説明

鋳型の1個流しによる砂落とし装置、およびその方法

【課題】注湯後の鋳型において、鋳型毎の砂落としを行うことにより砂落としをした後でも、確実に鋳型毎の個別管理が行え、かつ砂落としを行う鋳物素材への打痕、割れを防止できる鋳型の1個流しによる砂落とし装置およびその方法を提供する。
【解決手段】鋳型幅長以上の長さの複数個の駆動ローラを所定間隔で並べた第1、2駆動ローラユニット(1、2)と、第1、2駆動ローラユニット(1、2)を上下動させるユニット毎に連結された第1、2昇降手段(3、4)とを備え、第1駆動ローラユニット(1)の各駆動ローラ(11)と、前記第2駆動ローラユニット(2)の各駆動ローラ(21)と、が注湯済み鋳型(M)の搬送方向に交互に配列された砂落とし装置を用い、この砂落とし装置(10)上に搬送されてきた注湯済み鋳型(M)を第1、2駆動ローラユニット(1、2)の上下動と各駆動ローラ(11、21)の回転により砂落としをする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造の冷却工程において、注湯済み鋳型(以下、単に鋳型と称す)から鋳物砂と鋳物素材とを分ける砂落とし装置およびその方法に関する。より詳しくは、駆動ローラを用いた鋳型の1個流しによる砂落とし装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳型を鋳物素材と鋳型砂に分離させる方法として、ドラム内に鋳型を投入し、回転や振動により分離させる方法(特許文献1参照)や、鋳造ライン上において搬送される鋳型を振動機上に載せ、振動により解枠・分離させる方法があった(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−138332号公報
【特許文献2】特開2003−010962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の方法および装置では、ドラム内に多数の鋳型を入れて砂落としを行うため、1モールド毎の砂落としとならず、後工程での鋳型毎の個別管理が難しいという問題があった。
特許文献2記載の方法および装置では、鋳枠(鋳造枠)からパンチアップされた鋳物素材を内蔵した鋳型は、プッシャーもしくは把持手段によって振動機に移載され、その振動機の振動によって砂落としされる。つぎに、砂落としされて鋳型砂を分離された鋳物素材は、プッシャーによって押し出され、冷却バスケットに移載される。この方法では、鋳枠から1枠ずつパンチアップされるため、鋳型毎の管理ができるかのように思われる。しかしながら、振動機の振動によって砂落としされて冷却バスケットに移載されるまでの間に、何らかの原因で振動機に取り残され、次に送り込まれた鋳型の鋳物素材とともに、冷却バスケットに移載されることがある。よって、後工程で鋳型毎の個別管理ができなくなっていた。
また、特許文献1、および、特許文献2に記載の方法および装置では、砂落としを行う鋳物素材への打痕、割れの発生を防止することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、前述の事情に鑑み、注湯後の鋳型において、鋳型毎の砂落としを行うことにより砂落としをした後でも、確実に鋳型毎の個別管理を行うことができ、かつ砂落としを行う鋳物素材への打痕、割れを防止できる鋳型の1個流しによる砂落とし装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明における砂落とし装置は、注湯済み鋳型の幅長以上の長さを有する複数個の駆動ローラを所定間隔で並べ、前記駆動ローラを回転駆動させる少なくとも1つの駆動源を備えた第1駆動ローラユニットと、前記第1駆動ローラユニットに連結されて該第1駆動ローラユニットを上下動させる第1昇降手段と、注湯済み鋳型の幅長以上の長さを有する複数個の駆動ローラを所定間隔で並べ、前記駆動ローラを回転駆動させる少なくとも1つの駆動源を備えた第2駆動ローラユニットと、前記第2駆動ローラユニットに連結されて該第2駆動ローラユニットを上下動させる第2昇降手段と、を備え、前記第1駆動ローラユニットの各駆動ローラと前記第2駆動ローラユニットの各駆動ローラとが注湯済み鋳型の搬送方向に交互に配列されたことを特徴とする。
【0007】
また上記の目的を達成するために本発明における砂落とし方法は、前記砂落とし装置を1台または複数台直列に配置している砂落とし方法であって、該砂落とし装置の上に前記鋳型を1個ずつ順次搬入し、前記第1駆動ローラユニットの複数個の駆動ローラおよび前記第2駆動ローラユニットの複数個の駆動ローラを回転駆動させ前記鋳型を前記駆動ローラの回転方向に搬送する工程と、前記第1駆動ローラユニットおよび前記第2駆動ローラユニットを上下動させる工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1個ずつ鋳型を砂落としすることができるので、鋳型砂と鋳型素材の分離後も鋳型毎の個別管理をすることが可能となり、かつ砂落としを行う鋳物素材への打痕、割れを防止できる。
また、搬送装置を兼ねた砂落とし装置を直列に配置するため砂落とし装置の複数台持ちが容易であり、サイクルタイムが短いラインに対してもタイムサイクルに影響を受けることなく砂落とし時間を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の砂落とし装置を用いた造型ラインの一例を示す正面図(一部省略)である。
【図2】図1における砂落とし装置の第2駆動ローラユニットを上昇させた状態を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施形態の砂落とし装置の主要部を示した正面図である。
【図4】本発明の一実施形態の砂落とし装置の右側面図である。
【図5】本発明の一実施形態の砂落とし装置の第1駆動ローラユニットを示す正面図である。
【図6】本発明の一実施形態の砂落とし装置の第1駆動ローラユニットと第1昇降手段を示す正面断面図とである。
【図7】本発明の一実施形態の砂落とし装置の第1駆動ローラユニットと第1昇降手段を示す右側面図である。
【図8】本発明の一実施形態の砂落とし装置の第2駆動ローラユニットと第2昇降手段を示す正面図である。
【図9】本発明の一実施形態の砂落とし装置の第2駆動ローラユニットを示す正面断面図である。
【図10】本発明の一実施形態の砂落とし装置の第2駆動ローラユニットと第2昇降手段を示す右側面図である。
【図11】本発明の一実施形態の砂落とし装置の第1駆動ローラユニットを上昇させた状態を示す右側面図である。
【図12】本発明の一実施形態の砂落とし装置の第2駆動ローラユニットを上昇させた状態を示す右側面図である。
【図13】本発明の一実施形態の砂落とし装置において、第1駆動ローラユニットの全ての駆動ローラの回転位相を同一にして回転させると共に、第2駆動ローラユニットの全ての駆動ローラの回転位相を同一にして回転させ、さらに、第1駆動ローラユニットの全ての駆動ローラと第2駆動ローラユニットの全ての駆動ローラとは互いの回転位相を異ならせて回転させる状態を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態の砂落とし装置において、第1駆動ローラユニットの全ての駆動ローラの回転位相を同一にして回転させると共に、第2駆動ローラユニットの全ての駆動ローラの回転位相を同一にして回転させ、さらに、第1駆動ローラユニットの全ての駆動ローラと前記第2駆動ローラユニットの全ての駆動ローラとは互いの回転位相を同一にして回転させる状態を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態の砂落とし装置において、前記第1駆動ローラユニットおよび前記第2駆動ローラユニットの複数個の駆動ローラが各々異なる回転位相で回転させる状態を示す図である。
【図16】本発明の砂落とし装置におけるその他の駆動ローラの形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかわる砂落とし装置を用いた造型ラインの一例を示す。図2は、図1の砂落とし装置(10)において後述する第2駆動ローラユニット(2)を上昇させた状態を示している。
【0011】
本実施の形態の砂落とし装置を用いた造型ラインは、鋳型(M)が搬送される上流側(図1では右側)より鋳型搬入用駆動ローラ装置(31)が配置され、次に本発明の砂落とし装置(10)が1台または直列に複数台(図1では3台)が配置され、さらにその下流に素材搬出用駆動ローラ装置(32)が配置されている。また、砂落とし装置(10)の下部には砂落とし装置(10)より落下する鋳型砂(S)を受け入れる振動コンベヤ(33)が配置され、その下流(図1では左側)には、振動コンベヤ(33)で送られてきた鋳型砂(S)を図示しない砂処理設備へ搬送するためのベルトコンベヤ(34)が配置されている。また、鋳型搬入用駆動ローラ装置(31)から砂落とし装置(10)、素材搬出用駆動ローラ装置(32)にかけて、鋳型(M)および砂落とし後の鋳物素材(W)の脱落を防ぐためにガイド(35)が設けられている(図4参照)。
【0012】
図3は本発明の一実施形態の砂落とし装置(10)の主要部を示した正面図、図4は砂落とし装置(10)の右側面図である。
本発明の砂落とし装置(10)は、鋳型(M)の幅長以上の長さを有する複数個の駆動ローラ(11)を所定間隔で並べ、前記駆動ローラ(11)を回転駆動させる少なくとも1つの駆動源(12)を備えた第1駆動ローラユニット(1)と、前記第1駆動ローラユニット(1)に連結されて該第1駆動ローラユニット(1)を上下動させる第1昇降手段(3)と、鋳型(M)の幅長以上の長さを有する複数個の駆動ローラ(21)を所定間隔で並べ、前記駆動ローラ(21)を回転駆動させる少なくとも1つの駆動源(22)を備えた第2駆動ローラユニット(2)と、前記第2駆動ローラユニット(2)に連結されて該第2駆動ローラユニット(2)を上下動させる第2昇降手段(4)、を備え、前記第1駆動ローラユニット(1)の各駆動ローラ(11)と、前記第2駆動ローラユニット(2)の各駆動ローラ(21)と、が鋳型(M)の搬送方向に交互に組み合わされて配列されている。
【0013】
前記第1駆動ローラユニット(1)は、図5、6、7に示すように所定間隔に並べられた複数個の駆動ローラ(11)の両端が平行に設けられた櫛形部材によって軸支され、前記櫛形部材は横設された連結部材によって接合され一体にされている。さらに、第1駆動ローラユニット(1)には、駆動源(12)が付設されおり、その駆動源(12)の出力軸の軸端にはスプロケット(13)が嵌着されている。また、各駆動ローラ(11)の片側軸端にもスプロケット(14)が嵌着されており、このスプロケット(14)と駆動源(12)のスプロケット(13)がローラチェーン(15)によってチェーン結合され、第1駆動ローラユニット(1)の全ての駆動ローラ(11)が同調して回転駆動される。
【0014】
さらに、第1駆動ローラユニット(1)の駆動ローラ(11)は回転軸に直交する断面形状が四角形となっている(図5、6参照)。そして第1駆動ローラユニット(1)の全ての駆動ローラ(11)は、回転位相が同一となるように全ての駆動ローラ(11)の断面形状を同一姿勢に組み付けられている(図5、6参照)。
【0015】
また、第1駆動ローラユニット(1)には、図7に示すように第1駆動ローラユニット(1)の幅方向の一端(図7では右側)に、第1駆動ローラユニット(1)を上下動させるための第1昇降手段(3)が連結されており、他端は支点(5)とされている。これにより第1昇降手段(3)を伸縮させると前記支点(5)を中心に第1駆動ローラユニット(1)の第1昇降手段(3)が連結されている端側が円弧を描きながら上下動することとなる。
【0016】
また、第2駆動ローラユニット(2)も、図8、9、10に示すように所定間隔に並べられた複数個の駆動ローラ(21)の両端が平行に設けられた櫛形部材によって軸支され、前記櫛形部材は横設された連結部材に接合され一体にされている。さらに、第2駆動ローラユニット(2)にも、駆動源(22)が付設されており、その駆動源(22)の出力軸の軸端にもスプロケット(23)が嵌着されている。また、各駆動ローラ(21)の片側軸端にもスプロケット(24)が嵌着されており、このスプロケット(24)と駆動源(22)のスプロケット(23)がローラチェーン(25)によってチェーン結合され、第2駆動ローラユニット(2)の全ての駆動ローラ(21)が同調して回転駆動される。
【0017】
さらに、第2駆動ローラユニット(2)の駆動ローラ(21)も回転軸に直交する断面形状が四角形となっている(図8、9参照)。そして第2駆動ローラユニット(2)の全ての駆動ローラ(21)も、回転位相が同一となるように全ての駆動ローラ(21)の断面形状が同一姿勢に組み付けられている(図8、9参照)。ただし、第2駆動ローラユニット(2)の駆動ローラ(21)一式は第1駆動ローラユニット(1)の駆動ローラ(11)一式より45°回転させて四角形断面の頂点をずらして、すなわち回転位相をずらして組み付けられている(図3参照)。
【0018】
そして、第2駆動ローラユニット(2)にも、図10に示すように第2駆動ローラユニット(2)の幅方向の一端(図10では左側)に、第2駆動ローラユニット(2)を上下動させるための第2昇降手段(4)が連結されており、他端は支点(6)とされている。こちらも第2昇降手段(4)を伸縮させると前記支点(6)を中心に第2駆動ローラユニット(2)の第1昇降手段(4)が連結されている端側が円弧を描きながら上下動する。なお、第2昇降手段(4)は第1昇降手段(3)の反対側に配設されている。
【0019】
そして、第1駆動ローラユニット(1)と第2駆動ローラユニット(2)は、図3に示すように互いの各駆動ローラ(11、21)が鋳型の搬送方向に交互に配列されている。
【0020】
なお、本実施の形態に用いられる第1駆動ローラユニット(1)および第2駆動ローラユニット(2)の回転駆動方法は、前述の方法に限られるものではない。例えば、ベルトを用いた回転駆動方法でもよい。また、その他のチェーン駆動方法でもかまわない。さらには、複数の駆動源を用いてもよい。
【0021】
次に、上述のように構成された砂落とし装置(10)の動きを説明する。
図示しないパンチアウト装置により鋳枠から解枠された鋳型(M)が1型ずつ鋳型搬入用駆動ローラ装置(31)上を搬送されてくる。砂落とし装置(10)では、第1駆動ローラユニット(1)および第2駆動ローラユニット(2)の駆動ローラ(11、21)がそれぞれの駆動源(12、22)により正転させられ、鋳型搬入用駆動ローラ装置(31)上を搬送されてきた鋳型(M)を、1型ずつ、砂落とし装置(10)上に移載する。
【0022】
その後、砂落とし装置(10)は、第1駆動ローラユニット(1)および第2駆動ローラユニット(2)の駆動ローラ(11、21)を正逆転または停止させながら、図11に示すように第1昇降手段(3)を伸長させ、第1駆動ローラユニット(1)の第1昇降手段(3)が連結されている端側を上昇させる。次いで第1昇降手段(3)を収縮させ、図7のように第1駆動ローラユニット(1)を水平位置まで下げる。続いて、図12のように第2昇降手段(4)を伸長させ、第2駆動ローラユニット(2)の第2昇降手段(4)が連結されている端側を上昇させる。その後第2昇降手段(4)を収縮させ、図10のように第2駆動ローラユニット(2)を水平位置まで下げる。以上のような第1駆動ローラユニット(1)と第2駆動ローラユニット(2)の上下動が繰り返し行われる。
【0023】
第1駆動ローラユニット(1)および第2駆動ローラユニット(2)の駆動ローラ(11、21)の断面形状が四角形となっているため、この四角形の頂点が駆動ローラ(11、21)の回転と第1、2駆動ローラユニット(1、2)の上下動によって、鋳型(M)が崩壊させられ、鋳物素材(W)と鋳型砂(S)に分離される。
【0024】
砂落とし終了後は、第1、2駆動ローラユニット(1、2)の各駆動ローラ(11、21)を正転させ、鋳物素材(W)を砂落とし装置(10)から素材搬出用駆動ローラ装置(32)へ搬出させる。その後、鋳型素材(W)は後工程へ搬送される。
【0025】
また、鋳物素材(W)から分離した鋳型砂(S)は、砂落とし装置(10)の下部に配置された振動コンベヤ(33)へ落下し、振動コンベヤ(33)でその下流に配置されたベルトコンベヤ(34)に送られる。その後、図示しない砂処理設備へ搬送される。
【0026】
なお、前述の駆動ローラ(11、21)の正転とは鋳型(M)を鋳型搬入用駆動ローラ装置(31)側から搬出用駆動ローラ装置(32)側に搬送させる回転方向のことをいい、逆転とは鋳型(M)を搬出用駆動ローラ装置(32)側から鋳型搬入用駆動ローラ装置(31)側に搬送させる回転方向のことをいう。
【0027】
本実施の形態における第1駆動ローラユニット(1)の駆動ローラ(11)と第2駆動ローラユニット(2)の駆動ローラ(21)の回転は、第1駆動ローユニット(1)の駆動ローラ(11)一式および第2駆動ローラユニット(2)の駆動ローラ(21)一式をユニット毎に単独で回転させてもよいし、両ユニットを同一方向もしくは相対する逆方向に回転させてもよい。さらに、インバータ等を使用して回転速度を任意に変更するようにしてもよい。
【0028】
また、第1駆動ローラユニット(1)の全ての駆動ローラ(11)と第2駆動ローラユニット(2)の全ての駆動ローラ(21)をともに同一方向へ回転させる場合、図13のように第1駆動ローラユニット(1)の全ての駆動ローラ(11)と第2駆動ローラユニット(2)の全ての駆動ローラ(21)の回転位相が異なるように回転させてもよいし、図14のように第1駆動ローラユニット(1)の全ての駆動ローラ(11)と第2駆動ローラユニット(2)の全ての駆動ローラ(21)の回転位相が同一となるように回転させてもよい。
【0029】
さらには、第1駆動ローラユニット(1)の各駆動ローラ(11)と第2駆動ローラユニット(2)の各駆動ローラ(21)を図15に示すように個々の駆動ローラ(11、21)の回転位相が各々異なるように回転させてもよい。個々の駆動ローラ(11、21)が回転位相を各々異なるように回転させられることで砂落とし装置の上を搬送されている鋳型(M)および鋳型砂(S)と分離した鋳物素材(W)が、飛び跳ねるようにして搬送されるので砂落としの効果が促進される。
【0030】
また、本発明の砂落とし装置は、第1、2駆動ローラユニット(1、2)毎に個別の昇降手段(3、4)を設けているので、前述したように第1駆動ローラユニット(1)または第2駆動ローラユニット(2)を単独で上下動させることもできるし、第1、2駆動ローラユニット(1、2)を同時に上下動させることも可能である。
【0031】
また、本実施の形態では第2昇降手段(4)を第1昇降手段(3)の反対側に配設したが、支点(6)と第2昇降手段(4)の配置を入れ替えて第1昇降手段(3)と同一側に配設させてもよい。当然、第1昇降手段(3)の配置を替えてもよい。
【0032】
図1のように本発明の砂落とし装置(10)を複数台直列に配置した場合、鋳物素材(W)の砂落とし状況により、砂落とし装置(10)で第1、2駆動ローラユニット(1、2)を上下動させずに鋳物素材(W)を素材搬出用駆動ローラ装置(32)に搬出してもよい。
【0033】
その他の実施の形態について説明をする。
前述の一実施形態では、駆動ローラ(11、21)の回転軸に直交する断面形状を四角形としているが、三角形、五角形、六角形といった多角形でもよい。また、本発明における多角形には、図16に示す丸鋸のような山形溝や凹凸溝のものも含める。以上のように本発明における駆動ローラの断面形状は機械的な引っ掛かりを有する角部のある多角形状であればよい。
なお、砂落としの状況次第では一般的な円筒の駆動ローラとすることもできる。
【0034】
また、第1駆動ローラユニットと第2駆動ローラユニットの昇降方法は、ガイドピンと昇降手段を用いて各駆動ローラユニットの両端を垂直に昇降させる構造としてもよい。
【0035】
以上の説明から明らかなように本発明の砂落とし装置および方法では、鋳型を1型ずつ上下に振動させて砂落としをすることができるので、砂落とし後も鋳物素材品を鋳型毎で管理することができる。
また、搬送装置を兼ねた砂落とし装置を直列に配置するため砂落とし装置の複数台持ちが容易となり、サイクルタイムが短いラインに対してもタイムサイクルに影響を受けることなく砂落とし時間を確保することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 第1駆動ローラユニット
2 第2駆動ローラユニット
3 第1昇降手段
4 第2昇降手段
10 砂落とし装置
11 駆動ローラ
12 駆動源
21 駆動ローラ
22 駆動源
M 注湯済み鋳型
W 鋳物素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注湯済み鋳型の幅長以上の長さを有する複数個の駆動ローラを所定間隔で並べ、前記駆動ローラを回転駆動させる少なくとも1つの駆動源を備えた第1駆動ローラユニットと、
前記第1駆動ローラユニットに連結されて該第1駆動ローラユニットを上下動させる第1昇降手段と、
注湯済み鋳型の幅長以上の長さを有する複数個の駆動ローラを所定間隔で並べ、前記駆動ローラを回転駆動させる少なくとも1つの駆動源を備えた第2駆動ローラユニットと、
前記第2駆動ローラユニットに連結されて該第2駆動ローラユニットを上下動させる第2昇降手段と、を備え、
前記第1駆動ローラユニットの各駆動ローラと前記第2駆動ローラユニットの各駆動ローラとが注湯済み鋳型の搬送方向に交互に配列されたことを特徴とする砂落とし装置。
【請求項2】
前記第1昇降手段を前記第1駆動ローラユニットの幅方向の一端に連結させ、
前記第2昇降手段を前記第2駆動ローラユニットの幅方向の一端に連結させ、
前記第2昇降手段を前記第1昇降手段の反対側または同一側に配設させる請求項1記載の砂落とし装置。
【請求項3】
前記第1駆動ローラユニットおよび前記第2駆動ローラユニットの各駆動ローラの回転軸に直交する断面形状が、多角形であることを特徴とする請求項1または2記載の砂落とし装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の砂落とし装置を1台または複数台直列に配置している砂落とし方法であって、該砂落とし装置の上に前記鋳型を1個ずつ順次搬入し、前記第1駆動ローラユニットの複数個の駆動ローラおよび前記第2駆動ローラユニットの複数個の駆動ローラを回転駆動させ前記鋳型を前記駆動ローラの回転方向に搬送する工程と、
前記第1駆動ローラユニットおよび前記第2駆動ローラユニットを上下動させる工程と、
を備えたことを特徴とする砂落とし方法。
【請求項5】
前記第1駆動ローラユニットおよび前記第2駆動ローラユニットを単独または同時に上下動させる請求項4記載の砂落とし方法。
【請求項6】
前記第1駆動ローラユニットの駆動ローラ一式または前記第2駆動ローラユニットの駆動ローラ一式を単独で回転駆動させる請求項4または5記載の砂落とし方法。
【請求項7】
前記第1駆動ローラユニットの駆動ローラ一式と前記第2駆動ローラユニットの駆動ローラ一式をともに同一方向または逆方向に回転駆動させる請求項4または5記載の砂落とし方法。
【請求項8】
前記第1駆動ローラユニットの駆動ローラ一式と前記第2駆動ローラユニットの駆動ローラ一式を任意の回転速度で回転駆動させる請求項4乃至7の内いずれか1項に記載の砂落とし方法。
【請求項9】
前記第1駆動ローラユニットおよび前記第2駆動ローラユニットの各駆動ローラの回転軸に直交する断面の形状が四角形であり、
前記第1駆動ローラユニットにおける全ての駆動ローラの回転位相が同一にして回転されると共に、前記第2駆動ローラユニットにおける全ての駆動ローラの回転位相が同一にして回転され、
さらに、前記第1駆動ローラユニットの全ての駆動ローラと前記第2駆動ローラユニットの全ての駆動ローラとは互いの回転位相を異ならせて回転される請求項4、5または8記載の砂落とし方法。
【請求項10】
前記第1駆動ローラユニットおよび前記第2駆動ローラユニットの各駆動ローラの回転軸に直交する断面の形状が四角形であり、
前記第1駆動ローラユニットにおける全ての駆動ローラの回転位相が同一にして回転されると共に、前記第2駆動ローラユニットにおける全ての駆動ローラの回転位相が同一にして回転され、
さらに、前記第1駆動ローラユニットの全ての駆動ローラと前記第2駆動ローラユニットの全ての駆動ローラとは互いの回転位相を同一にして回転される請求項4、5または8記載の砂落とし方法。
【請求項11】
前記第1駆動ローラユニットおよび前記第2駆動ローラユニットの各駆動ローラの回転軸に直交する断面の形状が四角形であり、
前記第1駆動ローラユニットおよび前記第2駆動ローラユニットの複数個の駆動ローラが各々異なる回転位相で回転される請求項4乃至8の内いずれか1項に記載の砂落とし方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−130941(P2012−130941A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285354(P2010−285354)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)