説明

鋳型列プラントのための鋳造室装置

鋳型列プラントのための鋳造室装置(1)を提供する。この鋳造室装置(1)は、室底(3)、砂供給システム(14)と連通する一つ以上の砂充填開口(22)を備えた室天井(4)、二つの室側壁(5)、加圧模型(8)を持つ交換可能な加圧模型定盤を備えかつ移動機構(9)に連結されている加圧板(6)、鋳造室(2)を開閉するために並進及び揺動運動のために取り付けられ、かつ揺動模型(12)を持つ交換可能な揺動模型定盤を備えた揺動可能板(10)であって、加圧板(6)が製造された鋳型(26,27)を追い出すことを可能にする揺動可能板(10)、により形成された鋳造室(2)を含み、室天井(4)及び砂供給システム(14)を同時に、または室底(3)を、またはそれら両方を、鋳造室装置(1)の残りに対して垂直に動かすための手段(13)を含み、それにより鋳造室(2)の高さを変えることを特徴とする。この装置により、製造される鋳型の寸法の柔軟性、特に製造される鋳型の高さが鋳造室の上の砂供給システムの形状寸法を変えることなく時間を節約して調整されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提文に記載された種類の鋳型列プラントのための鋳造室装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種類の鋳型列プラントのための鋳造室において、鋳造室の側壁を可動にしかつ側壁の位置を液圧システムにより調整することにより、鋳造室の可変寸法を提供することは知られている。このタイプの鋳造室はEP1149645A1から既知である。このタイプの鋳造室の持つ問題は、高さの変わる模型定盤を使用することができないことである。
【0003】
さらに、WO2009/074838は鋳型列プラントのための鋳造室装置を開示し、そこでは鋳造室の可変寸法は、鋳造室の寸法を減らすための取付板を使用することにより提供される。鋳造室の高さの減少に関して、鋳造室の上部壁上の取付板の挿入は砂供給システムと鋳造室の間の距離を増やし、それにより鋳造室中への砂流が不都合に影響を受けるだろう。さらに、室天井に取付板を挿入または除去することは非常に面倒であり、かつ時間がかかる。なぜならそれは非常に重い構成要素(上述の種類の取付板は数百kgの重さがある)の移動を必要とし、かつ砂供給システム内の避けられない砂の残留堆積がまた、取付板の挿入または除去時に鋳造室中に漏れるからである。
【0004】
さらに、FR2196865は砂鋳造機を開示し、そこでは砂鋳型は、模型定盤を互いに向けて押圧することにより形成される。砂鋳型が形成された後、上部板は、側壁がわずかに傾くことができ、従ってそれが成形室から追い出されるときに砂鋳型に粘着しないように上昇される。従って、たとえ上部板が垂直に可動であるとしても、砂鋳型が形成される成形室は寸法が変わらず、従って特に垂直方向に変わらない。従って成形室の容積は変わらない。
【0005】
US3654986は、マッチプレート及び枠組を採用する、いわゆるマッチプレート原理により作動するタイプの砂鋳造機を開示する。開示された機械は、高さ調整可能な受けテーブルを備えており、それは完成した鋳型を受け、それらをコンベヤと水平に置く。鋳造室自身は、受けテーブルの移動により寸法は変わらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上に参照した種類の鋳造室装置を提供することであり、それにより鋳造室中への砂流に悪影響を及ぼさない方法で製造された鋳型の寸法の増大した柔軟性を提供することを可能にし、それは特に最少の手動作業により高さを迅速に調整する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的及びさらなる目的は、室底、砂供給システムと連通する一つ以上の砂充填開口を備えた室天井、二つの室側壁、加圧模型を持つ交換可能な加圧模型定盤を備えかつ移動機構に連結されている加圧板、鋳造室を開閉するために並進及び揺動運動のために取り付けられ、かつ揺動模型を持つ交換可能な揺動模型定盤を備えた揺動可能板であって、加圧板が製造された鋳型を追い出すことを可能にする揺動可能板により形成された鋳造室を含む、鋳型列プラントのための鋳造室装置により達成される。鋳造室装置はさらに、室天井及び砂供給システムを同時に(in unison)、または室底を、またはそれら両方を、鋳造室装置の残りに対して垂直に動かすための手段を含み、それにより鋳造室の高さを変える。
【0008】
この装置は、室天井及び砂供給システムを同時に鋳造室装置の残りに対して垂直に動かすための手段を含むので、鋳造室の上の砂供給システムの形状寸法を変えることなく鋳型の高さを変えることができる。従って、鋳型の成形時に鋳造室中への砂流に悪影響を及ぼすことなく砂鋳型の高さを変えることが可能である。
【0009】
砂供給システムの形状寸法は、次の工程パラメーターのいずれかを意味する:漏斗の側面の角度、漏斗の高さ、砂充填開口の寸法、特に高さ、及び形状。さらに、鋳造室が砂で充填されている間に空気が鋳造室から逃げることができることを確保するために鋳造室の室天井内に多数の空気排出ノズルが設けられている。これらの空気排出ノズルの形状寸法、数、及び配置はまた、重要な工程パラメーターである。
【0010】
本発明の装置は、室天井及び砂供給システムを同時に鋳造室装置の残りに対して垂直に動かすための手段を含むので、これらの重要な工程パラメーターのいずれかを変えることなく鋳型の高さを変えることができる。
【0011】
室天井及び砂供給システムを同時に鋳造室装置の残りに対して垂直に動かすための手段を設けることにより、従来技術で既知の鋳造室の天井での取付板の骨の折れる交換に比較すると、異なる寸法を持つ砂鋳型の製造での非常に時間節約的な変更が達成される。
【0012】
製造ラインでの最適な操業を得るために室天井及び砂供給システムの形状寸法は不変であることが必要であるので、これに対する唯一の代替法は機械の上部の完全な改築であり、それはむしろ重い装置の長くて複雑な再配置を必要とするだろうし、従ってそれは柔軟でかつ経済的に好都合な解決策ではないだろう。
【0013】
好適な実施態様では、装置は、二つの室側壁間の方向の鋳造室の水平延長部分を変えるための手段をさらに含む。これにより、鋳造室の高さと幅の両方が使用者の必要に対して調整されることができる装置が達成される。
【0014】
これはものすごい実用的な利点である。なぜなら最も標準的な模型定盤は、高さ並びに幅で変わる多数の標準的寸法で製造され、多くの製造業者は多くの(数千であることも多い)かかる異なる模型定盤を保持するからであり、かつこれらの模型定盤は製造するのがかなり高価であるので、それらが全て本発明による鋳造室装置内で使用または再使用されることができることはばく大な利点である。例えば、DISAにより製造された砂鋳造機中で使用されるいわゆるA及びB模型定盤を使用することは一般的な慣例である。A定盤は600mmの幅及び480mmの高さを持ち、一方B定盤は650mmの幅及び535mmの高さを持つ。従って、高さまたは幅を調整することしかできない鋳造室装置はこれらのタイプの模型定盤の両方と一緒に使用されることができない。
【0015】
従って、高度に柔軟な鋳造室装置が提供され、それは同時に従来技術のシステムの重大な不利の幾つかを排除する。
【0016】
鋳造室装置の一実施態様によれば、二つの室側壁間の方向の鋳造室の水平延長部分を変えるための手段は一つまたは二つの側壁防摩板の取り付けを含む。好ましくは、二つの室側壁間の方向の鋳造室の水平延長部分を変えるための手段は一つまたは二つの側壁防摩板の取り付けを含む。これは、二つの室側壁間の鋳造室の水平延長部分を調整する好都合な方法を提供する。側壁防摩板は、従来の取付手段を使用して手動で取り付けられる。
【0017】
本発明による鋳造室装置の代替実施態様は、二つの側壁防摩板をさらに含むことができ、二つの室側壁間の方向の鋳造室の水平延長部分を変えるための手段は、二つの側壁防摩板間の距離を変えるための手段を含む。これらの手段は、例えば手動で操作される手段(例えば案内棒及びボルトとナットのような固定手段を用いて側壁防摩板を手動で動かすための手段)であることができる。
【0018】
本発明によるさらなる代替実施態様では、二つの室側壁間の方向の鋳造室の水平延長部分を変えるための手段は一つまたは二つの側壁取付板の取り付けを含むことができる。これらの取付板は好ましくは防摩板の後ろの室側壁上に置かれ、従って防摩板のみが砂鋳型と直接接触しているだろう。この方法では、鋳造室の幅を調整する安価でかつ容易な方法が提供される。なぜなら防摩板は幾つかの非常に特別な性質を持つ材料から製造されなければならないけれども、取付板に対しては厳しい要求が少ないからである。なぜならそれらは鋳造室内の砂に直接露出されないからである。
【0019】
本発明による鋳造室装置のさらなる実施態様は、側方取付板の幾つかの組み合わせを含むことができ、各組み合わせは二つの室側壁間の方向の鋳造室の個々に減少した水平延長部分を提供する。
【0020】
代替的に、本発明の一実施態様による鋳型列プラントのための鋳造室装置は側壁防摩板の幾つかの組み合わせを含むことでき、各組み合わせは二つの室側壁間の方向の鋳造室の個々に減少した水平延長部分を提供する。
【0021】
本発明による鋳造室装置の好適な実施態様では、二つの室側壁防摩板間の距離を変えるための手段は、鋳造室の少なくとも一つの室側壁上に取り付けられるのに適合した少なくとも一つの側方取付板、好ましくは二つの室側壁のそれぞれに取り付けるための等しい厚さの二つの取付板を含むことができ、側壁防摩板は前記取付板上に取り付けられている。防摩板の後ろに等しい厚さの二つの取付板を設けることにより、鋳造室の幅の対称的な減少が達成され、それにより押圧板を駆動するピストン手段上の軸方向応力を排除する。
【0022】
鋳造室装置の別の好適な実施態様では、二つの側壁防摩板間の距離を変えるための手段は、室側壁及び側壁防摩板を水平に動かすための移動手段を含む。これらの移動手段は、手動的に調整可能なスピンドル、案内棒、及び固定ボルトまたは他の手動的に調整可能な移動手段、例えばスピンドルまたはラックピニオンを含むことができる。
【0023】
好ましくは、揺動模型及び加圧模型取付板は、鋳造室の可能な減少した寸法に適合した寸法を持つ。
【0024】
別の実施態様では、鋳造室装置はさらに、室側壁と室天井及び/または室底との間の可能な隙間を閉じるための手段を含むことができる。
【0025】
室側壁と室天井及び/または室底との間の可能な隙間を閉じるための前記手段は、ゆるい挿入体及び/または防摩板の固定した延長部分を含むことができる。
【0026】
本発明による鋳造室装置の好適な実施態様はさらに、意図した使用位置に鋳造室の可動部分を定着するための手段を含むことができる。
【0027】
本発明の上述のかつさらなる目的は、鋳型列プラントの鋳造室の容積を変える方法により達成され、前記鋳造室は、室底、砂供給システムと連通する一つ以上の砂充填開口を備えた室天井、二つの室側壁、加圧模型を持つ交換可能な加圧模型定盤を備えかつ移動機構に連結されている加圧板、鋳造室を開閉するために並進及び揺動運動のために取り付けられかつ揺動模型を持つ交換可能な揺動模型定盤を備えた揺動可能板であって、加圧板が製造された鋳型を追い出すことを可能にする揺動可能板により画定され、さらにこの方法は、
− 室天井及び砂供給システムを同時に、または室底を、または両方を鋳造室装置の残りに対して垂直に動かし、それにより鋳造室の高さを変える
工程を含む。
【0028】
好適な実施態様では、この方法はさらに、二つの室側壁間の方向の鋳造室の水平延長部分を変える工程を含み、それにより製造された鋳型の高さと幅の両方が変えられる。
【0029】
この方法の一実施態様によれば、二つの室側壁間の方向の鋳造室の水平延長部分を変える工程は、一つまたは二つの側壁防摩板の取り付けの副工程を含むことができる。
【0030】
この方法の一実施態様によれば、二つの室側壁間の方向の鋳造室の水平延長部分を変える工程は、二つの側壁防摩板間の距離を変える副工程を含むことができる。
【0031】
この方法の一実施態様によれば、二つの室側壁間の方向の鋳造室の水平延長部分を変える工程は、一つまたは二つの側方取付板の取り付けの副工程を含むことができる。
【0032】
二つの側壁防摩板間の距離を変える副工程は、この方法の好適な実施態様によれば、鋳造室の室側壁の少なくとも一つの上に少なくとも一つの側方取付板、好ましくは二つの室側壁のそれぞれの上に等しい厚さの二つの取付板を取り付け、前記取付板の上に側壁防摩板を取り付ける副工程を含む。
【0033】
この方法の一実施態様によれば、二つの側壁防摩板間の距離を変える工程は、室側壁及び側壁防摩板を水平に動かす工程を含む。
【0034】
一実施態様によれば、この方法はさらに、鋳造室の可能な減少した寸法に適合した寸法を持つ揺動模型及び加圧模型取付板を準備する工程を含むことができる。
【0035】
一実施態様によれば、この方法はさらに、室側壁と室天井及び室底との間の可能な隙間を閉じる工程を含むことができる。
【0036】
この方法の一実施態様によれば、室側壁と室天井及び室底との間の可能な隙間を閉じる工程は、ゆるい挿入体及び/または防摩板の固定した延長部分を取り付けるかまたは取り外す工程を含むことができる。
【0037】
一実施態様によれば、この方法はさらに、意図した使用位置に鋳造室の可動部分を定着する工程を含む。
【0038】
一実施態様によれば、この方法は、製造された鋳型の幅及び/または高さを対称的に変える工程を含むことができる。
【0039】
本発明の第二態様は、鋳型列プラントのための鋳造室装置に関し、それは、室底、砂供給システムと連通する一つ以上の砂充填開口を備えた室天井、二つの室側壁、加圧模型取付板及び加圧模型を備えかつ移動機構に連結された加圧板、揺動模型取付板及び揺動模型を備えかつ鋳造室を開閉するために並進及び揺動運動のために取り付けられた揺動可能板であって、加圧板が製造された鋳型を追い出すことを可能にする揺動可能板により形成された鋳造室を含み、さらに、鋳造室装置がさらに、室天井と室底の間の垂直距離を変えるための手段を含む。
【0040】
本発明の第二態様による一実施態様では、室天井と室底の間の垂直距離を変えるための前記手段は、室天井及び砂供給システムを同時に、及び/または室底及び鋳型輸送装置を同時に、鋳造室装置の残りに対して垂直に動かすための移動手段の形で設けられている。
【0041】
鋳型列プラントのための鋳造室装置は、本発明の第二態様の別の実施態様によれば、二つの側壁防摩板間の距離を変えるための手段をさらに含む。
【0042】
本発明の第二態様による一実施態様によれば、二つの側壁防摩板間の距離を変えるための手段は、鋳造室の室側壁の少なくとも一つに取り付けられるのに適合した少なくとも一つの側方取付板、好ましくは二つの室側壁のそれぞれに取り付けるための等しい厚さの二つの取付板を含み、側壁防摩板は前記取付板上に取り付けられている。
【0043】
本発明の第二態様のさらに別の実施態様によれば、二つの側壁防摩板間の距離を変えるための手段は、室側壁及び側壁防摩板を水平に動かすための移動手段を含む。
【0044】
鋳造室装置は、本発明の第二態様の一実施態様によれば、鋳造室の可能な減少した寸法に適合した寸法を持つ揺動模型及び加圧模型取付板をさらに含む。
【0045】
鋳造室装置は、本発明の第二態様の一実施態様によれば、室側壁と室天井及び室底との間の可能な隙間を閉じるための手段をさらに含む。
【0046】
前記手段は、本発明の第二態様の別の実施態様によれば、ゆるい挿入体及び/または防摩板の固定した延長部分を含む。
【0047】
鋳造室装置は、本発明の第二態様の別の実施態様によれば、意図した使用位置に鋳造室の可動部分を定着させるための手段をさらに含む。
【0048】
上述された本発明の態様の一つの特徴は、それらが両立できる限り、本発明の他の態様の実施態様と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本明細書の以下の詳細な部分において、本発明は、図面に示された本発明による鋳型列プラントのための鋳造室装置の例示的な実施態様に関してより詳細に説明されるだろう。
【0050】
【図1】図1は、本発明による鋳造室装置を部分的に切り取った側面図を概略的に示す。
【0051】
【図2】図2は、図の左手側と右手側でそれぞれ二つの異なる位置の側壁及び上部壁を示す、図1の線A−Aに沿った室装置の概略的断面を示す。
【0052】
【図3A−3D】図3A−3Dは、室側壁と上部壁の間の隙間の隙間を閉じるための手段の異なる形状を示す。
【0053】
【図4】図4は、図2に対応する概略的断面を示すが、鋳造室の幅を変えるための取付板を使用する代替実施態様を示す。
【0054】
【図5】図5は、図2及び図4に対応する概略的断面を示すが、鋳造室の上部壁及び室底の両方が鋳造室の高さを変えるために垂直に動かされることができる代替実施態様を示す。
【0055】
【図6】図6は、大きな砂鋳型の製造から小さな鋳型の製造への変化の概略図を示す。
【0056】
【図7A−7C】図7A−7Cは、鋳造室の幅を減少する異なる方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の例示的な実施態様が示されている添付図面に関して本発明が以下により完全に説明されるだろう。しかし、本発明は異なる形で実現されることができ、ここに記載された実施態様に限定されると解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施態様は、この開示が完璧かつ完全であるように、かつ本発明の範囲を当業者に完全に伝達するように提供される。同様な参照番号は、全体を通して同様な要素を示す。従って、同様な要素は各図の説明に関して詳細に説明されないだろう。
【0058】
図1に示された鋳造室装置は、砂を鋳造室2中に充填するための砂供給システム14を含み、前記鋳造室2は、二つの模型8,12及び図2〜5に示された室底3及び二つの室側壁5,24及び室天井4により画定されている。
【0059】
図示された鋳型列プラントでは、加圧模型8は加圧模型取付板7上に取り付けられ、取付板7は、鋳造室内の砂を圧縮するためにかつ得られた砂鋳型を追い出すためにこの構成要素の組み合わせを水平方向に動かすために加圧ピストン棒9に連結された加圧板6上に取り付けられている。対応して、揺動模型12は、揺動可能板10上に取り付けられた揺動模型取付板11に連結されている。揺動可能板10は、鋳造室2内の砂を圧縮するために加圧模型と共働することが可能であるために、かつ製造された鋳型を追い出すためにじゃまにならないところに水平にかつ揺動運動で動かされることができるために水平運動及び揺動運動のための移動機構に周知の態様で連結されている。
【0060】
図1及び図2に見ることができるように、一組の液圧ピストンシリンダー装置13の形の移動手段が、室天井4をその天井防摩板17と共に垂直方向に動かすことができるために設けられており、それにより製造される鋳型の高さを変える。液圧ピストンシリンダー装置13は、天井防摩板17、室天井4、砂漏斗21、及び砂充填システム14の組み合わせを同時に鋳造室装置1の残りに対して動かすように構成されている。
【0061】
図2に示された実施態様では、さらなる柔軟性は、室側壁5及び側壁防摩板16を水平方向に動かす可能性を提供することにより得られ、それにより製造される鋳型の幅を変える。
【0062】
図2に示されるように、多数のボルトとナット25が、室側壁5を意図した使用位置に固定するために設けられ、室側壁5の水平運動が、好適な案内棒により案内される。
【0063】
鋳造室の隅の潜在的な開口を閉じる様々な方法が図3A−Dに示されている。図3Aでは、挿入体19が、側壁防摩板16と室天井防摩板17間に配置され、室天井4と天井防摩板17を下げることにより鋳造室の寸法を変えるときに除去され、図示のように室側壁5と防摩板16を動かす。
【0064】
図3Bに示されるように、挿入体19の対応する除去は、室側壁5及び側壁防摩板16を動かすことなく、室天井4と室天井防摩板17を垂直に動かす可能性を提供し、従って製造される鋳型の高さをその幅を変えることなく減らすにすぎない。
【0065】
図3Cは、室天井防摩板17の位置を過ぎて及ぶために側壁防摩板16をどのように適切に形成するか、そして側壁防摩板16に沿って通過する寸法を持つ室天井4及び室天井防摩板17をどのように持たせるかを示し、製造される鋳型の高さを変えるために前記室天井4及び室天井防摩板17を側壁防摩板16に沿って垂直に動かす可能性を提供する。
【0066】
図3Dには、製造される鋳型の二つの異なる寸法の可能性を提供するためにどのように挿入体20が形成されることができるかが示されており、そこでは製造される鋳型の高さと幅の両方が変えられ、挿入体20は鋳造室装置内に永久的に設置されることができる。図3Dの左に示された第一位置では、室天井防摩板17は挿入体20の水平部に連続して配置され、従って側壁防摩板16は前記挿入体20の垂直部に連続して配置される。図3Dの右に示された第二位置では、二つの防摩板16と17は隣接して配置される。
【0067】
図4には、製造される鋳型の幅と高さがどのように変えられることができるかが示されており、図4の左側は高くてかつ広い製造される鋳型を示し、右側は低くてかつ狭い製造される鋳型を示す。左に対しては、防摩板17を持つ室天井4が上方位置に配置され、側壁防摩板16は室天井防摩板17のこの位置に相当する高さを持つ。右に対しては、室天井4及び室天井防摩板17は下方位置に動かされており、側壁防摩板16は取付板23により置き換えられており、側壁防摩板16は室天井防摩板17の位置に相当する高さを持つ。異なる寸法の取付板23及び対応する側壁防摩板16が、製造される鋳型の幅と高さの幾つかの異なる構成を提供することができる。
【0068】
主要な部分で図2に対応する図5には、製造される鋳型の高さを変えるために、室底3及び室底防摩板18を垂直方向に動かすために液圧ピストンシリンダー装置13の形の底に示されたさらなる移動機構がどのように設けられるかが示されている。図5に示されるように、除去可能な挿入体19が、側壁防摩板16と室底防摩板18の間に設けられ、図3Aから3Dに対応する異なる構成が、これに関しても当然予想されることができる。
【0069】
図6は、本発明の一実施態様による鋳造室装置がどのようにして大きな高さと幅の砂鋳型26を製造することから小さな高さと幅の砂鋳型27を製造することに切り替えられることができるかを概略的に示す。砂鋳型の高さは、室天井4及び砂供給システム14(その漏斗21のみが示されている)を同時に鋳造室装置1の残りに対して垂直に下げることにより低下される。図示のように、天井防摩板17は室天井4に取り付けられている。図示目的のために、天井防摩板17は、それが鋳造機の砂供給システム14(図示せず)の漏斗21と鋳造室2との間の連結を提供する一つ以上の砂充填開口22を備えていることを示すために室天井4から離して示されている。この天井防摩板17は、通常の取付手段、好ましくはねじまたはボルトの使用を軽減する自動ロック式取付手段を使用して室天井4に取り付けられる。
【0070】
また、室側壁5は側壁防摩板16を備えており、それは通常の取付手段、好ましくはねじまたはボルトの使用を軽減する自動ロック式取付手段を使用して室側壁5に取り付けられる。図示された側壁5は、いわゆる「ベース板」と呼ばれることがあり、それは図示された実施態様では鋳造室装置1の側方フレーム28に対して可動である。
【0071】
二つの室側壁5間の方向の鋳造室2の水平延長部分を変えるために、鋳造室装置はさらに、スピンドル29及び案内棒30を含み、それらは室側壁5に作動可能に連結される。スピンドルは好ましくは回転ホイール(図示せず)を備えている。従って、このホイールを予め決められた回数で手動で回転することにより、鋳造室2の幅を非常に正確に調整することができる。装置はさらに、砂鋳型の形成時に非常に高い圧力が付与されるときに室側壁5が動くことを排除するためにそれらを希望の位置に固定するための手段を備えている。
【0072】
図6に示された加圧板装置は加圧板6を含み、その上に加圧模型取付板7が取り付けられ、前記加圧模型取付板7は鋳造室2の高さ及び幅の調整後に鋳造室2の寸法に適合される。加圧模型取付板上に、模型8を持つ加圧模型定盤31が取り付けられる。加圧模型定盤31は、一実施態様では、前に述べたいわゆるA定盤であることができ、一方、例えばいわゆるB定盤が砂鋳型26を製造するために前の製造周期で使用されることができる。同様な変更は、大きな砂形を製造することから小さな砂形を製造することに切り替えるときに揺動板装置(図示せず)が必要である。
【0073】
図7Aには、鋳造室2の一実施態様の開口が概略的に示され、そこでは幅は、室側壁5(またはいわゆるベース板5)及び側壁防摩板16を鋳造室2の側方フレーム28に対して動かすことにより減らされる。この動きは、回転ホイール32を、かつそれによりそれに連結されているスピンドル29を、鋳造室2の幅の希望の減少を達成するために希望の回転数で手動で回転することにより引き起こされる。
【0074】
図7Bには、鋳造室の各側の側壁防摩板16の後ろに厚い室側壁板5(すなわち厚いベース板5)を、通常の取付手段、好ましくはねじ及びボルトの必要性を軽減する自動ロック式取付手段を使用して取り付けることにより、鋳造室2の幅を減らす代替方法が示されている。
【0075】
図7Cに示されるように、一組の側壁取付板23が、鋳造室2の幅をある標準的な幅から別の幅に減らすために使用されることができる。対応して、二つの側壁取付板23、好ましくは等しい厚さのもの、が鋳造室2の室側壁5上への設置のために設けられる。製造される鋳型に面する側壁取付板23の側は、側壁防摩板16のための通常の取付手段を使用して側壁取付板16上に取り付けられた側壁防摩板16を備えている。鋳造室2の内側の側壁取付板23の取り付けは、鋳造室2のための側壁防摩板16のための取付手段を用いることにより実施されることが好ましく、これは、側壁取付板23を挿入する前に側壁防摩板16を除去することにより可能になる。
【0076】
図7A−7Cに示された実施態様では、鋳造室の高さは、また、希望の寸法に減少されている。さらに、図7A−7Cに概略的に示された実施態様の全てにおいて、幅が鋳造室2の両側で同じ寸法だけ減らされている。これは、加圧及び揺動板6及び10に対する圧縮力の対称的な付与を与えるだろう。
【0077】
一般的に、砂鋳型の圧縮時にシステム内の非対称的な力を避けるために加圧ピストン9の軸と鋳造室2内で製造された鋳型の重心の間の一致を維持するために製造される鋳型の幅及び高さの対称的な変化を与えることが好ましいだろう。
【0078】
上記では、本発明が幾つかの好適な実施態様に関して説明された。幾つかの修正が本発明の一般的概念から逸脱することなく以下の請求項の範囲内で実施されることができることは当業者には明らかであるだろう。かかる修正及び逸脱は、室天井及び室底の移動のための異なる移動機構を組み合わせること、及び室側壁を動かすための移動機構、及び鋳造室寸法の上述の好ましい対称的変化から逸脱する可能性を含む。
【符号の説明】
【0079】
1 鋳造室装置
2 鋳造室
3 室底
4 室天井
5 室側壁、またはベース板
6 加圧板
7 加圧模型取付板
8 加圧模型
9 加圧ピストン棒
10 揺動可能板
11 揺動模型取付板
12 揺動模型
13 液圧ピストンシリンダー装置
14 砂供給システム
16 側壁防摩板
17 天井防摩板
18 室底防摩板
19 挿入体
20 挿入体
21 砂漏斗
22 砂充填開口
23 側壁取付板
24 室側壁
25 ボルトとナット、室側方板を動かすための移動手段
26 大きな砂形
27 小さな砂形
28 鋳造室の側方フレーム
29 スピンドル
30 案内棒
31 加圧模型定盤
32 回転ホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型列プラントのための鋳造室装置(1)であって、
室底(3)、
砂供給システム(14)と連通する一つ以上の砂充填開口(22)を備えた室天井(4)、
二つの室側壁(5)、
加圧模型(8)を持つ交換可能な加圧模型定盤を備えかつ移動機構(9)に連結されている加圧板(6)、
鋳造室(2)を開閉するために並進及び揺動運動のために取り付けられ、かつ揺動模型(12)を持つ交換可能な揺動模型定盤を備えた揺動可能板(10)であって、加圧板(6)が製造された鋳型(26,27)を追い出すことを可能にする揺動可能板(10)、
により形成された鋳造室(2)、
を含む鋳造装置において、
室天井(4)及び砂供給システム(14)を同時に、または室底(3)を、またはそれら両方を、鋳造室装置(1)の残りに対して垂直に動かすための手段(13)を含み、それにより鋳造室(2)の高さを変えることを特徴とする鋳造室装置(1)。
【請求項2】
二つの室側壁(5)間の方向の鋳造室(2)の水平延長部分を変えるための手段(5,16,23,25,29,30,32)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の鋳造室装置(1)。
【請求項3】
二つの室側壁(5)間の方向の鋳造室(2)の水平延長部分を変えるための手段が、一つまたは二つの側壁防摩板(16)の取り付けを含むことを特徴とする請求項2に記載の鋳造室装置(1)。
【請求項4】
二つの側壁防摩板(16)をさらに含み、二つの室側壁(5)間の方向の鋳造室(2)の水平延長部分を変えるための手段が、二つの側壁防摩板(16)間の距離を変えるための手段(5,23,25,29,30,32)を含むことを特徴とする請求項2に記載の鋳造室装置(1)。
【請求項5】
二つの室側壁(5)間の方向の鋳造室(2)の水平延長部分を変えるための手段が、一つまたは二つの側方取付板(23)の取り付けを含むことを特徴とする請求項2に記載の鋳造室装置(1)。
【請求項6】
幾つかの組の側方取付板(23)を含み、各組が、鋳造室(2)の二つの室側壁(5)間の方向の個々の減少した水平延長部分を提供することを特徴とする請求項2に記載の鋳造室装置(1)。
【請求項7】
幾つかの組の側壁防摩板(16)を含み、各組が、鋳造室(2)の二つの室側壁(5)間の方向の個々の減少した水平延長部分を提供することを特徴とする請求項2に記載の鋳造室装置(1)。
【請求項8】
鋳造室(2)の室側壁(5,24)の少なくとも一つの上に取り付けられるのに適合した少なくとも一つの側方取付板(23)、好ましくは二つの室側壁(5,24)のそれぞれの上に取り付けるための等しい厚さの二つの取付板(23)を含む二つの側壁防摩板(16)間の距離を変えるための手段を備え、側壁防摩板(16)が前記取付板(23)上に取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の鋳造室装置(1)。
【請求項9】
二つの側壁防摩板(16)間の距離を変えるための手段が、室側壁(5,24)及び側壁防摩板(16)を水平に動かすための移動手段(25,29,30,32)を含むことを特徴とする請求項4に記載の鋳造室装置(1)。
【請求項10】
鋳造室(2)の可能な減少した寸法に適合した寸法を持つ揺動模型及び加圧模型取付板(7,11)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の鋳造室装置(1)。
【請求項11】
室側壁(5)と室天井及び室底(3,4)との間の可能な隙間を閉じるための手段(19,20)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の鋳造室装置(1)。
【請求項12】
前記手段(19,20)がゆるい挿入体(19)及び/または防摩板(16,17,18)の固定した延長部(20)を含むことを特徴とする請求項11に記載の鋳造室装置(1)。
【請求項13】
鋳造室(2)の可動部分を意図した使用位置に定着するための手段(25)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の鋳造室装置(1)。
【請求項14】
鋳型列プラントの鋳造室(2)の容積を変えるための方法であって、前記鋳造室(2)が室底(3)、砂供給システム(14)と連通する一つ以上の砂充填開口(22)を備えた室天井(4)、二つの室側壁(5)、加圧模型(8)を持つ交換可能な加圧模型定盤(31)を備えかつ移動機構(9)に連結されている加圧板(6)、鋳造室(2)を開閉するために並進及び揺動運動のために取り付けられかつ揺動模型(12)を持つ交換可能な揺動模型定盤を備えた揺動可能板(10)であって、加圧板(6)が製造された鋳型(26,27)を追い出すことを可能にする揺動可能板(10)により画定される方法において、
− 室天井(4)及び砂供給システム(14)を同時に、または室底(3)を、またはそれら両方を、鋳造室装置(1)の残りに対して垂直に動かし、それにより鋳造室(2)の高さを変える工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
二つの室側壁(5)間の方向の鋳造室(2)の水平延長部分を変える工程をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
二つの室側壁(5)間の方向の鋳造室(2)の水平延長部分を変える工程が、一つまたは二つの側壁防摩板(16)を取り付ける副工程を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
二つの室側壁(5)間の方向の鋳造室(2)の水平延長部分を変える工程が、二つの側壁防摩板(16)間の距離を変える副工程を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
二つの室側壁(5)間の方向の鋳造室(2)の水平延長部分を変える工程が、一つまたは二つの側方取付板(23)を取り付ける副工程を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
二つの側壁防摩板(16)間の距離を変える副工程が
− 鋳造室(2)の室側壁(5,24)の少なくとも一つの上に少なくとも一つの側方取付板(23)、好ましくは二つの室側壁(5,24)のそれぞれの上に等しい厚さの二つの取付板(23)を取り付け、そして
− 側壁防摩板(16)を前記取付板(23)の上に取り付ける、
副工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
二つの側壁防摩板(16)間の距離を変える工程が、室側壁(5,24)及び側壁防摩板(16)を水平に動かす工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
鋳造室(2)の可能な減少した寸法に適合した寸法を持つ揺動模型及び加圧模型取付板(7,11)を設ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項14〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
室側壁(5)と室天井及び室底(3,4)との間の可能な隙間を閉じる工程をさらに含むことを特徴とする請求項14〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
室側壁(5)と室天井及び室底(3,4)との間の可能な隙間を閉じる工程が、ゆるい挿入体(19)及び/または防摩板(16,17,18)の固定した延長部(20)を取り付けるかまたは取り外す工程を含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
鋳造室(2)の可動部分を意図した使用位置に定着する工程をさらに含むことを特徴とする請求項14〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
製造した鋳型(26,27)の幅及び/または高さを対称的に変える工程を含むことを特徴とする請求項14〜24のいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A−3D】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A−7C】
image rotate


【公表番号】特表2013−517948(P2013−517948A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550541(P2012−550541)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050321
【国際公開番号】WO2011/089585
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(599128505)ディサ インダストリーズ アクツイエセルスカプ (3)
【Fターム(参考)】