説明

銃のスコープマウント装置、およびその取付固定するための治具

【課題】銃のスコープマウント装置、およびその取付固定のための治具に関し、ライフル銃への適用に適し、銃への取付および取外しが容易に行える等の取付性に優れ、取付後には射撃による衝撃力や取扱時の外力に耐え得る構造堅牢な取付性を確保する。
【解決手段】スコープ保持部材3には、下部ベース半体3Aの外周中央部に柱状の取付座部7が突設され、取付座部は、レシーバ2に間隔をあけて設けた取付ボス部に着脱可能に圧入、嵌合される凹部が下面に設けられると共に、凹部と連通して下部ベース半体の内周面に開口するねじ座を有するねじ孔が設けられ、下部ベース半体のねじ挿通孔に挿入されて取付ボス部のねじ孔に螺合される、頭部が前記ねじ座に当接する頭付締付ねじが締め付けられて下部ベース半体がレシーバの上面に取付固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は銃のスコープマウント装置、およびその取付固定するための治具に関し、例えばライフル銃への適用に適し、銃への取付および取外しが容易に行える等の取付性に優れ、また、取付後においては射撃による衝撃力や取扱時の外力に耐え得る構造堅牢な取付性を確保しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
特にライフル銃は遠距離射程により、目標物を的確に捉えて射撃を行うためにスコープを銃に装着して行われることが多い。このスコープを銃に取付けるのに、スコープの鏡筒部を抱持するためのリング状の2つのアームを用いてスコープをレシーバに取付けているものが見られる(例えば、特許文献参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−258097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献に記載の上記従来の発明では、スコープを銃のレシーバに取付けるのに、2つのアームをねじ止めにより行われるので、射撃による衝撃力および反動力や取扱時の外力を受けた場合に、前記アームを銃に取付けるためのねじが緩み、がたつきを生じたり、また、甚だしい場合には、銃からスコープが脱落してしまうという、不都合があり、銃へのスコープの取付けは、構造的な強度が脆弱なものであった。
【0005】
また、スコープを銃に取付けるための銃の設置個所は、銃のレシーバ等の上面が平坦ではなく、曲面個所に形成されているので、前後2つのアームをねじ止めしてスコープを取り付けるのに、高低差を生じ易く2つのアームを同一高さに設置して水平度を確保しにくいとともに、前後2つのアームによって取付けられるスコープを銃の軸長方向に一致させ、かつ同一向きに取付けなければならないという、要請を満足できるものではなかった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点を解決するとともに、銃への取付および取外しが容易に行える等の取付性に優れ、また、取付後においては射撃による衝撃力や取扱時の外力に耐え得る構造堅牢な取付性を確保でき、さらには、水平度を確保し易く、かつ銃に対するスコープの軸長方向性も容易かつ確実に確保できる銃のスコープマウント装置、およびその取付固定するための治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされ請求項1に記載の発明は、
銃のレシーバの上面軸長方向に間隔をあけて配置される2つのスコープ保持部材が、各々がスコープの下半部を支承する半環状の下部ベース半体と該下部ベース半体に固定手段を介して衝合可能に固定されて前記スコープの上半部を支承する半環状の上部保持半体とを有して、前記スコープを抱持する銃のスコープマウント装置において、
前記各々のスコープ保持部材には、前記下部ベース半体の外周中央部に柱状の取付座部が突設され、
前記取付座部には、その下面に前記取付ボス部に着脱可能に圧入、嵌合される凹部が設けられると共に、前記凹部と連通して前記下部ベース半体の内周面に開口するねじ座を有するねじ挿通孔が設けられ、
前記下部ベース半体の前記ねじ挿通孔に挿入されて前記取付ボス部のねじ孔に螺合される、頭部が前記ねじ座に当接する頭付締付ねじが締め付けられることにより、前記下部ベース半体が前記レシーバの上面に取付固定されるようにした
ことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記取付座部には、外周に少なくとも1個の縦割溝が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1記載の銃のスコープマウント装置のスコープ保持部材の下部ベース半体をレシーバの上面に取付固定するための治具であって、
前記治具は、前記スコープの外径と同じ寸法を有し、
前記レシーバの上面に間隔をあけて取付固定された前記2つのスコープ保持部材の前記下部ベース半体に両端部が支承される長さを有し、
前記2つの下部ベース半体に支承された状態で、少なくとも一方の下部ベース半体を取付固定するための前記頭付締付ねじを締め付けるための締付工具が挿入される挿入孔が設けられている柱状体からなる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、銃のレシーバの上面軸長方向に間隔をあけて配置される2つのスコープ保持部材が、各々がスコープの下半部を支承する半環状の下部ベース半体と該下部ベース半体に固定手段を介して衝合可能に固定されて前記スコープの上半部を支承する半環状の上部保持半体とを有して、前記スコープを抱持する銃のスコープマウント装置において、各々がねじ孔を有すると共に前記レシーバと一体に形成された2つの取付ボス部が、前記レシーバの上面軸長方向に間隔をあけて突設され、前記各々のスコープ保持部材には、前記下部ベース半体の外周中央部に柱状の取付座部が突設され、前記取付座部には、その下面に前記取付ボス部に着脱可能に圧入、嵌合される凹部が設けられると共に、前記凹部と連通して前記下部ベース半体の内周面に開口するねじ座を有するねじ挿通孔が設けられ、前記下部ベース半体の前記ねじ挿通孔に挿入されて前記取付ボス部のねじ孔に螺合される、頭部が前記ねじ座に当接する頭付締付ねじが締め付けられることにより、前記下部ベース半体が前記レシーバの上面に取付固定されるようにしたので、スコープを銃に取付けるのには、先ず2つのスコープ保持部材の下部ベース半体の下面に設けた柱状の取付座部の凹部を、銃のレシーバの上面に、軸長方向に間隔をあけて突設した2つの取付ボス部に圧入、嵌合させると、2つのスコープ保持部材の下部ベース半体は、レシーバの上面に間隔をあけて同高さに配置され、高低差がなく、水平度が確保され、位置決めされる。次いで、下部ベース半体の内周面に開口するねじ座を有するねじ挿通孔を介して銃のレシーバに間隔をあけて突設した2つの取付ボス部のねじ孔に頭付締付けねじを螺入して下部ベース半体の仮締め付けを行う。
【0011】
その後、2つの下部ベース半体相互の上面に、スコープの外径と同じ寸法を有し、かつ、前記下部ベース半体に両端部が支承される長さを有する柱状体からなる治具を載架すると、この治具は、スコープの外径と同じ寸法を有し、かつ、2つのスコープ保持部材の下部ベース半体に両端部が支承される長さにより形成されているので、レシーバの上面に間隔をあけて配置された2つの下部ベース半体相互は、治具を基準として銃の軸長方向に一致され、かつ同一向きに調整され、整列化して配置される。そして、この治具の少なくとも一端または両端近くに設けられている挿入孔内に、レンチもしくはドライバーよりなる締付工具を挿入することにより、下部ベース半体のねじ挿通孔に挿入された頭付締付けねじをねじ座に頭部が当接するまで回動操作してその雄ねじ部を前記取付ボス部の内周に設けたねじ孔に螺入し、2個の取付ボス部に下部ベース半体を間隔をあけて同高さに、かつ軸長方向に同一向きに構造堅牢に取付けることができる。
【0012】
それから、2個の下部ベース半体相互の上面にスコープを載せ、その後、下部ベース半体の上面に上部保持半体を被せ、固定手段により下部ベース半体と、上部保持半体とを固着し、2個のスコープ保持部材によりスコープを抱持する。このように、銃に間隔をあけて突設した取付ボス部に取付座部の凹部を圧入、嵌合させて下部ベース半体を銃のレシーバの上面に間隔をあけて適正に配置し、治具により下部ベース半体相互の軸長方向の取付位置を調整後に、2個の下部ベース半体を取付ボス部に構造堅牢に固着する。それから、スコープを下部ベース半体の上面に載架後に、2つ割の下部ベース半体に上部保持半体を固着するという簡単な取扱い操作により、銃への取付および取外しが容易に行える等の取付性に優れる。
【0013】
また、銃のレシーバの上面に、2個の取付ボス部が、軸長方向に間隔をあけて突設されるとともに、この取付ボス部に下部ベース半体の柱状の取付座部の凹部が圧入、嵌合され
て頭付締付けねじにて構造堅牢に固着されるので、スコープ保持部材の銃のレシーバに対する取付個所は強固に補強されて取付けが行われるため、スコープの取付後においては射撃による衝撃力や取扱時の外力に耐え得る構造堅牢な取付性を確保できる。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、請求項1において、前記取付座部には、外周に少なくとも1個の縦割溝が設けられているので、銃のレシーバの上面に間隔をあけて設けられた2つの取付ボス部に、下部ベース半体の柱状の取付座部に設けた凹部を圧入、嵌合させる場合に、取付座部は縦割溝により弾発性が発揮されるため、取付座部の取付ボス部に対する嵌合が円滑かつ確実に行える。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の発明によれば、請求項1記載の銃のスコープマウント装置のスコープ保持部材の下部ベース半体をレシーバの上面に取付固定するための治具であって、前記治具は、前記スコープの外径と同じ寸法を有し、前記レシーバの上面に間隔をあけて取付固定された前記2つのスコープ保持部材の前記下部ベース半体に両端部が支承される長さを有し、前記2つの下部ベース半体に支承された状態で、少なくとも一方の下部ベース半体を取付固定するための前記頭付締付ねじを締め付けるための締付工具が挿入される挿入孔が設けられている柱状体からなるので、銃にスコープを取付ける場合に、銃のレシーバの上面に、軸長方向に間隔をあけて突設した2個の取付ボス部に先ず2つのスコープ保持部材の下部ベース半体の下面に設けた取付座部の凹部を、銃のレシーバの上面に、軸長方向に間隔をあけて突設した2つの取付ボス部に圧入、嵌合させることにより、2つのスコープ保持部材の下部ベース半体をレシーバの上面に間隔をあけて同高さに配置し、下部ベース半体の設置の高低差をなくし、水平度を確保し、位置決めを行う。次いで、下部ベース半体の内周面に開口するねじ座を有するねじ挿通孔を介して銃のレシーバに間隔をあけて突設した取付ボス部の内周のねじ孔に頭付締付けねじを螺入して仮締め付けを行う。
【0016】
その後、間隔をあけて配置された2つの下部ベース半体相互の上面に、スコープの外径と同じ寸法を有し、かつ、前記下部ベース半体に両端部が支承される長さを有する柱状体からなる治具を載架すると、この治具は、スコープの外径と同じ寸法を有し、かつ、2つのスコープ保持部材の下部ベース半体に両端部が支承される長さにより形成されているので、レシーバの上面に間隔をあけて配置された2つの下部ベース半体相互は、治具を基準として銃の軸長方向に一致され、かつ同一向きに調整され、整列化して配置される。そして、この治具の少なくとも一端または両端近くに設けられている挿入孔内に、レンチもしくはドライバーよりなる締付工具を挿入することにより、下部ベース半体のねじ挿通孔に挿入された頭部締付ねじをねじ座に頭部が当接するまで回動操作してその雄ねじ部を前記取付ボス部の内周に設けたねじ孔に螺入し、2個の取付ボス部に下部ベース半体を間隔をあけて同高さに、かつ軸長方向に同一向きに構造堅牢に取付けることができる。
【0017】
それから、2個の下部ベース半体相互の上面にスコープを載せ、その後、下部ベース半体の上面に上部保持半体を被せ、固定手段により下部ベース半体と、上部保持半体とを固着し、スコープ保持部材によりスコープを抱持し、スコープの取付けを完了する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の銃のスコープマウント装置の実施形態を示す側面図である。
【図2】図2は同じく本実施形態のスコープマウント装置を構成するスコープ保持部材の下部ベース半体を銃の上面に突設した取付ボス部に取り付ける場合に、治具を用いて高さおよび向きを調整している状態の拡大斜視図である。
【図3】図3は同じく上方から見た銃の拡大斜視図である。
【図4】図4は同じく本実施形態を構成するスコープ保持部材の拡大分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に従って本発明を実施するための最良の形態につき、詳細に説明する。
【0020】
本実施形態は、銃1のレシーバ2の上面軸長方向Iに間隔Kをあけて配置される2個のスコープ保持部材3,3が、各々がスコープ4の下半分4aを支承する半環状の下部ベース半体3Aと該下部ベース半体3Aに固定手段5を介して衝合可能に固定されて前記スコープ4の上半部4bを支承する半環状の上部保持半体4Bとを有して、前記スコープ4を抱持する銃のスコープマウント装置である点は特許文献に記載の発明とほぼ同様である。
【0021】
しかしながら、本実施形態の銃のスコープマウント装置では、各々がねじ孔6aを有すると共に前記レシーバ2と一体に形成された2つの取付ボス部6,6が、前記レシーバ2の上面軸長方向Iに間隔Lをあけて突設されている。
【0022】
前記各々のスコープ保持部材3には、下部ベース半体3Aの外周中央部に柱状の取付座部7が突設されている。そして、前記取付座部7には、その下面に前記取付ボス部6,6に着脱可能に圧入、嵌合される凹部7aが設けられると共に、前記凹部7aと連通して前記下部ベース半体3Aの内周面に開口するねじ座7cを有するねじ挿通孔7bが設けられている。
【0023】
8は頭部8aを有する頭付締付ねじであり、この頭付締付ねじ8は前記下部ベース半体3Aの前記ねじ挿通孔7bに挿入されて頭部8aがねじ座7cに当接するまでその雄ねじ部8bを前記取付ボス部6,6のねじ孔6aに螺合されることにより、この頭付締付ねじ8が締め付けられ、前記下部ベース半体3Aが前記レシーバ2の上面に取付固定される。
【0024】
前記上部保持半体3B、および前記下部ベース半体3Aが、図4に示すように、それぞれの外形が正面略半環状をなして全体が1つの環状をなすように構成され、内周が前記スコープ4の鏡筒部を支承可能に正面略半円形の曲面部9a,9bが形成されている。
【0025】
このように、スコープ保持部材3が、2つ割された上部保持半体3B、および前記下部ベース半体3Aにより、スコープ4を周囲から抱持して銃1に取付けるので、分解作業および組立作業が容易かつ確実になる。
【0026】
また、前記取付座部7には、外周に少なくとも1個の縦割溝9が設けられている。このように、取付座部7の外周に少なくとも1個の縦割溝9を設けたのは、銃1に設けられた取付ボス部6に下部ベース半体3A,3Aの取付座部7,7を取付ける場合に、取付座部7,7は縦割溝9により弾発性が発揮されるため、取付座部7,7の取付ボス部6,6に対する圧入、嵌合を円滑かつ確実に行うためである。また、前記取付ボス部6は、図示では円筒状に形成されているが、これは代表的な例示にあり、図示するものに限られず、例えば多角筒状に形成されるものであってもよい。また、取付ボス部6は、図示では2個が示されているが、これは代表的な例示であり、3個以上の複数個であってもよい。
【0027】
前記固定手段5が、前記上部保持半体3B、および前記下部ベース半体3Aの左右端に衝合可能に設けられた鍔部11a,11b相互を螺子12を用いてねじ止めする。
【0028】
13は治具であり、この治具13はスコープ4の外径φ1と同じ寸法の外周径φ2を有し、かつ、前記レシーバ2の上面に間隔Lをあけて取付固定された前記2つのスコープ保持部材3,3に両端部が支承される長さL1を有し、この治具13は柱状体14であり、前記2つの下部ベース半体3A,3Aに支承された状態で、少なくとも一方の下部ベース半体3Aを取付固定するための前記頭付締付ねじ8を締め付けるためのレンチもしくはドライバーよりなる締付工具15が挿入される挿入孔16が設けられている。前記柱状体14は、例えば金属またはプラスチックにより形成される。
【0029】
このように、柱状体14の少なくとも一端、または両端近くにレンチもしくはドライバーよりなる締付工具15を挿入する挿入孔16を設けたのは、銃1にスコープ4を取付ける場合に、銃1のレシーバ2の上面に、軸長方向Iに間隔Lをあけて突設した取付ボス部6,6に柱状の取付座部7の凹部7aをレシーバ2の上面に2個が間隔Lをあけて突設された円筒状の取付ボス部6,6に圧入、嵌合させて下部ベース半体3A,3Aを間隔をあけ、かつ同じ高さhにて設置して下部ベース半体3A,3Aの設置の高低差をなくし、水平度を確保し、位置決めを行う。次いで、レシーバ2に設けた取付ボス部6,6のねじ孔6a,6aと、この取付ボス部6,6に圧入、嵌合された柱状の取付座部7の凹部7aに連通して下部ベース半体3A,3Aの内周面に開口するねじ座7cに有するねじ挿通孔7bとに頭付締付けねじ8を螺入して仮締め付けを行う。その後、2つの下部ベース半体3A,3A相互の上面に、スコープ4の外径φ1と同じ寸法を有し、かつ、前記下部ベース半体3A,3Aに両端部が支承される長さL1を有する柱状体からなる治具13を載架すると、この治具13は、スコープ4の外径φ1と同じ寸法を有し、かつ、2つのスコープ保持部材3,3の下部ベース半体3A,3Aに両端部が支承される長さにL1により形成されているので、レシーバ2の上面に間隔Lをあけて設けられた2つの下部ベース半体3A,3A相互は、治具13を基準として銃1の軸長方向Iに一致され、かつ同一向きに調整され、整列化して配置後に、この治具13の少なくとも一端または両端近くに設けられている挿入孔16内に、レンチもしくはドライバーよりなる締付工具15を挿入することにより、取付座部7の前記凹部7aの上面に設けられたねじ座7cに頭部8aが当接するまで頭付締付けねじ8を回動操作してその雄ねじ部8bを前記取付ボス部6,6の内周に設けたねじ孔6a,6aに螺入して本締めを行うことにより、2個の取付ボス部6,6に下部ベース半体3A,3Aを間隔Kをあけて同高さh、hに、かつ軸長方向Iに同一向きに取付けるためである。
【0030】
本実施形態の銃のスコープマウント装置は以上の構成からなり、スコープ4を銃1に取付けるのには、先ず2つ割の、下部ベース半体3Aと、上部保持半体3Bと、により構成されるスコープ保持部材3のうちの前記下部ベース半体3Aの下面に設けた柱状の取付座部7の凹部7aを、銃1のレシーバ2の上面に、軸長方向Iに間隔Lをあけて突設した略円筒状の図では2個の取付ボス部6,6に圧入、嵌合させることにより、2個の下部ベース半体3A,3Aを銃1のレシーバ2の上面に間隔Kをあけて同高さhにて配置し、水平度を確保し、位置決めを行う。
【0031】
この際、前記取付座部7には、外周に少なくとも1個の縦割溝9が設けられているので、銃1に設けられた円筒状の取付ボス部6,6に、下部ベース半体3A,3Aの取付座部7,7を取付ける場合に、取付ボス部6,6は縦割溝9により弾発性が発揮されるため、取付座部7,7の取付ボス部6,6に対する嵌合が円滑かつ確実に行われる。
【0032】
次いで、下部ベース半体3A,3Aの外周中央部に突設された柱状の取付座部7の凹部7aと連通して下部ベース半体3A,3Aの内周面に開口するねじ座7cに有するねじ挿通孔7bを介して銃のレシーバ2に設けた取付ボス部6,6のねじ孔6a,6aに頭付締付けねじ8を螺入して仮締め付けを行う。
【0033】
その後、2つの下部ベース半体3A,3A相互の上面に、スコープ4の外径φ1と同じ寸法を有し、かつ、前記下部ベース半体3A,3Aに両端部が支承される長さL1を有する柱状体からなる治具13を載架すると、この治具13は、スコープ4の外径φ1と同じ寸法の外周径φ2を有し、かつ、2つのスコープ保持部材3,3の下部ベース半体3A,3Aに両端部が支承される長さにL1により形成されているので、前述のように、レシーバ2の上面に間隔Lをあけて設けられた2つの下部ベース半体3A,3A相互は、治具13を基準として銃1の軸長方向Iに一致され、かつ同一向きに調整され、整列化して配置される。
【0034】
そして、この治具13の少なくとも一端または両端近くに設けられている挿入孔16内に、レンチもしくはドライバーよりなる締付工具15を挿入することにより、ねじ座7cに頭部8aが当接するまで下部ベース半体3A,3Aのねじ挿通孔7bに挿入された頭部締付けねじ8を回動操作してその雄ねじ部8bを前記取付ボス部6,6の内周に設けたねじ孔6a,6aに螺入して本締めを行うことにより、2個の取付ボス部6,6に下部ベース半体3A,3Aを間隔Kをあけて同高さh、hに、かつ軸長方向Iに同一向きに本締めして構造堅牢に取付けることができる。
【0035】
それから、2個の下部ベース半体3A,3A相互の上面にスコープ4の鏡筒部を載せる。その後、下部ベース半体3A,3Aの上面に上部保持半体3B,3Bを鏡筒部の上から被せ、固定手段5により下部ベース半体3A,3Aと、上部保持半体3B,3Bとを固着し、この下部ベース半体3Aと、上部保持半体3Bとにより全体が1つの環状をなすように構成されるスコープ保持部材3により周囲からスコープ4を抱持する。
【0036】
このように、前記固定手段5が、前記上部保持半体3B、および前記下部ベース半体3Aの左右端に衝合可能に設けられた鍔部10a,10b;11a,11b相互をねじ12,12を用いてねじ止めするので、上部保持半体3B,3B、および下部ベース半体3A,3Aの左右端に衝合可能に設けられた前記鍔部10a,10b;11a,11b相互をねじ12,12により、ねじ止めすることにより、下部ベース半体3A,3Aと、上部保持半体と3B,3Bを簡単かつ強固に固着することができる。
【0037】
そして、前述のように、銃1に間隔Kをあけて突設した取付ボス部6,6を、下部ベース半体3A,3Aの下面に設けられた取付座部7の凹部7a内に圧入、嵌合させて下部ベース半体3A,3Aを銃1の上面に間隔Kをあけて適正に配置する。その後、柱状体14よりなる治具13により、下部ベース半体3A,3A相互の取付位置を上記のように調整後に、2個の下部ベース半体3A,3Aを取付ボス部6,6に固着する。それから、スコープ4を下部ベース半体3A,3Aの上面に載架後に、2つ割の下部ベース半体3A,3Aに上部保持半体3B,3Bを上面から被せて固着するという簡単な取扱い操作により、銃1への取付および取外しが容易に行える等の取付性に優れる。
【0038】
また、レシーバ2の上面に、軸長方向Iに間隔Lをあけて取付ボス部6,6は突設されるとともに、この取付ボス部6,6に取付座部7の凹部7aが嵌合されるので、スコープ保持部材3の銃1のレシーバ2に対する取付個所は強固に補強されて取付けが行われるため、スコープ4の取付後において、射撃による衝撃力および反動力や取扱時の外力に耐え得え、剛性も向上され、構造堅牢な取付性を確保できる。
【0039】
図示する上記説明では、スコープ4を銃に取付けるのに、レシーバ2の上面、軸長方向Iに2個の取付ボス部6,6を間隔Lをあけて突設することにより、2個のスコープ保持部材3,3を固着してスコープ4を抱持するようにしているが、この取付ボス部6,6およびスコープ保持部材3,3の設置個数の増減変更は自由に行える。
【0040】
また、図示では、スコープ保持部材4は、その外形が全体として、1つの環状をなすように構成されているが、これは代表的例示であり、図には示さないが、例えば八角形のような多角形に形成された場合にも本発明の適用範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、銃への取付および取外しが容易に行える等の取付性に優れ、また、取付後においては射撃による衝撃力や取扱時の外力に耐え得る構造堅牢な取付性を確保でき、さらには、水平度を確保し易く、かつ銃に対するスコープの軸長方向性も容易かつ確実に確保できるという用途・機能に適する。
【符号の説明】
【0042】
1 銃
2 レシーバ
3 スコープ保持部材
4 スコープ
5 固定手段
6 取付ボス部
7 取付座部
7a 凹部
7b ねじ挿通孔
8 頭付締付ねじ
8a 頭部
8b 雄ねじ部
9 縦割溝
10a 鍔部
10b 鍔部
11a 鍔部
11b 鍔部
12 ねじ
13 治具
15 締付工具
16 挿入孔
I 軸長方向
K 間隔
L 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銃のレシーバの上面軸長方向に間隔をあけて配置される2つのスコープ保持部材が、各々がスコープの下半部を支承する半環状の下部ベース半体と該下部ベース半体に固定手段を介して衝合可能に固定されて前記スコープの上半部を支承する半環状の上部保持半体とを有して、前記スコープを抱持する銃のスコープマウント装置において、
前記各々のスコープ保持部材には、前記下部ベース半体の外周中央部に柱状の取付座部が突設され、
前記取付座部には、その下面に前記取付ボス部に着脱可能に圧入、嵌合される凹部が設けられると共に、前記凹部と連通して前記下部ベース半体の内周面に開口するねじ座を有するねじ挿通孔が設けられ、
前記下部ベース半体の前記ねじ挿通孔に挿入されて前記取付ボス部のねじ孔に螺合される、頭部が前記ねじ座に当接する頭付締付ねじが締め付けられることにより、前記下部ベース半体が前記レシーバの上面に取付固定されるようにした
ことを特徴とする銃のスコープマウント装置。
【請求項2】
前記取付座部には、外周に少なくとも1個の縦割溝が設けられていることを特徴とする請求項1記載の銃のスコープマウント装置。
【請求項3】
請求項1記載の銃のスコープマウント装置のスコープ保持部材の下部ベース半体をレシーバの上面に取付固定するための治具であって、
前記治具は、前記スコープの外径と同じ寸法を有し、
前記レシーバの上面に間隔をあけて取付固定された前記2つのスコープ保持部材の前記下部ベース半体に両端部が支承される長さを有し、
前記2つの下部ベース半体に支承された状態で、少なくとも一方の下部ベース半体を取付固定するための前記頭付締付ねじを締め付けるための締付工具が挿入される挿入孔が設けられている柱状体からなる
ことを特徴とする銃のスコープマウント装置の取付用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−271005(P2010−271005A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125161(P2009−125161)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(303066699)株式会社ミロク製作所 (7)
【Fターム(参考)】