説明

鋳物砂処理方法および鋳物砂処理装置

【課題】鋳物砂が効果的に再生される鋳物砂処理方法および鋳物砂処理装置を提供する。
【解決手段】注湯される鋳型13に関する鋳型情報INcastと鋳造される凝固部15に関する凝固部情報INsolidとを取得する情報取得ステップと、情報に基づいて鋳物砂14の消失水分量および消失添加剤量を推定する消失量推定ステップと、消失量推定ステップで推定された消失水分量および消失添加剤量に基づいて、鋳物砂14に新規に追加する新規水分量および新規添加剤量を推定する添加量推定ステップと、新規水分量および新規添加剤量を鋳物砂14に添加させる添加ステップと、鋳物砂14を予備混練部6で予備混練させる予備混練ステップと、鋳物砂14を熟成容器7で熟成させる熟成ステップと、熟成させた鋳物砂14を2次混練部8で2次混練させる2次混練ステップとを順に実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋳物砂を再生させる鋳物砂処理方法および鋳物砂処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鋳型の1型ずつ、溶湯の熱影響を受けた鋳物砂と熱影響を受けていない鋳物砂とに分離し、溶湯の熱影響を受けている鋳物砂については、粘結剤の添加と水分調整を行って調整済砂とし、溶湯の熱影響を受けていない鋳物砂と調整済砂とを所定の割合で配合し、その後、最後の水分調整を行なって最終的な鋳物砂を得る方法が開示されている。
【0003】
特許文献2にも、溶湯の熱影響を受けた鋳物砂と熱影響を受けていない鋳物砂とを互いに分離した状態で回収し、溶湯の熱影響を受けている鋳物砂については、粘結剤の添加と水分調整を行って調整済砂とし、溶湯の熱影響を受けていない鋳物砂と調整済砂とを所定の割合で配合し、その後、最後の水分調整を行なって最終的な鋳物砂を得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−242745号公報
【特許文献2】特開平10−249482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した技術によれば、鋳物砂が必ずしも効果的に再生されるものではない。産業界では、鋳物砂を効果的に再生できる鋳物砂処理方法および鋳物砂処理装置の開発が要望されている。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、注湯部で注湯される鋳型に関する鋳型情報と鋳型で凝固される凝固部に関する凝固部情報とを情報取得部に格納させ、情報取得部に格納されている鋳型情報および凝固部情報に基づいて、予備混練される鋳物砂に水および添加量を追加し、更に熟成させた後に2次混練させて鋳物砂を効果的に再生する鋳物砂処理方法および鋳物砂処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る鋳物砂処理方法は、鋳物砂で鋳型を造型する造型部と、溶湯が注湯される前記鋳型に対して前記鋳物砂と前記鋳型の内で凝固された凝固部とを分離させる分離部と、前記凝固部から分離された前記鋳物砂に水および添加剤を添加して予備混練する予備混練部と、予備混練した前記鋳物砂を貯蔵して熟成させる砂熟成容器と、熟成させた前記鋳物砂に対して成分調整するための2次混練部とを用いる鋳物砂処理方法において、注湯部で注湯される前記鋳型に関する鋳型情報と前記鋳型で凝固される凝固部に関する凝固部情報とを情報取得部に取得する情報取得ステップと、前記情報取得部の前記鋳型情報および前記凝固部情報に基づいて、予備混練前の前記鋳物砂の消失水分量および消失添加剤量を推定する消失量推定ステップと、前記消失量推定ステップで推定された消失水分量および消失添加剤量に基づいて、予備混練される前記鋳物砂に新規に添加する新規水分量および新規添加剤量を推定する添加量推定ステップと、前記鋳物砂に前記新規水分量および前記新規添加剤量を添加させた状態で、前記鋳物砂を前記予備混練部で予備混練させる予備混練ステップと、予備混練された前記鋳物砂を前記熟成容器で熟成させる熟成ステップと、熟成させた前記鋳物砂を前記2次混練部で2次混練させる2次混練ステップとを順に実施することを特徴とする。
【0008】
(2)本発明に係る鋳物砂処理装置は、鋳物砂で鋳型を造型する造型部と、溶湯が注湯される前記鋳型に対して前記鋳物砂と前記鋳型の内で凝固された凝固部とを分離させる分離部と、前記凝固部から分離された前記鋳物砂に水および添加剤を添加して予備混練する予備混練部と、予備混練した前記鋳物砂を貯蔵して熟成させる砂熟成容器と、熟成させた前記鋳物砂に対して成分調整するための2次混練部と、情報取得部をもつ制御部とを具備しており、前記制御部は、注湯部で注湯される前記鋳型に関する鋳型情報と前記鋳型で凝固される凝固部に関する凝固部情報とを前記情報取得部に取得する情報取得ステップと、前記情報取得部の前記鋳型情報および前記凝固部情報に基づいて、予備混練前の前記鋳物砂の消失水分量および消失添加剤量を推定する消失量推定ステップと、前記消失量推定ステップで推定された消失水分量および消失添加剤量に基づいて、予備混練される前記鋳物砂に新規に添加する新規水分量および新規添加剤量を推定する添加量推定ステップと、前記鋳物砂に前記新規水分量および前記新規添加剤量を添加させた状態で、前記鋳物砂を前記予備混練部で予備混練させる予備混練ステップと、予備混練された前記鋳物砂を前記熟成容器で熟成させる熟成ステップと、熟成させた前記鋳物砂を前記2次混練部で2次混練させる2次混練ステップとを順に実施することを特徴とする。
【0009】
(3)本発明に係る方法および装置によれば、情報取得ステップでは、注湯部で注湯される鋳型に関する鋳型情報と、鋳型で凝固される凝固部に関する凝固部情報とを取得する。この場合、鋳型情報および凝固部情報を予め情報取得部に格納させておき、造型が完了したもしくは注湯が完了した鋳型の型式に関する物理量を検知した信号を、センサ、付帯設備および作業者の少なくとも一つが制御部に入力させることにより、注湯部で注湯された鋳型に関する鋳型情報および凝固部情報を制御部が取得することにしても良い。消失量推定ステップでは、情報取得部に取得されている鋳型情報および凝固部情報に基づいて、予備混練前の鋳物砂の消失水分量および消失添加剤量を推定する。
【0010】
添加量推定ステップでは、消失量推定ステップで推定された消失水分量および消失添加剤量に基づいて、予備混練される鋳物砂に新規に添加する新規水分量および新規添加剤量を推定する。予備混練ステップでは、鋳型を崩壊させた鋳物砂に新規水分量および新規添加剤量を添加させた状態で、鋳物砂を予備混練部で予備混練させる。熟成ステップでは、予備混練された鋳物砂を熟成容器で熟成させる。2次混練ステップでは、熟成させた後の鋳物砂を2次混練部で2次混練させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、情報取得ステップにおいて、注湯部で注湯される鋳型に関する鋳型情報と鋳型で凝固される凝固部に関する凝固部情報とを情報取得部に取得する。取得した鋳型情報および凝固部情報に基づいて鋳物砂を効果的に再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1に係り、装置全体のブロック図である。
【図2】情報取得部のエリアの一部を示す図である。
【図3】実施例1に係り、貯蔵容器に貯蔵されている鋳物砂の積層構造の一例を示す断面図である。
【図4】実施例1に係り、制御部が実行するフローチャートの一部を示す図である。
【図5】他の実施例に係り、複数の貯蔵容器および複数の熟成容器が装備されている構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一視点によれば、予備混練前の鋳物砂は、貯蔵容器に貯蔵されている。また本発明の一視点によれば、予備混練前の鋳物砂を貯蔵する貯蔵容器が設けられている。本発明の一視点によれば、分離部で分離された鋳物砂に冷却剤を添加して鋳物砂を冷却させる冷却部を有する。冷却剤としては水が例示される。この場合、制御部は、情報取得部に格納されて取得されている鋳型情報および凝固部情報に基づいて、鋳物砂に添加すべき冷却剤の量を推定して添加する冷却ステップを実施することが好ましい。
【0014】
本発明の一視点によれば、鋳型情報は、鋳型の重量および/または体積、凝固部と鋳型とが互いに接触する接触面積、鋳型を構成する鋳物砂に含まれる水分の量、鋳型を構成する鋳物砂に含まれる添加剤の量のうちの少なくとも一つである。好ましくは、凝固部情報は、凝固部の重量および/または体積、凝固部の表面積、注湯温度のうちの少なくとも一つである。
【0015】
本発明の一視点によれば、情報取得部は、分離部で分離された鋳物砂および凝固部以外の異物の重量および/または体積に関する物理量を格納させて取得する異物情報取得部を有する。制御部は消失量推定部ステップにおいて、異物の重量および/または体積に関する物理量を考慮して、すなわち、異物を含まないで且つ貯蔵容器に貯蔵されている鋳物砂の消失水分量および消失添加剤量を推定する。
【0016】
本発明の一視点によれば、好ましくは、予備混練ステップにおいて鋳物砂に添加される添加剤の量M2は、2次混練ステップにおいて鋳物砂に添加される添加剤の量M3よりも多い(M2>M3)。予備混練ステップ後に実施される熟成ステップにおいて、鋳物砂の熟成効果を高め、鋳物砂の高品質化を図るためである。
【0017】
好ましくは、2次混練ステップにおいて鋳物砂に添加される水量W3は、予備混練ステップにおいて鋳物砂に添加される水量W2よりも多い(W3>W2)。水量W2が相対的に少ないのは、熟成容器で熟成させた鋳物砂を熟成容器から良好に排出させるためである。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施例1について図1〜図4を参照して具体的に説明する。本実施例に係る鋳物砂処理装置は、(i)鋳物砂で鋳型13を造型する造型部1と、(ii)溶湯が注湯される鋳型13に対して鋳物砂と鋳型13の内で溶湯が凝固された凝固部15とを分離させる分離部2と、(iii)地金やダマ等の異物を除去させる異物除去部3と、(iv)凝固部15から分離され且つ異物除去された鋳物砂14に、冷却剤として機能する冷却水を添加して鋳物砂14を冷却させる冷却部4と、(v)冷却部4で冷却された鋳物砂14を予備混練ステップの前に一時的に貯蔵する貯蔵容器5と、(vi)貯蔵容器5から吐出させた鋳物砂14に水および添加剤の双方を添加して混練する予備混練部6と、(vii)予備混練した鋳物砂14を貯蔵して熟成させる熟成容器7と、(viii)熟成容器7で熟成させた鋳物砂14に対して最終的な成分調整をするための2次混練部8と、(ix)制御部9とを有する。
【0019】
制御部9は、入力処理回路90と、出力処理回路91と、CPU93と、データを取得する記憶部として機能する情報取得部94(以下、取得部ともいう)とを有する。取得部94は、制御部9に搭載されているメモリ、ハードディスク等の内部記憶媒体とされているが、CDR、メモリカード、USBメモリ等の外部記憶媒体で形成されていても良い。本実施例に係る装置では、N種類の鋳物が鋳造可能である。従って、異なる鋳造キャビティをもつN種類の鋳型13が造型部1の造型機で造型可能である。
【0020】
造型ステップにおいて造型部1では、造型機が鋳型13を連続的に造型する。鋳型13を構成する鋳物砂14は、水分および添加剤を含む生砂で形成されている。代表的な添加剤としてはベントナイトが例示される。鋳型13が造型機で造型されると、情報取得ステップが実行され、造型機のセンサ1sから、造型された各鋳型13の型式情報S1がそれぞれ制御部9に入力され、取得部94の所定のエリアに格納されて取得される。これに限らず、作業者がスイッチおよび/またはパソコンなどから、造型された鋳型13の型式情報S1を取得部94の所定のエリアに格納させて取得させても良い。
【0021】
ここで、鋳型13の型式情報S1(S1、S1、S1、S1……)とその鋳型13に関する鋳型情報INcastとの関係は、制御部9の取得部94のエリアに予め格納されている(図2参照)。更に、鋳型13の型式情報S1(S1、S1、S1、S1……)とその鋳型13で凝固される凝固部15に関する凝固部情報INsolidとの関係は、制御部9の取得部94のエリアに予め格納されている(図2参照)。従って、鋳型13の型式情報S1(S1、S1、S1、S1……)が制御部9および/または作業者により認識されると、制御部9および/または作業者は、その鋳型13に関する鋳型情報INcastと、その鋳型13で凝固される凝固部15に関する凝固部情報INsolidとを把握することができる。なお、上記した型式情報S1は、型式それ自体ではなく、その鋳型13に関する物理量としても良い。
【0022】
ここで、鋳型情報INcastは鋳型13に関する情報であり、鋳型13の鋳物砂部分の重量および/または体積、鋳型13で溶湯が凝固する凝固部15と鋳型13とが互いに接触する接触面積(鋳型13のうち溶湯の熱を受けて水分および添加物が低減する面積に対応する)、当該接触面積において鋳型13のうち溶湯の熱を受ける厚み(鋳型13のうち溶湯の熱を受けて水分および添加物が低減される鋳物砂厚みに対応する)、注湯される鋳型13を構成する鋳物砂14に含まれている水分の量、注湯される鋳型13を構成する鋳物砂14に含まれている添加剤の量、溶湯や凝固部15と鋳型13との接触時間(鋳物砂14の水分および添加物が低減される量に関係する)等を含む。なお、鋳型13の鋳物砂体積に比重を乗算すれば、鋳型13の重量が求められる。
【0023】
また、凝固部情報INsolid は、凝固部15の重量および/または体積、凝固部15の表面積(鋳型13のうち溶湯の熱影響を受ける部分に対応する)、注湯温度(鋳型13のうち溶湯の熱影響を受ける度合に対応する)を含む。凝固部15は、溶湯を凝固させた部位であり、製品となる鋳物の他に、湯道、湯口、堰における凝固部位を含む。S/M比はsand/metalの重量比、すなわち、一の鋳型13あたりの鋳物砂14/凝固部15の重量比である。溶湯が流れる湯道、湯口、堰の面積も増加すると、鋳物砂14の熱劣化に影響する。なおS/M比は鋳型情報INcastとして位置付けても良い。なお、鋳型情報INcastおよび凝固部情報INsolidとは、その型式をもつ鋳型13について固有なものである。
【0024】
次に、注湯部15において注湯ステップが実施される。注湯部15では、造型部1の造型機で造型された鋳型13の鋳造キャビティ13xに、鋳鉄系(例えば片状黒鉛鋳鉄および/または球状黒鉛鋳鉄)の高温の溶湯(例えば1300〜1600℃の範囲内)が注湯される。注湯が完了すると、情報取得ステップが再び実行される。この情報取得ステップでは、注湯機のセンサ15sから、注湯部15の注湯機で注湯が完了した鋳型13に関する鋳型13の型式情報S1(S1、S1、S1、S1……等、鋳型情報INcastの一部)を制御部9の取得部94の所定のエリアに格納させて取得する。この場合、注湯が完了した鋳型13の型式情報S1を、作業者がスイッチ、パソコンなどから制御部9の取得部94のエリアに鋳型情報として取得させても良い。
【0025】
本実施例においては、注湯部15で鋳型13に溶湯が注湯される。注湯される溶湯は鋳型13のキャビティ13xにおいて次第に凝固して凝固部15となる。注湯完了された鋳型13が後工程に送り出されることを検知する送り出しセンサ15sが設けられている。送り出しセンサ15sおよび/または作業者から制御部9に入力されて取得部94の所定のエリアに取得される。これにより開始時刻t0から所定時間t1経過する時刻までに、注湯部15から後工程に送り出された鋳型13の個数の情報Snum、その順番、送り出された鋳型13の型式情報S1が、制御部9の取得部94のエリアに鋳型情報として格納されて把握される。
【0026】
なお、注湯がされなかった鋳型13に対しては、水分および添加物が基本的には消耗されないため、送り出しセンサ15sまたは作業者が操作するスイッチまたはパソコンなどにより、未注湯の信号が制御部9に入力され、取得部94の所定のエリアに格納させて取得される。これにより注湯部15から後工程に搬送されたものの、未注湯の鋳型13の個数の情報Sno-num、その順番、その鋳型13の型式情報S1が制御部9の取得部94のエリアに鋳型情報として格納されて把握される。
【0027】
次に、分離部2において分離ステップを実施する。この場合、凝固部15を埋設している鋳型13を分離部2の崩壊装置が崩壊させる。これにより溶湯が凝固した後の鋳型13が崩壊した鋳物砂14と、溶湯が凝固した凝固部15とに分離させる。前述したように凝固部15は、製品鋳物の他に、湯口、湯道、堰の鋳鉄凝固部分を含む。分離部2において存在している鋳物砂14の重量Wsepの信号は、分離部2のセンサ2sから制御部9に入力され、取得部94の所定のエリアに鋳型情報として格納されて取得される。場合によっては、分離部2において存在している鋳物砂14の重量Wsepの信号を、作業者がスイッチおよび/またはパソコンから制御部9に入力させ、取得部94の所定のエリアに取得させても良い。
【0028】
次に、異物除去部3において異物除去ステップを実施する。この場合、鋳物砂14に含まれている地金やダマ等の異物14yを鋳物砂14から分離させる。これにより鋳物砂14に対して異物14yを除去させる。異物14yの重量Wfは、重量センサである異物センサ3sで検知され、異物センサ3sからその信号は制御部9に入力され、取得部94の所定のエリアに鋳型情報INcastおよび異物の重量として取得される。異物14yの重量Wfは、鋳物砂14の重量として計測されないように、制御部9の取得部94の所定のエリアに鋳型情報INcastおよび異物の重量として取得される。これにより鋳型13を崩壊させた後の鋳物砂14の正確な重量が異物14yを含まない状態で把握される。異物除去部3において存在している鋳物砂14の重量Wdiffeの信号は、異物除去部3のセンサ30sから制御部9に入力され、取得部94の所定のエリアに鋳型情報INcastとして格納されて取得される。場合によっては、異物除去部3において存在している鋳物砂14の重量Wdiffeの信号を、作業者がスイッチおよび/またはパソコンから制御部9に入力させ、取得部94の所定のエリアに鋳型情報として格納させて取得させても良い。
【0029】
次に、冷却部4で冷却ステップを実施する。この場合、冷却部4において、分離部2で分離され且つ異物14yが除去された鋳物砂14に水(冷却剤)を水量W4として添加し、鋳物砂14を冷却させる。ここで、冷却部4は、鋳物砂14に水を添加させて混合体とする冷却容器41と、混合体を収容する雰囲気を減圧させることにより水の気化を促進させ、水の気化による潜熱により吸熱作用を発生させ、鋳物砂14の温度を低下させる減圧器42とを有する。冷却部4において存在している鋳物砂14の重量Wcoolの信号は、冷却部4のセンサ4sから制御部9に入力され、取得部94の所定のエリアに鋳型情報INcastとして取得される。場合によっては、冷却部4において存在している鋳物砂14の重量Wcoolの信号を、スイッチおよび/またはパソコンから作業者が制御部9に入力させ、取得部94の所定のエリアに鋳型情報INcastとして取得させても良い。
【0030】
本実施例によれば、制御部9は冷却剤推定ステップを実施し、今までの情報格納ステップにより取得部94に格納されている鋳型情報INcastおよび凝固部情報INsolidに基づいて、制御部9または作業者は、冷却ステップにおいて鋳物砂14に添加すべき水(冷却剤)の量W4を求める。
【0031】
このような冷却剤推定ステップでは、上記した鋳型情報INcastおよび凝固部情報INsolidと、冷却ステップにおいて鋳物砂14に添加すべき水(冷却剤)の量W4との関係を規定するマップおよび/または演算式が、制御部9の取得部94の所定のエリアに予め取得されている。制御部9は、上記したように取得された各鋳型情報INcastおよび凝固部情報INsolidに基づいて、殊に、鋳型13において溶湯と鋳型13とが伝熱的に接触する接触面積Scontactと、溶湯の熱が鋳型13に熱影響させる鋳物砂厚みTcontact、注湯温度等のデータに基づいて、マップおよび/または演算式から、冷却ステップにおいて鋳物砂14に添加すべき水(冷却剤)の量W4を求める。接触面積Scontact、鋳物砂厚みTcontactおよび注湯温度は、基本的には、注湯時において鋳型13に含まれている水分消失量に大きな影響を与えると考えられるためである。場合によっては、冷却部4に供給する直前の鋳物砂の水分量を水分センサで作業者が計測し、水分センサの結果に応じて水の量W4を求め、作業者がそれをパソコンやスイッチ等から制御部9に入力させて取得部94の所定のエリアに格納させて取得させることにしても良い。
【0032】
制御部9または作業者は、それに相当する水の量W4を給水装置43から冷却部4の鋳物砂14に添加する。冷却ステップで鋳物砂14に添加させた水の量W4の信号S4は、水添加済みとして、制御部9または作業者により制御部9の取得部94の所定のエリアに格納される。
【0033】
次に、予備混練に先立って、貯蔵容器5において貯蔵ステップを実施する。貯蔵ステップの目的は、鋳物砂に含まれる添加剤の吸水率を高めるためである。この場合、冷却ステップで冷却された鋳物砂14を貯蔵容器5の上端の入口5iから貯蔵容器5の貯蔵室に装入させて、一時的に貯蔵容器5の貯蔵室に貯蔵させる。なお、貯蔵容器5の数は、造型部1で造型される鋳型13の数に比較して遙かに少ない。貯蔵容器5の数は単数でも良いし、複数でも良い。なお、複数の場合には、貯蔵容器5に対して貯蔵させる順番が予め規定されており、その複数の貯蔵容器5に順番に満杯となるように貯蔵させることが予め規定されており、その順番、貯蔵容器5の流路断面積、高さ等のデータは、取得部94の所定のエリアに予め格納されている。
【0034】
ここで、例えば、開始時刻toから所定時間t1経過する時刻まで、鋳型13fについては個数N1個、鋳型13sについては個数N2個、鋳型13tについては個数N3個がその順に造型され、且つその順に注湯され、後工程に送り出されていると仮定する。鋳型13f,13s,13tの識別は、センサ1s,センサ15sまたは作業者により制御部9の取得部94に格納された信号により識別される。
【0035】
この場合、注湯部15から後工程に搬送された注湯後の鋳物砂14の合計重量Wtotalについては、基本的には、次のように演算で求められる。すなわち、1個の鋳型13fの重量W100、注湯部15から後工程に供給された鋳型13fの個数N1は、それぞれ既知であり、取得部94に取得されている。更に、1個の鋳型13sの重量W200、注湯部15から後工程に供給された鋳型13fの個数N2は、既知であり、取得部94の所定のエリアに取得されている。更に、1個の鋳型13tの重量W300、注湯部15から後工程に供給された鋳型13tの個数N3は、既知である。これらの情報は、前述したようにセンサ1s,15sからの信号および/または作業者による入力により、取得部94のエリアに取得されている。なお、異物の重量Wfを、鋳物砂14として計測しないように、注湯部15から後工程に搬送された鋳物砂14の重量から減算することが好ましい。fは関数を示す。α1は補正係数を示す。
【0036】
Wtotal=f[(W100×N1+W200×N2+W300×N3−Wf)×α1]
ここで、貯蔵容器5の底部には、貯蔵容器5内に貯蔵されている鋳物砂14の貯蔵重量を検知する貯蔵量センサ5sが配置されている。貯蔵量センサ5sで検知された鋳物砂14の貯蔵重量の信号W5は制御部9に入力され、取得部94に取得される。ここで、貯蔵容器5の出口5pから吐出された鋳物砂14の吐出量Wdischargeは、貯蔵量センサ5sからの信号に基づいて求められる。具体的には、出口5pを閉鎖されている状態で貯蔵容器5に貯蔵されている鋳物砂14の重量を貯蔵量センサ5sにより検知する。これをWbeforeとする。出口5pをいったん開放させ、貯蔵容器5に貯蔵されている鋳物砂14を出口5pから吐出させた後に、再び出口5pを閉鎖した状態で、貯蔵容器5に貯蔵されている鋳物砂14の重量を貯蔵量センサ5sで検知する。、これをWafter(Wbefore>Wafter)とする。このとき、貯蔵容器5からの1回の吐出にあたり、貯蔵容器5の出口5pから貯蔵容器5の外部に吐出された鋳物砂14の吐出重量Wdischargeは、基本的には、演算で次のように求められる。fは関数を示す。α2は補正係数を示す。Wdischarge=f[(Wbefore−Wafter)×α2]
貯蔵容器5の出口5pが開いて貯蔵容器5内の鋳物砂14を出口5pから吐出させる度に、貯蔵容器5から吐出された鋳物砂14の吐出重量Wdischargeが制御部9により求められる。貯蔵容器5から鋳物砂が吐出される吐出回数NAについても、貯蔵容器5に設けられている出口5pを開放させる蓋5mの開放を検知する蓋開放スイッチ5cの信号が制御部9に入力され、取得部94の所定のエリアに取得されることにより、制御部9により検知される。
【0037】
従って、貯蔵容器5の出口5pの蓋5mが開放作動して出口5pが開放された開放回数を考慮すると、開始時刻t0から所定時間t1経過した時刻において、貯蔵容器5内の鋳物砂14を出口5pから吐出された合計吐出重量Wd-totalが求められる。上記した結果、WtotalおよびWd-totalは制御部9により既知となる。
【0038】
更に、分離部2に存在する鋳物砂14の重量Wsepは、センサ2sにより既知であり、制御部9に検知されている。異物除去部3に存在する鋳物砂14の重量Wdiffeは、センサ30sにより既知であり、制御部9に検知されている。冷却部4に存在する鋳物砂14の重量Wcoolは、センサ4sにより既知であり、制御部9に検知されている。このため貯蔵容器5の収容室に現在貯蔵されている鋳物砂の重量を推定する推定重量Winは、基本的には次のように推定される。fは関数を示す。αinは補正係数を示す。補正係数αinは砂処理装置の構造に応じて適宜設定できる。
【0039】
Win=f[(Wtotal−Wd-total−Wsep−Wdiffe−Wcool)×αin]
ここで、貯蔵容器5の収容室に貯蔵されている鋳物砂の実際の重量は、貯蔵容器5の貯蔵量センサ5sによりWin-sensingとして常時検知され、制御部9に常時入力されている。推定重量Winと検知重量Win-sensingとの比(Win/Win-sensing)をβとする。βが所定範囲内(β1<β<β2)であるとき、上記した推定は正しいとされる。なお、βが所定範囲(β1<β<β2)以外であるとき、上記した推定は誤差が累積されている可能性があるとして、警告部200に警告を発する。なお、β1,β2は試行錯誤的に鋳物砂14の種類、季節等の要因に応じて適宜設定できる。
【0040】
このため、制御部9は、上記した情報に基づいて、現在の貯蔵容器5の内部における鋳物砂14の積層状態および積層高さを把握することができる。あるいは、作業者が現在の貯蔵容器5の内部における鋳物砂14の積層状態および積層高さを推定し、その信号を制御部9に入力させて取得部94に格納させても良い。ここで、貯蔵容器5から鋳物砂14が吐出されていない場合には、貯蔵容器5における鋳物砂14の積層状態は、図3の(a)に示すように、造型および注湯された鋳型13が崩壊した鋳物砂14の順番である。上記した例に基づけば、貯蔵容器5の出口5pから入口5iに向けて、N1個の鋳型13fに相当する鋳物砂層13fo、N2個の鋳型13sに相当する鋳物砂層13so、N3個の鋳型13tに相当する鋳物砂層13toが順に積層されている。
【0041】
例えば、予備混練部6に1回あたり投入される鋳物砂14の重量をWset(Wset>鋳物砂層13fo)とする。重量Wsetの鋳物砂は、貯蔵容器5の出口5p側に存在する。この場合、貯蔵容器5の出口5p側に存在する鋳物砂が予備混練部6に1回投入されると、図3の(b)に示すように、貯蔵容器5における鋳物砂14の積層状態は、貯蔵容器5の出口5pから入口5iに向けて、鋳物砂層13soの一部である鋳物砂層13soa、N3個の鋳型13tに相当する鋳物砂層13toが順に積層されている。なお、貯蔵容器5に新規に投入される鋳物砂は、鋳物砂層13toの上に積層される。
【0042】
以上のように予備混練部6で予備混練が実施されるごとに、貯蔵容器5における出口5p付近に存在する鋳物砂14の重量Wsetに相当するぶんの鋳物砂14が、貯蔵容器5の出口5pから差し引かれる。制御部9または作業者は、予備混練部6に1回あたり投入される鋳物砂が、いずれの型式の鋳型13の鋳物の砂であるかを認識することができる(ステップS100)。本実施例によれば、このような予備混練に先立ち、貯蔵容器5に貯蔵されていた鋳物砂14を予備混練機の内部に投入させる。予備混練機に投入される鋳物砂14に対して消失量推定ステップを実施する。この場合、取得部94のエリアに取得されている鋳型情報INcastおよび凝固部情報INsolid に基づいて、制御部9は、溶湯の高熱により鋳物砂14において水分が除去された消失水分量Wremovalと、溶湯の高熱により鋳物砂14において添加剤が焼死されて消失した消失添加剤量Mremovalとを推定する(ステップS200)。
【0043】
この場合、制御部9により貯蔵容器5の内部の鋳物砂14の積層状態が推定されている。このため、貯蔵容器5の出口5pから予備混練部6に投入される鋳物砂14が鋳型13fに由来するのか、鋳型13sに由来するのか、鋳型13tに由来するのかが判別される。更に、冷却部4で鋳物砂14に添加された水の量W4、冷却部4において鋳物砂14から気化により減少された水の量も、マップおよび/または演算式により既知であり、取得部94の所定のエリアに取得されている。
【0044】
従って、制御部9は、予備混練部6に投入される鋳物砂14について溶湯の高熱により水分が除去されている消失水分量Wremovalを推定する。更に制御部9は、予備混練部6に投入される鋳物砂14について溶湯の高熱により添加剤が除去されている消失添加剤量Mremovalを推定する。ここで、高温の溶湯が注湯された鋳型13において、溶湯と鋳型13とが伝熱的に接触する接触面積Scontactと、溶湯の熱が鋳型13に熱影響させる鋳物砂厚みTcontactとは、各鋳型13において固有値である。従って消失水分量Wremovalは、基本的には次のように推定される。ここで、消失水分量Wremovalおよび消失添加剤量Mremovalは、基本的には次のように推定される。fは関数を示す。αwr-contac、αmr-contactは補正値を示す。なお、補正値αwr-contac、補正値αmr-contactは砂処理装置の構造、鋳型、季節、外気の湿度等に応じて変更できる。
【0045】
Wremoval=f(Scontact×Tcontact×αwr-contact)
Mremoval=f(Scontact×Tcontact×αmr-contact)
なお、消失水分量Wremovalについては、貯蔵容器5の出口5pから吐出され且つ予備混練される直前の鋳物砂14に含まれている水分含有量を実際に水分センサで水分を計測し、その計測値から消失水分量Wremovalを求めることにしても良い。
【0046】
次に添加量推定ステップを実施する。この場合、消失量推定ステップで推定された消失水分量Wremovalおよび消失添加剤量Mremovalに基づいて、鋳型13を構成する鋳物砂14において不足する不足水分量Wshortageおよび不足添加剤量Mshortageを推定する(ステップS300)。不足水分量Wshortageは、消失水分量Wremovalにほぼ対応すると考えることができる。不足添加剤量Mshortageは、消失添加剤量Mremovalにほぼ対応すると考えることができる。このため、鋳物砂14において不足する不足水分量Wshortageおよび不足添加剤量Mshortageを次のように推定する。ここで、fは関数を示す。α4,α5は補正係数を示す。補正係数α4,α5は、砂処理装置の構造、鋳型、季節、外気の湿度等に応じて変更できる。
【0047】
Wshortage=f(Wremoval×α4)
Mshortage=f(Mremoval×α5)
この場合、不足水分量Wshortageに相当する水分量W2と、不足添加剤量Mshortageに相当する添加剤量M2を推定し(ステップS400)、水分量W2および添加剤量M2を、予備混練部6で予備混練される鋳物砂14にそれぞれ添加させる(ステップS500)。この状態で予備混練部6で鋳物砂14を攪拌具で攪拌させて予備混練させる(予備混練ステップ)。これにより溶湯の熱影響を受けた鋳物砂14の水分量および添加物量は調整される。
【0048】
次に、熟成容器7において熟成ステップを実施する。この場合、予備混練ステップにおいて予備混練された鋳物砂14を熟成容器7に装入する。その状態で所定時間(例えば1〜4時間の範囲内)鋳物砂14を保持し、熟成容器7内で鋳物砂14を熟成させる。添加物の代表例であるベントナイトは、鋳物砂14に配合され且つ水を吸収した状態で貯蔵されて熟成されると、熟成時間の経過につれて鋳物砂14の粘結性が次第に増加するため、鋳物砂14の流動性が低下する。
【0049】
熟成ステップが終了したら、次に、2次混練部8において2次混練ステップを実施する。この場合、熟成容器7の出口7pから吐出させた熟成後の鋳物砂14を2次混練機に投入させ、2次混練させる。この状態で2次混練部8内の鋳物砂14に水を添加させる。ここで、2次混練ステップにおいて鋳物砂14に添加される水量をW3とする。2次混練ステップにおいて添加される水量W3は、予備混練ステップにおいて添加される水量W2よりも多い(W3>W2)。また、2次混練ステップにおいて添加剤を添加させる必要があれば、添加剤を鋳物砂14に添加する。2次混練ステップにおいて添加される添加剤の量をM3とする。2次混練ステップを終えた鋳物砂は良好に再生されているため、造型部1に供給され、造型部1における造型機で鋳型13が造型される。鋳型13は有枠でも良いし、無枠でも良い。
【0050】
ここで、鋳物砂14に添加される水については、予備混練ステップにおいて添加される水量W2を、2次混練ステップにおいて添加される水量W3よりも多くすること(W2>W3)も考えられる。しかしこの場合、熟成容器7において熟成される鋳物砂14に含まれている水分量が多めとなる。ひいては、熟成容器7において熟成されている鋳物砂14の粘結性が過剰となり、熟成容器7において熟成されている鋳物砂14の流動性が低下するおそれがある。この場合、熟成ステップが終了したとき、熟成された鋳物砂14が熟成容器7の出口7pから吐出されにくくなる問題がある。これを考慮してW3>W2とし、2次混練ステップにおいて水を鋳物砂14に追加させることにしている。
【0051】
また、鋳物砂14に添加される添加剤の量については、2次混練ステップにおいて添加される添加剤の量M3を、予備混練ステップにおいて添加される添加剤の量M2よりも多くすること(M3>M2)も考えられる。しかしこの場合には、熟成容器7で熟成されている鋳物砂14における添加剤の量が少な目となる。ひいては、熟成ステップにおいて鋳物砂14の熟成効果が充分に得られず、熟成された鋳物砂14の粘結性が充分に得られないおそれがある。ここで、添加剤が添加されている鋳物砂14の粘結性は、時間が経過すると、次第に増加する性質を有する。従って、熟成ステップを終えた後の2次混練ステップにおいて多量に添加剤を鋳物砂14に添加したとしても、熟成時間が短いため、鋳物砂14の粘結性が充分に得られないおそれがある。この点本実施例によれば、鋳物砂14に添加される添加剤の量については、M2>M3の関係とされている。このため、添加剤の必要される量は予備混練ステップにおいてほとんど添加されて混練される。従って、添加剤を含む鋳物砂14の熟成時間が充分に確保され、鋳型13を造型する鋳物砂14の粘結性が充分に得られ、鋳型13の強度を高めるのに貢献できる。
【実施例2】
【0052】
本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。注湯部15で鋳型13のキャビティに注湯する取鍋に保持されている溶湯が空になったら、注湯ステップが所定時間停止される。このため注湯が完了した鋳型13を後工程に搬送させることは、中断される。この場合であっても、異物除去部3における異物除去ステップ,冷却部4における冷却ステップ,貯蔵容器5における貯蔵ステップ,予備混練部6における予備混練ステップ、2次混練部8における2次混練ステップがそれぞれ実施されている。このため中断時間が所定時間を超えると、異物除去部3において存在している鋳物砂,冷却部4において存在する鋳物砂,貯蔵容器5に存在する鋳物砂、予備混練部6に存在する鋳物砂、2次混練部8に存在する鋳物砂がいったん空になる。これによりリセットできる。このように途中でリセットすれば、各物理量の誤差が長時間にわたり累積されることが抑制される。このため異物除去部3において存在している鋳物砂,冷却部4において存在する鋳物砂,貯蔵容器5に存在する鋳物砂、予備混練部6に存在する鋳物砂、2次混練部8に存在する鋳物砂を空にするリセットステップを必要に応じて適宜実施することが好ましい。
【実施例3】
【0053】
本実施例は実施例1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。但し、2次混練ステップにおいて鋳物砂14に添加される水量W3は、予備混練ステップにおいて鋳物砂14に添加される水量W2と同程度とされている(W3≒W2,W3=W2)。これにより鋳物砂14に充分に吸水させることができる。但し、熟成容器7で熟成されている鋳物砂の粘結性が向上し、鋳物砂14の流動性が低下するため、熟成容器7の出口7pの開口面積は大きくされていることが好ましい。
【実施例4】
【0054】
図5は実施例4を一部を示す。本実施例は実施例1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。本実施例によれば、貯蔵容器5の数は、造型部1で造型される鋳型13の数に比較して遙かに少ない。図5に示すように、貯蔵容器5は複数個(本例では3個)とされており、第1貯蔵容器5a、第2貯蔵容器5bおよび第3貯蔵容器5cをもつ。冷却ステップで冷却された鋳物砂14は、第1貯蔵容器5aの貯蔵室から順に装入され、第1貯蔵容器5aの貯蔵室が満杯となったら、第2貯蔵容器5bの貯蔵室に装入され、第2貯蔵容器5sの貯蔵室が満杯となったら、第3貯蔵容器5cの貯蔵室に装入される。
【0055】
熟成容器7の数は、造型部1で造型される鋳型13の数に比較して遙かに少ない。熟成容器7は複数個(本例では3個)とされており、第1熟成容器7a、第2熟成容器7bおよび第3熟成容器7cをもつ。冷却ステップで冷却された鋳物砂14は、第1熟成容器7aの熟成室から順に装入され、第1熟成容器7aの熟成室が満杯となったら、第2熟成容器7bの熟成室に装入され、第2熟成容器7sの熟成室が満杯となったら、第3熟成容器7cの熟成室に装入される。
【実施例5】
【0056】
本実施例は実施例1〜4と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。本実施例によれば、図1に示されている冷却部4が設けられていない。異物除去部3を経た鋳物砂は、所定時間放置された後、貯蔵容器5に貯蔵される。
【実施例6】
【0057】
本実施例は実施例1〜4と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。本実施例によれば、図1に示されている異物除去部3が設けられていない。分離部2を経た鋳物砂は、冷却部4で冷却された後、貯蔵容器5に貯蔵される。
【0058】
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した実施形態および実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。本明細書の記載から次の技術的思想も把握できる。
【0059】
(付記項1)鋳物砂で鋳型を造型する造型部と、溶湯が注湯される前記鋳型に対して前記鋳物砂と前記鋳型の内で凝固された凝固部とを分離させる分離部と、前記凝固部から分離された前記鋳物砂に水および添加剤を添加して予備混練する予備混練部と、予備混練した前記鋳物砂を貯蔵して熟成させる熟成容器と、熟成させた前記鋳物砂に対して成分調整するための2次混練部とを用いる鋳物砂処理方法。
【0060】
(付記項2)鋳物砂で鋳型を造型する造型部と、溶湯が注湯される前記鋳型に対して前記鋳物砂と前記鋳型の内で凝固された凝固部とを分離させる分離部と、前記凝固部から分離された前記鋳物砂に水および添加剤を添加して混練する予備混練部と、予備混練した前記鋳物砂を貯蔵して熟成させる熟成容器と、熟成させた前記鋳物砂に対して成分調整するための2次混練部と、制御部とを具備する鋳物砂処理装置。
【符号の説明】
【0061】
1は造型部、2は分離部、3は異物除去部、4は冷却部、5は貯蔵容器、6は予備混練部、7は熟成容器、8は2次混練部、9は制御部、94は情報取得部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳物砂で鋳型を造型する造型部と、溶湯が注湯される前記鋳型に対して前記鋳物砂と前記鋳型の内で凝固された凝固部とを分離させる分離部と、前記凝固部から分離された前記鋳物砂に水および添加剤を添加して予備混練する予備混練部と、予備混練した前記鋳物砂を貯蔵して熟成させる熟成容器と、熟成させた前記鋳物砂に対して成分調整するための2次混練部とを用いる鋳物砂処理方法において、
注湯部で注湯される前記鋳型に関する鋳型情報と前記鋳型で凝固される凝固部に関する凝固部情報とを情報取得部に取得する情報取得ステップと、前記情報取得部の前記鋳型情報および前記凝固部情報に基づいて、予備混練前の前記鋳物砂の消失水分量および消失添加剤量を推定する消失量推定ステップと、前記消失量推定ステップで推定された前記消失水分量および前記消失添加剤量に基づいて、予備混練される前記鋳物砂に新規に添加する新規水分量および新規添加剤量を推定する添加量推定ステップと、前記鋳物砂に前記新規水分量および前記新規添加剤量を添加させた状態で、前記鋳物砂を前記予備混練部で予備混練させる予備混練ステップと、予備混練された前記鋳物砂を前記熟成容器で熟成させる熟成ステップと、熟成させた前記鋳物砂を前記2次混練部で2次混練させる2次混練ステップとを順に実施することを特徴とする鋳物砂処理方法。
【請求項2】
請求項1において、予備混練前の前記鋳物砂は、貯蔵容器に貯蔵されていることを特徴とする鋳物砂処理方法。
【請求項3】
鋳物砂で鋳型を造型する造型部と、溶湯が注湯される前記鋳型に対して前記鋳物砂と前記鋳型の内で凝固された凝固部とを分離させる分離部と、前記凝固部から分離された前記鋳物砂に水および添加剤を添加して予備混練する予備混練部と、予備混練した前記鋳物砂を貯蔵して熟成させる熟成容器と、熟成させた前記鋳物砂に対して成分調整するための2次混練部と、情報取得部をもつ制御部とを具備しており、
前記制御部は、
注湯部で注湯される前記鋳型に関する鋳型情報と前記鋳型で凝固される凝固部に関する凝固部情報とを情報取得部に取得する情報取得ステップと、前記情報取得部の前記鋳型情報および前記凝固部情報に基づいて、予備混練前の前記鋳物砂の消失水分量および消失添加剤量を推定する消失量推定ステップと、前記消失量推定ステップで推定された消失水分量および消失添加剤量に基づいて、予備混練される前記鋳物砂に新規に添加する新規水分量および新規添加剤量を推定する添加量推定ステップと、前記鋳物砂に前記新規水分量および前記新規添加剤量を添加させた状態で、前記鋳物砂を前記予備混練部で予備混練させる予備混練ステップと、予備混練された前記鋳物砂を前記熟成容器で熟成させる熟成ステップと、熟成させた前記鋳物砂を前記2次混練部で2次混練させる2次混練ステップとを順に実施することを特徴とする鋳物砂処理装置。
【請求項4】
請求項3において、予備混練前の前記鋳物砂を貯蔵する貯蔵容器が設けられていることを特徴とする鋳物砂処理装置。
【請求項5】
請求項4において、前記分離部で分離された前記鋳物砂に冷却剤を添加して前記鋳物砂を冷却させる冷却部を具備しており、前記貯蔵容器に前記鋳物砂を貯蔵させる前に、前記制御部は、前記情報取得部の前記鋳型情報および前記凝固部情報に基づいて、前記鋳物砂に添加すべき冷却剤の量を推定する冷却剤量推定ステップを実行することを特徴とする鋳物砂処理装置。
【請求項6】
請求項3〜5のうちの一項において、前記鋳型情報は、前記鋳型の重量および/または体積、前記凝固部と前記鋳型とが互いに接触する接触面積、前記鋳型を構成する前記鋳物砂に含まれる水分の量、前記鋳型を構成する前記鋳物砂に含まれる添加剤の量のうちの少なくとも一つであり、
前記凝固部情報は、前記凝固部の重量および/または体積、前記凝固部の表面積、注湯温度のうちの少なくとも一つであることを特徴とする鋳物砂処理装置。
【請求項7】
請求項3〜6のうちの一項において、前記情報取得部は、前記分離部で分離された前記鋳物砂および前記凝固部以外の異物の重量および/または体積に関する物理量を格納する異物情報取得部を有しており、
前記制御部は、前記消失量推定ステップにおいて、前記異物の重量および/または体積に関する物理量を考慮して、前記貯蔵容器に貯蔵されている前記鋳物砂の消失水分量および消失添加剤量を推定することを特徴とする鋳物砂処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−234398(P2010−234398A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84153(P2009−84153)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】