説明

鉄道車輪を加工する方法と機械

【課題】様々な場所で使用できる普遍的な車輪セット加工機械の提供。
【解決手段】場所移動可能に形成されている工作機械によって、軸受ハウジング(9)内に回転可能に軸承されている鉄道車輪または車輪セット(6)の車輪ディスク(7)またはブレーキディスク(23)を再整形加工する方法と装置に関し、鉄道車輪または車輪セットは、少なくとも1つの軸受ハウジングに作用するクランプ機構(14、15)によって、その周面上の車輪ディスクが支持ローラ(16)に対して押圧され、その支持ローラの少なくとも1つは、鉄道車輪または車輪セットを回転させ、同時に工具(20)が車輪ディスクまたはブレーキディスクの1つを加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車輪を加工する方法と機械に関する。加工は、個別車輪車台の車輪の再整形加工だけでなく、車輪セットの車輪の再整形加工にも広がっている。加工は、同様に、それが個別車輪車台であろうと、あるいはその他の車台の車輪セットであろうと、ブレーキディスクの再整形加工にまで広がっている。本発明に基づく加工を実施するための前提は、該当する鉄道車輪ないし車輪セットが軸軸受ハウジング内に回転可能に軸承されていることである。加工すべき個別車輪ないし車輪セットは取り外された状態にあってもよいが、個別車輪または車輪セットは組み込まれた状態においても加工することができる。
【背景技術】
【0002】
レール車両の車輪およびブレーキディスクは、材料損耗、可塑変形並びにブレーキおよび横滑りプロセスによって摩耗する。この理由から、それらを時々再整形加工しなければならず、それは通常は切削加工によって行われる。車輪セットが取り外されている場合には、再整形加工は、高い切削出力を有する、オーバーフロア旋盤上で行われる。(その場合の欠点は、もちろん車輪を取り外して再び取り付けるための費用であり、それは特に動力車両の車輪セットに言えることであって、そこでは動力車輪セットの分解後に車両全体を再び駆動技術的に取り外すことが、指示されている。
【0003】
この理由から、いわゆるアンダーフロア加工機械が開発されており、組み込まれた車輪セットを有する鉄道車両がそのアンダーフロア加工機械上へ引き出され、あるいは専用のパワーで走行する。アンダーフロア加工機械は、通常穴の中のレール水準の下方の特別なホール内に設置されている。その機械は、高い切削力において重い車両を加工するために設計されているので、それに応じた大きい重量を有している。さらに、アンダーフロア加工機械が重い土台上に固定されていることが、必要である。アンダーフロア加工機械がその中で駆動される設備のための投資も、それに応じて大きい。オーバーフロア加工機械に比較して、アンダーフロア加工機械の切削出力は、幾分小さい。
【0004】
わずかな車両のみで操業を実施している鉄道企業および近距離交通企業にとっては、それがオーバーフロア加工機械であろうとアンダーフロア加工機械であろうと、車輪セット加工機械のための投資は、経済的ではない。従ってこの種の企業は、加工すべき車輪セットを取り外して、専門工場へ送る方向に移行しており、そこで車輪ディスクの再整形加工とブレーキディスクの再整形加工を行うことができる。しかし、主要ルートにおいても、車輪セット加工機械を装備している工場は、わずかしかない。その結果、取り外した車輪セットあるいは列車ないし車両全体を再整形加工するために時々長い区間にわたって移動させなければならない。
【0005】
特に、たとえば秋とか冬のように、操業が過重になる時期においては、その間に時々再整形加工しなければならない多数の車輪セットが出てくる。この趣旨におけるその間に時々というのは、車輪セットないし車輪を本来の、操業的に固定されている検査インターバルの間に再加工しなければならないということである。雨と落ち葉を有する秋の天候条件は、多くのレール交通企業において車輪加工のピーク需要をもたらす。時には、設置されている車輪セット加工機械の容量では、ピーク需要を十分にカバーできなくなる。交換時間、非可用性、移送コストとロジスティックコストが、車輪セットのための本来の加工コストに付加される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それに基づいて本発明の課題は、必要な場合に様々な場所で使用することのできる、普遍的な車輪セット加工機械を提供することである。それによって、鉄道車輪、車輪セット、機関車、列車または車両の移送を減少させ、同時に機械が車輪の再ならい加工またはブレーキディスクの加工のために十分な精度で作動するようにしようとしている。機械は、専用のエネルギ供給装置を有するべきであるが、同様に専門工場のすでに存在しているエネルギ供給装置に接続可能であってもよい。特に機械は、取り外された個々の鉄道車輪ないし車輪セットの加工にも、鉄道車両内に組み込まれたままの鉄道車輪または車輪セットの加工にも用いられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、軸受ハウジング内に回転可能に軸承されている鉄道車輪または車輪セットの車輪ディスクまたはブレーキディスクを、工作機械による加工によって再整形加工する方法によって解決され、その工作機械は
−場所移動可能に形成されており、
−鉄道車輪または車輪セットは、少なくとも1つの軸受ハウジングに作用するクランプ機構によって、その周面上の車輪ディスクが支持ローラに対して押圧され、その支持ローラの少なくとも1つは、
−鉄道車輪または車輪セットを回転させ、同時に、
−工具が鉄道車輪または車輪セットの車輪ディスクまたはブレーキディスクの1つを加工する。
【0008】
本発明の本質的な考えは、車輪ディスクまたはブレーキディスクの加工に使用される装置は、場所移動可能すなわち可動であることにある。従って装置は、所定の使用場所と結びついておらず、それぞれ手入れをすべき車両のところへ移動されて、加工位置へ移動されることができる。
【0009】
ブレーキディスクを加工するために、鉄道車輪の車輪ディスク内に統合されているブレーキディスクも、車輪セットの軸上に固定されているブレーキディスクも考慮される。通常は、鉄道車輪セットまたは車輪セットがレール上で転動するための、車輪ディスクの輪郭が加工される。その輪郭は、車輪セットの、同時に回転される車輪ディスクの輪郭とすることができる。しかしまた、車輪セットの、駆動される車輪ディスクと対向する車輪ディスクの輪郭を加工することもできる。このように車輪セットの対向する側を加工することは、軸軸受ハウジングの1つに、たとえばジェネレータなどのような付加装置がフランジ止めされている場合に、利点を有する場合がある。輪郭加工する場合に、走行面もリムも、あるいは走行面とリムがその輪郭を加工され、ブレーキディスクの再整形加工は通常、このディスクを平らにすることに限定される。
【0010】
加工は、回転、フライス、回転フライスによるものであろうと、研磨によるものであろうと、切削するように行うことができる。しかしまた、たとえば平滑圧延から知られているように、加工された、あるいは加工すべき表面を工具によって硬化させる加工を行うこともできる。
【0011】
さらに、鉄道車輪または車輪セットは、再加工前と後に超音波検査される。同様な趣旨において、鉄道車輪または車輪セットを再整形加工前またはその後に測定技術的に測定することが意図される。通常の測定方法は、平均的な当業者には知られている。
【0012】
本発明は、また、方法を実施するための工作機械に関する。この工作機械は、場所移動可能な支持フレームを特徴としている。支持フレームには、鉄道車輪または車輪セットの閉鎖された内側および/または外側の軸受ハウジングに作用するためのクランプ機構が設けられている。さらに、少なくとも2つの支持ローラが設けられており、それら支持ローラはクランプ機構に対向して互いに対して相互の距離をもって車輪ディスクの外周面に押圧可能であって、その車輪ディスクの1つまたは複数の軸受ハウジングにクランプ機構が作用し、支持ローラの少なくとも1つは、駆動装置を有している。さらに、場所移動可能な機械内に、さらに鉄道車輪または車輪セットの車輪ディスクまたはブレーキディスクを加工するための工具も設けられている。この種の工具は、通常サポート上に配置されており、車輪ディスクの周面の、支持ローラが作用しない個所において加工を実施する。
【0013】
好ましい実施例によれば、工作機械のフレームは、ローラまたは車輪上に軸承されており、かつフロアの上方で走行することができる。ローラまたは車輪によって、車輪セット加工機械は、工場の、最良のスペース状況を提供する各個所へ移動することができる。工場内に通常設けられているリフト装置によって、鉄道車輪または車輪セットが車輪セット加工機械上へ持ち上げられて、場合によっては、加工が行われる間、固定される。これは特に、取り外された状態における鉄道車輪または車輪セットについて当てはまり、ときには建屋を設ける必要はなく、作業場所の適当なスペース(屋根ありまたは屋外)で十分である場合もある。
【0014】
鉄道車輪または車輪セットが取り付けられている場合の状況は、異なる。組み込まれた状態において、鉄道車輪または車輪セットは付属の鉄道車両と堅固に、あるいはゆるく結合されている。回転基台上で走行する鉄道車両の場合には、車輪セットは回転基台内に堅固に組み込まれている。
【0015】
組み込まれた状態においても、工作機械によって鉄道車輪または車輪セットの再整形加工を実施することができる。そのために、鉄道車両は、特にそのために設けられているリフト個所に載置される。載置の高さは、フロア上1mから2.5mの間である。この状態において、工作機械が載置されている鉄道車両の下方へ移動されて、鉄道車輪の少なくとも1つと係合される。場所移動可能な工作機械の導入は、載置されている鉄道車両の一方の側から行うことができる。しかし、通常は、場所移動可能な工作機械は、工場軌条に沿って案内されるローラまたは車輪上に軸承される。工作機械は載置されている鉄道車両の下方へ、工作機械が車輪セットと係合するまで、長手方向に移動される。
【0016】
鉄道車輪または車輪セットの加工の間、工作機械にはトルクが作用し、そのトルクは工場床に固定することによって受け止めることができる。そのために、フレームと工場床との間に、付加的な固定手段を設けると効果的である。同様に、加速、ここでは特に車輪セット軸上にある車両モータの回転加速に基づく力を、機械固定によって吸収しなければならない。これに関連して、たとえば工具破断が車輪セットの突然の制動をもたらし、かつ短時間、切削加工の切断力を越える力をもたらす可能性がある。
【0017】
通常は、切断力を引き受けるためには、工場床の支持点における工作機械の重力で十分である。しかしまた、工場軌条に工作機械を挟持することも可能である。
【0018】
他方で、工作機械は、車輪セットを加工する間機械が車輪セットに対して数mmだけ変位することが加工結果にとって重要でないように設計されている。これは、車輪セットの周方向の変位にも軸方向の変位にも言えることである。工作機械の固有強度は、この種の変位を許容するのに十分に高い。
【0019】
他の実施形態においては、工作機械は車両上に固定される。その車両は、道路車両であっても、鉄道車両であってもよい。この種の車両によって、工作機械はその使用場所へ移送される。車両上には同時に、それが電気的なエネルギであろうと、たとえば油圧または空気圧のような圧力媒体のエネルギであろうと、工作機械に必要なエネルギを供給する他の装置を設けることができる。さらに、工作機械を移送する車両が、同時にさらにリフト装置を有しており、そのリフト装置によって鉄道車輪、回転機械または車輪セットを工作機械上で加工するために昇降させることができると、効果的である。工作機械が固定されていない場合には、ランプを設けて、そのランプを介して工作機械を移送車両から降ろして、加工を行おうとする現場に設置することができる。このような場合においても、機械のためのエネルギ供給装置を移送車両によって携行することも可能であるが、同様に、工作機械をすでに存在している、工場のエネルギ供給のためのインフラ構造に接続することも可能である。
【0020】
鉄道車輪の軸受ハウジングを捕捉するクランプ機構は、機械的にスピンドルを介しても、電気的、空気圧または油圧によっても操作可能である。1つまたは複数の支持ローラを駆動するために、電動機または、空気圧であれあるいは油圧であれ、圧力媒体を供給可能なモータを設けることができる。加工工具として、回転工具、除去工具、フライス工具、回転フライス工具、研磨工具あるいは固定圧延工具が考えられる。これらの工具によって、車輪ディスクの輪郭を加工することも、ブレーキディスクの作用面を平らにすることもできる。特に、除去工具、フライス工具、回転フライス工具または研磨工具は、それぞれ専用の駆動装置を有している。通常、加工工具はサポート上に配置されており、車輪ディスクの、支持ローラないし駆動ローラの外部の周面を加工する。
【0021】
鉄道車輪を組み込まれた状態において加工するために、クランプ機構が垂直上方から下方へ有効になるようにし、かつ支持ローラないし駆動ローラを垂直の車輪中央の外部の側方へ配置することが、提供される。その後、クランプ機構の下方に垂直に整合して、加工機械が作用する。それに対して測定および検査装置は、それぞれスペース状況がどのようにそれを許すかに従って、検査すべき鉄道車輪の周面の任意の個所に設けることができる。他の好ましい形態によれば、鉄道車輪または車輪セットの車輪ディスクに超音波を供給する、超音波検査ヘッドが設けられている。検査ヘッドには、通過する超音波パルスを受信する測定ヘッドが対向している。
【0022】
同様に効果的なのは、加工すべき鉄道車輪ないし車輪セットを加工前と加工後にも測定することである。それによって、加工成果が保証される。測定機器として、機械的な検出部材または光学的な三角測量検出器が提供される。
【0023】
もちろん、本発明に基づく、鉄道車輪とそのブレーキディスクの再整形加工によって、高い精度が求められる。これは特に、高速車輪に当てはまる。もちろん、比較的低い速度で走行する車両、たとえば貨物車両あるいは支線車両においては、もっと少ない精度で十分な場合もある。ここでは不必要な車輪セット移送または車両移動を防止する目的が前面に出てくる。同様に、工作機械には切削のための案内薄板または移送装置が設けられているが、これについては特に言及する必要はない。次に、本発明を2つの実施例を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】車輪加工機械の側面図を著しく簡略化して示している。
【図2】他の車輪加工機械の側面図を著しく簡略化して示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1の工場床1の上方に、鉄道車両2が載置されている。載置は、工場床1上に鉄道車両2と並んで側方に立っている垂直の柱3を用いて行われる。鉄道車両2自体は、支柱4上に乗っており、その支柱は柱3に沿って高さ方向に垂直に移動可能である。鉄道車両2の車両ボックスの下方端縁5は、工場床1の上方1mと2.5mの間の高さに位置している。
【0026】
図1は、前側から見た鉄道車両2を示している。鉄道車両2には車輪セット6が結合されており、その車輪セットはその両方の車輪ディスク7によって線路内を走行するのに適している。車輪ディスク7は、車輪セット軸8と相対回動不能に結合されており、かつ両車輪ディスク7の外側において軸軸受ハウジング9内に回転可能に軸承されている。本例においては、駆動車両2の車輪セット6が示されており、その車輪セット軸上にはさらに、駆動モータ10が配置されている。2つの軸受ハウジング9を介して車輪セット6は鉄道車両2と結合されている。結合の詳細は、見やすくするために、図1においては省かれている。
【0027】
載置されている鉄道車両2の下方において、工作機械12のフレーム11が作業位置に移動されている。フレーム11は、車輪のローラ13によって工場線路(図示せず)に沿って走行可能であり、その工場線路を介して鉄道車両2が前もって工場内へ移動されている。工作機械12のフレーム11の幅は、載置の柱3の間を通過するように定められている。
【0028】
フレーム11の両側にクランプ機構14が上方へ張り出している。クランプ機構14はその外側の上端部にクランプハンド15を有しており、クランプ機構はそのクランプハンドによって車輪セット6の両方の閉鎖された軸受ハウジング9に上方外側から作用する。クランプ機構14は、車輪ディスク7が支持ローラ16と接触するまで、車輪セット6を下方へ押圧する。本例においては、複数の支持ローラ16は同一の軸17上に配置されており、その軸は、工作機械12のフレーム11内に設けられている軸受台18上に支持されている。支持ローラ16は、軸17上に回転可能に軸承されており、かつ2つの支持ローラ16の少なくとも一方は、専用の駆動装置(図示せず)を有しており、車輪セット6は車輪ディスク7と支持ローラ16が接触した場合に、その駆動装置を介して回転される。
【0029】
簡略化された本例においては、支持ローラ16は、それらが車輪ディスク7の垂直下方にあるかのように示されている。しかし実際には、支持ローラは車輪ディスクの垂直の車輪中心の下方においてある角度(図示せず)だけ側方に変位して配置されている。従って全体として図1にはこの種の支持ローラ16は4つ設けられている。軸受台18は、支持ローラ16を側方下から弾性的に車輪ディスク7に対して押圧することができるように構成されている。この弾性は、たとえば、軸受台18が油圧シリンダまたは空気圧シリンダとして形成されており、そのシリンダに圧力形成装置とそれぞれの圧力手段のための圧力蓄積装置が対応づけられていることによって、達成される。弾性的な支持によって支持ローラ16は、車輪ディスク7が万一非円形であった場合に、駆動の際にスリップをもたらすことなしに、それに適合することができる。
【0030】
フレーム11上に、少なくとも1つのサポート19が設けられており、そのサポートには工具20、本例においてはたとえば回転鑿が設けられている。個々のサポート19の代わりに、該当する工具20を備えたさらに他のサポート(図示せず)をフレーム11上に配置することも可能である。工具20は、車輪ディスク7の輪郭を加工するために設けられている。そのために、工具は車輪ディスク7の周面に作用する。支持ローラ16の1つを介して車輪セット6が回転され、工具20は車輪ディスク7の周面上で切削加工によって車輪ディスク7の再整形加工を行う。
【0031】
図2の実施例においては、車輪セット加工機械12の他の実施形態が示されている。車輪セット加工機械12は、ここでもフレーム11を有しており、そのフレームは工場床1のフロアの上方で、ローラ21上で走行可能である。ローラ21は、軌条と結合されていないので、図2の実施例の工作機械12は支柱3の側方隣においても、載置された鉄道車両2の下方へ移動することができる。
【0032】
車輪セット6も、鉄道車両2と結合されている。フレーム11からは、クランプ機構14が上方へ張り出しており、そのクランプ機構のクランプハンド15が上方から車輪セット6の軸受ハウジング9へ作用する。フレーム11の軸17内に回転可能に軸承されている支持ローラ16は、車輪ディスク7の外周面に作用し、その車輪ディスクは軸受ハウジング9を介して支持ローラ16に対して押圧される。図1の実施例についてと同様に、図2の支持ローラ16についても、2つの支持ローラが車輪ディスク7の垂直中心の下方に側方の距離をおいて互いに並べて設けられていることが当てはまる。
【0033】
サポート19上には、回転鑿20が半径方向に車輪ディスク7上へあてがうことができるように固定されている。回転鑿20によって、ここでも車輪セット6の車輪ディスク7の輪郭が加工される。図2の実施例の場合においては、それぞれ1つだけの個別の車輪ディスク7が加工される。車輪ディスク7の加工が終了した後に、工作機械12は鉄道車両2の下方で側方へ引き出されて、たとえば図2で選択されている図示の右半分で矢印22の方向に再び鉄道車両2の下方へ側方に移動されて、それによって第2の車輪ディスク7が加工される。車輪ディスク7の他に、車輪セット軸8上にはさらにブレーキディスク23も相対回動不能に固定されている。工作機械12は、ブレーキディスク23の側面24を平らにするのにも適している。
【0034】
図1と2に示す実施例の他に、本発明に基づく工作機械12は、屋外または工場ホールの任意の個所に設置することができる。このように設置された工作機械に、その後個々の鉄道車輪または車輪セットが供給され、それによって加工を遂行することができる。作業の終了後に工作機械は他の場所へ移送され、その場所は図1と2に示されている例の場所に対して大きい空間的距離を有することができる。図1と2の2つの簡略化された表示において、たとえば車輪セット固定、駆動ユニット、エネルギ供給、エネルギ接続および測定と検査装置のような、平均的な当業者に知られているすべての駆動手段は、わかりやすくするために省かれている。
【符号の説明】
【0035】
1 工場床
2 鉄道車両
3 柱
4 支柱
5 下端縁
6 車輪セット
7 車輪ディスク
8 車輪セット軸
9 軸受ハウジング
10 駆動モータ
11 フレーム
12 工作機械
13 ローラ
14 クランプ機構
15 クランプハンド
16 支持ローラ
17 軸
18 軸受台
19 サポート
20 回転鑿
21 ローラ
22 移送方向
23 ブレーキディスク
24 側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受ハウジング内に回転可能に軸承されている鉄道車輪または車輪セットの車輪ディスクあるいはブレーキディスクを、工作機械による加工により、再整形加工する方法であって、前記工作機械は、
−場所移動可能に形成されており、
−鉄道車輪または車輪セットは、少なくとも1つの軸受ハウジングに作用するクランプ機構によって、その周面上の車輪ディスクが支持ローラに対して押圧され、前記支持ローラの少なくとも1つは、
−鉄道車輪または車輪セットを回転させ、同時に
−工具が車輪またはブレーキディスクの1つを加工する、
車輪ディスクまたはブレーキディスクを再整形加工する方法。
【請求項2】
鉄道車輪または車輪セットがレール上で転動するための、車輪ディスクの輪郭が加工されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
車輪セットの、回転される車輪ディスクの輪郭が加工されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
車輪セットの、駆動される車輪ディスクに対向する車輪ディスクの輪郭が加工されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ブレーキディスクを有する鉄道車輪または車輪セットのブレーキディスクの1つが加工されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ディスクは、回転、フライス、回転フライスまたは研磨により金属を除去して加工されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ディスクの加工すべきないし加工された表面が、工具によって硬化されることを特徴とする請求項1から6または6に記載の方法。
【請求項8】
鉄道車輪または車輪セットは、超音波によって検査されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
鉄道車輪または車輪セットは、少なくとも再ならい加工前に測定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法を実施するための工作機械において、
−鉄道車輪または車輪セット(6)の、閉鎖された内側および/または外側の軸受ハウジング(9)に作用するためのクランプ機構(14、15)と、
−クランプ機構(14、15)に対向して互いに対して相互の距離をもって車輪ディスク(7)の外周面に押圧可能で、その1つまたは複数の軸受ハウジング(9)にクランプ機構(14、15)が作用する、少なくとも1つの支持ローラ(16)と、
−支持ローラ(16)の少なくとも1つのための駆動装置と、
−鉄道車輪または車輪セット(6)の車輪ディスク(7)またはブレーキディスク(23)を加工するための工具(20)と、
を備えた、
−場所移動可能な支持フレーム(11)を特徴とする工作機械。
【請求項11】
フレーム(11)は、フロア(1)の上方で走行可能なローラ(21)上に軸承されていることを特徴とする請求項10に記載の工作機械。
【請求項12】
フレーム(11)は、軌条上で走行可能なローラ(13)上に軸承されていることを特徴とする請求項10に記載の工作機械。
【請求項13】
フレーム(11)は、車両上に固定されていることを特徴とする請求項10に記載の工作機械。
【請求項14】
車両には、工作機械(12)によって加工するために、鉄道車輪、回転基台または車輪セット(6)を昇降させるためのリフト装置が設けられていることを特徴とする請求項13に記載の工作機械。
【請求項15】
クランプ機構(14、15)は、機械的、電気的、空気圧または油圧で操作可能であることを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項16】
1つまたは複数の支持ローラ(16)のための駆動装置として、電動機または圧力媒体を供給可能なモータが設けられていることを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項17】
鉄道車輪または車輪セットの車輪ディスク(7)またはブレーキディスク(23)を加工するために、回転工具(20)、除去工具、フライス工具、回転フライス工具、研磨工具あるいは固定圧延工具が設けられていることを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項18】
除去工具、フライス工具、回転フライス工具または研磨工具は、それぞれ専用の駆動装置によって駆動可能であることを特徴とする請求項17に記載の工作機械。
【請求項19】
鉄道車輪または車輪セット(6)の少なくとも1つの車輪ディスクに超音波を供給するための検査ヘッドが設けられていることを特徴とする請求項10に記載の工作機械。
【請求項20】
加工前および/または後に鉄道車輪、ブレーキディスク(23)または車輪セット(6)の幾何学配置を測定するための、少なくとも1つの測定工具が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の工作機械。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−61596(P2012−61596A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−270558(P2011−270558)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【分割の表示】特願2001−585977(P2001−585977)の分割
【原出願日】平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願人】(301059673)ヘゲンシャイト−エムエフデー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディト ゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】