側受金30の回動が所定範囲に規制される。
【0067】
即ち、図8(a)に示すように、カバー側締結部31を下降させる方向(軸部23を回動中心とする図8(a)反時計回り)にカバー側受金30が回動されると、カバー側延設部32の延設方向先端側の側面が上昇して基体部材3bに当接されることで、カバー側受金30が所定位置に配置される。なお、この図8(a)に示すカバー側受金30の位置が請求項に記載の「第1位置」に該当する。
【0068】
一方、図8(b)に示すように、カバー側締結部31を上昇させる方向(軸部23を回動中心とする図8(a)時計回り)にカバー側受金30が回動されると、カバー側延設部32の延設方向先端側の側面が下降して基体部材3bに当接されることで、カバー側受金30が所定位置に配置される。なお、この図8(b)に示すカバー側受金30の位置が請求項に記載の「第2位置」に該当する。
【0069】
このように、車体側受金20が基体部材3bに締結固定されると、カバー側受金30の軸部23の回動位置が第1位置から第2位置までの範囲内に規制される。ここで、第1位置では、カバー側受金30の水平面に対する傾斜角度(めねじ部31aの軸心がカバー側締結部31の締結面上に位置する点と軸部23の軸心とを含む仮想平面が水平面に対してなす角度)が角度θ1となり、第2位置では、カバー側受金30の水平面に対する傾斜角度が角度θ2となる。よって、カバー側受金30の回動可能角度は、角度θ2と角度θ1との差(θ2−θ1)となる。
【0070】
なお、カバー側受金30は、内挿孔35よりもカバー側締結部31側(図8(a)左側)に重心が偏って位置するので、カバー側受金30は、自重により、カバー側締結部31を下降させる方向に回動され、図8(a)に示す第1位置に配置される。
【0071】
ここで、カバー側受金30のカバー側締結部31にカウルカバー4が締結固定された状態では(図3参照)、カバー側受金30が第1位置と第2位置との間(即ち、カバー側受金30の傾斜角度が、角度θ1よりも大きく且つ角度θ2よりも小さくなる位置)に配置される。よって、カバー側受金30は第1位置へ近づく方向および第2位置へ近づく方向への両方向へ回動することができ、風圧による変形の方向と熱収縮差の生じる方向とが反対方向となる場合でも、これら両方向の変位に対応することができるので、カウルカバーの変形や損傷を抑制することができる。
【0072】
また、第1位置から第2位置までの範囲内では、軸部23がスリット部34を介して内挿孔35から抜脱不能とされる。即ち、軸部23が内挿孔35から抜脱可能となる位置までカバー側受金30が回動することを、カバー側延設部32と基体部材3bとの当接により規制することができる。よって、スリット部34を別部品で塞ぐなどの作業や部品を不要とできるので、その分、製品コストの削減を図ることができる。
【0073】
このように、摺動連結体50は、車体側受金20に形成した軸部23を、カバー側受金30に設けた内挿孔35へスリット部34を介して挿通させることで、カバー側受金30と車体側受金20とを連結する構造であるので、かかる連結構造を簡素な形状で構成することができる。これにより、車体側受金20とカバー側受金30とをそれぞれ鋳造により製造することができるので、例えば、連結軸およびナットを別部品として準備すると共にそれらを組み立てる必要がある従来品と比較して、部品点数や組立工数を低減して、製品コストの削減を図ることができる。
【0074】
なお、このように、カバー側延設部32と基体部材3bとの当接により、カバー側受金30の回動位置を第1位置から第2位置までの範囲内に規制することができれば、カウルカバー4が、風圧作用時や熱収縮差の発生時に、カバー側受金30の車体側受金20に対する回動に伴って、過大に変形することを抑制でき、その結果、かかるカウルカバー4の損傷を未然に抑制することができる。
【0075】
次いで、図9を参照して、カウルカバー4のカバー側受金30への取付方法について説明する。図9は、カウルカバー4がカバー側受金30に取り付けられる前の状態を示す鉄道車両1の部分拡大断面図である。
【0076】
図9に示すように、ライナー部材L1,L2は、円板状の部材であり、ライナー用締結ボルトB3によりカバー側締結部31のライナー用めねじ部31bにライナー用締結ボルトB3が螺合されることで、カバー側締結部31に締結固定され、カバー側締結部31とカウルカバー4との間に介設される。これにより、カウルカバー4の製造上の寸法公差などを吸収して、締結面を密着させる。
【0077】
なお、カウルカバー4をカバー側受金30に取り付けるに際しては、事前に、ライナー部材L1,L2をカバー側締結部31に締結固定しておく。この場合、ライナー部材L1,L2には、カバー側締結部31のめねじ部31aに対応する位置に挿通孔が穿設されているので、かかる挿通孔を介して、締結ボルトB2をカバー側締結部31のめねじ部31aに螺合させることができる。
【0078】
カウルカバー4の取り付けは、まず、カウルカバー4の上端側を構体3の被係止部材3aに係止させる(図2(b)参照)。これにより、かかるカウルカバー4が構体3に吊り下げられ、凹設部4aがカバー側受金30のカバー側締結部31に対面されるので、締結ボルトB2を、ワッシャWSを装着しつつ、挿通孔4a1に挿通し、先端側のおねじをカバー側締結部31のめねじ部31aに螺合する。これにより、カウルカバー4を、摺動連結体50を介して、基体部材3bに取り付けることができる(図2から図4参照)。
【0079】
この場合、カバー側受金30は、カバー側延設部32が基体部材3bに当接されることで、その回動位置が規制される。特に、カバー側受金30が自重により回動した際に配置される図9に示す第1位置では、カバー側締結部31の締結面がカウルカバー4側を向くので、カウルカバー4をカバー側締結部31に取り付ける際には、従来品のように、作業者が、カバー側受金を持ち上げ、その持ち上げた状態に維持しつつ、締結ボルトを締め付けるという作業を行う必要がない。よって、カウルカバー4を取り付ける際の作業性の向上を図ることができる。
【0080】
また、カバー側受金30のカバー側締結部31には、めねじ部31aが形成されている。よって、従来品のように、カウルカバーの裏側で締結ボルトの先端にナットを螺合させると共にそのナットを保持しつつ、カウルカバーの表側で締結ボルトを締め付けるという作業を行う必要がなく、本実施の形態における鉄道車両1では、カウルカバー4の表側から、カウルカバー4の挿通孔4a1に締結ボルトB2を挿通させ、その挿通させた締結ボルトB2をカバー側受金30のカバー側締結部31に直接締結させることができる。よって、カウルカバー4の表側からのみで締結ボルトB2の締結作業を行うことができ、その分、カウルカバー4を取り付ける際の作業性の向上を図ることができる。
【0081】
また、カバー側受金30のカバー側締結部31には、ライナー用めねじ部31bが形成されるので、カウルカバー4を取り付ける際には、カバー側受金30のカバー側締結部31にライナー部材L1,L2を予め締結固定しておくことができ、従来品のように、カウルカバーの裏側でライナー部材をカバー側締結部とカウルカバーとの間に介設させつつ、カウルカバーの表側で締結ボルトを締め付けるという作業を行う必要がない。即ち、ライナー部材L1,L2をカバー側締結部31に予め締結固定しておけることで、その後は、カウルカバー4の表側(図9左側)からのみの作業で締結ボルトB2の締結作業を行うことができ、その分、カウルカバー4を取り付ける際の作業性の向上を図ることができる。
【0082】
次いで、図10を参照して、基準連結体60について説明する。図10は、鉄道車両1の部分拡大図であり、図4に対応する。
【0083】
図10に示すように、基準連結体60は、連結基体3bに締結固定される第2車体側受金120と、カウルカバー4の凹設部4bに締結固定される第2カバー側受金130とを備え、これら両受金120,130が回動可能に連結される。
【0084】
基準連結体60の第2車体側受金120は、摺動連結体50の車体側受金20(図5参照)と同一部品(即ち、材質や寸法形状が同一の部品)として形成される。よって、第2車体側受金120の各構成については、車体側受金20の各構成と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0085】
基準連結体60の第2カバー側受金130は、めねじ部31a及びライナー用めねじ部31bを有する第2カバー側締結部131と、その第2カバー側締結部131から延設される一対の第2カバー側延設部132と、それら一対の第2カバー側延設部132の対向面間を連結する第2補強部133とを備え、これらがステンレス鋼からロストワックス鋳造により一体に形成される。
【0086】
ここで、基準連結体60の第2カバー側受金130は、摺動連結体50のカバー側受金30(図6参照)に対して、第2カバー側延設部132の外面間の距離(図10左右方向幅)を延長した点が異なるのみで、他の構成(例えば、図6(d)に示す位置での断面における形状寸法)は同一であるので、その説明は省略する。
【0087】
なお、摺動連結体50のカバー側受金30では、カバー側延設部32の外面間の距離(図6(a)左右方向幅)が寸法W2とされたが、基準連結体60の第2カバー側受金130では、第2カバー側円設部132の外面間の距離(図10左右方向幅)が寸法W1(図5参照)と略同一または若干小さくされる。
【0088】
これにより、基準連結体60では、第2カバー側受金130の軸部(図示せず)を回動中心とする回動は、所定範囲内(即ち、摺動連結体50と同じ範囲内)で可能となる一方、第2カバー側受金130の軸部の軸方向(図10左右方向)への移動は、第2カバー側延設部132が車体側延設部22に当接されることで、規制される(移動不能とされる)。
【0089】
このように、基準連結体60は、第2カバー側受金130の第2カバー側延設部132が第2車体側受金120の車体側延設部22に当接されることで、第2カバー側受金130の軸部の軸方向への変位が規制されるので、かかる第2カバー側受金130が車体の前後方向に移動することを規制でき、その結果、カウルカバー4を車体の前後方向における所定位置に確実に固定して保持することができる。
【0090】
また、本実施の形態では、第2車体側受金120が、車体側受金20と同一の形状寸法に形成されるので、第2車体側受金120として、車体側受金20を流用することができる。これにより、部品の種類を低減して、その分、製品コストの削減を図ることができる。
【0091】
次いで、図11から図13を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、軸部23が車体側受金20に、スリット部34及び内挿孔35がカバー側受金30に、それぞれ形成される場合を説明したが、第2実施の形態は、軸部233がカバー側受金230に、スリット部224及び内挿孔225が車体側受金220に、それぞれ形成される。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0092】
図11(a)は、第2実施の形態における車体側受金220の正面図であり、図11(b)は、図11(a)の矢印XIb方向視における車体側受金220の側面図である。また、図11(c)は、図11(a)の矢印XIc方向視における車体側受金220の上面図であり、図11(d)は、図11(a)のXId−XId線における車体側受金220の断面図である。
【0093】
図11に示すように、車体側受金220は、基体部材3bに締結ボルトB1及び締結ナットN1(いずれも図13参照)により締結固定される車体側締結部221と、その車体側締結部221から延設される一対の車体側延設部222と、それら一対の車体側延設部222の対向面間を連結する補強部223とを備え、これらがステンレス鋼からロストワックス鋳造により一体に形成される。
【0094】
車体側締結部221は、正面視略矩形の板状体であり、長手方向(図11(a)左右方向)両側には、締結ボルトB1を挿通させるための挿通孔21aがそれぞれ穿設される。また、車体側締結部221には、その長手方向中央の上辺側(図11(a)上側)であって車体側延設部222の両側をそれぞれ正面視略矩形に切り欠くことで、一対の凹欠部221bが形成される。なお、凹欠部221bは、カバー側受金230のカバー側延設部232を基体部材3bに当接させるための通路となる部位である(図12及び図13参照)。
【0095】
車体側延設部222は、所定間隔を隔てつつ互いに対向して配設される一対の板状体であり、一対の凹欠部221bの間に挟まれつつ車体側締結部221から斜め上方(図11(b)左上方)へ向けて(即ち、車体側締結部221から上昇傾斜した状態に)延設される。なお、車体側延設部222の外面間の距離(図11(c)左右方向幅)は、寸法W2とされている。
【0096】
補強部223は、一対の車体側延設部222の対向面間を連結する断面円形の円柱状体であり、これら一対の車体側延設部222及び補強部223には、スリット部224と、内挿孔225とがそれぞれ連続して形成される。即ち、スリット部224及び内挿孔225の断面形状は、一対の車体側延設部222及び補強部223において同一の形状に形成される(図11(b)及び図11(d)参照)。
【0097】
スリット部224は、車体側延設部222及び補強部223の下側(車体側延設部222の上昇傾斜側と反対側、図11(b)及び図11(d)下側)の側面に開口すると共にその開口から車体側延設部222の上側(補強部223の中心)へ向けて延設されるスリット状の通路であり、軸部233の外径(直径、寸法D1)よりも小さく且つ軸部233の二面幅(寸法t1)よりも大きな幅(寸法t2)に形成される(t1<t2<D1、図12参照)。
【0098】
内挿孔225は、スリット部224の延設方向終端(開口と反対側)に連設されると共に補強部223の軸心に沿って延設される断面円形の貫通孔であり、軸部233の外径(寸法D1、図12参照)よりも若干大きな内径(寸法D2)に形成される(D1<D2)。よって、内挿孔225には、軸部233が回動可能かつ軸方向へ変位可能に内挿される。なお、スリット部224は、車体側延設部222とは逆に、車体側締結部221から下降傾斜する向きに延設される。
【0099】
図12(a)は、第2実施の形態におけるカバー側受金230の正面図であり、図12(b)は、図12(a)の矢印XIIb方向視におけるカバー側受金230の側面図である。また、図12(c)は、図12(a)の矢印XIIc方向視におけるカバー側受金230の上面図であり、図12(d)は、図12(a)のXIId−XIId線におけるカバー側受金230の断面図である。
【0100】
図12に示すように、カバー側受金230は、カウルカバー4に締結ボルトB2(いずれも図13参照)により締結固定されるカバー側締結部231と、そのカバー側締結部231から延設される一対のカバー側延設部232と、それら一対のカバー側延設部232の対向面間を連結する軸部233とを備え、これらがステンレス鋼からロストワックス鋳造により一体に形成される。
【0101】
カバー側締結部231は、正面視略矩形の板状体であり、中央部には、第1実施の形態の場合と同様に、めねじ部31a及びライナー用めねじ部31bが形成される。カバー側延設部232は、所定間隔を隔てつつ互いに対向して配設される一対の板状体であり、カバー側締結部231から斜め下方(図11(d)右下方)へ向けて(即ち、カバー側締結部231から下降傾斜した状態に)延設される。
【0102】
なお、カバー側延設部232の延設方向先端側(図12(b)及び図12(d)右側)の側面は、カバー側締結部231の締結面(図12(b)及び図12(d)左側面)に平行に形成される。また、カバー側延設部232の対向面間の距離(図12(c)左右方向幅)は、寸法W1とされ、車体側延設部222の外面間の距離である寸法W2(図11参照)よりも大きくされている(W2<W1)。
【0103】
軸部233は、断面円形となる外周面に平行な二つの平坦面233aを形成した軸状体であり、カバー側延設部232の対向面間を連結する。なお、軸部233の二つの平坦面233aは、カバー側延設部232と同様に、カバー側締結部231から下降傾斜した状態に形成される。また、軸部233は、その外径が寸法D1とされると共に二面幅が寸法t1とされる。
【0104】
図13は、鉄道車両1の部分拡大図であり、図4に対応する。ここで、車体側受金220にカバー側受金230を連結するに際しては、まず、車体側受金220に対し、カバー側受金230を、カバー側延設部232の延設方向先端側(図12(b)及び図12(d)右側)がスリット部224の開口に面するように(即ち、スリット部224の延設方向と軸部233の平坦面233aとが平行となる向きで)配置し、この状態から、スリット部224を介して、軸部233を内挿孔225に内挿する。
【0105】
軸部233を内挿孔225に内挿した後は、第1実施の形態の場合と同様に、カバー側受金230を、車体側受金220に対して、軸部233を回動中心として所定量だけ回動させ、カバー側延設部232の延設方向先端側が、車体側受金220の車体側締結部221における凹欠部221bに収容されたら、この状態を維持しつつ、車体側受金220の車体側締結部221を基体部材3bに締結ボルトb1及び締結ナットN1により締結固定する。
【0106】
これにより、図13に示すように、カバー側延設部232の延設方向先端側(図13上側)の側面に、基体部材3bの傾斜部の外面(即ち、車体側締結部221に当接される面)が対向配置される。その結果、第1実施の形態の場合と同様に、カバー側受金230が軸部233を回動中心として回動する場合には、カバー側延設部232の延設方向先端側の側面が基体部材3bの傾斜部に当接されることで、カバー側受金230の回動が所定位置で規制される。なお、本実施の形態では、第1実施の形態の場合と同様に、カバー側受金230の回動が第1位置から第2位置までの範囲で許容されるように設定されている(図8参照)。
【0107】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0108】
上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0109】
上記第1実施の形態では、カバー側受金30が一対のカバー側延設部32を備え、それら一対のカバー側延設部32の対向面間が中空状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、一対のカバー側延設部32の間を中実としても良い。即ち、1の角柱状または厚肉板状の部材の一端側に設けた締結面にめねじ部31a及びライナー用めねじ部31bを凹設する一方、他端側にスリット部34及び内挿孔35を設けても良い。なお、第2カバー側受金130についても同様である。
【0110】
上記第1実施の形態では、カバー側受金30の一対のカバー側延設部32の対向面間に補強部33を設ける場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、補強部33を省略してカバー側受金30を構成しても良い。なお、第2実施の形態における車体側受金220についても同様である。
【0111】
上記第1実施の形態では、基準連結体60の第2車体側受金120が摺動連結体50の車体側受金20と同じ部品として形成される一方、基準連結体60の第2カバー側受金130が摺動連結体50のカバー側受金30と異なる部品として形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、基準連結体60の第2車体側受金120及び第2カバー側受金130の両方を、摺動連結体50の車体側受金20及びカバー側受金30と同じ部品として形成し、第2車体側受金120の車体側延設部22の内面と第2カバー側受金130の第2カバー側受金132の外面との間に他の部材を介設させることで、回動は許容しつつ、軸方向の移動を規制するように形成しても良い。両部品を流用することで、より一層の製品コストの削減を図ることができる。
【0112】
上記第1実施の形態では、基準連結体60が軸部を回動中心として回動可能に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、基準連結体60を回動不能に形成することは当然可能である。即ち、カウルカバー4の凹設部4b側では、カウルカバー4を基体部材3bに剛結合する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0113】
1 鉄道車両
3 構体(車体の一部)
3a 被係止部
3b 基体部材
4 カウルカバー
4a1 挿通孔
20,220 車体側受金
21 車体側締結部(第2車体側締結部)
22 車体側延設部(第2車体側延設部)
221 車体側締結部
222 車体側延設部
30,230 カバー側受金
31,231 カバー側締結部
31a めねじ部
31b ライナー用めねじ部
32,232 カバー側延設部
23,233 軸部
23a,233a 平坦面
34,224 スリット部
35,225 内挿孔
120 第2車体側受金
130 第2カバー側受金
131 第2カバー側締結部
132 第2カバー側延設部
B2 締結ボルト
L1,L2 ライナー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、その車体の側部下方に配設されるカウルカバーとを備えた鉄道車両において、
前記車体側に配設される基体部材と、
その基体部材に締結固定される車体側締結部およびその車体側締結部から延設される車体側延設部を有する車体側受金と、
前記カウルカバーが締結固定されるカバー側締結部およびそのカバー側締結部から延設されるカバー側延設部を有するカバー側受金とを備え、
前記カバー側受金のカバー側延設部または車体側受金の車体側延設部の一方には、平行な二つの平坦面を外周面に有する軸状の軸部が形成されると共に、
前記カバー側受金のカバー側延設部または車体側受金の車体側延設部の他方には、前記軸部の直径よりも小さく且つ前記軸部の二面幅よりも大きな幅に形成されるスリット部と、そのスリット部に連設され前記軸部が回動可能かつ軸方向へ変位可能に内挿される内挿孔とが形成され、
前記軸部が前記スリット部から前記内挿孔に内挿され、前記カバー側受金が前記車体側受金に対して前記軸部を回動中心として所定量だけ回動された状態で、前記車体側受金の車体側締結部が前記基体部材に締結固定されると、
前記カバー側受金が前記車体側受金に対して前記軸部の軸方向に所定範囲内で変位可能になると共に、
前記カバー側受金が前記軸部を回動中心として回動した場合には、前記カバー側受金のカバー側延設部が前記基体部材に当接されることで、前記カバー側受金の回動位置が第1位置から第2位置までの範囲内に規制され、
前記カバー側受金が自重により回動されると、第1位置に配置され、前記カバー側受金のカバー側締結部が前記カウルカバー側を向くと共に、
前記カバー側受金のカバー側締結部に前記カウルカバーが締結固定されると、前記カバー側受金が前記第1位置と第2位置との間に配置され、前記第1位置から第2位置までの範囲内では前記軸部が前記スリット部を介して前記内挿孔から抜脱不能とされることを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
前記カウルカバーには、締結ボルトが挿通される挿通孔が穿設されると共に、
前記カバー側受金のカバー側締結部には、内周面にめねじが刻設され前記カウルカバーの挿通孔に挿通された前記締結ボルトが螺合されるめねじ部が形成されることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両。
【請求項3】
前記カバー側受金のカバー側締結部には、内周面にめねじが刻設されたライナー用めねじ部が形成され、前記カバー側受金のカバー側締結部と前記カウルカバーとの間に介設される板状のライナー部材を前記カバー側締結部に締結固定可能に構成されることを特徴とする請求項2記載の鉄道車両。
【請求項4】
前記車体側に配設され前記車体の前後方向に沿って直線状に延設される被係止部材を備え、
前記カウルカバーは、その上端に形成され前記被係止部材に係止される係止部を備えると共に、その係止部が前記被係止部材に係止されることで、前記カウルカバーが前記車体の前後方向に摺動可能な状態で前記被係止部材に吊り下げられ、
前記カバー側受金および車体側受金は、前記軸部が前記被係止部材に平行となる向きで、前記カウルカバーの下端側を前記基体部材に接続することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鉄道車両。
【請求項5】
前記基体部材に締結固定される第2車体側締結部およびその第2車体側締結部から延設される第2車体側延設部を有する第2車体側受金と、
前記カウルカバーに締結固定される第2カバー側締結部およびその第2カバー側締結部から延設される第2カバー側延設部を有する第2カバー側受金とを備え、
前記第2カバー側受金の第2カバー側延設部または第2車体側受金の第2車体側延設部の一方には、平行な二つの平坦面を外周面に有する軸状の第2軸部が形成されると共に、
前記第2カバー側受金の第2カバー側延設部または第2車体側受金の第2車体側延設部の他方には、前記第2軸部の直径よりも小さく且つ前記第2軸部の二面幅よりも大きな幅に形成される第2スリット部と、その第2スリット部に連設され前記第2軸部が回動可能かつ軸方向へ変位可能に内挿される第2内挿孔とが形成され、
前記第2軸部が前記第2スリット部から前記第2内挿孔に内挿され、前記第2カバー側受金が前記第2車体側受金に対して前記第2軸部を回動中心として所定量だけ回動された状態で、前記第2車体側受金の第2車体側締結部が前記基体部材に締結固定されると、
前記第2カバー側受金の第2カバー側延設部が前記第2車体側受金の第2車体側延設部に当接されることで、前記第2カバー側受金の前記第2軸部の軸方向への変位が規制されると共に、
前記第2カバー側受金が前記第2軸部を回動中心として回動した場合には、前記第2カバー側受金の第2カバー側延設部が前記基体部材に当接されることで、前記第2カバー側受金の回動位置が第1位置から第2位置までの範囲内に規制され、
前記第2カバー側受金が自重により回動されると、第1位置に配置され、前記第2カバー側受金の第2カバー側締結部が前記カウルカバー側を向くと共に、
前記第2カバー側受金の第2カバー側締結部に前記カウルカバーが締結固定されると、前記第2カバー側受金が前記第1位置と第2位置との間に配置され、前記第1位置から第2位置までの範囲内では前記第2軸部が前記第2スリット部を介して前記第2内挿孔から抜脱不能とされ、
前記第2カバー側受金および第2車体側受金は、前記第2軸部が前記被係止部材に平行となる向きで、前記カウルカバーの下端側を前記基体部材に接続すると共に、前記第2カバー側受金または第2車体側受金のいずれかが、前記車体側受金またはカバー側受金と同一の形状寸法に形成されることを特徴とする請求項4記載の鉄道車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−218677(P2012−218677A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89228(P2011−89228)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)